疫学データ・統計で知る全身性エリテマトーデス(SLE)の基本情報
この記事では、発症しやすい年齢や男女比・患者数など疫学データや統計を参考にして、全身性エリテマトーデス(SLE)の基本情報をまとめてみました。
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疫学データから知る全身性エリテマトーデス(SLE)について
全身性エリテマトーデスはウイルスから体を守るために重要な役割を果たしている「免疫」が、何らかの原因によって自身の体を攻撃することで発症する病気です。
では全身性エリテマトーデス(SLE)はどんな人が発症しやすいのでしょうか?
疫学データ・統計を参考に解説していきましょう。
全身性エリテマトーデス(SLE)の患者数
平成24年度の医療受給者保有数から、全身性エリテマトーデス(SLE)の患者数を推測してみると、日本では6万人以上の全身性エリテマトーデス患者さんがいることがわかります。
もちろん、医療受給保有に該当していない患者さんもいるので、軽症患者さんを含めると総患者数は10万人にのぼるのでは?と考えられているようです。
また、平成22年度で特定疾患に登録された患者数は約5万6千人とのことなので、患者数は増加傾向にあると推測できます。
全身性エリテマトーデス(SLE)患者の男女比率・年齢は?
全身性エリテマトーデス(SLE)患者の男女比率は、男性1:女性9となり、圧倒的に女性が多くなっています。
患者さんの年齢層は幅広く、子供から高齢者まですべての年齢が発症すると考えられているものの、20~40代の若い女性がとくに発症しやすいようです。
全身性エリテマトーデスを発症する原因については、未解明な部分が多いものの、その原因のひとつに、ホルモンバランスが考えられています。
20~40代の女性は妊娠や出産によってホルモンバランスが大きく変化しやすいので、男性より女性が発症しやすい理由にホルモンバランスが関係しているのではないか?と研究されているのです。
病気を発症する原因や症状・発症しやすい遺伝子はあるの?
次に全身性エリテマトーデスを発症する原因や、その症状。また、遺伝子との関係性を見ていきましょう。
全身性エリテマトーデスを発症する原因やその症状
残念ながら、全身性エリテマトーデスを発症する原因は、ハッキリとわかっておらず、自己免疫が起因となるとされています。
ただし、考えられる原因、起因となる要素としては
- 妊娠、出産
- 紫外線
- 特定の薬
- ウイルスによる感染
- 手術経験
などが上げられます。
ウイルスに感染しやすくなる原因としては、ストレスや疲れも考えられるため、疲れを溜めてしまうことで全身性エリテマトーデスを誘発する可能性も否定はできません。
また、全身性エリテマトーデスの患者さんに多く見られるのが日光過敏症。
海水浴やスキーなど、長時間紫外線を浴びると全身性エリテマトーデスを誘発しやすいと考えられています。
そんな全身性エリテマトーデスの症状はさまざまですが、
- 皮膚異常(蝶の形に似た発疹、日光過敏症など)
- 関節症状(手の腫れや関節炎、痛みなど)
- 全身の倦怠感、発熱
上記の症状は多くの患者さんに見られています。
そのほかにも口内炎や脱毛。
臓器障害や消化器病変、血液異常といった、健康を脅かす症状が見られる患者さんも少なくはありません。
臓器や血管の障害は、初期症状に気が付きにくく、生命の危険があるため、全身性エリテマトーデスの合併症としてもっとも危惧されています。
SLEは遺伝するの?
では、血縁者に全身性エリテマトーデス(SLE)を発症した人がいる場合、病気を発症しやすくなるのでしょうか?
現段階では、遺伝性を証明する統計がないものの、一卵性双生児であれば25~60%程度と言われています。
また、両親や祖父母といった親族に、膠原病や自己免疫疾患が多くみられている家系も珍しくはありません。
ただし全身性エリテマトーデスは、複数の遺伝子が関係しているため、全身性エリテマトーデスを患う血縁者をもつ人が、全身性エリテマトーデスを発症しやすいとは言い切れないという考え方もあるようです。
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まとめ
まだまだ解明されている部分が少ない全身性エリテマトーデスですが、日本だけでなく世界各国で研究や薬の開発が進められています。
また、副腎皮質ステロイドを用いた治療により、今までは「5年以上の生存率は50%ほど」と言われていたものの、今では95%以上と飛躍的に進歩を遂げているのです。
全身性エリテマトーデスについて正しい知識と情報をもち、適切な治療を行えるように心がけてみましょう。
未解明な部分が多く、難病指定にもなっている膠原病、全身性エリテマトーデスの治療に役立つ関連情報をまとめてみました。全身性エリテマトーデスの患者気や治療に役立つ関連サイトをご紹介しますので、患者さん本人。または患者さんを支えるご家族の方の参考になれば幸いです。