糖尿病の医療助成制度情報について
糖尿病の症状を改善、また合併症を予防するためには、継続的な通院や治療の必要があります。発症した原因や症状、合併症があるかないかで、必要となる医療費は異なりますが、糖尿病は長期的な治療に取り組むことになります。
糖尿病の治療・診察に必要な費用について
「政府管拳健康保険における医療費等に関する調査研究報告書」によれば、糖尿病患者ひとり当たりにおける年間医療費の平均は24.7万円となっています※平成15年度の調査
よって、国民健康保険(3割負担)が適用されたとすれば、年間自己負担額は74,000円。1ヶ月あたり6,000円の医療費が必要となりますよね。
糖尿病の治療方法は大きくわけて食事療法・運動療法・薬物療法の3つです。
食事・運動の側面から治療を続け、定期的な経過観察のみという糖尿病患者よりも、インスリン注射などの薬物療法を必要とする糖尿病患者の方が、医療費も高くなる傾向にありますし、糖尿病だけでなく合併症を併発されている人もいるので、医療費に関しては一概に言い切ることができません。
参考までに、糖尿病患者さんに独自調査した3つのケースを紹介します。
【薬物治療なし・食事と運動療法】
定期的な検査のみなので、医療費は1万円程度。現在の自己負担額は1割なので、1回あたり約1,000円ですが、状況にあわせて検査以外にも治療が必要になるので、年間で考えると2万円くらいです。
【薬物治療〈インスリン注射〉】
インスリン注射や在宅自己注射指導管理料、あとはスタンダードな検査費用がかかるので、月の自己負担額は15,000円くらいです。なので年間で考えると、18,000円までには収まるかなといった感じですね。
【薬物治療〈経口薬療法〉】
主に2種類の経口薬を処方されていて、検査、処方箋料などすべて含めれば、月の医療費は3割負担で7,000円くらいになります。
このように、糖尿病は治療内容や症状、そして自己負担額によって必要な医療費が異なってきます。最近では、ジェネリック医薬品も普及しつつあるので、長期間の治療が前提とされる糖尿病は、医療費の負担額が大きくなる傾向にあります。
そのため、少しでも患者の「負担」を軽減するために、さまざまな社会保障サポートがあります。
医療助成制度を把握しておこう
自立支援医療制度
この制度の対象となるのは人工透析や腎移植を受けている糖尿病患者。
申請方法はお住いの地方自治体が設置する窓口です。
本人・家族の所得などに応じて、医療費の自己負担額の限度を超えれば、超えた部分を助成する制度です。
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高額医療費制度
同一月(1日から月末まで)にかかった医療費の中で、自己負担額が高額となったときに申請すれば、自己負担限度額を超えた分があとで払い戻される制度です。
※70歳未満の方の場合、前もって医療費が高額になることがわかっているのならば、「限度額適用認定証」を提示する方法もあります。
小児慢性特定疾患治療研究所事業
こちらは18歳未満のお子さんの病気が対象となる制度です。対象となる疾患は11の病気で、糖尿病も対象となります。
保護者の収入額などを考慮して自己負担額の限度が決まり、限度を超えた部分を助成するという制度です。
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特別児童扶養手当
20歳未満のお子さんを対象とし、年に3回扶養手当が支給される制度です。
糖尿病の場合は『2級』に分類されるケースが多いのですが、病気の程度や保護者の所得によって支給の有無が決まります。
※参照はこちら
まとめ
現段階では糖尿病だけに特化した医療助成はありません。
しかし、患者の年齢や合併症の有無、病気の程度によって対象となる医療助成は上記のようにいくつか存在します。今回とりあげたのは、国が行っている医療助成なので、地方自治体が独自に行っているものもあるかもしれませんね。
ただ、共通していえることは、医療助成のほとんどが自ら申請を行わないといけない点、そして患者の状態だけでなく所得に応じて対象や支給額が異なるという点です。
もしも糖尿病になったり、家族の方が糖尿病を発症したという場合は主治医や地方自治体の窓口で相談することをおすすめします。
治療が長期化しやすい糖尿病だからこそ、対象となる医療助成があるのか、これから対象となる可能性があるのか、しっかり把握しておきましょう。
1997年から始まった糖尿病患者、また予備軍とされる人の調査ですが、高齢化社会、食の欧米化を背景に『糖尿病患者数』は右肩上がりに推移しています。では、実際に糖尿病を患っている人、そして糖尿病を抱える人がいる家族が糖尿病とうまく付き合っていくためにはどうすればいいのでしょうか?