糖尿病性腎症とは?合併症の可能性に関する基本情報

糖尿病を患うと合併に悩まされる可能性や、命に伴う危険性もあります。その中でも、透析治療導入の原因疾患、第一位と呼ばれている『糖尿病性腎症』について詳しく解説しています。
  1. 糖尿病性腎症とは?
  2. 糖尿病性腎症の進行と症状
  3. 糖尿病性腎症の治療
  4. 糖尿病性腎症の予防法は?
  5. まとめ

糖尿病を患うと、さまざまな「合併症」に悩まされる可能性があります。合併症の中には命の危険を伴う病気もあり、放置することは非常に危険なことです。今回は、糖尿病の合併症の中でもよく見られるものの一つ「糖尿病性腎症」について解説します。

糖尿病性腎症とは?

糖尿病性腎症は、糖尿病の合併症の一つであり、糖尿病の3大合併症の一つに数えられる病気でもあります。現在、病院で透析治療を受けている患者さんの中で、その原因疾患の第一位となっているのが、この糖尿病性腎症という病気です。

糖尿病性腎症の原因
糖尿病性腎症は、「動脈硬化」が関係します。糖尿病による高血糖状態が長く続くことにより、全身の動脈硬化が進行し、腎臓の「糸球体(毛細血管の塊)」でも細かな血管が壊れてしまいます。これにより、腎臓の「老廃物を濾過する」という機能が低下してしまうことが、糖尿病性腎症の原因です。

ネフローゼ症候群
糖尿病を患ってから10年ほど経過すると、尿の中にタンパク質が含まれる「尿蛋白」が現れ始めます。通常であれば腎臓の濾過機能によりタンパク質が尿の中に含まれることはないのですが、腎機能の低下により次第に尿蛋白が現れます。

尿にタンパク質が含まれるということは、逆に血液中のタンパク質は少なくなります。これにより、むくみや高コレステロール血症などを引き起こします。この状態を「ネフローゼ症候群」と言います。ネフローゼ症候群になると、腎臓機能をさらに低下させる原因になります。

糖尿病性腎症の進行と症状

糖尿病性腎症は、初期の段階ではほとんど無症状であることが多いです。しかし、病気が進行し、上位のステージに移行すると、徐々に症状を呈するようになります。

第一期・腎症前期
検査値において、「尿タンパク値」「アルブミン値」が正常な状態では、ほとんど自覚症状はありません。自覚症状がないため、尿検査をしてみないと糖尿病性腎症であると自覚することは極めて難しいです。

第二期・早期腎症期
微量のアルブミン尿が発生する時期でも、自覚症状はほとんどありません。ただし、前の段階と比較して治療が厳格になります。

第三期・顕性腎症期
尿タンパク値およびアルブミン値がさらに高くなると、むくみや息切れと言った自覚症状を呈するようになります。治療もさらに厳格なものに移行します。

第四期・腎不全期
さらに病気が進行すると、以下のような症状を呈するようになります。

    • 発熱
    • 腹痛
    • 吐き気
    • 顔色の悪さ
    • 筋肉の強直
    • 筋肉・骨の痛み
    • 手のしびれ

第五期・透析療法期
ここまで病態が進行してしまうと、もはや自覚症状はさらに目立ち、治療も「透析治療」や「腎移植」などを必要とします。なお、糖尿病性腎症の場合は「血尿」はほとんど見られません。

糖尿病性腎症の治療

最後の、糖尿病性腎症の治療法について解説します。

血糖コントロール
糖尿病性腎症のあらゆる病気で実施されるのが、血糖コントロールです。食事療法および運動療法を基本として、血糖値のコントロールを行います。病期が進むとより厳格な血糖コントロールを必要とします。

血圧コントロール
同様に必ず行う治療が血圧コントロールです。上昇している血圧を下げる治療を行います。薬物療法が基本となります。

タンパク質制限
第三期から第四期にかけては、食事中のタンパク質を制限することが多いです。通常の食事においては標準体重1キログラムあたりの摂取量1.0~1.2グラムのところを、0.6~1・0グラムまで制限します。

塩分制限
また、高血圧の場合には塩分摂取量にも制限が必要になります。高血圧の程度および病期の進行により、5~6グラムもしくは7~8グラムの制限が必要になります。

透析治療
糖尿病性腎症の病期が四期以降になると、透析療法を導入しなければならなくなります。特に五期まで進めば確実に透析治療が必要になり、腎移植をしなければならない可能性もあります。

糖尿病性腎症の三期以降の注意点
糖尿病性腎症が三期以降になった場合、もはや糖尿病性腎症の完全な治療は不可能になります。三期以降の治療は基本的に「病期の進行を遅らせる」ものであり、元の健康な状態まで戻すことはできません。

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糖尿病性腎症の予防法は?

糖尿病性腎症は、高血糖状態が長く継続することにより発症し、症状が進行します。病期が進行すると不可逆の状態となり、完治が難しくなります。そうなる前に治療を開始する必要がありますが、自覚症状が少ないので早期発見が難しくもあります。

糖尿病性腎症を予防するということは、糖尿病の合併症を防ぐということであり、糖尿病を早期発見し、放置しない事が重要です。糖尿病もまた、初期段階では自覚症状の少ない病気ではありますが、健康診断等で高血糖を指摘されたらそれを放置せず、食事や運動などで血糖コントロールを行うようにしてください。

まとめ

糖尿病性腎症の他にも、糖尿病には「糖尿病網膜症」と「糖尿病性末梢神経障害」を合わせた3大合併症およびその他の合併症のリスクを伴います。初期段階では自覚症状が少なく、しかし病期が進行して症状が目立つ頃には重大な合併症を伴う可能性があるという厄介な特徴があります。

糖尿病性腎症は、病期が進むと完治が難しい病気です。そうなる前の段階、つまり糖尿病性腎症の初期段階やその前段階としての糖尿病の早期発見及び早期治療が重要です。健康診断等で医者から血糖値が高いことを指摘されたら、それを放置せずに有効な対策を早めに実施することをお勧めします。

糖尿病性腎症のセルフチェックに関する詳しい解説はこちら

糖尿病の3大合併症として知られる、『糖尿病性腎症』。この病気は現在、透析治療を受けている患者さんの原因疾患・第一位でもあり、治療せずに悪化すると腎不全などのリスクも。この記事では糖尿病性腎病を早期発見・早期治療するための手段として、簡易的なセルフチェックや体の症状について紹介していきます。

糖尿病性腎症リスクを体の症状からセルフチェック!

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