治療法

デュシェンヌ型筋ジストロフィーの治療方法の情報

デュシェンヌ型筋ジストロフィーは、完治する治療方法が無い、治せない疾患です。2~3歳という幼児期から発症するので、人生の大半は病と闘うことになります。
筋ジストロフィーには種類があり、比較的症状が軽いベッカー型筋ジストロフィーや、成人になってから発症する筋ジストロフィーもあります。

しかし、デュシェンヌ型筋ジストロフィーは早期に発症し、進行が早く重症化しやすい疾患です。治療は主に機能障害や合併症に対しての対症療法が中心です。どのような治療をしていくのか解説いたします。また、最新の治療新薬についても説明いたします。

  1. デュシェンヌ型筋ジストロフィーの治療新薬
  2. デュシェンヌ型筋ジストロフィーの治療方法
  3. デュシェンヌ型筋ジストロフィーの保因者
  4. まとめ

デュシェンヌ型筋ジストロフィーの治療新薬

デュシェンヌ型筋ジストロフィーは男児に最も高い頻度で発症する筋ジストロフィーです。デュシェンヌ型筋ジストロフィーは、男児の出生約3,300人に一人の割合で発生するともいわれています。原因は、遺伝子の変異です。ジストロフィンと呼ばれる筋肉の細胞を作るタンパク質の遺伝子が変異することで起こります。遺伝子が変異すると、正常なジストロフィンが作れなくなり、徐々に筋力が低下していくのです。

進行を遅らす唯一の治療方法は、ステロイドを用いることです。しかし、ステロイドが長期的な予後を改善できるのかというと、根拠はあまりないのです。ステロイドの服用を続けるのならば、肥満等の副作用に留意することも必要になってきます。

現在のところ、デュシェンヌ型筋ジストロフィーの根本的な治療方法はありませんが、分子生物学の進歩により、新しい治療方法が考案されるようになっています。
デュシェンヌ型筋ジストロフィーを根治するための分子治療薬の実現にむけて実験を進めている最中です。

開発中の治療薬の1つに「エクソン・スキップ治療」があります。遺伝子の転写物のうち、タンパク質に翻訳される領域(エクソン)の一部を人為的に取り除きます。
そうすると、アミノ酸の読み取りの枠ずれを修正することができるのです。
一部は短縮されますが、機能を保ったジストロフィンが作れるので、筋肉の機能の改善が期待できるのです。

デュシェンヌ型筋ジストロフィーの治療方法

デュシェンヌ型筋ジストロフィーは筋肉が壊れることで、全身の筋肉がおかされる疾患です。デュシェンヌ型筋ジストロフィーは幼児期に転びやすい、走れないことで発見され、5歳頃には運動能力のピークを迎えると言われています。

その後は徐々に筋力が低下していきます。重症度などのステージには個人差がありますが、10歳前後になると歩行ができなくなります。ですので、デュシェンヌ型筋ジストロフィーの治療方法は、機能障害や合併症の対症療法が中心になってきます。

デュシェンヌ型筋ジストロフィーの平均寿命は1980年代には10歳代後半でしたが、現在では30歳代半ばまで延びています。このように生命予後が改善したのは、呼吸管理や心筋保護治療が普及したおかげです。

デュシェンヌ型筋ジストロフィーと診断されると、その時点から生涯にかけて医療が必要になってきます。
どんな治療が必要かは下記の通りです。

①リハビリテーション
②ステロイドなど薬物治療
③呼吸ケア
④心筋障害治療
⑤拘縮・変形・外傷などの外科的治療
⑥消化管障害・嚥下機能障害・栄養障害に対する治療
⑦発達障害の治療
⑧歯学的異常の治療
⑨心理社会的ケア

これまでデュシェンヌ型筋ジストロフィーを含む筋ジストロフィーの治療は、国立病院などの専門病棟がある医療機関が中心におこなっていましたが、療養の場が病院中心から在宅中心へという流れに変わってきています。

それによって、地域の様々な医療機関等が連携して治療する必要がでてきたのです。専門医でない医療関係者がデュシェンヌ型筋ジストロフィーの適切な対応を行うために、診療ガイドラインが定められています。

デュシェンヌ型筋ジストロフィーは進行が早い疾患のため、合併症の発現を予測し、予防をすることが重要です。患者ごとの病態や状況を踏まえて、患者や家族と十分に相談して治療方針を決める必要があるのです。

デュシェンヌ型筋ジストロフィーの保因者

デュシェンヌ型筋ジストロフィーの原因となる遺伝子を持っているが、発症していない人を保因者といいます。デュシェンヌ型筋ジストロフィーはX染色体上のしくみから、ほとんど男性に発症します。女性はほとんど発症しないことから保因者と呼ばれてるのです。

しかし、保因者の一部には、成人以降に進行性の筋力低下や心筋症を呈する場合があり、症候性保因者になる人もいます。

自分が保因者かどうか知る時には、心理的負担を強いられる場合があります。自分の遺伝情報を知る権利も知らない権利もあることを踏まえたうえで、遺伝子カウンセリングを通して意思決定をするとよいです。

まとめ

デュシェンヌ型筋ジストロフィーの進行を遅らす唯一の治療方法は、現在のところステロイドになりますが、治療薬の実現に向けて治療新薬の開発が進められています。

デュシェンヌ型筋ジストロフィーの治療には診療ガイドラインがあり、在宅でも地域の医療機関などと連携をして治療ができるようになっています。デュシェンヌ型筋ジストロフィーはどんどん進行していくので、合併症の発現を予測し、予防をすることが大切だといえます。

女性は、デュシェンヌ型筋ジストロフィーの原因となる遺伝子を持っていても、ほとんど発症ないので保因者と呼ばれています。しかし、保因者でも成人以降に筋力低下や心筋症になる人もいるのです。自分が保因者かどうか遺伝子情報を知るには、よく検討する必要があります。

デュシェンヌ型筋ジストロフィーの医療費助成制度に関する詳しい解説はこちら

デュシェンヌ型筋ジストロフィーの医療費助成制度に関する基本情報をまとめています。初期症状、運動障害。どういったケースで助成の対象になるかなど。合併症や機能障害。難病指定されている病気の申請について記載しています。

デュシェンヌ型筋ジストロフィーの医療費助成制度

参考サイト:リンク1リンク2
SMTによる記事情報は、治療の正確性や安全性を保証するものではありません。
病気や症状の説明について間違いや誤解を招く表現がございましたら、こちらよりご連絡ください。