治療法

全身性エリテマトーデス(SLE)の治療方法|治療の基本はステロイドってホント?

20~40代の若い女性が発症し、国の難病にも指定されている慢性・炎症性の自己免疫疾患、全身性エリテマトーデス(SLE)には、どんな治療方法があるのでしょうか?人それぞれ、さまざまな症状が見られる全身性エリテマトーデスの治療は、患者さん一人ひとりに合った治療を行わなければなりません。※この記事では、全身性エリテマトーデス(SLE)の基本的な治療方法について紹介します。
  1. 全身性エリテマトーデス(SLE)の基本的な治療方法とは?
  2. まとめ

全身性エリテマトーデス(SLE)の基本的な治療方法とは?

全身性エリテマトーデス(SLE)は、症状がよくなったり、悪くなったりを繰り返しやすいため、患者さんの経過を観察しつつ、その時々に適した治療を行います。

全身性エリテマトーデス(SLE)の治療法はステロイドが基本となる?
全身性エリテマトーデス、リウマチといった膠原病の治療薬といって、まず思い浮かぶのが、ステロイドだと思います。
一口に全身性エリテマトーデス(SLE)といっても、多様な症状があるため、全身性エリテマトーデスと診断されたら必ずステロイドを服薬しなければならないというわけではありません。
また、全身性エリテマトーデスは内臓や臓器の合併症が見られるケースもあるので、患者さん本人の状態や体質と、ステロイドによる効果と副作用を照らし合わせながら検討するようです。

全身性エリテマトーデス(SLE)はどんな薬で治療を行うの?
では、全身性エリテマトーデスでは、どんな薬を使って治療を行っていくのでしょうか?
全身性エリテマトーデスの治療でよく使用されている治療薬をそれぞれ解説していきます。

  • 副腎皮質ステロイド
  • ステロイドパルス療法
  • 免疫抑制薬
  • 免疫調整薬

※今回は上記4つの薬による治療法を紹介しますが、治療方法は患者さんの症状や体質によって異なってきます。

副腎皮質ステロイド(経口ステロイド)
抗炎症薬である副腎皮質ステロイドは、副腎皮質という部分から分泌されているホルモンを人の手で作りだしたもの。

免疫やアレルギー・炎症を抑える作用をもつ、副腎皮質ステロイドは全身性エリテマトーデスを含む膠原病だけでなく、腎臓病やアレルギー疾患などにも用いられている治療薬です。

副作用の不安もあるとは思いますが、病気の程度や体質を考慮しながら、医師と相談しつつ適切な投薬量を決めていきます。

ステロイドパルス療法
即効性が高い治療法で、全身性エリテマトーデスの症状が重症と判断された患者さんに行われる治療法です。

前述で紹介した、経口ステロイド(副腎皮質ステロイド)と同じ薬を点滴で大量に注入していきます。

投与が終わったあとは、経口ステロイドでの治療が導入されるケースが多いものの、ステロイドパルス療法を行う際は、3日ほど点滴を続け医師の管理も必要となるので、入院して治療を行います。

免疫抑制薬
ステロイドの副作用が大きく出てしまったり、経口ステロイド、ステロイドパルス療法で効果が見られない場合は免疫抑制薬での治療が検討されます。

~主な免疫抑制薬~

  • アザチオプリン(アザニンR)
  • タクロリムス(プログラフR)
  • シクロスポリンA(ネオーラルR)
  • ハイドロキシクロロキン(プラケニルR)

免疫調整薬
マラリアの治療薬として使用されていた、免疫・炎症調整薬「ヒドロキシクロロキン」が日本でも膠原病の治療薬として使用されはじめました。

このヒドロキシクロロキンは副作用が少なく、全身の倦怠感、皮膚異常だけでなく、臓器障害などにも効果的といわれており、注目を集めています。

その他の治療について
ステロイドや免疫抑制薬による治療が一般的だとされている全身性エリテマトーデスですが、全身性エリテマトーデスの症状によって、

  • 腎症状
  • 循環器症状
  • 神経症状
  • 血液症状

などが、重症化している場合、全身性エリテマトーデスの治療だけでなく合併症の治療を行っていく必要があります。

全身性エリテマトーデスの合併症の中で、とくに危惧されている『ループス腎炎』です。

ループス腎炎は腎臓の機能が悪くなり、老廃物が排出できなくなる病気で、人工透析療法の導入が必要となるケースも珍しくはありません。

まとめ

全身性エリテマトーデスの基本的な治療としては、ステロイド治療ですが、全身性エリテマトーデスはさまざまな病状が見られるため、一概にも治療法を言い切れない部分があります。

たとえば、腎炎の症状が出ている場合は膠原病内科による治療だけでなく、腎臓の知識がある医者の診察が必要となる場合もあるのです。

治療が長期化しやすく、慢性的に改善・悪化を繰り返すと言われている全身性エリテマトーデスだからこそ、時々の経過に適した治療が必要。

関節炎や皮膚症状であれば、薬で痛みや症状を緩和したり、コントロールしたりすることで、病気を発症する前と同じような生活が送れると言われています。

しかし、腎臓や血管などの症状は重篤化しやすく、長期的な治療が必要となります。
腎臓や血管の症状は初期症状に気が付きにくいので、全身性エリテマトーデスの症状が軽度である段階から、定期的な受診を心がけましょう。

全身性エリテマトーデス(SLE)の医療費助成制度に関する詳しい解説はこちら

自己免疫反応によって発症する膠原病であり、国の難病指定でもある全身性エリテマトーデス(SLE)は、治療にどれくらいの費用がかかるのでしょうか?
また、改善や悪化を繰り返し、慢性化するといわれている全身性エリテマトーデス(SLE)の治療は患者さん本人。そして支える家族の負担も大きくなってしまいがちですが、その負担を少しでも減らそうと『医療助成制度』が設置されています。
この記事では、全身性エリテマトーデスの治療費や医療費助成制度についてまとめてみました。

全身性エリテマトーデス(SLE)の治療費・医療費助成制度について

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