疫学データ

糖尿病性腎症の疫学データ・統計に関する基本情報

『糖尿病性腎症』という病気を耳にしたことはあるでしょうか?

糖尿病は知っていても、糖尿病性腎症は知らないという人も多いと思います。聞き慣れない病名ですが、糖尿病網膜症、糖尿病神経障害にならぶ、三大合併症のひとつです。

今回は、そんな糖尿病性腎症の疫学データ・統計を集めてみました。

数字から糖尿病性腎症の実態や男女比率。発症しやすい年齢(年代)を知って、発症予防や治療に役立たせてみませんか?
  1. 数字から見る糖尿病性腎症の実態
  2. 糖尿病性腎症の基本的な治療法について
  3. まとめ

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数字から見る糖尿病性腎症の実態

糖尿病性腎症は、糖尿病により高血糖値状態が続くことで、肝臓の糸球体と呼ばれる血管が破壊され、腎機能が低下する病気です。しかし、根本的な原因は解明されていません。
また、病気は徐々に進行するため、初期段階では発見しにくいと言われています。

糖尿病患者が糖尿病性腎症を発症するまでの期間と推移
糖尿病を患ってから10~15年以上経過してから糖尿病性腎症を発症するケースが多いとされています。
また、日本では糖尿病患者数が年々増加しており、平成28年に厚生労働省が行った「国民健康・栄養調査」では、『糖尿病と糖尿病予備群は、いずれも約1,000万人』という調査結果も発表されました。

糖尿病患者の急激な増加によって、糖尿病性腎症患者数も増加傾向にあり、糖尿病患者の3~4割が糖尿病性腎症を発症していると想定されています。

透析導入の原因疾患の第一位でもある
また、糖尿病性腎症は血液透析(透析療法)導入の原因、第一位の疾患でもあります。
※透析療法とは?(吹き出し)
腎臓の機能が低下し、血液中の老廃物などを正常に排出できなくなったとき、生活や体に支障をきたさないよう行う血液浄化法です。

日本透析医学会が実施する「わが国の慢性透析療法の現状」によると、2016年の時点で「慢性透析療法」を受けている患者数は329,609人。

そのうち、原因疾患の第一位は糖尿病性腎症(38.8%)、第二位は慢性糸球体腎炎(28.8%)、第三位は腎硬化症(9.9%)です。

糖尿病性腎症の男女比率は?
初期段階ではほとんど自覚症状がないため、患者総数や発症年齢などのデータが少ない糖尿性腎症ですが、日本透析医学会「わが国の慢性透析療法の現状」の調査から男女比率(慢性透析療法を受けている糖尿病性腎症の男女比率を見てみましょう。

▼糖尿病性腎症が原因となって、透析療法を受けている患者の男女比率

  • 男性 87,441人(42.5%)
  • 女性 36,216人(32.0%)
  • 総計 123,657人(38.8%)

女性・男性の割合に差があることがわかります。
慢性透析療法を受けている総計全体で見ても、男性患者数が多くなっているようです。

患者数の増加と死亡数について
日本透析医学会「わが国の慢性透析療法の現状」の調査を見てわかるように、「慢性透析療法を受けている患者」のみにフォーカスすると、2014年は前年比6,010人増、2015年は4,538人増、2016年は4,623人増とその患者数は年々増加しています。

しかし、2005年頃までは1万人近くの増加が見られていたので、増加数自体は減少傾向にあります。

また、患者数は増えていますがその死亡数はほぼ横ばいに推移しており、医学の発達や、高齢化社会により健康意識が高まっていることが要因となっているのかもしれません。

糖尿病性腎症を発症しやすい年齢(年代)は?
発症に遅れるケースが多い糖尿病性腎症ですが、発症しやすい年齢(年代)はあるのでしょうか?

残念ながら数字を証明する明確なデータはないものの、『糖尿病を患ってから10~15年以上経過してから糖尿病性腎症を発症するケースが多い』という考えから割り出してみると、糖尿病の疑いが強いとされたボリュームゾーンは【40歳以上の男性】と【50歳以上の女性】です。

中年層以上から糖尿病発症リスクが高くなり、患者数が増えるので、糖尿病性腎症は『男性で50代後半、女性で60~70代が発症しやすい年齢(年代)』と想定できます

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糖尿病性腎症の基本的な治療法について

糖尿病性腎症の基本となる治療法は、以下の通り。

  • 血糖コントロール
  • 血圧コントロール
  • 食事制限
  • 薬物療法
  • 必要に応じて透析療法

一口に糖尿病性腎症と言えど、その症状や状態は人それぞれ異なります。
段階に応じて適切な治療を受けるために、定期的な診察や診断を受けましょう。

まとめ

糖尿病を発症した10~15年に糖尿病性腎症を患うケースが多いものの、糖尿病患者すべてが糖尿病性腎症を発症するとは限りません。

糖尿病の症状が落ち着き、経過が良好となってくると、定期的な受診を怠ってしまう人もいますが、糖尿病性腎症を予防するためには『現状を把握すること』が重要となるのです。

また、日頃の食生活や生活習慣。そして血糖コントロールに加えて血圧コントロールも意識しながら、予防を行いましょう。

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あなたは糖尿病性腎症という病気を聞いたことはあるでしょうか?病名から糖尿病に関する病気なのかなと薄っすらイメージはつくと思います。今回はそんな糖尿病性腎症の症状や原因。また、糖尿病性腎症を発症した方のお役に立つような関連情報(患者会など)についてお話していきます。

糖尿病性腎症の症状や原因、患者会に関連する基本情報

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