医療費助成制度

糖尿病性腎症の医療費助成制度について

糖尿病患者の3人に1人が発症する(※国際糖尿病連合(IDF)より)と言われている糖尿病性腎症。
これは糖尿病の三大合併症のひとつで、腎機能が低下し、老廃物を適切に排泄できない病気です。

糖尿病性腎症の進行を遅らせたり、治療したりするためには、継続的な通院が必要となります。

透析療法の有無、患者さんの状態に合わせて治療費には差がありますが、一般的にどれくらいの治療費が必要となるのでしょうか?

この記事では糖尿病性腎症に必要となる治療費。また透析にかかる費用。そして医療助成制度について紹介していきます。
  1. 糖尿病性腎症の治療費の目安は?
  2. 医療助成制度について
  3. まとめ

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糖尿病性腎症の治療費の目安は?

糖尿病性腎症といえど、病気の進行状況やステージ。また他の合併症の有無によってひとりひとり異なります。また、腎臓機能が低下することで、もともと患っていた糖尿病に悪化が見られる患者さまもいらっしゃいます。

なので、ここでは慢性合併症である『腎症』にフォーカスをあてて、説明していきましょう。

通院での治療にかかる医療費の目安
糖尿病性腎症の症状が初期段階であれば、主に食事療法と薬物療法を中心とし、通院による治療が行われます。
この段階では腎臓に負担がかからないように温存し、透析療法導入のリスクを低下させるのが目的です。
腎臓機能を状態を把握するために、定期的な診察と検査を行い、その結果によって薬の種類や量を調節するので、

  • 診察費
  • 検査費
  • 薬代

が必要となります。

ステージが進行していくごとに薬の種類が増えたり、検査の回数も増加する傾向にあるので、ステージが進むごとに治療費は高くなると考えていて良いでしょう。

高血圧やむくみで入院治療が必要となったら?
また、通院だけでなく腎臓機能の働きが悪いことで高血圧やむくみなどの症状が出ていたり、病気と上手く付き合っていくための『教育入院』が必要となる場合は入院による治療が行われることがあります。
こちらも入院期間と症状によって、入院費が異なりますが、

  • 治療費
  • 検査と診察費
  • 処置費
  • 薬代
  • 食事代
  • ベッド代(部屋代)

これらの費用がかかってきます。食事とベッドの費用いについては保険適用外となるので、自己負担です。

ステージ別に見る治療費の目安
糖尿病性腎症の場合、持病である『糖尿病』の治療費も含まれているため、腎症に対する治療費のデータが少ないのが現状です。
そこで、ここでは慢性腎症(CKD)患者さんの治療費の目安を紹介します。

  • ステージ2 27,000円
  • ステージ3 35,000円
  • ステージ4 45,000円
  • ステージ5a 50,000円
  • ステージ5b 68,000円

この推移はステージが進行するにつれ、薬代が増えることで、徐々に治療費が高くなると考えられています。

透析治療にかかる医療費は…?
次に透析治療を導入した場合にかかってくる費用についてです。
1ヶ月間の透析治療でかかってくる費用の目安は、

  • 外来血液透析 約40万円
  • 腹膜透析(CAPD)約30~50万円

と、言われています。
かなり高額な医療費となっていますが、医療助成制度が用意されているので、手続きを行って自己負担額を少なくすることができます。
では、医療助成制度についても説明していきましょう。

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医療助成制度について

医療助成、医療制度は基本的に自分で申請しなければなりません。
また、家族・本人の所得に応じて、受けられるものとそうでないもの。限度等が変わってくるので、必要となった場合は主治医や地方自治体が設置する窓口で相談しましょう。

高額療養費制度
同一月(1日から月末まで)にかかった医療費の中で、自己負担額が高額となったときに申請すれば、自己負担限度額を超えた分があとで払い戻される制度です。
70歳未満の方の場合、事前に医療費が高額になることがわかっているのならば、「限度額適用認定証」を提示する方法もあります。

自立支援医療制度
この制度の対象となるのは人工透析や腎移植を受けている糖尿病患者さんです。
世帯所得に応じて、医療費の自己負担額の限度を超えれば、超えた部分を助成できる制度となります。
⇒参照はこちら

医療保険の長期高額疾患(特定疾病)
一般の高額療養費とは異なる『特例』として給付される制度で、透析治療の自己負担額が1ヶ月1万円の上限となる制度です。
また一定以上の所得がある方は上限2万円。
外来や入院。薬局代などそれぞれの負担となり、入院時の食事やベッド代は自己負担となります。

重度心身障害者医療助成制度
身体障害者手帳1、2級となる障害者が医療を受けたとき、自立支援医療や医療保険などでの自己負担に対して、助成を行う制度です。各都道府県、自治体が導入する制度なので、一部の地域では3級までの障害者とされていたり、入院中の食事代の自己負担を助成するという場合もあります。
この制度に関しては助成の対象となる人や、助成範囲が地方自治体によって異なります。

小児慢性特定疾患治療研究事業
18歳未満の透析患者が受けれる医療費の助成制度です。18歳未満とされていますが、20歳までの延長も可能。

まとめ

糖尿病性腎症は一度、発症すると『腎臓温存』を目的とした治療がはじまります。
またステージに合わせて、透析療法が導入されることもありますが、医療助成制度を使えば、自己負担額も少なく、継続した治療を行えるのです。

主治医やお住いの窓口で相談し、対象となる医療助成を活用してみましょう。

糖尿病性腎症との付き合い方に関する詳しい解説はこちら

『糖尿病性腎症』。は透析治療を受けている方の原因疾患、第一位とも言われている病気です。本人や患者さんをサポートする家族の方に向けて、病気との上手な付き合い方について紹介します。

糖尿病性腎症と診断されたら?患者本人とサポートする家族が病気とうまく付き合うための方法

参考サイト:リンク先1
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