治療法

子宮内膜症の症状別、治療方法に関連する基本情報

どのような病気であれ、治療法がわかっているのであれば治療を受けるべきです。しかし、治療を受ける側としては「どんな治療を必要とするのか?」ということが気になるのは仕方がありません。そこで、子宮内膜症の治療法について解説します。
  1. 子宮内膜症の検査方法
  2. 子宮内膜症の治療方法
  3. 子宮内膜症は自然治癒する?
  4. まとめ
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子宮内膜症の検査方法

まずは、子宮内膜症の「検査方法」について解説します。

子宮子宮内膜症の検査
子宮内膜症とは、子宮内以外の場所に子宮内膜のような組織が発生する病気です。子宮内膜症の検査は、以下の方法で行います。

子宮内膜症の症状チェック
まずは、以下の症状をチェックしてください。該当する項目が多い場合は子宮内膜症が疑われますので、早めに婦人科で検査を受けてください。

  • 生理痛が重くなった
  • 生理痛ではなく下腹部が痛む
  • 経血量が増えた
  • 不正出血
  • 経血がレバー状の塊を生じる
  • 排便痛
  • 性交時に痛みがある
  • 不妊
  • 生理前後1週間ずつ程度の腹部の張り

子宮内膜症は人によって症状が異なります。思い当たる症状が少ないからと言って子宮内膜症ではないと考えるのは避けて下さい。

内診
子宮内膜症の検査では、「内診」を行います。具体的な方法としては指を膣に挿入して、子宮や卵巣の状態を確認します。

超音波検査
次は「超音波検査」です。超音波により子宮と卵巣の状態を画像で確認します。この検査によって卵巣に「チョコレート嚢胞」が生じている場合は、その大きさを確認することができます。

腹腔鏡検査
次は「腹腔鏡手術」です。お腹に小さな穴を開け、腹腔鏡を挿入して検査します。超音波検査と比較して「小さな病変でも確認できる」というメリットがある検査方法です。ただし、検査のみのために用いられることは少なく、検査の後に子宮内膜症の治療を兼ねる事が多いです。

MRI
最後は「MRI」です。磁力の力によって体内の撮影を行います。この検査は、他の方法は病変部をきちんと鑑別できない場合に用いられます。

子宮内膜症の治療方法

子宮内膜症の治療法は、主に「薬物療法」と「手術療法」に分かれます。それぞれに手術による治療効果が異なりますので、医療機関できちんと説明を受けて、自分に合った治療法を理解することが重要です。

子宮薬物療法
子宮内膜症の治療法としては、第一に「薬物療法」が挙げられます。薬剤の種類によって内服や注射薬など種類が異なります。しかし治療法と言っても「対症療法」に近い治療法であり、根本的な治療法にはなりません。

薬物療法は、大きく分けると「鎮痛薬」「偽妊娠療法」「偽閉経療法」に分けることができます。鎮痛薬は子宮内膜症による痛みを緩和する治療法で、残りは擬似的に妊娠や閉経に似た状況にすることで症状の悪化を抑える治療法です。いずれにしても根本的な治療法にはならず、一時的に痛みを抑えたり、閉経までの時間稼ぎを行う治療法になります。治療を中断すれば、再び子宮内膜症の症状が現れることになります。

子宮手術療法
子宮内膜症を完治させたい場合、手術を必要とします。ただし子宮内膜症の手術療法には「病巣のみを摘出する手術」と「子宮・卵巣ごと摘出する手術」の2つがあり、根治療法となるのは後者になります。

病巣のみを摘出する手術は、再発の危険性があります。病巣部分を切除しても、再び子宮内膜症を再発するおそれがあるので、根治治療とはなりません。しかし病巣部分を取り除くだけで子宮は温存できるため、今後妊娠を希望する女性にとっては適切な治療法になります。

一方で子宮と卵巣を摘出する手術の場合には、完治されることによって再発のリスクは無くなります。現状では、二度と子宮筋腫を再発させることはありませんので、子宮筋腫を再発させたくない人にとってはメリットの大きな治療法となります。ただし、子宮を摘出するため二度と妊娠することはできなくなってしまいます。治療後も妊娠を希望する場合には、この手術は適していないということになります。

このように、子宮内膜症の手術療法は「今後の妊娠の希望の有無」によって適切な手術方針が異なります。それぞれ一長一短ありますので、担当医に相談した上で自分に合った方法を選択する必要があります。

子宮手術の費用は?
子宮内膜症の手術費用は、手術の具体的な方法によって異なります。腹腔鏡手術の場合は20万円前後。開腹手術の場合は30万円前後の費用がかかります。なお、日帰りできるかどうかは手術の内容および術後の状態によって異なります。

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子宮内膜症は自然治癒する?

治療には、多少なり費用がかかります。そのため「自然治癒するのでは?」と考える場合、治療にかかる費用をもったいないと考えることもあるでしょう。しかし、子宮内膜症の自然治癒は期待しないほうが良いでしょう。

子宮内膜症は、生理周期によって症状を重くします。逆に閉経によって自然に快方に向かうこともあります。しかし閉経は50歳前後の話であるため、特に若い世代にとっては随分と先の話になってしまいます。自然治癒を期待するより、医療機関できちんと相談して適切な治療を受けたほうが無難だと言えます。

まとめ

子宮内膜症は、未だに未解明の部分も少なくありません。しかし、適切な治療法が開発されているため、我慢しなければならない病気というわけではありません。患者さんの希望次第で適切な治療法も異なりますので、まずは婦人科で検査を受けて、適切な治療法について相談してください。

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子宮内膜症の保険・医療費助成制度に関連する基本情報を掲載。病気の治療には、想像以上に出費、費用がかかってしまうもの。保険適応されるものや負担を軽減するための制度など詳しく解説しています。

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参考文献・サイト:
参考サイト1参考サイト2参考サイト3
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