全身性エリテマトーデスについて

免疫の異常によって発症するため、だれが発症してもおかしくありません。難病として指定されている全身性エリテマトーデスについて、基本的なことから知っていきましょう。

全身性エリテマトーデスとは
本来身体を守るはずの免疫細胞が異常となってしまい、自分自身を攻撃してしまう自己免疫性疾患です。
「SLE」と略して呼ばれ、オオカミに噛まれた痕のような紅斑が出ることから「ループス」(ラテン語でオオカミを意味します。)とも名付けられています。20~40代の女性に多く発症する病気です。
原因は不明とされており紫外線を多く浴びたり、風邪などのウイルス感染、ホルモンバランスの崩れなどが誘因となっているとされています。
数年前までは、全身性エリテマトーデスを発症してからの寿命は5年と言われていましたが、ステロイドなどの使用によって生存率が上昇しています。
現在では、全身性エリテマトーデス発症後5年での生存率は95%を超え、普通に生活される方が増えています。

全身性エリテマトーデスの検査と診断
全身性エリテマトーデスかもと疑いが出た場合は、下記の検査が行われます。様々な症状を表す疾患であることから、診断は慎重に行われており、現在日本では二種類の診断基準が使われています。
・血液検査
血液(抗核抗体、血算、赤沈)検査で、かかっている場合抗核抗体、抗ds-DNA抗体が要請になることが多いです。
・尿検査
蛋白尿や尿潜血が出ていないかを調べます。
その他に症状によって、生体検査・CT検査・MRI検査・髄液検査・脳波検査が行われます。
初期症状は、発熱・だるさ・関節痛など風邪に似ています。なかなか改善しないことから発症が分かることが多いです。
・全身症状
38度を超える発熱が1週間以上続く・37.5度前後の微熱が2週間以上続くなどの発熱症状、全身の倦怠感や疲労感があります。また、食欲不振や体重減少なども出てきます。
・皮膚症状
蝶が羽を広げたような蝶型紅斑が出ることが有名です。また、顔や耳・首に丸い円盤のようなディスコイド疹が見られた理り、指が白く冷たくなるレイノー現象も起こります。
・関節症状
手・指・ヒザ・ヒジが腫れて痛む関節炎が起こります。また、日によって痛む場所が変化する移動型関節炎が見られることもあります。
・日光過敏症
紫外線に当たった後に赤い発疹・水ぶくれが出たり、発熱する場合があります。日光過敏症が全身性エリテマトーデスの始まりであることもあります。
・口内炎
痛みのない口内炎を発症します。鼻咽腔にもまれに発症することがあります。
・脱毛
円形脱毛のように部分的に毛が抜ける・全体の髪の量が減るなどの脱毛症状が出ます。また、髪が傷みやすく、途中から切れやすくなる人もいます。
・臓器障害
心臓・肺・消化器官・血液など全身のあらゆる臓器に障害を起こしますが、人によって症状や部位が異なります。また、臓器障害の出ない人もいます。
腎臓の場合、半数近くがかかってしまうループス腎炎と言われるネフローゼ症候群や急性進行性糸球体腎炎によるむくみや血尿などの症状があります。
心臓や肺では、漿膜炎が起こり、深呼吸すると胸が痛んだり、すぐに息切れしてしまうなどの症状が出ます。
他に、腹痛や吐き気が出た場合、腸間膜の血管炎や、ループス腹膜炎・ループス膀胱炎などの可能性もあります。
・中枢神経症状
中枢神経症状のCNSループスは重篤な症状とされています。うつ・失見当識・妄想という精神症状と、けいれん・脳血管障害などが見られます。

原因のわからない全身性エリテマトーデスですが、炎症を抑えて過剰な免疫を抑制することが夕刻な治療法になります。ステロイドの点滴薬・飲み薬が基本となり、炎症の状態が改善してきたら徐々に薬の量を減らしていきます。自己判断は絶対に禁物です。
ステロイドによって食欲が増進してしまうため糖尿病になりがちなため注意が必要です。さらに骨粗しょう症にもなりやすいので、合わせて薬が処方されることもあります。

全身性エリテマトーデスの予後は、症状が出なくなっている寛解期と再び症状が現れてしまう再燃を繰り返して慢性の経過をたどってしまいます。
しかし、閉経した女性の場合は再発する確率が少なくなっています。慢性化させず、再発させないためにもステロイド剤の服用と、医療機関への定期受診が大切です。
全身性エリテマトーデスは何が原因で発症するかわからない難病のため、とても不安に思うかもしれません。
しかし、全身性エリテマトーデス発症したという国内外の芸能人の写真を見ると、実に多くの人がかかっていることが分かります。また、発症後も歌ったり踊ったりとされている方も多く、同じ全身性エリテマトーデスの人にとって希望が持てるでしょう。
以前とは違って生存率も高くなっており寛解期には、妊娠出産も可能ですので、きちんと投薬を受け、合併症を防ぐための定期診断を忘れず上手に付き合っていきましょう。
全身性エリテマトーデスは膠原病の一種で難病指定されている病気です。
どういう症状があれば全身性エリテマトーデスが疑われるのでしょうか?今回は全身性エリテマトーデスの基本的な概要と、セルフチェックについてご紹介します。
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呼吸機能低下が認知機能低下に関連――SONIC研究
スパイロメトリーという機器による簡便な呼吸機能検査の結果が、高齢者の認知機能と関連のあることが報告された。大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻の橘由香氏、神出計氏らの研究結果であり、詳細は「Geriatrics & Gerontology International」に8月20日掲載された。著者らは、高齢者対象の保健指導に呼吸機能を鍛えるプログラムの追加を検討する必要性があるとしている。
認知機能低下の主要な原因は加齢だが、喫煙や大量飲酒、糖尿病や高血圧といった生活習慣病など、介入可能なリスク因子も存在する。また、潜在的なリスク因子の一つとして近年、呼吸機能の低下が該当する可能性が指摘されている。ただし、呼吸機能の簡便な検査法であるスパイロメトリーで評価できる範囲の指標が、高齢者の認知機能と関連しているのかという点は明らかになっていない。これを背景として橘氏らは、兵庫県の地域住民対象に行われている高齢者長期縦断研究(SONIC研究)のデータを用いた検討を行った。
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解析対象は、73±1歳の419人(73歳群)と83±1歳の348人(83歳群)という二つの年齢層の集団。各群ともに約半数が女性であり(73歳群は50.1%、83歳群は51.4%)、認知症と診断されている人は除外されている。認知機能は、教育歴の影響が調整される尺度であるモントリオール認知機能尺度の日本語版(MoCA-J)を用いて評価。MoCA-Jは30点満点で、スコアが高いほど認知機能が良好であると判定する。
解析ではまず、スパイロメトリーによる最大呼気流量(PEF)の実測値と、年齢・性別・身長などが一致する人の平均に対する比(%PEF)から、気流制限の重症度を4段階に分類。ステージ1は%PEFが80%以上、ステージ2は50~80%未満、ステージ3は30~50%未満、ステージ4は30%未満としてMoCA-Jスコアを比較した。すると83歳群では、気流制限の程度が強いほどMoCA-Jスコアが低いという有意な関連が認められた(傾向性P=0.002)。73歳群でもその傾向があったが有意ではなかった。
次に、MoCA-Jが25点以下で定義した「軽度認知障害(MCI)」を従属変数とし、性別、喫煙歴、飲酒習慣、握力低値(男性26kg未満、女性18kg未満)、高血圧、糖尿病、脂質異常症、冠動脈心疾患、脳卒中、および気流制限(FEV1/FVCが70%未満)を独立変数としてロジスティック回帰分析を施行。なお、握力低値を独立変数に含めた理由は、呼吸には筋力が必要であり、握力が呼吸機能と独立して関連していることが報告されているためである。
解析の結果、83歳群では気流制限が、唯一の独立した正の関連因子として抽出された(オッズ比〔OR〕3.44〔95%信頼区間1.141~10.340〕)。反対に飲酒習慣は、MCIに対する唯一の保護的因子だった(OR0.37〔同0.189~0.734〕)。73歳群では性別(女性)が唯一の独立した正の関連因子であり(OR2.45〔同1.290~4.643〕)、保護的因子は特定されなかった。
続いて、年齢層と性別とで4群に分けた上で、それぞれの群におけるMCIに独立した関連因子を検討。その際、独立変数として気流制限以外は前記と同様に設定し、呼吸機能に関しては気流制限の有無に変えて、%VC、FEV1/FVC、%PEFという三つの指標を個別に加えて解析した。その結果、4群全てにおいて、%PEFが高いことがMCIのオッズ比低下と関連していた(男性は73歳群と83歳群の両群ともにOR0.98、女性は両群ともに0.99)。%PEF以外では、83歳群の女性において、%VC(年齢・性別・身長などが一致する人の平均に対する肺活量の比)のみ、有意な関連因子だった(OR0.98)。
著者らは、「われわれの研究結果は、%PEFの低下が地域在住高齢者の認知機能低下に関連していることを示唆している。また、喫煙歴はこの関連に影響を及ぼしていなかった。よって喫煙習慣の有無にかかわらず、高齢者の認知機能維持を目的とした保健指導プログラムに、呼吸機能訓練などを組み込むべきではないか」と総括。さらに、本研究ではスパイロメトリーを用いたが、「%PEFのみであれば患者自身が日常生活下で使用可能なピークフローメーターでも測定できる」とし、「%PEFの自己測定を、高齢者の呼吸機能の自己管理に加え、認知機能低下抑止のための行動変容にもつなげられるのではないか」とも付け加えている。
軽度認知障害(MCI)のセルフチェックに関する詳しい解説はこちら
軽度認知障害を予防し認知症への移行を防ぐためには早期発見、早期予防が重要なポイントとなります。そこで、今回は認知症や軽度認知障害(MCI)を早期発見できる認知度簡易セルフチェックをご紹介します。
軽度認知障害(MCI)のリスクをセルフチェックしてみよう!参考情報:リンク先
HealthDay News 2024年10月21日
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発酵乳製品の摂取頻度の多寡で高齢者の歩行速度に差が生じる――中之条研究
発酵乳製品が加齢に伴う歩行速度の低下を抑制することを示唆するデータが報告された。摂取頻度の多寡によって、男性では歩行速度に7.3年分に相当する差が生じ、さらに日常の歩数の多寡も考慮した場合、最大で22.0年分の差が生じる可能性があるという。東京都健康長寿医療センター研究所運動科学研究室の青栁幸利氏らの研究によるもので、詳細は「Beneficial Microbes」に7月5日掲載された。
加齢に伴い身体機能およびトレス耐性が低下した、要介護予備群とも言える「フレイル」への公衆衛生対策が急務となっている。フレイルの予防には適度な運動とバランスの良い食事が大切と考えられていて、特に食事に関してはタンパク質摂取の重要性とともに近年、ヨーグルトなどの発酵乳製品の有用性が示されてきている。ただし、その効果を実際にヒトで検討した研究報告はまだ少ない。
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以上を背景として青栁氏らは、群馬県中之条町で行われている地域在住高齢者対象疫学研究「中之条研究」のデータを用い、横断的および縦断的解析を実施した。解析対象は、自立した生活を送っていて、慢性・進行性疾患(がん、認知症、関節炎、パーキンソン病など)のない65歳以上の高齢者。栄養士が食事調査を行い、発酵乳製品(チーズを除く)の摂取頻度が週3日未満/以上で二分。また、加速度センサーで把握された歩数が1日7,000歩未満/以上で二分した上で、歩行速度を比較検討した。
横断的解析の対象は581人(年齢範囲65~92歳、男性38.6%)で、発酵乳製品の摂取頻度が週3日以上の割合は、男性では56.3%、女性は71.1%。男性・女性ともに両群間で年齢、BMI、および1日の歩数に有意差はなかった。男性の日常の歩行速度は、発酵乳製品の摂取頻度が週3日以上の群が1.37±0.21m/秒、摂取頻度が3日未満の群は1.31±0.20m/秒であり、最大歩行速度は同順に2.15±0.45m/秒、2.02±0.42m/秒だった。交絡因子(年齢、BMI、喫煙習慣、飲酒習慣、およびエネルギー摂取量またはタンパク質摂取量)を調整後、両群の歩行速度に有意差が観察された。女性の歩行速度については、有意差が認められなかった。
一方、1日の歩数が7,000歩以上の割合は、男性では48.2%、女性は45.1%であり、7,000歩以上の群は年齢が若くBMIが低かった。交絡因子(年齢、BMI、喫煙習慣、飲酒習慣)を調整後、性別にかかわらず日常の歩行速度および最大歩行速度ともに、歩数7,000歩以上の群の方が有意に速いことが分かった。
発酵乳製品の摂取頻度と歩行速度を組み合わせて全体を4群に分けて比較すると、男性では発酵乳製品の摂取頻度が高くて歩数が多い群の日常の歩行速度が最も速く、他の3群との間に有意差が認められ、女性もほぼ同様の結果(歩数7,000歩以上で発酵乳製品の摂取頻度3日/週未満の群との差は非有意)だった。
なお、男性では、1歳高齢になるごとに日常の歩行速度が0.0082m/秒低下すると計算された。発酵乳製品摂取頻度の多寡による2群間の歩行速度の差は0.06m/秒であったことから、歩行速度上は7.3年分の年齢差が存在していると考えられた。さらに歩数の多寡を考慮した場合、発酵乳製品の摂取頻度が高くて歩数が多い群と発酵乳製品の摂取頻度が低くて歩数が少ない群との群間差は0.18m/秒であり、22.0年分の年齢差が生じていると計算された。
縦断的解析は、2014年と5年後の2019年の調査に参加した240人(年齢範囲65~91歳、男性42.9%)を対象として実施された。2014年時点で発酵乳製品の摂取頻度が週3日以上だったのは68.8%だった。2019年の日常の歩行速度は、摂取頻度が週3日未満の群では5年前と比べて0.11±0.14m/秒低下していたのに対して、摂取頻度が3日以上の群の低下幅は0.064±0.169m/秒にとどまっており、交絡因子(年齢、性別、BMI、喫煙習慣、飲酒習慣、2014年時点の日常の歩行速度)を調整後に有意な群間差が認められた。
これら一連の結果を基に著者らは、「発酵乳製品の習慣的な摂取が高齢者の歩行速度の低下抑制に寄与する可能性があり、また歩数が多いことと相加効果も期待できるのではないか」と述べている。なお、発酵乳製品の効果発現のメカニズムとしては、既報研究からの考察として、発酵乳製品中に含まれる微生物による腸管内の短鎖脂肪酸の増加を介して筋肉にエネルギーが供給されたり、慢性炎症が抑制されたりすることの関与が考えられるとしている。
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HealthDay News 2024年10月15日
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社員の生活習慣とメンタルヘルス関連の欠勤率や離職率に有意な関連
運動習慣のある社員や良好な睡眠を取れている社員の割合が高い企業ほど、メンタルヘルス関連での欠勤者や離職者が少ないという有意な関連のあることが明らかになった。順天堂大学医学部総合診療科学講座の矢野裕一朗氏らの研究結果であり、詳細は「Epidemiology and Health」に8月2日掲載された。
メンタルヘルスは世界各国で主要な健康課題となっており、日本人のメンタルヘルス不調の生涯有病率は20%を超えるというデータも報告されている。メンタルヘルス不調者の増加はその治療のための医療費を増大させるだけでなく、欠勤やプレゼンティズム(無理して出勤するものの生産性が上がらない状態)を介して間接的な経済負担増大につながる。このような社会課題を背景に経済産業省では、企業の健康経営を推進するため、健康経営優良法人の認定や健康経営銘柄の選定などを行っており、それらの基礎資料とするため「健康経営度調査」を行っている。
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健康経営度調査では、喫煙者率、習慣的飲酒者率のほかに、普通体重(BMI18.5~25)の社員や運動習慣(1回30分、週2回以上)のある社員の割合、よく眠れている社員の割合、および、メンタルヘルス関連の欠勤率や離職率などが調査されている。矢野氏らは、2020年度の同調査のデータを用いた横断的検討を行った。この年の回答者数は1,748社で、社員数は合計419万9,021人、女性が26.8%、勤続年数は平均14.4±4.6年であり、メンタルヘルス関連の欠勤率は1.1±1.0%、離職率は5.0±5.0%だった。
交絡因子未調整の粗モデルの解析では、メンタルヘルス関連の欠勤率に関しては普通体重者の割合を除いて、前記の因子の全てが有意に関連していた。交絡因子(業種、上場企業か否か、勤続年数、および全ての生活習慣関連指標)を調整すると、習慣的飲酒者率との関連は有意性が消失したが、その他の因子は以下のように引き続き有意だった。まず、運動習慣のある社員が1パーセントポイント(PP)多いと、メンタルヘルス関連の欠勤率が0.005%低く(P=0.021)、よく眠れている社員が1PP多いことも同様に欠勤率が0.005%低いという関連があった(P=0.016)。また、喫煙者率が1PP高いことも、メンタルヘルス関連の欠勤率が0.013%低いことと関連していた(P<0.001)。
次に、離職率について見ると、粗モデルでの段階で、普通体重者の割合と運動習慣のある社員の割合は関連が非有意だった。前記同様の交絡因子を調整後、喫煙者率と習慣的飲酒者率については有意性が消失し、よく眠れている社員の割合のみが有意な因子として残り、その割合が1PP多いと離職率が0.020%低かった(P=0.034)。
著者らは、本研究が横断研究であるため因果関係の解釈は制限されるとした上で、「運動の奨励や睡眠習慣の指導は、社員のメンタルヘルス関連の欠勤や離職を防ぐ介入として有用といえるのではないか」と述べている。なお、喫煙者率が高いほどメンタルヘルス関連の欠勤が少ないという結果について、「今回のような一時点での横断解析では、先行研究においても、喫煙がストレスを軽減するというデータがある。しかし、経時的に評価した縦断研究では喫煙がメンタルヘルスに悪影響を及ぼすことや、禁煙介入によりメンタルヘルスが改善されることがシステマティックレビューからも報告されている。本研究は観察的および横断的なデザインであり、因果関係を立証することはできず、この点は限界点として認識すべき」と考察を述べている。
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歯科患者の不安を客観的に評価できる質問票
歯科治療を受ける患者の不安や恐怖の強さを、6種類の顔のイラストから選択してもらって客観的に評価する質問票が開発された。大阪歯科大学欠損歯列補綴咬合学講座の三野卓哉氏らによる研究によるもので、詳細は「The Journal of Advanced Prosthodontics」に8月20日掲載された。開発された質問票の信頼性や妥当性の検証結果も報告されている。
歯科治療に強い不安や恐れを抱く「歯科恐怖症」の有病率は、成人の5~22%と報告されている。歯科恐怖症では歯科受診の機会が少なくなり口腔疾患が進行してしまうというリスクばかりでなく、不安や恐怖のために痛みに対する感受性がより高くなったり、歯科医師の説明の理解がおろそかになったりすることも問題となる。また、医科においては、治療に伴う不安を評価するツール(例えば状態-特性不安尺度〔STAI〕)が確立され臨床に役立てられているが、歯科の日常診療で活用できる簡便な評価ツールは存在しない。
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以上を背景として三野氏らは、歯科特異的な不安と恐怖を短時間で評価可能なツールの開発を試みた。他領域で使われている既存の4種類のツール(ビジュアルアナログスケールなど)を基に質問票の草稿を作成し、パイロット研究を実施。その結果、研究参加者の全てが「容易に回答できて感情を示しやすい」と評価した、「ウォン・ベイカー顔面疼痛評価尺度」というツールを利用することとした。この評価尺度は、不安や恐怖の強さを表した6種類の顔のイラストの中から、自分に最もマッチするものを選んでもらうというもの。質問項目により、歯科特性不安(不安を抱きやすい傾向)、歯科状態不安(一過性の不安)、歯科特性恐怖、歯科状態恐怖という4項目を評価可能な質問票とした。いずれもスコアが高いほど、不安または恐怖が強いと判定する。
この質問票の精度評価のため、岡山大学病院補綴歯科の外来でスケーリング(歯石除去)を受ける47人、およびインプラント治療を受ける25人を対象として実際に利用。医科の臨床で用いられている「状態-特性不安尺度(STAI)」の評価も同時に行い、両者の関連を検討した。またスケーリング群では、最初のスケーリングから2週間後に同様の手順で評価を行い、再現性を検討した。インプラント群では、手術前の説明日と手術当日、および抜糸日の計3時点で評価を行った。
結果について、まずスケーリング群での再現性に着目すると、加重カッパ係数が0.46~0.67の範囲であり、臨床的に十分と考えられた。STAIとの関連については、多くの指標では有意な正相関が確認された(歯科状態不安および歯科状態恐怖と特性不安の関連は有意水準未満)。
インプラント群においては、歯科特性不安を除く3指標は評価した3時点間で有意差が観察され、手術前の説明日や手術当日に比べて抜糸日にはスコアが低下していた。また、スケーリング群とインプラント群との比較では、全体的に後者のスコアの方が有意に高かった(歯科特性不安のみ有意差なし)。
これらの結果から、新たに開発された質問票は、歯科診療特異的な患者の不安や恐怖の強さを、患者自身の特性と歯科治療という状況とに分けて評価できると考えられた。著者らは、「この質問票は簡便に利用でき、臨床における許容範囲内の信頼性と妥当性を有している。歯科診療の個別化に役立ち、また歯科診療に伴う不安や恐怖に関する今後の研究に応用できるのではないか」と述べている。
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2型糖尿病患者のフレイルリスクに地域差――国内多機関共同研究
高齢2型糖尿病患者のフレイルリスクが、居住地域によって異なるという実態が報告された。農村部では都市部よりリスクが高く、また農村部居住患者は手段的日常生活活動(IADL)と社会的日常生活活動(SADL)の低下も認められるという。香川大学医学部看護学科慢性期成人看護学の西村亜希子氏、京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻の原島伸一氏らによる論文が、「BMC Geriatrics」に8月17日掲載された。
糖尿病は、ストレス耐性が低下した状態であるフレイルのリスク因子であり、両者が併存する場合、身体障害や死亡のリスクがより上昇する可能性があるため、早期介入が特に重要と考えられる。また、フレイルリスクを高める因子として居住地域も該当し、都市部よりも農村部でリスクが高いことが示唆されている。ただし、糖尿病とフレイルの併発に居住地域の影響があるのかという点は未だ検討されていない。西村氏らは、糖尿病患者のフレイル予防に関する多機関共同研究(f-PPOD研究)のデータを用いた横断的解析により、この点を検討した。
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f-PPOD研究は国内の糖尿病専門外来のある医療機関8施設が参加。分布の偏りを避けるために各施設の外来患者数の10%を上限として、2017年3月~2020年2月に患者登録が行われた。適格基準は、基本的な日常生活活動(ADL)に支障がなく、重度の糖尿病合併症や併存疾患、身体障害、精神疾患のない、60~80歳の2型糖尿病患者。フレイルの判定には介護予防・日常生活支援総合事業で使用されている「基本チェックリスト」を用い、スコア8点以上をフレイル、4~7点をプレフレイルとした。
解析対象は417人で、このうち64.5%が都市部(人口100万人以上の都市とそれに隣接する通勤圏内)、35.5%が農村部(前記以外の地域)に居住していた。両群を比較すると、都市部の患者の方が、高齢(70.6±5.5対69.0±5.2歳、P=0.003)でHbA1c高値(7.33±1.00対7.04±0.91%、P=0.003)であり、罹病期間が長かった(16.6±10.9対12.0±10.3年、P<0.001)。握力は農村部の患者の方が高かった(26.8±8.0対29.6±8.2kg、P=0.001)。性別の分布には有意差がなかった(女性の割合が48.0対43.2%、P=0.356)。
フレイルの該当者率は、都市部では18.6%、農村部では23.0%、プレフレイルは同順に37.5%、47.3%であり、農村部で高かった(P=0.018)。居住地域、年齢、性別、HbA1c、糖尿病罹病期間を説明変数とするロジスティック回帰分析の結果、農村部への居住(オッズ比〔OR〕2.554〔95%信頼区間1.384~4.711〕)とHbA1c値(OR1.453〔同1.095~1.926〕)の二つが、フレイルに独立して関連のある因子として抽出された。また、プレフレイルに独立した関連のある因子は、農村部への居住(OR2.102〔同1.296~3.408〕)のみが抽出された。
次に、基本チェックリストのサブスケールのスコアと、前記の解析で独立変数とした各因子との関連を多重線形回帰分析で検討。すると、農村部に居住している糖尿病患者は、IADL(B=0.279、P<0.001)およびSADL(B=0.265、P=0.006)のスコアが有意に低いという関連が示された。なお、その他のサブスケール(運動器機能、栄養状態、口腔機能、認知機能、抑うつ)については、居住地域との有意な関連は見られなかった。
基本チェックリストの各質問の回答を比較すると、「バスや電車で1人で外出しているか」、「友人の家を訪ねているか」、「家族や友人の相談にのっているか」、「15分くらい続けて歩いているか」という4項目に有意差があり、いずれも都市部居住者の方が「はい」の割合が高かった。
以上を基に著者らは、「農村部の高齢2型糖尿病患者は、都市部の患者に比べてフレイルリスクが高く、IADLやSADLの低下が認められる」と結論。その理由として、「公共交通機関を利用しての外出が少なく歩行時間が短いこと、他者との交流が少なく孤立しやすいことなどの影響が想定される」とし、また既報研究を基に「ヘルスリテラシーの差異も関与しているのではないか」と考察を述べた上で、「フレイル予防のためには個人のリスク評価とともに、社会参加とコミュニケーションを促すような介入戦略が必要と考えられる」と総括している。
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糖尿病でいちばん恐ろしいのが、全身に現れる様々な合併症。深刻化を食い止め、合併症を発症しないためには、早期発見・早期治療がカギとなります。今回は糖尿病が疑われる症状から、その危険性を簡単にセルフチェックする方法をご紹介します。
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HealthDay News 2024年10月7日
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DPP-4i既存治療の有無で腎予後に有意差
2型糖尿病患者の腎予後がDPP-4阻害薬(DPP-4i)処方の有無で異なるとする研究結果が報告された。同薬が処方されている患者の方が、腎機能(eGFR)の低下速度が遅く、末期腎不全の発症リスクが低いという。東北医科薬科大学医学部衛生学・公衆衛生学教室の佐藤倫広氏、同大学医学部内科学第三(腎臓内分泌内科)教室の橋本英明氏らが行ったリアルワールド研究の結果であり、詳細は「Diabetes, Obesity & Metabolism」に7月31日掲載された。
インクレチン関連薬であるDPP-4iは、国内の2型糖尿病治療薬として、プライマリケアを中心に最も多く処方されている。同薬は、基礎研究では血糖降下以外の多面的な効果が示唆されており、腎保護的に作用することが知られているが、臨床研究のエビデンスは確立されていない。過去に行われた臨床研究は、参加者が心血管疾患ハイリスク患者である、またはDPP-4i以外の血糖降下薬の影響が調整されていないなどの点で、結果の一般化が困難となっている。これを背景として佐藤氏らは、医療情報の商用データベース(DeSCヘルスケア株式会社)を用いて、実臨床に則した検討を行った。
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2014~2021年のデータベースから、透析や腎移植の既往がなく、eGFR15mL/分/1.73m2超の30歳以上でデータ欠落のない2型糖尿病患者を抽出。eGFRが45mL/分/1.73m2以上のコホート(6万5,375人)ではeGFRの変化、eGFR45mL/分/1.73m2未満のコホート(9,866人)では末期腎不全への進行を評価アウトカムとして、ベースライン時点でのDPP-4iの処方(既存治療)の有無で比較した。
傾向スコアマッチングにより、患者数1対1のデータセットを作成。eGFR45以上のコホートは1万6,002のペア(計3万2,004人)となり平均年齢68.4±9.4歳、男性59.6%、eGFR45未満のコホートは2,086のペア(計4,172人)で76.5±8.5歳、男性60.3%となった。ベースライン特性をDPP-4i処方の有無で比較すると、両コホートともに年齢、性別、eGFR、各種臨床検査値、併存疾患、DPP-4i以外の血糖降下薬・降圧薬の処方などはよく一致していたが、DPP-4i処方あり群はHbA1cがわずかに高く(eGFR45以上は6.9±0.9対6.8±0.9%、eGFR45未満は6.8±1.0対6.7±0.9%)、服薬遵守率がわずかに良好だった(同順に84.1対80.4%、83.9対77.6%)。
解析の結果、eGFR45以上のコホートにおける2年後のeGFRは、DPP-4i処方群が-2.31mL/分/1.73m2、非処方群が-2.56mL/分/1.73m2で、群間差0.25mL/分/1.73m2(95%信頼区間0.06~0.44)と有意であり(P=0.010)、3年後の群間差は0.66mL/分/1.73m2(同0.39~0.93)に拡大していた(P<0.001)。ベースライン時に標準化平均差が10%以上の群間差が存在していた背景因子を調整した解析でも、同様の結果が得られた。
eGFR45未満のコホートでは、平均2.2年の観察期間中にDPP-4i処方群の1.15%、非処方群の2.30%が末期腎不全に進行し、カプランマイヤー法により有意差が認められた(P=0.005)。Cox回帰分析から、DPP-4iの処方は末期腎不全への進行抑制因子として特定された(ハザード比0.49〔95%信頼区間0.30~0.81〕)。
著者らは、「リアルワールドデータを用いた解析から、DPP-4iが処方されている2型糖尿病患者の腎予後改善が示唆された」と結論付けている。同薬の腎保護作用の機序としては、本研究において同薬処方群のHbA1cがわずかに高値であり、かつその差を調整後にもアウトカムに有意差が認められたことから、「血糖改善作用のみでは説明できない」とし、既報研究を基に「サブクリニカルに生じている可能性のある腎虚血や再灌流障害を抑制するなどの作用によるものではないか」との考察が述べられている。ただし本研究ではDPP-4i処方後の中止が考慮されていない。また、既存治療者を扱った研究デザインのため残余交絡の存在が考えられることから、新規治療者を対象とした研究デザインによる再検証の必要性が述べられている。
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糖尿病の3大合併症として知られる、『糖尿病性腎症』。この病気は現在、透析治療を受けている患者さんの原因疾患・第一位でもあり、治療せずに悪化すると腎不全などのリスクも。この記事では糖尿病性腎病を早期発見・早期治療するための手段として、簡易的なセルフチェックや体の症状について紹介していきます。
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HealthDay News 2024年9月30日
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高血圧、脂質異常症、糖尿病で服薬遵守率が高い疾患は?
高血圧、脂質異常症および糖尿病患者の服薬遵守率を、同一対象内で比較した結果が報告された。慶應義塾大学医学部衛生学公衆衛生学教室の松元美奈子氏、武林亨氏らの研究によるもので、詳細は「Pharmacoepidemiology and Drug Safety」に8月15日掲載された。服薬非遵守の関連因子が、疾患ごとに異なることも明らかにされている。
過去にも服薬遵守率に関する研究報告は少なくない。しかし、異なる診療環境で治療を受けている多数の患者集団を対象として、複数の疾患治療薬の服薬遵守率を比較検討した研究は限られている。これを背景として松元氏らは、山形県鶴岡市で進行中の鶴岡メタボロームコホート研究(TMCS)のデータを医療請求データにリンクさせて、心血管疾患の主要リスク因子である、高血圧、脂質異常症、糖尿病の患者の服薬遵守状況に関する検討を行った。
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TMCSは2012~2014年度に、35~74歳の鶴岡市内の住民コホートおよび被雇用者コホート、計1万1,002人が参加登録し、非感染性疾患のリスクに関する追跡調査が続けられている。なお、同市に居住している当該年齢人口の89%がTMCSの住民コホートに参加している。
今回の研究では、TMCS住民コホートのうち、2016~2019年度の追跡調査に参加し、データ欠落のない7,538人から、前記3疾患いずれかの治療薬が処方され継続的に受診していた3,693人を解析対象とした。そのうち男性が47.5%で、65歳以上の高齢者が80.9%であり、BMI25以上の肥満が36.5%、高血圧が73.2%、脂質異常症が57.2%、糖尿病が17.9%だった。また、自記式質問票に含まれていた既往症を問う質問に対して、処方薬に一致した病名が正しく回答されていた場合を「服薬理解度良好」と判定したところ、87.4%がこれに該当した。
服薬遵守率は、追跡開始から1年以内の処方日数カバー比率(PDC)で評価した。PDCは、ある期間において患者が処方薬を受け取った日数の比率であり、1(100%)であれば患者は飲み忘れることなく服用を続けていると推測される。心血管疾患リスク因子の管理において、PDC0.8以上をアドヒアランス良好の目安とすることが多いため、本研究でも0.8以上/未満で遵守/非遵守と二分した。なお、服薬の中断が連続180日以上の場合は「休薬」と判断した。ただしその該当者は51人とわずかだった。
解析の結果、併存疾患がない患者では、高血圧のみの場合の服薬遵守率が90.2%で最も高く、次いで糖尿病のみが81.2%、脂質異常症のみが80.8%であり、高血圧のみの患者と脂質異常症のみの患者の服薬遵守率に有意差が認められた。併存疾患のある患者における服薬遵守率は86.7~89.0%の範囲で有意差は見られず、一部の組み合わせの遵守率は脂質異常症のみの患者よりも有意に高かった。
次に、多変量解析により、性別、高齢(65歳以上)、自記式質問票で把握した生活習慣や服薬理解度などを説明変数とした上で、3疾患それぞれの服薬非遵守に独立して関連する因子を検討したところ、以下の結果が得られた。
まず、高血圧については、朝食欠食が非遵守の正の関連因子であり(調整オッズ比〔aOR〕1.90〔95%信頼区間1.13~3.21〕)、服薬理解度良好は負の関連因子であった(aOR0.48〔同0.26~0.89〕)。脂質異常症については、男性(aOR0.71〔0.52~0.97〕)、併存疾患あり(aOR0.64〔0.49~0.82〕)、心疾患の既往(aOR0.51〔0.33~0.79〕)という三つが、全て負の関連因子として抽出された。糖尿病については、睡眠の質が良くないこと(aOR2.06〔1.02~4.16〕)と朝食欠食(aOR2.89〔1.19~7.00〕)の二つが、いずれも正の関連因子だった。喫煙・飲酒・運動習慣、教育歴、行動変容ステージ、摂食速度、夕食の時間帯などは、いずれの治療薬の非遵守とも独立した関連はなかった。
著者らは、本研究では被雇用者コホートの医療費請求データを利用できなかったため、解析対象が高齢者の多い住民コホートのみであったことなどを研究の限界点として挙げた上で、「高血圧、脂質異常症、糖尿病に対する治療薬は、全体として高い服薬遵守率が示されたが、治療状況による違いも認められた。また、非遵守に関連する因子は、疾患によって異なった。これらの知見は、服薬アドヒアランスを高めるサポートに生かせるのではないか」と結論付けている。
なお、朝食欠食が高血圧と糖尿病における服薬非遵守の関連因子であったことについて、「欠食習慣のある患者では『朝食後に服用』と指示すると遵守率が低下する懸念がある。低血糖を来し得る薬剤を除き、『食事を食べない朝も服用してよい』と伝えることが推奨される」といった考察が述べられている。
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糖尿病でいちばん恐ろしいのが、全身に現れる様々な合併症。深刻化を食い止め、合併症を発症しないためには、早期発見・早期治療がカギとなります。今回は糖尿病が疑われる症状から、その危険性を簡単にセルフチェックする方法をご紹介します。
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1日2回以上の歯磨きで児童のレジリエンス向上か――貧困下で特に顕著
歯磨きの頻度が高い子どもはレジリエンスが高く、特に貧困に該当する子どもでこの関係が強固であるとする研究結果が報告された。東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科公衆衛生学分野※の藤原武男氏らの研究によるもので、詳細は「BMC Oral Health」に8月10日掲載された。
貧困は健康リスク因子の一つとして位置付けられていて、成長過程にある子どもでは、その影響が成人後にも及ぶ可能性も指摘されている。また幼少期の貧困は、レジリエンスの低下につながることが報告されている。レジリエンスとは、ストレスやトラブルに対応して逆境から立ち直る精神的な回復力であり、レジリエンスの高さは、うつ病や不安症などのメンタルヘルス疾患のリスクの低さと関連がある。
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幼少期の貧困そのものは修正困難であるため、レジリエンスの発達にはコストのかからない修正可能な因子を見いだす必要がある。一方、これまでの研究から、歯磨きの頻度が幼少期の自己管理能力と関連することや、歯磨き頻度が低い小学生に不登校が多いことなどが報告されている。これらを背景として藤原氏らは、子どもの歯磨きの頻度とレジリエンスとの関連を検討し、その関連が貧困の有無によって異なるのかを検討した。
この研究は、東京都足立区内の全ての公立小学校の生徒を対象に行われた、「足立区子どもの健康生活実態調査」のデータを利用する縦断的研究として実施された。2015年に小学1年生5,355人の貧困、レジリエンス、および歯磨きの頻度などが調査され、4,291人の保護者が回答(回答率80.1%)。2018年に子どもたちが小学4年生になった段階で追跡調査を行い、3,519人(追跡率82.0%)が回答し、データ欠落のない3,458人(平均年齢9.59±0.49歳、男児50.6%)を解析対象とした。
貧困は、1年生時点で(1)世帯収入300万円未満、(2)物理的剥奪(経済的理由のため、本やスポーツ用品、必要度の高い家電製品を購入できないなど)が一つ以上、(3)支払い困難(給食費、住宅ローン、電気代、電話代、健康保険料などを払えない)が一つ以上――のいずれかに該当する場合と定義した。レジリエンスは、「子どものレジリエンス評価スケール(CRCS)」という指標で評価した。CRCSは「最善を尽くそうとする」、「からかいや意地悪な発言にうまく対処する」、「必要な時に適切な助けを求める」などの8項目の質問から成り、合計100点満点に換算するもので、スコアが高いほどレジリエンスが高いと評価される。
1年生時点での貧困児童の割合は23.0%だった。歯磨きの頻度については、1日2回以上が77.5%であり、貧困に該当する場合はその割合が有意に低かった(79.4対71.4%、P<0.001)。レジリエンスを表すCRCSのスコアは、1年生時点で46.87±12.11点、4年生時点では69.27±16.3点だった。4年生時点のCRCSスコアを、1年生時点の貧困の有無と歯磨きの頻度別に見ると、貧困なしの場合、歯磨き頻度が1日2回未満では67.6点、1日2回以上では70.8点、貧困ありでは同順に62.0点、68.0点だった。
レジリエンスに影響を及ぼし得る因子(性別、同居中の親・祖父母の人数、母親の年齢・教育歴・就労状況・メンタルヘルス状態〔K6スコア〕)を調整後、1年生時点で貧困に該当していた子どもはそうでない子どもに比べて、4年生時点のCRCSスコアが有意に低かった(-1.53点〔95%信頼区間-2.91~-0.15〕)。また、1年生時点の歯磨き頻度が1日2回以上の子どもは2回未満の子どもに比べて、4年生時点のCRCSスコアが有意に高かった(3.50点〔同2.23~4.77〕)。
次に、前記の調整因子のほかに1年生時点のCRCSスコアも調整したうえで、1年生時点の歯磨き頻度と4年生時点のCRCSスコアとの関係を、貧困の有無別に検討した。すると、貧困なしの場合、歯磨き頻度が1日2回未満と以上とで、CRCSスコアに有意差がなかったが(0.65点〔-0.57~1.88〕)、貧困に該当する場合は、1年生時点の歯磨き頻度が1日2回以上の群のCRCSスコアの方が有意に高かった(2.66点〔0.53~4.76〕)。
これらの結果に基づき著者らは、「日本の小学生を対象とした縦断的研究により、1日2回以上の歯磨きが子どものレジリエンスの発達に及ぼし得る影響は、貧困に該当する子どもでより顕著であることが明らかになった。歯磨きという実践しやすい行動に焦点を当てた保健政策が、貧困児童の精神的健康にとって役立つのではないか」と述べている。
なお、歯磨きが貧困児童のレジリエンスにプラスの影響を与えることの理由として、以下のような考察が加えられている。まず、貧困という環境では種々の要因から炎症が発生しやすく、慢性炎症がレジリエンスを低下させると報告されているが、歯磨きによって炎症が抑制されることでレジリエンスへの負の影響も抑えられるのではないかという。また、歯磨きという“少し面倒な”ライフスタイルを保つことが、子どもの自己管理能力とレジリエンスを醸成する可能性があるとのことだ。
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DPP-4iとBG薬で糖尿病性合併症発生率に差はない――4年間の後方視的解析
血糖管理のための第一選択薬としてDPP-4阻害薬(DPP-4i)を処方した場合とビグアナイド(BG)薬を処方した場合とで、合併症発生率に差はないとする研究結果が報告された。静岡社会健康医学大学院大学(現在の所属は名古屋市立大学大学院医学研究科)の中谷英仁氏、アライドメディカル株式会社の大野浩充氏らが行った研究の結果であり、詳細は「PLOS ONE」に8月9日掲載された。
欧米では糖尿病の第一選択薬としてBG薬(メトホルミン)が広く使われているのに対して、国内ではまずDPP-4iが処方されることが多い。しかし、その両者で合併症の発生率に差があるかは明らかでなく、費用対効果の比較もほとんど行われていない。これを背景として中谷氏らは、静岡県の国民健康保険および後期高齢者医療制度のデータを用いた後方視的解析を行った。
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2012年4月~2021年9月に2型糖尿病と診断され、BG薬またはDPP-4iによる治療が開始された患者を抽出した上で、心血管イベント・がん・透析の既往、糖尿病関連の入院歴、インスリン治療歴、遺伝性疾患などに該当する患者を除外。性別、年齢、BMI、HbA1c、併存疾患、腎機能、肝機能、降圧薬・脂質低下薬の処方、喫煙・飲酒・運動習慣など、多くの背景因子をマッチさせた1対5のデータセットを作成した。
主要評価項目は脳・心血管イベントと死亡で構成される複合エンドポイントとして、イベント発生まで追跡した。副次的に、糖尿病に特異的な合併症の発症、および1日当たりの糖尿病治療薬剤コストを比較した。追跡開始半年以内に評価対象イベントが発生した場合はイベントとして取り扱わなかった。
マッチング後のBG薬群(514人)とDPP-4i群(2,570人)の特徴を比較すると、平均年齢(68.39対68.67歳)、男性の割合(46.5対46.9%)、BMI(24.72対24.67)、HbA1c(7.24対7.22%)、収縮期血圧(133.01対133.68mmHg)、LDL-C(127.08対128.26mg/dL)、eGFR(72.40対72.32mL/分/1.73m2)などはよく一致しており、その他の臨床検査値や併存疾患有病率も有意差がなかった。また、BG薬、DPP-4i以外に追加された血糖降下薬の処方率、通院頻度も同等だった。
中央値4.0年、最大8.5年の追跡で、主要複合エンドポイントはBG薬群の9.5%、DPP-4i群の10.4%に発生し、発生率に有意差はなかった(ハザード比1.06〔95%信頼区間0.79~1.44〕、P=0.544)。また、心血管イベント、脳血管イベント、死亡の発生率を個別に比較しても、いずれも有意差はなかった。副次評価項目である糖尿病に特異的な合併症の発生率も有意差はなく(P=0.290)、糖尿病性の網膜症、腎症、神経障害を個別に比較しても、いずれも有意差はなかった。さらに、年齢、性別、BMI、HbA1c、高血圧・脂質異常症・肝疾患の有無で層別化した解析でも、イベント発生率が有意に異なるサブグループは特定されなかった。
1日当たり糖尿病治療薬剤コストに関しては、BG薬は60.5±70.9円、DPP-4iは123.6±64.3円であり、平均差63.1円(95%信頼区間56.9~69.3)で前者の方が安価だった(P<0.001)。
著者らは、本研究が静岡県内のデータを用いているために、地域特性の異なる他県に外挿できない可能性があることなどを限界点として挙げた上で、「2型糖尿病患者に対して新たに薬物療法を開始する場合、BG薬による脳・心血管イベントや死亡および糖尿病に特異的な合併症の長期的な抑制効果はDPP-4iと同程度であり、糖尿病治療薬剤コストは有意に低いと考えられる」と総括している。
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眼圧が基準範囲内でも高ければ高血圧発症の危険性が高くなる
眼圧と高血圧リスクとの関連性を示すデータが報告された。眼圧は基準範囲内と判定されていても、高い場合はその後の高血圧発症リスクが高く、この関係は交絡因子を調整後にも有意だという。札幌医科大学循環器・腎臓・代謝内分泌内科学講座の古橋眞人氏と田中希尚氏、佐藤達也氏、同眼科学講座の大黒浩氏と梅津新矢氏らの共同研究によるもので、詳細は「Circulation Journal」に7月24日掲載された。
眼圧が高いことは緑内障のリスク因子であり、21mmHg以上の場合に「高眼圧」と判定され緑内障の精査が行われる。一方、これまでの横断研究から、高血圧患者は眼圧が高いことが知られている。ただし縦断研究のエビデンスは少なく、現状において眼圧の高さは高血圧のリスク因子と見なされていない。そのため眼圧は短時間で非侵襲的に評価できるにもかかわらず、もっぱら緑内障の診断や管理という眼科領域でのみ測定されている。この状況を背景として古橋氏らの研究チームは、健診受診者の大規模データを用いた後方視的縦断研究によって、眼圧と高血圧リスクとの関連を検討した。
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解析対象は、札幌市内の渓仁会円山クリニックで2006年に健診を受けた2万8,990人のうち、10年後の2016年までに1回以上再度健診を受けていて、眼圧と血圧の経時的データがあり、ベースライン時に高血圧と診断されていなかった7,487人。主な特徴は、ベースライン時において年齢48±9歳、BMI22.8±3.2、収縮期血圧112±13mmHg、拡張期血圧72±9mmHgで、眼圧(両眼の平均)は中央値13mmHg(四分位範囲11~15mmHg)で大半が基準値上限(21mmHg)未満の正常眼圧だった。
血圧140/90mmHg以上または降圧薬の処方開始で高血圧の新規発症を定義したところ、平均6.0年(範囲1~10年)、4万5,001人年の追跡で、1,602人がこれに該当した(男性の24.3%、女性の11.5%)。ベースラインの眼圧の三分位で3群に分けカプランマイヤー法で比較すると、高血圧の累積発症率は第3三分位群(眼圧14mmHg以上)、第2三分位群(同12~13mmHg)、第1三分位群(同11mmHg以下)の順に高く、有意差が認められた(P<0.001)。
次に、高血圧の新規発症に対する眼圧との関連を、交絡因子(年齢、性別、収縮期血圧、肥満、腎機能、喫煙・飲酒習慣、高血圧の家族歴、糖尿病・脂質異常症の罹患)で調整した多変量Cox比例ハザード解析を施行。その結果、年齢や収縮期血圧、肥満、喫煙・飲酒習慣、高血圧の家族歴、糖尿病の罹患とともに、高眼圧が高血圧発症の独立した危険因子として採択された(第1三分位群を基準として第3三分位群のハザード比が1.14〔95%信頼区間1.01~1.29〕)。さらに制限付き3次スプライン曲線での解析により、ベースラインの眼圧が高いほど高血圧発症リスクが徐々に上昇するという現象が確認された。
これらの結果から著者らは、「眼圧が基準範囲内であっても高ければ、その後の高血圧発症リスクが高くなるということが、大規模な縦断研究の結果として明らかになった。眼圧高値を緑内障の診断・管理目的のみでなく、心血管疾患の危険因子として捉え、内科と眼科は綿密に連携をとって評価する必要があるのではないか」と結論付けている。なお、高眼圧や緑内障と高血圧の関連のメカニズムについては、先行研究からの考察として、「眼圧を規定する房水の産生には交感神経活性の亢進が関与していて、緑内障には活性酸素種の産生亢進が関与している。それらのいずれも血圧を押し上げるように働く」と述べられている。
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筋肉量の少ない高齢男性の食事摂取量は、筋肉量の多い高齢男性と差がない
地域在住高齢者の筋肉量の多寡と食事・栄養素摂取量の関係を、性別に検討した結果が報告された。女性で筋肉量の少ない人は食事摂取量が少ないが、男性はそのような差がないという。順天堂大学大学院医学研究科代謝内分泌内科学の加賀英義氏らの研究によるもので、詳細は「BMC Geriatrics」に7月18日掲載された。著者らは、性差に配慮したサルコペニア予防戦略の必要性を指摘している。
高齢社会の進展とともにサルコペニア(筋肉量や筋力低下)対策が公衆衛生上の喫緊の課題となっている。筋肉量や筋力を高めるために、タンパク質を中心とする十分な栄養素摂取が推奨されているが、高齢者の筋肉量と栄養素摂取量の関連については不明点も残されている。そこで加賀氏らは、都市在住高齢者コホート研究である「文京ヘルススタディ」のベースラインデータを横断的に解析し、詳細な検討を行った。
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解析対象は東京都文京区に住む65~84歳の高齢者1,618人(平均年齢73.1±5.4歳、男性42.0%)。生体インピーダンス法で測定した四肢骨格筋量を基に骨格筋量指数(SMI)を算出し、アジアのサルコペニア診断基準(男性は7.0kg/m2未満、女性は5.7kg/m2未満)に基づいて二分すると、男性の31.1%、女性の43.3%が低SMIと判定された。男性・女性ともに低SMI群は、年齢が高く、BMIが低値だった。ただし体脂肪率については、女性は低SMI群で低値だったが(29.6対32.7%、P<0.001)、男性は有意差がないという(24.3対24.6%、P=0.544)、性別による違いが認められた。
食事・栄養素摂取量は、簡易型自記式食事歴質問票で調査した。年齢、身長、体重、身体活動量で調整後、女性は低SMI群の方が、摂取エネルギー量と主要栄養素(炭水化物、タンパク質、脂質)の摂取量が有意に少なく、また微量栄養素(ビタミン、ミネラル)についてもその多くで、低SMI群の摂取量が有意に少なかった。その一方、男性では、低SMI群と高SMI群とで摂取エネルギー量や主要栄養素の摂取量に有意差がなく、また大半の微量栄養素の摂取量も有意差がなかった(マンガンと銅のみ低SMI群で低値)。
食品の摂取量を比べた場合、男性は全ての食品群で差が観察されなかった。女性では、脂肪分の多い魚や豆腐、油揚げは低SMI群の摂取量が少なく、反対に小麦製品の摂取量は高SMI群の方が少なかった。
著者らは本研究が横断研究であるという限界点を挙げた上で、「都市在住高齢者の筋肉量の多寡と食事・栄養素摂取量の関係には性差が存在しており、サルコペニア予防のための栄養介入では性別を考慮する必要があるのではないか。女性に対しては摂取エネルギー量を全体的に増やすようにアドバイスすることが重要と考えられる」と結論付けている。他方、男性については低SMI群と高SMI群とで摂取エネルギー量および、ほぼ全ての栄養素・食品の摂取量に有意差が認められなかったため、「サルコペニアの予防法を探るさらなる研究が必要」としている。
なお、論文の考察では、男性において食事や栄養素の摂取量に差がないにもかかわらずSMIに差が生じるメカニズムとして、消化・吸収や体タンパク質の同化・異化の違いなどが関与している可能性が述べられている。また、有意水準未満ながら、低SMI群では米の摂取量が少ない一方でパンの摂取量が多く、さらに動物性タンパク質の摂取量も非有意ながら低SMI群で少なかったことなどが記されている。
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シンデレラ体重の若年日本人女性の栄養不良の実態が明らかに
国内で増加している低体重若年女性の栄養状態を、詳細に検討した結果が報告された。栄養不良リスクの高さや、朝食欠食の多さ、食事の多様性スコア低下などの実態が明らかにされている。藤田医科大学医学部臨床栄養学講座の飯塚勝美氏らの研究によるもので、詳細は「Nutrients」に5月7日掲載された。
日本人若年女性に低体重者が多いことが、近年しばしば指摘される。「国民健康・栄養調査」からは、20歳代の女性の約20%は低体重(BMI18.5未満)に該当することが示されており、この割合は米国の約2%に比べて極めて高い。BMI18未満を「シンデレラ体重」と呼び「美容的な理想体重」だとする、この傾向に拍車をかけるような主張もソーシャルメディアなどで見られる。実際には、女性の低体重は月経異常や不妊、将来の骨粗鬆症のリスクを高め、さらに生まれた子どもの認知機能や成人後の心血管代謝疾患リスクに影響が生じる可能性も指摘されている。とはいえ、肥満が健康に及ぼす影響は多くの研究がなされているのに比べて、低体重による健康リスクに関するデータは不足している。
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飯塚氏らの研究は、2022年8~9月に同大学職員を対象に行われた職場健診受診者のうち、年齢が20~39歳の2,100人(女性69.4%)のデータを用いた横断研究として実施された。まず、低体重(BMI18.5未満)の割合を性別に見ると、男性の4.5%に比べて女性は16.8%と高く、さらに極端な低体重(BMI17.5未満)の割合は同順に1.4%、5.9%だった。
次に、女性のみ(1,457人、平均年齢28.25±4.90歳)を低体重(BMI18.5未満)245人、普通体重(同18.5~25.0未満)1,096人、肥満(25.0以上)116人の3群に分類して比較すると、低体重群は他の2群より有意に若年で、握力が弱かった。栄養状態のマーカーである総コレステロールは同順に、177.8±25.2、184.1±29.2、194.7±31.2mg/dL、リンパ球は1,883±503、1,981±524、2,148±765/μLであり、いずれも低体重群は他の2群より有意に低値だった。一方、HbA1cは肥満群で高値だったものの、低体重群と普通体重群は有意差がなかった。
続いて、極端な低体重のため二次健診を受診した女性56人を対象として、より詳細な分析を施行。この集団は平均年齢32.41±10.63歳、BMI17.02±0.69であり、総コレステロール180mg/dL未満が57.1%、リンパ球1,600/μL未満が42.9%、アルブミン4mg/dL未満が5.3%を占めていた。その一方で39%の人がHbA1c5.6%以上であり、糖代謝異常を有していた。なお、バセドウ病と新規診断された患者が4人含まれていた。
20~39歳の44人と40歳以上の12人に二分すると、BMIや握力、コレステロールは有意差がなかったが、リンパ球数は1,908±486、1,382±419/μLの順で、後者が有意に低かった。また、アルブミン、コレステロール、リンパ球を基にCONUTという栄養不良のスクリーニング指標のスコアを計算すると、軽度の栄養不良に該当するスコア2~3の割合が、前者は25.0%、後者は58.3%で、後者で有意に多かった。
極端な低体重者の摂取エネルギー量は1,631±431kcal/日であり、炭水化物と食物繊維が不足と判定された人の割合が高く(同順に82.1%、96.4%)、一方でコレステロールの摂取量は277.7±95.9mgと比較的高値だった。また、28.6%は朝食を抜いていて、食事の多様性スコア(DDS)は、朝食を食べている人の4.18±0.83に比べて朝食欠食者は2.44±1.87と有意に低いことが明らかになった。
極端な低体重者は微量栄養素が不足している実態も明らかになった。例えば鉄の摂取量が10.5g/日未満やカルシウム摂取量650mg/日未満の割合が、いずれも96.4%を占めていた。血液検査からはビタミンD欠乏症の割合が94.6%に上り、ビタミンB1やB12の欠乏も、それぞれ8.9%、25.0%存在していることが分かった。さらに、40歳未満の13.6%に葉酸欠乏症が認められ、その状態のまま妊娠が成立した場合の胎児への影響が懸念された。
これらの結果に基づき著者らは、「日本人若年低体重女性は潜在的にビタミン欠乏症になりやすいことが判明した。将来の疾患リスクや低出生体重児のリスクを考えると、低体重者への食事・栄養指導が重要と考えられる」と総括している。
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HealthDay News 2023年8月28日
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ワクチン接種回数や年齢層によるCOVID-19症状の違い――札幌市での調査で明らかに
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン接種回数が多いほど感染時に全身症状が現れにくい一方で、咽頭痛や鼻汁などの上気道症状が現れやすいことなどが明らかになった。北海道大学医学研究院呼吸器内科の中久保祥氏らが、札幌市のCOVID-19療養判定システムなどのデータを解析した結果であり、詳細は「The Lancet Infectious Diseases」に6月30日掲載された。オミクロン株BA.2とBA.5の症状の特徴や、高齢者と非高齢者の違いも示されている。
この研究に用いられた札幌市のCOVID-19療養判定システムは2022年4月にスタートし、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)陽性判定を受けた同市市民が登録して症状などを記録している。記録されている情報は、発症日、食事摂取状況、12種類(発熱、咳、咽頭痛、呼吸困難、鼻汁、頭痛、倦怠感、関節や筋肉の痛み、下痢、味覚・嗅覚異常など)の症状、年齢、性別、基礎疾患など。これらの情報と、感染者等情報把握・管理支援システム、ワクチン接種記録システムのデータを統合して解析が行われた。
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解析対象は、2022年4月25日~9月25日にデータが記録されていた15万7,861人。主な特徴は、年齢が中央値33歳(四分位範囲17~47)、65歳以上6.9%、男性47.7%、BMI中央値21.1、BMI30以上4.3%、ワクチン未接種者38.0%、感染既往者3.7%など。また、オミクロンBA.2の感染者が21.8%、BA.5が78.2%を占めていた。重症化した(酸素投与と入院を要した)のは142人、30日以内の死亡は4人だった。
最も一般的な症状は咳(62.7%)であり、次いで咽頭痛(60.7%)、鼻汁(44.3%)、頭痛(42.1%)、38度以上の発熱(38.8%)、痰(36.1%)、関節や筋肉の痛み(29.1%)、食思不振(28.1%)などだった。BA.2流行期と比較してBA.5流行期には発熱や食思不振などの全身症状が多く、これはワクチン接種歴や基礎疾患などの影響を除外した解析でも同様だった。
ワクチン接種歴との関連では、3回以上接種した人は全身症状が現れにくく、反対に鼻汁や咽頭痛といった上気道症状が現れやすいことが分かった。またワクチン接種の影響は、接種日から日数が経過するに従い小さくなること、2回接種よりも3回接種の方がより強い影響が持続することも示された。
年齢との関連については、高齢者は若年者と比較して、全体的に症状が現れにくいものの、いったん発熱や倦怠感などの全身症状が出現すると、その後に重症化しやすくなる傾向が認められた。例えば、呼吸困難、発熱、食思不振、倦怠感という4症状がある場合、それらがない場合に比べて重症化のオッズ比は40.26(95%信頼区間14.60~110.98)に上った。一方で、咽頭痛や鼻汁が出現した高齢者は、その後の重症化リスクが低い傾向が見られた。例えば、咽頭痛と鼻汁の双方がある場合、その後の重症化のオッズ比は0.19(同0.08~0.45)だった。
著者らは、「これまでの研究から、SARS-CoV-2の武漢株、アルファ株、デルタ株、オミクロン株では、感染時の症状が異なることが知られていたが、オミクロン株の亜株(BA.2とBA.5)の間でも、症状の特徴が異なることが明らかになった。また、ワクチン接種者では上気道症状が現れやすくなるという点も、今回初めて示された」と総括。さらに、「高齢者では上気道症状ではなく、全身症状が重症化の前兆と考えられるという知見は、今後の治療介入の判断に有用な情報となり得る」と付け加えている。
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HealthDay News 2023年8月28日
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全身性エリテマトーデスとは、本来身体を守るはずの免疫細胞が異常となってしまい、自分自身を攻撃してしまう自己免疫性疾患です。
「SLE」と略して呼ばれ、オオカミに噛まれた痕のような紅斑が出ることから「ループス」(ラテン語でオオカミを意味します。)とも名付けられています。20~40代の女性に多く発症する病気です。

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