潰瘍性大腸炎について

潰瘍性大腸炎とはどのような病気?

現在の医学では主な原因がはっきりわかっておらず、完全に治すのが難しいとされています。そのため、潰瘍性大腸炎では主に薬を使った内科的治療を行ないながら、「寛解」という病気がおさまっている状態を目指していきます。
よくある病気ではありませんが、潰瘍性大腸炎は若い人が発症しやすい傾向があり、近年徐々に患者数が増えています。
厚生労働省の発表によると、2014年に潰瘍性大腸炎と診断された人は約17万人となっています。

潰瘍性大腸炎とクローン病の違い
潰瘍性大腸炎とよく似た病気にクローン病があります。潰瘍性大腸炎は大腸のみに症状が出るのに対し、クローン病は大腸以外の消化管粘膜にも症状が出ます。
潰瘍性大腸炎の原因
潰瘍性大腸炎の原因は、自己免疫反応に異常が生じて発症する説、腸内細菌が関わっているという説、ほかには遺伝性や食生活の欧米化が関係しているなど、さまざまな説があります。まだはっきりとした原因は解明されていません。
潰瘍性大腸炎の症状とは
下痢や粘血便・血便
潰瘍性大腸炎の症状として、下痢や粘血便(粘液の混じった血便)・血便が多くみられます。
腹痛
じわじわと長時間痛んだり、急に強い痛みが生じたりします。
体重減少
大腸の粘膜が荒れて正常にはたらかない状態にあるため、次第に体重が減ってきます。
貧血
食欲が低下し栄養状態も悪くなるため貧血になりやすい傾向があります。
発熱
潰瘍性大腸炎は炎症性の病気であるため、発熱することもあります。

また、潰瘍性大腸炎は合併症を起こすこともあります。合併症の例としては、関節炎や脊椎炎、皮膚では結節性紅斑や壊疽性膿皮症がみられます。潰瘍性大腸炎にかかってから長く経つと、大腸がんのリスクが高くなるともいわれています。
潰瘍性大腸炎を診断するための検査

症状
いつからどのような症状があるのか、身近な人の既往歴なども確認します。
注腸X線検査(行われないこともある)
大腸に造影剤を注入し、X線(レントゲン)撮影をして大腸の状態を確認します。
肛門鏡検査
肛門鏡という器具を使って、肛門周囲の状態を観察します。
内視鏡検査
内視鏡カメラを使って、肛門から大腸のはじまりまで、粘膜の状態を観察します。
細菌検査
細菌感染による腸炎など、潰瘍性大腸炎と似た病気もあるため、便や血液を使って細菌の有無を確認します。
組織検査
粘膜組織をわずかに取って、顕微鏡で組織の状態を観察します。

潰瘍性大腸炎の治療方法
潰瘍性大腸炎の治療方法は、薬を使って症状を抑えていく内科的治療がメインとなります。完治は難しく、症状は落ち着いたりひどくなったりする状態を繰り返します。そこで、潰瘍性大腸炎では寛解といって病気の状態が落ち着いている状態ができるだけ維持できるようにしていくのが目標となります。
寛解状態にあるときは食事の制約がなく、学業・仕事についても負担が大きくない程度であれば可能です。

内科的治療(薬による治療)
治療では、内服や点滴で炎症を抑える薬を使用します。特にステロイド薬は炎症を抑えることに効果があります。ほかに使われる5-アミノサリチル製剤では炎症を抑えるほか、再燃(落ち着いていた病状が、再び悪化すること)の予防にも効果があるといわれています。
ステロイド薬を減らすと症状が悪化するケースやステロイドで効果が見られない場合には免疫調整薬や免疫抑制薬を使用することもあります。また、炎症を引き起こすTNF-αという物質のはたらきを抑えるために抗TNF-α製剤も使われます。
白血球除去療法
白血球除去療法は炎症を長引かせている原因となる異常な白血球を取り除く治療です。この治療によって炎症が抑えられ、症状の改善が期待できます。
外科的治療
重症化してしまった潰瘍性大腸炎や薬による副作用で治療の継続が難しい場合、また大腸に穴が空いてしまったときや大量出血などの合併症がみられたときには、手術による治療が選択されます。
近年、医学の進歩により潰瘍性大腸炎の治療法は増えてきています。日本は世界の中でも、潰瘍性大腸炎の治療法が多い国の1つとなっています。
まとめ
潰瘍性大腸炎とは、下痢や血便から全身に症状が出る病気です。完治できる治療法は確立されていませんので、病状が寛解し、それを維持できるような治療を行なっていきます。
寛解状態のときには、注意点はあるものの日常生活を送るうえで大きな制限はありません。
潰瘍性大腸炎は専門機関での診断と保健所での手続きによって医療費の助成が受けられる病気です。気になる症状がある場合には、医療機関に早めに相談しましょう。
潰瘍性大腸炎は主にお腹の症状が中心となる炎症性の病気です。潰瘍性大腸炎の症状に焦点を当てながら潰瘍性大腸炎のセルフチェックに役立つ情報をご紹介していきます。
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子宮頸がんワクチンの接種率は近隣の社会経済状況や地理に関連か
子宮頸がんはほとんどの場合ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染により発症する。HPVにはワクチンが存在していることから、子宮頸がんは「予防できるがん」とも呼ばれる。この度、HPVワクチンの接種率が近隣地域の社会経済状況、医療機関へのアクセスに関連するという研究結果が報告された。近隣地域の社会経済状況が高く、医療機関へのアクセスが容易なほどHPVワクチンの接種率が高かったという。大阪医科薬科大学総合医学研究センター医療統計室の岡愛実子氏(大阪大学大学院医学系研究科産科学婦人科学教室)、同室室長の伊藤ゆり氏らの研究によるもので、詳細は「JAMA Network Open」に3月13日掲載された。
子宮頸がんは女性で4番目に多く、ステージが上がるほどその予後は悪くなる。よって、早期のHPVワクチンの接種が必要とされるが、日本におけるHPVワクチンの接種率は高所得国の中で最も低い。これは、厚生労働省がメディアの報道を受けて、2013~2021年にかけて接種勧奨を停止していたことに起因する。2022年度より接種勧奨を再開し、停止期間に接種を受けられなかった女性に対して、無料のHPVワクチン接種(キャッチアップ接種)を行ってきたが、接種率は勧奨停止前のレベルまで回復していない。
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これまでの海外の研究で、裕福な地域や都市部に住む女性でHPVワクチンの接種率が高いことが報告されている。一方で、日本のHPVワクチンの接種率を向上させるには、国内の接種状況や、それに影響を及ぼすと考えられる地域要因に関する研究が必要とされていた。このような背景から、岡氏らはワクチンの定期接種プログラムが導入された2013年からのデータが保管されている大阪市のデータを用い、累積接種率と地域ベースの社会経済指標およびアクセス指標との関連を調査した。
調査には、大阪市から提供された2013~2022年度の定期接種およびキャッチアップ接種データを含む個別のHPVワクチン接種データを利用した。対象は、1997年度から2010年度に生まれ、大阪市でHPVワクチン接種を受けた女性とした。地域の社会経済指標(Areal Deprivation Index: ADI)を近隣地域の社会経済状況の指標、各地域の代表地点から500mの範囲内にあるHPVワクチン接種を提供する医療機関の数をアクセス指標として、それぞれ用いた。HPVワクチン接種の累積率とADIおよび医療施設へのアクセスとの関連は、ロバスト誤差分散を用いたポアソン回帰モデルによって評価した。
大阪市では18万5,373人の女性がHPVワクチンの接種対象であり、そのうち1万8,688人(10.1%)が接種を受けた。最も貧困度の高い地域に住む女性(2万8,078人中2,539人〔9.0%〕)と比較して、最も貧困度の低い地域に住む女性(4万2,170人中5,862人〔11.6%〕)の累積HPVワクチン接種率は高かった(Prevalence Ratio PR1.25〔95%信頼区間1.16~1.34〕)。さらに、医療施設へのアクセスが低い地域に住む女性(5万5,055人中5,128人〔9.3%〕)と比較して、アクセスが良好な地域に住む女性(5万4,740人中5,862人〔10.7%〕)で累積ワクチン接種率は高くなっていた(PR1.09〔1.03~1.16〕)。
累積HPVワクチン接種は、定期接種ではADIと有意に関連していたが(最富裕層 vs 最貧困層:PR1.46〔1.33~1.61〕)、キャッチアップ接種では関連していなかった(最富裕層 vs 最貧困層:PR1.01〔0.92~1.11〕)。
本研究について著者らは、「今回の横断研究では、社会経済状況が高く、医療施設へのアクセスが高いほど、累積HPVワクチンの接種率が高くなることが示された。これらの知見はHPVワクチン接種の不平等を減らすために、社会環境アプローチを含むさらなる戦略が必要であることを示唆している」と総括した。
本研究の限界点として、対象者の健康リテラシーやHPVワクチンに対する認識などの潜在的な交絡因子を調整していないこと、政府が接種勧奨を停止する前にワクチンを受けていた1994~1996年度生まれの対象者を含む2012年度までの接種者が除外されていたため、大阪市の累積接種率が過小に評価された可能性があることなどを挙げている。
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HealthDay News 2025年4月28日
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COVID-19は糖尿病患者の院内死亡率を高める
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は高齢者や基礎疾患のある人で重症化しやすいことが知られているが、今回、治療中の糖尿病がCOVID-19による院内死亡率や人工呼吸器使用、血液透析といった腎代替療法の重大なリスク因子である、とする研究結果が報告された。研究は東京医科大学病院糖尿病・代謝・内分泌内科の諏訪内浩紹氏、鈴木亮氏らによるもので、詳細は「PLOS One」に3月19日掲載された。
COVID-19は多臓器障害を伴い、重症化した場合は、急性呼吸窮迫症候群、急性腎障害、その他の臓器不全を引き起こすことが多い。日本ではCOVID-19による死亡率は比較的低いが、糖尿病患者の場合では死亡リスクの上昇が報告されている。一方で、糖尿病患者におけるCOVID-19の治療と転帰を検討する包括的な研究は依然として限られている。そのような背景から、著者らはCOVID-19が糖尿病患者に及ぼす影響を評価するために、多施設の後ろ向きコホート研究を実施した。本研究では、院内死亡率、人工呼吸器の使用、ICUへの入院、血液透析(HD)、持続的血液濾過透析(CHDF)、医療リソースの利用状況に関する影響が検討された。
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研究には、千葉県内38医療機関の診断群分類包括評価(DPC)データより、2020年2月1日~2021年11月31日までの間にCOVID-19と診断された1万1,601人が含まれた。この中から、18歳未満、妊娠中、糖尿病未治療の症例など計825人が除外され、最終的な解析対象を1万776人(対照群7,679人、糖尿病群3,097人)とした。連続変数とカテゴリ変数の比較には、それぞれスチューデントのt検定とフィッシャーの正確確率検定を使用した。
糖尿病群の患者は対照群の患者よりも平均年齢とBMIが高かった(67.4歳 vs 55.7歳、25.6kg/m2 vs 23.6kg/m2、各P<0.001)。糖尿病の治療に関しては、インスリン使用率は88.4%、経口血糖降下薬は44.2%であり、インスリン療法の割合が高かった。
COVID-19による平均入院日数は、糖尿病群で17.8±15.3日であり、対照群(10.2±8.5日)と比べて有意に延長された(P<0.001)。院内死亡率は、糖尿病群と対照群でそれぞれ、12.9%と3.5%であり、糖尿病群で高くなっていた(オッズ比OR 4.05〔95%信頼区間3.45~4.78〕、P<0.001)。また、年齢別のサブグループ解析を行った結果、50~59歳にORのピークがみられ(同12.8〔3.71~44.1〕、P<0.01)、この年齢層がCOVID-19による院内死亡の強いリスク因子であることが示唆された。
次に、糖尿病がアウトカム(院内死亡率、人工呼吸器の使用、ICU入院、HD、CHDF)に及ぼす影響を検討するため回帰分析を行ったところ、糖尿病群の全てのアウトカムのORは対照群と比較して有意に高かった。また、年齢、性別、BMI、救急車の利用で調整した重回帰分析を行った場合でも、全てのアウトカムのORは有意なままであったことから、糖尿病がこれらのアウトカムの独立した因子であることが示された。
本研究について著者らは、「2020~2021年のDPCデータの解析から、糖尿病はCOVID-19における院内死亡率、人工呼吸器の使用、ICU入院、HD、CHDFの独立したリスク因子であることが示された。院内死亡率に関しては特に18~79歳の糖尿病群で対照群より高く、働き盛りの50~59歳で最もオッズ比が高かったことから、以降の若年世代に対してのワクチン接種勧奨や行動制限は有効だったのではないか」と述べている。
また、本研究の強みとして、レセプトデータをベースとしており、患者の使用している糖尿病治療薬などの臨床情報や、かかった医療費に関しての情報が含まれていた点を挙げており、「本研究はCOVID-19と糖尿病の臨床的特徴を明らかにし、将来の治療の改善に役立つものと考えている」と付け加えた。
本研究の限界点として、今回使用したDPCデータには、入院前の情報、臨床検査値やCOVID-19の重症度分類に関する情報、ワクチン接種に関する情報が含まれていないことを挙げている。
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糖尿病でいちばん恐ろしいのが、全身に現れる様々な合併症。深刻化を食い止め、合併症を発症しないためには、早期発見・早期治療がカギとなります。今回は糖尿病が疑われる症状から、その危険性を簡単にセルフチェックする方法をご紹介します。
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HealthDay News 2025年4月28日
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高齢の心不全患者が感染症で再入院にいたる因子とは
心不全(HF)患者の再入院は、患者の死亡率上昇だけでなく、医療機関に大きな経済的負担をもたらす。高齢HF患者では、しばしば感染症による再入院がみられるが、この度、高齢のHF患者における感染症関連の再入院にフレイルと腎機能の低下が関連しているという研究結果が報告された。徳島大学大学院医歯薬学研究部臨床薬学実務実習教育分野の川田敬氏らの研究によるもので、詳細は「Geriatrics & Gerontology International」に3月11日掲載された。
世界でも有数の高齢化社会を擁する日本では、高齢のHF患者が大幅に増加している。高齢者では免疫力が低下することから、高齢HF患者の感染症による再入院率も増加していくと考えられる。これまでの研究では60代や70代のHF患者に焦点が当てられてきたが、実臨床で増加している80代以上の高齢HF患者、特に感染症による再入院に関連する因子については調べられてこなかった。このような背景から、川田氏らは、高齢化が特に進む日本の高知県の急性肥大症性心不全レジストリ(Kochi YOSACOI Study)のデータを使用して、高齢HF患者の感染症による再入院に関連するリスク因子を特定した。
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研究には、2017年5月から2019年12月の間に急性非代償性心不全(ADHF)でレジストリに登録された1,061名を含めた。この中から死亡した患者30名、左室駆出率、日本版フレイル基準(J-CHS)スコア、その他の検査結果などが欠落していた302名を除外し、729名を最終的な解析対象に含めた。
解析対象729名のHF患者の平均年齢は81歳(四分位範囲72.0~86.0)であった。患者は退院後2年間の追跡期間中に感染症関連の再入院を経験した121名(17%)と、感染症関連の再入院を経験しなかった患者608名に分けられた。
HF患者の感染症関連再入院に関連する因子はロジスティック回帰分析により決定した。その結果、独立した予測因子として、J-CHSスコア≧3(調整オッズ比1.83〔95%信頼区間1.18~2.83〕、P=0.007)が特定された。
次に感染症関連再入院の確率を予測するために、各患者について勾配ブースティング決定木(GBDT)モデルを構築した。GBDTモデルでは、J-CHSスコアの高さと推算糸球体濾過量(eGFR)の低下が、感染症関連再入院の増加を予測する最も重要な因子であり、それぞれ「スコア≧3」、「eGFR<35mL/min/1.73m2」の場合にリスクの増加が観察された。また、決定木分析より、感染症関連再入院のリスクは高(J-CHSスコア≧3)、中(J-CHSスコア<3、eGFR≦35.0)、低(J-CHSスコア<3、eGFR>35.0)に分類された。
本研究について著者らは、「本解析より、高齢のHF患者に発生する感染症関連の再入院は、フレイルの程度とeGFR値に関連することが示された。これらの知見は、医療提供者が高齢のHF患者の再入院リスクを適切に管理し、患者の転帰を改善するための貴重なインサイトを提供するものである」と述べた。
本研究の限界点については、観察研究でありワクチン接種などの交絡変数が考慮されていないこと、Kochi YOSACOI Studyには平均年齢81歳という高齢の患者集団が含まれており、HF患者全体に一般化することができないことなどを挙げた。
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心不全のセルフチェックに関連する基本情報。最善は医師による診断・診察を受けることが何より大切ですが、不整脈、狭心症、初期症状の簡単なチェックリスト・シートによる方法を解説しています。
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HealthDay News 2025年4月21日
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若年層の大腸がん、その臨床的特徴が調査で明らかに
大腸がんは日本人で最も患者数が多いがんであり、一般的に50歳代から年齢が上がるにつれて罹患率も上昇することが知られている。一方で、若年層における大腸がんに関する報告は少ない。しかし、今回50歳未満の大腸がんに関する臨床病理学的所見を調査した研究結果が報告された。大腸がんの好発部位や、スクリーニングの有用性が明らかになったという。研究は札幌医科大学医学部腫瘍内科学講座/斗南病院消化器内科の岡川泰氏らによるもので、詳細は「BMC Gastroenterology」に3月11日掲載された。
近年、高所得国を中心として50歳未満で発症する若年発症型大腸がんが増加している。さらに、若年発症型大腸がんは進行期で診断されることが多く、世界的に重要な懸念事項であるが、日本から若年発症型大腸がんについて報告された研究はわずかであり、その臨床病理学的特徴は不明のままである。このような背景から、研究グループは、若年発症型大腸がんの臨床病理学的所見を調査するために単施設の後ろ向き研究を実施した。
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研究には、2015年1月~2021年12月までに北海道札幌市の斗南病院で大腸がんと診断された1,207人の患者が含まれた。この中から、家族性大腸腺腫、炎症性腸疾患、大腸がんの既往のある患者などを除外した、初発の大腸がん患者731人を最終的な解析対象とした。連続変数、カテゴリ変数の比較には、ピアソンのカイ二乗検定とMann-Whitney U検定が適宜適用された。
731人のうち46人(6.3%)が50歳未満(若年発症群)で診断され、685人(93.7%)が50歳以上(高齢発症群)で診断された。若年発症群と高齢発症群の年齢の中央値は、それぞれ45歳と72歳だった。性差、肥満率は両群に差はなかったが、高血圧、脂質異常症、糖尿病、大腸がん以外の悪性腫瘍の既往は高齢発症群で有意に高かった(P<0.01)。診断機会に関しては、大腸がんスクリーニングのための免疫便潜血検査(FIT)により、若年発症群の41.3%で大腸がんが検出され、高齢発症群(26.7%)よりも有意に高かった(P=0.032)。
大腸がんの発生部位別にみると、左側大腸がんの割合は両群に差はなかったが、若年発症群の直腸がんの割合は高齢発症群より有意に高かった(45.7% vs 26.4%、P<0.01)。
診断時の臨床病期(ステージ)に関しては、両群に差はなく、若年発症群と高齢発症群でそれぞれ45.7%と55.2%が非進行期で診断された。さらに両群ともに、非進行期で診断された大腸がん患者は、診断機会としてFITで陽性となる割合が高かった。進行期の患者では自覚症状などをきっかけとして診断される可能性が高かった。
研究結果について著者らは、「本研究では日本人の若年発症型大腸がんは直腸に発生する傾向があり、高齢発症型大腸がん患者と比較してFIT陽性がきっかけで診断されることが多いことが明らかになった。自覚症状などで診断につながる場合はすでに進行期であることが多いため、FITスクリーニングについて啓発し、大腸がんの早期発見に努めることが重要なのではないか」と述べている。
本研究の限界点について、単施設の後ろ向き研究であること、カルテに基づいているため患者背景が十分に解析されていないこと、追跡期間の中央値が43.6ヵ月と短かったことを挙げている。
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花粉症時のアイウォッシュ、その使用傾向が調査で明らかに
アイウォッシュ(洗眼)は花粉症シーズンの目のトラブル対策として有効な手段だが、洗眼剤の使用傾向は年齢、既往歴、生活習慣などの違いによって異なる、とする研究結果が報告された。若年層、精神疾患の既往、コンタクトレンズ(CL)利用者などが洗眼剤使用に関連する因子であったという。研究は順天堂大学医学部眼科学講座の猪俣武範氏らによるもので、詳細は「Scientific Reports」に3月10日掲載された。
洗眼剤の使用はアレルギー性結膜炎の初期症状の軽減に効果的であるとされるが、現在、花粉症患者における洗眼剤使用の疫学的特徴に関しては知識のギャップが存在している。このギャップを埋めることは、花粉症管理において包括的でエビデンスに基づいた洗眼剤のガイドラインを作成するために不可欠である。そのような背景から、研究グループは花粉症患者における洗眼剤使用者と非使用者を総合的にプロファイリングし、花粉症とセルフケアの習慣に関連するパターンと特徴を特定することを目的とした大規模疫学研究を実施した。
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花粉症患者の人口統計、既往歴、ライフスタイル、花粉症の症状などの疫学情報は、順天堂大学が花粉症研究のために開発したスマートフォンアプリケーション「アレルサーチ」より収集された。収集された1万7,597人のうち、研究に同意し、花粉症を有していた9,041人が最終的な解析対象に含まれた。
解析対象9,041人のうち、3,683人(40.7%)が洗眼剤を使用しており、年齢層は20歳未満(47.6%)の割合が最も多かった。洗眼剤使用群では非使用群に比べ、年齢が若く、体格指数(BMI)が高く、薬による高血圧の割合が低く、精神疾患の既往、ドライアイ(DE)診断、腎臓病の既往の割合が高いことが観察された。さらに、洗眼剤使用群ではCLの使用頻度が高く、花粉症シーズンでその使用を中止している割合は低かった。喫煙は洗眼剤使用群で非使用群より有意に高かった。また、ヨーグルトの摂取は、洗眼剤使用群で多かった。
次に単変量および多変量ロジスティック回帰分析を実施し、花粉症患者における洗眼剤使用の関連要因を検討した。その結果、年齢が若い、BMIが高い、精神疾患の既往歴あり、CL使用歴あり、現在のCL使用、1日当たりの睡眠時間が短い(6時間未満)、喫煙歴あり、ヨーグルトの頻繁な摂取、鼻症状スコアが低い、非鼻症状スコアが高い、DE症状がある(軽度~重度)などが、洗眼剤使用の独立した関連因子であることが明らかになった。
また、花粉症関連の眼症状を有する患者の洗眼剤非使用に関連する独立因子は、高齢であること、BMIの低さ、1日当たりの睡眠時間の短さ、DE症状がある(中等度~重度)であった。
本研究の結果について著者らは、「今回の解析結果から、高齢者や重度のDE患者が花粉症の眼症状に洗眼剤を使用していない可能性があることが浮き彫りにされた。これは、花粉症の予防と管理に対する市販の洗眼薬の有効性、副作用、安全性プロファイルについて、今後の花粉症対策や社会的な取り組みを考える上で重要な意味をもつかもしれない」と述べている。
本研究の限界点については、選択バイアスの影響を受け一般化が制限されている可能性があること、自記式調査を採用していることから、想起バイアスや過剰報告の可能性があること、横断研究であるため、洗眼とBMIやヨーグルト摂取などの要因との因果関係を評価できないことなどを挙げている。
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早期肺がん患者の術後の内臓脂肪量は手術方法に影響される
肺がん患者では、呼吸機能の低下だけでなく、体重、筋肉量、内臓脂肪量など、いわゆる体組成の減少により予後が悪化することが複数の研究で報告されている。この度、肺がん患者に対する肺葉切除術よりも切除範囲がより小さい区域切除術後で、体組成の一つである内臓脂肪が良好に維持されるという研究結果が報告された。神奈川県立がんセンター呼吸器外科の伊坂哲哉氏らの研究によるもので、詳細は「Journal of Cachexia, Sarcopenia and Muscle」に3月4日掲載された。
近年行われた2cm以下の末梢型早期肺がんに対する区域切除術と肺葉切除術を比較した大規模な臨床試験JCOG0802/ WJOG4607Lでは、区域切除術が肺葉切除術よりも全生存率(OS)を改善した。この試験では、肺がより温存された区域切除群において肺葉切除群よりも、肺がん以外の病気による死亡が少ない結果であったが、その機序については未だ解明されていない。肺がん患者の良好な予後のためには、内臓脂肪を含む体組成を維持することが重要と考えられるが、肺葉切除と区域切除後の体組成変化の違いについても未だ明らかになっていない。このような背景から、伊坂氏らは肺がん患者における肺葉切除と区域切除後の内臓脂肪の変化量を比較し、予後との関連を明らかにするために、単施設の後ろ向き研究を実施した。
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本研究には、2016年1月から2018年12月までに神奈川県立がんセンターで、肺葉切除または区域切除術を受けた、ステージ0~1の再発のない原発性肺がん患者346名(肺葉切除240名、区域切除106名)が含まれた。本研究の主要目的は肺葉切除と区域切除後のCTによる内臓脂肪面積(VFA)とウエスト周囲径(WC)の長期的(術後3年までの)変化とした。
解析対象のフォローアップ期間の中央値は5.2年(範囲5.0~5.9年)だった。最大腫瘍のサイズが2cm以上だった症例の割合と、病理学的ステージは肺葉切除術群で高かった。
術後6カ月時点のVFAとWCは、肺葉切除群でそれぞれ16.4%と1.0%減少した一方、区域切除群ではそれぞれ0.1%と0.2%増加していた(t検定 各P<0.001、P=0.029)。続いて、二元配置分散分析を実施し、両群におけるVFAとWCのベースラインからの変化量を比較したところ、術後3年まで肺葉切除群のVFAとWCは区域切除群より有意に減少していた(各P<0.001、P=0.038)。年齢、性別、腫瘍サイズ、ステージなどを調整した1対1の傾向スコアマッチングを行って比較した場合も、VFAとWCは有意に肺葉切除群で減少した(各P=0.009、P=0.020)。
術後3年時点のVFAおよびWCの変化量に対するカットオフ値は、Coxの比例ハザードモデルに基づき、それぞれ-13%と-5%と決定された。術後3年時点でのVFAの変化量が-13%以上の患者は、-13%未満の患者と比較して有意にOSが良好だった(5年OS率 97.7% vs 93.4%、ログランク検定 P=0.017)。WCの変化量についても、同様に変化量が-5%以上の患者で有意に良好なOSを示した(P=0.011)。
OSに関する多変量解析では、術後3年時点でのVFA変化量が-13%未満であることが有意な予後不良因子であった(P=0.013)。また、VFAの変化量が-13%未満、WCの変化量が-5%未満に関する多変量解析では、肺葉切除が独立したリスク因子となった(各P<0.001、P=0.004)。
本研究について著者らは、「本研究から、再発のない早期肺がん患者では、肺葉切除後に生じる長期的な内臓脂肪の減少が区域切除術後では起こらないことが示唆された。また、術後3年時点でのVFA変化が-13%未満であることが、早期肺がん患者の予後不良因子であることが示されたことからも、術後の内臓脂肪減少予防の重要性が明らかになったのではないか」と述べた。
本研究の限界点については、サンプルサイズの小さい単施設の後ろ向き研究であったこと、術後3年時点でCTデータが欠落していた患者が除外されていたことなどを挙げている。
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肺がんは初期の自覚症状が少ないからこそ、セルフチェックで早めにリスクを確かめておくことが大切です。セルフチェックリストを使って、肺がんにかかりやすい環境や生活習慣のチェック、症状のチェックをしていきましょう。
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HealthDay News 2025年4月14日
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アラート付き血糖モニタリングにより糖尿病患者の交通事故が軽減か
インスリン治療を受けている糖尿病患者では、治療に起因する低血糖症が起こることがある。低血糖症が車の運転時に起こった場合、意識障害などから交通事故につながりかねない。この度、インスリン治療を受けている糖尿病患者で、アラート付きの持続血糖モニタリングシステム(CGM)の装着により、運転中の低血糖の発生率が低下するという研究結果が報告された。名古屋大学大学院医学系研究科糖尿病・内分泌内科学の前田龍太郎氏らが行った研究によるもので、詳細は「Diabetes Research and Clinical Practice」に2月28日掲載された。
2014年の実態調査では、糖尿病治療中の患者の52%が日常生活で低血糖を経験し、そのうちの10%で運転中に低血糖エピソードを生じ、結果としてその2%が交通事故にあった、と報告されている。無自覚の低血糖を加味すれば、運転中の低血糖エピソードの頻度はさらに高い可能性があり、切迫した低血糖を予測してドライバーに警告できる信頼性の高いシステムが必要とされていた。このような背景から、研究グループは、インスリン治療を受けているドライバーを対象に、低血糖アラート機能付きのCGMの有用性を評価する単施設の非盲検ランダム化クロスオーバー試験を実施した。
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対象には、2021年7月6日から2023年2月27日の間に名古屋大学医学部附属病院でインスリン治療を受け、週3回以上車を運転する成人の糖尿病患者30名が含まれた。30名の参加者は、アラート機能付きCGM群(アラート群)、アラート機能なしCGM群(非アラート群)に1対1で割り付けられた。参加者は、4週の試験期間の後、8週間おいて、群を入れ替えて再度4週間の試験期間に組み入れられた。CGMは皮膚に貼り付けるパッチ式を採用し、期間中の低血糖警告の閾値は80mg/dL(4.4mmol/L)と設定された。主要評価項目は血糖値が基準値(70mg/dL〔3.9mmol/L〕)を下回っていた時間(TBR)の割合とした。
最終的にCGMの解析に含まれた参加者は27名(平均年齢;61.9±12.6歳、女性;8名)だった。27名には、1型糖尿病8名(30%)、2型糖尿病13名(50%)、その他6名(20%)が含まれた。
2つの試験期間を統合して解析した結果、試験全体でのTBRはアラート群(中央値2.0%〔四分位範囲1.0~7.0〕)と非アラート群(同2.0%〔1.0~6.5〕)で有意な差はみられなかった(P=0.169)。しかし、事前に規定された1型糖尿病のサブグループ解析では、非アラート群と比較したアラート群のTBRは有意に減少していた(群間差-4.4%〔95%信頼区間-8.7~-0.1〕、P=0.047)。また、車を運転するときの低血糖エピソードの発生率は、非アラート群(33%)と比較し、アラート群(19%)で有意な減少が認められた(P=0.041)。
本研究の結果について、研究グループは、「今回のCGMはアラートの閾値が80mg/dL(4.4mmol/L)に設定されており、参加者は血糖が基準値以下(<70mg/dL〔<3.9mmol/L〕)になる前にブドウ糖摂取などの予防的措置をとることができた。今回示された結果は、低血糖アラート機能を備えたCGMが、インスリン治療を受けているドライバーの安全性をさらに高め、糖尿病患者の運転制限の緩和に役立つ可能性があることを示唆している」と述べた。
なお、本研究の限界については、CGMで測定した皮下組織中のグルコース濃度は、近似しているが血糖値と同一のものでないこと、CGMの使用により意識が変わり、血糖管理がより慎重になった可能性があったことなどを挙げている。
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糖尿病でいちばん恐ろしいのが、全身に現れる様々な合併症。深刻化を食い止め、合併症を発症しないためには、早期発見・早期治療がカギとなります。今回は糖尿病が疑われる症状から、その危険性を簡単にセルフチェックする方法をご紹介します。
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HealthDay News 2025年4月7日
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低ホスファターゼ症の新たな歯科症状が明らかに―全国歯科調査
子どもの歯は6歳前後で永久歯へと生え変わる。もしそれより早く乳歯が抜け落ちたとしたら、そこに別の病気が隠れているかもしれない。
低ホスファターゼ症(HPP)は、無治療では死に至ることもある遺伝性の骨系統疾患であり、乳歯の早期脱落といった歯科的問題を伴うことが多い。この度、日本人におけるHPPの歯科的所見の調査を目的とした全国調査が行われ、この疾患に関する新たな歯科所見が認められたという。本調査は大阪大学大学院歯学研究科小児歯科学講座の大川玲奈氏、仲野和彦氏らによるもので、詳細は「Scientific Reports」に2月25日掲載された。
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HPPは大きく、成人型・歯限局型などの軽症型、周産期重症型・乳児型などの重症型に分けられる。2015年に全身治療法が国内で承認されて以来、重症型HPPでも生命予後が改善されたが、歯が生えそろうまでの生存が困難であったことから、歯科症状に関しては分かっていないことが多い。大川氏らは、2013年、2018年にHPPの全国調査を実施している。3回目となる今回は、歯の早期脱落に対する不正咬合治療の必要性という観点からHPP患者の歯列と咬合に焦点を当てた全国歯科調査を実施することとした。
全国調査は、歯科を有する総合病院609施設に対して実施された。過去5年間にわたるHPP症例の診療の有無に関するアンケートを送付し、「有」と答えた施設に対して、その症例の歯科症状に関するアンケートを送付、回答してもらった。最終的に、アンケートにより得られた62名に、大阪大学歯学部附属病院の41名を加えた、103名のHPP症例を解析対象とした。
解析に含めた103名のうち47名が歯限局型(軽症型)、55名が非歯限局型(重症型)、1名の分類が不明だった。4歳未満での乳歯の早期脱落は全体で75名(73.5%)が報告され、内訳は歯限局型43名(43/47名、91.5%)、非歯限局型32名(32/55名、58.2%)だった。乳歯の早期脱落は、歯限局型で有意に発生しており(P<0.001)、最も多く脱落した部位は「下顎乳中切歯」だった。歯の形成不全は非歯限局型の40%で認められ、歯限局型(8.5%)と比較し有意に高い割合で発生していた(P<0.001)。
不正咬合は非歯限局型が歯限局型よりも多く、最も多く見られた種類は叢生(そうせい)だった。また、非歯限局型で多かった歯科症状として、口腔習癖(指しゃぶり、舌の突き出し)、摂食嚥下障害(噛まずに飲み込む、飲み物で食べ物を流し込む)が認められた。
著者らは本研究について、「HPPの重症度は様々であり、特に重症型のHPPでは歯の形成不全、不正咬合、口腔習癖、摂食嚥下障害が多く認められた。口腔習癖や摂食嚥下障害に関しては、乳切歯の脱落が原因の可能性もあり、患者には義歯の使用だけでなく、口腔機能の評価や機能訓練が推奨されることを示唆している。HPP患者には、疾患の重症度に応じた集学的治療法の確立が必要なのではないか」と述べた。
本研究の限界については、アンケートに回答しなかった施設にHPP症例が含まれていた可能性があること、アンケートで得られた回答の信頼性などを挙げている。
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HealthDay News 2025年4月7日
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熱中症の重症度が尿でわかる?
昨年、5~9月に熱中症で搬送される人の数は過去最多を記録した。熱中症の重症度は、搬送先施設で血液検査により評価される。しかし、尿中の肝臓型脂肪酸結合蛋白(L-FABP)も熱中症の重症度と相関するという研究結果が報告された。L-FABPは熱中症の生理学的重症度や予後を予測するツールになり得るという。日本医科大学救急医学教室の横堀將司氏、関西医科大学総合医療センター救急医学科の島崎淳也氏らの研究によるもので、詳細は「Scientific Reports」に2月12日掲載された。
熱中症は、高温多湿環境下で体内の水分・塩分量のバランスが崩れ、体温調節機能や循環機能が破綻して発症する。熱中症に対する適切な介入と転帰の改善には重症度の迅速な評価が不可欠だが、救急外来(ER)であっても、血液検査では結果の確認に長い時間がかかる。このような背景から、熱中症の重症度の判断には、よりアクセスしやすい簡易迅速検査の開発が待たれていた。
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L-FABPは、脱水による腎虚血性機能障害を反映する有望なバイオマーカーだ。近年、医療用検査キットにより、短時間でのL-FABP測定が可能になった。重度の熱中症では内臓の血流低下による虚血が伴うことから、研究グループは、その重症度を予測する指標としてこのL-FABPが適用できると考え、L-FABPの検査キットを用いた多施設の前向きコホート研究を行った。
研究には全国の三次救急医療センター10施設が参加し、2019~2021年の夏季に日本救急医学会の熱中症基準に従って「重症」と診断された、18歳以上の患者78名が組み入れられた。敗血症または感染症の疑われる患者は除外した。ERに搬送された78名の熱中症患者は、意識を取り戻す前に採血・採尿が行われた。血清サンプルは臨床検査値の測定に用いられ、多臓器不全評価(SOFA)スコア(0~24でスコアが高いほど重症度が高い)が決定された。尿サンプルは、検査キットを使用し半定性的なL-FABPの測定に用いられた。患者の転帰については、mRSスコア(0~6でスコアが高いほど予後が悪い)が用いられ、退院時、発症1カ月、発症3カ月で計測が実施された。
組み入れ時の患者の年齢は中央値で76歳、SOFAスコアは5.0(四分位範囲 IQR3.0~9.0)だった。患者はL-FABPの濃度に応じて、陰性群(N群;L-FABP<12.5ng/mL)、陽性群(P群;L-FABP≧12.5ng/mL)の2群に分けられた。
初期SOFAスコアはN群で4.0(2.0~7.0)、P群で6.0(4.0~9.3)であり、尿中L-FABP濃度が高かった群では初期SOFAスコアも高くなっていた(U検定、P=0.013)。退院時の転帰については、良好な転帰を示すmRS(0~2)の割合が、N群で62.1%、P群で38.8%であり、N群で有意に良好な転帰を示した(P=0.046)。発症後3カ月後には両群には有意な差は認められなかった(P=0.227)。なお、ROC解析により長期的な転帰を予測するためのカットオフ値は28.6ng/mL(AUC=0.732)と決定された。また、尿中L-FABP濃度と、脈拍数(r=0.300)および乳酸値(r=0.259)の間には弱い正の相関が認められた(各P<0.01)。
研究グループは、本研究について、「L-FABPの検査キットは、熱中症の重症度を予測するとともに、患者の転帰を反映するツールであることが示唆された。この検査キットは保険収載されており、侵襲性が低いことから、その有用性は高いのではないか」と述べた。また、想定される運用方法については、「搬送前に検査結果を特定することで、患者を三次救急医療センターに搬送するか否かの決定をタイムリーに行うことができるようになるだろう」と言及した。
本研究の限界点については、重症の症例に限定したこと、サンプルサイズ、高齢者が多かったことから一般化できない点などを挙げている。
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HealthDay News 2025年3月31日
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新型コロナ後遺症としての勃起不全が調査で明らかに
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患した患者では、回復後も長期にわたりその後遺症に悩まされるケースがある。その後遺症の中には男性における勃起不全(ED)も含まれるが、後遺症としてのEDの有病率とそれに関連する根本的要因が示唆されたという。横浜市立大学附属病院感染制御部の加藤英明氏らが行った研究によるもので、詳細は「Scientific Reports」に2月21日掲載された。
COVID-19感染後のEDは、急性期における炎症性サイトカインや低酸素症による血管内皮障害が原因で進行する。また、身体的・精神的なストレスもEDに影響する。ワクチン接種や早期治療は、この感染症の後遺症の発症率を低下させる可能性はあるが、EDの発症を防ぐための予防策については不明である。加藤氏らは、COVID-19感染後のEDの有病率とその根本的な要因を明らかにするために感染患者を対象とした症例対照研究を実施した。
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本研究は、2021年4月から9月の間に国内でCOVID-19と診断後入院した成人患者を対象とした包括的な長期観察研究(CORES Ⅱ)の二次解析として実施された。対象は、1年目および2年目の調査を完了した日本人男性609人(年齢中央値56歳)とした。EDの有無については、被験者の自覚に基づき「COVID-19感染後に現れた症状で、感染前にはなかった症状を選んでください」という質問により決定された。被験者のQOLと精神状態は、それぞれEQ-5D-5L質問票とHospital Anxiety Depression Scale(HADS)質問票に被験者自身で回答してもらい評価を行った。連続変数、カテゴリ変数の比較にはそれぞれ、両側U検定、フィッシャーの正確確率検定を用いた。
対象609人のうち、116人(19.0%)がEDであった。EDのあった被験者(ED群)ではEDのなかった被験者(非ED群)と比べて、1年目2年目ともに、「回復の主観的認識」が低く(P<0.001)、「息切れ」、「疲労」のスコアが有意に高かった(各P<0.001)。HADSスコアをみると、ED群では抑うつ症状を示すHADS-Dスコアが、1年目2年目ともに有意に高くなっていた(P<0.001)。
次にCOVID-19感染前と1年目、2年目のEQ-5D-5Lスコアの変化を調べた。その結果、ED群は非ED群と比較し、痛み/不快感が2年目(P=0.003)で、不安/抑うつが1年目(P=0.033)、2年目(P=0.002)で有意に高くなっていた。
また、後遺症を分類する探索的なクラスター分析を行った結果、1年目の調査ではEDは睡眠障害と同じサブグループに分類された。
研究グループは本研究について、「EDと睡眠障害の関連は報告されており、我々の研究でも、1年目の調査結果からEDと睡眠障害の関連が示唆された。また、EDを有する被験者では抑うつ症状を示すスコアが高かったことから、COVID-19の後遺症としてEDを示す男性には睡眠障害やうつ病に対する支援療法が必要なのではないか」と述べた。
本研究の限界については、患者の自己申告に基づく後ろ向き解析であるため、想起バイアスの影響を受けている可能性があること、EDの重症度スコアやEDの性質や性交渉への影響については評価していないことなどを挙げている。
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食道がんリスクが平均赤血球容積でわかる?
健康診断などでよく見る平均赤血球容積(MCV)は貧血の種類を判別する指標だが、食道がんの予測因子としても使えるようになるかもしれない。静岡県立総合病院消化器外科の佐藤真輔氏、静岡社会健康医学大学院大学の菅原照氏らの研究によるもので、食道がんの発症リスクが高血圧の既往や生活習慣などとともにMCVでも予測できる可能性があるという。研究の詳細は「PLOS One」に2月11日掲載された。
食道がんは予後不良のがんであり、2020年には世界で54万人が食道がんで死亡している。症例の多くは扁平上皮がんであり、日本や中国を含む東アジアでの発症率が特に高くなっている。食道の扁平上皮がんのリスク因子は飲酒と喫煙であることが報告されている。
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MCVの数値も、多量の飲酒や喫煙により増加することが報告されていることから、食道がん発症の潜在的なバイオマーカーであることは示唆されていた。しかし、これまでの報告は、症例対照研究または単施設研究であったため、研究グループは大規模な日本国内のデータベースを使用し、より信頼性の高い後ろ向きコホート研究を行うこととした。
本研究では、静岡県市町国保データベース(SKDB)を利用した。解析データセットには、2012年4月~2020年9月までのSKDBより、適格性を満たす58万2,342人が含まれた。食道がんの発生は1,562人(0.27%)であり、ICD-10コードのC15によって特定された。共変量については、年齢、性別、BMI、現在の喫煙状況、飲酒状況、併存疾患、血液検査値とした。
対象患者全体の主な特徴は平均年齢が67.9±11.3歳、男性が42%だった。一方、食道がんを発生した患者の平均年齢は71.4±8.13歳であり、男性が80%を占めた。
単変量および多変量のCox比例ハザード回帰分析を実施した結果、高血圧、喫煙、収縮期血圧、飲酒、アルコール使用障害、BMI、LDLコレステロール、MCVが食道がん発症のリスク因子となった。
MCVの値を四分位範囲別に分類し、食道がんの累積発生率をみたところ、MCVの値が高くなるにつれて、食道がんの累積発生率も高くなっていた。また、条件付き推論ツリー解析によって求められた食道がん発症予測のカットオフ値は104.086fLであった。
本研究について、研究グループは、「喫煙と飲酒状況が詳細に分かるのであれば、これらは食道がんの予測因子として非常に有用だろう。しかし、喫煙や飲酒に関する自己申告は必ずしも正確ではない。そのような状況ではMCVの値が有用な予測因子となる可能性がある。また、喫煙や飲酒がリスク因子であることが知られている食道以外のがんに関しても、MCVはがん発症の指標となるかもしれない」と総括した。
予想されるMCVの運用については、「MCVが104fLを超える場合に、内視鏡検査を実施するのが適切と考える。採血のみで簡便に判定できるMCVは、患者負担の観点からも有用な指標となりうる」と述べた。
なお、本研究の限界点については、特定の地域のデータに基づいているため結果は一般化できないこと、データに含まれる飲酒量や喫煙量は自己申告に基づくため、想起バイアス・社会的望ましさバイアスの影響は排除できないこと、などを挙げている。
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AIサポートにより前眼部疾患の診断精度が向上か
AI活用が医療現場にもたらす効果についての研究が活発化している。そのような中、白内障や角膜疾患の診断用に設計されたディープラーニングモデル「CorneAI」のサポートにより、角膜炎などの前眼部疾患に対する眼科医の診断精度が向上したという研究結果が報告された。CorneAI自体の診断精度は86%だったが、そのサポートにより、眼科医の精度がCorneAIのベースを超えて向上したという。福島県立医科大学附属病院眼科学講座の前原紘基氏、筑波大学附属病院眼科の上野勇太氏らの研究によるもので、詳細は「Scientific Reports」に2月11日掲載された。
人工知能(AI)は画像診断(CT、MRI、病理画像など)と親和性が高く、研究開発が活発化している分野の一つだ。眼の画像診断は、様々な前眼部疾患の診断と管理に重要な役割を果たしている。研究グループは、前眼部のカラー写真5,270枚を教師データとして、AIベースの分類ツールであるCorneAIを開発した。教師データには、細隙灯顕微鏡で撮影された、正常、感染性浸潤、非感染性浸潤、瘢痕、沈着/ジストロフィー、水疱性角膜症、水晶体混濁、腫瘍性病変、緑内障発作の9つのカテゴリーの画像が含まれた。
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CorneAIは、眼科医の診断精度の向上、潜在的な診断の提示などに活用できる可能性があるが、AIサポート診断における影響はまだ十分に検討されていなかった。本研究では、CorneAIのサポートにより、眼科医による前眼部疾患の診断の効率と精度が向上するという仮説を立て、CorneAIサポートの有無によるスマートフォン(スマホ)と細隙灯顕微鏡に基づく前眼部疾患の診断性能を評価することとした。
対象は、2022年1月から12月までに13施設で収集された前眼部疾患を有する807名で構成された。症例ごとに、スマホ、細隙灯顕微鏡でそれぞれ1枚の画像が収集された。この807名より無作為に選択された50名(100画像)を最終的な解析対象に含めた。
まず、40人の眼科医(専門医20名、研修医20名)にはConreAIを用いずに画像を9つのカテゴリーに分類してもらった。次に、2~4週間後に同じ画像をCorneAIのサポートの下、再度分類してもらった。その結果、眼科医による全体的な分類精度は79.2±7.9%から88.8±5.3%に大幅に向上した(t検定、P<0.001)。なお、CorneAI自体の画像の分類精度は86.0%だった。
画像別にみると、スマホ画像の精度は78.8±23.2%から85.8±22.8%へ、細隙灯顕微鏡画像では81.6±21.8%から89.2±14.8%へとそれぞれ向上していた(各P<0.001)。また、診断に要する時間においても、CorneAIのサポート下では専門医、研修医ともに短縮される傾向が認められた。
研究グループは、今回のCorneAIの検証結果について、「CorneAIのサポートを受けた眼科医で診断精度が向上し、その診断時間が短縮される可能性が示唆された。また、CorneAIは細隙灯顕微鏡画像で学習しているにも関わらず、スマホ画像でも診断精度を効果的に向上させることができた。CorneAIをスマホ画像で学習させればさらなる精度の向上が望めるかもしれない」と総括した。本研究の限界としては、参加した眼科医が大学病院に所属しており、一般病院やクリニックに勤務する眼科医とは区別されること、眼科医が最初の診断の結果を覚えている可能性を完全に否定できないことなどを挙げている。
CorneAIの可能性を示す一方で、著者らは、「AIはあくまでも診断サポートツールであり、誤診をする可能性もある。AIが普及したとしても、医師は臨床経験を積み、専門知識を磨く努力を続ける必要がある」と強調した。
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国の指定難病の1つとして登録されている潰瘍性大腸炎。潰瘍性大腸炎とは大腸の粘膜にびらんや潰瘍ができ、さまざまな症状が出る慢性の病気です。現在の医学では主な原因がはっきりわかっておらず、完全に治すのが難しいとされています。

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