良い食事

デュシェンヌ型筋ジストロフィーに良い食事の基本情報

デュシェンヌ型筋ジストロフィーの食事による栄養管理は、治療の基盤となるものなので、とても大切です。デュシェンヌ型筋ジストロフィーは、主に遺伝によって発症します。筋ジストロフィーの中でも進行が早く、重症化しやすい特徴があります。筋ジストロフィーには種類があり、ベッカー型筋ジストロフィーは比較的軽症です。

デュシェンヌ型筋ジストロフィーの発症年齢は2~3歳という幼児期と早い時期のため、そこから徐々に筋力が低下していきます。初期症状は運動障害ですが、寿命を迎えるまでには様々な機能障害や合併症を引き起こすことになるのです。

栄養を貯蔵する役割をしている骨格筋も減少していきます。
そのため、栄養素が十分にとれなくなってしまうのです。栄養状態が悪くなると身体機能が低下し、低栄養や栄養素の不足を起こしてしまうことがあり、悪循循環に陥ってしまうのです。
それを防ぐためには、定期的に栄養摂取量を確認することや、栄養状態の評価が必要になってくるのです。

栄養や水分の蓄積も充分にできないため、高熱や下痢を起こしたときや、食事や水分摂取が難しくなった時には、すみやかに病院を受診して点滴などを受ける必要があります。

  1. デュシェンヌ型筋ジストロフィーの食事で気をつけること
  2. 食物形態の工夫
  3. まとめ

デュシェンヌ型筋ジストロフィーの食事で気をつけること

デュシェンヌ型筋ジストロフィーと診断されると、一生涯栄養状態を良好に保つことが大切です。たくさんの種類の食材をバランス良く摂取するように心がけます。栄養管理ができているか判断する目安は、年齢に合った体重やBMIの標準の範囲内であるかを確認することです。

食事で気をつけるべきポイントを紹介いたします。

定期的に身長と体重を測定する
定期的に身長と体重を測定して記録することで、体重増加を伴わない身長の伸びや、体重過多や体重不足が発見できます。デュシェンヌ型筋ジストロフィーの出生時の身長や体重は正常です。体重が増加しやすい時期は、7歳や13歳といわれています。体重の増減には、慢性的な便秘や嚥下障害などの飲み込みの問題を抱えていることもあるのです。循環器や呼吸器の合併症がある場合は、体重が減ることがあります。

逆に肥満を起こすのは、骨格筋の減少に伴う基礎代謝量の低下、身体活動の減少、ステロイド治療の副作用の可能性があります。幼少期から患者と家族全員に管理栄養士による栄養指導が必要です。清涼飲料水や甘い菓子、インスタント食品の食習慣はよく見直すべきといえるのです。

タンパク質、カルシウム、ビタミンD、鉄などを含んだ食事を心がける
デュシェンヌ型筋ジストロフィーで特に気を付ける栄養素は、タンパク質、カルシウム、ビタミンD、鉄です。デュシェンヌ型筋ジストロフィーの患者は、エネルギー摂取量が不足しているので、タンパク質不足を起こしやすいのです。タンパク質不足が起こると、低アミノ酸血症を呈することがあります。

ヨーグルトやチーズなどの乳製品を間食に取り入れると、不足しているタンパク質を補うことができるのでおすすめです。

骨折や骨粗しょう症の予防、ステロイド治療の副作用を考えると、食事からビタミンDやカルシウムの摂取を充分に摂るように注意するべきです。鉄が不足がちなので、食事や捕食、サプリメントなどで補うことも必要です。管理栄養士に相談しながら栄養管理をすることが大切です。

飲み込みの問題が起きていないか常にチェックする
デュシェンヌ型筋ジストロフィーの重症度のステージが進行すると、飲み込む時に使う筋肉が低下します。飲み込みの障害が発生すると、栄養の問題もでてくるのです。飲み込みの障害は、非常にゆっくりと起こるので、発見するのは難しいです。ですので、10歳代半ばから、定期的に嚥下機能評価をすることが望ましいといえるのです。

飲み込みに使う筋肉の動きについては、喉に食べ物がつかえる感じがする、むせる、せきをする、よだれが出る、食事時間の延長、食事時の徒労感などによって判断します。嚥下機能は、診察とX線検査で調べることができます。飲み込みの障害が見つかったときには、言語療法士と一緒に、治療計画を立てることになります。

口から食事ができなくなったときは、経鼻胃チューブや胃ろうなどで栄養を補給する
体重の保持や口から水分を摂ることができない場合は、経鼻胃チューブを使います。食事を摂るのが難しくなると、最終的には胃ろうを造設することになります。
栄養チューブを造設しても、口から食事が出来なくなるわけではありません。栄養摂取のためのカロリーや栄養素を気にすることなく、口からの食事を楽しむことができるようになります。

食物形態の工夫

咀嚼が難しくなり、嚥下が困難になれば、10歳代から軟らかい飲み込みやすい食物形態にしていきます。栄養を摂るために必要な食物の形態を変更することで、安全に食事ができるようになります。

嚥下機能障害がある患者が食べやすい食物形態
①軟らかく、密度が均一である
②適度な粘性があり、食塊形成しやすい
③変形しやすく、口腔や咽頭をなめらかに通る
④べたつかず、のど越しが良い

嚥下障害がある患者が食べにくい食物
①弾力性がある肉類
②繊維質が多い野菜
③汁物の中の具
④水分が少ないパサつくもの
⑤凝集性が強い物

飲料で咳き込む、食事中にむせるという場合は、増粘剤を使って液体にとろみをつけることができます。とろみをつけることで、咽頭の通る速度を落とし、誤嚥しにくい状態をつくります。しかし、とろみをつけすぎると、粘性が上がるので、凝集性が強くなり、のどのつまり感を感じる場合もあるので、注意が必要です。

まとめ

デュシェンヌ型筋ジストロフィーの患者が、栄養をきちんと摂取できているのかを確認するには、身長と体重で判断します。
常に、栄養のバランスが摂れた食事を心がけるようにします。栄養状態の悪化は、身体機能の低下を招いてしまうからです。

飲み込む筋肉も徐々に落ちていくので、嚥下機能評価は大切です。
口から食事ができなくなったときは、経鼻胃チューブや胃ろうなどで、栄養を補給することになります。

食物形態には、10歳代から気を付けていき、軟らかく、飲み込みやすいものにする必要があるのです。増粘剤を使って、液体にとろみをつけることもできます。

デュシェンヌ型筋ジストロフィーの治療法に関する詳しい解説はこちら

デュシェンヌ型筋ジストロフィーの治療方法に関する基本場を掲載。現状だと直す病気がない病気ですが、進行を遅らせることはステロイドを用いれば可能です。新しい新薬の開発、実験を進めている段階で、どういったことが考えられるか説明しています。

デュシェンヌ型筋ジストロフィーの治療方法の情報

参考サイト:リンク1リンク2
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