潰瘍性大腸炎について

国の指定難病の1つとして登録されている潰瘍性大腸炎。潰瘍性大腸炎とはどのような病気なのでしょうか。潰瘍性大腸炎について知りたい方のために、潰瘍性大腸炎の基本情報である症状、治療法などについて詳しくご紹介します。
  1. 潰瘍性大腸炎とはどのような病気?
  2. 潰瘍性大腸炎とクローン病の違い
  3. 潰瘍性大腸炎の原因
  4. 潰瘍性大腸炎の症状とは
  5. 潰瘍性大腸炎を診断するための検査
  6. 潰瘍性大腸炎の治療方法
  7. まとめ

潰瘍性大腸炎とはどのような病気?

潰瘍性大腸炎とは大腸の粘膜にびらんや潰瘍ができ、さまざまな症状が出る慢性の病気です。びらんとは、粘膜が荒れてただれている状態のことをいいます。

現在の医学では主な原因がはっきりわかっておらず、完全に治すのが難しいとされています。そのため、潰瘍性大腸炎では主に薬を使った内科的治療を行ないながら、「寛解」という病気がおさまっている状態を目指していきます。

よくある病気ではありませんが、潰瘍性大腸炎は若い人が発症しやすい傾向があり、近年徐々に患者数が増えています。

厚生労働省の発表によると、2014年に潰瘍性大腸炎と診断された人は約17万人となっています。

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潰瘍性大腸炎とクローン病の違い

潰瘍性大腸炎とよく似た病気にクローン病があります。潰瘍性大腸炎は大腸のみに症状が出るのに対し、クローン病は大腸以外の消化管粘膜にも症状が出ます。

潰瘍性大腸炎の原因

潰瘍性大腸炎の原因は、自己免疫反応に異常が生じて発症する説、腸内細菌が関わっているという説、ほかには遺伝性や食生活の欧米化が関係しているなど、さまざまな説があります。まだはっきりとした原因は解明されていません。

潰瘍性大腸炎の症状とは

下痢や粘血便・血便
潰瘍性大腸炎の症状として、下痢や粘血便(粘液の混じった血便)・血便が多くみられます。

腹痛
じわじわと長時間痛んだり、急に強い痛みが生じたりします。

体重減少
大腸の粘膜が荒れて正常にはたらかない状態にあるため、次第に体重が減ってきます。

貧血
食欲が低下し栄養状態も悪くなるため貧血になりやすい傾向があります。

発熱
潰瘍性大腸炎は炎症性の病気であるため、発熱することもあります。

このように、潰瘍性大腸炎の症状はお腹から全身の症状までさまざまなものがあります。

また、潰瘍性大腸炎は合併症を起こすこともあります。合併症の例としては、関節炎や脊椎炎、皮膚では結節性紅斑や壊疽性膿皮症がみられます。潰瘍性大腸炎にかかってから長く経つと、大腸がんのリスクが高くなるともいわれています。

潰瘍性大腸炎を診断するための検査

潰瘍性大腸炎を診断するための方法として以下のものがあります。

症状
いつからどのような症状があるのか、身近な人の既往歴なども確認します。

注腸X線検査(行われないこともある)
大腸に造影剤を注入し、X線(レントゲン)撮影をして大腸の状態を確認します。

肛門鏡検査
肛門鏡という器具を使って、肛門周囲の状態を観察します。

内視鏡検査
内視鏡カメラを使って、肛門から大腸のはじまりまで、粘膜の状態を観察します。

細菌検査
細菌感染による腸炎など、潰瘍性大腸炎と似た病気もあるため、便や血液を使って細菌の有無を確認します。

組織検査
粘膜組織をわずかに取って、顕微鏡で組織の状態を観察します。

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潰瘍性大腸炎の治療方法

潰瘍性大腸炎の治療方法は、薬を使って症状を抑えていく内科的治療がメインとなります。完治は難しく、症状は落ち着いたりひどくなったりする状態を繰り返します。そこで、潰瘍性大腸炎では寛解といって病気の状態が落ち着いている状態ができるだけ維持できるようにしていくのが目標となります。

寛解状態にあるときは食事の制約がなく、学業・仕事についても負担が大きくない程度であれば可能です。

潰瘍性大腸炎は、医療機関で難病指定医のもと潰瘍性大腸炎の診断を受け、保健所で手続きすると患者登録されます。潰瘍性大腸炎の患者として認定されると国から医療費の助成を受けることができます。

内科的治療(薬による治療)
治療では、内服や点滴で炎症を抑える薬を使用します。特にステロイド薬は炎症を抑えることに効果があります。ほかに使われる5-アミノサリチル製剤では炎症を抑えるほか、再燃(落ち着いていた病状が、再び悪化すること)の予防にも効果があるといわれています。

ステロイド薬を減らすと症状が悪化するケースやステロイドで効果が見られない場合には免疫調整薬や免疫抑制薬を使用することもあります。また、炎症を引き起こすTNF-αという物質のはたらきを抑えるために抗TNF-α製剤も使われます。

白血球除去療法
白血球除去療法は炎症を長引かせている原因となる異常な白血球を取り除く治療です。この治療によって炎症が抑えられ、症状の改善が期待できます。

外科的治療
重症化してしまった潰瘍性大腸炎や薬による副作用で治療の継続が難しい場合、また大腸に穴が空いてしまったときや大量出血などの合併症がみられたときには、手術による治療が選択されます。

近年、医学の進歩により潰瘍性大腸炎の治療法は増えてきています。日本は世界の中でも、潰瘍性大腸炎の治療法が多い国の1つとなっています。

まとめ

潰瘍性大腸炎とは、下痢や血便から全身に症状が出る病気です。完治できる治療法は確立されていませんので、病状が寛解し、それを維持できるような治療を行なっていきます。
寛解状態のときには、注意点はあるものの日常生活を送るうえで大きな制限はありません。

潰瘍性大腸炎は専門機関での診断と保健所での手続きによって医療費の助成が受けられる病気です。気になる症状がある場合には、医療機関に早めに相談しましょう。

潰瘍性大腸炎のセルフチェックに関する詳しい解説はこちら

潰瘍性大腸炎は主にお腹の症状が中心となる炎症性の病気です。潰瘍性大腸炎の症状に焦点を当てながら潰瘍性大腸炎のセルフチェックに役立つ情報をご紹介していきます。

もしかしたら?症状からみる潰瘍性大腸炎のセルフチェック方法

参考文献・サイト:
医学書院 内科臨床誌medeicina 2015.9月号(Vol.52 No.10) p.1714~1716
治療と診断社 消化器研修ノート p.375~380
参考サイト1、参考サイト2、参考サイト3、参考サイト4、参考サイト5
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  • 糖尿病

    デジタルピアサポートアプリ介入が歩数目標達成率と歩数に与える影響──前糖尿病・早期2型糖尿病での非ランダム化比較試験

     前糖尿病や早期2型糖尿病では、血糖コントロールのために運動習慣を身につけることが重要とされている。しかし現実には、運動を「始める」よりも「続ける」ことのほうが難しい。こうした課題に対し、オンライン上で仲間とつながり、互いに励ましあいながら目標行動の維持を支えるデジタルピアサポートに注目した研究が行われた。前糖尿病および早期2型糖尿病を対象とした本研究では、アプリを用いた介入によって、日々の歩数目標の達成率および平均歩数が高まることが示された。研究は、北里大学大学院医療研究科の吉原翔太氏らによるもので、詳細は12月15日付で「JMIR Formative Research」に掲載された。

     2型糖尿病は世界的な公衆衛生課題であり、運動不足などの生活習慣が発症に関与している。運動療法の中でも歩行は、日常生活に取り入れやすく、運動に伴うリスクが小さいとされ、前糖尿病や2型糖尿病において血糖改善と関連することが報告されている。一方で、前糖尿病や2型糖尿病患者の運動習慣を支援する対面型ピアサポートは、人的・時間的資源を要するため、広く継続的に提供することが難しい。そこで本研究は、前糖尿病および早期2型糖尿病を有する者を対象に、オンライン上で仲間とつながりながら相互に支援し合うデジタルピアサポートアプリが、歩数目標達成率および平均歩数に与える影響を検証した。

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     本研究は、「神奈川ME-BYOリビングラボ」プログラムの一環として、2019年10~12月に実施された前向きの非ランダム化比較試験である。参加者は、神奈川県在住または県内企業に勤務する40~79歳の成人38人で、HbA1c値が5.6~7.0%の前糖尿病または早期2型糖尿病に該当する者とした。参加者は、デジタルピアサポートアプリ(「みんチャレ」、A10Lab Inc.)群と対照群に分けられた。デジタルピアサポートアプリ群では、日々の歩数をアプリで記録し、その進捗を少人数(最大5人)のピアグループ内で共有するとともに、リアルタイムのフィードバックや支援を受けた。対照群では、万歩計を用いて各自が個別に歩数を記録した。主要評価項目は、3ヵ月間における1日平均歩数目標の達成率とした。副次評価項目として、期間中の1日平均歩数、BMI、HbA1c、血圧、および自己申告による生活習慣を評価した。

     本研究を完遂した参加者は計32人であり、内訳はデジタルピアサポートアプリ群18人、対照群14人であった。参加者のベースライン特性は2群間で有意な差は認められなかった。

     デジタルピアサポートアプリ群では、対照群と比較して、1日歩数目標の達成率の中央値が有意に高く(57.2%〔四分位範囲:32.2~90%〕 vs 26.7%〔10~64.4%〕、P=0.04)、1日歩数の中央値も有意に多かった(6854歩〔4846~10,388歩〕 vs 3946歩〔3176~6832歩〕、P=0.03)。線形混合効果モデルによる解析では、歩数の経時的変化は群間で異なり、デジタルピアサポートアプリ群では時間経過に伴う有意な低下は認められなかった一方、対照群では時間とともに有意に減少した(P<0.001)。

     一方、HbA1c値、血圧、生活習慣行動の変化については、両群間で有意差は認められなかったが、BMIの介入前後の変化については、デジタルピアサポートアプリ群のみで改善傾向がみられた(P=0.07)。

     著者らは、「前糖尿病および早期2型糖尿病を対象に、デジタルピアサポートアプリは歩数目標達成率と平均歩数を維持し、歩数の低下抑制に寄与した可能性がある。リアルタイムのフィードバックや仲間からの承認が動機づけに関与した可能性があり血糖改善は短期間では限定的だったが、行動変容を促す有効な手段と示唆された」と述べている。

     なお今後の研究課題として、デジタルピアサポートが行動変容の「きっかけ」として機能するのか、あるいは継続利用によって運動習慣そのものを支える仕組みとなるのかについて、さらなる検証が必要とされている。

    糖尿病のセルフチェックに関する詳しい解説はこちら

    糖尿病でいちばん恐ろしいのが、全身に現れる様々な合併症。深刻化を食い止め、合併症を発症しないためには、早期発見・早期治療がカギとなります。今回は糖尿病が疑われる症状から、その危険性を簡単にセルフチェックする方法をご紹介します。
    糖尿病のセルフチェックに関連する基本情報

    参考情報:リンク先
    HealthDay News 2026年1月26日
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  • てんかん

    「えぴろぼ」との会話解析でわかった、相談内容による気持ちの変化

     人工知能(AI)搭載チャットボットは、患者教育やメンタルヘルス支援での活用が広がっている。今回、てんかん患者や家族を支援する目的で開発されたAIチャットボット「えぴろぼ」との会話を解析した結果、相談内容によって利用者の気持ちの動きが異なることが分かった。医療相談ではポジティブな感情の強度が高まる傾向が示された一方、内省的な会話ではポジティブな感情の変化が小さい傾向がみられたという。研究は、埼玉大学大学院理工学研究科/先端産業国際ラボラトリーの綿貫啓一氏、国立精神・神経医療研究センターの倉持泉氏によるもので、詳細は12月11日付で「Epilepsia Open」に掲載された。

     てんかん患者は、発作だけでなく、誤解や偏見に伴う心理社会的な困難にも直面している。こうした背景から、正確な医療情報と心理的支援を、気兼ねなく受けられる新たな支援手段が求められている。近年、AIチャットボットは匿名性や常時利用可能といった特長から、患者教育やメンタルヘルス支援への活用が進んでいる。てんかん向けに開発されたAIチャットボット「えぴろぼ」は、こうしたニーズに応えるツールであり、会話には医学的質問から感情を伴う内容まで多様な要素が含まれる。本研究では、高度な自然言語処理技術を用いて、AIチャットボット「えぴろぼ」の利用パターンを識別することと、会話を通じて利用者の気持ちがどのように変化するかを明らかにすることを目的とした。

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     チャットボットのプレテスト段階におけるテキスト上のやり取りを分析対象とした。参加者は埼玉医科大学総合医療センターからリクルートされた計23名で、内訳はてんかん患者10名、介護者10名、医療従事者3名であった。会話内容の分類には、日本語の医療文献で事前学習された自然言語処理モデルであるJMedRoBERTaを用い、ユーザーのメッセージを内容クラスターに分類した。感情の変化の解析にはDeBERTaを用いた。感情分析は、「えぴろぼ」とのやり取りが80回以上あったてんかん患者5名を対象とした。内容分析ではUMAP(Uniform Manifold Approximation and Projection)およびk-means法クラスタリングを用い、客観的な医療相談と主観的で緊急性の低い相談を区別した。さらに、感情分析により、チャットボットとの会話が感情的関与に与える影響を検討した。

     解析には、「えぴろぼ」利用者23名によるメッセージのうち、意味のある600件のメッセージを用いた。さらにメッセージの長さによる影響を避けるため、50文字以下の492件を最終的な解析対象とした。

     会話内容の解析から、解析内容となったメッセージは主に2つの内容クラスターに分類された。JMedRoBERTaで抽出した特徴量をUMAPとk-means法で解析した結果、てんかん治療薬の調整や管理方法など、客観的な医療情報を求める質問が中心の「医療相談クラスター」と、意味の解釈や気持ちの整理など、主観的・内省的な問いが多い「探索的利用クラスター」が同定された。医療相談クラスターは332件、探索的利用クラスターは160件と、医療相談に関するやり取りが多くを占めていた。

     さらに、DeBERTaを用いた感情分析では、メッセージごとにポジティブ・中立・ネガティブの3つの感情強度が算出された。その結果、前向きな学習や気分の安定を目的としたやり取りでは、ポジティブな感情の強度が高まる傾向が確認された。一方で、他者からの見え方や自己評価に関する内省的な問いでは、ポジティブな感情の変化は小さい傾向がみられた。

     著者らは、「本解析よりAIチャットボットが単なる情報提供にとどまらず、利用者の感情面においても一定の利益をもたらす可能性が示唆された。一方で、今後はより共感的なAI応答や、利用者の状況に応じた個別化支援の強化が課題になるだろう」と述べている。

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  • 緑内障

    緑内障点眼薬の治療継続率、製品間で大きな差──日本の大規模レセプト解析

     自覚症状に乏しく進行が緩やかな緑内障では、点眼治療を長期にわたって継続することが困難であることが大きな課題とされてきた。今回、日本の大規模医療保険レセプトデータを用いた解析により、同じ薬剤クラスであっても、緑内障点眼薬の治療継続率は製品によって大きく異なることが示された。研究は東京大学大学院薬学系研究科育薬学教室の壁矢健司氏、佐藤宏樹氏らによるもので、詳細は11月28日付で「BMC Ophthalmology」に掲載された。

     緑内障は日本における不可逆的な失明の主因であり、QOL低下など医療費に反映されない社会的負担も大きい。治療の基本は点眼薬による眼圧下降で、作用機序の異なる多様な薬剤が用いられている。一方、緑内障は自覚症状に乏しく進行が緩徐なため、点眼治療の継続率は低い。近年、製剤や容器の改良などにより、治療継続性は同一薬剤クラス内でも製品によって異なる可能性が示唆されてきた。しかし、個々の製品レベルで継続率を体系的に評価した研究はなく、臨床での製品選択を支える情報は乏しい。このような背景を踏まえ、本研究は、日本の医療保険レセプトデータを用い、緑内障点眼薬の実臨床における治療継続性を製品別・製剤特性別・患者背景別に明らかにすることを目的とした。

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     本研究では、株式会社JMDCが提供する、日本の0~74歳を対象とした医療保険レセプトデータ(2005年1月~2024年6月)を後ろ向きに解析した。外来で緑内障点眼薬を処方された患者のうち、原則として単一製品を継続使用した症例を抽出した。直前の処方の推定されるカバー終了日から観察終了日までに90日以上空いた場合を治療中断と定義し、最長5年間の年次治療継続率を算出した。継続率は製品、薬剤クラス、投与回数、年齢、性別ごとに評価し、多変量ロジスティック回帰分析で関連因子を検討した。感度分析や薬剤変更・併用を含む追加解析も行った。

     データ精査後、7万3,027人の調剤記録が抽出され、解析に用いられた。対象患者の大半は男性で、年齢層では50代が最も多かった。全患者における治療継続率は、1年時点で57.5%(2万6,170/4万5,544人)で、その後徐々に低下し、5年時点では23.8%(2,060/8,667人)となっていた。

     年齢、性別、薬剤クラス、1日の点眼回数を説明変数とした多変量ロジスティック回帰分析では、女性(回帰係数〔B〕=0.210)、60代(B=0.247)、および点眼回数が少ないこと(点眼回数が1回増えるごとにB=−0.660)が、いずれも治療継続率の高さと有意に関連していた(すべてP<0.001)。

     最も多く処方された薬剤クラスはプロスタノイド受容体作動薬で、次いでβ遮断薬であり、両クラスで全処方の約80%を占めていた。薬剤クラス別の解析では、プロスタノイド受容体作動薬およびβ遮断薬との配合剤において、他の薬剤クラスと比べて相対的に高い治療継続率が示された。さらに、同一の薬剤クラス内であっても、製品ごとに1年および5年時点の継続率には大きなばらつきが認められた。

     一方、薬剤変更や複数点眼を許容したサブ解析では、全体的な継続率が主要解析よりも14~19%ポイント高かった。炭酸脱水酵素阻害薬を含む治療や、1日2~3回投与の治療レジメンにおいて、単剤・固定条件下の解析と比べて継続率が特に高かった。

     著者らは、「今回、国内の緑内障点眼薬の製品別治療継続率を初めて網羅的に解析した。解析の結果、製品ごとの継続率は同じ薬剤クラスでも40%ポイント以上の差があることがわかった。これは点眼容器や製剤の違いが使いやすさに影響し、治療を続けるかどうかの決定に関与していることを示唆している。これらの知見は、臨床現場で製品を選択する際に、使いやすさを慎重に考慮することの重要性を強調するものである」と述べている。

     本研究の限界として、解析対象には緑内障患者の多くを占める75歳以上の高齢者は含まれていない為、結果の一般化には注意が必要である点や、本研究における治療継続率はレセプト上の処方継続を指標としたものであり、実際の点眼実施状況(服薬コンプライアンス)を直接評価したものではない点などを挙げている

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    HealthDay News 2026年1月19日
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  • パーキンソン病

    パーキンソン病で「痩せる理由」、体重減少の背景にあるエネルギー代謝の変化

     パーキンソン病(PD)は、手足の震えや動作の遅れなどの運動症状で知られる神経変性疾患だが、体重減少も重要な非運動症状の一つとされている。今回、PD患者では糖を使うエネルギー代謝が低下し、脂質やアミノ酸を利用する代謝へとシフトしている可能性が示され、体重減少が疾患特異的な代謝変化と関係していることが明らかになった。研究は、藤田医科大学医学部脳神経内科学教室の東篤宏氏、水谷泰彰氏らによるもので、詳細は11月30日付で「Journal of Neurology, Neurosurgery and Psychiatry(JNNP)」に掲載された。

     PDにおける体重減少は、疾患進行や予後と関連する重要な非運動症状であり、体脂肪量の低下が主であることは知られていた。しかし、その背景でエネルギー代謝がどのように変化しているのか、糖・脂質・アミノ酸の利用経路がどう再編されているのかは明らかでなかった。本研究では、PD患者の体組成と血漿中のエネルギー代謝に関連する物質を包括的に解析し、体重減少が単なる栄養不足ではなく、エネルギー利用のシフトを伴う代謝異常と関連する可能性を検討した。

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     本研究では、藤田医科大学病院脳神経内科においてPDと診断された91名の患者と、対照として年齢・性別をマッチさせた健常人47名が登録された。体組成は生体電気インピーダンス法を用いて評価した。血漿代謝物は、質量分析法により、解糖系およびクエン酸回路に関連する代謝物、脂質やアミノ酸代謝に由来する代謝物など、計17種類の代謝物を測定した。これらのデータを用いて、PDにおける体組成の変化と血漿代謝物との関連を解析した。PD患者と健常対照の体重、BMI、体脂肪量、血漿代謝物濃度などの比較には、Wilcoxon順位和検定を使用した。体組成成分と血漿代謝物濃度との関連については、Spearmanの順位相関係数により相関解析を行った。多重検定の影響を考慮し、血漿代謝物解析では偽発見率(FDR)補正も併用して統計学的有意性を評価した。

     PD患者では、健常対照と比べて体重(P=0.003)、BMI(P=0.001)、体脂肪量(P

  • 歯の健康

    1歳6ヵ月時点の母乳育児がむし歯発症と関連、口腔衛生指導の重要性を示す縦断研究

     乳幼児のう蝕(むし歯)は生活習慣や食事習慣など複数の要因が絡み、授乳との関係はこれまで議論が続いてきた。今回、日本の子ども約6,700人を1歳6ヵ月~3歳6ヵ月まで追跡した縦断研究で、1歳6ヵ月時点で母乳育児を続けていた子どもで、その後のむし歯発症との関連が示された。一方で、母乳育児を継続していても多くの子どもはむし歯を経験しておらず、母乳育児そのものではなく、食事習慣や口腔衛生習慣などのケアが重要である可能性が示唆された。研究は大阪大学大学院歯学研究科小児歯科学講座の三笠祐介氏、大継將寿氏、仲野和彦氏、同大学口腔生理学講座の加藤隆史氏らによるもので、11月27日付で「Scientific Reports」に掲載された。

     乳歯のむし歯は世界で5億人以上の子どもに影響する公衆衛生上の重要な健康課題であり、日本では全体として減少傾向にあるものの、依然として高リスク層への偏在がみられる。むし歯の原因は多因子的だが、母乳栄養とむし歯の関係については研究間で一致した結論が得られていない。1歳以降の授乳をむし歯リスクとする報告がある一方で、1歳6ヵ月までの授乳はむし歯リスクの低下と関連するとの報告や、砂糖摂取こそが主要因であるとする研究もあり、見解は分かれている。また、早期に歯が萌える(はえる)こともむし歯リスクに関与するとされるが、縦断的な検討は限られている。そこで本研究では、日本の中核都市の子どもを対象に、1歳6ヵ月〜3歳6ヵ月のむし歯発症と、1歳6ヵ月時点の授乳状況および萌えている歯の数との関連を縦断的に検討した。

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     本研究では、大阪府豊中市、豊中市歯科医師会と連携のもと、市の乳幼児健康診査の受診者を対象に調査を行った。2018年4月から2020年3月までの間に、豊中市の3つの保健センターで歯科健診を受けた3歳6ヵ月の子どもを対象とした。1歳6ヵ月時および3歳6ヵ月時に身体計測と歯科健診を行い、萌えている歯の本数やむし歯の有無(dmft指数)を評価した。1歳6ヵ月時には、口腔内細菌の状態を評価するむし歯リスク検査と、授乳状況や食事習慣、就寝時刻などに関する保護者向けアンケートを実施し、3歳6ヵ月時点でのむし歯発症との関連をロジスティック回帰分析で検討した。

     5,161名の子どものうち、3歳6ヵ月時点でむし歯を経験していた子どもは738人(14.3%)であった。内訳は、1歳6ヵ月時点ですでにむし歯を有していた子どもが50人(1.0%)、1歳6ヵ月~3歳6ヵ月の間に新たにむし歯を発症した子どもが688人(13.3%)であった。1歳6ヵ月時点ですでにむし歯を有していた50人を除外し、5,111人を対象として、1歳6ヵ月~3歳6ヵ月におけるむし歯発症に関する追加のリスク解析を行った。

     出生順位、歯の本数、むし歯リスクの検査結果、食事習慣、授乳・哺乳状況などの潜在的な交絡因子を調整した多変量解析の結果、3歳6ヵ月時点でのむし歯発症は、1歳6ヵ月時に萌えている歯が12本以下であること(オッズ比〔OR〕0.78、95%信頼区間〔CI〕0.63~0.97、P<0.05)と負の関連を示した。一方、17本以上であること(OR 2.06、95%CI 1.12~3.79、P<0.05)、母乳のみで授乳していたこと(OR 2.03、95%CI 1.68~2.46、P<0.001)、および母乳と哺乳瓶の併用(OR 2.45、95%CI 1.36~4.44、P<0.01)は、むし歯発症と有意な正の関連を示した。

     著者らは、「本研究は、1歳6ヵ月時点の歯の萌え方や授乳状況が、その後のむし歯発症と関連することを示した。得られた知見から、乳歯が萌え始める早期の段階から歯科受診や適切な口腔ケア、食事習慣に関する指導を行うことで、母乳育児の利点を活かしつつ、将来的なむし歯リスクを低減できる可能性が示唆される」と述べている。

     なお、本研究では、歯の本数のみを評価し歯種や萌える順番を評価していない点や、保護者向けアンケートにて夜間授乳や授乳頻度について評価していない点を限界として挙げている。

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    HealthDay News 2026年1月13日
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  • 肝がん

    肝腫瘍の「深さ」が手術成績を左右する?ロボット手術が有利となる2.5cmの境界線

     肝臓の腫瘍手術では、腫瘍の大きさや位置が成績を左右することが知られている。なかでも「どれだけ深い場所にあるか」は、手術の難易度に直結する重要な要素だ。今回の研究では、肝腫瘍までの深さに着目し腹腔鏡手術とロボット手術を比較した結果、深さ2.5cmを超える肝部分切除ではロボット手術が有利となる可能性が示された。研究は岡山大学大学院医歯薬学総合研究科消化器外科学の藤智和氏、高木弘誠氏、藤原俊義氏らによるもので、詳細は11月27日付で「Langenbeck’s Archives of Surgery」に掲載された。

     ロボット支援下肝切除術(RLR)は普及が進んでいるが、高額なコストや限られた手術枠での運用のために、従来から行われてきた腹腔鏡下肝切除術(LLR)との使い分けの議論が続いている。肝部分切除は比較的難易度が低いとされているが、切除する腫瘍の深さによって手術難度が異なることを経験する。そこで著者らは、肝部分切除において腫瘍の深さが手術難度に関与すると仮定し、肝切離深度(LTD)に着目して、肝部分切除におけるRLRとLLRの手術成績を比較検討した。

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     本研究は、岡山大学における低侵襲手術トレーニングプログラム(TAKUMI-5)の一環として実施された。解析対象には、2018年1月~2024年12月までに岡山大学病院肝胆膵外科でRLRまたはLLRを受けた患者249名を含めた。LTDが手術成績に及ぼす影響を評価するため、組み入れ基準は単発病変に対する肝部分切除として、RLRまたはLLRを施行した患者とした。前向きに収集したデータベースを用い、患者背景、腫瘍因子、手術因子、術後転帰を解析した。LTDは画像解析ソフトで肝切離面シミュレーションを行い、肝表面から離断最深部までの深さとして計測した。まずRLRとLLRの成績を比較し、次いでLTDと手術時間などの周術期指標との関連を検討した。さらに多変量解析により手術困難の規定因子を同定し、LTDのカットオフ値別に両術式の成績を比較した。

     本研究ではRLR 56名、LLR 49名が解析対象となった。RLR群では、手術時間が有意に短く(139分 vs 195分、P<0.001)、出血量も少なく(0mL vs 50mL、P=0.002)、開腹移行率も低い(0% vs 8.2%、P=0.03)など、手術成績が良好であった。術後転帰は両群間に有意差は認められなかった。

     RLR群とLLR群でLTDの中央値に差は認められなかった(RLR 2.6cm、LLR 2.6cm、P=0.77)。LTDは両術式において手術時間と有意に相関しており(RLR:R²=0.07、P=0.042;LLR:R²=0.08、P=0.046)、切離深度が深いほど手術時間が延長する傾向が示された。

     次に手術困難(手術時間中央値170分を超える)に関連する予測因子を検討した。多変量解析の結果、LTD(オッズ比〔OR〕 2.0/1cm、P=0.004)およびLLR(OR 6.9、P<0.001)が、手術時間の延長と独立して関連する有意な因子として同定された。

     また、LTDを用いたROC解析により、手術時間延長を予測するカットオフ値は2.5cmと算出された(AUC=0.63)。LTDが2.5cm以下の症例ではRLRはLLRに比べて手術時間が短い(137分 vs 176分、P=0.02)以外の差は認めなかったが、2.5cmを超える症例では、RLRはLLRに比べて手術時間の短縮がより顕著で(145分 vs 231分、P<0.001)、出血量も少なく(0mL vs 100mL、P=0.006)、術後の成績を総合的に評価する指標であるtextbook outcome達成率も高かった(77% vs 42%、P=0.01)。

     著者らは、「本研究は、肝腫瘍の深さ(肝切離深度)という指標を用いて、肝部分切除における術式選択の目安を示した。とくに深さ2.5cmを超える症例では、ロボット手術が手術時間や出血量、術後成績において優れており、患者さんにとって有益となる可能性が示された。術前画像に基づく合理的な術式選択につながる知見といえる」と述べている。

     なお、本研究の限界として、症例数が限られていることや単一施設での後ろ向き研究であること、長期転帰を評価していないことなどを挙げている。

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  • 糖尿病性腎症

    “血小板の大きさ”が知らせる腎臓の危険信号、糖尿病患者の追跡調査で判明

     病院で行う通常の血液検査では、白血球数や赤血球数、血小板数などとともに「平均血小板容積(MPV)」という指標も測定されることが多い。今回、日本の2型糖尿病患者を対象とした追跡研究で、このMPVが腎機能悪化のリスク把握に役立つ可能性が示された。MPVが高い人ほど腎臓の状態が悪化しやすい傾向が確認されたもので、身近な指標から早期のリスク評価につながる可能性が注目される。研究は、福島県立医科大学腎臓高血圧内科の渡辺秀平氏、田中健一氏、風間順一郎氏らによるもので、詳細は11月27日付で「Journal of Diabetes Investigation」に掲載された。

     糖尿病は世界的に多くみられる疾患で、糖尿病性腎症をはじめとする合併症により予後が悪化する。2023年には、新規慢性透析導入患者の38.3%が糖尿病性腎症によるもので、糖尿病患者の腎機能悪化が透析につながる深刻な問題であることが示された。MPVは血小板の大きさを示す指標で、心血管疾患や糖尿病性微小血管合併症との関連が報告されているが、腎機能悪化との関係は十分に検討されていない。こうした背景を踏まえ、本研究では、福島コホート研究のデータを用い、MPVと腎イベント(腎機能低下や透析導入)の関連を後ろ向きに解析し、リスク予測への活用可能性を評価した。

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     本研究では、福島県立医科大学病院で実施された福島コホート研究より、2012年6月~2014年7月に登録された2型糖尿病患者1,076人を対象とした。患者はベースライン時のMPV値に基づき、Q1~Q4の四分位群に分類した。主要評価項目は腎イベントとし、推定糸球体濾過量(eGFR)がベースラインから50%以上低下するか、腎代替療法が必要となる末期腎不全への進行と定義した。副次評価項目は新規心血管イベントの発症とした。

     連続変数の群間比較にはKruskal–Wallis検定を、割合の差はカイ二乗検定で評価した。MPV四分位ごとのイベント無再発生存率はKaplan–Meier法とlog-rank検定で比較した。MPVと腎イベントまたは心血管イベントとの関連は、潜在的交絡因子を調整したCox比例ハザード回帰モデルを用いて検討した。

     コホートの平均年齢は66.0歳で男性は56.7%含まれた。中央値5.3年の追跡期間中、参加者1,076人のうち97人が腎イベントを発症した。Kaplan–Meier曲線では、MPVの四分位群間で無イベント生存率に有意な差が認められた(P=0.018)。

     腎イベントの発生率は四分位群間でQ2が最も低かったため、Q2群を基準群とした。Q2群を基準とした場合、Q4群の参加者は単変量Coxモデルで有意に腎イベントリスクが高く、年齢・性別、既往歴、検査値、降圧薬使用などの交絡因子を調整した多変量解析でも有意性は維持された(調整HR 2.05、95%CI 1.13~3.72)。また、MPVを連続変数として解析すると、1 fL増加ごとに腎イベントリスクは32%上昇した(95%CI 1.04~1.68)。

     心血管イベントは追跡期間中に124人で発症した。腎イベントと同様、心血管イベントの発生率もQ2群で最も低かった。Q2群を基準とした多変量解析では、MPVの上昇が心血管イベントリスクの上昇と有意に関連していた(調整HR 1.66、95%CI 1.01~2.72)。MPVが1 fL増加するごとに心血管イベントリスクは27%上昇した(95%CI 1.04~1.55)。

     著者らは、「日本人の2型糖尿病患者において、MPVの上昇は腎イベントおよび心血管イベントの両方と独立して関連していた。MPVは、このリスクの高い集団における腎疾患進行を予測するための、簡便で有用なバイオマーカーとして役立つ可能性がある」と述べている。

     なお、MPVと腎イベント発症リスクについて「J字型」の相関が示されたことについては、低MPVが造血能低下や骨髄機能障害を示している可能性を指摘し、「MPVが高い場合と低い場合では、それぞれ異なるメカニズムを介して腎疾患の進行に寄与する可能性があるのでは」と述べている。

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    糖尿病の3大合併症として知られる、『糖尿病性腎症』。この病気は現在、透析治療を受けている患者さんの原因疾患・第一位でもあり、治療せずに悪化すると腎不全などのリスクも。この記事では糖尿病性腎病を早期発見・早期治療するための手段として、簡易的なセルフチェックや体の症状について紹介していきます。
    糖尿病性腎症リスクを体の症状からセルフチェック!

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  • 歯の健康

    歯の本数と死因別死亡の関連を検証、入れ歯使用でリスクが減弱か——4.4万人の7年追跡研究

     高齢者で歯を失うことは死亡リスクの上昇と関連することが知られてきたが、入れ歯やブリッジなどの補綴物がその影響をどこまで緩和するのかは明確ではなかった。今回、国内4.4万人を7年間追跡した研究で、残存歯が少ないほど複数の死因で死亡率が高まり、補綴物の使用でそのリスクが弱まる可能性が示された。研究は、東北大学大学院歯学研究科地域共生社会歯学講座国際歯科保健学分野のFaiz Abdurrahman氏、草間太郎氏、竹内研時氏らによるもので、詳細は11月19日付で「Scientific Reports」に掲載された。

     う蝕(虫歯)や歯周病は世界で最も一般的な疾患の一つで、進行すると不可逆的な歯の喪失を招く。高齢期の歯の喪失は慢性疾患や死亡リスクの上昇と関連し、咀嚼低下による栄養障害、慢性炎症、フレイルの進行など複数の経路が指摘されている。しかし、こうしたリスクが死因ごとにどのように表れるか、また入れ歯やブリッジといった補綴物の使用がそれらをどの程度緩和しうるかは十分に明らかになっていない。本研究は、日本の地域在住高齢者を対象とする大規模コホートデータを用い、残存歯数と補綴物の使用状況が、多様な死因別死亡とどのように関連するかを、追跡データを基に検証した。

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     本研究では、日本老年学的評価研究(JAGES)の7年間の追跡調査データを解析した。アウトカムは全死亡率と死因別死亡率とし、がん、心血管、呼吸器などICD-10コードに基づく広い死因を対象とした。説明変数は、2010年JAGESベースライン質問票で収集した残存歯数と補綴物の使用有無から分類した。死亡リスクは、性別、年齢、所得、教育、併存疾患、生活習慣などを調整したCox回帰により、ハザード比〔HR〕および95%信頼区間〔CI〕を推定した。

     解析には4万3,774人の参加者が含まれた(平均年齢73.7歳、女性53.2%)。中央値2,485日の追跡期間中に5,707人(13.0%)の死亡が確認された。全死亡率は1,000人年あたり20.7人だった。

     残存歯が0~9本または10~19本の参加者は、20本以上の参加者に比べて全死因および死因別の死亡率が高かった。とくに、これらの群のうち補綴物を使用していない参加者では、補綴を使用している参加者よりも全死因死亡率が高かった。死因別では、消化器疾患と精神・行動障害を除き、補綴のない0~9本の群で最も高い死亡率を示した。

     次に残存歯数と補綴物の使用有無を組み合わせた変数を説明変数としたCox回帰分析を行ったところ、補綴物を使用していない残存歯0~9本(HR 1.42、95%CI 1.30~1.56)および10~19本(HR 1.23、95%CI 1.10~1.37)の参加者は、20本以上の参加者よりも全死因死亡リスクが高かった。死因別では、補綴物を使用していない残存歯0~9本の参加者は、20本以上の参加者と比べて、がん(HR 1.31)、心血管疾患(HR 1.35)、呼吸器疾患(HR 1.72)、および外因死(HR 1.91)の死亡リスクが高かった(P<0.05)。同様に、補綴物を使用していない10~19本の参加者も、20本以上に比べて、がん(HR 1.19)および呼吸器疾患(HR 1.47)による死亡リスクが高かった(P<0.05)。

     残存歯数ごとの層別化によるサブグループ解析では、残存歯が少ない群(とくに0~9本)で、補綴物を使用している参加者は使用していない参加者よりも、複数の死因でHRが1未満となり、死亡リスクが低くなる傾向がみられた。ただし、これらの差はいずれも統計学的に有意ではなかった。

     著者らは、「歯の喪失は複数の特定死因による死亡リスクの上昇と関連していたが、歯科補綴物の使用によってそのリスクは軽減される可能性がある。生涯にわたる歯の喪失を抑え、補綴治療への公平なアクセスを確保することが、高齢化社会における健康アウトカムの改善に寄与すると考えられる」と述べている。

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  • 高血圧

    降圧治療後の血圧管理に地域差、医療専門職の偏在が背景か

     高血圧は脳心血管疾患の最大のリスク因子であり、治療によりそのリスクを低減できる。しかし、今回、全国の健診データを解析した結果、高血圧の降圧治療を受けた患者でも血圧管理の達成割合には都道府県間で地域差があることが分かった。その背景には、医師や薬剤師といった医療専門職の地域偏在が影響している可能性が示唆されたという。研究は東北医科薬科大学医学部衛生学・公衆衛生学教室の岩部悠太郎氏、佐藤倫広氏、目時弘仁氏らによるもので、詳細は11月18日付で「Hypertension Research」に掲載された。

     日本国内の高血圧人口は、潜在患者を含め約4300万人と推定される。降圧治療で血圧管理は可能だが、依然として目標値に達していない患者が多い。この治療ギャップは医師が目標超過でも治療を強化しない「臨床イナーシャ(clinical inertia)」が一因とされる。治療開始前の血圧や地域ごとの医療資源の偏在も血圧の管理達成割合に影響する可能性がある。「高血圧管理・治療ガイドライン2025」では全年齢で推奨する降圧目標を130/80mmHg未満としており、実態把握の重要性が高まっている。しかしながら、降圧治療後の血圧管理に地域差がどれほどあるのか、また医療資源との関連は十分に調べられていなかった。そこで本研究では、全国健康保険協会(協会けんぽ)の健診データを用い、治療前後の血圧変化と地域差を詳細に検討した。

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     本研究では、協会けんぽデータベースを用い、2015年4月1日~2023年3月31日までに収集された健診データを用いた。対象は、継続的な健康診断に基づき降圧治療を開始した40~74歳までの131万8,437人とした。治療後の血圧管理達成割合(収縮期/拡張期血圧が130/80mmHg未満と定義)については、都道府県ごとの差を評価した。さらに、都道府県単位の生態学的分析により、調整後の血圧管理達成率と脳血管疾患の死亡率、そして医師偏在指標(人口10万人あたりの医師数)を含む6つの医療資源指標との関連を検討した。

     治療開始前の患者の平均年齢は55.2歳で、71.1%が男性だった。血圧管理の達成率は全国平均でわずか26.7%にとどまった。この達成率は都道府県間で最大10.2%の差があった。患者の性別、年齢、BMI、健康診断の検査値、高血圧治療ガイドライン2019改訂前後、治療前健診時収縮期血圧値などで調整したが、依然として最大7.4%の血圧管理達成割合の地域差が認められた。

     次に、患者特性で調整した都道府県ごとの血圧管理達成割合を指標として、生態学的分析を行った。その結果、男女ともに血圧管理達成割合が高い都道府県ほど、年齢調整後の脳血管死亡率が低い傾向にあった。血圧管理達成割合が1%増加するごとに、年齢調整死亡率は男女ともに人口10万人当たり3.5人減少することが示唆された。

     さらに、医療資源との関連を重回帰分析で検討した。説明変数には、医師偏在指標、外来での24時間自由行動下血圧測定の算定回数、1日平均外来患者数、各都道府県の保険料率、特定健診受診率、病院病床数などを用いた。その結果、血圧管理達成割合と有意に関連していたのは医師偏在指標のみだった(P=0.0015)。医師偏在指標を病院薬剤師偏在指標に置き換えても、同様の結果が得られた(P=0.0023)。

     著者らは、「本研究で観察された血圧管理の地域差は、医師や病院薬剤師などの医療従事者の地域偏在と関連する可能性が示された。高血圧を専門とする医師による管理が目標達成に結び付くことが報告されている一方で、診療の大半を担う一般医のもとでいかに血圧コントロールを改善できるかが重要である」と述べている。

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  • 心筋症

    拡張型心筋症患者に対する早期心リハの有用性、傾向スコアマッチングを用いた全国規模解析

     拡張型心筋症(dilated cardiomyopathy:DCM)は、心臓の筋肉が弱まり、心臓が拡張して十分に血液を送り出せなくなる病気で、心不全の主要な原因の一つとされる。このDCM患者に対し、入院早期から心臓リハビリテーション(心リハ)を開始すると、90日死亡率が有意に低下することが、日本の全国入院データベースを用いた研究で明らかになった。解析では、早期に心リハを始めた患者群では早期から心リハを受けなかった群と比べて90日以内の死亡リスクが低く、退院時の日常生活動作(ADL)もやや高値であったという。研究は大阪大学/奈良県立医科大学の安福祐一氏らによるもので、詳細は10月24日付で「Scientific Reports」に掲載された。

     DCMは、心筋の収縮低下と左室拡張を特徴とし、一部の患者は慢性心不全や急性増悪を繰り返す進行性心筋疾患である。心リハは、機能回復や再入院予防を目的として行われる運動療法や生活指導などを含んだ包括的な治療プログラムであり、急性心不全患者への早期導入も行われている。しかし、DCM患者に対する早期心リハの有効性を検証した報告は限られており、十分なエビデンスは得られていない。本研究では、日本の全国入院データベースを用い、症候性心不全を呈するDCM患者における早期心リハ開始と90日以内の死亡率との関連について検討した。

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     本研究では、2010年7月1日から2020年3月31日までのDPCデータベースから、DCMおよび心不全(NYHA心機能分類Ⅱ~Ⅳ度)と診断された患者を解析対象とした。患者は入院後3日以内に心リハを開始したかどうかに基づき、早期心リハ群と遅延または非心リハ群に分類した。主要評価項目は入院後90日以内の死亡率とし、副次評価項目は退院時のADLスコアと在院日数とした。欠測値は多重代入法を用いて統計的に補完し、患者背景や2015年度病床機能報告から取得した入院施設の医療機能の違い等を調整するため1対1の傾向スコアマッチングを行った。

     本研究では、早期心リハ群3,130名および遅延または非心リハ群2万7,166名の計3万296名を適格患者と判定した。遅延または非心リハ群のうち7,340名(27%)が入院後3日目以降に心リハを受けていた。1対1の傾向スコアマッチングを行った結果、最終的に各群3,129名(計6,258名)が解析対象となった。

     多重代入および傾向スコアマッチングの結果、入院後90日以内の死亡率は遅延または非心リハ群に比べて早期心リハ群で有意に低かった(オッズ比:0.70、95%信頼区間〔CI〕:0.53~0.93、P値=0.01)。また、早期心リハ群では退院時ADLスコアも若干高かった(平均差〔Average Treatment Effect on the Treated;ATT〕:0.43、95%CI:0.08~0.78、P値=0.02)が、在院日数には有意な差は認められなかった(ATT:−2.1日、95%CI:−4.7~0.5日、P値=0.11)。

     著者らは、「今回の研究の意義は、これまで世界的にもエビデンスが乏しかったDCM患者に対する早期心リハの短期予後(90日以内の死亡率)に対する効果を明らかにした点にある。今後は、本研究で得られた結果の背景にある生理学的メカニズムや、特に有効であった心リハの具体的なプログラム、個々の患者属性の違いにより生じる心リハの効果の異質性等を解明し、より個別化された効果的な心リハプログラムを開発する必要がある」と述べた。

     なお本研究の限界点として、DPCデータベースに含まれる指標の制約により、心エコーや生理学的検査等の交絡因子の調整が制限されたこと、心リハの具体的なプログラムの差異による影響の違いについて検討していないこと、詳細な身体・精神機能や入院中の有害事象に対する早期心リハの影響について検討していないこと等が挙げられる。

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    心不全のセルフチェックに関連する基本情報。最善は医師による診断・診察を受けることが何より大切ですが、不整脈、狭心症、初期症状の簡単なチェックリスト・シートによる方法を解説しています。
    心不全のセルフチェックに関連する基本情報

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    HealthDay News 2025年12月22日
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  • 糖尿病

    新しい糖尿病治療薬、高コストも合併症リスクは従来薬と変わらず

     2型糖尿病の治療では、血糖コントロールと合併症予防のために経口薬が用いられる。比較的新しく登場したSGLT2阻害薬は近年広く使われるようになったが、最新の日本の大規模データを用いた研究で、初期治療においてSGLT2阻害薬は従来のビグアナイド系薬剤(メトホルミン塩酸塩やブホルミン塩酸塩)と比べて、心血管イベントや糖尿病合併症の抑制効果に明確な差がないことが示された。一方で、薬剤費は約50%高く、臨床現場での薬剤選択や医療費の観点から重要な知見となる。研究は、名古屋市立大学大学院医学研究科の中谷英仁氏、静岡社会健康医学大学院大学の菅原照氏らによるもので、詳細は11月6日付で「PLOS One」に掲載された。

     世界では2型糖尿病が急増しており、合併症である心血管・脳血管イベントが死亡と医療費の大部分を占める。このため、初期治療でどの薬を選ぶかは臨床的にも経済的にも重要となる。従来は安価で安全性が高いメトホルミンが第一選択とされてきたが、近年はSGLT2阻害薬が心血管死や心不全、腎機能悪化を減らすことが示され、早期使用が推奨されつつある。ただ、実臨床研究では両者の効果差は一貫せず、日本からのデータは特に乏しい。過去の国内研究では高価な薬剤を初期に用いても合併症は減らず医療費のみ増える可能性が示唆されたが、ビグアナイド系薬剤とSGLT2阻害薬の直接比較は行われていない。そこで本研究は、日本人2型糖尿病患者を対象に、主要心血管イベントを含む長期アウトカムと薬剤の費用差を後ろ向きに検証した。

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     本研究では、登録者数250万人以上を有する静岡国保データベース(SKDB)の2023年度版データ(2012年4月1日~2021年9月30日)を用いて解析を行った。解析対象は、ビグアナイド系薬剤またはSGLT2阻害薬のいずれかを初期治療として開始した患者とした。開始後12か月間はもう一方の薬を使用せず、他の血糖降下薬の併用は許容した。追跡は治療開始時点から開始し、12か月以内に比較薬を使用した患者は除外された。人口統計、臨床、検査、生活習慣の変数に基づき1対1の傾向スコアマッチングを行った後、Cause-specific Coxモデルを用いてハザード比(HR)を推定した。また、1日あたりの薬剤費も比較した。主要アウトカムは、開始日から脳血管イベント、心血管イベント、または全死亡を含む複合エンドポイントの初発までの期間とした。副次アウトカムは、開始日から糖尿病関連合併症(糖尿病性腎症、腎不全、糖尿病性網膜症、糖尿病性末梢神経障害)の初発までの期間と設定した。

     傾向スコアマッチング後のコホートは、ビグアナイド単剤群623名とSGLT2阻害薬群623名で構成され、追跡期間の中央値は2.9年(最長7.2年)であった。追跡期間中に主要アウトカムのイベントを起こしたのは、ビグアナイド単剤群44名(7.1%)、SGLT2阻害薬群35名(5.6%)であり、治療群間で統計的な有意差は認められなかった(log-rank検定、P=0.314)。さらに、Cox比例ハザードモデルによる解析では、ビグアナイド単剤群とSGLT2阻害薬群のHRは0.80(95%信頼区間〔CI〕 0.51~1.24)であり、リスクはほぼ同等であることが示された。

     糖尿病合併症は、ビグアナイド単剤群で86名(13.8%)、SGLT2阻害薬群で78名(12.5%)に発症し、こちらも治療群間で有意な差は認められなかった(Gray検定、P=0.343)。HRは0.88(95%CI 0.70~1.13)であり、ほぼ同等のリスクを示した。

     1日あたりの薬剤費の中央値を比較したところ、ビグアナイド治療は124.7円、SGLT2阻害薬治療では184.0円であり、ウィルコクソン順位和検定の結果、この差は統計的に有意であることが示された(P<0.001)。

     著者らは、「今回得られた知見は、SGLT2阻害薬を初回の血糖降下薬としてルーチンに使用することの臨床的および経済的意義に疑問を投げかける。今回の費用差は個々の患者レベルでは小さく見えるかもしれないが、長期にわたり多くの患者が服用する場合には、総医療費として財政に大きな影響を及ぼす可能性がある」と述べている。

    糖尿病のセルフチェックに関する詳しい解説はこちら

    糖尿病でいちばん恐ろしいのが、全身に現れる様々な合併症。深刻化を食い止め、合併症を発症しないためには、早期発見・早期治療がカギとなります。今回は糖尿病が疑われる症状から、その危険性を簡単にセルフチェックする方法をご紹介します。
    糖尿病のセルフチェックに関連する基本情報

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    HealthDay News 2025年12月15日
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  • 高血圧

    健康診断の新視点、筋肉量指標で高血圧リスクを見える化

     従来のBMIでは筋肉量と脂肪量の違いを反映できないという問題がある。今回、男性の除脂肪体重指数(LBMI)を用い、低LBMIが高血圧リスクの増加と関連するという研究結果が報告された。BMIだけでは捉えられないリスク評価の重要性を提示している。研究は、慶應義塾大学医学部内科学教室の畔上達彦氏、東京大学医学部附属病院循環器内科先進循環器病学講座の金子英弘氏らによるもので、詳細は11月10日付で「Hypertension Research」に掲載された。

     高血圧は心血管疾患や慢性腎臓病の主要リスク因子であり、世界的に重要な公衆衛生課題となっている。肥満は高血圧リスクの主要因子とされるが、BMIでは脂肪量と除脂肪体重(筋肉量)を区別できず、正確なリスク評価には限界がある。除脂肪体重を正確に測定するには高コストの画像検査が必要だが、近年、身長・体重・ウエストなどから推定できる簡易LBMIが開発され、日常の健康診断データでも評価が可能になった。しかし、この簡易LBMIを用いた高血圧リスク評価はこれまで行われていない。本研究では、健康診断や医療請求データを用いて、男性のLBMIと高血圧発症リスクの関連を後ろ向きに解析した。

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     本研究では、国民の行政保険請求データおよび年次健康診断記録を含むDeSCヘルスケア株式会社のデータベース(2014年4月~2022年11月)を用い、健康診断データが利用可能な男性98万5,521人を対象とした。主要評価項目である高血圧の発症は、診療報酬請求データに基づきICD-10コード(I10–I15)で同定した。リスク評価にはCox回帰モデルおよびスプラインモデルを用い、年齢や既往歴などの交絡因子で調整した。さらに、結果の頑健性を確認するため、層別解析および感度解析も実施した。

     最終的な解析対象は、38万4,551人(年齢中央値51歳)であり、中央値1,393日の追跡期間中に4万312人(10.5%)が高血圧イベントを経験した。

     まず、参加者のLBMIを四分位(Q1~Q4)に分類し、各群間で比較を行った。年齢、収縮期血圧および拡張期血圧、BMI、糖尿病、脂質異常症、喫煙、飲酒、身体活動を交絡因子として調整した多変量Cox回帰を用いて、LBMIと高血圧発症リスクの関連を評価した。その結果、LBMIが低い四分位に属するほど高血圧発症リスクが高く(ハザード比〔95%信頼区間〕:Q1, 1.20〔1.15~1.26〕;Q2, 1.06〔1.02~1.10〕;Q3, 1.03〔0.99~1.06〕;Q4, 1〔基準値〕)、制限付き三次スプライン回帰モデルでも、LBMIの低下に伴い高血圧リスクが上昇する傾向が確認された。

     次に、年齢別(65歳未満または65歳以上)および非肥満者で層別化したサブグループ解析を行った。いずれの層別群においても、多変量Cox回帰の結果、LBMIが低いほど高血圧発症リスクが上昇する傾向が確認された。

     さらに、主要解析結果の頑健性を確認する感度解析として、連鎖方程式による多重代入法で欠測値を補完し、50万5,696人を対象に解析を行った。この解析においても、LBMIが低い四分位(Q1)は高血圧発症の有意なリスク因子であった(同1.19〔1.14~1.24〕)。加えて、死亡を競合事象とした競合リスク解析においても、LBMIが低い四分位(Q1)で高血圧発症リスクの上昇が認められた(同1.23〔1.15~1.32〕)。

     これらの層別解析および感度解析により、LBMIと高血圧発症リスクとの関連は解析手法や欠測値の扱いにかかわらず一貫して確認された。

     本研究について著者らは、「男性においてLBMIが低いことは高血圧リスクの上昇と関連しており、除脂肪体重を指標とした管理の重要性が示唆された。今後は、その増加や維持がリスク低減につながるかどうかの検討が必要である」と述べている。

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