疫学データ

糖尿病の疫学データに関連する基本情報

『糖尿病』という言葉はよく耳にしますし、実際に診断されたり、糖尿病の疑いがあるから注意しなさいと判定されたりした人もいるでしょう。また、血縁者の中に糖尿病を患う方がいれば、自身の発病可能性が気になることもありますよね。

では、日本における糖尿病人口はどれくらいなのでしょうか?

厚生労働省が行っている調査や世界規模の調査を元に、さまざまな視点からデータを分析していきましょう。
  1. 統計からわかる『糖尿病』について
  2. 医学の進歩とともに、糖尿病患者の寿命は延びている傾向に…!
  3. まとめ
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統計からわかる『糖尿病』について

糖尿病の患者数と予備軍は約1000万人
平成28年厚生労働省が行った「国民健康・栄養調査」によると、約1000万人の人が糖尿病、または糖尿病の疑いが強いというデータが発表されています。

また、平成26年の患者調査によると、糖尿病患者数は316万6,000人。

こちらは3年に1度のペースで行われている調査ですが、前回(2011年)の調査と比較すれば46万6,000人も増加していることがわかります。

日本では高齢化社会、食の欧米化に伴い糖尿病患者数が増加しているのではないか?と言われているものの、世界的にも糖尿病患者数は増加傾向にあり、国際糖尿病連合(IDF)の発表では2015年の時点で全世界の糖尿病有病者数は4億1,500万人となり、前年度より2,830万人も患者数が増えたとのことです。

この調査によれば、現在糖尿病を発症していないが疑いのある人が有効的な治療や対策を行わなければ、患者数はさらに増加すると言われています。

男女比率
平成26年の患者調査によると総患者数316万6,000人のうち、男性は176万8,000人、女性140万1,000人。
割合でいえば大きな開きもなく、前回の調査と比較しても男性はおよそ30万人、女性はおよそ20万人の増加が見られます。

また、翌年平成27年の「国民健康・栄養調査」によれば「糖尿病が強く疑われる者」の男女比率は、男性19.5%、女性9.2%という結果に。こちらも10年前の結果から大きな変化はないようです。

発症しやすい年代は?
糖尿病の疑いが強い割合を分析してみると、40歳以上の男性、50歳以上の女性が多いことがわかりました。
このデータによると、中年層以上から糖尿病の発症リスクが高くなるようです。
考えられる原因としては、

  • オフィスワークやマイカー通勤による運動不足
  • 不規則な生活
  • ストレス
  • 代謝の低下

など。昔と同じような生活を送っていても、年齢とともに代謝が低下していきますから、摂取した糖が上手にエネルギー変換できない点も理由のひとつではないかと言われています。

ちなみに遺伝的な要素が関係している一型糖尿病においては、これに限らず、若年層も発症のリスクが否定できません。

データから見る効果的な治療とは?
成人3000人を対象とし2~3年に渡り予防を行い、その後の糖尿病発症率を調査した研究の結果では、『生活習慣改善』で50%以上糖尿病発症率を低下させたということがわかりました。
この研究では『何も行わない』『生活習慣改善』『投薬』の3グループに分けて糖尿病発症率を観察していますが、薬よりも生活習慣改善の方が糖尿病を予防効果があるとされているのです。
この研究からも糖尿病発症を抑えるためには食事・運動を心がけ、規則正しい生活がどんなに大切なことかおわかりいただけると思います。

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医学の進歩とともに、糖尿病患者の寿命は延びている傾向に…!

世界的に見ても、糖尿病患者、そして糖尿病が強く疑われる人の割合は増加傾向にありますが、その傍らで医学が進歩し、糖尿病患者の寿命も延びている傾向にあります。

糖尿病患者と糖尿病でない人を比較すると、前者の方が平均寿命は4.6年短いという調査結果が米国疾病予防管理センター(CDC)の研究チームの発表でわかりました。しかし、過去40年の推移では糖尿病患者の寿命が延びているのです。

日本は世界の中でも長寿大国で、2016年厚生労働省が行った調査によると、男女とも過去最高を更新し、女性は87.14歳、男性は80.98歳 となりました。これは世界でトップと言われている香港に次ぐ結果となっています。

医学の発達・医療や保険の制度。そして国民の健康意識が高まっていることが平均寿命の更新につながっていると考えられますが、糖尿病患者においても、糖尿病という病気そのものが国民的に周知され、早期発見、早期治療により重篤な合併症を防いげているのかもしれませんね。

とはいえ、いくら糖尿病患者の寿命が延びていても、できるかぎり発症を防いだり、悪化しないよう治療に取り組むべき。
「糖尿病の疑いがある」と診断されても、とくに受診せず、生活習慣を改めない層が一定数いることも明らかとなっています。

まとめ

日本、そして世界における糖尿病の疫学データをさまざまな視点でピックアップしましたが、自分の想像と比較していかがでしたか?

できれば発症したくないというのが本心ではありますが、患者数が多いということは、糖尿病と闘う『仲間』も必ずいるということです。

糖尿病は完治しにくい病気と言われているからこそ、ひとりで抱え込むより、同じ病気の仲間や専門家とつながりを持つという部分も重要なポイントとなります。そしてあなたの体験も、誰かにとって励みとなることもあるのです。

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糖尿病治療において重要視されているポイントが『病気に支配されることなく上手に付き合うこと』。この記事では、糖尿病と上手く付き合っていくために必要な情報を掲載します。治験や患者会。またお役立ち情報のあるサイトなどをピックアップしました。

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