肥満症に関する基本情報

「肥満症」という名称を耳にしたことはあるでしょうか。「肥満」と言えば「太っている」ということ、なのに病気に関係する「症」が付くのはどういうことなのか、気になるのではないでしょうか。今回は、そんな肥満症について解説したいと思います。
  1. 肥満症って何?
  2. 肥満症と合併症
  3. 肥満症の治療
  4. まとめ
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肥満症って何?

まずは、肥満症の基本的なことから解説します。

「肥満」と「肥満症」の違い
通常、「肥満」と表現する場合は、身長に対して体重が過度な状態の人のことを指します。これ自体、健康に対する良いイメージはありませんが、病気ではありません。BMIが高い状況は対処こそ必要になるケースが多いですが、治療対象とはなりません。

これに対して、「肥満症」と表現する場合は れっきとした治療対象となります。肥満症は、肥満を原因として健康を残っている、もしくは健康被害を受けると予想されるほど内臓脂肪が蓄積している状態を指します。

肥満症の診断基準
肥満症であると診断する基準は、「BMI」を使用します。BMIは、体重(kg)を身長(m)の2乗で割った数字です。例えば身長170cm、体重65kgの人の場合は、65÷2.89(1.7×1.7)≒22.5がBMIの数値となります。日本でのBMIの評価は18.5~25が普通体重となりますので、この条件の人なら体型を維持すれば肥満の心配はいりません。

しかし、BMIが25以上になると、肥満であると判断されます。さらに内臓脂肪の面積が100平方cm以上(腹部CTで検査)の場合であれば、「内臓脂肪型肥満」と診断されます。これにプラスして血圧や血糖値、血清脂質のうち2つ以上が危険値であれば、メタボリックシンドロームであると診断されます。BMIが35以上の場合は「高度肥満症」であると診断されます。

肥満症の原因は?
一般的な肥満体型と同様に、食べ過ぎや運動不足と言った生活習慣が続いていることが原因です。遺伝的な要因が関係することもありますが、多くの場合は摂取カロリーを十分に消費できていない生活態度が続くことで内臓脂肪が蓄積していることが原因となります。いわゆる「生活習慣病」の一種であると言えます。

肥満症と合併症

肥満そのものは、何らかの症状をもたらすことはありません。しかし、肥満症ともなると体調・健康に対して大きな悪影響を及ぼす可能性が高いです。「肥満症診療ガイドライン」によれば、肥満症は多くの合併症のリスクを持つとされています。主な合併症は以下のとおりです。

肥満症の合併症

  • 睡眠時無呼吸症候群
  • 動脈硬化
  • 脳梗塞
  • 心筋梗塞
  • 糖尿病およびその合併症(糖尿病性腎症、神経障害など)
  • 高血圧
  • 脂質異常症
  • 変形関節症
  • 高尿酸血症
  • 痛風
  • 脂肪肝
  • 肝硬変
  • 胆石症
  • 月経異常
  • 悪性腫瘍
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肥満症の治療

肥満症は、肥満状態の中でも治療を必要とする状態のことを言います。肥満症の患者さんに対して施される治療法は以下のとおりです。

食事療法および運動療法
肥満症の治療法の基本は「食事療法」および「運動療法」です。要するにダイエットに必要な食事制限と適度な運動の継続、ということになります。ただし、片方だけでは肥満症の改善効果を期待することは難しいのです。

よく「食べなければ痩せる」という間違った知識でダイエットを実践する人がいますが、これだけでは何の減量効果も期待できない可能性すらあります。医学的に説明すると、運動をせずに食事療法だけで肥満症を改善しようとすると、次第に体が「少ないエネルギーで体を動かす」ということに慣れてしまい、これを「適応」と言います。食事は体重だけでなく、体をつくる基礎的な部分にも深く関わりますので、食事療法だけでは健康を損なう可能性が高いのです。

薬物療法
日本ではあまり馴染みがないのですが、肥満症の治療のために治療薬を使用することがあります。ただし、「痩せる薬」というものはありません。あくまでもその目的は補助的なものに抑えられています。

また、肥満症の合併症を治療するために薬物療法が選択されることがあります。例えば「高血圧」や「糖尿病」の治療として薬物療法が選択されることが多いです。こうした疾患を放置することは肥満症どころか命に関わることもありますので、肥満症の食事療法および運動療法に並行して合併症の治療を行います。

医師の指示に反するダイエット法を実践しない
肥満症の治療で注意しなければならないことは「医師の指示に従う」ということです。肥満症の治療とは簡単に言えばダイエットです。そして、現代では数多くのダイエット法が考案され、その方法がネットなどで公開されています。中には、難易度が低いものや魅力を感じるダイエット法などもありますが、こうした方法に飛びついてはいけません。

肥満症の治療においては、担当医は患者さんの体の状況を見て、それに適した食事療法や運動療法を指示します。これに反するようなダイエット法では患者さんの肥満体型を改善するどころか、健康を損なう可能性もあります。肥満症の治療はあくまでも「病気の治療」であるということを忘れてはいけません。

まとめ

食生活の欧米化やストレスの溜まりやすい現代社会では、多くの人が肥満に悩まされる可能性があります。その中でも肥満症と呼ばれるほど健康に悪影響を及ぼす可能性が高い人は、早めに治療を開始しなければなりません。

肥満症と呼ばれるほどになると、もはや一般的なダイエット法は逆に危険であると言えます。健康を損なうこと無く肥満症を改善するためには、医師の指示に従い、甘い誘惑に打ち勝ち、健康を勝ち取るという強い意志を持たなければならないのです。

肥満症のセルフチェックに関する詳しい解説はこちら

肥満という言葉を耳にして、あなたはどんなイメージを抱くでしょうか?
今回は肥満が原因となる疾患『肥満症』の危険度をセルフチェックする方法と一般的な肥満との違いについて解説していきます。

肥満症の危険度をセルフチェック!一般的な肥満との違いは?

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  • 肥満症

    肥満者の中で歩くのが速いと自認している人には代謝性疾患が少ない

     肥満者において、主観的歩行速度が代謝性疾患のリスクと関連のあることを示唆するデータが報告された。同志社大学大学院スポーツ健康科学研究科の山本結子氏、石井好二郎氏らが行った横断的解析の結果であり、詳細は「Scientific Reports」に11月15日掲載された。

     歩行速度は、体温、脈拍、呼吸、血圧、酸素飽和度に続く“第6のバイタルサイン”と呼ばれ、死亡リスクと関連のあることが知られている。しかし、歩行速度を客観的に把握するにはスペースと時間が必要とされる。よって健診などでは、「あなたの歩く速度は同世代の同性と比べて速い方ですか?」という質問の答えを主観的歩行速度として評価することが多い。この主観的歩行速度も代謝性疾患リスクと関連のあることが報告されているが、疾患ハイリスク集団である肥満者での知見は限られている。これらを背景として山本氏らは健診受診者データを用いて、肥満者の主観的歩行速度が代謝性疾患の罹患状況と関連しているかを検討した。

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     解析対象は2011~2022年の武田病院健診センターにおける人間ドック受診者のうち、肥満または腹部肥満に該当し、データ欠落がない人。関連性を評価した代謝性疾患は、高血圧、糖尿病、脂質異常症の三つで、いずれも健診時データが診断基準を満たす場合、または治療薬が処方されている場合に「疾患あり」と判定した。解析に際しては、年齢、性別、喫煙・飲酒・運動習慣の影響を統計学的に調整した。

     まず、肥満(BMI25以上)については、該当者が8,578人(平均年齢53.7±8.6歳、男性63.0%)であり、45.3%が「歩行速度が速い」と回答していた。主観的歩行速度が速い群では、糖尿病が有意に少なかった(リスク比〔RR〕0.71〔95%信頼区間0.64~0.79〕)。高血圧と脂質異常症に関しては、リスク比が1未満だったが信頼区間が1をまたいでいた。なお、年齢と性別のみを調整因子とするモデルでの解析では、脂質異常症もRR0.97(同0.94~1.00)と有意に少なかった。ただし高血圧に関しては、このモデルでも非有意だった。

     次に、腹部肥満(ウエスト周囲長が男性85cm以上、女性90cm以上)の該当者は9,626人(54.8±8.9歳、男性79.8%)であり、47.9%が「歩行速度が速い」と回答していた。主観的歩行速度が速い群では、高血圧(RR0.94〔0.90~0.97〕)、糖尿病(RR0.72〔0.65~0.79〕)、脂質異常症(RR0.97〔0.94~0.99〕)と、評価した全ての代謝性疾患が少なかった。

     続いて、肥満および腹部肥満の定義を満たす6,742人(54.0±8.6歳、男性74.0%)で検討。この集団における主観的歩行速度が速い群(45.1%)も、腹部肥満者での解析結果と同様に、高血圧(RR0.95〔0.92~0.99〕)、糖尿病(RR0.71〔0.64~0.79〕)、脂質異常症(RR0.97〔0.94~1.00〕)という3疾患全てが少なかった。

     著者らは、解析対象が人間ドック受診者であり健康リテラシーが高いと考えられ、かつ単一施設のデータであること、および横断的解析であることなどを解釈上の留意点として挙げた上で、「肥満者においても主観的な歩行速度が速い場合に、代謝性疾患のリスクが低い可能性が示された」と結論付けている。なお、BMI25以上のみの群では主観的歩行速度と高血圧リスクとの関連が非有意であったことの理由について、「血圧管理には歩行速度だけでなく、毎日の歩数が重要なことを示唆する報告がある」との考察が付け加えられている。

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    HealthDay News 2025年1月6日
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  • 肥満症

    肥満は服薬遵守と独立した負の関連因子――国内CVD患者対象研究

     心血管疾患(CVD)患者を対象に、服薬遵守状況(アドヒアランス)を主観的指標と客観的指標で評価した研究結果が報告された。客観的指標に基づきアドヒアランス良好/不良に分けた2群間で主観的指標には有意差がないこと、および、肥満がアドヒアランス不良に独立した関連のあることなどが明らかにされている。福岡大学筑紫病院薬剤部の宮﨑元康氏らの研究によるもので、詳細が「Pharmacy」に10月6日掲載された。

     慢性疾患では服薬アドヒアランスが低下しやすく、そのことが予後不良リスクを高めると考えられる。しかし服薬アドヒアランスを評価する標準的な手法は確立されておらず、主観的な手法と客観的な手法がそれぞれ複数提案されている。例えば主観的評価法の一つとして国内では、12項目の質問から成るスケールが提案されている。ただし、そのスケールでの評価結果と、残薬数から客観的に評価した結果との関連性は十分検討されておらず、今回の宮﨑氏らの研究は、この点の検証、およびCVD患者の服薬アドヒアランス低下に関連のある因子を明らかにするために実施された。

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     研究の対象は2022年6~12月に同院循環器科外来へ2回以上受診していて、残薬数に基づき客観的にアドヒアランスの評価が可能な患者のうち、研究参加協力を得られた94人。医師-患者関係の違いによる影響を除外するため、1人の医師の患者のみに限定した。

     前述のように主観的な評価には12項目のスケールを採用。これは60点満点でスコアが高いほどアドヒアランスが良好と判断する。一方、客観的な評価に用いた残薬カウント法は、評価期間中の2回目の受診時の残薬数を前回の処方薬数から減算した値が、処方薬数に占める割合を算出して評価するもので、残薬がゼロであれば遵守率100%となる。本研究では100%をアドヒアランス良好、100%未満を不良と定義した。

     解析対象者の主な特徴は、年齢中央値74歳(四分位範囲67~81)、男性55.3%、肥満(BMI25以上)36.2%であり、処方薬数は中央値4(同2~7)で、降圧薬(84.0%)、脂質低下薬(59.6%)、抗血栓薬(38.3%)、血糖降下薬(29.8%)などが多く処方されていた。また17.0%の患者への処方は、1包化(1回に服用する薬剤を1袋にすること)されていた。

     94人のうち49人が、客観的手法である残薬カウント法により、アドヒアランス良好と判定された。アドヒアランス良好群の主観的評価スコアは中央値51点(四分位範囲44~56)であり、対してアドヒアランス不良群の主観的評価スコアは同50点(45~54)で、有意差が見られなかった(P=0.426)。

     次に、残薬カウント法に基づくアドヒアランス良好群と不良群の背景因子を比較すると、単変量解析では肥満(P=0.014)と喫煙歴(P=0.043)に有意差が認められ、いずれもアドヒアランス不良群にそれらの該当者が多かった。この2項目のほかに、非有意ながら大きな群間差(P<0.1)が認められた因子(日常生活動作〔ADL〕、独居、狭心症治療薬の処方)、およびアドヒアランスの主観的評価スコアを独立変数とし、残薬カウント法によるアドヒアランス不良を従属変数として、ロジスティック回帰分析を施行。その結果、肥満のみが有意な関連因子として抽出された(オッズ比3.527〔95%信頼区間1.387~9.423〕)。喫煙歴(P=0.054)と狭心症治療薬の処方(P=0.052)の関連はわずかに有意水準未満であり、主観的評価スコアは関連が認められなかった(P=0.597)。

     以上の総括として著者らは、「主観的な手法と客観的な手法による服薬アドヒアランスの評価が矛盾する結果となった。よって臨床においては双方の指標を使用したモニタリングが必要と考えられる。また、肥満は残薬カウント法で判定したアドヒアランス不良に独立した関連のある因子であり、肥満を有するCVD患者には特に入念なモニタリングが求められる」と述べている。

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    HealthDay News 2024年12月23日
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  • 肥満症

    ダイナペニック肥満は心血管疾患のリスク因子――久山町24年間の縦断解析

     肥満でありながら筋力が低下した状態を指す「ダイナペニック肥満」が、心血管疾患(CVD)発症の独立したリスク因子であることが、久山町研究から明らかになった。九州大学大学院医学研究院衛生・公衆衛生学分野の瀬戸山優氏、本田貴紀氏、二宮利治氏らの研究によるもので、「Journal of Cachexia, Sarcopenia and Muscle」に論文が10月8日掲載された。

     筋肉量の多寡にかかわらず筋力が低下した状態を「ダイナペニア」といい、筋肉量と筋力がともに低下した状態である「サルコペニア」と並び、死亡リスク上昇を含む予後不良のハイリスク状態とされている。さらに、その状態に肥満が加わったサルコペニア肥満やダイナペニック肥満では、CVDのリスクも高まる可能性が示されている。しかしダイナペニック肥満に関してはCVDとの関連の知見がまだ少なく、海外からの報告がわずかにあるのみであり、かつ結果に一貫性がない。これを背景として本研究グループは、1961年に国内疫学研究の嚆矢として福岡県糟屋郡久山町でスタートし、現在も住民の約7割が参加している「久山町研究」のデータを用いた検討を行った。

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     解析対象は、1988~2012年に毎年健康診断を受けていて、ベースライン時にCVD既往のなかった40~79歳の日本人2,490人(平均年齢57.7±10.6歳、男性42.5%)。握力が年齢・性別の第1三分位群(握力が弱い方から3分の1)に該当し、かつ肥満(BMI25以上)に該当する場合を「ダイナペニック肥満」と定義すると、全体の5.4%がこれに該当した。

     中央値24年(四分位範囲15~24)の追跡で482人にCVDイベント(脳卒中324件、冠動脈性心疾患〔CHD〕209件)が発生した。交絡因子(年齢、性別、喫煙・飲酒・運動習慣、高血圧、糖尿病、脂質異常症、心電図異常など)を調整後に、握力の最高三分位群かつ普通体重(BMI18.5~24.9)の群(全体の23.9%)を基準として、ほかの群のCVDリスクを比較した。

     その結果、ダイナペニック肥満群でのみ、CVD(ハザード比〔HR〕1.49〔95%信頼区間1.03~2.17〕)および脳卒中(HR1.65〔同1.06~2.57〕)の有意なリスク上昇が認められた。肥満でも握力低下のない群(第2~3三分位群)のCVDリスクは基準群と有意差がなく、また、やせ(BMI18.5未満)や普通体重の場合は握力にかかわらずCVDリスクに有意差がなかった。なお、CHDについてはダイナペニック肥満群のリスクも、基準群と有意差がなかった(HR1.19〔0.65~2.20〕)。

     65歳未満/以上で層別化した解析では、65歳未満でダイナペニック肥満によるCVDリスクがより高いことが示された(HR1.66〔1.04~2.65〕)。一方、65歳以上では有意な関連を認めなかった(HR1.18〔0.61~2.27〕)。

     続いて行った媒介分析からは、ダイナペニック肥満とCVDリスク上昇との関連の14.6%を炎症(高感度C反応性蛋白〔hs-CRP〕)、9.7%をインスリン抵抗性(HOMA-IR)で説明可能であり、特に65歳未満ではhs-CRPが13.8%、HOMA-IRが12.2%を説明していて、インスリン抵抗性の関与が強いことが示唆された。

     著者らは、「握力とBMIで定義したダイナペニック肥満は、日本の地域住民におけるCVD発症のリスク因子であることが明らかになった。この関連性は、65歳未満でより顕著であり、炎症とインスリン抵抗性の上昇がこの関連性を部分的に媒介している」と総括。また、「われわれの研究結果は、CVD予防における中年期の筋力の低下抑止と、適切な体重管理の重要性を示唆するものと言える」と付け加えている。

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    HealthDay News 2024年12月2日
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