潰瘍性大腸炎について

潰瘍性大腸炎とはどのような病気?

現在の医学では主な原因がはっきりわかっておらず、完全に治すのが難しいとされています。そのため、潰瘍性大腸炎では主に薬を使った内科的治療を行ないながら、「寛解」という病気がおさまっている状態を目指していきます。
よくある病気ではありませんが、潰瘍性大腸炎は若い人が発症しやすい傾向があり、近年徐々に患者数が増えています。
厚生労働省の発表によると、2014年に潰瘍性大腸炎と診断された人は約17万人となっています。

潰瘍性大腸炎とクローン病の違い
潰瘍性大腸炎とよく似た病気にクローン病があります。潰瘍性大腸炎は大腸のみに症状が出るのに対し、クローン病は大腸以外の消化管粘膜にも症状が出ます。
潰瘍性大腸炎の原因
潰瘍性大腸炎の原因は、自己免疫反応に異常が生じて発症する説、腸内細菌が関わっているという説、ほかには遺伝性や食生活の欧米化が関係しているなど、さまざまな説があります。まだはっきりとした原因は解明されていません。
潰瘍性大腸炎の症状とは
下痢や粘血便・血便
潰瘍性大腸炎の症状として、下痢や粘血便(粘液の混じった血便)・血便が多くみられます。
腹痛
じわじわと長時間痛んだり、急に強い痛みが生じたりします。
体重減少
大腸の粘膜が荒れて正常にはたらかない状態にあるため、次第に体重が減ってきます。
貧血
食欲が低下し栄養状態も悪くなるため貧血になりやすい傾向があります。
発熱
潰瘍性大腸炎は炎症性の病気であるため、発熱することもあります。

また、潰瘍性大腸炎は合併症を起こすこともあります。合併症の例としては、関節炎や脊椎炎、皮膚では結節性紅斑や壊疽性膿皮症がみられます。潰瘍性大腸炎にかかってから長く経つと、大腸がんのリスクが高くなるともいわれています。
潰瘍性大腸炎を診断するための検査

症状
いつからどのような症状があるのか、身近な人の既往歴なども確認します。
注腸X線検査(行われないこともある)
大腸に造影剤を注入し、X線(レントゲン)撮影をして大腸の状態を確認します。
肛門鏡検査
肛門鏡という器具を使って、肛門周囲の状態を観察します。
内視鏡検査
内視鏡カメラを使って、肛門から大腸のはじまりまで、粘膜の状態を観察します。
細菌検査
細菌感染による腸炎など、潰瘍性大腸炎と似た病気もあるため、便や血液を使って細菌の有無を確認します。
組織検査
粘膜組織をわずかに取って、顕微鏡で組織の状態を観察します。

潰瘍性大腸炎の治療方法
潰瘍性大腸炎の治療方法は、薬を使って症状を抑えていく内科的治療がメインとなります。完治は難しく、症状は落ち着いたりひどくなったりする状態を繰り返します。そこで、潰瘍性大腸炎では寛解といって病気の状態が落ち着いている状態ができるだけ維持できるようにしていくのが目標となります。
寛解状態にあるときは食事の制約がなく、学業・仕事についても負担が大きくない程度であれば可能です。

内科的治療(薬による治療)
治療では、内服や点滴で炎症を抑える薬を使用します。特にステロイド薬は炎症を抑えることに効果があります。ほかに使われる5-アミノサリチル製剤では炎症を抑えるほか、再燃(落ち着いていた病状が、再び悪化すること)の予防にも効果があるといわれています。
ステロイド薬を減らすと症状が悪化するケースやステロイドで効果が見られない場合には免疫調整薬や免疫抑制薬を使用することもあります。また、炎症を引き起こすTNF-αという物質のはたらきを抑えるために抗TNF-α製剤も使われます。
白血球除去療法
白血球除去療法は炎症を長引かせている原因となる異常な白血球を取り除く治療です。この治療によって炎症が抑えられ、症状の改善が期待できます。
外科的治療
重症化してしまった潰瘍性大腸炎や薬による副作用で治療の継続が難しい場合、また大腸に穴が空いてしまったときや大量出血などの合併症がみられたときには、手術による治療が選択されます。
近年、医学の進歩により潰瘍性大腸炎の治療法は増えてきています。日本は世界の中でも、潰瘍性大腸炎の治療法が多い国の1つとなっています。
まとめ
潰瘍性大腸炎とは、下痢や血便から全身に症状が出る病気です。完治できる治療法は確立されていませんので、病状が寛解し、それを維持できるような治療を行なっていきます。
寛解状態のときには、注意点はあるものの日常生活を送るうえで大きな制限はありません。
潰瘍性大腸炎は専門機関での診断と保健所での手続きによって医療費の助成が受けられる病気です。気になる症状がある場合には、医療機関に早めに相談しましょう。
潰瘍性大腸炎は主にお腹の症状が中心となる炎症性の病気です。潰瘍性大腸炎の症状に焦点を当てながら潰瘍性大腸炎のセルフチェックに役立つ情報をご紹介していきます。
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デジタルピアサポート型禁煙プログラム、紙巻と加熱式で成功率に差
紙巻たばこと加熱式たばこ(heated tobacco products: HTP)、どちらが禁煙に成功しやすいか?日本の職場で実施されたデジタルピアサポート型禁煙プログラムにおいて、HTP使用者は紙巻たばこ喫煙者より高い禁煙成功率を示すことが明らかになった。小グループでのサポートとスマートフォンアプリを組み合わせた介入が効果を後押ししたと考えられる。研究は北里大学大学院医療系研究科の吉原翔太氏らによるもので、詳細は「Journal of Medical Internet Research(JMIR)」に8月5日掲載された。
日本ではニコチン依存症者向けの外来禁煙プログラムが提供され、2020年からはHTP使用者も保険適用となった。このプログラムはニコチン代替療法と医師による面接や遠隔診療を組み合わせるが、完遂率は低い。一方、スマートフォンアプリなどのデジタル療法は禁煙支援に有効で、個別型アプリではHTP使用者が紙巻たばこ喫煙者より高い成功率を示すとの報告がある。さらにメタ解析では、仲間を取り入れたグループ型介入が禁煙成功率を高めることが示されている。しかし、ピアサポートを取り入れたグループ型アプリに関する研究は乏しく、タバコ製品の種類による効果差は明らかになっていない。このような背景から、著者らはニコチン代替療法とデジタルピアサポートアプリを組み合わせたグループ型禁煙プログラムに参加した現喫煙者を、使用しているたばこの種類別で分類し、禁煙成功率を比較する前向き研究を実施した。
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研究は2023年6月~9月(12週間)にかけて行われ、参加者は国内の4つの企業よりリクルートされた。参加者は、禁煙プログラムに登録し、ニコチン代替療法(ニコチンパッチまたはガム)を無料で提供され、デジタルピアサポートアプリ(「みんチャレ」、A10 Lab Inc.)を併用した。このアプリでは、最大5人までの匿名グループチャットが可能で、写真やコメントを含む活動報告を共有することで交流や禁煙の取り組みを促した。参加者は紙巻たばこのみの喫煙者、HTPのみ使用者、併用(紙巻たばこ及びHTP)の3群に分類された。禁煙成功率の比較にはロジスティック回帰分析を用い、紙巻たばこのみの喫煙者を基準群としたオッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)が算出された。
最終解析には435人が含まれ、内訳は紙巻37.5%、HTP 50.1%、併用 12.4%であった。参加者の平均年齢は46.6歳で、男性が大多数を占め(95.6%)、喫煙歴20年以上の者が68.1%を占めた。また、HTP使用者は、紙巻たばこ喫煙者と比べて喫煙歴が短く、禁煙補助薬の使用経験も少なかった。
禁煙成功率は、HTPのみ使用者で紙巻たばこのみ喫煙者よりも有意に高かった(63.3% vs 52.8%、調整OR 1.84、95% CI 1.57~2.16)。一方、併用者は紙巻たばこのみ喫煙者よりも成功率が低かったが、その差は統計学的に有意ではなかった(48.1% vs 52.8%、調整OR 0.96、95% CI 0.79~1.16)。
本研究について著者らは、「デジタルピアサポートアプリを用いたグループ型禁煙プログラムでは、HTPのみ使用者は紙巻たばこのみの喫煙者よりも高い禁煙成功率を示した。しかし、併用者は有意な差は認められなかった。これらの結果は、職場における禁煙プログラムにおいて、使用するたばこの種類を考慮することの重要性を示している」と述べている。
なお、著者らは、この研究結果をもって禁煙戦略として紙巻たばこからHTPへの切り替えを推奨するものではないと強調している。
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肺がんは初期の自覚症状が少ないからこそ、セルフチェックで早めにリスクを確かめておくことが大切です。セルフチェックリストを使って、肺がんにかかりやすい環境や生活習慣のチェック、症状のチェックをしていきましょう。
肺がんのリスクを症状と生活習慣からセルフチェック!参考情報:リンク先
HealthDay News 2025年9月16日
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性的マイノリティ女性は乳がん・子宮頸がん検診受診率が低い、性特有の疾患における医療機関の課題
性的マイノリティ(SGM)の女性は、乳がんや子宮頸がんの検診受診率が非SGM女性に比べて低いことが全国調査で明らかになった。大腸がん検診では差がみられず、婦人科系がん特有の課題が示唆されたという。研究は筑波大学人文社会系の松島みどり氏らによるもので、詳細は「Health Science Reports」に8月4日掲載された。
がん検診は、子宮頸がんや乳がんの早期発見と死亡率低下に重要な役割を果たしている。先進国と途上国を含む10カ国以上では、平均的なリスクを持つ全年齢層で20%の死亡率低下が報告されている。しかし、日本では2022年時点での子宮頸がん・乳がんの検診受診率はそれぞれ43.6%、47%にとどまっている。この受診率の低さの背景として、教育や所得の問題が議論されてきたが、日本ではSGMの問題という重要な視点が欠けていた。
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海外の調査では、SGMの女性は子宮頸がんや乳がん検診を受ける可能性が低いことが明らかになっている。その背景には、拒絶や差別への恐れ、性的指向の隠蔽などが影響していると指摘される。また日本では、子宮頸がんや乳がんの検診が通常産婦人科で行われることから、この日本特有の状況も受診の障壁となっている可能性がある。このような背景から、本研究ではSGM女性は非SGM女性よりも子宮頸がんおよび乳がん検診を受ける可能性が低いという仮定を立て、全国規模のオンライン調査データを用いて検証した。また、大腸がん検診も対象に加え、結果が女性特有のがんに限られるのかどうかを調べた。
本研究では、オンライン縦断調査プロジェクトである「日本における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)問題および社会全般に関する健康格差評価研究(JACSIS Study)」のデータベースより、JACSIS 2022モジュールのデータを使用した。2022モジュールは、2022年9月12日~10月19日の間に行われた追跡調査であり、合計3万2,000のサンプルが含まれた。サンプルを20~69歳の女性に限定した結果、最終的な解析対象は1万2,305人(SGM女性1,371人、非SGM女性1万934人)となった。
調査の結果、子宮頸がん検診の受診率はSGM女性で36.2%、非SGM女性で47.4%、乳がん検診は41.8%対50.1%であり、いずれもSGM女性の方が有意に低かった(いずれもカイ二乗検定、P<0.001)。一方、大腸がん検診の受診率はSGM42.5%、非SGM45.2%であり、その差は小さく統計学的な有意差は認められなかった(カイ二乗検定、P=0.23)。
また、人口統計学的特性および社会経済的地位を考慮したロジスティック回帰分析の結果、SGM女性は非SGM女性に比べて子宮頸がん検診(オッズ比〔OR〕 0.78、95%信頼区間〔CI〕 0.69~0.88、P<0.001)および乳がん検診(OR 0.77、95%CI 0.64~0.93、P<0.01)を受ける可能性が低いことが明らかになった。一方、大腸がん検診についてはSGM女性と非SGM女性の間に有意な差は認められなかった(OR 0.96、95%CI 0.80~1.16)。
著者らは、「本研究は、SGMの女性が子宮頸がんや乳がんなど女性特有のがん検診を受けにくい現状を明らかにし、この分野の理解を深めるものとなっている。結果は、医療現場でSGMの問題に配慮するための政策の重要性を示しており、具体的にはガイドラインの整備や性的に配慮したコミュニケーションの研修、さらに自己採取型HPV検査の導入などが挙げられる。なお、本データでは約12.5%の女性が性的マイノリティであると回答しており、受診率の低さが課題の日本において、国の政策としても決して看過されるべき課題ではない」と述べている。
なお、本研究の限界として、サンプル数の少なさから対象をSGMと非SGMの2群に単純化している点が挙げられる。この単純化により、SGM内の特定のグループ(トランスジェンダーなど)が抱える経験やニーズが見落とされていた可能性がある。著者らは、こうしたグループの独自の医療ニーズや課題を明らかにするためには、より大規模で多様なサンプルを用いた研究が必要であると指摘している。
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HealthDay News 2025年9月16日
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座席位置で変わる生存率、運転席は重症外傷リスクが最大に
自動車の座席位置によって生存率、外傷リスクはどう変わるのか?日本の地域中核病院で20年にわたり収集された交通事故患者のデータを解析した研究により、座席位置が死亡率や外傷の重症度と関連することが示された。特に運転席の乗員は後部座席の乗員に比べて院内死亡や重症外傷のリスクが高かったという。研究は神戸大学大学院医学研究科外科系講座災害・救急医学分野の鵜澤佑氏、大野雄康氏らによるもので、詳細は「BMC Emergency Medicine」に7月30日掲載された。
交通事故は社会に大きな経済的負担を及ぼす公衆衛生上の課題である。世界保健機構(WHO)によると、2023年には約119万人が交通事故で死亡したと報告されている。自動車事故に巻き込まれた負傷者の生存率や転帰を改善するためには、死亡率や解剖学的重症度に影響を与える因子を明らかにすることが極めて重要である。中でも、運転席、助手席、後部座席に分類される座席位置は交通事故による死亡の重要な要因と考えられている。しかしながら、この座席位置と死亡率の関連を検証した先行研究では矛盾する結果も報告されており、依然としてその関係は明確ではない。そのような背景から、著者らは後部座席の位置が死亡率および解剖学的重症度の低下と関連しているという仮説を立て、国内の地域中核病院のデータベースを用いた後ろ向きコホート研究を実施した。
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解析対象は、太田西ノ内病院救命救急センター(福島県郡山市)のデータベースより、2000年から2022年までに四輪自動車乗車中に受傷し、同院に救急搬送された交通事故患者5,906名とした。主要評価項目は院内死亡率とした。その他の評価項目には、重症外傷(外傷重症度総合スコア〔ISS〕が15超と定義)および各部位別(頭頸部、胸部、腹部および骨盤内臓器、四肢および骨盤)の重症外傷(部位別外傷重症度スコア〔AIS〕が3以上と定義)が含まれた。
対象患者5,906人のうち、運転席の乗員は4,104人(69.5%)、助手席は1,009人(17.1%)、後部座席は793人(13.4%)であった。3群間では、年齢、性別、暦年、季節、時間帯、曜日、病院前搬送時間、車種(普通自動車または軽自動車)、受傷機転(衝突の種類や原因)、シートベルトの装着、エアバッグの展開、高エネルギー外傷の有無において有意差が認められた。
多変量ロジスティック回帰モデルを用いて、年齢、性別、暦年、季節、時間帯、曜日、病院前搬送時間、車種、受傷機転、シートベルトの装着、エアバックの展開、高エネルギー外傷などの重要な交絡因子を調整した上で解析した結果、後部座席の乗員は運転席の乗員よりも院内死亡リスクが低いことが明らかになった(調整オッズ比〔AOR〕 0.396、95%信頼区間〔CI〕 0.216~0.727、P<0.025)。
その他の評価項目においても、交絡因子を調整後、後部座席群は運転席群と比較してISS>15の重症外傷リスクが低かった(AOR 0.428、95%CI 0.308~0.596、P<0.025)。特にAIS≧3の胸部(AOR 0.474、95%CI 0.333~0.673、P<0.025)、腹部および骨盤内臓器(AOR 0.373、95%CI 0.218~0.639、P<0.025)において、重症外傷リスクの低下が認められた。
本研究について著者らは、「本研究から、運転席に座る人は死亡や重症外傷のリスクが高く、特別な注意が必要であることが示された。今回の知見は、車に乗る人々だけでなく、救急医療の現場や自動車メーカーにとっても重要な示唆を与えている」と述べている。
なお、サブ解析において後部座席乗員の院内死亡に特有の因子を検討したところ、シートベルトの不適切な着用が院内死亡率の上昇と関連していた(P=0.024)。一方で、後部座席でシートベルトを適切に着用していた乗員に死亡例は認められなかったことから、著者らは後部座席乗員に対してもシートベルト着用を徹底するよう教育・啓発していく必要があると指摘している。
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HealthDay News 2025年9月8日
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AIチャットボットによるてんかん教育介入の効果、「えぴろぼ」の実用性と今後の課題
てんかんを正しく理解し、偏見なく接する社会をつくるには、患者本人だけでなく周囲の人々の知識と意識の向上が欠かせない。こうした中、患者やその支援者にてんかんに関する情報や心理的サポートを提供する新しい試みとして、人工知能(AI)を活用したチャットボット「えぴろぼ」が登場した。今回、「えぴろぼ」の利用によって、てんかん患者に対する態度の改善や疾患知識の向上が認められたとする研究結果が報告された。研究は、国立精神・神経医療研究センター病院てんかん診療部の倉持泉氏らによるもので、詳細は「Epilepsia Open」に7月28日掲載された。
近年、AIやデジタルヘルスの進展により、チャットボットを活用した医療支援が注目されている。てんかん患者の多くは、自身の疾患に関する知識が不十分で、治療への関与や生活の質(QoL)にも影響を及ぼしている。また、スティグマや心理的負担から、教育プログラムへの参加率も低いのが現状である。こうした課題を受けて、埼玉医科大学、埼玉大学、国立精神・神経医療研究センターなどの研究チームは、患者や支援者が場所や時間を問わず情報にアクセスできる新たな教育支援ツールとして、AIチャットボット「えぴろぼ」を開発した。本研究では、「えぴろぼ」がてんかんに関する知識や意識の改善にどのように寄与するかを検討した。
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本研究は2つのフェーズで構成されていた。最初に、チャットボットの内容を洗練させるための予備的な試験フェーズを実施し、その後、本介入フェーズに移行した。本フェーズでは、スマートフォンアプリを通じて「えぴろぼ」を利用するために176名(てんかん患者13名、現在支援者として関わっている者69名、将来支援者となる可能性がある者28名、その他66名)が登録した。調査では、チャットボット使用前後での、てんかんに関する知識や偏見・スティグマ、患者自身のセルフスティグマ(内在化されたスティグマ)を評価した。経時的な変化の分析には、対応のあるt検定およびWilcoxonの符号付き順位検定を用いた。
登録した176名のうち、82名(てんかん患者9名、患者家族25名、支援者25名、医療従事者12名、その他11名)が介入前後の調査を完了した。参加者の平均年齢は41.8歳であり、ほとんどの参加者がてんかんについてある程度の知識をもっていた。約半数の参加者はてんかん発作を目撃した経験があると回答していたが、発作への対応について自信があると回答した者は半数に満たなかった。
「えぴろぼ」による介入は、てんかん患者に対する職場での平等に関する意識に有意な改善をもたらし(P<0.001)、てんかん治療に関する知識の向上にもつながった(P=0.022)。QOLやてんかんに関する一般的な知識については、統計的に有意ではなかったものの改善傾向を示した。一方で、てんかん患者(n=9)では、てんかんに関連するセルフスティグマのわずかな増加が観察された(P=0.31)。
本研究について著者らは、「今回の結果は、『えぴろぼ』がてんかんに関する教育や心理的支援において、広く活用できるデジタルツールとしての可能性を示している。その一方で、患者自身のセルフスティグマへの対応は今後の課題として残されている」と述べた。
なお、介入によりセルフスティグマが増加した理由について、著者らは評価期間が約1カ月と短いこと、また対象に含まれるてんかん患者が少数であることを限界として指摘した上で、「教育介入によって知識が増えた結果、むしろ自身が置かれた社会的立場や偏見を意識するようになり、結果として一時的にセルフスティグマが強まった可能性が考えられる」と言及している。
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肺炎リスクから考える、ICU患者の「口腔ケア」
気管挿管後に発症する人工呼吸器関連肺炎(VAP)は、集中治療室(ICU)に入院する患者における主な感染性合併症であり、その発生率は8~28%に上る。今回、ICU患者において口腔ケアを実施することで、口腔内の細菌数が有意に減少することが確認された。また、人工呼吸器の挿管によって、口腔内の細菌叢(マイクロバイオーム)の多様性が低下することも明らかになった。研究は、藤田医科大学医学部七栗歯科の金森大輔氏らによるもので、詳細は「Critical Care」に7月23日掲載された。
米国の研究ではVAPによって、ICU入院患者の死亡率(24~50%)、ICU滞在期間(約6日間延長)、医療費(1件当たり約4万ドル)が増加することが報告されている。したがって、VAPに対しては予防・早期診断・適切な治療が極めて重要とされる。ただし、ICU患者の口腔ケアは、気管チューブの存在や開口制限により困難を伴い、十分に実施されないことも多い。また、従来の研究では「口腔ケアが肺炎リスクを下げる可能性がある」ことは示唆されていたものの、実際にどの程度口腔内の細菌数や微生物の構成が変化するのか、その実態は十分に明らかにされていなかった。そこで本研究では、ICUに入室した気管挿管中の患者を対象に、口腔ケアが口腔内細菌数および細菌叢の多様性に与える影響を検討した。特に、抜管前後での比較や、16S rRNA遺伝子解析による微生物構成の変化に着目することで、VAP予防における口腔ケアの科学的根拠を補強することを目的とした。
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この単群縦断的介入試験には、2023年2月から5月にかけて、藤田医科大学病院のICUに入院し、48時間以上人工呼吸器を装着したうえで、期間中に抜管された15名の患者が含まれた。口腔内細菌叢のサンプルは、舌表面をスワブで擦過することで採取した。口腔内細菌数の計測は、挿管中の口腔ケアの前後および抜管後の口腔ケアの前後の、計4回にわたって実施された。細菌叢の解析は、挿管中の口腔ケア前および抜管後の口腔ケア前の2時点で行われ、16S rRNA遺伝子アンプリコンシーケンスを用いて実施された。
口腔ケア前の細菌数は、挿管中の方が抜管後よりも有意に多かった(P=0.009)。口腔ケアの介入により、挿管中(P<0.001)および抜管後(P=0.011)のいずれにおいても、口腔内の細菌数は有意に減少した。
次に抜管前後の口腔内細菌叢の多様性を比較した。α多様性(1サンプル内の菌種の豊かさ)の指標である、Shannon指数およびChao1は、挿管中の方が抜管後よりも有意に高かった(それぞれP=0.0479およびP=0.0054)。一方でβ多様性(サンプル間の菌種の豊かさ)については、両時点間で有意な差は認められなかった(P=0.68)。
また、抜管前後における細菌群の変化を明らかにするため、群間比較解析(LEfSe)を実施した。その結果、抜管後には以下の7種の細菌群(Streptococcus sinensis、Prevotella pallens、Saccharimonas sp.〔CP007496_s〕、Campylobacter concisus、Eubacterium brachy、Eubacterium infirmum、Selenomonas sputigena)で有意な減少が認められた。これにより、気管挿管中は口腔内細菌叢のバランスが乱れ、抜管後に回復している可能性が示唆された。
本研究について著者らは、「本研究は、ICU患者において、抜管前後の両期間で口腔ケアが口腔内細菌数を効果的に減少させることを示した。定量的な減少に加えて、マイクロバイオーム解析により、抜管に伴う口腔内細菌叢の組成変化も明らかになり、気管挿管が細菌数だけでなく微生物コミュニティの構造にも影響を与えることが示唆された。これらの結果は、口腔ケアが細菌叢のバランス維持やディスバイオーシス(微生物の乱れ)の予防に重要であり、VAPなどの合併症の予防にも寄与する可能性があることを示しているが、この可能性を確定するにはさらなる研究が必要である」と述べている。
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肺切除後の肺瘻リスク、低侵襲開胸手術で軽減の可能性
肺切除術は肺がん治療の要となるが、術後早期に肺瘻(空気漏れ)が生じることも少なくない。今回、手術アプローチの違いが肺瘻の発生率や転帰に影響する可能性があるとする研究結果が報告された。ILO1805試験の事後解析で、胸腔鏡手術(TS)の方が低侵襲開胸手術(MIOS)よりも肺瘻の発生率が有意に高く、その持続期間やドレーン留置期間も長くなる傾向が示されたという。研究は山形大学医学部附属病院第二外科の渡辺光氏らによるもので、詳細は「Scientific Reports」に7月21日掲載された。
肺切除後の遷延性肺瘻は患者の5〜25%に発生し、膿胸や再手術、入院延長を招く代表的な合併症である。肺瘻のリスクを抑えるためには、術中の適切な空気漏れの修復が重要だが、TSでは視野が限られ、処置が難しい場合がある。一方、直接視野と胸腔鏡補助を組み合わせたハイブリッド胸腔鏡補助下手術(VATS)やMIOSは、空気漏れの修復を容易にする可能性がある。しかし、これらの手術アプローチと術後の肺瘻との関連は十分に検証されていない。ILO1805試験は国内21施設で実施された、肺切除後の肺瘻に対するドレーン管理法を検討する前向き観察研究であるが、手術アプローチや周術期管理に関する統一プロトコルは設けられていなかった。このような背景から著者らは、この試験の事後解析として、手術アプローチが術後転帰に及ぼす影響を検討した。
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本解析には、ILO1805試験参加者2,187名のうち、皮膚切開8cm以下で解剖学的肺切除術を受けた1,168名が含まれた。患者は手術アプローチに基づき、TS群(皮膚切開5cm以下で肋骨開排なし)とMIOS群(皮膚切開5〜8cm)の2群に分類された。両群のバランスを調整するため2:1の傾向スコアマッチングを行い、最終的な解析対象はTS群284名、MIOS群142名となった。早期の術後肺瘻(E-AL)は術後0日または1日に発生した空気漏れと定義し、単変量および多変量のロジスティック回帰モデルにより、E-ALと有意に関連するリスク因子を特定した。
参加者の年齢中央値は71歳で、男性は683名(58.5%)含まれた。手術アプローチについては1022名(87.5%)がTS手術を受けていた。肺切除後のE-ALは290名(24.8%)に認められた。
E-ALのリスク因子を特定するために単変量ロジスティック回帰解析を行った結果、E-ALを認めた患者は、男性(P< 0.001)、喫煙歴あり(P= 0.007)、BMI<18.5 kg/m2(P= 0.024)、FEV1.0%≦70%(P= 0.013)、胸膜癒着あり(P<0.001)、TS(P= 0.024)、およびフィブリンシーラント使用(P<0.001)である可能性が高かった。対応する多変量モデルでは、男性、BMI<18.5 kg/m2、TS、胸膜癒着、フィブリンシーラント使用がE-ALに関連する因子として同定された。
傾向スコアマッチング後の解析では、術後0日目のE-AL発生率はTS群でMIOS群より有意に高かった(33.8% vs. 16.9%、P<0.001)。この差は術後1日目でも認められた(28.2% vs. 16.2%、P=0.009)。術後の空気漏れの平均持続期間は、TS群よりMIOS群で有意に短かった(1.2±2.0日 vs. 0.6±1.7日、P=0.003)。ドレーン留置期間の平均も同様に、MIOS群で短かった(2.9±1.8日 vs. 2.4±1.9日、P=0.009)。
本研究について著者らは、「本研究は、MIOSアプローチが術中の空気漏れの修復においてより有効であり、結果として肺瘻のリスクを低下させる可能性を示唆している。ただし、E-ALの頻度低下が合併症の減少や入院期間の短縮といった臨床的な利点につながるかどうかは明らかではない。空気漏れの持続期間の差は小さいものの、E-ALを抑制することで、MIOSアプローチは術後の早期退院に寄与する可能性がある。これらの利点を検証するには、今後の前向き研究が必要である」と述べている。
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肺がんは初期の自覚症状が少ないからこそ、セルフチェックで早めにリスクを確かめておくことが大切です。セルフチェックリストを使って、肺がんにかかりやすい環境や生活習慣のチェック、症状のチェックをしていきましょう。
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HealthDay News 2025年9月1日
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ギャンブル依存の“やめられない”、複数の脳領域が連動か
「なぜギャンブルをやめられないのか?」。最新の研究から、その背景には“脳の複数の領域”と“気分の落ち込み”が関わっていることがわかってきた。扁桃体と腹側線条体という脳の領域が連動すると、「ギャンブルをしたい」という強い欲求が生まれ、この関係にはうつ症状が関与しているという。研究は京都大学大学院医学研究科(当時)の石川柚木氏、同大学附属病院精神科神経科/デイ・ケア診療部の鶴身孝介氏らによるもので、詳細は「Addiction Biology」に7月17日掲載された
ギャンブル障害(GD)は、持続的なギャンブル行動とその悪影響を特徴とする精神疾患であり、強い欲求(渇望)が中心的な役割を担う。ギャンブルへの渇望は多面的なプロセスであり、楽しいと認識する「期待(Anticipation)」、強い衝動を表す「欲求(Desire)」、ネガティブな気分からの逃避を意味する「解放(Relief)」の3側面から構成される。この構造はコカインやたばこの渇望とも類似している。報酬が存在する際の渇望は、報酬追求行動に関与する扁桃体と腹側線条体(VS)の機能的結合によって調整されると考えられるが、報酬が存在しない際の渇望と両者の安静時機能的結合(rs-FC)との関係は未解明である。さらに、うつ症状がこの関係を仲介する可能性も示唆されている。本研究では、GD患者において扁桃体–VSのrs-FCが渇望と関連するという仮説を立て、うつ症状がその媒介因子として機能するかを検討することを目的とした。
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本研究には、日本人のギャンブル障害(GD)患者51名(うち男性48名)と健常者45名(うち男性41名)が参加した。全GD患者はDSM-5-TRのGD診断基準を満たしていた。ギャンブルへの渇望は、スコアが高いほど渇望が強いことを示すリッカート尺度であるギャンブル渇望尺度(GACS)を用いて評価した。GACSは「期待」「欲求」「解放」の3つの下位尺度に分ける尺度であり、それぞれ対応する項目の合計点を算出した。うつ症状はベック抑うつ評価尺度Ⅱ(BDI-Ⅱ)により評価した。扁桃体と腹側線条体のrs-FCは、安静時fMRIで取得した両領域のBOLD信号の時系列データ間の相関係数を計算することで評価した。
GD患者では、右扁桃体‐右腹側線条体のrs-FCはGACSの「欲求」スコアと有意な負の相関を示した(相関係数ρ=−0.377、95%信頼区間〔CI〕〔−0.591~-0.113〕、P=0.006)。その他のrs-FC値はいずれのGACS下位尺度とも有意な相関を示さなかった。また、右扁桃体‐右腹側線条体のrs-FCはBDI-Ⅱスコアとも有意な負の相関を示した(ρ=−0.390、95%CI〔−0.616~−0.130〕、P=0.005)。
次に、GD患者を対象に、右扁桃体‐右腹側線条体のrs-FCを独立変数、BDIを媒介変数、GACSサブスケール(欲求)を従属変数とする因果媒介分析を実施した。その結果、有意な全体効果(−0.341、95%CI〔−0.617~−0.069〕、P=0.017)と平均因果媒介効果(ACME)(−0.137、95%CI〔−0.306~−0.018〕、P=0.015)が認められた。
男性GD患者(48名)に限定した感度分析では、右扁桃体‐右腹側線条体のrs-FCとGACS「欲求」スコアとの相関は依然として有意であった(ρ=−0.353、95%CI〔−0.634~−0.070〕、P=0.016)。一方で、ACMEは有意ではなかった(−0.110、95%CI〔−0.278~0.010〕、P=0.069)。
本研究について著者らは、「本研究では、扁桃体‐腹側線条体のrs-FCとギャンブルへの渇望との関連が示された。さらに、因果媒介分析により、うつ症状が渇望に対して媒介的な役割を果たす可能性が示唆された。これらの結果は、ギャンブル障害における渇望に関する重要な知見を提供し、その基盤となる神経メカニズムを標的とした効果的な介入法の開発に寄与すると考えられる」と述べている。
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HealthDay News 2025年8月25日
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胆道がんのリスク因子とは?大規模データで明らかに
胆道がんは、進行期で発見されやすく、予後の悪いがんとして知られている。今回、60万人以上を対象とした大規模コホート研究から、胆道がんの各サブタイプに共通するリスク因子に加え、サブタイプごとに特有のリスク因子も明らかになったとする報告が発表された。研究は静岡県立総合病院消化器内科の佐藤辰宣氏、名古屋市立大学大学院医学研究科の中谷英仁氏、静岡社会健康医学大学院大学の臼井健氏らによるもので、詳細は「Scientific Reports」に7月8日掲載された。
胆道がんは、胆管がん(BDC)、胆嚢がん(GC)、乳頭部がん(AC)を含み、その罹患率と死亡率は世界中で増加している。日本では年間2万人以上が新たに罹患し、がん死亡原因の第6位(2019年の全がん死亡者の約3.7%)を占める。また、胆道がんは進行期で発見されることが多く、胆道がんの切除が困難な患者では生存期間の中央値は1年程度とされ、切除可能な時までに発見および診断されることが重要である。早期発見のためにはリスク因子の特定が重要で、胆道がんには肥満や糖尿病、胆石、膵・胆管合流異常など多くの因子が関与すると報告されている。従来の研究では、胆道がんのサブタイプであるBDC、GC、ACについて、それぞれ個別にリスク因子が検討されてきたものの、これらを単一の大規模コホート内で同時に評価した研究はほとんどなかった。またACに関しては、元よりリスク因子に関する情報が乏しかった。そこで本研究では、医療ビックデータから1つの大規模コホートを生成し、各サブタイプに共通するリスク因子および特有のリスク因子を包括的に明らかにすることを目的とした。
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本研究では、静岡県市町国保データベースを用いた。解析データセットには、2012年4月1日~2021年9月30日までの保険請求に基づき、適格性を満たす62万5,513人が含まれた。各胆道がんや併存疾患はICD-10コードによって特定された。
胆道がん発症前の研究参加者における追跡期間の中央値は6.2年(最長は8.5年)だった。観察期間中に、それぞれBDCが1,433人、GCが838人、ACが205人発症した。このコホートにおけるBDC、GC、ACの年間発症率は、それぞれ10万人年あたり41.9人(95%信頼区間〔CI〕 39.8~44.1)、24.5人(95%CI 22.9~26.2)、5.9人(95%CI 5.2~6.9)であった。
各胆道がんのリスク因子を同定するため、まず単変量Cox回帰分析で各因子の関連を評価した。変数間の相関はSpearmanの相関係数で確認し、相関の強い2つの変数については1つを選んだ。選ばれたリスク因子候補を多変量Cox回帰モデルに投入した。解析の結果、胆道がんの各サブタイプに共通するリスク因子としては、高齢、男性、肝機能異常、高血圧や糖尿病が挙げられた。また、各胆道がんに特有のリスク因子としては、BDCではB型肝炎ウイルス感染およびC型肝炎ウイルス感染、BDCとGCでは総胆管結石、GCでは胆嚢結石、ACではリウマチ性疾患がそれぞれ同定された。
本研究について著者らは、「本研究の意義は、各胆道がんのリスクを包括的に再評価し、また各サブタイプ特有のリスク因子を明らかにした点にある。これらの知見は胆道がんの早期発見と予後改善に向けた、標的を絞ったスクリーニングおよび予防戦略の策定に役立つ可能性がある」と述べている。
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幼児期の重度う蝕、母親の長時間インターネット使用と関連か
育児に関する情報をインターネットから得ることは、現代では一般的な行動となっている。しかし、画面に向かう時間が長くなりすぎることで、子どもの健康に思わぬ影響が及ぶ可能性がある。最近の研究により、母親の長時間インターネット使用と、3歳児における重度う蝕(Severe early childhood caries :S-ECC)の発症との間に有意な関連が示された。母親が仕事以外で1日に5時間以上インターネットを使用していた場合、そうでない場合と比較して、子どもがS-ECCになるリスクが4倍以上高まる可能性が示唆されたという。研究は島根大学医学部看護学科地域老年看護学講座の榊原文氏らによるもので、詳細は「BMC Pediatrics」に7月2日掲載された。
本研究では、幼少期の口腔ケアが主に親の責任であることに着目し、母親の長時間インターネット使用が育児時間を圧迫し、子どもの口腔ケアの軽視を招く可能性があるという仮説を立てた。口腔ケアは育児の中で優先度が低くなりがちであるため、母親の長時間インターネット使用によって浸食されやすい育児行動である可能性が高く、これがS-ECCリスクの増加につながると考えられた。従来の研究では、親のメディア使用とECCとの関連については、横断研究が1件報告されているのみであり、十分に検討されていない。以上の背景を踏まえ、本研究では、子どもの1歳半時点における母親の長時間インターネット使用と、3歳時点におけるS-ECCとの関連を検証することを目的に、後ろ向きのコホート研究を実施した。
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本研究では、2016年4月から2017年9月の間に島根県松江市へ妊娠の届出を行った母親とその子どもを対象とし、1歳6か月児健診および3歳児健診時のデータを用いて、1,938件の記録を解析対象とした。子どもの3歳時点のS-ECCは、虫歯、喪失歯、または処置歯の合計が4本以上と定義した。1日5時間以上のインターネット使用は、「問題のあるインターネット使用」と関連するとの報告がある。そのため本研究では、1歳6か月児健診時における母親のインターネット使用時間に関するアンケートで、「1日5時間以上」と回答した場合を「長時間インターネットを使用している」と定義した(仕事でのインターネット使用時間は含めないものとした)。
子どもの1歳半時点における母親のインターネット使用時間が1日5時間を超えていた割合は2.0%だった。母親がインターネットに最も多くの時間を費やした目的としては「情報収集」が最多であり、全体の59.5%を占めた。一方で、1日5時間以上インターネットを使用していた母親に限ると、「情報収集」に最も時間を費やしていた割合は26.3%にとどまった。また、子どもの3歳時点における虫歯の有病率は13.5%であり、S-ECCと判定された子どもの割合は2.6%だった。
子どもの3歳時のS-ECCと1歳半時点の母親のインターネット利用時間との関連について、前者を従属変数、後者を独立変数として単変量のロジスティック回帰分析を行った。その結果、1歳半時点の母親の1日5時間以上のインターネット使用は、3歳時点のS-ECCと有意に関連していた(オッズ比〔OR〕 4.64、95%信頼区間〔CI〕 1.58~13.60、P=0.005)。この傾向は、1歳半時点の親による仕上げ磨きと親の喫煙を共変量として追加した多変量解析でも維持された(調整OR 4.27、95%CI 1.42~12.86、P=0.010)。
著者らは、本研究には単一都市のデータによるサンプルバイアスや、自己申告に基づく情報バイアスの可能性があること、母親のみを対象としていることなどの限界点を挙げた上で、「母親の長時間インターネット使用がS-ECCに関連する新たな要因である可能性を示した点で、本研究には意義がある。今後の研究では、こうした限界を克服した研究デザインを採用し、対象に父親を含め、親の長時間インターネット使用と子どもの発育・発達との関連について、さらなるエビデンスの蓄積が求められる」と述べている。
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小児心停止における人工呼吸の重要性、パンデミックで浮き彫りに
「子どもを助けたい」。その一心で行うはずの心肺蘇生だが、コロナ流行期では人工呼吸を避ける傾向が広がった。日本の最新研究が、この“ひと呼吸”の差が小児の救命に大きな影響を与えていたことを明らかにした。コロナ流行期では、胸骨圧迫のみの心肺蘇生が増加し、その結果、死亡リスクが高まり、年間で約10人の救えるはずだった命が失われていた可能性が示唆されたという。研究は岡山大学学術研究院医歯薬学域地域救急・災害医療学講座の小原隆史氏、同学域救命救急・災害医学の内藤宏道氏らによるもので、詳細は「Resuscitation」に7月4日掲載された。
子どもの院外心停止はまれではあるが、社会的に大きな影響を及ぼす。小児では窒息や溺水などの呼吸障害が心停止の主な原因であることから、人工呼吸を含む心肺蘇生(Cardiopulmonary resuscitation:CPR)の実施が強く推奨されてきた。一方、成人では心疾患が主な原因であることに加え、感染対策や心理的・技術的ハードルの高さから、蘇生の実施率を高める目的で「胸骨圧迫のみ」のCPR(Compression-only CPR:CO-CPR)が広く普及している。また、成人においては、新型コロナウイルス感染症の流行下では、たとえ講習やトレーニングを受けた市民であっても、感染リスクを理由に人工呼吸の実施を控えるよう促される状況が続いていた。しかしながら、こうした行動変化が小児の救命にどのような影響を及ぼしたかについては、これまで十分に検証されてこなかった。このような背景をふまえ著者らは、全国データを用いて、コロナ流行前後における小児の院外心停止に対する蘇生法の変化と、それが死亡や後遺症に与えた影響を検証した。
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解析のデータベースには、総務省消防庁が管理し、日本全国で発生した院外心停止の事例を記録・収集する「All-Japan Utstein Registry(全国ウツタイン様式院外心停止登録)」が用いられた。解析には、2017~2021年にかけて発生した17歳以下の小児の院外心停止7,162人が含まれた。主要評価項目は30日以内の死亡率とした。
2017~2021年の間に、目撃者によってCPRが実施されたのは3,352人(46.8%)だった。そのうち人工呼吸を含むCPRが実施された割合は、コロナ流行前(2017~2019年)には33.0%だったが、コロナ流行期(2020~2021年)には21.1%と、11.9%の減少が認められた。
次に、CO-CPRと臨床転帰(30日以内の死亡など)との関連を評価するため、交絡因子を調整したうえで、ロバスト分散付きPoisson回帰モデルによる多変量解析を実施した。解析の結果、CO-CPRは30日以内の死亡(調整後リスク比〔aRR〕1.16、95%信頼区間〔CI〕1.08~1.24)や不良な神経学的転帰(aRR1.10、95%CI 1.05~1.16)と有意に関連していた。この傾向は、呼吸原性心停止(呼吸の停止が原因で心臓が停止する状態)で顕著だった(aRR1.26、95%CI 1.14~1.39)。
また、コロナ流行期にCO-CPRが増加したことによる影響を、過去のリスク比をもとに概算したところ、人工呼吸の実施率の低下によって、2020年~2021年の2年間で計21.3人(年間換算で10.7人)の小児が救命されなかった可能性があると推定された。
本発表後に行われた追加解析では、この人工呼吸の実施率の低下は緊急事態宣言解除後の2022年(16.1%)から2023年(15.0%)にかけても維持されていた。これは、コロナ流行期に人工呼吸を伴うCPRからCO-CPRへの移行が加速し、流行後もその傾向が続いていることを示唆している。
本研究について著者らは、「本研究は、小児の心停止患者に対して、人工呼吸が極めて重要であることをあらためて裏付けるものであり、今後の小児向け蘇生教育のあり方、感染対策を講じた安全な人工呼吸法の手技の確立、人工呼吸補助具(例:ポケットマスクなど)の開発や普及啓発など、社会全体で取り組むべき課題が多々あることを示している」と述べている。
さらに、人工呼吸の実施については、「国際蘇生連絡委員会(ILCOR)や欧州蘇生協議会(ERC)などでは、小児に対する最適なCPRとして胸骨圧迫と人工呼吸の両方を行うことが強調されている。しかしパンデミック以降、人工呼吸に対する心理的・技術的なハードルが一層高まり、ガイドラインを周知するだけでは実施が進みにくい状況にある。そのため、安心して子どもを救える社会を実現するには、CPRトレーニングプログラムを活用するなど、平時からの準備と理解の促進に取り組むことが重要である」と付け加えた。
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男性部下の育休に対する上司の怒り、背景に職場の不公平感とストレス
男性が育児休業(育休)を取りにくい職場の空気はどこから生まれるのか。今回、男性の育休に対する上司の怒りは、業務負担や部下に対する責任感といった職場ストレスが原因となり、不公平感を介して生じている可能性があるとする研究結果が報告された。研究は筑波大学人間系の尾野裕美氏によるもので、詳細は「BMC Psychology」に7月1日掲載された。
日本では男性の育児休業制度は国際的にみても手厚く整備されており、法的には長期間の取得が可能で、一定の所得補償も用意されている。しかし現実には、男性の育休取得率やその取得期間は依然として低く、制度が十分に活用されているとは言いがたい。従来の研究では、育休取得によるワークライフバランスの向上や仕事満足度の向上といった肯定的側面に主に焦点が当てられてきた。一方で、制度活用が職場内で生じさせる不公平感や、上司が感じる感情的な負担といった側面には、これまで十分な検討がなされてこなかった。そこで本研究では、男性部下の長期育休取得に対する上司の否定的感情が、職場におけるストレッサー(不明確な役割や能力を超えた業務など)を通じてどのように形成されるのかを明らかにすることを目的とした。不公平感が怒りの媒介要因となるという仮説モデルに基づき、その相互関係を検証するためのオンライン調査を実施した。
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2024年3月にインターネット調査会社を通じて、30~60歳の民間企業の管理職400名(男女各200名)からデータを収集した。質問項目は、男性育休への怒り、男性の育休に関する不公平感喚起状況(育児関与の希薄さ、手厚い恩恵の享受、自身の仕事量の増加)、職場のストレッサー(質的負荷、量的負荷、部下に対する責任)、属性情報(性別、年齢、職業など)で構成された。
性別と子の有無を要因とする二元配置分散分析を行った結果、「育児関与の希薄さ」「手厚い恩恵の享受」において性別の主効果が有意で、女性の得点が高かった。一方、怒りと不公平感喚起状況との交互作用は認められなかった。職場ストレッサーでは「部下への責任感」にのみ有意な交互作用が認められた。単純主効果検定により、子どものいない男女間では男性が有意に高く、また女性では子ありの方が有意に高かった。一方、「質的負荷」「量的負荷」には交互作用・主効果ともに認められなかった。怒りは、男性育休に関する「育児関与の希薄さ」「手厚い恩恵の享受」「自身の業務負担の増加」の3つの不公平感要因および職場ストレッサーと正の相関を示し、不公平感要因は職場の様々なストレッサーとも関連した。
次に共分散構造分析により、職場のストレスが不公平感を介して上司の怒りに至る理論モデルを検証した。質的・量的負担や部下への責任感が、「育児関与の希薄さ」「手厚い恩恵の享受」「自身の仕事量の増加」といった男性育休に関する不公平感を高め、これらのうち「育児関与の希薄さ」「自身の仕事量の増加」が怒りと有意に関連した。また、量的負担は怒りに直接影響し、責任感は怒りを抑制する効果を示した。モデルの適合度指標はいずれも良好で、仮説モデルの妥当性が確認された。
本研究について著者は、「職場のストレスにより、男性社員の育休取得に対して上司が不公平だと感じ、それが怒りにつながることがある。ワークライフバランス施策には、意図しない負の影響が生じる場合もあり、本研究は、男性の育休に対する職場の反応がどのように職場環境に左右されるかを示すことで、職場の公平性に関する理解を深める手がかりとなる」と述べている。
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眼圧と呼吸機能に有意な関連、日本の大規模データが示す新知見
呼吸機能と眼圧、一見無関係に見えるこの2つに意外な関連があるかもしれない。国内の約30万人の健診データの解析から、呼吸機能が低い人は眼圧が低い傾向にあることが示された。眼疾患における適切な眼圧管理では、呼吸機能も考慮すべきという示唆が得られたという。研究は、東京慈恵会医科大学眼科学講座の寺内稜氏、東海大学医学部基盤診療学系衛生学公衆衛生学の深井航太氏らによるもので、詳細は、「Scientific Reports」に7月1日掲載された。
緑内障は世界で2番目に多い失明原因であり、今後さらに患者数の増加が見込まれている。その発症と進行において眼圧は中心的な役割を果たしており、眼圧の上昇は唯一の修正可能なリスク因子とされている。眼圧は血圧や血糖、体格、年齢などの身体的因子によって影響を受けることが報告されているが、呼吸機能との関連については十分な検討がなされていない。過去に、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の女性では眼圧が低下しているとの報告があるものの、再現性が不十分であり、その背景にある生理学的メカニズムも不明である。そこで本研究では、呼吸機能と眼圧の関連を検証する目的で、日本の大規模健診データを用いた横断研究を実施した。
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本横断研究では、慈恵医大で作成されたJikeiデータセットおよび日本人間ドック・予防医療学会が作成したJapan Ningen Dock Study (JNDS)データセットを用いた。Jikeiデータセットには2015年1月1日~2018年12月31日までの間に東京慈恵会医科大学附属病院新橋健診センターで一連の健康診断を受けた者が含まれた。一方、JNDSデータセットは日本人間ドック・予防医療学会が主導した2014年度の大規模調査に基づくもので、全国129の医療機関が参加した。眼圧はノンコンタクトトノメーターで計測したが、JNDSにおいては施設間で使用機器が異なっていた。呼吸機能はスパイロメトリーを用いて、一秒率(FEV1%)、対標準一秒率(%FEV1)、対標準努力肺活量(%FVC)の各指標を計測した。呼吸機能指標と眼圧の関係は、右目の眼圧を従属変数とした多重線形回帰分析により検討した。
最終的にJikeiデータセットには1万361人(平均年齢50.3歳、女性33.9%)が含まれた。右眼の平均眼圧は12.7±2.8mmHgであり、FEV1%の低下に伴い眼圧が直線的に低下する傾向が認められた(β=0.020、95%信頼区間〔CI〕0.011~0.029、P<0.001)。また、FEV1%が70%未満の参加者では、健常とされる90~100%の群に比べて眼圧が0.641mmHg低く(95%CI -0.996~-0.286、P<0.001)、統計的に有意であった。
JNDSデータセットには28万3,199人(平均年齢51.7歳、女性37.7%)が含まれた。右眼の平均眼圧は13.3±2.9mmHgであり、FEV1%と眼圧との間に有意な正の相関が認められた(β=0.015、95%CI 0.013~0.016、P<0.001)。FEV1%が60%未満の参加者では、90~100%の群と比較して眼圧が0.888mmHg低く(95%CI -1.047~-0.729、P<0.001)、統計的に有意な差が確認された。
JikeiおよびJNDSの両データセットにおいて、眼圧とFEV1%の間には有意な正の相関が認められた。一方で、%FEV1および%FVCについては、いずれのデータセットでも眼圧との有意な関連はみられなかった。今回の調査で眼圧との関連が認められたFEV1%は、呼吸機能障害の中でも特に閉塞性換気障害を評価するために用いられる指標である。
本研究について著者らは、「本研究では閉塞性換気障害と眼圧の低下との関連が確認された。この関連は、2つの独立したデータセットにおいて一貫して認められた。今回の知見は、正確な眼圧管理において呼吸機能を考慮することの重要性を示唆している。なお、COPDによる眼循環の低下と、それに伴う房水産生の減少がこの結果の一因である可能性があるが、具体的な機序は不明であり、今後のさらなる研究が必要である」と述べている。
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HealthDay News 2025年8月8日
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国の指定難病の1つとして登録されている潰瘍性大腸炎。潰瘍性大腸炎とは大腸の粘膜にびらんや潰瘍ができ、さまざまな症状が出る慢性の病気です。現在の医学では主な原因がはっきりわかっておらず、完全に治すのが難しいとされています。

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