
子宮内膜症の診断プロセスに関連する基本情報


自宅でできる子宮内膜症の診断テスト
まずは、子宮内膜症が疑われる症状について解説します。以下の項目で該当する物が多い場合、子宮内膜症であることが強く疑われます。できるだけ早めに婦人科を受診してください。
- 生理痛が重くなった
- 生理痛ではなく下腹部が痛む
- 経血量が増えた
- 不正出血
- 経血がレバー状の塊を生じる
- 排便痛
- 性交時に痛みがある
- 不妊
- 生理前後1週間ずつ程度の腹部の張り
もちろんこれらの症状は子宮内膜症に固有のものではありません。しかし、該当項目数が多い場合は子宮内膜症である可能性が高くなります。特に月経周期により症状が進むと重い症状になりやすいので、早めに検査を受けることをお勧めします。
子宮内膜症の検査
次に、子宮内膜症の検査方法について解説します。
問診
まずは「問診」です。問診では初経年齢や月経周期、結婚や出産の有無などについて確認します。正しく回答しないと検査結果にも支障が出ますので、質問内容には正確に答えてください。
内診
次に「内診」です。この検査では指を膣に挿入し、もう片方の手でおなかを押すことで子宮や卵巣の状態を確認します。得られる情報は後述の超音波検査等ではわからない、子宮やダグラス窩の固さといった情報です。
超音波検査
次は「超音波検査」です。これは超音波によって子宮や卵巣の状態を画像によって確認します。この検査は子宮内膜症の症状が進んでいる場合によく用いられ、特に「チョコレート嚢胞」が生じている場合にその大きさを確認できるというメリットがあります。
基本的に経膣検査によりますが、処女つまり性交経験がない女性の場合は痛いと感じる可能性があります。その場合、直腸で検査を行います。お腹から超音波検査を行うよりも、多くの情報量が得られる検査方法となります。
腹腔鏡検査
次は「腹腔鏡検査」です。この検査はお腹に小さな穴を開けて、そこに腹腔鏡を挿入して検査を行います。超音波検査と比較して「小さな病変でも確認できる」というメリットが有る検査方法です。
ただし、この検査は「検査のみ」のために用いられることは少ないです。多くの場合は他の検査の結果によって子宮内膜症の診断基準を満たしている場合に、検査後に治療を兼ねる方法として用いられます。
MRI検査
次は「MRI検査」です。これは磁力の力を利用して体内の撮影を行う検査方法です。超音波検査では子宮内膜症の病変部を正確に鑑別できない場合に用いられます。X線を用いる「CT検査」でも体の断層写真を撮影できます。
血液検査
次は「血液検査」です。血液検査では血液中の「CA125」という物質の量を検査します。子宮内膜症を患っているとこの物質の数値が上昇するのですが、患者さんの中にはこの数値があまり上昇しない場合もあります。そのため、他の検査の補助的な役割を担うことが多いです。

子宮内膜症の検査で気になること
最後に、子宮内膜症の検査で多くの女性が気になっていることについて解説します。
検査費用は?
保険適用される検査の場合、検査内容によって費用が異なります。一通り検査を受けた場合、保険適用でも1万円を超える検査費用がかかる場合があります。特にMRIやCT撮影を行う場合は費用が高くなる可能性があります。

検査を受ける時期はいつが良い?
子宮内膜症は、生殖年齢にあるつまり生理がある女性であればいつ発症してもおかしくはありません。20歳になったら、1年に1回は検査を受けて病気の有無を調べることをお勧めします。なぜなら子宮内膜症などの子宮関連の病気は自覚症状がないことも多く、別の目的で検査を受けた時に偶然発見される事が多いのです。
また、「生理痛が重くなった」など、自覚症状があれば早めに検査を受けておきましょう。仮に病気ではなかったとしても「病気かも?」と疑っていてはストレスで症状を悪化させてしまいます。そのため病気ではなかったとしても「病気ではない」と診断されるだけでも大きなメリットになります。
生理中でも検査を受けられる?
生理中でも検査自体は可能です。しかし「血液検査」については問題があります。生理中は血液のバランスが乱れてしまう可能性があり、正しい検査結果を出せない可能性があります。できれば、生理中を避けて婦人科を受診してください。とは言え、早めに検査を受けることは必要です。
まとめ
子宮内膜症の検査について理解を深められたのであれば幸いです。理解したことに対しては警戒心も薄まると思いますので、子宮内膜症であると疑う場合は早めに婦人科を受診してください。時には子宮内膜症以外の病気が見つかることもありますが、何にせよ早めに治療を始められることは大きなメリットになります。

子宮内膜症は、さまざまな症状を呈します。不妊の原因にもなるなど、決して油断できない病気です。どんな病気であれ、発症することでデメリット・リスクが生じるのであれば予防したいところです。そこで、子宮内膜症の予防方法について解説します。