全身性エリテマトーデスについて

免疫の異常によって発症するため、だれが発症してもおかしくありません。難病として指定されている全身性エリテマトーデスについて、基本的なことから知っていきましょう。

全身性エリテマトーデスとは
本来身体を守るはずの免疫細胞が異常となってしまい、自分自身を攻撃してしまう自己免疫性疾患です。
「SLE」と略して呼ばれ、オオカミに噛まれた痕のような紅斑が出ることから「ループス」(ラテン語でオオカミを意味します。)とも名付けられています。20~40代の女性に多く発症する病気です。
原因は不明とされており紫外線を多く浴びたり、風邪などのウイルス感染、ホルモンバランスの崩れなどが誘因となっているとされています。
数年前までは、全身性エリテマトーデスを発症してからの寿命は5年と言われていましたが、ステロイドなどの使用によって生存率が上昇しています。
現在では、全身性エリテマトーデス発症後5年での生存率は95%を超え、普通に生活される方が増えています。

全身性エリテマトーデスの検査と診断
全身性エリテマトーデスかもと疑いが出た場合は、下記の検査が行われます。様々な症状を表す疾患であることから、診断は慎重に行われており、現在日本では二種類の診断基準が使われています。
・血液検査
血液(抗核抗体、血算、赤沈)検査で、かかっている場合抗核抗体、抗ds-DNA抗体が要請になることが多いです。
・尿検査
蛋白尿や尿潜血が出ていないかを調べます。
その他に症状によって、生体検査・CT検査・MRI検査・髄液検査・脳波検査が行われます。
初期症状は、発熱・だるさ・関節痛など風邪に似ています。なかなか改善しないことから発症が分かることが多いです。
・全身症状
38度を超える発熱が1週間以上続く・37.5度前後の微熱が2週間以上続くなどの発熱症状、全身の倦怠感や疲労感があります。また、食欲不振や体重減少なども出てきます。
・皮膚症状
蝶が羽を広げたような蝶型紅斑が出ることが有名です。また、顔や耳・首に丸い円盤のようなディスコイド疹が見られた理り、指が白く冷たくなるレイノー現象も起こります。
・関節症状
手・指・ヒザ・ヒジが腫れて痛む関節炎が起こります。また、日によって痛む場所が変化する移動型関節炎が見られることもあります。
・日光過敏症
紫外線に当たった後に赤い発疹・水ぶくれが出たり、発熱する場合があります。日光過敏症が全身性エリテマトーデスの始まりであることもあります。
・口内炎
痛みのない口内炎を発症します。鼻咽腔にもまれに発症することがあります。
・脱毛
円形脱毛のように部分的に毛が抜ける・全体の髪の量が減るなどの脱毛症状が出ます。また、髪が傷みやすく、途中から切れやすくなる人もいます。
・臓器障害
心臓・肺・消化器官・血液など全身のあらゆる臓器に障害を起こしますが、人によって症状や部位が異なります。また、臓器障害の出ない人もいます。
腎臓の場合、半数近くがかかってしまうループス腎炎と言われるネフローゼ症候群や急性進行性糸球体腎炎によるむくみや血尿などの症状があります。
心臓や肺では、漿膜炎が起こり、深呼吸すると胸が痛んだり、すぐに息切れしてしまうなどの症状が出ます。
他に、腹痛や吐き気が出た場合、腸間膜の血管炎や、ループス腹膜炎・ループス膀胱炎などの可能性もあります。
・中枢神経症状
中枢神経症状のCNSループスは重篤な症状とされています。うつ・失見当識・妄想という精神症状と、けいれん・脳血管障害などが見られます。

原因のわからない全身性エリテマトーデスですが、炎症を抑えて過剰な免疫を抑制することが夕刻な治療法になります。ステロイドの点滴薬・飲み薬が基本となり、炎症の状態が改善してきたら徐々に薬の量を減らしていきます。自己判断は絶対に禁物です。
ステロイドによって食欲が増進してしまうため糖尿病になりがちなため注意が必要です。さらに骨粗しょう症にもなりやすいので、合わせて薬が処方されることもあります。

全身性エリテマトーデスの予後は、症状が出なくなっている寛解期と再び症状が現れてしまう再燃を繰り返して慢性の経過をたどってしまいます。
しかし、閉経した女性の場合は再発する確率が少なくなっています。慢性化させず、再発させないためにもステロイド剤の服用と、医療機関への定期受診が大切です。
全身性エリテマトーデスは何が原因で発症するかわからない難病のため、とても不安に思うかもしれません。
しかし、全身性エリテマトーデス発症したという国内外の芸能人の写真を見ると、実に多くの人がかかっていることが分かります。また、発症後も歌ったり踊ったりとされている方も多く、同じ全身性エリテマトーデスの人にとって希望が持てるでしょう。
以前とは違って生存率も高くなっており寛解期には、妊娠出産も可能ですので、きちんと投薬を受け、合併症を防ぐための定期診断を忘れず上手に付き合っていきましょう。
全身性エリテマトーデスは膠原病の一種で難病指定されている病気です。
どういう症状があれば全身性エリテマトーデスが疑われるのでしょうか?今回は全身性エリテマトーデスの基本的な概要と、セルフチェックについてご紹介します。
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10代の若者が自殺に向かう理由――未遂者対象解析
10代の若者が自殺行動に至る理由やその手段などの特徴が明らかになった。日本医科大学付属病院精神神経科の成重竜一郎氏らの研究の結果であり、詳細は「BMC Psychiatry」に11月6日掲載された。学校や家庭の問題、および自閉スペクトラム症が、この世代の自殺リスクを押し上げている可能性があるという。
国内の自殺者数は近年減少傾向にあるが、10代の若者の自殺者数は変化が乏しく、依然としてこの世代の死因のトップを占めている。10代の自殺は他の世代とは異なる特徴を持つことが海外から報告されている。しかし日本人のデータは少なく詳細が不明。これを背景として成重氏らは、2010~2021年に同院救命救急センターに収容され、救命し得た症例を対象とする詳細な解析を行った。自殺企図の原因・動機や精神疾患の有無などは、2人以上の経験豊富な精神科医の討議により推定・診断した。
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上記期間の自殺未遂による患者数は860人だった。このうち、10代の自殺未遂の特徴を探るという意図から、最も近い世代である20代の自殺未遂者を比較対照群とした。各群の患者数は、10代が59人(全体の6.9%)、20代が216人(同25.1%)だった。
まず、10代と20代の合計275人の全体としての特徴を見ると、女性が68.7%と多く、精神科の受診歴ありが74.2%、自傷行為の既往ありが61.8%だった。自殺行動の手段としては過量服薬が67.3%、高所からの飛び降りが17.8%などであり、認められた精神疾患・発達特性は、気分障害23.6%、パーソナリティー障害21.5%、適応障害17.1%、統合失調症と他の精神病性障害12.0%、自閉スペクトラム症9.8%などだった。
これらを10代と20代で比較した場合、性別の分布や自傷行為の既往には有意差がなかったが、精神科の受診歴は20代に多く(10代62.7%対20代77.3%)、高所からの飛び降りによる自殺企図(同順に28.8%対14.8%)や自閉スペクトラム症(28.8%対4.6%)は10代に多いといった有意差が認められた。
自殺企図の原因・動機については、学校の問題(40.7%対4.6%)、家庭の問題(39.0%対16.7%)、家庭の問題のうちの親子関係(30.5%対8.8%)などは10代が有意に多く、一方、恋愛上の問題(5.1%対32.4%)、仕事上の問題(3.4%対20.8%)、経済的な問題(0.0%対12.0%)は20代が有意に多かった。
次に、先行研究において10代の自殺に関連が深いと報告されている事柄を説明変数とするロジスティック回帰分析にて、10代の自殺企図に関連のある因子を検討。その結果、学校の問題(オッズ比〔OR〕14.338〔95%信頼区間5.557~36.998〕)、自閉スペクトラム症(OR7.297〔同2.541~20.956〕)、家庭の問題(OR2.860〔1.355~6.038〕)という三つの因子がそれぞれ独立して自殺企図に関連していることが示された。
著者らは、本研究が都心部の単一施設のデータに基づく解析であるため、日本の他の地域とは傾向が異なる可能性があることなどを留意点として挙げた上で、「10代の若者は、ある程度自分で環境を変えることのできる成人と比べ、学校や家庭などの容易に変え難い環境で発生する困難から逃れることができず、その葛藤が自殺企図につながる可能性を示唆している。10代の自殺防止対策には、これらの要因を考慮することが重要である」と述べている。
なお、学校や家庭の問題以外に、自閉スペクトラム症が10代の自殺企図に関連しているという結果については、「自分を取り巻く状況を変えることが難しい場合に、代替策として自身の特性を抑え込み、周囲に適応しようとする『社会的カモフラージュ』を強いられることで、精神的な負担がさらに増大しやすくなるためではないか」との考察が加えられている。
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日本人の頭内爆発音症候群の有病率は1.25%で不安・不眠等と関連――忍者睡眠研究
目覚める直前に、頭の中で爆発音のような音が聞こえることのある頭内爆発音症候群(exploding head syndrome;EHS)の有病率が報告された。EHSが、不安や不眠、疲労感などに影響を及ぼす可能性も示された。滋賀医科大学精神医学講座の角谷寛氏らの研究によるもので、詳細は「Sleep」に1月10日掲載された。
EHSは、睡眠から覚醒に近づいている最中に、頭の中で大きな音が知覚されるという症状で、睡眠障害の一つとして位置付けられている。この症状は通常自然に消失するため良性疾患と考えられているが、EHSを経験した本人は不安を抱き、生活の質(QOL)にも影響が生じる可能性が指摘されている。しかし、EHSには不明点が多く残されており、有病率についても信頼性の高いデータは得られていない。角谷氏らは、日本人のEHS有病率の推定、およびEHSと不安や不眠等との関連について、「Night in Japan Home Sleep Monitoring Study;Ninja Sleep study(忍者睡眠研究)」のデータを用いて検討した。
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忍者睡眠研究は、滋賀県甲賀市の市職員2,081人を対象とする睡眠に関する疫学調査で、今回の研究ではデータ欠落者、および、てんかんの既往のある人を除いた1,843人(平均年齢45.9±12.9歳、女性61.7%)を解析対象とした。EHSの有無は、「睡眠障害国際分類 第3版(ICSD-3)」に準拠して作成したアンケートにより判定した。具体的には、(A)覚醒から睡眠への移行時または夜間の覚醒時の、突然の大きな音または頭の中での爆発感覚、(B)その事象の後に覚醒して多くの場合は恐怖感を伴う、(C)激しい痛みは伴わない――という3項目の全てが該当する場合を「EHS」群、(A)のみが該当する場合を「爆発音のみ」群とした。
調査の結果、(A)が該当するのは46人(2.49%)であり、その半数(各23人、1.25%)ずつが、EHS群および爆発音のみ群に分類された。EHS群とその他の群(非EHS群〔爆発音のみ群も含む〕)を比較した場合、年齢、性別の分布、BMI、現喫煙・飲酒習慣、睡眠時間、睡眠薬の服用、睡眠時無呼吸の既往などに有意差はなかった。
続いて、EHSとメンタルヘルス状態やQOLとの関連を検討。するとEHS群は、抑うつや不安、不眠、疲労といった症状が有意に多く認められた。詳しく見ると、抑うつについてはPHQ-9という評価指標が10点以上の割合がEHS群50.0%、非EHS群16.4%、不安についてはGAD-7が10点以上の割合が同様に47.4%、12.7%、不眠はAISが10点以上の割合が33.3%、12.1%、疲労はCFSが22点以上の割合が47.8%、22.0%だった。また、QOLの評価指標のうち、メンタル面のQOLが良好(SF-8MCSが50点以上)な割合は、21.7%、42.2%でEHS群が有意に少なかった。身体面のQOLは有意差がなかった。
年齢、性別、BMI、および睡眠時間の影響を調整した解析でも、EHS群は非EHS群に比べて、抑うつ(オッズ比〔OR〕1.197〔95%信頼区間1.125~1.274〕)、不安(OR1.193〔同1.114~1.277〕)、不眠(OR1.241〔1.136~1.355〕)、疲労(OR1.112〔1.060~1.167〕)が多く認められた。なお、EHS群と爆発音のみ群を合わせて1群として、その他の群と比較した解析の結果も、ほぼ同様だった。
著者らは本研究を、「日本人のEHS有病率に関する初の研究」と位置付けている。一方、調査対象が1自治体の公務員のみであり一般化が制限されること、横断研究であるためEHSとメンタルヘルス状態との関連の因果関係は不明であることなどの限界があるとし、さらなる研究の必要性を指摘している。
なお、本研究で示されたEHSの有病率1.25%という数値は、海外での先行研究に比べてかなり低い値だという。この乖離の理由として、先行研究の多くは睡眠関連疾患の患者を対象としていたりオンライン調査であったりするため、EHS既往者が多く含まれている集団で調査されていた可能性が高いこと、および、本研究のようなICSD-3の定義に準拠した方法ではなく、EHSの有無を一つの質問のみにて判定していることによる精度差などが考えられるとのことだ。
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COVID-19陰謀論を信じる人の特徴
日本人の約4人に1人は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する何らかの陰謀論を信じているとする調査結果が報告された。旭川医科大学社会医学講座の佐藤遊洋氏、東北大学大学院医学系研究科公衆衛生学分野の田淵貴大氏らの研究によるもので、詳細は「PLOS One」に12月30日掲載された。収入や保有資産が多い人、正規雇用されている人に陰謀論を信じている人が多いという、海外とは異なる傾向が観察されたとのことだ。
COVID-19パンデミック以降、製薬会社が利益を得るためにウイルスを作成した、世界人口を減らすためにウイルスがばらまかれたといった、さまざまな陰謀論が拡散された。そのような陰謀論、または不正確な情報の流布と支持の高まりのために、社会不安の拡大、あるいは公衆衛生対策への悪影響が生じ得ることが指摘されている。例えば国内では、陰謀論とは異なるが、偏った報道の影響でヒトパピローマウイルスワクチンの積極的勧奨一時中断に至り、子宮頸がん対策が遅延した。よってCOVID-19陰謀論についても、今後への備えとして、国内でそれを信じる人の割合や特徴の傾向を明らかにしておく必要がある。
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以上を背景に佐藤氏らは、COVID-19パンデミックの社会・医療への影響を把握するために実施された大規模調査「JACSIS(Japan COVID-19 and Society Internet Survey)」のデータを用いた解析を行った。JACSISは、インターネット調査会社のパネル登録者対象のweb調査として、パンデミック発生以降継続的に行われている。今回の研究では、2021年9~10月に行った調査で得られた2万8,175人(年齢範囲16~81歳)の有効回答を解析対象とした。
英オックスフォード大学での先行研究に基づき、1. 大手製薬会社が、ワクチンで利益を上げるために新型コロナウイルス感染症を作った、2. 新型コロナウイルス感染症は、全ての人々にワクチン接種を余儀なくさせるために作られた、3. このワクチンを使って、大規模な不妊化を実行しようとしている――という3項目を、COVID-19陰謀論として採用。これらについて、「強く賛成する」、「多少賛成する」、「どちらでもない」、「多少反対する」、「強く反対する」の五つから選択してもらい、前二者を選択した場合に「その説を信じている」と判定した。このほかに、COVID-19に関する情報源、行政発情報への信頼の強さなども調査した。
その結果、全体の10.2%は前記の陰謀論のうち一つを信じており、6.5%は二つ、7.3%は三つ全てを信じていた。年齢や性別、居住地、婚姻状況、世帯収入、教育歴などを日本の人口構成に一致させて調整すると、日本人の約4人に1人(24.4%)が何らかの陰謀論を信じていることが分かった。信じている陰謀論の数と背景因子との関連を線形回帰モデルで検討した結果、教育歴、世帯収入、資産額、雇用状況、行政発情報への信頼などと、以下のような有意な関連が認められた。
教育歴については高校卒を基準として、教育歴が長い場合(修士または博士課程修了でΒ=-0.066)と短い場合(中学卒でΒ=-0.089)の双方で、信じている陰謀論が少ないという負の関連が見られた。世帯収入については高収入者において、信じている陰謀論が多いという正の関連が見られた(400~500万円を基準として800万円以上でΒ=0.069)。資産については100万円未満を基準として900~2000万円(Β=0.060)で正の関連が見られた(2000万円以上では非有意)。雇用状況については正規雇用者を基準として、失業・退職者(B=-0.078)、専業主婦・主夫(B=-0.086)、パートタイム(B=-0.051)、自営業(B=-0.102)のいずれも、負の関連が見られた。
COVID-19の情報源に関しては、政府機関のウェブサイトの利用者は非利用者よりも、信じている陰謀論が少なかった(B=-0.109)。一方、X(旧Twitter)以外のSNS(Facebook、Instagram、YouTube、LINE)利用者は非利用者に比べて、信じている陰謀論が多かった(B値は0.053~0.093の範囲)。このほか、日本政府を信頼している人はそうでない人に比べて、信じている陰謀論が多いことも分かった(B=0.175)。
以上の結果に基づき著者らは、「日本においてCOVID-19陰謀論は24.4%の人に支持されている」と推定している。また本調査で明らかになった特筆すべき点として、海外での先行研究とは逆の傾向が示されたことを指摘している。即ち、高収入、高資産、正規雇用が陰謀論の支持と正の関連があり、一方、高学歴とともに教育歴が短いことも、陰謀論の支持と負の関連が認められたことから、「このような日本特有の傾向の根底にあるメカニズムの解明が求められる」と付言している。
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日本人の食事関連温室効果ガス排出量と死亡リスクにU字型の関連
食習慣に伴う温室効果ガス排出量と死亡リスクとの関連が明らかになった。温室効果ガス排出量が多い食習慣の人だけでなく、排出量が少ない食習慣の人も死亡リスクが高い可能性があるという。早稲田大学スポーツ科学学術院の渡邉大輝氏、筑波大学医学医療系社会健康医学の村木功氏(研究時点の所属は大阪大学)らの研究によるもので、詳細は「Environmental Health Perspectives」に11月7日掲載された。
人類が生み出す温室効果ガスの21~37%は食事関連(食糧生産・流通・調理など)が占めるとされており、人々が地球の健康も考えた食事スタイルを選択することが重要となっている。これまでに欧米諸国からは、個人の食習慣に伴う温室効果ガス排出量(diet-related greenhouse gas emissions;dGHGE)が死亡リスクとJ字型またはU字型の関連があると報告されているが、アジア人でのデータはない。渡邉氏らは、1980年代後半にスタートした国内一般住民対象の多施設共同大規模コホート研究(JACC研究)のデータを用いて、日本人のdGHGEと死亡リスクとの関連を検討した。
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JACC研究参加者のうち、食事調査のデータがあり、摂取エネルギー量が極端(500kcal/日未満または3,500kcal/日以上)でなく、研究参加時に心筋梗塞、脳卒中、がんの既往のなかった40~79歳の日本人5万8,031人を解析対象とした。この対象の主な特徴は、平均年齢が56.1±9.9歳、女性60.4%で、BMIは22.8±3.3であり、食事調査データから算出したdGHGE(CO2換算値)は、食品1kg、1日当たり1,522±133g-CO2eq/kg/日だった。dGHGEの19.4%は穀類、11.6%は魚類、10.5%は肉類で占めていた。
中央値19.3年(四分位範囲11.4~20.8)の追跡で、1万1,508人(19.8%)の死亡が記録されていた。dGHGEの五分位数で5群に分類し、交絡因子(年齢、性別、BMI、喫煙・飲酒・運動習慣、摂取エネルギー量、居住地域、教育歴、婚姻・就業状況、高血圧・糖尿病の既往、テレビ視聴時間、睡眠時間)を調整後に、第4五分位群を基準として死亡リスクを比較した。
その結果、全死亡(あらゆる原因による死亡)については、dGHGEが最も少ない第1五分位群(ハザード比〔HR〕1.11〔95%信頼区間1.05~1.18〕)、dGHGEが最も多い第5五分位群(HR1.09〔同1.03~1.17〕)において、有意なリスク上昇が認められた。また心血管死亡については、第1五分位群(HR1.23〔1.10~1.38〕)、第2五分位群(HR1.12〔1.00~1.25〕)、第5五分位群(HR1.22〔1.08~1.37〕)で、有意なリスク上昇が認められた。がん死亡や呼吸器疾患による死亡については、dGHGEとの関連が見られなかった。
次に、タンパク質源として1食分の赤肉を他のタンパク質食品に置き換えた場合のdGHGEと死亡リスクに与える影響を検討すると、dGHGEについては、卵(-367g-CO2eq/kg/日)や豆類(-347g-CO2eq/kg/日)をはじめ、魚類や鶏肉などに置き換えた場合にも有意に減少すると予測された。一方、死亡リスクについては、豆類に置き換えた場合にのみ、有意に低下すると考えられた(HR0.96〔0.93~0.99〕)。
これらの結果に基づき著者らは、「日本人のdGHGEと死亡リスクの間には、U字型の関連が認められる。この知見は、人々の健康と環境の改善を意図した持続可能な食糧政策の策定に役立つのではないか」と結論付けている。なお、論文の考察において、「dGHGEが高い場合の死亡リスク上昇には動物性食品の摂取量が多いこと、dGHGEが低い場合の死亡リスク上昇にはタンパク質の不足や栄養不良が関与していると考えられる」と述べられている。
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便秘が心不全再入院リスクと関連――DPCデータを用いた大規模研究
心不全による再入院のリスクに便秘が関与している可能性が報告された。東京都立多摩総合医療センター循環器内科/東京大学ヘルスサービスリサーチ講座の磯貝俊明氏らの研究によるもので、詳細は「Circulation Reports」11月号に掲載された。
便秘は血圧変動などを介して心不全リスクを高める可能性が想定されているが、心不全の予後との関連を調べた研究は限られている。磯貝氏らは、便秘が心不全による再入院リスクに関連しているとの仮説の下、診断群分類(DPC)医療費請求データベースを用いた後ろ向きコホート研究を実施した。
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解析対象は、2016年4月~2022年3月に国内のDPC対象病院へ心不全のために初回入院し、生存退院した20歳以上の患者から、先天性心疾患、血行再建術や心臓移植が施行された症例、末期腎不全合併症例などを除外した55万6,792人(平均年齢80.0±12.3歳、女性49.2%)。退院時に下剤が処方されていた患者を「便秘あり」と定義すると22.0%が該当した。便秘あり群は高齢で(82.7±10.1対79.2±12.8歳)、女性が多かった(53.5対48.0%)。
主要評価項目として設定した「退院後1年以内の心不全による再入院」は、10万2,221人に発生しており、発生率は便秘あり群24.0%、なし群18.6%だった。副次評価項目として設定した「退院後1年以内の心不全による再入院および全ての再入院中の死亡」という複合エンドポイントは11万4,661人に発生し、発生率は前記の順に26.6%、20.6%だった。
60項目の共変量(年齢、性別、BMI、併存疾患、入院中の管理・治療、退院時処方薬、入院した年度、入院期間、退院時の日常生活動作〔ADL〕、病院の特徴〔大学病院か否か、年間心不全入院患者数〕など)を調整したCox比例ハザードモデルでの解析により、便秘あり群は便秘なし群に比べ、高い心不全再入院リスクと関連していた(調整後ハザード比〔aHR〕1.08〔95%信頼区間1.06~1.10〕)。また、死亡も含めた副次評価項目についても便秘と有意な関連が認められた(aHR1.09〔1.07~1.10〕)。
著者らは、本研究がDPCデータに基づく解析のため把握不能な臨床指標があること、退院後の増悪時に初回の入院先とは異なる病院に入院したケースを追跡できていないことなどを研究限界として挙げた上で、「心不全患者の便秘有病率は高く、便秘を有することは再入院リスクと関連している。今後の研究では、便秘に対する介入が再入院リスクの抑制につながるかどうかの検証が求められる」と総括している。
なお、便秘が心不全の増悪リスクを高める機序については、排便時のいきみによる血圧上昇、不快感のストレスによる交感神経系の亢進、便秘に伴う腸内細菌叢の変化を介した動脈硬化の進展などが考えられるという。
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心不全のセルフチェックに関連する基本情報。最善は医師による診断・診察を受けることが何より大切ですが、不整脈、狭心症、初期症状の簡単なチェックリスト・シートによる方法を解説しています。
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よく笑う人にはオーラルフレイルが少ない
笑う頻度が高い人にはオーラルフレイルが少ないことが明らかになった。福島県立医科大学医学部疫学講座の舟久保徳美氏、大平哲也氏らの研究によるもので、詳細は「Scientific Reports」に11月5日掲載された。
近年、笑うことが心身の健康に良いことを示唆するエビデンスが徐々に増えていて、例えば笑う頻度の高い人は心疾患や生活習慣病が少ないことが報告されている。一方、オーラルフレイルは、心身のストレス耐性が低下した要介護予備群である「フレイル」のうち、特に口腔機能が低下した状態を指す。オーラルフレイルでは食べ物の咀嚼や嚥下が困難になることなどによって、身体的フレイルのリスク上昇を含む全身の健康に負の影響が生じる。舟久保氏らは、このオーラルフレイル(以下、OFと省略)にも笑う頻度が関連している可能性を想定し、福島県楢葉町の住民を対象とする横断研究を行った。
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2020~2021年の住民健診に参加した年齢60~79歳の1,717人のうち、研究参加への同意を得られ、データ欠落のない916人(平均年齢68.4±5.0歳、男性46.2%)を解析対象とした。両年度とも参加していた人については2020年度のデータを使用した。OFの評価には、「硬い食べ物を食べるのが困難か?」など8項目の質問から成る精度検証済みの質問票(Oral Frailty Index-8;OFI-8)を使用。そのスコアに基づき、OFなしが40.3%、プレオーラルフレイル(OFの予備群〔POF〕)が18.2%、OFが41.5%と判定された。笑いの頻度については、「声を出して笑う頻度は?」という質問で評価。ほぼ毎日が40.8%、週に1~5回が43.3%、月に1~3回が11.1%、ほとんどないが4.9%だった。
笑う頻度が「週1回未満」の群を基準として、年齢と性別の影響を調整した解析(モデル1)の結果、笑う頻度がほぼ毎日の群にはOFが有意に少なく(オッズ比〔OR〕0.38〔95%信頼区間0.26~0.57〕)、頻度が週に1~5回の群もOFが少なかった(OR0.51〔同0.35~0.76〕)。調整因子に、喫煙・飲酒・運動習慣、身体的フレイル、高血圧・糖尿病の既往を追加した解析(モデル2)では、笑う頻度が週に1~5回の群についてはOFとの関連の有意性が消失したが(OR0.66〔0.43~1.02〕)、頻度がほぼ毎日の群では引き続きOFが有意に少ないという関連が認められた(OR0.54〔0.34~0.86〕)。
モデル2において、笑う頻度以外に、抑うつ症状がないこともOFに対する負の有意な関連因子だった(「抑うつ症状あり」を基準とするOR0.39〔0.25~0.61〕)。その一方、高齢(1歳高齢であるごとにOR1.08〔1.05~1.11〕)、女性(OR1.74〔1.14~2.65〕)、喫煙(現喫煙がOR2.63〔1.57~4.40〕、過去喫煙がOR1.75〔1.15~2.66〕)、飲酒(毎日がOR1.70〔1.15~2.51〕、機会飲酒は非有意)は、正の有意な関連因子として特定された。運動習慣や地域活動への参加は、モデル1では有意な負の関連が認められたが、モデル2では非有意となった。
著者らは、本研究が新型コロナウイルスパンデミック中に実施されたことが結果に影響を及ぼしている可能性を否定できないといった限界点を挙げた上で、「交絡因子を調整後、毎日笑うことと抑うつ症状がないことが、OFの少なさと関連していた。公衆衛生戦略として、社会的なコミュニケーションを拡大して人々が声を出して笑える頻度を増やし、抑うつのリスクを抑制することが、フレイル予防・改善を通じて健康寿命を延伸する可能性があるのではないか」と述べている。
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HealthDay News 2025年1月27日
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運動による記憶力向上は少なくとも8週間続く
運動することで記憶力が向上し、運動しない場合との有意差は少なくとも8週間維持されるとする研究結果が報告された。北海道教育大学岩見沢校スポーツ文化専攻の森田憲輝氏らが、学生対象クロスオーバー試験で明らかにしたもので、詳細は「Journal of Science and Medicine in Sport」に11月4日掲載された。
記憶は、数秒から数十秒ほど保持される短期記憶と、数時間から場合によっては生涯にわたって保持される長期記憶に分類される。後者の長期記憶の中でも、本人が意識的に思い出すことができ、言葉などで表現することのできる記憶は「陳述記憶」と呼ばれ、この陳述記憶がより長期間保持されるほど、学業や就業において有利になると考えられている。
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これまでの研究で、運動に陳述記憶の保持効果があることが示されているが、その効果の持続時間は、最長で1週間と報告されている。ただし、検証が十分行われていないだけで、実際には効果がそれよりも長期間維持される可能性もある。これを背景として森田氏らは、追跡期間11カ月に及ぶ研究を実施した。
研究デザインは、15個の単語を覚える前に自転車エルゴメーターを使い中強度(心拍数が最大値の50%になる強度)で20分間の負荷を加える条件と、安静状態で覚えるという条件(対照条件)を、試行順序をランダム化した上で参加者全員に課すというクロスオーバー法。単語を覚える作業の終了直後、24時間後、4週間後、6週間後、8週間後、および11カ月後に、単語をいくつ覚えているかをテストした。研究参加者は同大学から募集された51人で、追跡期間中の脱落者を除き44人(平均年齢19.7±0.8歳、男性29人)が解析対象とされた(11カ月時点ではさらに3人が脱落)。
記憶作業終了直後のテストでは、運動条件で覚えていた単語が12.9±1.9個、対照条件では12.7±2.3個で有意差はなかった。また、24時間後にも両条件ともに約83%の単語を記憶しており、有意差はなかった。それ以降は時間の経過とともに記憶している単語の数が少なくなっていき、4週間後は運動条件の方が覚えている単語が多いという有意水準未満の差(P=0.14)が観察された。そして6週間後には、覚えている単語の数に1.52個(95%信頼区間0.43~2.61)、8週間後には1.17個(同0.11~2.22)の有意な差が生じていて、いずれも運動条件の方が多かった。しかし11カ月後には再び有意差がなくなっていた。
著者らは、本研究の対象が認知機能正常の若年者のみであり、得られた結果をそのまま一般人口に外挿できるわけではないことなどを留意点として挙げた上で、「1回の運動で記憶維持効果が少なくとも8週間維持されることが示された。この結果は、運動が長期記憶を強化する効果的な介入法であり、学業や職業上のパフォーマンスに影響を及ぼす可能性があることを示唆している。ただし、1年近く経過した時点では有意差が見られなかったことから、時間の経過に伴う効果の変動を理解するための研究が必要とされる」と総括している。
なお、運動が記憶力を向上させるメカニズムについては「いまだ詳細が不明」としつつ、先行研究に基づく考察として、「運動によってドーパミンなどの神経伝達物質や脳由来神経栄養因子の産生が増加することが関与しているのではないか」と述べられている。
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HealthDay News 2025年1月27日
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COVID-19パンデミック前後で医療の利用状況が大きく変化
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミック前後で、国内医療機関の利用状況が大きく変わったことが明らかになった。全国的に入院患者の減少傾向が続いているという。慶應義塾大学グローバルリサーチインスティテュートの野村周平氏、東京海洋大学の田上悠太氏、東京大学のカオ・アルトン・クアン氏らの研究の結果であり、詳細は「Healthcare」に11月19日掲載された。著者らは、「入院患者数の減少は通常の状況下では医療システムの効率化の観点からポジティブに捉えられる可能性がある一方で、パンデミック期間中には超過死亡も観測されていることから、入院患者数の減少による国民の健康への潜在的な影響も排除できない」としている。
COVID-19パンデミックが世界中の医療体制に多大なインパクトを与えたことは明らかで、影響の大きさを詳細に検証した論文も既に多数報告されている。ただし、パンデミック収束後の実態に関する研究は多くない。また、日本は他の先進国と異なり、パンデミック初期には患者数が少なかったものの、オミクロン株が主流になって以降に患者数が顕著に増加するというやや特異な影響が現れた。これらを背景として野村氏らは、パンデミック以前の2012年1月から2023年11月までの厚生労働省「病院報告」の月次データを用いて、パンデミックによって国内の医療機関の利用状況がどのように変わったかを検討した。
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「病院報告」では、一般病床、精神病床、感染症病床、療養病床などの病床種類別の入院患者数や利用率、在院日数などが月ごとに報告されている。これらのうち本研究では、パンデミックが医療に与えた間接的な影響(COVID-19治療以外の医療)に焦点を当てるという意図から、一般病床と精神病床のデータを解析対象とした。解析には、準ポアソン回帰モデルという手法を用いた。
まず、一般病床に関する解析結果を見ると、入院患者数はパンデミック以前から経年的に減少傾向にあった。これは、病院から地域(在宅や療養型施設)へという政策の推進によるものと考えられる。しかし、パンデミックが始まった2020年3月以降の入院患者数は、パンデミック以前の減少傾向から予測される患者数を有意に下回り、解析対象期間の最終月である2023年11月まで有意に少ない状態が続いていた。例えば、2023年の一般病床の1日平均在院患者数は62万6,450人で、パンデミック前の2017~2019年の67万9,092人と比較して、7.8%少なかった。月当たりの新規入院患者数についても、パンデミック以降は予測値より有意に少ない月が多く発生し、約10%減少していた。
病床数も2021年以降に減少傾向が見られたが、その変化は入院患者数の減少速度より緩徐であり、絶対数の減少幅は1%未満だった。病床数がわずかな減少で入院患者数は大きく減少した結果として、病床利用率は、パンデミック前の2017~2019年の平均が73.5%であるのに対して、パンデミック以降の2020~2022年は67.5%と、6パーセントポイント低下していた。
次に、精神病床について見ると、一般病床と同様、パンデミック前から入院患者数が経年的に減少傾向にあったが、パンデミック発生後には以前の減少傾向から予測される患者数を有意に下回り、解析対象期間の最終月である2023年11月まで有意に少ない状態が、ほぼ連続していた。また、新規入院患者数についても、パンデミック以降は予測値より有意に少ない月が多く発生し、約8%減少していた。病床利用率は、パンデミック前の2017~2019年が平均85.6%であったのに対し、2023年には81.3%へと5.3パーセントポイント低下していた。
これらの解析の結果として著者らは、「COVID-19パンデミックは国内の医療機関の利用状況を根本的に変え、その影響は世界保健機関(WHO)が2023年5月に緊急事態宣言を終了した後も続いている」と総括している。また、国内においてパンデミック後期にCOVID-19以外の超過死亡が報告されていたことに関連して、入院患者数の減少が国民の健康アウトカムに潜在的な影響を及ぼしていた可能性を指摘。「脱施設化や長期ケアの地域医療への移行を進める中で、政策立案者は医療提供パターンの変化を注意深くモニタリングし、適切な医療アクセスの確保に注意を払う必要がある」と付け加えている。
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HealthDay News 2025年1月20日
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上腕カフ式の家庭血圧測定により血圧が下がる
家庭での血圧自己測定の有用性に関する新たなエビデンスが報告された。日本高血圧学会による「デジタル技術を活用した血圧管理に関する指針」策定のためのタスクフォースとして、東北医科薬科大学医学部衛生学・公衆衛生学教室の佐藤倫広氏らが行ったシステマティックレビューとメタ解析の結果であり、詳細は「Hypertension Research」に11月21日掲載された。上腕カフ式の血圧計で家庭血圧測定を行っている場合に、血圧値がより厳格に管理されることが確認されたという。
家庭血圧測定に関する有用性は主に日本から多くのエビデンスが発信されてきており、国内のガイドラインでは診察室血圧より家庭血圧を重視することが推奨され、海外のガイドラインもそのように変化してきている。しかし、以前に行われたメタ解析では、家庭血圧の測定のみでなく、遠隔医療などを並行して行った場合において、顕著な臨床効果を期待できると結論付けられている。佐藤氏らは今回、新たな研究報告も対象に含めたシステマティックレビューとメタ解析を行い、改めて家庭血圧測定の有用性を検討した。
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文献検索には、PubMed、コクランライブラリーなどのデータベースを用い、2023年8月1日に検索を実施した。包括条件は、家庭血圧測定の有用性を対照群(家庭血圧測定を行わない群)と比較したランダム化比較試験であり、2000年以降に英語または日本語で報告された論文。除外条件は、心血管イベント直後の患者や妊婦を対象とした研究、血糖値などの血圧以外の自己測定を並行して行った研究、教育介入効果の評価を主目的とした研究などとした。
4,378件がヒットし、2人の研究者が独立して文献スクリーニングを行い、最終的に65件の報告を抽出した。なお、採否の意見の不一致が生じた場合は3人目の研究者が判断した。抽出された研究の参加者数は合計2万1,053人で、65件のうち63件は高血圧患者を対象としていた。
メタ解析の結果、家庭血圧測定により血圧がより厳格に管理されることが明らかになった。具体的には、収縮期血圧(SBP)は-3.27mmHg(95%信頼区間-4.15~-2.40)となり、拡張期血圧(DBP)は-1.61mmHg(同-2.07~-1.14)に管理されていた(いずれもP<0.001)。
遠隔管理や医療従事者のサポート(例えば定期的フォローアップ、生活習慣指導、治療調整の提案)を介入要素として追加したか否かで二分したサブグループ解析では、追加介入を行った場合に血圧がより厳格に管理されていたが(SBPは-4.27mmHg〔-5.39~-3.16〕、DBPは-1.89mmHg〔-2.55~-1.24〕)、介入を行わない場合にも有意な影響が確認された(同順に-1.93mmHg〔-3.08~-0.78〕、-1.12mmHg〔-1.68~-1.57〕)。
その一方、手首にカフを巻いて測定するタイプの血圧計を用いた4件の研究のみを対象とするメタ解析では、SBPに対する有意な影響が認められなかった(-0.06mmHg〔-1.53~1.40〕)。この点に関連して論文中には、「研究報告数が少ないことの影響も考えられるが、効果量は臨床上ほとんど無視できる程度である。手首式の血圧計を使用して家庭血圧測定の有益性を検証する場合、根本的な方法論の見直しをしなければならない可能性がある」との考察が加えられている。
このほか、降圧薬の処方への影響が検討されていた11件の研究を統合したところ、家庭血圧測定により降圧薬が0.17剤(0.05~0.28)有意に増えていたが、メタ回帰分析の結果では降圧薬の変化がない場合も家庭血圧測定が降圧に寄与していることが示唆された(SBP-1.72mmHg〔P=0.0085〕、DBP-1.40mmHg〔P=0.012〕)。なお、有害事象の発現率は対照群と有意差がなかった。
今回のメタ解析で示された、家庭血圧測定でSBPが3.27mmHg低下することの臨床アウトカムへの影響を、先行研究のデータを基に推測したところ、高血圧患者の心血管イベントリスクを6.0%押し下げる可能性が示された。これらに基づき著者らは、「上腕にカフを巻く血圧計による家庭内での血圧自己測定は、高血圧の治療に有益なツールであり、特に遠隔医療や医療従事者のサポートなどの追加介入を行った場合に、より厳格な管理につながる」と総括している。
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出産後の抜け毛の量が育児中の不安に独立して関連
出産後に抜け毛が多い女性は不安が強く、交絡因子を調整後にも独立した関連のあることが明らかになった。東京科学大学病院周産・女性診療科の廣瀬明日香氏らの研究によるもので、詳細は「The Journal of Obstetrics and Gynaecology Research」に10月27日掲載された。
個人差があるものの、出産後女性の多くが抜け毛を経験し、一部の女性は帽子やかつらを使用したり外出を控えたりすることがあって、メンタルヘルスに影響が生じる可能性も考えられる。産後の脱毛症の罹患率などの詳細は不明ながら、廣瀬氏らが以前行った調査では、育児中女性の91.8%が「抜け毛が増えた」と回答し、73.1%がそれに関連する不安やストレスを感じていることが明らかにされている。今回の研究では、その調査データをより詳しく解析し、産後脱毛と育児中のメンタルヘルスとの関連を検討した。
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2021年6月~2022年4月に東京医科歯科大学病院(現在は東京科学大学病院)と東京都立大塚病院で出産した女性1,579人に対して、出産後10~18カ月時点にオンライン調査への回答協力を依頼。回答を得られた中から、多胎妊娠や出産以前に脱毛症の既往のあった女性を除外した331人を解析対象とした。なお、季節による脱毛量の変化を考慮し、回答依頼は8カ月の間隔をおいて2回実施された。
主な調査項目は、産後の脱毛量の質問(全くない/少し/かなり/非常に多いの四者択一)と、Whooleyの質問票、2項目の全般性不安障害質問票(GAD-2)、エジンバラ産後うつ病質問票(EPDS)、およびアテネ不眠尺度(AIS)によるメンタルヘルス状態の評価。解析対象者の主な特徴は、出産時年齢が34.5±4.5歳で、経産婦が27.2%、経腟分娩65.8%であり、脱毛量は「全くない」8.2%、「少し」30.8%、「かなり」46.5%、「非常に多い」14.5%だった。
メンタルヘルス状態については、Whooleyの質問票の「気分が落ち込む」に33.5%、「何をしても楽しくない」に22.4%、GAD-2の「緊張や不安、神経過敏を感じる」に28.7%、「心配をコントロールできない」に16.6%が「はい」と回答していた。EPDSは、総合スコアが30点満点中6.5点、不安とうつのサブスケールはそれぞれ9点満点中2.9点、3.7点であり、AISは24点満点中6.8点だった。また、脱毛が「全くない」と回答した人以外に脱毛関連の不安やストレスを質問したところ、「全くない」が26.9%、「少し」が47.2%、「かなり」が18.9%、「非常に強い」が7.0%だった。
脱毛量とメンタルヘルス関連指標との関係性を単変量解析で検討した結果、脱毛量が「非常に多い」群では「全くない」群に比べて、GAD-2の「緊張や不安、神経過敏を感じる」の該当者が有意に多かった(オッズ比〔OR〕4.47〔95%信頼区間1.34~14.93〕、P=0.01)。また有意水準未満ながら、脱毛量が「非常に多い」群はGAD-2の「心配をコントロールできない」(OR4.17〔同0.86~20.26〕、P=0.08)の該当者が多く、EPDSの評価に基づく不安が強い傾向が見られた(係数1.06〔-0.14~2.25〕、P=0.08)。
上記の解析で有意な関連の見られたGAD-2の「緊張や不安、神経過敏を感じる」を従属変数とし、出産時年齢、分娩方法、不妊治療、妊娠糖尿病、妊娠高血圧症候群、出生時体重、授乳状況、および脱毛量などを独立変数とするロジスティック回帰分析を行ったところ、脱毛量が「非常に多い」こと(調整オッズ比〔aOR〕4.86〔1.21~19.53〕、P=0.026)と、不眠症状(AISが1高いごとにaOR1.26〔1.17~1.35〕、P<0.001)が、それぞれ独立した正の関連因子として抽出された。なお、経産婦であることは、有意な保護的因子として示された(aOR0.53〔0.36~0.80〕、P=0.002)。
著者らは本研究を、「育児中の女性における産後の抜け毛とメンタルヘルスとの関連を示した初のエビデンスである」とした上で、「産後の脱毛量の多さは、GAD-2で評価した不安と独立した関連が認められる」と結論付けている。なお、脱毛を経験した女性がより積極的に回答した可能性があることによる選択バイアスの存在や、横断研究のため因果関係は不明といった限界点とともに、「産後の不安が強い女性ほど、脱毛量をより多く感じやすい可能性もある」との考察が加えられている。
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自傷行為に関する誤った認識が少なくない――日本人対象web調査
自傷行為に関する人々の認識を調査した結果が報告された。固定観念を持つ人が少なくないこと、自傷行為を行う人に適切に対応できる自信があると答えた人ほど、かえってその傾向が強いことなどが明らかにされている。お茶の水女子大学生活科学部心理学科の高橋哲氏らの研究であり、詳細は「PCN Reports」に11月5日掲載された。
青少年の6人に1人が自傷行為の経験を有するというデータがある。自傷行為自体は自殺を意図しない行為であり、用いられる方法や予期する結果や機能などの点で自殺と区別して考えられるものの、同時に、既往者はその後の人生で自殺を試みるリスクが高いとする報告があり早期の介入が重要とされる。しかし、自傷行為に関する誤った認識が人々の間で広くいきわたっているとされ、一例を挙げると、自傷行為は単に他者からの注目を集めたいがために行われるといったものがある。このような誤解は偏見を助長し、当事者がサポートを求める妨げとなる可能性がある。高橋氏らは、自傷行為に関する人々の認識を把握するとともにその認識に関連する要因を検討するため、webを用いた横断研究を実施した。
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この研究は、2023年12月に、オンライン調査会社のパネル登録者を対象に実施された。教示を十分に読んでいないなど回答に際して十分な注意を払っていない者を除外した上で、20~60歳代(10歳ごと)の男女、計10カテゴリーの有効回答数が各200件に達するまで回答を受け付け、合計2,000人を解析対象とした。調査内容は、主に先行研究の結果に基づいてリスト化された、自傷行為に関してよく聞かれることのある14項目の誤解や信念を掲げ、それらに対する同意の程度を1~6点(全くあてはまらない~よくあてはまる)のリッカート尺度で回答してもらうというもの。解析に際しては、1~3点を非同意、4~6点を同意とした。
解析対象者の主な特徴は、平均年齢が44.6±14.3歳、既婚者52.0%、子どもありが38.7%で、13.5%は家族や知人に自傷行為を繰り返している人がおり、5.3%は対人援助職(医師、看護師、教師、心理士、カウンセラーなど)としての勤務経験があり、9.1%は自傷行為を行う人がいたら適切に対応できる自信があると回答した。
14項目の誤解・信念への同意率は、21.0~68.7%の範囲だった。同意率が高い項目は、「自傷行為の経験を友人や知人に打ち明ける未成年者は非常に少ない(68.7%)」、「リストカットをはじめとする自傷行為は、自殺未遂の一形態である(68.3%)」、「自傷行為の大半はリストカットである(51.4%)」、「自傷行為は、精神疾患を患っている人の行為である(48.9%)」、「自傷行為はまわりの注目を集めるために行われる(40.8%)」などだった。
それぞれの誤解・信念を従属変数、性別、年齢層、および、家族や知人に自傷行為を繰り返している人の有無、対人援助職経験の有無、自傷行為を行う人への対応能力の自信の有無などを独立変数とするロジスティック回帰分析を施行。その結果、男性は「自傷行為は、めったにみられない現象である」への同意が女性より多く(調整オッズ比〔aOR〕1.45〔95%信頼区間1.17~1.79〕)、一方で女性は「自傷行為はもっぱら刺激を求めて行われる」(男性のaORが0.77〔同0.62~0.96〕)を含む複数の誤解・信念への同意が男性より多かった。
年齢層との関連を見ると、若年層は「自傷行為はもっぱら刺激を求めて行われる」と捉える傾向が認められた(20~29歳を基準として他の年齢層はaOR0.25~0.59で有意)。また、対人援助職経験を有することは、「自傷行為はまわりの注目を集めるために行われる」の同意と関連していた(aOR1.62〔1.07~2.46〕)。
このほか、自傷行為を行う人へ適切に対応する自信があると回答した人は、誤解にむしろ同意する傾向が強かった(14項目中10項目に関連)。この点について著者らは、自己能力の過大評価により複雑な現象を単純化して解釈しやすくなることなどが関与している可能性を指摘し、「偏った認識に基づく善意のサポートが当事者には逆効果になり得る」と注意を喚起。論文の結論は、「本研究により自傷行為の予防介入に関する新たな知見を得られた。自傷行為に関する固定観念を持つことや早急な解釈の一般化を避けること、および研究者からの正確な情報の発信が、この社会課題の解決と当事者のサポートに不可欠である」と述べられている。
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肥満者の中で歩くのが速いと自認している人には代謝性疾患が少ない
肥満者において、主観的歩行速度が代謝性疾患のリスクと関連のあることを示唆するデータが報告された。同志社大学大学院スポーツ健康科学研究科の山本結子氏、石井好二郎氏らが行った横断的解析の結果であり、詳細は「Scientific Reports」に11月15日掲載された。
歩行速度は、体温、脈拍、呼吸、血圧、酸素飽和度に続く“第6のバイタルサイン”と呼ばれ、死亡リスクと関連のあることが知られている。しかし、歩行速度を客観的に把握するにはスペースと時間が必要とされる。よって健診などでは、「あなたの歩く速度は同世代の同性と比べて速い方ですか?」という質問の答えを主観的歩行速度として評価することが多い。この主観的歩行速度も代謝性疾患リスクと関連のあることが報告されているが、疾患ハイリスク集団である肥満者での知見は限られている。これらを背景として山本氏らは健診受診者データを用いて、肥満者の主観的歩行速度が代謝性疾患の罹患状況と関連しているかを検討した。
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解析対象は2011~2022年の武田病院健診センターにおける人間ドック受診者のうち、肥満または腹部肥満に該当し、データ欠落がない人。関連性を評価した代謝性疾患は、高血圧、糖尿病、脂質異常症の三つで、いずれも健診時データが診断基準を満たす場合、または治療薬が処方されている場合に「疾患あり」と判定した。解析に際しては、年齢、性別、喫煙・飲酒・運動習慣の影響を統計学的に調整した。
まず、肥満(BMI25以上)については、該当者が8,578人(平均年齢53.7±8.6歳、男性63.0%)であり、45.3%が「歩行速度が速い」と回答していた。主観的歩行速度が速い群では、糖尿病が有意に少なかった(リスク比〔RR〕0.71〔95%信頼区間0.64~0.79〕)。高血圧と脂質異常症に関しては、リスク比が1未満だったが信頼区間が1をまたいでいた。なお、年齢と性別のみを調整因子とするモデルでの解析では、脂質異常症もRR0.97(同0.94~1.00)と有意に少なかった。ただし高血圧に関しては、このモデルでも非有意だった。
次に、腹部肥満(ウエスト周囲長が男性85cm以上、女性90cm以上)の該当者は9,626人(54.8±8.9歳、男性79.8%)であり、47.9%が「歩行速度が速い」と回答していた。主観的歩行速度が速い群では、高血圧(RR0.94〔0.90~0.97〕)、糖尿病(RR0.72〔0.65~0.79〕)、脂質異常症(RR0.97〔0.94~0.99〕)と、評価した全ての代謝性疾患が少なかった。
続いて、肥満および腹部肥満の定義を満たす6,742人(54.0±8.6歳、男性74.0%)で検討。この集団における主観的歩行速度が速い群(45.1%)も、腹部肥満者での解析結果と同様に、高血圧(RR0.95〔0.92~0.99〕)、糖尿病(RR0.71〔0.64~0.79〕)、脂質異常症(RR0.97〔0.94~1.00〕)という3疾患全てが少なかった。
著者らは、解析対象が人間ドック受診者であり健康リテラシーが高いと考えられ、かつ単一施設のデータであること、および横断的解析であることなどを解釈上の留意点として挙げた上で、「肥満者においても主観的な歩行速度が速い場合に、代謝性疾患のリスクが低い可能性が示された」と結論付けている。なお、BMI25以上のみの群では主観的歩行速度と高血圧リスクとの関連が非有意であったことの理由について、「血圧管理には歩行速度だけでなく、毎日の歩数が重要なことを示唆する報告がある」との考察が付け加えられている。
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日本人透析導入患者の肥満化が一般人口以上のスピードで進行中
末期腎不全(ESKD)日本人患者のBMIを経年的に解析した結果、年々肥満者の割合が増加していて、その増加率は一般人口を大きく上回っていることが明らかになった。新潟大学大学院医歯学総合研究科臓器連関学寄附講座の若杉三奈子氏、同大学院腎・膠原病内科の後藤眞氏の研究によるもので、詳細が「Nephrology」に10月27日掲載された。
世界的に人々の肥満化が進んでいて、欧米からは新規のESKD患者にもその傾向が見られることが報告されている。しかし日本では、一般男性の肥満化傾向はあるものの女性ではその傾向が認められず、また新規のESKD患者における傾向はよく分かっていない。肥満は直接的に、および糖尿病や高血圧を介して腎機能低下を促進することから、仮に日本人患者も肥満化が進行しているのであれば、今後の透析導入患者数抑制のために体重管理の重要性を強く啓発していく必要がある。若杉氏らは以上を背景として、日本透析医学会が毎年調査を実施し構築している透析患者レジストリー(JRDR)と、厚生労働省「国民健康・栄養調査」のデータを用いて比較解析を行った。
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解析には2006~2019年にわたる14年間のデータを用いた。ESKDは維持透析の開始で定義し、肥満および低体重は透析導入された年の年末調査時のBMIにより判定した。なお、透析導入年齢は2006年が男性66.2±12.9歳、女性68.4±13.5歳、2019年は同順に69.7±13.1歳、72.2±13.2歳と高齢化していた。透析導入の原因疾患は糖尿病性腎症が多いものの、その割合に経年的な変化はなく、男性・女性ともに腎硬化症が年々増加していた。
まず、男性の肥満者(BMI25以上)率の変化を見ると、2006年時点においてESKD群におけるその割合は18.9%であり、年齢を一致させた一般人口における割合は28.1%、2019年には同順に29.5%、32.6%であって、両群ともに増加していた。ただし、年平均変化率(AAPC)として見ると、前者は3.36(95%信頼区間2.70~4.09)、後者は0.87(同0.26~1.42)であり、ESKD群の方が4倍近い速さで肥満者が増えていることが分かった。
続いて女性の肥満者率の変化を見ると、2006年時点においてESKD群におけるその割合は15.7%であり、一般人口における割合は20.6%と、ESKD群の肥満者割合の方が低かった。ところが2019年には同順に24.9%、20.6%であり、一般人口は変化がなくESKD群が逆転していた。AAPCは前者が2.86(1.65~4.19)、後者は0.01(-0.55~0.57)だった。
次に、低体重者(BMI18.5未満)の割合の変化に着目すると、男性は2006年時点においてESKD群は14.4%、一般人口は5.1%、2019年には同順に10.9%、4.0%であり、AAPCは前者が-2.32(-3.58~-1.13)、後者は-1.47(-2.71~-0.21)と、両群ともに減少していて、ESKD群の減少速度の方が速かった。ただし、2019年時点においてもなお、ESKD群の低体重者の割合は一般人口の3倍近くに上った。
女性の低体重者の割合は、2006年時点においてESKD群は24.4%、一般人口は9.8%、2019年には同順に21.0%、12.8%であり、AAPCは前者が-1.59(-3.09~-0.04)、後者は0.87(-0.02~1.78)であり、ESKD群では有意に減少し一般人口では有意な変化がなかった。ただし男性同様に、2019年時点においてもESKD群の低体重者の割合は一般人口より顕著に高かった。
以上を基に著者らは、「日本でもESKD患者の肥満化傾向が認められたが、同時に依然として低体重者が一般人口よりもはるかに多いことが示された。ESKDリスクのある集団に対する公衆衛生施策として、肥満と低体重の回避を促すメッセージを発信する必要がある」と述べている。
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糖尿病の3大合併症として知られる、『糖尿病性腎症』。この病気は現在、透析治療を受けている患者さんの原因疾患・第一位でもあり、治療せずに悪化すると腎不全などのリスクも。この記事では糖尿病性腎病を早期発見・早期治療するための手段として、簡易的なセルフチェックや体の症状について紹介していきます。
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HealthDay News 2025年1月6日
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肥満は服薬遵守と独立した負の関連因子――国内CVD患者対象研究
心血管疾患(CVD)患者を対象に、服薬遵守状況(アドヒアランス)を主観的指標と客観的指標で評価した研究結果が報告された。客観的指標に基づきアドヒアランス良好/不良に分けた2群間で主観的指標には有意差がないこと、および、肥満がアドヒアランス不良に独立した関連のあることなどが明らかにされている。福岡大学筑紫病院薬剤部の宮﨑元康氏らの研究によるもので、詳細が「Pharmacy」に10月6日掲載された。
慢性疾患では服薬アドヒアランスが低下しやすく、そのことが予後不良リスクを高めると考えられる。しかし服薬アドヒアランスを評価する標準的な手法は確立されておらず、主観的な手法と客観的な手法がそれぞれ複数提案されている。例えば主観的評価法の一つとして国内では、12項目の質問から成るスケールが提案されている。ただし、そのスケールでの評価結果と、残薬数から客観的に評価した結果との関連性は十分検討されておらず、今回の宮﨑氏らの研究は、この点の検証、およびCVD患者の服薬アドヒアランス低下に関連のある因子を明らかにするために実施された。
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研究の対象は2022年6~12月に同院循環器科外来へ2回以上受診していて、残薬数に基づき客観的にアドヒアランスの評価が可能な患者のうち、研究参加協力を得られた94人。医師-患者関係の違いによる影響を除外するため、1人の医師の患者のみに限定した。
前述のように主観的な評価には12項目のスケールを採用。これは60点満点でスコアが高いほどアドヒアランスが良好と判断する。一方、客観的な評価に用いた残薬カウント法は、評価期間中の2回目の受診時の残薬数を前回の処方薬数から減算した値が、処方薬数に占める割合を算出して評価するもので、残薬がゼロであれば遵守率100%となる。本研究では100%をアドヒアランス良好、100%未満を不良と定義した。
解析対象者の主な特徴は、年齢中央値74歳(四分位範囲67~81)、男性55.3%、肥満(BMI25以上)36.2%であり、処方薬数は中央値4(同2~7)で、降圧薬(84.0%)、脂質低下薬(59.6%)、抗血栓薬(38.3%)、血糖降下薬(29.8%)などが多く処方されていた。また17.0%の患者への処方は、1包化(1回に服用する薬剤を1袋にすること)されていた。
94人のうち49人が、客観的手法である残薬カウント法により、アドヒアランス良好と判定された。アドヒアランス良好群の主観的評価スコアは中央値51点(四分位範囲44~56)であり、対してアドヒアランス不良群の主観的評価スコアは同50点(45~54)で、有意差が見られなかった(P=0.426)。
次に、残薬カウント法に基づくアドヒアランス良好群と不良群の背景因子を比較すると、単変量解析では肥満(P=0.014)と喫煙歴(P=0.043)に有意差が認められ、いずれもアドヒアランス不良群にそれらの該当者が多かった。この2項目のほかに、非有意ながら大きな群間差(P<0.1)が認められた因子(日常生活動作〔ADL〕、独居、狭心症治療薬の処方)、およびアドヒアランスの主観的評価スコアを独立変数とし、残薬カウント法によるアドヒアランス不良を従属変数として、ロジスティック回帰分析を施行。その結果、肥満のみが有意な関連因子として抽出された(オッズ比3.527〔95%信頼区間1.387~9.423〕)。喫煙歴(P=0.054)と狭心症治療薬の処方(P=0.052)の関連はわずかに有意水準未満であり、主観的評価スコアは関連が認められなかった(P=0.597)。
以上の総括として著者らは、「主観的な手法と客観的な手法による服薬アドヒアランスの評価が矛盾する結果となった。よって臨床においては双方の指標を使用したモニタリングが必要と考えられる。また、肥満は残薬カウント法で判定したアドヒアランス不良に独立した関連のある因子であり、肥満を有するCVD患者には特に入念なモニタリングが求められる」と述べている。
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HealthDay News 2024年12月23日
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1歳半までの受傷歴がある子どもは、ケガの再発リスクが高い――国内縦断研究
生後18カ月(1歳半)までにケガを負ったことのある子どもは、7歳に至るまでに再度、ケガを負いやすいことが、国内で行われた縦断研究から明らかになった。岡山大学学術研究院医歯薬学域地域救急・災害医療学講座の小原隆史氏らの研究であり、詳細が「Scientific Reports」に10月21日掲載された。
子どもはさまざまな場面でケガを負いやすく、その一部は致命的となり得る。これまでに法医学的な剖検例から、頭部外傷で死亡した子どもには以前の受傷を示唆する所見が多いことなどが報告されている。ただし、子どものケガの再発リスクに関する多くの研究は後方視的なデザインで行われたものであり、かつ限られた部位の外傷に焦点を当てたものだった。これを背景として小原氏らは、厚生労働省が行っている「21世紀出生児縦断調査」のデータを用いた縦断的な解析により、1歳半までの受傷歴がその後の受傷リスクと関連しているかを検討した。
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2010年5月10~24日に出生した4万3,767人の子どものうち2万191人の家庭が、7歳に至るまで定期的に行われた縦断調査に回答していた。このうち80.4%に相当する1万6,239人が、1歳半までに家庭内を中心に何らかのケガを負っていた。一方、1歳半から7歳までの追跡期間中に、35.6%に当たる7,179人が何らかのケガによる受療行動を取っていた。
追跡期間中のケガの有無で背景因子を比較すると、ケガあり群は男児が多く(57.9対49.7%)、単胎出産がわずかに多く(98.5対98.1%)、1歳半時点において保育園への通園がわずかに少ない(26.2対27.7%)という有意差が認められた。ただし、母親の出産時年齢・教育歴、在胎期間(正期産/早産)、両親の喫煙状況、居住地などは有意差がなかった。
次に、1歳半までに何らかのケガを負っていた1万6,239人のケガの再発リスクを検討すると、その37.4%に当たる6,067人に、追跡期間中のケガによる受療行動が認められた。ロジスティック回帰分析で交絡因子(子どもの性別、単胎/多胎、保育園への通園、在胎期間、母親の教育歴、両親の喫煙状況、居住地など)を調整後、1歳半までの受傷歴は、追跡期間中のケガの発生と独立した関連のあることが明らかになった(調整オッズ比〔aOR〕1.48〔95%信頼区間1.37~1.60〕)。
1歳半までのケガのタイプ別に追跡期間中のケガのリスクを見ると、やけど(aOR1.47〔同1.31~1.65〕)、誤飲(aOR1.35〔1.17~1.55〕)、転倒(aOR1.34〔1.26~1.43〕)、溺水(aOR1.29〔1.19~1.40〕)、挟まれ(aOR1.22〔1.15~1.29〕)については有意なオッズ比上昇が観察された。一方、切り傷、噛み傷、窒息、および交通事故については、1歳半までの受傷歴がない群と有意差がなかった。
続いて、5歳半時点での問題行動(話を聞く、がまんする、約束を守る、などができない)の有無で群分けした解析を実施。問題行動のない群(80.1%)では1歳半までの受傷歴がある場合、追跡期間中のケガの発生aORが1.44(1.31~1.57)であり、問題行動がある群(19.9%)でも1.72(1.42~2.08)であって、ともに有意に多く発生していた。
これらの結果から著者らは、「1歳半までにケガを経験した子どもは7歳に至るまでにケガを繰り返すリスクが高いことが示された。ケガ再発のリスク抑制のため、1歳半健診でケガの既往が確認された子どもの家庭に対しては、特にやけど、誤飲、転倒、溺水、身体を物に挟むといったことに関する安全対策の指導が欠かせない」と結論付けている。加えて、8割以上の子どもが1歳半までに何らかのケガを負っていることから、「家庭内で発生する子どものケガを減らすための普遍的な対策を強化する必要がある」としている。
なお、1歳半までに受傷歴があり5歳半時点で問題行動がある場合に、受傷リスクがやや上昇することが示されたが、問題行動のない子どもとの差は大きなものでないことについて、「これは、子どものケガの再発には発達特性以外の要因の影響が大きいことを示唆しているのではないか」との考察が加えられている。
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HealthDay News 2024年12月23日
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全身性エリテマトーデスとは、本来身体を守るはずの免疫細胞が異常となってしまい、自分自身を攻撃してしまう自己免疫性疾患です。
「SLE」と略して呼ばれ、オオカミに噛まれた痕のような紅斑が出ることから「ループス」(ラテン語でオオカミを意味します。)とも名付けられています。20~40代の女性に多く発症する病気です。

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