糖尿病の診断プロセスについて
インスリン作用の不足が原因で、慢性の高血糖状態になる代謝疾患「糖尿病」。
本来、110mg/dl以下である空腹時の血糖値は食事を摂取すると上昇しますが、すい臓の細胞から分泌されるインスリンの作用により、2時間ほど経てば、空腹時の血糖値に戻ります。
しかし、糖尿病の場合は、インスリンの作用が不足しているので、ブドウ糖をエネルギーとして上手く活用できなかったり、血糖値が高くなってしまいます。
「最近、糖尿病が疑われる症状が見られる…。」
「血縁者に糖尿病患者がいて、自分も心配…。」
と、自分や家族の糖尿病が心配なときは、医療機関を受診し、検査と診断を受けましょう。
また、どういう検査を行い診断されるのかについてご紹介していきます。
糖尿病の検査ができる病院・診療科目とは
糖尿病の検査はほとんどの一般内科で糖尿病の検査が行えます。
普段からお世話になっているかかりつけの病院があれば、まずはそこで相談してみましょう。
内科の他にも、
- 内分泌代謝内科
- 糖尿病内科
- 糖尿病外来
- 糖尿病科
でも、検査が可能です。
また、糖尿病内科・糖尿病外来・糖尿病科など、糖尿病を専門診療科目としているクリニックは、仮に治療が必要となった場合、通院もできます。
自分が足を運ぼうと思っている医療機関で、検査ができるかわからない場合は、電話で相談してみると良いでしょう。
キットを使用して簡易検査も可能
「気になる症状はあるけれど、仕事が忙しくて受診する時間がない」
という場合は、『糖尿病検査キット』を使って自宅でチェックしてみるのもひとつの手段です。
この検査キットは、糖尿病を診断基準となる「HbA1c」を血液から測定できます。
通販や販売元から検査キットを購入して、受診申込を行えば、自宅に検査キットが届くので、付属されている取扱説明書に沿って、血液を採取します。
採取した血液を検査センターに送れば、メールや郵送で検査結果を知ることができるのです。
ただし、検査結果が届くまで時間を要するので、糖尿病の疑いがあり、肉体的にも辛い症状がある場合は、医療機関での受診をおすすめします。
糖尿病の診断・検査方法
医療機関で行われる一般的な糖尿病検査は、
- 医師による問診
- 尿検査
- 血液検査
上記3つです。
症状・体重の増減・生活習慣についての問診。
そして採尿した尿からブドウ糖が出ていないかをチェックします。
しかし、採尿でブドウ糖か排出されていることがわかったとしても、体調やその日の食事内容によって、一時的に排出されている可能性もあるので、血液検査で糖化ヘモグロビン、ヘモグロビンA1c、血糖値の指数を測定します。
また、場合によってはブドウ糖を摂取して、血糖値の変化を観察する「75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)」が行われることも。
これらの検査を元に、糖尿病かどうか診断していきます。
検査の費用は?
上記で説明した医療機関で一般的に行われる糖尿病検査の費用は、
- 初診料
- 尿検査(ブドウ糖排出の有無)
- 血糖値の測定
- 血液検査
- 75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)
などを行い、3割負担であれば2,000円程度が自己負担額の目安となります。
また、自宅でできる『糖尿病検査キット』は、2,000円~10,000円程度で販売されています。
2つの検査費用を比較しても、時間があるのなら、なるべく医療機関で詳しい検査を行った方が良いでしょう。
糖尿病の検査前日、当日の注意点
検査を受ける上で大前提となるのが、『普段の血糖値の状態』。
普段通りの生活していて血糖値がどのように推移するか観察します。
ちなみに女性の場合、月経中の尿検査はできないのでは?と思われるかもしれませんが、もしも検査日と月経が重なってしまったら、医師にその旨を伝えましょう。
また、血糖値は食事をしたタイミング、内容によって変動します。
糖尿病検査では、主に”空腹時血糖”と”糖負荷検査”という検査が行われます。
空腹時血糖とは、その名の通り、お腹が空いているときの血糖値。
そして糖負荷検査は糖を摂取したときに、上昇した血糖値を下げる働きがされているかを観察するものです。
検査の進め方は医師の方針によって異なるので、検査前の注意点を事前に自分で確認しておきましょう。
まとめ
糖尿病において、危惧されているのが、病気が進行することによって起こる『合併症』です。
「糖尿病になると、視力が低下して最悪の場合失明するよ」
「内臓の機能が低下して、透析を受けることになるんだって……」
と、糖尿病による合併症について、誰しも一度は耳にしたことがあるかもしれません。
あるいは、健康診断で医師に注意されたという人もいらっしゃるでしょう。
しかし、このような合併症は脅しではありません。
生活を脅かす合併症を患わないためにも、糖尿病は早期発見・早期治療が肝心なのです。
どうしても時間が作れない……という人は、まずは検査キットから試してみてはいかがでしょうか?
日本には、糖尿病の前段階である「糖尿病予備群」を含め、およそ2千万人の患者がいると言われています。
今回は食生活・生活習慣の側面から、糖尿病を予防する方法について紹介します。