病気との付き合い方

デュシェンヌ型筋ジストロフィーの病気との付き合い方

デュシェンヌ型筋ジストロフィーは、筋肉が壊れやすくなり、徐々に筋力が低下してしまう病気です。それによって、体を動かすことが難しくなり、様々な機能障害や合併症を引き起こすようになるのです。

デュシェンヌ型筋ジストロフィーを完治させる根本的な治療法は、残念ながら現在の医学ではありません。
なるべく進行をくいとめるようにする、進行することで起こった機能障害や合併症などの治療をおこなっていくことが中心になっていきます。

デュシェンヌ型筋ジストロフィーと診断された時は、本人や親御さんやその周りの方はとてもショックを受けると思います。
デュシェンヌ型筋ジストロフィーの原因が遺伝にあるので自分たちを責めてしまいがちですが、自分たちを責めるのはやめてください。
デュシェンヌ型筋ジストロフィーの原因は、変異した遺伝子です。
遺伝子が変異することと、これまで過ごしてきた中での生活習慣は関係しないからです。

デュシェンヌ型筋ジストロフィーと診断されたら、病気とうまく付き合っていく方法を考えましょう。
デュシェンヌ型筋ジストロフィーとの付き合い方について解説したいと思います。

  1. デュシェンヌ型筋ジストロフィーの機能障害や合併症
  2. デュシェンヌ型筋ジストロフィーの対症療法
  3. まとめ

デュシェンヌ型筋ジストロフィーの機能障害や合併症

デュシェンヌ型筋ジストロフィーは徐々に筋力が低下していくので、様々な機能障害や合併症を引き起こします。
機能障害や合併症の情報を知るのは恐いかもしれませんが、あらかじめ知っておいた方がいいというよりも、知っておくべき情報です。

筋ジストロフィーの中でもデュシェンヌ型筋ジストロフィーは、女性には発症せずに、ほとんど男性に発症します。
デュシェンヌ型筋ジストロフィーは、とても進行が速く、重症化しやすいという特徴があります。

デュシェンヌ型筋ジストロフィーの発症年齢は2~3歳の幼児期という早い時期です。
筋ジストロフィーの中では、早い時期に発症することになります。他の型の筋ジストロフィーでは、成人後の40代や50代で発症することもあるからです。

デュシェンヌ型筋ジストロフィーの初期症状は、なかなか歩き始めない、階段を登れないなどの運動機能の障害で気づくことがありますが、全く気付かずに血液検査で初めて発見されることもあります。
同じ筋ジストロフィーでも、ベッカー型筋ジストロフィーは比較的症状は軽く、成人を過ぎても歩くことができる人もいます。

デュシェンヌ型筋ジストロフィーの合併症

①    骨格筋障害による運動障害
②    腕や足の骨折
③    呼吸機能の低下
④    心機能の低下による心不全や不整脈
⑤    咀嚼・嚥下・構音機能の低下
⑥    眼瞼下垂、眼球運動の障害
⑦    白内障や網膜症
⑧    関節の拘縮や変形
⑨    骨粗しょう症
⑩    歯列不正
⑪    胃腸機能の障害
⑫    難聴
⑬    軽度で進行しない知的障害
⑭    発達障害

とてもたくさんの合併症にかかる可能性があります。
呼吸する筋肉が低下すると肺炎などの病気にかかりやすくなり、それが原因で死亡することもあるのです。
デュシェンヌ型筋ジストロフィーの多くは20歳までに死亡するといわれていますが、最近では寿命が延びてきています。
比較的症状が軽いベッカー型筋ジストロフィーでは、30代や40代でも生存できるといわれています。

デュシェンヌ型筋ジストロフィーの対症療法

デュシェンヌ型筋ジストロフィーでは、筋力が低下することによって起こる様々な症状に対して行う対症療法があります。
症状が出てきてもあわてずに専門医や専門機関としっかり連携をとって対策する必要があります。

筋肉の対症療法
体を動かす筋肉である骨格筋が、徐々に衰えてきます。
筋肉が衰えないようにするには筋力トレーニングが有効だと思われますが、筋ジストロフィーの人にとっては、かえって筋肉を傷めてしまう原因になるのです。そのため、すすめられてはいません。

だからといって、何もせずにいると筋肉は衰えていく一方です。
早い時期からストレッチなどをして対策しておくことが、とても大切になってきます。
その場合、自己流ではなく、必ず専門家の指導の下で行ってください。
ストレッチをすることで、関節の可動域が広がるので、筋肉のしなやかさを保てます。筋肉をしなやかにしておくと、関節が変形してきても痛みを軽減することができるのです。

背骨が変形していくと、椅子に座れなくなる、呼吸がしづらくなるなど生活する上で影響がでてきます。
そのため、整形外科的な手術を行うこともあります。

呼吸の対症療法
呼吸をする時も筋肉を使っています。呼吸に使う筋肉が低下した時に困らないように、呼吸理学療法を行います。
助骨の周りの筋肉をしやなかに保っておくこと、肺の健康を保つことが目的です。
呼吸に使う筋肉が低下して、自力で呼吸することが難しくなれば、マスク型の呼吸器や排痰補助装置などを使って呼吸機能を補います。

心機能の対症療法
心臓は筋肉でできています。心臓の筋肉が低下すると、血液を循環する力が落ちてしまうのです。
定期的な検査をして、心機能が正常に動いているかを確認する必要があります。
運動する筋力が落ちていないのに、心機能だけが低下することもありえるからです。
症状によっては、投薬したり、ペースメーカーを使って心機能を補助します。

誤嚥の対症療法
飲食をすると時に使う筋肉が低下してくると、食べ物や飲み物が食道ではなく気管に入ってしまいます。
気管に入ることで誤嚥してしまい、誤嚥性肺炎を起こす可能性があります。誤嚥性肺炎は、とても危険なのです。

通常、唾液などが気管に入ると、体が反応してむせるようになっていますが、筋力が落ちてしまうと、むせることもできなくなるのです。
そのため、誤嚥に気づきにくくなるので、とても危険なのです。

飲み込む力に合わせて食事や水分の形態を変えることになります。自力で飲み込むことができなくなれば、経鼻胃管といって鼻から胃に管を通して栄養を運んだり、胃ろうのようにお腹を切って管を通して、直接胃に栄養を運ぶ方法もあります。

胃ろうで体に必要な栄養分や水分を摂り、口からも食事をして両方を併用している人も多いです。なぜならば、食事を楽しむためには口から食べることが大切だからです。

まとめ

デュシェンヌ型筋ジストロフィーは徐々に筋力が低下するので、それに伴い様々な機能障害や合併症がでてきます。
機能障害や合併症の一覧を見ていたら、悲観的になりますが、症状に合わせた対症療法が存在しているのです。
目に見える筋力の低下もあれば、見えないところで起こる場合もあります。
誤嚥してもむせることができなければ、とても危険な状態になります。そのためには、定期的な検査は欠かせないといえるのです。

また、本人も転倒してケガをしないように注意をはらったり、風邪などの呼吸器感染は重症化しやすいので、体調管理にも気を配る必要があります。

デュシェンヌ型筋ジストロフィーの疫学データに関する詳しい解説はこちら

デュシェンヌ型筋ジストロフィーの疫学データ基本情報。発症や酒類。
初期症状や寿命。遺伝性のことなど、デュシェンヌ型筋ジストロフィーの病気に関する情報、統計データをまとめています。

デュシェンヌ型筋ジストロフィーの疫学データ基本情報

参考サイト:リンク1リンク2
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