子宮内膜症について
もしかすると「子宮内膜症」可能性もあるかもしれません。
月経がきている女性の10人に1人が悩んでいるというのが、子宮内膜症という病気です。女性にとってとても身近な病気で、いつ、だれがかかってもおかしくありません。
まずは、子宮内膜症の基本的なことから理解してみましょう。
子宮内膜症とはどういうもの?
子宮内膜症とは、妊娠したことのない女性がかかりやすい子宮の病気です。本来なら子宮の内側にあるはずの子宮内膜が、何らかの原因で別な場所(卵巣・直腸・へそなど)に存在してしまい、月経周期に合わせて出血してしまう病気です。
子宮内膜症になりやすい人って?
子宮内膜症は、10人に1人の割合でかかると言われていますが、最近は20代~40代の女性を中心に急激に増えてきています。
急激に増えている理由として、初経の年齢が早くなっていることや、出産年齢の高齢化・出産回数の減少、子供を作らない女性などのライフスタイルの変化があげられます。
通常、子宮内膜症になる可能性は月経が始まってから年齢を重ねるごとに高まり、40代でピークを迎え、エストロゲンの分泌が停止する閉経後になると、子宮内膜症にかかる人は急激に少なくなります。
閉経と同じように、エストロゲンの分泌が停止される妊娠授乳期のおかげで、子宮内膜の増殖が停止するため、自然に子宮内膜症が治まったり、予防する効果になっています。
かつては多くの女性が若くして結婚し、たくさんの子供を産んでいたため、子宮内膜症が自然治癒されていましたが近年のライフスタイルではその機会が減少し、月経回数が増えたことで子宮内膜症にかかる人が増えてきたとされています。
子宮内膜症の原因は?
子宮内膜症の原因は、はっきりわかっていません。しかし、2つの説が考えられています。1つは、生理の出血が、卵管からお腹へ逆流して、子宮内膜の組織が子宮以外で定着してしまうという『子宮内膜移植説』です。
また、腹膜が子宮膜に変化してしまうのではないかという『体腔上皮化生説』です。
子宮内膜症の症状はどういうもの?
子宮内膜症の症状としては、生理周期とともに剥離して出血しますので、主に生理痛があげられます。
内膜ができてしまった場所によって、放置してしまうと炎症や癒着が起こり、「急性腹症」といって開腹手術が必要な激しい腹痛が起こる場合もあります。
また、子宮内膜症が原因で妊娠しにくくなったり、卵巣の癌のリスクが高まったりしてしまいます。
- 生理痛が毎月ひどい、または生理のたびに痛みが増している
- 生理の時に飲む鎮痛薬の量が増えてきた
- 生理以外の時にも下腹部痛を感じる
- 排便痛がある
- 性行為の時に痛みを感じる
その他の症状として、月経量が多くなる、月経前後の不快感などが出る場合もあります。これらの症状に当てはまっている場合、子宮内膜症の可能性がありますので、婦人科できちんと検査してもらいましょう。
子宮内膜症を放置してしまうと・・?
子宮内膜症は時間の経過とともに進行していく病気です。痛みをこらえて放置してしまうと、病気がどんどんと進行してしまいます。
・第一期
『ブルーベリースポット』と呼ばれる青黒い血の塊が、卵巣や腹膜に無数にできている状態です。この初期症状段階での自覚症状はほとんどなく、手術や検査で偶然発見される場合が多いです。
・第二期
第一期で散らばっていた病巣が点の状態から大きく広がり始めます。生理痛がひどくなり、出血量が増えるので、自覚症状が現れます。
・第三期
第二期で広がった病巣が、卵巣内で固まり、周囲の卵巣や卵管などが癒着します。卵巣内で子宮内膜症が増殖した場合、内膜症性嚢胞と呼ばれる病変になってしまいます。古くなった血液がチョコレート色に変色するため、『チョコレート嚢胞』と呼ばれます。
この段階になると、生理痛がひどくて寝込んだり、性交痛も現れます。まれに、チョコレート嚢胞が破れてお腹に漏れ、緊急手術が必要になることがあります。
・第四期
癒着が骨盤の中にある臓器全体に広がっていきます。臓器が冷凍されたように一塊になってしまうため『凍結骨盤』と呼ばれることもあります。
肺などに発生することもあり、月経時以外でも腰痛や下腹部の痛みがひどくなって、日常生活に支障をきたしてしまいます。
子宮内膜症の治療法
対症療法
痛み止めや漢方薬などを処方して、症状をやわらげます。漢方では、子宮内膜症は骨盤内のうっ血と考えられているため、その人の体質に合わせて血の巡りをよくするものなどが処方されます。
ホルモンバランスを改善する薬
・中用量ピル
排卵と子宮内膜の増殖を抑えるため、生理痛が緩和されます。副作用として血栓症が起こることがあり、血圧の高い人に使う場合は注意が必要です。また喫煙中の人は禁煙する必要があります。
・黄体ホルモン療法
卵巣機能を抑制し、子宮内膜の細胞増殖を抑えます。
・偽閉経療法
女性ホルモンを抑えて、閉経した状態を作ります。
・LH-RHアゴニスト
女性ホルモンの分泌を抑えて、人口的に閉経状態を作ります。副作用があるため、6ヶ月以上の投与は行いません。
・ダナゾール
男性ホルモンの誘導体で、女性ホルモンの分泌を抑えます。重篤な副作用を起こすリスクのため、現在はほとんど使用されていません。
手術
・開腹手術
癒着が多い場合はこの手術を行います。腹部を10cmほど開腹し、入院期間は2週間程度です。
・腹腔鏡手術
お腹の3~4ヶ所に小さな穴をあけて、モニターを見ながら手術する方法です。子宮内膜症の確定診断としても使われており、痛みも少なく入院期間も数日~1週間程度です。
まとめ
ストレスをためずバランスの取れた食事をとり、睡眠をしっかりとる、適度な運動をするなどが効果的と言われています。
また、貧血を予防したり、動物性の食品によるホルモン症状の悪化を防ぐため、食事に気を付けたり、身体を冷やさないことも有効です。
一番大事なのは、かかりつけの婦人科を見つけて、何でも相談できる環境にすること、また、定期的に検査してもらうことをおすすめします。
子宮内膜症、一番良いのは何が異変を感じた時に病院へ行き医師の適切な診断を受けるのが最善ではありません。自己診断・セルフチェックの方法を記載していますが、一つの病院へ行くためのきかっけとして活用ください。
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子宮内膜症とは、妊娠したことのない女性がかかりやすい子宮の病気です。本来なら子宮の内側にあるはずの子宮内膜が、何らかの原因で別な場所(卵巣・直腸・へそなど)に存在してしまい、月経周期に合わせて出血してしまう病気です。
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