低ナトリウム血症、腎機能が高くても低くてもリスク上昇

 低ナトリウム血症は日常診療でよく遭遇する電解質異常だが、腎機能との関連は十分に明らかになっていなかった。今回、日本の外来患者13万人超を対象とした解析で、腎機能と低ナトリウム血症リスクにはU字型の関連が認められ、腎機能が高い場合と低い場合の双方でリスクが上昇することが報告された。研究は聖路加国際病院腎臓内科の長浜正彦氏らによるもので、詳細は6月25日付の「Clinical and Experimental Nephrology」に掲載された。

 低ナトリウム血症は、血液中のナトリウム濃度が低下した状態で、体内の水分バランスを調節する仕組みの異常などによって生じる。腎機能が低下すると余分な水を排泄する能力が低下するため、低ナトリウム血症のリスクが高まると考えられている。一方、腎機能と低ナトリウム血症との関連については、これまで主に慢性腎臓病患者や入院患者を対象に検討されており、腎機能が保たれた外来患者を含めた大規模な検討は十分に行われていなかった。こうした背景から、著者らは成人外来患者を対象に、腎機能と低ナトリウム血症との関連を検討した。

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 著者らは、聖路加国際病院(東京)において、2010年4月~2020年3月に外来を受診した成人患者を対象とする後ろ向き横断研究を実施した。血清ナトリウム値、血清クレアチニン値、尿検査のデータが同一受診日にそろっている患者を抽出し、透析患者などを除外した13万194人を解析対象とした。血清ナトリウム値135mEq/L以下を低ナトリウム血症と定義し、推算糸球体濾過量(eGFR)と低ナトリウム血症との関連を、多変量ロジスティック回帰分析を用いて評価した。解析では、年齢や性別に加え、併存疾患や薬剤使用、各種臨床因子の影響を調整した。また、低ナトリウム血症患者では、尿浸透圧/血漿浸透圧比を指標として、eGFRと尿濃縮能との関連も検討した。

 低ナトリウム血症の有病率は4.3%だった。低ナトリウム血症患者は、低ナトリウム血症のない患者と比べて高齢で、併存疾患が多かった。

 低ナトリウム血症の有病率は、eGFRが70~80mL/min/1.73m²の群で最も低く、それよりeGFRが低い場合と高い場合のいずれでも増加し、腎機能と低ナトリウム血症リスクにはU字型の関連が認められた。特に、高eGFR群では有病率の上昇が顕著だった。

 多変量解析では、併存疾患や薬剤使用を調整後もこの関連は維持された。さらに、炎症やバソプレシンによる水分調節に関連する臨床・検査因子を調整すると、eGFRが低い群で認められたリスク上昇は大きく減弱した一方、高eGFR群ではリスク上昇が持続した。完全調整モデルでは、eGFR 150mL/min/1.73m²以上の群のオッズ比は4.63(95%信頼区間 3.73~5.75)、eGFR 10mL/min/1.73m²未満の群では1.56(95%信頼区間 1.02~2.39)だった。

 また、低ナトリウム血症患者では、高eGFR群ほど尿浸透圧/血漿浸透圧比が高く、尿濃縮能が保たれていた。

 著者らは、「低ナトリウム血症は腎機能低下例だけでなく、腎機能が比較的保たれた患者でもその可能性を考慮すべきである」としている。また、高eGFR群と低eGFR群では低ナトリウム血症の発症機序が異なる可能性があると考察しており、高eGFR群では保たれた尿濃縮能とバソプレシンの作用が、低eGFR群では腎機能低下そのものやネフロン機能の低下など複数の要因が発症に関与している可能性があるとしている。

 なお、本研究は横断研究のため因果関係は不明であり、尿濃縮能やバソプレシンを直接評価していない点などが限界として挙げられた。

 本研究は、外来患者13万人超を対象に、腎機能が保たれた患者も含めて低ナトリウム血症との関連を検討した大規模解析であり、腎機能の高低で背景機序が異なる可能性を示した点が注目される。

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参考情報:リンク先
HealthDay News 2026年7月27日
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