
糖尿病性腎症の治療法について
糖尿病の三大合併症のひとつ『糖尿病性腎症』は5つの病期に分かれています。
病期だけでなく糖尿病の状態や体の症状によって、その治療方法も異なってくるのです

また、糖尿病性腎症の基本となる3本柱にも触れていきましょう!

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糖尿病性腎症の基本治療となる3本柱とは?
糖尿病性腎症とは、その名の通り糖尿病を患っている人が腎症を発症する病気です。
糖尿病の治療においては『血糖値コントロール』を軸として治療を行っていきますが、糖尿病性腎症で高血圧を伴う症状が多くみられるため、これにプラスして『血圧コントロール』をあわせて行います。
血圧コントロールの内容としては、血圧を下げる作用がある降圧薬と、『糖尿病性腎症の食事療法』を中心として治療します。
糖尿病では糖質やカロリーに重点を置いた食事療法となりますが、腎症の食事療法は腎臓に負担をかけない食事が中心となるので、塩分やたんぱく質、過食や肥満などにも注意が必要です。
- 血糖コントロール
- 血圧コントロール
- 糖尿病性腎症の食事療法
上記3つが糖尿病性腎症の基本治療となる3本柱となります。
糖尿病性腎症の治療法や制限を病期別に解説
糖尿病性腎症は、基本治療の3本柱だけでなく病期に合わせた治療方法や制限が存在します。
そこで、次に病期別の治療を見ていきましょう。あわせて食事や生活などの制限も紹介します。
第1期(腎症前期)
自覚症状がなく、腎症に気がついている人も少ない段階です。
基本的には糖尿病食を中心とした血糖コントロールを行い、たんぱく質の過剰摂取に注意します。
【生活や勤務、家事など】
今まで通り、普通に行えます。
【運動】
糖尿病の運動療法
【総エネルギー】
1日/1kgあたりに対して
25~30kcal
【食塩・カリウム・たんぱく質制限】
制限はなし(制限はないものの、過剰摂取に注意)
第2期(早期腎症期)
糖尿病食を中心とした厳格な血糖値コントロールと降圧治療。
また、たんぱく質の過剰摂取に注意します。
【生活や勤務、家事など】
今まで通り、普通に行えます。
【運動】
糖尿病の運動療法
【総エネルギー】
1日/1kgあたりに対して
25~30kcal
【食塩】
制限はなし。(制限はないものの、過剰摂取に注意)
【カリウム】
制限はなし。(制限はないものの、過剰摂取に注意)
【たんぱく質】
1日/1kgあたりに対して
1.0~1.2g
第3期A(顕性腎症前期)
糖尿病食を中心とした厳格な血糖値コントロールと降圧治療。
また、たんぱく質制限食となります。
【生活や勤務、家事など】
今まで通り、普通に行えます。
【運動】
運動可能ですが、病態の程度に合わせて調節。また過度な運動は不可
【総エネルギー】
1日/1kgあたりに対して
25~30kcal
【食塩】
食塩は1日7~8g。
【カリウム】
なし
【たんぱく質】
1日/1kgあたりに対して
0.8~1.0g

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第3期B(顕性腎症後期)
厳格な血糖値コントロールと降圧治療。
また、たんぱく質制限食となります。
むくみの程度や心不全の有無によって水分を適宜制限します。
【生活や勤務、家事など】
軽度に制限。
疲労のない程度の生活と家事を行う。
また職業の種類によって普通勤務~座業までにする。
【運動】
運動制限あり。
体力を維持できる程度の運動であれば可。
【総エネルギー】
1日/1kgあたりに対して
30~35kcal
【食塩】
食塩は1日7~8g。
【カリウム制限】
軽度に行う。
【たんぱく質】
1日/1kgあたりに対して
0.8~1.0g
第4期(腎不全期)
厳格な血糖値コントロールと降圧治療。
また、低たんぱく食。
むくみの程度や心不全の有無によって水分を適宜制限します。
【生活や勤務、家事など】
制限あり。疲労を感じない範囲で残業や夜勤は避ける
【運動】
運動制限あり。散歩やラジオ体操は可。
【総エネルギー】
1日/1kgあたりに対して
30~35kcal
【食塩】
食塩は1日5~7g。
【カリウム制限】
カリウム制限は〈1.5
【たんぱく質】
1日/1kgあたりに対して
0.6~0.8g。
第5期(透析療法期)
厳格な血糖値コントロールと降圧治療。
透析療法や腎移植。
また、水分制限もあります。
【生活や勤務、家事など】
生活は軽度制限。また勤務は軽勤務。
家事については疲労が残らない程度で行う。
【運動】
運動制限あり。原則として軽運動。
【総エネルギー】
1日/1kgあたりに対して
- 血液透析(HD):35~40kcal
- 持続式携帯型腹膜透析(CAPD):30~35kcal
【食塩】
- 血液透析(HD):7~8g
- 持続式携帯型腹膜透析(CAPD):8~10g
【カリウム制限】
カリウム制限は〈1.5
※軽度制限
【たんぱく質】
1日/1kgあたりに対して
- 血液透析(HD):1.0~1.2g
- 持続式携帯型腹膜透析(CAPD):1.1~1.3g
出典:日本糖尿病学会【糖尿病治療ガイド2010・文光堂】76~77
まとめ
糖尿病、そして腎症。どちらの病気も人それぞれ症状や進行が異なるため、病気の状態を把握して、それに合わせた適切な治療を行わなければなりません。
どの病期でも基本となるのは
『血糖値コントロール』『血圧コントロール』『腎症に負担をかけない生活と食事』です。
早期発見、早期治療が重要となる糖尿病性腎症のリスクを低下させるためにも、定期的な検査で自分の健康状態を把握しましょう!

糖尿病患者の3人に1人が発症すると言われている糖尿病性腎症。これは糖尿病の三大合併症のひとつで、腎機能が低下し、老廃物を適切に排泄できない病気です。この記事では糖尿病性腎症に必要となる治療費。また透析にかかる費用。そして医療助成制度について紹介していきます。