全身性エリテマトーデスについて

免疫の異常によって発症するため、だれが発症してもおかしくありません。難病として指定されている全身性エリテマトーデスについて、基本的なことから知っていきましょう。

全身性エリテマトーデスとは
本来身体を守るはずの免疫細胞が異常となってしまい、自分自身を攻撃してしまう自己免疫性疾患です。
「SLE」と略して呼ばれ、オオカミに噛まれた痕のような紅斑が出ることから「ループス」(ラテン語でオオカミを意味します。)とも名付けられています。20~40代の女性に多く発症する病気です。
原因は不明とされており紫外線を多く浴びたり、風邪などのウイルス感染、ホルモンバランスの崩れなどが誘因となっているとされています。
数年前までは、全身性エリテマトーデスを発症してからの寿命は5年と言われていましたが、ステロイドなどの使用によって生存率が上昇しています。
現在では、全身性エリテマトーデス発症後5年での生存率は95%を超え、普通に生活される方が増えています。

全身性エリテマトーデスの検査と診断
全身性エリテマトーデスかもと疑いが出た場合は、下記の検査が行われます。様々な症状を表す疾患であることから、診断は慎重に行われており、現在日本では二種類の診断基準が使われています。
・血液検査
血液(抗核抗体、血算、赤沈)検査で、かかっている場合抗核抗体、抗ds-DNA抗体が要請になることが多いです。
・尿検査
蛋白尿や尿潜血が出ていないかを調べます。
その他に症状によって、生体検査・CT検査・MRI検査・髄液検査・脳波検査が行われます。
初期症状は、発熱・だるさ・関節痛など風邪に似ています。なかなか改善しないことから発症が分かることが多いです。
・全身症状
38度を超える発熱が1週間以上続く・37.5度前後の微熱が2週間以上続くなどの発熱症状、全身の倦怠感や疲労感があります。また、食欲不振や体重減少なども出てきます。
・皮膚症状
蝶が羽を広げたような蝶型紅斑が出ることが有名です。また、顔や耳・首に丸い円盤のようなディスコイド疹が見られた理り、指が白く冷たくなるレイノー現象も起こります。
・関節症状
手・指・ヒザ・ヒジが腫れて痛む関節炎が起こります。また、日によって痛む場所が変化する移動型関節炎が見られることもあります。
・日光過敏症
紫外線に当たった後に赤い発疹・水ぶくれが出たり、発熱する場合があります。日光過敏症が全身性エリテマトーデスの始まりであることもあります。
・口内炎
痛みのない口内炎を発症します。鼻咽腔にもまれに発症することがあります。
・脱毛
円形脱毛のように部分的に毛が抜ける・全体の髪の量が減るなどの脱毛症状が出ます。また、髪が傷みやすく、途中から切れやすくなる人もいます。
・臓器障害
心臓・肺・消化器官・血液など全身のあらゆる臓器に障害を起こしますが、人によって症状や部位が異なります。また、臓器障害の出ない人もいます。
腎臓の場合、半数近くがかかってしまうループス腎炎と言われるネフローゼ症候群や急性進行性糸球体腎炎によるむくみや血尿などの症状があります。
心臓や肺では、漿膜炎が起こり、深呼吸すると胸が痛んだり、すぐに息切れしてしまうなどの症状が出ます。
他に、腹痛や吐き気が出た場合、腸間膜の血管炎や、ループス腹膜炎・ループス膀胱炎などの可能性もあります。
・中枢神経症状
中枢神経症状のCNSループスは重篤な症状とされています。うつ・失見当識・妄想という精神症状と、けいれん・脳血管障害などが見られます。

原因のわからない全身性エリテマトーデスですが、炎症を抑えて過剰な免疫を抑制することが夕刻な治療法になります。ステロイドの点滴薬・飲み薬が基本となり、炎症の状態が改善してきたら徐々に薬の量を減らしていきます。自己判断は絶対に禁物です。
ステロイドによって食欲が増進してしまうため糖尿病になりがちなため注意が必要です。さらに骨粗しょう症にもなりやすいので、合わせて薬が処方されることもあります。

全身性エリテマトーデスの予後は、症状が出なくなっている寛解期と再び症状が現れてしまう再燃を繰り返して慢性の経過をたどってしまいます。
しかし、閉経した女性の場合は再発する確率が少なくなっています。慢性化させず、再発させないためにもステロイド剤の服用と、医療機関への定期受診が大切です。
全身性エリテマトーデスは何が原因で発症するかわからない難病のため、とても不安に思うかもしれません。
しかし、全身性エリテマトーデス発症したという国内外の芸能人の写真を見ると、実に多くの人がかかっていることが分かります。また、発症後も歌ったり踊ったりとされている方も多く、同じ全身性エリテマトーデスの人にとって希望が持てるでしょう。
以前とは違って生存率も高くなっており寛解期には、妊娠出産も可能ですので、きちんと投薬を受け、合併症を防ぐための定期診断を忘れず上手に付き合っていきましょう。
全身性エリテマトーデスは膠原病の一種で難病指定されている病気です。
どういう症状があれば全身性エリテマトーデスが疑われるのでしょうか?今回は全身性エリテマトーデスの基本的な概要と、セルフチェックについてご紹介します。
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意欲低下と抑うつの併存、高齢者の多面的フレイルと関連か
高齢者のフレイルは身体機能だけでなく、認知、社会、口腔など多面的な側面を持つことが知られている。今回、地域在住高齢者を対象とした研究で、意欲低下(アパシー)と抑うつ症状はいずれも身体・認知・社会フレイルと関連し、両者を併存する場合には口腔を含む多面的フレイルとの関連が示唆された。研究は、島根大学医学部内科学講座内科学第三の黒田陽子氏、同大学地域包括ケア教育研究センター(CoHRE)の安部孝文氏らによるもので、詳細は2月6日付で「Geriatrics & Gerontology International」に掲載された。
日本の超高齢社会では健康寿命の延伸が重要課題であり、フレイルは加齢に伴う生理的予備能の低下によりストレスへの抵抗力が弱まった状態で、要介護や転倒、入院、死亡などと関連することが知られている。日本では多面的評価を可能とする「後期高齢者の質問票(Questionnaire for Medical Checkup of the Old-Old:QMCOO)」が導入されたが、各フレイル領域との関連、とくに情動機能との関係は十分に検討されていない。抑うつはフレイルとの関連が報告されている一方、アパシーとフレイルの関連や両者の違いは不明な点が多い。本研究は、地域在住高齢者を対象に、アパシーと抑うつ症状を独立して評価し、身体・口腔・認知・社会の各フレイル領域との関連を明らかにすることを目的とした。
【認知症の治験について相談したい方へ】
治験情報の探し方から参加検討まで、専門スタッフが一緒にサポートします本研究は、2024年のShimane CoHRE Studyに参加した島根県雲南市在住の75歳以上の高齢者465人を対象とした横断研究として実施された。アパシーは日本語版Starkstein Apathy Scale(やる気スコア)で16点以上、抑うつ症状はSelf-rating Depression Scaleで40点以上を基準に定義した。フレイルは、身体・認知・社会・口腔の各領域についてQMCOOを用いて評価した。解析では、年齢、性別、BMI、Multimorbidityで調整したロジスティック回帰分析を行った。
参加者の年齢中央値は78歳(四分位範囲76.0~82.0)、女性は約半数(49.7%)を占めた。参加者におけるアパシー、抑うつ症状、および両者の併存の有病割合は、それぞれ30.8%、29.9%、14.6%であった。二変量解析では、アパシー群は非アパシー群と比べて認知的フレイル(特に時間の見当識障害)や社会的フレイル(相談相手の不在など)の割合が高く、抑うつ症状群では身体機能低下を中心とした身体的フレイルとの関連が目立った。
多変量解析では、アパシーおよび抑うつ症状はいずれも身体的フレイル、運動習慣の欠如、認知的フレイル、記憶障害、社会的交流の不足と独立して関連していた。さらに、アパシーは時間の見当識障害、社会的フレイル、閉じこもり、相談相手の不在と関連し、抑うつ症状は咀嚼機能低下や身体機能低下との関連が特徴的であった。
また、アパシーと抑うつ症状の併存群では口腔・身体・認知・社会のすべてのフレイル領域と有意な関連が認められた。
著者らは、アパシーと抑うつ症状は共通して身体的・認知的フレイルと関連する一方、アパシーは特に社会的フレイルとの関連が示唆されたと結論づけている。また、「両者が併存する場合には口腔領域を含む複数のフレイル領域と関連し、多面的な脆弱性が強まる可能性がある。フレイル予防には情動機能の評価と個別化された対応が重要であり、因果関係の解明には今後の縦断研究が求められる」と述べている。
なお、本研究の限界として、横断研究デザインのため因果関係を検討できない点や自己報告によるバイアス、QMCOOのみでのフレイル評価、健診受診者に限定された集団による一般化可能性の制限などを挙げている。
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BMIでは見えない死亡リスク? 新体型指標の可能性
体格評価に広く用いられるBMI(体格指数)だが、その限界も指摘されている。近年、体型の丸みや腹囲を反映する指標であるBody Roundness Index(BRI)や、体型形状を考慮したA Body Shape Index(ABSI)が提案されている。今回、日本人約78万人を対象とした大規模研究で、これらの指標が死亡リスク評価に新たな視点をもたらす可能性が示された。研究は、東京大学大学院医学系研究科ヘルスサービスリサーチ講座の木村悠哉氏らによるもので、詳細は1月31日付で「Journal of Obesity」に掲載された。
BMIは体脂肪の指標として広く用いられているが、脂肪と筋肉を区別できない点や脂肪分布を反映しない点が課題とされている。同じBMIでも体組成や死亡リスクが異なる可能性があり、近年は腹囲や内臓脂肪を反映した新たな体型指標であるBRIやABSIが提案されている。欧米や糖尿病患者を対象とした研究では、これらの指標がBMIより死亡リスク評価に優れる可能性が示唆されているが、アジア人の一般集団でのエビデンスは限られている。本研究では、日本人を含むアジア集団において、BMI・BRI・ABSIと全死亡との関連を比較し、BMIカテゴリ内でのより詳細なリスク層別化が可能かを検証することを目的とした。
【肥満症の治験について相談したい方へ】
治験情報の探し方から参加検討まで、専門スタッフが一緒にサポートします本研究では、全国を代表する日本のレセプトデータベース(2014~2022年)を用いた後ろ向きコホート研究として、健康診断を受診した77万8,812人を解析対象とした。主要評価項目は全死亡とした。3つの身体計測指標は、制限付き三次スプライン曲線から算出したカットオフ値に基づき5群(Q1~Q5)に分類した。人口統計学的因子、生活習慣および併存疾患で調整した多変量Cox比例ハザードモデルを用いて、これらのカテゴリ変数と全死亡との関連を評価した。
参加者の平均(標準偏差)年齢は62.8(9.6)歳で、女性は44万5,250人(57.2%)であった。死亡例ではABSIが生存者より高値であった一方、BMIおよびBRIには明確な差はみられなかった。また、BRIはBMIと強い相関を示したのに対し、ABSIはBMIとほとんど相関が認められなかった。
追跡期間中央値(四分位範囲)4.53(3.28~6.23)年の間に、1万4,690件の死亡が確認された。BMIおよびBRIでは、値が低すぎても高すぎても死亡リスクが上昇する「U字型」の関連がみられた。一方、ABSIでは低値域ではリスク上昇が比較的緩やかで、高値になるほど急激にリスクが増加する「J字型」の関係が示された。
基準カテゴリ(Q3)と比較した死亡リスクの有意差は、BMIではQ1・Q2・Q5の3カテゴリに認められたのに対し、BRIおよびABSIでは基準カテゴリ(Q3)以外のすべて(Q1・Q2・Q4・Q5)で認められた。
著者らは、「本研究はアジア人集団における死亡リスク評価において新たな身体計測指標を考慮することの有用性を示唆している。また、これらの知見は、体組成評価や肥満管理におけるより包括的なアプローチの発展に寄与する可能性がある」と述べている。
なお、本研究の限界として、民族差を検討できない点、死因別死亡が解析できない点、観察期間が比較的短い点、選択バイアスや社会経済的要因を調整できないことによる残余交絡の可能性がある点などを挙げている。
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肥満という言葉を耳にして、あなたはどんなイメージを抱くでしょうか?
今回は肥満が原因となる疾患『肥満症』の危険度をセルフチェックする方法と一般的な肥満との違いについて解説していきます。肥満症の危険度をセルフチェック!一般的な肥満との違いは?
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HealthDay News 2026年3月9日
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日本の健康アウトカムに地域差、「へき地度」で示された疾患別死亡率との関連
日本では地域によって医療資源や人口構成が異なり、健康アウトカムの差が指摘されている。今回、こうした地域特性を定量的に評価する指標「へき地度(Rurality Index for Japan:RIJ)」を用いた全国規模の研究で、RIJが高い地域ほど脳血管疾患の死亡率や男性の自死率が高い傾向が示された。研究は、横浜市立大学大学院データサイエンス研究科ヘルスデータサイエンス専攻の金子惇氏、山形大学大学院医学系研究科医療政策学講座の池田登顕氏によるもので、詳細は1月26日付で「BMJ Open」に掲載された。
世界的に都市と地方では健康状態や医療アクセスの格差が報告されているが、日本では「へき地性(rurality)」の定義や評価方法が研究ごとに異なり、統一指標による検討は十分に行われていなかった。離島や過疎地域、無医地区など医療アクセスに課題を抱える地域も存在する中、客観的な指標を用いた全国的評価の必要性が指摘されてきた。そこで本研究は、日本の医療におけるへき地尺度(RIJ)を用い、主要5疾患における地域差を評価するとともに、へき地性と高齢化率や社会経済状況との関連を検討した。
【治験について相談したい方へ】
治験情報の探し方から参加検討まで、専門スタッフが一緒にサポートします研究は、生態学的研究デザインを用い、日本の自治体および政令指定都市の行政区を対象に実施された。人口が0人の地域を除く1,897自治体・行政区、総人口約1億2,600万人を解析対象とした。地域のへき地度はRIJを用いて評価し、RIJスコアは分布に基づいて四分位(Q1〜Q4)に分類した。急性心筋梗塞(AMI)、脳血管疾患(脳卒中・脳出血)、がん、自死について標準化死亡比(SMR)を算出し、死亡データが利用できない糖尿病については外来診療の標準化受療比(SCR)を代替指標として用いた。
解析対象となった1,897の自治体・行政区の解析から、RIJが高い地域ほど、脳血管疾患および男性自死のSMRが高いことが示された。いずれもRIJの上昇に伴い段階的に増加する傾向(用量反応関係)が認められた。
男性の脳卒中・脳出血のSMRは、最もRIJが低い地域(Q1)を基準とすると、RIJのSMRに対する回帰係数がQ2で11.5、Q3で12.7、Q4で18.4と増加し、女性でも同様の傾向がみられた。また男性の自死のSMRでも同様に、Q2で8.7、Q3で12.9、Q4で14.1と、RIJが高いほど回帰係数が上昇した。
AMIでは、RIJが高い地域でSMRが高い傾向がみられたが、明確な段階的増加は確認されなかった。一方、がん死亡率および糖尿病外来受療のSCRについては、RIJとの有意な関連は認められなかった。
さらに、RIJは地域の高齢化率および地理的剥奪指標(ADI)と正の相関を示し、RIJが高いほど高齢者割合や社会経済的困難を抱える傾向が示された(Spearmanの相関係数はそれぞれ0.67、0.55)。これらの結果は、へき地度の高い地域では医療アクセスや社会的支援の面で課題が集中していることを示唆している。
著者らは、「これらの結果は、救急医療へのアクセス改善およびメンタルヘルス支援の強化を含む、へき地度の高い地域に焦点を当てた医療政策の重要性を示している」と述べている。
なお、本研究では自治体単位の解析で個人レベルの因果関係は示せない点や、人口2000人未満の地域が含まれておらず、最もへき地度の高い地域における格差を過小評価した可能性がある点などが限界として挙げられる。またSCRは受療行動や患者移動の影響を受けるため、医療ニーズを直接反映していない可能性もある。
地域差を単なる都市・地方の二分法ではなく、連続的な「へき地度」として捉えた点は、今後の地域医療政策や研究のあり方にも示唆を与える結果といえそうだ。
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HealthDay News 2026年3月2日
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子宮頸がん検診、受診率は制度で変わる? 東京都51自治体解析
日本では子宮頸がんの罹患が増加する一方、検診受診率の低さが課題となっている。今回、東京都内の51自治体を対象とした研究で、検診受診率には大きな地域差があり、医療機関数や予約制度、HPV検査導入などの制度的要因が関連していることが示された。研究は、東京科学大学公衆衛生看護学分野の原田伊織氏、月野木ルミ氏らによるもので、詳細は1月21日付で「The Asian Pacific Journal of Cancer Prevention」に掲載された。
日本では1990年代半ば以降、子宮頸がんの罹患率・死亡率が上昇しているにもかかわらず、検診受診率は欧米に比べ低い状況が続いている。子宮頸がんは前がん病変の段階で発見・治療すれば予防可能であり、細胞診やヒトパピローマウイルス(HPV)検査による検診は有効な予防手段とされるが、日本では自治体や職域など複数の仕組みが混在し、地域ごとの運用差が受診率の格差につながっている可能性がある。また、子宮頸がん検診への参加に影響する地域レベルの要因を明らかにすることは、参加率を改善し、全体の受診率向上および地域間格差の縮小につながる介入策の開発に寄与する可能性がある。そのような背景から、本研究は、東京都内における子宮頸がん検診受診率の地域差を明らかにし、それに関連する地域要因を検討することを目的とした。
【子宮頸がんの治験について相談したい方へ】
治験情報の探し方から参加検討まで、専門スタッフが一緒にサポートします本研究は後ろ向きの生態学研究として、東京都内51自治体のデータを用いて実施された。主要評価項目は検診受診率とし、データは2018年の東京都保健医療局のがん検診統計、人口統計、ならびに各自治体の公式ウェブサイトから収集した。各自治体について、就業女性の割合、検診申し込みの必要性(あり/なし)、子宮頸部細胞診とHPV検査の併用の有無など、地域要因の候補となる項目を収集した。検診受診率とこれらの要因との関連は、重み付き最小二乗法による線形回帰モデルを用いて検討した。
東京都における子宮頸がん検診の平均受診率は18.6%であり、自治体間で大きなばらつきが認められた(範囲8.1%〜85.8%)。自治体間で検診体制には差があり、就業女性割合は平均38.9%で、検診実施医療機関数にも大きなばらつきがみられた。無料検診は約6割の自治体で提供されていた一方、細胞診とHPV検査の併用はごく少数に限られた。また、約4割の自治体では保健センター等で検診申し込みが必要であった。
次に、検診受診率と地域要因候補との関連を線形回帰モデルにより解析した。その結果、対象女性1万人あたりの検診実施医療機関数(β=41.51、95%信頼区間〔CI〕:23.66〜59.36、P<0.001)、就業女性の割合(β=1.03、95%CI:0.43〜1.63、P<0.001)、検診申し込みの必要性(検診申し込み不要を基準)(β=−5.56、95%CI:−9.57〜−1.62、P=0.01)、およびHPV検査併用の導入(未導入を基準)(β=12.89、95%CI:5.42〜20.36、P<0.001)が検診受診率と有意に関連していた(βは各要因と受診率との関連の強さを示す回帰係数)。
本解析から医療機関数の多さやHPV検査導入は受診率の高さと関連していた一方、検診申し込みが必要な場合は受診率が低い傾向が示された。
著者らは、「子宮頸がん検診の受診率向上には、医療機関へのアクセス改善、検診受診手続きの簡略化、HPV検査併用の実施が関連している可能性が示された。これらの知見は、地域の子宮頸がん検診体制や公衆衛生政策の検討に役立つと考えられる」と述べている。
なお、本研究は東京都の自治体による子宮頸がん検診のみを対象としており、全国への一般化には限界がある。また、職域での任意の子宮頸がん検診は考慮されていない。
検診を受けない理由は「意識」だけではなく、「仕組み」にもある可能性が示された。検診を受けやすい環境づくりが、子宮頸がん予防の第一歩となりそうだ。
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HealthDay News 2026年3月2日
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全国データで見えた舌がんの実像――年代・性別で異なる手術動向
舌がんは、舌に発生する口腔がんの一つで、進行すると発話や嚥下に大きな影響を及ぼす。日本では舌がんの全国的な動向は十分に把握されてこなかったが、今回、全国レセプトデータを用いた解析により、舌がんが女性の特定年齢層で増加している可能性が示された。研究は、稲毛病院整形外科の城戸優充氏、京都府立医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科学教室の辻川敬裕氏らによるもので、詳細は1月18日付で「Cancer Medicine」に掲載された。
舌がんの罹患率は世界的に増加しており、特に若年層や女性での増加が懸念されている。しかし日本では、舌がんは口腔・咽頭がんとして一括して統計化されており、全国的な実態は十分に把握されていない。国民皆保険制度のもと、95%以上の保険請求を網羅するレセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)は、全国疫学研究に適したデータ基盤である。舌切除術が全病期で標準治療であることから、本研究では手術コード(医科K415および歯科J018)に基づき舌がん手術を新規症例の代替指標として用い、全国的な舌がん罹患の年次推移および年齢・性別別の特徴を明らかにすることを目的とした。
【糖尿病の治験について相談したい方へ】
治験情報の探し方から参加検討まで、専門スタッフが一緒にサポートします本研究では、医科(2014~2022年)および歯科(2016~2022年)のレセプトデータを用い、全体ならびに年齢階級別の男女比を算出した。さらに、人口10万人年あたりの手術率について、性別および年齢階級別に人口学的ピークの解析を行った。年次推移については、手術件数を線形回帰モデルで、手術率をポアソン回帰モデルで解析し、年次リスク比(RR)を推定した。なお、RR>1.0は人口10万人年あたりの手術率が年々増加していること、RR<1.0は減少していることを示す。
2016~2022年の医科・歯科レセプトデータを用いた解析では、年間平均4,470.7件の手術が実施されていた(手術率:3.4件/10万人年)。男女比は全体で1.6:1であり、男性がやや優勢であることが示された。年齢階層別の男女比は、40歳未満ではほぼ1:1であったのに対し、60~70歳代では2.0:1となり男性優位の傾向が顕著に認められた。
手術率は、男性では75~79歳でピーク(12.0件/10万人年)を示し、女性では75~84歳でピーク(5.9件/10万人年)を示した。年齢調整後の手術件数(医科)は2014年から2022年にかけて有意に増加していた。
さらに年齢調整した手術率は、女性全体(RR=1.020、P<0.0001)および全体集団(RR=1.010、P=0.0006)で有意な増加を示した。年齢階級別の解析では、女性の40~44歳(RR=1.083、P=0.0001)および60~64歳(RR=1.055、P=0.0005)で有意な増加が認められた。
本研究の結果から、特定の年齢層(中高年)の女性で、舌がんが増えている可能性が浮かび上がった。著者らは、「本研究で示された中高年女性での舌がん手術率の増加傾向は、今後、喫煙や飲酒などの修正可能なリスク因子に関する啓発を含め、女性を意識した予防・早期対応の重要性を示唆する結果といえる」と述べている。
なお、本研究の限界として、レセプトデータを用いた解析であり、再手術や疾患分類の誤差、病期や生活習慣など患者背景を考慮できていない点を挙げている。また歯科レセプトの観察期間が短く、結果の解釈には注意を要するとしている。
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HealthDay News 2026年2月24日
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がん患者の予後に影響する「糖尿病」――心血管疾患発症リスクを高める可能性
がん治療の進歩により、生存期間が延びる患者が増える一方で、治療後に心血管疾患(CVD)を発症するリスクが新たな課題として注目されている。しかし、どのような患者がCVDを発症しやすいのかは、十分に明らかになっていない。今回、大阪府の大規模がん登録データを用いた解析で、がんの初回診断時に糖尿病を併存する患者では、CVDの新規発症および全死亡リスクが有意に高いことが示された。研究は、大阪国際がんセンターがん対策センターの桒原佳宏氏、宮代勲氏らによるもので、詳細は1月22日付で「PLOS One」に掲載された。
がん治療の進歩により生存期間が延び、がんサバイバーが増加する一方、がんとCVDは共通の危険因子を多く持ち、治療自体もCVDリスクを高めることから、治療後のCVD発症が重要な課題となっている。しかし、がん患者においてCVD発症に影響する因子は十分に明らかではない。糖尿病は一般集団でCVDリスクを高めることが知られているが、がんの初回診断時にCVDを有さない患者における影響は不明である。欧州心臓病学会(ESC)が策定した心臓とがん医療に関するガイドラインでは、がん患者の糖尿病管理の重要性が示されているが、十分なエビデンスはそろっていない。本研究は、糖尿病併存がCVD発症および死亡に与える影響を明らかにすることを目的とした。
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治験情報の探し方から参加検討まで、専門スタッフが一緒にサポートします本研究は多施設の後ろ向きコホート研究であり、大阪府がん登録をDPCデータと連結した集団ベースのデータを用いた。2010~2015年にがんと診断され、初回診断時にCVDのない患者を対象とした。糖尿病の有無は糖尿病治療薬の処方歴から判定し、CVD発症はICD-10コードで同定した。がん診断後3年間追跡し、がん診断時の糖尿病併存の有無と全死亡およびCVD発症との関連を、年齢、性別、がん種、病期、BMIなどで調整したCox比例モデルおよび競合リスク解析で評価した。
本研究の解析対象12万1,997人のうち、4,317人は、がんの初回診断時に糖尿病を併存していた。糖尿病を併存する群は、併存しない群と比較して男性の割合が高く、比較的高齢の患者が多かった。また、遠隔転移を有する患者の割合も高かった。
糖尿病を併存する群の3年生存率は61.5%で、併存しない群の78.2%を下回っていた。交絡因子を調整したCox比例ハザードモデルの結果、糖尿病を併存する群では、併存しない群と比較して全死亡リスクが有意に高く(調整ハザード比1.40〔95%信頼区間1.33~1.48〕)、予後不良との関連が示された。がん部位別解析では、糖尿病の併存は一部のがん種を除き、ほとんどのがん部位で予後不良と関連していた。がん診断後に糖尿病と診断された患者を除外した感度解析でも、結果は一貫していた。
死亡を競合リスクとして考慮した競合リスク回帰分析では、糖尿病を併存する患者は、併存しない患者と比較して全CVDの発症リスクが有意に高かった(同1.43〔1.34~1.53〕)。また、心血管イベントの種類やがん種によって関連の強さには差がみられたが、がん種別解析でも全体解析と同様の傾向が認められた。なお、がん診断後に糖尿病と診断された患者を除外して解析しても、主要な結果は変わらなかった。
死亡直前2か月以内に入院歴のあった2万1,292人を対象に死因を推定した解析では、糖尿病を併存する群でCVDによる死亡割合が高かった(6.94% vs. 4.57%)。交絡因子を調整したロジスティック回帰分析でも、糖尿病の併存はCVDによる死亡リスクの上昇と有意に関連していた(オッズ比1.47〔95%信頼区間1.19~1.81〕)。がん種別では、胃がんおよび胆嚢がんでこの関連が有意であった。
著者らは、「がん診断時に心血管疾患のない患者でも、糖尿病を併存している場合、その後の心血管疾患の発症や予後に悪影響を及ぼす可能性が示された。糖尿病管理ががん患者の転帰改善につながるかどうか、今後の検証が必要である」と述べている。
なお、本研究の限界として、診療報酬データに基づく後ろ向き観察研究である点、糖尿病やCVDの誤分類や未調整の交絡因子の影響を否定できない点などを挙げている。
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糖尿病でいちばん恐ろしいのが、全身に現れる様々な合併症。深刻化を食い止め、合併症を発症しないためには、早期発見・早期治療がカギとなります。今回は糖尿病が疑われる症状から、その危険性を簡単にセルフチェックする方法をご紹介します。
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HealthDay News 2026年2月24日
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性格は仕事のやる気より“燃え尽きやすさ”に関係か
仕事への「やる気」や「燃え尽き」は、個人の性格によってどの程度左右されるのか。今回、日本の企業で働く正社員を1年間追跡した研究から、性格特性はワーク・エンゲージメント(やる気)とは関連しなかった一方で、バーンアウト(燃え尽き)とは有意に関連することが示された。研究は、鳥取大学大学院医学系研究科臨床心理学講座の福崎俊貴氏、獨協医科大学大学院看護学研究科の岩田昇氏によるもので、詳細は1月7日付で「PLOS One」に掲載された。
近年、労働者のメンタルヘルスでは、仕事への前向きさを高め、健康障害を防ぐ「ポジティブな心理状態」が重視されており、その理論的枠組みとして仕事の要求度-資源モデル(JD-Rモデル)が用いられている。このモデルでは、仕事の資源(職場のサポートや報酬)がワーク・エンゲージメントを高める一方、仕事の要求がバーンアウトを引き起こすとされる。また、職場環境だけでなく、自己効力感やレジリエンス、性格といった個人要因も重要と考えられている。中でも性格特性は、ワーク・エンゲージメントやバーンアウトとの関連が示唆されてきたが、多くは横断研究にとどまり、職場要因を同時に考慮した縦断的検証は行われていない。さらに、従来のバーンアウト尺度には測定上の課題がある。
【治験について相談したい方へ】
治験情報の探し方から参加検討まで、専門スタッフが一緒にサポートしますそこで本研究では、新たなバーンアウト評価尺度(Burnout Assessment Tool:BAT)を用い、日本の労働者を対象に、性格特性とワーク・エンゲージメントおよびバーンアウトとの関連を、職場要因を調整した上で縦断的に検討した。
本研究では、楽天インサイト株式会社に登録された約220万人のモニターパネルのうち、国内の企業・組織に勤務する正社員を対象に、1年の間隔をあけてオンライン調査を2回実施した(ベースライン調査:2022年11~12月、追跡調査:2023年11~12月)。両調査に回答した500人(男性299人、女性201人、追跡率33.3%)のデータを解析に用いた。性別や年齢などの人口統計学的変数に加え、仕事の要求度・裁量、上司や同僚の支援、外在的報酬といった職場要因を質問票で評価した。ワーク・エンゲージメントとバーンアウトは日本語版尺度を用いてベースラインおよび追跡調査で測定し、性格特性(ビッグファイブ)はベースライン時に評価した。解析には階層的重回帰分析を用い、ベースライン時のワーク・エンゲージメントとバーンアウトおよび人口統計学的変数を調整した。
本研究の参加者の平均年齢は45.9歳で約60%が男性であった。1年間追跡した解析の結果、ワーク・エンゲージメントは低下した一方で、バーンアウトの程度には大きな変化はみられなかった。
ワーク・エンゲージメントについては、性格の違いによる影響はほとんど認められず、年齢に加えて、高い外在的報酬(標準化回帰係数〔β〕=0.15、P<0.001)や同僚からの支援(β=0.12、P<0.05)といった仕事の資源の要因が強く関係していた。これに対し、バーンアウトについては、仕事の要求度が大きいほど(β=0.10、P<0.01)、また神経症傾向が高いほど(β=0.08、P<0.05)高く、誠実性が高い人ほど(β=-0.08、P<0.05)低い傾向が認められた。
著者らは、「今回の結果は、ワーク・エンゲージメントを高めるには性格よりも資源の豊富な職場環境の整備が、バーンアウトを防ぐには仕事の負担や個人特性への配慮が重要であることが示唆された」と述べている。
本研究の限界として、参加者はオンライン調査パネルの登録者に限られていた点、職務要因(仕事の負荷や職場環境)は一部しか評価していない点などを挙げている。加えて、因果関係の向きや日本特有の文化的背景も考慮に入れる必要があるとしている。
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HealthDay News 2026年2月16日
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歯や口の困りごとがうつ病と関係? 日本人成人1.5万人を追跡調査
メンタルヘルス対策は精神症状そのものに焦点が当てられてきた一方で、日常生活に身近な身体的要因との関連は十分に検討されてこなかった。そうした中、日本人成人約1万5,000人を1年間追跡した縦断研究により、歯や口の困りごとによって口腔関連QoL(OHRQoL)が低い人ほど、その後にうつ病が発症しやすいことが示された。研究は、岡山大学学術研究院医療開発領域の竹内倫子氏、学術研究院医歯薬学域予防歯科学分野の江國大輔氏、東北大学大学院医学系研究科公衆衛生学分野の田淵貴大氏らによるもので、詳細は1月4日付で「Journal of Clinical Medicine」に掲載された。
うつ病は世界的に大きな疾病負担をもたらす精神疾患であり、その発症には年齢、社会的孤立、慢性疾患、生活習慣、QoLなど多様な要因が関与する。近年、歯の欠損や口腔痛、歯周病、OHRQoLとうつ病との関連も報告されているが、多くは横断研究にとどまり、因果関係は明らかでない。本研究は、うつ病のない成人を対象に、口腔の健康状態およびOHRQoLがその後のうつ病の発症と関連するかを縦断的に検討することを目的とした。
【うつ病の治験について相談したい方へ】
治験情報の探し方から参加検討まで、専門スタッフが一緒にサポートします本研究では、2022年および2023年に実施された「Japan COVID-19 and Society Internet Survey(JACSIS調査)」のデータを用いて解析を行った。ベースライン時点でうつ病の自己申告がない20歳以上の参加者1万5,068人を解析対象とした。うつ病は、2回の調査間における自己申告に基づいて判定した。OHRQoLは、Oral Health Impact Profile(OHIP)の短縮版である日本語版OHIP-14を用いて評価した。口腔の健康状態については、歯の喪失、歯周病、口腔痛、過去1年間の歯科受診の状況により評価を行った。これらの要因とうつ病発症との関連について、社会人口学的要因および行動要因を調整したロジスティック回帰分析を用い、オッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)を算出した。
追跡調査の結果、1年後に218人(1.45%)が「うつ病がある」と回答した。「うつ病がある」と回答した群と、「うつ病がない」と回答した群の背景因子を単変量で比較したところ、歯科受診状況やOHRQoL(OHIP-14)、年齢、性別、社会経済状況、生活習慣に加え、孤独感、社会的孤立、生活満足度、睡眠薬・抗不安薬の使用など、多くの心理社会的要因に差が認められた。
次にこれらの因子を独立変数、うつ病発症を従属変数として二項ロジスティック回帰分析を行った。その結果、OHRQoLが低いほど、うつ病を発症するリスクが有意に高いことが示された(OR 1.02、95%CI 1.00~1.04、P=0.039)。このほか、年齢が若いこと(OR 0.97、95%CI 0.96~0.99、P<0.001)、趣味や文化活動への参加(あり:OR 2.22、95%CI 1.50~3.30、P<0.001)、睡眠薬または抗不安薬の常用(現在使用:OR 3.51、95%CI 2.27~5.44、P<0.001)、孤独感の増大(OR 1.22、95%CI 1.14~1.30、P<0.001)、生活満足度の低さ(OR 0.90、95%CI 0.84~0.97、P=0.005)、および自己評価による健康状態の不良(OR 2.92、95%CI 1.81~4.72、P<0.001)も、うつ病の発症と関連していた。
さらに構造方程式モデリングによる解析では、OHRQoLの低下が、その後のうつ病の発症と関連する過程において、孤独感や社会的孤立、生活満足度、主観的健康感といった心理社会的要因が重要な媒介役を果たしていることが示された。OHRQoLは、これらの要因を介した間接的な影響に加え、うつ病発症への直接的な影響も認められた。
著者らは、「うつ病を自己申告していなかった人を追跡した結果、口腔関連QoLが低い人ほど、その後にうつ病が発症しやすいことが示された。この関連は、年齢や生活習慣などの要因を考慮した後も認められ、さらに孤独感や社会的つながり、生活満足度といった心理社会的要因が、その関係の一部を仲介している可能性がある」と述べている。
なお、本研究は自己申告に基づくオンライン調査であり、未評価の交絡因子や追跡期間の短さといった制約があるため、うつ病の評価とOHRQoLとの関連については因果的解釈に注意が必要であるとしている。
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HealthDay News 2026年2月16日
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祝日や年末に外傷は増える? 国内データが示す外傷の季節性
救急外来や外傷医療の現場では、患者数の増減が医療提供体制に大きな影響を与える。これまで外傷の発生には季節性があることが知られてきたが、祝日や年末年始といった社会・文化的イベントとの関係を、長期かつ日単位で検証した研究は限られていた。日本全国38万人超の外傷データを解析した本研究では、ゴールデンウィークや年末など特定の時期に外傷が増加する一方で、お盆や年始には減少することが明らかになった。研究は、総合病院土浦協同病院救命救急センター・救急集中治療科の鈴木啓介氏、遠藤彰氏によるもので、詳細は12月18日付で「Scientific Reports」に掲載された。
外傷は世界的に主要な死因・障害原因であり、医療・社会に大きな負担を与えている。外傷発生の季節性や祝日の影響はこれまでにも報告されてきたが、多くは短期間の観察にとどまっていた。比較的均質な文化・行動様式を持つ日本では、ゴールデンウィークやお盆、年末年始など生活リズムが大きく変化する時期が存在し、加えて自殺は春から夏に多いという季節性も知られている。本研究は、18年間にわたる全国外傷データを日単位で解析し、こうした年間を通じた行動パターンと外傷・自殺企図の発生動向を包括的に評価することで、医療資源配分や予防戦略の最適化に資する知見を得ることを目的とした。
【治験について相談したい方へ】
治験情報の探し方から参加検討まで、専門スタッフが一緒にサポートします本研究では、2004年1月から2021年12月までの日本外傷データバンク(JTDB)を用いて後ろ向き解析を行った。JTDBは、少なくとも1部位で簡易傷害度スケール(AIS)3以上を有する重症外傷患者のみを登録対象とする全国データベースである。JTDBからは、年齢、性別、受傷日および受傷機転、外傷分類、外傷重症度スコア(ISS)、AIS、退院時転帰などの変数を抽出し、受傷日(年月日)が特定可能な外傷患者を対象とした。対象患者は搬送日ごとに分類し、1年365日それぞれの日単位で解析した。日別の患者数、外傷重症度、自殺企図、死亡率を評価し、周期関数を組み込んだ負の二項回帰、外傷重症度で調整したロジスティック回帰、ならびに一般化極端スチューデント化偏差(GESD)検定を用いて外れ値を同定した。
本研究では38万3,473人が解析に含まれた。解析の結果、外傷症例数は年間を通じて大きく変動し、9~12月に多い傾向が示された。ゴールデンウィーク(4月29日~5月5日)や、文化の日(11月3日)、体育の日(現スポーツの日:10月10日)、年末(12月28~29日)にピークがみられた一方、お盆期間(8月中旬)、特に8月15日前後や年始には減少し、最少は3月7日(886例)、次いで1月3日(898例)であった。
自殺企図は21,637例(全体の5.6%)で、5~6月および8月下旬~9月に増加し、10~12月に減少するなど、全外傷とは異なる季節性が認められた。
日別死亡率は平均9.6%で、年間を通じた変動は小さく、明確な季節性や有意な外れ値は認められなかった。また、2004~2021年の全期間を通じて、外傷症例数の季節変動パターンは概ね一貫していた。
著者らは、「日本の外傷症例数は、祝日や季節的な生活習慣に沿った一定の年間変動を示した。自殺企図は独自の季節性を示したが、外傷全体の症例数や死亡率に大きな影響はなかった。本研究は、外傷医療リソースの計画や予防策を検討するうえで、行動や社会的要因を考慮することの重要性を示している」と述べている。
なお、本研究の限界として、重症外傷患者に限定した解析であり、日本特有の文化的背景を反映している点や、後ろ向き研究のため、祝日と外傷発生の因果関係を直接示せない点などを挙げている。
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HealthDay News 2026年2月9日
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認知症の有病率と発症率は2012年以降低下か――久山町研究からのメッセージ
高齢化が進む中でも、認知症は必ずしも増え続けるとは限らない。今回、久山町研究の長期疫学データから、認知症の有病率と発症率が2012年以降低下していることが示された。健診と保健指導が継続的に行われてきた地域特性を踏まえると、本研究は生活習慣病管理と認知症予防の関係を考える上で、重要な示唆を与える。研究は、九州大学大学院医学研究院精神病態医学分野の小原知之氏、同衛生・公衆衛生学分野の二宮利治氏らによるもので、詳細は、12月29日付で「Alzheimer’s Research & Therapy」に掲載された。
高齢化が進む中、認知症の増加とその社会的負担は大きな課題とされてきた。一方で、認知症の有病率の推移については、増加を示す研究と横ばい・低下を示す研究が混在しており、見解は一致していない。こうした違いを理解するには、認知症の有病率だけでなく、発症率や発症後の生存率を併せて検討する必要がある。特にアジア地域では、同一地域を長期間追跡した研究は限られている。久山町研究では、1985~2012年にかけて認知症有病率が増加し、その背景として認知症発症率の上昇と発症後生存率の改善が関与していることが報告されている。本研究はその知見を踏まえ、37年にわたる調査データを用いて、日本の地域住民における認知症の有病率、発症率、発症後生存率の2012年以降の推移を検討した。
【認知症の治験について相談したい方へ】
治験情報の探し方から参加検討まで、専門スタッフが一緒にサポートします久山町研究は、1961年から福岡県久山町の住民を対象に継続されている、日本を代表する地域住民コホート研究である。国勢調査によると、久山町の年齢構成や職業構成、栄養摂取状況は、過去60年間にわたり日本全体とほぼ同じ水準にあるとされている。本研究では同地域において、65歳以上の住民を対象に、1985年、1992年、1998年、2005年、2012年、2017年、2022年の7時点で認知症に関する悉皆調査を実施した(全ての受診率:92%以上)。さらに、認知症のない65歳以上の住民を対象に、1988年(803人)、2002年(1,231人)、2012年(1,519人)の3つのコホートを設定し、それぞれ10年間追跡した。認知症有病率の推移はロジスティック回帰モデルを用いて検討した。認知症の発症率と発症後生存率については、Cox比例ハザードモデルを用いて性別と年齢を調整してコホート間で比較した。
認知症の有病率は、1985年から1998年まで横ばいで推移したが、その後は2012年にかけて有意に上昇した(1985年6.7%、1992年5.7%、1998年7.1%、2005年12.5%、2012年17.9%、傾向P値<0.01)が、その後2017年15.8%、2022年12.1%と有意に減少した(傾向P値<0.01)。これらの関係は年齢で調整しても同様の傾向が認められた。
認知症の有病率は、発症率と発症後の予後によって規定される。この有病率が時代とともに変化した要因を明らかにするために、1988年、2002年、および2012年のコホートを比較した。その結果、年齢・性別調整後の認知症発症率は、1988年コホート(1988~1998年)から2002年コホート(2002~2012年)にかけて有意に上昇した(調整ハザード比〔aHR〕1.68、95%信頼区間〔CI〕1.38~2.06)。一方、同発症率は2002年コホートから2012年コホート(2012~2022年)にかけて有意に低下した(aHR 0.60、95%CI 0.51~0.70)。
つぎに、認知症発症後の予後の時代的変化を検討したところ、認知症発症後5年生存率は、1988年コホートから2002年コホートにかけて有意に改善していた(47.3%から65.2%、P<0.01)。一方、同生存率は2002年コホートから2012年コホートにかけては明らかな変化を認めなかった(65.2%から58.9%、P=0.42)。
こうした結果から、2000年代になって認知症有病率が急増した背景には、認知症の発症率が時代とともに上昇したことに加えて、認知症発症後の予後が改善したことがあるとみられる。一方、2012年以降、認知症の有病率が低下した背景には、近年のコホートで認知症発症率が低下したことが影響している可能性がある。
著者らは、「本研究において認知症の有病率と発症率が2012年以降減少傾向にある背景には、高血圧や糖尿病など危険因子の管理状況の改善と喫煙率の低下や運動習慣の増加など健康的な生活習慣の普及が関与している可能性が考えられる。高齢化が進む社会において、認知症の発症リスクを低減してその社会的負担の増大を抑制するためには、生活習慣病の予防とその適切な管理に加え、健康的な生活習慣を心がけることが重要」と述べている。
なお、著者らは、本研究の限界点として、単一地域での調査であるため一般化が難しい点を挙げている。また、近年の診断環境の変化や頭部外傷や難聴など未評価の危険因子があること、COVID-19流行が結果に影響した可能性を述べている。
軽度認知障害(MCI)のセルフチェックに関する詳しい解説はこちら
軽度認知障害を予防し認知症への移行を防ぐためには早期発見、早期予防が重要なポイントとなります。そこで、今回は認知症や軽度認知障害(MCI)を早期発見できる認知度簡易セルフチェックをご紹介します。
軽度認知障害(MCI)のリスクをセルフチェックしてみよう!参考情報:リンク先
HealthDay News 2026年2月9日
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肝機能の「長期的な変化」が糖尿病リスクを予測か──日立コホート研究
2型糖尿病は、発症前の段階でいかにリスクを捉えるかが重要となる。健康診断では肝機能検査が毎年行われているが、その数値は多くの場合、一過性の変動として単年ごとに評価されるにとどまってきた。日立コホート研究による約2万人・13年超の追跡解析から、若年期に一時的な肝機能高値を示し、その後数値が改善している人においても、将来の2型糖尿病リスクが高い傾向にあることが示された。肝機能の「一時点の値」ではなく長期的な変化のパターンに着目する重要性が浮き彫りになった。研究は、東海大学医学部基盤診療学系の深井航太氏らによるもので、詳細は12月14日付で「Scientific Reports」に掲載された。
肝機能障害と2型糖尿病との関連は、インスリン抵抗性や脂肪肝を介した双方向の関係が示唆されている。アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、γ‐グルタミルトランスフェラーゼ(GGT)などの肝酵素は日常診療で広く測定されている指標であるが、これまでの研究の多くは単一時点の測定値に基づいており、肝機能の長期的変化を十分に捉えられていなかった。本研究では、年次健診データを有する日立コホート研究を用い、肝酵素の推移パターンを分類し、2型糖尿病発症との関連および基準値超過の頻度が与える影響を検討することを目的とした。
【2型糖尿病の治験について相談したい方へ】
治験情報の探し方から参加検討まで、専門スタッフが一緒にサポートします日立コホート研究は、茨城県日立市の準都市工業地帯にある日立健康管理センタの従業員に提供される企業の年次健康診断に基づいている。本研究では、日立コホート研究において、ベースライン時に2型糖尿病を有さない30~64歳の2万4,380人を対象とし、計29万6,171件の健康診断データを解析した。肝機能酵素として、ALT、AST、GGTを年1回測定した。肝酵素の長期推移をトラジェクトリ解析(group-based trajectory modeling;GBTM)により分類し、各軌跡群と2型糖尿病発症との関連をロジスティック回帰で検討した。年齢・性別、代謝指標、生活習慣因子を調整した。
ベースライン時の平均年齢は42.9歳だった。平均12.8年の追跡期間中に、3,840人(15.8%)が2型糖尿病を発症した。トラジェクトリ解析により、ALTは6群、ASTは3群、GGTは4群の推移パターンが同定された。
ALTが持続的に高値を示す群や、若年成人期に上昇を示す推移群では、2型糖尿病発症リスクが有意に高かった。ALTが一貫して高値で推移した群(群6)のオッズ比は7.97(95%信頼区間〔CI〕 7.40~8.57)、若年成人期に高値を示した群(群5)では4.23(95%CI 4.00~4.48)であり、いずれも一貫して低値の群(群1)と比べて高リスクであった(傾向P値、P<0.01)。
さらに、ALTおよびASTが基準値を繰り返し超過するほど2型糖尿病リスクは上昇し、閾値が高いほど、また超過頻度が多いほど関連は強かった。GGTについては、ALTほど強い関連ではなかったものの、基準値を2回以上超過した場合、2型糖尿病リスクが2倍以上に上昇していた。
著者らは、「ALTの高値が持続している人はもちろん、『以前高かった』人でも糖尿病発症リスクは約4倍に上昇していた。健康診断の結果は単年値ではなく経時的な推移を重視すべきであり、若年期からリスクの兆候を捉えることが、将来的な予防につながる可能性がある」と述べている。
なお、本研究の限界として、特定コホートに基づくため一般化が制限されること、薬物治療や生活習慣の変化などの影響が考慮されていない点などを挙げている
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糖尿病でいちばん恐ろしいのが、全身に現れる様々な合併症。深刻化を食い止め、合併症を発症しないためには、早期発見・早期治療がカギとなります。今回は糖尿病が疑われる症状から、その危険性を簡単にセルフチェックする方法をご紹介します。
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HealthDay News 2026年2月2日
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全身治療後のサルベージ手術で示された、進行肺がんの新たな長期生存の可能性
進行した非小細胞肺がん(NSCLC)では、初診時に切除不能と判断される症例が多く、治療の主軸は全身治療に置かれてきた。しかし、治療反応が良好な一部の患者に対して、全身治療後に外科切除を行うサルベージ手術の意義は十分に検討されていない。今回、全身治療後にサルベージ手術を行った高度に選択された症例を解析した結果、進行肺がんでも長期生存が現実的となる可能性が示された。研究は愛知県がんセンター呼吸器外科部の瀬戸克年氏、坂倉範昭氏らによるもので、詳細は12月17日付で「Thoracic Cancer」に掲載された。
分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬の登場により、進行NSCLCに対する全身治療成績は大きく向上している。これに伴い、初診時には切除不能と判断された症例でも、全身治療後に病変が局在化・縮小し、根治を目的としたサルベージ手術が行われるケースが増えている。一方、薬物療法後の手術は治療関連線維化など特有の課題を伴い、長期予後への真の影響については十分なエビデンスがない。こうした背景から本研究は、全身治療後にサルベージ手術を行ったNSCLC症例を後ろ向きに解析し、その安全性と腫瘍学的成績、臨床的意義を検討した。
【肺がんの治験について相談したい方へ】
治験情報の探し方から参加検討まで、専門スタッフが一緒にサポートします本研究では、2014年1月1日から2024年12月31日にかけて愛知県がんセンターで治療を受けた、初診時に切除不能と診断されたNSCLC患者を対象とした。このうち、化学療法、分子標的治療、免疫療法のいずれか、またはそれらの併用後に、根治目的のサルベージ手術を受けた32例を後ろ向きに解析した。主要評価項目は全生存期間(OS)とし、副次評価項目として無再発生存期間(RFS)、重篤な合併症(Clavien–Dindo分類Ⅲa以上)、およびR0切除(完全切除)率を設定した。生存解析にはKaplan–Meier法およびlog-rank検定を用いた。
年齢中央値は61.0歳で、男性が約3分の2を占めた。ECOG Performance Status(PS)は30例が0、残る2例も1で、PS 2以上の症例は認めなかった。初診時に切除不能と判断された理由は遠隔転移が最多で、次いでN3リンパ節転移や高度N2病変などであった。手術前に行われた全身治療の治療ライン数中央値は1で、細胞障害性抗がん薬、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬が症例に応じて使用されていた。
追跡期間中央値40.1か月時点で、OSの中央値には到達せず、RFSの中央値は49.9か月であった。5年OS率は75.0%(95%信頼区間〔CI〕 51.6~88.3)、5年RFS率は46.3%(95%CI 26.3~64.2)であった。
サルベージ手術の内訳は、肺葉切除術21例(65.6%)、区域切除術6例(18.8%)、楔状切除術5例(15.6%)であり、R0切除は26例(81.3%)で達成された。
合併症は全体で4例(12.5%)に発生した。重篤な合併症は1例で、胸膜癒着術を要する遷延性気漏であった。術後90日以内の死亡は認められなかった。
さらに、術後24か月以内に再発または死亡を認めなかった症例を予後良好群(18例)、認めた症例を予後不良群(14例)とし、探索的に各因子について単変量解析を行った。その結果、腺がんのみが有意に良好な予後と関連していた(88.9% vs. 35.7%、P=0.003)。
著者らは、「初診時に切除不能と判断されたNSCLC患者において、全身治療後に行われたサルベージ手術が、安全性および有効性の両面で良好な成績を示した。追跡期間中央値40.1か月における5年OS率は75%、5年RFS率は46%であり、厳密に選択された症例では、サルベージ手術が生存期間延長を目指す治療選択肢となり得る可能性が示唆された」と述べている。
その一方で、単施設・後ろ向き研究である点に加え、全身治療のみで管理された症例や、全身治療後に外科へ紹介されたものの手術に至らなかった症例が含まれていないことから、選択バイアスの影響は否定できないとしている。このため、今後は多施設前向き研究による検証が必要であると述べている。
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肺がんは初期の自覚症状が少ないからこそ、セルフチェックで早めにリスクを確かめておくことが大切です。セルフチェックリストを使って、肺がんにかかりやすい環境や生活習慣のチェック、症状のチェックをしていきましょう。
肺がんのリスクを症状と生活習慣からセルフチェック!参考情報:リンク先
HealthDay News 2026年2月2日
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デジタルピアサポートアプリ介入が歩数目標達成率と歩数に与える影響──前糖尿病・早期2型糖尿病での非ランダム化比較試験
前糖尿病や早期2型糖尿病では、血糖コントロールのために運動習慣を身につけることが重要とされている。しかし現実には、運動を「始める」よりも「続ける」ことのほうが難しい。こうした課題に対し、オンライン上で仲間とつながり、互いに励ましあいながら目標行動の維持を支えるデジタルピアサポートに注目した研究が行われた。前糖尿病および早期2型糖尿病を対象とした本研究では、アプリを用いた介入によって、日々の歩数目標の達成率および平均歩数が高まることが示された。研究は、北里大学大学院医療研究科の吉原翔太氏らによるもので、詳細は12月15日付で「JMIR Formative Research」に掲載された。
2型糖尿病は世界的な公衆衛生課題であり、運動不足などの生活習慣が発症に関与している。運動療法の中でも歩行は、日常生活に取り入れやすく、運動に伴うリスクが小さいとされ、前糖尿病や2型糖尿病において血糖改善と関連することが報告されている。一方で、前糖尿病や2型糖尿病患者の運動習慣を支援する対面型ピアサポートは、人的・時間的資源を要するため、広く継続的に提供することが難しい。そこで本研究は、前糖尿病および早期2型糖尿病を有する者を対象に、オンライン上で仲間とつながりながら相互に支援し合うデジタルピアサポートアプリが、歩数目標達成率および平均歩数に与える影響を検証した。
【糖尿病の治験について相談したい方へ】
治験情報の探し方から参加検討まで、専門スタッフが一緒にサポートします本研究は、「神奈川ME-BYOリビングラボ」プログラムの一環として、2019年10~12月に実施された前向きの非ランダム化比較試験である。参加者は、神奈川県在住または県内企業に勤務する40~79歳の成人38人で、HbA1c値が5.6~7.0%の前糖尿病または早期2型糖尿病に該当する者とした。参加者は、デジタルピアサポートアプリ(「みんチャレ」、A10Lab Inc.)群と対照群に分けられた。デジタルピアサポートアプリ群では、日々の歩数をアプリで記録し、その進捗を少人数(最大5人)のピアグループ内で共有するとともに、リアルタイムのフィードバックや支援を受けた。対照群では、万歩計を用いて各自が個別に歩数を記録した。主要評価項目は、3ヵ月間における1日平均歩数目標の達成率とした。副次評価項目として、期間中の1日平均歩数、BMI、HbA1c、血圧、および自己申告による生活習慣を評価した。
本研究を完遂した参加者は計32人であり、内訳はデジタルピアサポートアプリ群18人、対照群14人であった。参加者のベースライン特性は2群間で有意な差は認められなかった。
デジタルピアサポートアプリ群では、対照群と比較して、1日歩数目標の達成率の中央値が有意に高く(57.2%〔四分位範囲:32.2~90%〕 vs 26.7%〔10~64.4%〕、P=0.04)、1日歩数の中央値も有意に多かった(6854歩〔4846~10,388歩〕 vs 3946歩〔3176~6832歩〕、P=0.03)。線形混合効果モデルによる解析では、歩数の経時的変化は群間で異なり、デジタルピアサポートアプリ群では時間経過に伴う有意な低下は認められなかった一方、対照群では時間とともに有意に減少した(P<0.001)。
一方、HbA1c値、血圧、生活習慣行動の変化については、両群間で有意差は認められなかったが、BMIの介入前後の変化については、デジタルピアサポートアプリ群のみで改善傾向がみられた(P=0.07)。
著者らは、「前糖尿病および早期2型糖尿病を対象に、デジタルピアサポートアプリは歩数目標達成率と平均歩数を維持し、歩数の低下抑制に寄与した可能性がある。リアルタイムのフィードバックや仲間からの承認が動機づけに関与した可能性があり血糖改善は短期間では限定的だったが、行動変容を促す有効な手段と示唆された」と述べている。
なお今後の研究課題として、デジタルピアサポートが行動変容の「きっかけ」として機能するのか、あるいは継続利用によって運動習慣そのものを支える仕組みとなるのかについて、さらなる検証が必要とされている。
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糖尿病でいちばん恐ろしいのが、全身に現れる様々な合併症。深刻化を食い止め、合併症を発症しないためには、早期発見・早期治療がカギとなります。今回は糖尿病が疑われる症状から、その危険性を簡単にセルフチェックする方法をご紹介します。
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HealthDay News 2026年1月26日
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「えぴろぼ」との会話解析でわかった、相談内容による気持ちの変化
人工知能(AI)搭載チャットボットは、患者教育やメンタルヘルス支援での活用が広がっている。今回、てんかん患者や家族を支援する目的で開発されたAIチャットボット「えぴろぼ」との会話を解析した結果、相談内容によって利用者の気持ちの動きが異なることが分かった。医療相談ではポジティブな感情の強度が高まる傾向が示された一方、内省的な会話ではポジティブな感情の変化が小さい傾向がみられたという。研究は、埼玉大学大学院理工学研究科/先端産業国際ラボラトリーの綿貫啓一氏、国立精神・神経医療研究センターの倉持泉氏によるもので、詳細は12月11日付で「Epilepsia Open」に掲載された。
てんかん患者は、発作だけでなく、誤解や偏見に伴う心理社会的な困難にも直面している。こうした背景から、正確な医療情報と心理的支援を、気兼ねなく受けられる新たな支援手段が求められている。近年、AIチャットボットは匿名性や常時利用可能といった特長から、患者教育やメンタルヘルス支援への活用が進んでいる。てんかん向けに開発されたAIチャットボット「えぴろぼ」は、こうしたニーズに応えるツールであり、会話には医学的質問から感情を伴う内容まで多様な要素が含まれる。本研究では、高度な自然言語処理技術を用いて、AIチャットボット「えぴろぼ」の利用パターンを識別することと、会話を通じて利用者の気持ちがどのように変化するかを明らかにすることを目的とした。
【てんかんの治験について相談したい方へ】
治験情報の探し方から参加検討まで、専門スタッフが一緒にサポートしますチャットボットのプレテスト段階におけるテキスト上のやり取りを分析対象とした。参加者は埼玉医科大学総合医療センターからリクルートされた計23名で、内訳はてんかん患者10名、介護者10名、医療従事者3名であった。会話内容の分類には、日本語の医療文献で事前学習された自然言語処理モデルであるJMedRoBERTaを用い、ユーザーのメッセージを内容クラスターに分類した。感情の変化の解析にはDeBERTaを用いた。感情分析は、「えぴろぼ」とのやり取りが80回以上あったてんかん患者5名を対象とした。内容分析ではUMAP(Uniform Manifold Approximation and Projection)およびk-means法クラスタリングを用い、客観的な医療相談と主観的で緊急性の低い相談を区別した。さらに、感情分析により、チャットボットとの会話が感情的関与に与える影響を検討した。
解析には、「えぴろぼ」利用者23名によるメッセージのうち、意味のある600件のメッセージを用いた。さらにメッセージの長さによる影響を避けるため、50文字以下の492件を最終的な解析対象とした。
会話内容の解析から、解析内容となったメッセージは主に2つの内容クラスターに分類された。JMedRoBERTaで抽出した特徴量をUMAPとk-means法で解析した結果、てんかん治療薬の調整や管理方法など、客観的な医療情報を求める質問が中心の「医療相談クラスター」と、意味の解釈や気持ちの整理など、主観的・内省的な問いが多い「探索的利用クラスター」が同定された。医療相談クラスターは332件、探索的利用クラスターは160件と、医療相談に関するやり取りが多くを占めていた。
さらに、DeBERTaを用いた感情分析では、メッセージごとにポジティブ・中立・ネガティブの3つの感情強度が算出された。その結果、前向きな学習や気分の安定を目的としたやり取りでは、ポジティブな感情の強度が高まる傾向が確認された。一方で、他者からの見え方や自己評価に関する内省的な問いでは、ポジティブな感情の変化は小さい傾向がみられた。
著者らは、「本解析よりAIチャットボットが単なる情報提供にとどまらず、利用者の感情面においても一定の利益をもたらす可能性が示唆された。一方で、今後はより共感的なAI応答や、利用者の状況に応じた個別化支援の強化が課題になるだろう」と述べている。
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HealthDay News 2026年1月26日
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緑内障点眼薬の治療継続率、製品間で大きな差──日本の大規模レセプト解析
自覚症状に乏しく進行が緩やかな緑内障では、点眼治療を長期にわたって継続することが困難であることが大きな課題とされてきた。今回、日本の大規模医療保険レセプトデータを用いた解析により、同じ薬剤クラスであっても、緑内障点眼薬の治療継続率は製品によって大きく異なることが示された。研究は東京大学大学院薬学系研究科育薬学教室の壁矢健司氏、佐藤宏樹氏らによるもので、詳細は11月28日付で「BMC Ophthalmology」に掲載された。
緑内障は日本における不可逆的な失明の主因であり、QOL低下など医療費に反映されない社会的負担も大きい。治療の基本は点眼薬による眼圧下降で、作用機序の異なる多様な薬剤が用いられている。一方、緑内障は自覚症状に乏しく進行が緩徐なため、点眼治療の継続率は低い。近年、製剤や容器の改良などにより、治療継続性は同一薬剤クラス内でも製品によって異なる可能性が示唆されてきた。しかし、個々の製品レベルで継続率を体系的に評価した研究はなく、臨床での製品選択を支える情報は乏しい。このような背景を踏まえ、本研究は、日本の医療保険レセプトデータを用い、緑内障点眼薬の実臨床における治療継続性を製品別・製剤特性別・患者背景別に明らかにすることを目的とした。
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本研究では、株式会社JMDCが提供する、日本の0~74歳を対象とした医療保険レセプトデータ(2005年1月~2024年6月)を後ろ向きに解析した。外来で緑内障点眼薬を処方された患者のうち、原則として単一製品を継続使用した症例を抽出した。直前の処方の推定されるカバー終了日から観察終了日までに90日以上空いた場合を治療中断と定義し、最長5年間の年次治療継続率を算出した。継続率は製品、薬剤クラス、投与回数、年齢、性別ごとに評価し、多変量ロジスティック回帰分析で関連因子を検討した。感度分析や薬剤変更・併用を含む追加解析も行った。
データ精査後、7万3,027人の調剤記録が抽出され、解析に用いられた。対象患者の大半は男性で、年齢層では50代が最も多かった。全患者における治療継続率は、1年時点で57.5%(2万6,170/4万5,544人)で、その後徐々に低下し、5年時点では23.8%(2,060/8,667人)となっていた。
年齢、性別、薬剤クラス、1日の点眼回数を説明変数とした多変量ロジスティック回帰分析では、女性(回帰係数〔B〕=0.210)、60代(B=0.247)、および点眼回数が少ないこと(点眼回数が1回増えるごとにB=−0.660)が、いずれも治療継続率の高さと有意に関連していた(すべてP<0.001)。
最も多く処方された薬剤クラスはプロスタノイド受容体作動薬で、次いでβ遮断薬であり、両クラスで全処方の約80%を占めていた。薬剤クラス別の解析では、プロスタノイド受容体作動薬およびβ遮断薬との配合剤において、他の薬剤クラスと比べて相対的に高い治療継続率が示された。さらに、同一の薬剤クラス内であっても、製品ごとに1年および5年時点の継続率には大きなばらつきが認められた。
一方、薬剤変更や複数点眼を許容したサブ解析では、全体的な継続率が主要解析よりも14~19%ポイント高かった。炭酸脱水酵素阻害薬を含む治療や、1日2~3回投与の治療レジメンにおいて、単剤・固定条件下の解析と比べて継続率が特に高かった。
著者らは、「今回、国内の緑内障点眼薬の製品別治療継続率を初めて網羅的に解析した。解析の結果、製品ごとの継続率は同じ薬剤クラスでも40%ポイント以上の差があることがわかった。これは点眼容器や製剤の違いが使いやすさに影響し、治療を続けるかどうかの決定に関与していることを示唆している。これらの知見は、臨床現場で製品を選択する際に、使いやすさを慎重に考慮することの重要性を強調するものである」と述べている。
本研究の限界として、解析対象には緑内障患者の多くを占める75歳以上の高齢者は含まれていない為、結果の一般化には注意が必要である点や、本研究における治療継続率はレセプト上の処方継続を指標としたものであり、実際の点眼実施状況(服薬コンプライアンス)を直接評価したものではない点などを挙げている
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HealthDay News 2026年1月19日
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全身性エリテマトーデスとは、本来身体を守るはずの免疫細胞が異常となってしまい、自分自身を攻撃してしまう自己免疫性疾患です。
「SLE」と略して呼ばれ、オオカミに噛まれた痕のような紅斑が出ることから「ループス」(ラテン語でオオカミを意味します。)とも名付けられています。20~40代の女性に多く発症する病気です。

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