全身性エリテマトーデスについて

免疫の異常によって発症するため、だれが発症してもおかしくありません。難病として指定されている全身性エリテマトーデスについて、基本的なことから知っていきましょう。

全身性エリテマトーデスとは
本来身体を守るはずの免疫細胞が異常となってしまい、自分自身を攻撃してしまう自己免疫性疾患です。
「SLE」と略して呼ばれ、オオカミに噛まれた痕のような紅斑が出ることから「ループス」(ラテン語でオオカミを意味します。)とも名付けられています。20~40代の女性に多く発症する病気です。
原因は不明とされており紫外線を多く浴びたり、風邪などのウイルス感染、ホルモンバランスの崩れなどが誘因となっているとされています。
数年前までは、全身性エリテマトーデスを発症してからの寿命は5年と言われていましたが、ステロイドなどの使用によって生存率が上昇しています。
現在では、全身性エリテマトーデス発症後5年での生存率は95%を超え、普通に生活される方が増えています。

全身性エリテマトーデスの検査と診断
全身性エリテマトーデスかもと疑いが出た場合は、下記の検査が行われます。様々な症状を表す疾患であることから、診断は慎重に行われており、現在日本では二種類の診断基準が使われています。
・血液検査
血液(抗核抗体、血算、赤沈)検査で、かかっている場合抗核抗体、抗ds-DNA抗体が要請になることが多いです。
・尿検査
蛋白尿や尿潜血が出ていないかを調べます。
その他に症状によって、生体検査・CT検査・MRI検査・髄液検査・脳波検査が行われます。
初期症状は、発熱・だるさ・関節痛など風邪に似ています。なかなか改善しないことから発症が分かることが多いです。
・全身症状
38度を超える発熱が1週間以上続く・37.5度前後の微熱が2週間以上続くなどの発熱症状、全身の倦怠感や疲労感があります。また、食欲不振や体重減少なども出てきます。
・皮膚症状
蝶が羽を広げたような蝶型紅斑が出ることが有名です。また、顔や耳・首に丸い円盤のようなディスコイド疹が見られた理り、指が白く冷たくなるレイノー現象も起こります。
・関節症状
手・指・ヒザ・ヒジが腫れて痛む関節炎が起こります。また、日によって痛む場所が変化する移動型関節炎が見られることもあります。
・日光過敏症
紫外線に当たった後に赤い発疹・水ぶくれが出たり、発熱する場合があります。日光過敏症が全身性エリテマトーデスの始まりであることもあります。
・口内炎
痛みのない口内炎を発症します。鼻咽腔にもまれに発症することがあります。
・脱毛
円形脱毛のように部分的に毛が抜ける・全体の髪の量が減るなどの脱毛症状が出ます。また、髪が傷みやすく、途中から切れやすくなる人もいます。
・臓器障害
心臓・肺・消化器官・血液など全身のあらゆる臓器に障害を起こしますが、人によって症状や部位が異なります。また、臓器障害の出ない人もいます。
腎臓の場合、半数近くがかかってしまうループス腎炎と言われるネフローゼ症候群や急性進行性糸球体腎炎によるむくみや血尿などの症状があります。
心臓や肺では、漿膜炎が起こり、深呼吸すると胸が痛んだり、すぐに息切れしてしまうなどの症状が出ます。
他に、腹痛や吐き気が出た場合、腸間膜の血管炎や、ループス腹膜炎・ループス膀胱炎などの可能性もあります。
・中枢神経症状
中枢神経症状のCNSループスは重篤な症状とされています。うつ・失見当識・妄想という精神症状と、けいれん・脳血管障害などが見られます。

原因のわからない全身性エリテマトーデスですが、炎症を抑えて過剰な免疫を抑制することが夕刻な治療法になります。ステロイドの点滴薬・飲み薬が基本となり、炎症の状態が改善してきたら徐々に薬の量を減らしていきます。自己判断は絶対に禁物です。
ステロイドによって食欲が増進してしまうため糖尿病になりがちなため注意が必要です。さらに骨粗しょう症にもなりやすいので、合わせて薬が処方されることもあります。

全身性エリテマトーデスの予後は、症状が出なくなっている寛解期と再び症状が現れてしまう再燃を繰り返して慢性の経過をたどってしまいます。
しかし、閉経した女性の場合は再発する確率が少なくなっています。慢性化させず、再発させないためにもステロイド剤の服用と、医療機関への定期受診が大切です。
全身性エリテマトーデスは何が原因で発症するかわからない難病のため、とても不安に思うかもしれません。
しかし、全身性エリテマトーデス発症したという国内外の芸能人の写真を見ると、実に多くの人がかかっていることが分かります。また、発症後も歌ったり踊ったりとされている方も多く、同じ全身性エリテマトーデスの人にとって希望が持てるでしょう。
以前とは違って生存率も高くなっており寛解期には、妊娠出産も可能ですので、きちんと投薬を受け、合併症を防ぐための定期診断を忘れず上手に付き合っていきましょう。
全身性エリテマトーデスは膠原病の一種で難病指定されている病気です。
どういう症状があれば全身性エリテマトーデスが疑われるのでしょうか?今回は全身性エリテマトーデスの基本的な概要と、セルフチェックについてご紹介します。
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妊娠中のカルシウム摂取量が子供のうつ症状に関連か
栄養バランスの偏りや特定の栄養素の不足は、うつ症状の発症リスクを高める可能性があるとされている。今回、妊娠中の母親のカルシウム摂取量が、子供のうつ症状の発症リスクと関連しているとする研究結果が報告された。妊娠中の母親のカルシウム摂取量が多いほど、生まれた子の13歳時うつ症状に予防的であることを示したという。愛媛大学大学院医学系研究科疫学・公衆衛生学講座の三宅吉博氏らの研究によるもので、詳細は「Journal
of Psychiatric Research」に5月6日掲載された。2017年に実施された5つの研究を含むメタ解析では、カルシウム摂取量とうつ病のリスクとの間には有意な負の関連が認められている。さらに、国内の九州・沖縄母子研究(KOMCHS)のデータから、カルシウム摂取量と妊娠中のうつ症状の有病率との間に負の関連があることが示された。しかし、妊娠中の母親のカルシウム摂取量と生まれた子のうつ症状との関連を検討した研究は存在しない。また、思春期は精神衛生上きわめて重要な時期であり、この時期に発症するうつ症状の修正可能なリスク因子を特定することで、若年層の精神疾患の増加を抑えられる可能性がある。このような背景から筆者らは、KOMCHSのデータを活用し、妊娠中の母親のカルシウム摂取量と13歳時うつ症状のリスクとの関連を前向きに検討した。
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KOMCHSは母子の健康問題に関するリスク要因と予防要因を特定することを目的とした前向きの出生前コホート研究である。KOMCHSでは、2007年4月から2008年3月にかけて、九州7県および沖縄県に在住していた妊婦1,757名がベースライン調査に参加した。ベースライン後の追跡調査は、出産時、産後4ヵ月時、1、2、3、4、5、6、7、8、10、11、12、13歳の時点で実施した。本研究では13歳時追跡調査に参加した873組の母子を対象とした。13歳時追跡調査では、子供がCenter
for Epidemiologic Studies Depression
Scale(CES-D)の日本語版に回答し、うつ症状の評価を行った。CES-Dスコアのカットオフ値は16点とした。また、母親の妊娠中の食習慣に関するデータは、自記式食事歴法質問票(DHQ)を用いて収集した。873組において、子供の13歳時うつ症状の有症率は23.3%であった。ベースライン調査時の平均妊娠週は17.0週目、母親の平均年齢は32.0歳であり、約18%が妊娠中にうつ症状を呈していた。1日のカルシウム摂取量の中央値は482.5mgであった。
次に、ベースライン時の母親の年齢、妊娠週、両親の教育歴などで補正した多重ロジスティック回帰分析により、妊娠中の母親のカルシウム摂取量別にみた、13歳時の子供のうつ症状に対するオッズ比(OR)を算出した。その結果、妊娠中の母親のカルシウム摂取量の第1分位(最低摂取量)を基準として比較した場合、第2、第3、第4分位における子供のうつ症状の補正OR(95%信頼区間)は0.63(0.39~0.99)、0.91(0.58~1.41)、0.58(0.36~0.93)であった(P=0.10〔傾向性P値〕)。
本研究の結果について筆者らは、「本研究では、妊娠中の母親のカルシウム摂取量を増やすことで、13歳時の子供がうつ症状を発症するリスクが低下する可能性が示唆された。この知見は、小児期のうつ症状を予防する手段として、妊娠中の母親のカルシウム摂取量の増加がもたらす潜在的なメリットを明らかにしている」と述べている。
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HealthDay News 2025年6月16日
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高齢者の夜間頻尿、改善のカギは就寝時間か
夜間頻尿は特に高齢者を悩ませる症状の一つであり、睡眠の妨げとなるなど生活の質(QOL)に悪影響を及ぼすことがある。今回、適切な時刻に規則正しく就寝する生活を送ることで、高齢者の夜間頻尿が改善する可能性があるとする研究結果が報告された。研究は、福井大学医学部付属病院泌尿器科の奥村悦久氏らによるもので、詳細は「International
Journal of Urology」に4月26日掲載された。夜間頻尿は、夜間に排尿のために1回以上起きなければならない症状、と定義されている。主な原因としては、夜間多尿、膀胱容量の減少、睡眠障害が知られている。疫学研究により、夜間頻尿はあらゆる年齢層における主要な睡眠障害の一因であり、加齢とともにその有病率が上昇することが示されている。加齢に伴う睡眠障害の一つの特徴として、就寝時間が早まる傾向がある。その結果、高齢者では総睡眠時間は延長するものの眠りが浅くなり、軽い尿意で覚醒するようになる。しかし、睡眠障害の治療が夜間頻尿の改善につながることを示唆する前向き臨床試験の報告は限られている。このような背景を踏まえ著者らは、就寝時刻を調整することで高齢者の夜間頻尿が改善するという仮説を立てた。
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本研究では、睡眠・覚醒活動を測定するウェアラブルデバイスを患者に装着して就寝してもらった。得られた1週間分の就寝時刻、中途覚醒時間のデータから、最急降下法を応用して考案した独自のアルゴリズム(特許出願中)を用いて患者ごとに適切な就寝時刻を決定し、その時刻に就寝する生活を続けることによる夜間頻尿の変化を検証した。解析対象は、2021年4月~2023年12月にかけて、夜間頻尿を主訴として福井大学附属病院とその関連病院を受診した患者33名とした。患者を交互割り付けで4週間毎の介入→非介入群と非介入→介入群の2群に分け、それぞれに対し2週間のウォッシュアウト期間を設けるクロスオーバー試験を実施した。介入期間中は、上記方法で決定した個別の就寝時刻に就寝してもらい、排尿状態は各期間の前後3日に記録した排尿日誌を、睡眠の質はピッツバーグ睡眠質問票(PSQI)を用いてそれぞれ評価した。主要評価項目は夜間排尿回数(Nocturnal
urinary frequency;NUF)の変化量とし、副次評価項目は夜間尿量(Nocturnal urine
volume;NUV)、就寝から第一覚醒までの時間(Hours of undisturbed sleep;HUS)、NUV(NUV per
hour;NUV/h)、PSQIなどの変化量と設定した。変化量はrepeated measures ANOVAで評価した。解析対象は、新型コロナウイルス感染症流行に伴う移動制限、生活習慣の変化などの理由により9名を除外した24名となった。対象の平均年齢は79.7±5.6歳であり、男性17名、女性7名であった。介入前の対象群の平均就寝時刻は21時30分で、介入後は22時11分となり、24人中22人が就寝時間を遅らせる結果となった。
介入期間中のNUFは、非介入期間と比較して有意に減少した(-0.90回 vs
-0.01回、P<0.01)。さらに、Spearmanの順位相関検定の結果、NUFの変化量と就寝時間の変化量の間には有意な相関が認められた(r=-0.58、P=0.003)。また非介入期間と比較して、介入期間においてHUSは有意に延長し(62.8分 vs.
12.7分、P=0.01)、NUVは有意に減少した(-105.6mL vs.
4.4mL、P=0.04)。特にHUSまでのNUV/hが有意に減少し(-28.4mL/h vs.
-0.17mL/h、P=0.04)、さらにPSQIも有意な改善を認めた(-2.4 vs. 1.2、P=0.02)。本研究の結果について著者らは、「夜間頻尿を有する高齢者は最適な就寝時刻より早く就寝している傾向にある可能性が高い。しかし、適切な時刻に規則正しく就寝する生活を送ることで、睡眠の質にとって非常に重要な要素であるといわれる『就寝から第一覚醒までの時間』が有意に延長され、これに伴い夜間尿量、特に『就寝から第一覚醒までの時間』における単位時間あたりの尿量が有意に減少し、結果として夜間排尿回数が有意に減少する可能性がある。これらの結果は、就寝時刻の調整が夜間頻尿に対する有効な行動療法となる可能性を示唆している。また、実際の就寝時刻と最適な就寝時刻の差が大きい患者ほど介入の有効性が高い可能性がある」と述べている。
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HealthDay News 2025年6月9日
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説明可能な人工知能による潰瘍性大腸炎の予後因子
潰瘍性大腸炎(UC)は慢性の炎症性腸疾患であり、その病態生理は多岐にわたる。そのため、症例ごとに最適な治療法を選択することが大切だ。今回、全国規模のレジストリを説明可能な人工知能(日立製作所)を用いて解析することで、難治性UCの予後因子を特定できることが報告された。レジストリ登録時の偽ポリープが存在することが、寛解と有意に負の相関を示したという。研究は東海大学医学部消化器内科の佐野正弥氏らによるもので、詳細は「Annals
of Medicine」に5月5日掲載された。UCは、重度の下痢、血便、激しい腹痛、発熱を特徴とし、再発と寛解を繰り返す難治性の炎症性腸疾患だ。UCの寛解を目指す場合、コルチコステロイド(CS)の導入が有効とされるが、CSには長期使用による有害事象のリスクがあり、早晩にCSに依存しない薬剤への切り替えが不可欠と考えられる。そのため、従来の研究では、どの治療がどの疾患型に対してより高い寛解率をもたらすかが検討されてきた。しかし、UCの疾患の多様性が影響し、包括的な予測モデルの開発は困難となっている。このような背景を踏まえ、著者らは、全国の医療記録に基づく機械学習モデルを用いて、難治性UCの予後因子を特定することとした。
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解析対象は2003年4月から2012年3月(日本で生物学的製剤が普及する前)の期間に、全国レジストリに登録された新規UC症例7万9,096名とした。この中から3年分のデータがあり、初回診断時のMayoスコアが3以上で、登録以来CSを使用している4,003名(うち1,373名が3年以内に寛解達成)を最終的な解析対象とした。機械学習にはポイントワイズ線形モデル(PWLモデル)を用いて、3年後の寛解誘導と患者の層別化を予測した。モデルのパフォーマンスを示すスコアとして、曲線下面積(AUC)とF値を用いた。
長期寛解(3年以上持続)を予測するために、登録時、登録後1年、登録後2年までのデータに基づき開発された3つのPWLモデルが評価された。登録時、登録後1年目、登録後2年目のAUCはそれぞれ0.628、0.641、0.774であり、増加が認められた。また、登録後2年後までのテストデータセットにおける、適合率、再現率、F値はそれぞれ0.55、0.70、0.62だった。
次にk-means+法を用いて患者を予測される寛解率の高いグループと低いグループに分類した。さらに、登録時データのみを使用して寛解に関連する重要な因子の相関係数を調べたところ、偽ポリープ(0.695)、腹痛(0.689)、S字結腸炎(0.578)、5-ASAの使用(0.513)などいくつかの因子が相関していることが分かった。これらの因子の重み値は、偽ポリープ(-0.056)、腹痛(-0.054)で負の値を、S字結腸炎(0.054)、5-ASAの使用(0.049)で正の値を示した。登録後1年目までのデータを解析した結果、重要な因子として、偽ポリープ(0.982)、手術(0.964)、血球成分除去療法(0.940)が特定された。重み値は偽ポリープ(-0.159)が負の相関を示し、手術(0.094)と血球成分除去療法(0.109)が正の相関を示した。登録後2年までのデータでは、偽ポリープ(0.893)、2年目の日常生活(0.743)、1年目におけるCSの使用(0.736)が重要な因子となっていた。
本研究の結果について著者らは、「登録後2年目までの臨床データを組み込むことで、過学習のリスクなしにモデルの精度が向上した。さらに、3つ全ての予測モデルにおいて、登録時の偽ポリープの存在が寛解導入の成功を阻害することが示された。UCのように炎症と寛解を繰り返す疾患では、長期予後を予測する際に時系列データの影響を考慮する必要があるが、従来の統計手法には一定の限界がある。このような背景から、PWLモデルは予後予測とその影響因子の特定に有効なのではないか」と述べている。
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潰瘍性大腸炎は主にお腹の症状が中心となる炎症性の病気です。潰瘍性大腸炎の症状に焦点を当てながら潰瘍性大腸炎のセルフチェックに役立つ情報をご紹介していきます。
もしかしたら?症状からみる潰瘍性大腸炎のセルフチェック方法参考情報:リンク先
HealthDay News 2025年6月9日
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スポーツを現地観戦する高齢者は幸福感が高い
主観的な幸福感を高めることは、高齢者が晩年を健康的に過ごすために極めて重要だが、今回、年数回のスポーツ現地観戦をすることで高齢者の幸福感が向上する可能性がある、とする研究結果が報告された。テレビ・インターネットではなく、会場で観戦することが重要だという。研究は千葉大学予防医学センター社会予防医学研究部門の河口謙二郎氏らによるもので、詳細は「PLOS One」に4月9日掲載された。
世界でも高い水準で高齢化が進んでいる日本においては、高齢者がいかに幸福度を維持しながら老後を過ごしていくかが課題の一つとなっている。過去には、スポーツによる身体活動だけでなく、スポーツ観戦といった受動的な参加によっても主観的幸福感が向上することが報告されてきた。しかし、スポーツ観戦においては、現地、テレビ、インターネットなどでそれぞれ幸福感との関係が異なる可能性も示唆されており、既存の研究の中では十分な検討がなされていない。そのような背景を踏まえ、著者らはスポーツ観戦をする高齢者は、観戦しない高齢者よりも幸福感が高いという仮説を立て、現地、テレビ・インターネットでのスポーツ観戦と幸福感との関連を大規模疫学研究のデータを用いて検討することとした。
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解析対象には、地域在住の65歳以上を対象とした日本老年学的評価研究(JAGES)データベースより、2019年と2022年の両方でスポーツ観戦に関する質問に回答した1万1,265人が含まれた。研究における幸福感は、0~10までの間で全体的な幸福感を評価してもらいスコア化した。スポーツ観戦の頻度は、「現地観戦(プロ、アマ含む)」、「プロスポーツの現地観戦」、「テレビ・インターネットでの観戦」それぞれについて、「全く観戦しない」、「年に数回」、「月に1~3回以上」、「週に1回以上」の選択肢の中から回答してもらい集計した。カテゴリごとに十分なサンプル数を確保するために、各選択肢は、「全く観戦しない」、「年に数回」、「月に1回以上」という3つのグループに分類した。
解析対象1万1,265人の平均年齢(±標準偏差)は73.6±5.6歳であり、女性は5,883人(52.2%)含まれた。年齢、性別などの交絡因子を調整後、スポーツ観戦と幸福感に関する線形回帰分析を行った結果、「現地観戦」では「年に数回」の観戦をした高齢者は、「全く観戦しない」高齢者よりも幸福感スコアが高かった(偏回帰係数B 0.11〔95%信頼区間0.03~0.19〕)。「プロスポーツの現地観戦」に関しても、「年に数回」の観戦は幸福感スコアの上昇と有意に関連していた(B 0.12〔0.02~0.22〕)。「テレビ・インターネットでの観戦」については、観戦頻度に関わらず、スポーツ観戦と幸福感スコアの間に有意な関連は認められなかった。
次に、スポーツ観戦と高い幸福感スコア(スコア8以上)の出現割合比(PR)について検討を行った。交絡因子を調整後、修正ポアソン回帰分析を行った結果、「現地観戦」では「年に数回」および「月に1回以上」観戦をした高齢者では、「全く観戦しない」高齢者よりPRが有意に高かった(それぞれPR 1.07〔1.03~1.12〕、PR 1.07〔1.00~1.14〕)。「プロスポーツの現地観戦」では、「全く観戦しない」高齢者に比べ、「年に数回」の観戦でPRが有意に高くなっていた(PR 1.06〔1.01~1.12〕)。「テレビ・インターネットでの観戦」に関しては、観戦頻度に関わらず、有意なPRの上昇は認められなかった。
「スポーツの現地観戦、プロスポーツの現地観戦において年に数回の観戦が幸福感の高さと関連する」というこの傾向は、スポーツクラブへの参加の有無、年齢、性別の層別解析により、スポーツクラブ不参加、男性、および75歳未満の高齢者でより顕著であることが分かった。
本研究について著者らは、「本研究の強みは大規模データベースを用いた点、幸福な人がスポーツ観戦を好むという逆因果関係の可能性を低減する工夫をした点にある。今回得られた結果は、高齢者の幸福感を高めるには、スポーツ観戦へのアクセスを促進する、的を絞った介入策が重要であることを示唆しているのではないか」と述べている。
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腫瘍内細菌叢が肺がんの予後を左右する
細菌は外的因子としてがんの発生に寄与するが、近年、腫瘍の中にも細菌(腫瘍内細菌叢)が存在していることが報告されている。今回、肺がん組織内の腫瘍細菌叢の量が、肺がん患者の予後と有意に関連するという研究結果が報告された。研究は、千葉大学大学院医学研究院分子腫瘍学(金田篤志教授)および呼吸器病態外科学(鈴木秀海教授)において、越智敬大氏、藤木亮次氏らを中心に進められ、詳細は「Cancer Science」に4月11日掲載された。
近年、がんの予後と腫瘍内細菌叢の関係が注目されている。その中でも、肺がんに関する研究は、喀痰や気管支肺胞洗浄液に含まれる腫瘍外部の細菌に焦点を当てたものがほとんどであり、腫瘍内細菌叢とその予後への影響について検討したものは限られている。そのような背景を踏まえ著者らは、腫瘍内細菌叢が肺がん患者の予後に与える影響を評価するために、単施設のコホート研究を実施した。
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本研究では、最も一般的な肺がんの2つの組織型、肺腺がん(LUAD)と肺扁平上皮がん(LUSC)が解析された。肺がんの腫瘍サンプルは、千葉大学医学部付属病院で2016年1月~2023年12月の間に手術を受けた507人(LUAD 369人、LUSC 138人)より採取された。再発手術と術前化学療法を行った症例は除外した。腫瘍内細菌叢のゲノムDNA(bgDNA)の定量はqPCR法により行い、bgDNAが大量に検出された症例については、蛍光in situ ハイブリダイゼーション法(FISH)により、腫瘍組織内の局在が確認された。
腫瘍サンプルのqPCRの結果、391サンプル(77.1%)で、定量範囲下限以上のbgDNAが検出された。LUADおよびLUSCサンプルを用いたFISH解析により、組織中に細菌が存在することが示されたが、LUSCにおいては、細菌は間質に多く存在していた。
次に性別、病期(Ⅰ~Ⅲ)、組織型(LUAD、LUSC)などの患者特性ごとに、細菌叢のbgDNAのコピー数を調べた。その結果、他の患者特性では有意な差は認められなかったが、組織型では、LUSCと比較しLUADで有意に細菌叢のbgDNAのコピー数が多いことが分かった(P=1×10-7)。
定量化された391の検体は、bgDNAの定量値に基づき、細菌叢高容量群、低容量群、超低容量群の3群に分類し、全生存率(OS)と無再発生存率(RFS)との相関が検証された。その結果、LUADでは、細菌叢の量はOSやRFSのいずれとも有意に相関していなかった。しかしLUSCでは、Cox比例ハザードモデルを用いた単変量および多変量解析の結果、OSおよびRFSと有意に関連し、病期とは独立した予後因子として特定された。
本研究について金田教授は、「腫瘍内細菌叢は組織型に差異はあるものの、多くの肺がん組織で認められた。この細菌叢の量は、予後の悪い肺扁平上皮がんを層別化する上で有用なマーカーとなる可能性がある」と述べており、鈴木教授は、「これら細菌の肺がん発症や進展への寄与については今後さらなる研究が必要である」と付け加えた。
肺がんのセルフチェックに関する詳しい解説はこちら
肺がんは初期の自覚症状が少ないからこそ、セルフチェックで早めにリスクを確かめておくことが大切です。セルフチェックリストを使って、肺がんにかかりやすい環境や生活習慣のチェック、症状のチェックをしていきましょう。
肺がんのリスクを症状と生活習慣からセルフチェック!参考情報:リンク先
HealthDay News 2025年5月26日
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若い女性の不定愁訴、魚介類の摂取不足が原因か
女性は男性よりも原因不明の体調不良(不定愁訴)を訴える可能性が高い。今回、日本の若い女性における不定愁訴と抑うつ症状の重症度が、魚介類の摂取量と逆相関するという研究結果が報告された。研究は和洋女子大学健康栄養学科の鈴木敏和氏らによるもので、詳細は「Nutrients」に4月3日掲載された。
不定愁訴は、器質的な疾患背景を伴わない、全身の倦怠感、疲労感、動悸、息切れ、脳のもやもやなどの症状を指す。これらの症状は、検査で原因が特定できない場合が多く、心身のストレスや自律神経の乱れが関与していると考えられている。過去50年間に行われた様々な横断研究より、不健康なライフスタイルとそれに伴う栄養摂取の影響が不定愁訴に関連することが報告されている。しかし、不定愁訴と特定の食品、栄養素との関連は未だ明らかにされていない。このような背景を踏まえ、著者らは不定愁訴および抑うつ症状を定量化し、これらの症状の重症度と関連する栄養素や食品を特定することを目的として、日本の若年女性を対象とした横断的調査を実施した。
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質問調査は2023年6~12月にかけて行われた。和洋女子大学に所属する18~27歳までの学部生86人が対象となり、参加者は同日に微量栄養素欠乏症関連愁訴質問票(MDCQ)、食物摂取頻度調査票(FFQg)、日本版ベック抑うつ質問票(BDI-Ⅱ)の3種類の質問票に回答した。MDCQのスコアは26をカットオフとし、スコア26以下の参加者を愁訴の訴えが少ない群(LC群)、スコア27以上を訴えが多い群(HC群)とした。HC群では微量栄養素欠乏症の可能性があることを示す。BDI-Ⅱスコアは、13をカットオフとし、13以下の参加者を抑うつ度の低い群(LD群)、14以上を抑うつ度の高い群(HD群)に分類した。2群間の比較にはMann-WhitneyのU検定を用いた。
FFQgから得られた86人の体組成、栄養摂取量は、2019年の国民健康・栄養調査報告(厚生労働省)から引用した20~29歳の日本人女性のそれとほぼ同等であった。参加者はMDCQスコア(≤26:LC群、≥27:HC群)とBDI-Ⅱスコア(≤13:LD群、≥14:HD群)に基づいて2つのグループに分類された。摂取していた栄養素について、HC群とLC群およびHD群とLD群を比較したところ、HC群とHD群ではエイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、ビタミンD、ビタミンB12の摂取量が有意に少ないことが分かった。これらの栄養素は日本人において主に魚から摂取されているため、両群の魚介類の摂取量を比較した。その結果、HC群の魚介類の摂取量(中央値〔範囲〕)は有意にLC群より低かった(35.9〔0~107.7〕g vs 53.8〔2.6~148.7〕g、P=0.005)。HD群とLD群を比較した場合でも、同様の低下が認められた(35.9〔0~107.7〕g vs 53.8〔0~148.7〕g、P=0.006)。
参加者はさらに、愁訴の訴えが少なくかつ抑うつ度の低いLC-LD群(MDCQ≦26かつBDI-II≦13)と愁訴の訴えが多くかつ抑うつ度の高いHC-HD群(MDCQ≧27かつBDI-II≧14)の2群に分けられた。両群の栄養素・食品摂取量を比較したところ、HC-HD群のEPA、DHA、ビタミンD、ビタミンB12の摂取量はLC-LD群よりも有意に低かった。さらに、HC-HD群では、亜鉛、セレン、モリブデン、パントテン酸といったその他の微量栄養素も有意に減少していた。食品摂取量に関しては、HC-HD群の魚介類の摂取量は、LC-LD群よりも75%低かった(12.8〔0~107.7〕g vs 53.8〔2.6~148.7〕g、P=0.001)。
本研究について著者らは、「本研究から、魚介類の摂取量は、不定愁訴の重症度および抑うつ状態に関連があることが分かった。魚介類の摂取または、EPA、DHA、ビタミンDなどの摂取が、精神神経疾患の不定愁訴およびうつ病の予防・管理に有効であるかどうかを検証するには、さらなる研究が必要だ」と述べている。
本研究の限界点については、推定された栄養素および食品量は絶対値でなく概算値であったこと、食事の質や抑うつ症状の有病率に影響する社会経済的地位のような共変量を考慮していないことなどを挙げている。
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HealthDay News 2025年5月19日
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日本人の糖尿病関連腎臓病、研究で病原性変異が明らかに
糖尿病関連腎臓病(DKD)は2型糖尿病の長期合併症であり、心血管系合併症や死亡率の高さに関連している。今回、日本国内におけるDKD患者の病原性変異について明らかにした研究結果が報告された。研究は東京大学医学部附属病院腎臓・内分泌内科の羽柴豊大氏らによるもので、詳細は「Journal of Diabetes Investigation」に4月8日掲載された。
DKDは、長期の糖尿病罹病期間と糖尿病網膜症の合併に基づき、腎生検を必要とせずに臨床的に診断される。糖尿病患者の中には、同様に血糖コントロールを行っているにもかかわらず、腎機能障害を発症する患者としない患者がいることから、遺伝的要因が糖尿病およびDKD発症の根底にある可能性がある。実際、2021年には米国の1型および2型糖尿病を患うDKD患者370名を対象とした研究から、白人患者の22%で病原性変異が特定されている。しかし、この割合は民族やデータベースの更新状況によって異なっている可能性も否定できない。このような背景を踏まえ、著者らは最新のデータベースを用いて、日本の2型糖尿病を伴うDKD患者のサンプルから全ゲノム配列解析(WGS)を実施し、病原性変異を持つ患者の割合を決定することとした。
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本研究には、東京大学糖尿病性腎疾患コホートよりWGSの検体提供に同意した79人(平均年齢72歳)のDKD患者が組み入れられた。全体の25名(31.6%)に糖尿病網膜症が認められ、9名(11.4%)に腎臓病の家族歴があった。
WGSの結果、27人(34.1%)の患者で、24の遺伝子(29の部位)に位置する病原性変異が同定された。すべての変異はヘテロ接合型であり、ホモ接合型は検出されなかった。同定されたヘテロ接合型病原性変異は、大きく、糸球体症関連(23.7%)、尿細管間質性腎炎関連(36.8%)、嚢胞性腎疾患/繊毛病関連(10.5%)、その他疾患関連(28.9%)に分類された。
27人の患者で同定された変異のうち、常染色体顕性(優性)遺伝パターンに関連し、疾患の発症に潜在的に影響を及ぼすものを「診断的変異」と定義した。診断的変異は7つの遺伝子(ABCC6、ALPL、ASXL1、BMPR2、GCM2、PAX2、WT1)において10人(12.7%)の患者で認められた。これらの遺伝子はすべて常染色体顕性遺伝性疾患と関連していた。
本研究の結果について著者らは、「日本では、相当数のDKD患者において腎臓関連のヘテロ接合型病原性変異が特定された。これらの知見は、この変異に民族間の差異が存在する可能性を示唆しており、データベースの更新が変異検出に与える影響を浮き彫りにしている」と述べている。今回、DKD患者で認められた変異の臨床的意義については、「依然として不明であり、その意義をさらに検討するためにはより大規模なコホート研究が必要」と付け加えた。
本研究の限界点として、サンプル数が少なく、日本国内の単一施設のコホート研究であったことから、一般化に制約があることが挙げられる。また、WGS解析はDKD集団のみを対象としており、健常者や腎障害のない糖尿病患者との比較が行われなかったため、本研究は記述的研究にとどまるものとされている。
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糖尿病の3大合併症として知られる、『糖尿病性腎症』。この病気は現在、透析治療を受けている患者さんの原因疾患・第一位でもあり、治療せずに悪化すると腎不全などのリスクも。この記事では糖尿病性腎病を早期発見・早期治療するための手段として、簡易的なセルフチェックや体の症状について紹介していきます。
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HealthDay News 2025年5月19日
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術後の吐き気、アロマセラピーで改善か
術後の悪心・嘔吐(PONV)は、全身麻酔による手術を受けた患者の約30%で発生する。口腔外科手術では、PONVの発生する割合がさらに上がることが報告されているが、今回、アロマセラピーにより術後悪心(PON)の重症度が軽減されるという研究結果が報告された。北海道大学大学院歯学研究院歯科麻酔学教室の石川恵美氏らの研究によるもので、詳細は「Complementary Therapies in Medicine」に3月26日掲載された。
PONVの管理は、全身麻酔での手術後の予後と患者の治療満足度にとって重要な要素の1つだ。海外のPONVのガイドラインでは、女性や、高リスクの手術、揮発性吸入麻酔薬の使用といった複数のリスク因子を有する患者に対しては、3~4つの対策を講じることが望ましいとされている。しかし、国内では保険適用可能な薬剤の数が限られており、これらの高リスク患者のPONV管理においては、複数の対策を講じるための代替となる新しい手段の検討が必要である。
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PONVおよびPONの予防・治療に関しては、携帯性が高く、処方箋不要で、比較的低コストで、副作用のリスクが少ないといった観点から、アロマセラピーの活用がこれまでに研究されてきた。しかし、PONVおよびPONの管理に関して、高いエビデンスに基づいた研究は限られている。このような背景を踏まえ、著者らは口腔外科手術後のPON発症に対するアロマセラピーの効果を検討する単施設のランダム化比較試験を実施した。
試験には、2022年7月16日から2023年12月31日の間に、北海道大学病院で全身麻酔下による口腔外科手術を受けた20歳以上の成人患者182人が含まれた。患者は1:1でアロマ群(93人)と対照群(89人)に割り付けられた。アロマ群には、ペパーミント・ショウガ・ラベンダーの3種類のエッセンシャルオイルからなる希釈液を吹き付けた綿がジッパー付きの袋に入れて渡された。対照群の袋には精製水を吹き付けた綿が入れられた。患者はPONの初回発症時に、渡された袋を開き2分間の深呼吸を行うよう指示された。PONの重症度は視覚アナログスケール(VAS)を用いて評価した。連続変数、順序変数(および名義変数)の比較にはそれぞれt検定、フィッシャーの正確確率検定を使用した。
アロマ群で32人、対照群で25人の患者がそれぞれPONを発症した。この中から、麻酔中に予防的制吐剤を投与されていた患者、介入前にレスキュー制吐剤を使用した患者を除外し、アロマ群と対照群でそれぞれ26人と21人が最終的な解析に含まれた。介入前から介入後2分までのVASの変化量は、アロマ群で-19.15±3.67、対照群で-2.00±1.08であり、アロマセラピーにより有意にPONの重症度が軽減されることが示された(P<0.001)。
PON発症後にレスキュー制吐剤が使用された患者の割合は、アロマ群(30.77%)が対照群(52.38%)よりも低かったものの、統計的に有意な差は認められなかった。
試験終了時に行われた、5段階のリッカート尺度による治療満足度の評価では、満足度が高い(4または5)と回答した患者の割合は、アロマ群(79.23%)が対照群(14.29%)より有意に高かった(P<0.001)。なお、試験期間中に有害事象は観察されなかった。
本研究の結果について著者らは、「本研究では、アロマセラピーが全身麻酔下での口腔外科手術後のPONの重症度と患者満足度を大幅に改善することが示された。したがって、その利点を考慮すると、アロマセラピーは複数の制吐策の1つとして有望なのではないか」と述べている。
なお、本研究の限界点については、アロマセラピーの性質上、精製水との比較において患者の盲検化ができないこと、単施設の研究であったことなどを挙げている。
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自閉スペクトラム症の光過敏に新知見
自閉スペクトラム症(ASD)は、聴覚過敏や視覚過敏などの感覚異常を伴うことが知られているが、今回、ASDでは瞳孔反応を制御する交感神経系に問題があることが新たに示唆された。研究は帝京大学文学部心理学科の早川友恵氏らによるもので、詳細は「PLOS One」に4月1日掲載された。
ASDは、様々な状況における社会的コミュニケーションの障害、ならびに行動や興味に偏りが認められる複雑な神経発達症の一つだ。発達初期に現れるこれらの症状に加え、聴覚・嗅覚・触覚などの問題に併せ、光に対する過敏性(羞明)に悩まされることが多い。
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羞明はASDの視知覚における特徴的な症状であり、適切な光量を調節する瞳孔反応の問題に起因している可能性がある。瞳孔反応は瞳孔の散大(散瞳)と収縮(縮瞳)からなり、それぞれ交感神経と副交感神経により適切に制御されている。これまでの研究の多くは、対光反射の観察から「ASDでは光刺激に対して縮瞳が弱い」という結果を導いてきたが、もう一つの可能性である「暗刺激に対して過剰な散瞳が起こっている」という点については十分な研究が行われてこなかった。このような背景を踏まえ、著者らはASDにおける瞳孔反応の神経学的機序を解明するため、明条件と共に暗条件下で瞳孔反応がどのように変化するかを調査した。
本研究は、自閉症者コミュニティより募集したASD17名(ASD群)と参加者募集会社により集められた定型発達23名(TD群)で実施した。両群の感覚特性は日本版青年・成人感覚プロファイル(AASP-J)によって評価された。刺激呈示には24インチのLCDモニターを使用し、瞳孔反応のデータ取得にはサンプリングレート60Hzのアイトラッキングシステムを使用した。実験1では、薄暗い画面(2.75cd/m2)を10秒間提示した後、5秒間隔で明条件(89.03cd/m2)と暗条件(0.07cd/m2)が交互に合計24セット繰り返された。続いて行われる実験2では、薄暗い画面を10秒間提示した後、30秒間隔で明/暗条件が交互に合計10セット繰り返された。
参加者の平均年齢(±標準誤差)は、ASD群とTD群でそれぞれ38.7(±2.3)歳と37.9(±2.0)歳であり、両群間に差はなかった。また、男女比、日本版ウェクスラー成人知能検査による知能検査にも両群間で有意な差は認められなかった。AASP-Jテストでは、ASD群で「感覚過敏」および「感覚回避」スコアが高く、TD群との間に有意差が認められた(t検定、各p<0.01)。
ASD群の瞳孔反応は、特に明暗が急速に切り替わる実験1で瞬きによるデータの欠損が有意に多く(p<0.01)、その結果、評価対象例数が減少した。実験1の薄暗い状態での瞳孔径は、ASD群とTD群で有意差は認められなかった(5.7±0.5mm vs 5.8±0.3mm、p=0.8)ものの、続いて行われた実験2の薄暗い状態での瞳孔径は、ASD群が大きいままなのに対し、TD群で有意に小さくなっていた(5.9±0.3mm vs 4.9±0.3mm、p=0.01)。
明暗刺激時における、ベースラインから瞳孔径の最大変化量(最大振幅)とそれに至るまでの時間(潜時)は両群間で有意な差は認められなかった。しかし、暗条件下の散瞳開始初期の速度は、ASD群で有意に速かった。実験1では、最大振幅の37%に到達するまでの潜時はASD群で有意に速く(p=0.01)、実験2の最大振幅の37%と63%に到達するまでの潜時もASD群で有意に速かった(各p=0.03)。
本研究について著者らは「羞明を伴うことの多いASDでは、薄暗い状態で瞳孔径が大きく、暗条件では散瞳の速度が速い傾向にあることが示された。これらの結果から、ASDでは瞳孔を制御する交感神経の過剰な興奮で散瞳状態にあり、その背景として散瞳と縮瞳をバランスする青斑核の働きに問題があると考えられる。ASDの羞明は、周囲の光に合わせて瞳孔径を適切に調整できないことに起因するのかもしれない」と述べている。
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HealthDay News 2025年5月12日
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子宮頸がんワクチンの接種率は近隣の社会経済状況や地理に関連か
子宮頸がんはほとんどの場合ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染により発症する。HPVにはワクチンが存在していることから、子宮頸がんは「予防できるがん」とも呼ばれる。この度、HPVワクチンの接種率が近隣地域の社会経済状況、医療機関へのアクセスに関連するという研究結果が報告された。近隣地域の社会経済状況が高く、医療機関へのアクセスが容易なほどHPVワクチンの接種率が高かったという。大阪医科薬科大学総合医学研究センター医療統計室の岡愛実子氏(大阪大学大学院医学系研究科産科学婦人科学教室)、同室室長の伊藤ゆり氏らの研究によるもので、詳細は「JAMA Network Open」に3月13日掲載された。
子宮頸がんは女性で4番目に多く、ステージが上がるほどその予後は悪くなる。よって、早期のHPVワクチンの接種が必要とされるが、日本におけるHPVワクチンの接種率は高所得国の中で最も低い。これは、厚生労働省がメディアの報道を受けて、2013~2021年にかけて接種勧奨を停止していたことに起因する。2022年度より接種勧奨を再開し、停止期間に接種を受けられなかった女性に対して、無料のHPVワクチン接種(キャッチアップ接種)を行ってきたが、接種率は勧奨停止前のレベルまで回復していない。
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これまでの海外の研究で、裕福な地域や都市部に住む女性でHPVワクチンの接種率が高いことが報告されている。一方で、日本のHPVワクチンの接種率を向上させるには、国内の接種状況や、それに影響を及ぼすと考えられる地域要因に関する研究が必要とされていた。このような背景から、岡氏らはワクチンの定期接種プログラムが導入された2013年からのデータが保管されている大阪市のデータを用い、累積接種率と地域ベースの社会経済指標およびアクセス指標との関連を調査した。
調査には、大阪市から提供された2013~2022年度の定期接種およびキャッチアップ接種データを含む個別のHPVワクチン接種データを利用した。対象は、1997年度から2010年度に生まれ、大阪市でHPVワクチン接種を受けた女性とした。地域の社会経済指標(Areal Deprivation Index: ADI)を近隣地域の社会経済状況の指標、各地域の代表地点から500mの範囲内にあるHPVワクチン接種を提供する医療機関の数をアクセス指標として、それぞれ用いた。HPVワクチン接種の累積率とADIおよび医療施設へのアクセスとの関連は、ロバスト誤差分散を用いたポアソン回帰モデルによって評価した。
大阪市では18万5,373人の女性がHPVワクチンの接種対象であり、そのうち1万8,688人(10.1%)が接種を受けた。最も貧困度の高い地域に住む女性(2万8,078人中2,539人〔9.0%〕)と比較して、最も貧困度の低い地域に住む女性(4万2,170人中5,862人〔11.6%〕)の累積HPVワクチン接種率は高かった(Prevalence Ratio PR1.25〔95%信頼区間1.16~1.34〕)。さらに、医療施設へのアクセスが低い地域に住む女性(5万5,055人中5,128人〔9.3%〕)と比較して、アクセスが良好な地域に住む女性(5万4,740人中5,862人〔10.7%〕)で累積ワクチン接種率は高くなっていた(PR1.09〔1.03~1.16〕)。
累積HPVワクチン接種は、定期接種ではADIと有意に関連していたが(最富裕層 vs 最貧困層:PR1.46〔1.33~1.61〕)、キャッチアップ接種では関連していなかった(最富裕層 vs 最貧困層:PR1.01〔0.92~1.11〕)。
本研究について著者らは、「今回の横断研究では、社会経済状況が高く、医療施設へのアクセスが高いほど、累積HPVワクチンの接種率が高くなることが示された。これらの知見はHPVワクチン接種の不平等を減らすために、社会環境アプローチを含むさらなる戦略が必要であることを示唆している」と総括した。
本研究の限界点として、対象者の健康リテラシーやHPVワクチンに対する認識などの潜在的な交絡因子を調整していないこと、政府が接種勧奨を停止する前にワクチンを受けていた1994~1996年度生まれの対象者を含む2012年度までの接種者が除外されていたため、大阪市の累積接種率が過小に評価された可能性があることなどを挙げている。
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COVID-19は糖尿病患者の院内死亡率を高める
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は高齢者や基礎疾患のある人で重症化しやすいことが知られているが、今回、治療中の糖尿病がCOVID-19による院内死亡率や人工呼吸器使用、血液透析といった腎代替療法の重大なリスク因子である、とする研究結果が報告された。研究は東京医科大学病院糖尿病・代謝・内分泌内科の諏訪内浩紹氏、鈴木亮氏らによるもので、詳細は「PLOS One」に3月19日掲載された。
COVID-19は多臓器障害を伴い、重症化した場合は、急性呼吸窮迫症候群、急性腎障害、その他の臓器不全を引き起こすことが多い。日本ではCOVID-19による死亡率は比較的低いが、糖尿病患者の場合では死亡リスクの上昇が報告されている。一方で、糖尿病患者におけるCOVID-19の治療と転帰を検討する包括的な研究は依然として限られている。そのような背景から、著者らはCOVID-19が糖尿病患者に及ぼす影響を評価するために、多施設の後ろ向きコホート研究を実施した。本研究では、院内死亡率、人工呼吸器の使用、ICUへの入院、血液透析(HD)、持続的血液濾過透析(CHDF)、医療リソースの利用状況に関する影響が検討された。
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研究には、千葉県内38医療機関の診断群分類包括評価(DPC)データより、2020年2月1日~2021年11月31日までの間にCOVID-19と診断された1万1,601人が含まれた。この中から、18歳未満、妊娠中、糖尿病未治療の症例など計825人が除外され、最終的な解析対象を1万776人(対照群7,679人、糖尿病群3,097人)とした。連続変数とカテゴリ変数の比較には、それぞれスチューデントのt検定とフィッシャーの正確確率検定を使用した。
糖尿病群の患者は対照群の患者よりも平均年齢とBMIが高かった(67.4歳 vs 55.7歳、25.6kg/m2 vs 23.6kg/m2、各P<0.001)。糖尿病の治療に関しては、インスリン使用率は88.4%、経口血糖降下薬は44.2%であり、インスリン療法の割合が高かった。
COVID-19による平均入院日数は、糖尿病群で17.8±15.3日であり、対照群(10.2±8.5日)と比べて有意に延長された(P<0.001)。院内死亡率は、糖尿病群と対照群でそれぞれ、12.9%と3.5%であり、糖尿病群で高くなっていた(オッズ比OR 4.05〔95%信頼区間3.45~4.78〕、P<0.001)。また、年齢別のサブグループ解析を行った結果、50~59歳にORのピークがみられ(同12.8〔3.71~44.1〕、P<0.01)、この年齢層がCOVID-19による院内死亡の強いリスク因子であることが示唆された。
次に、糖尿病がアウトカム(院内死亡率、人工呼吸器の使用、ICU入院、HD、CHDF)に及ぼす影響を検討するため回帰分析を行ったところ、糖尿病群の全てのアウトカムのORは対照群と比較して有意に高かった。また、年齢、性別、BMI、救急車の利用で調整した重回帰分析を行った場合でも、全てのアウトカムのORは有意なままであったことから、糖尿病がこれらのアウトカムの独立した因子であることが示された。
本研究について著者らは、「2020~2021年のDPCデータの解析から、糖尿病はCOVID-19における院内死亡率、人工呼吸器の使用、ICU入院、HD、CHDFの独立したリスク因子であることが示された。院内死亡率に関しては特に18~79歳の糖尿病群で対照群より高く、働き盛りの50~59歳で最もオッズ比が高かったことから、以降の若年世代に対してのワクチン接種勧奨や行動制限は有効だったのではないか」と述べている。
また、本研究の強みとして、レセプトデータをベースとしており、患者の使用している糖尿病治療薬などの臨床情報や、かかった医療費に関しての情報が含まれていた点を挙げており、「本研究はCOVID-19と糖尿病の臨床的特徴を明らかにし、将来の治療の改善に役立つものと考えている」と付け加えた。
本研究の限界点として、今回使用したDPCデータには、入院前の情報、臨床検査値やCOVID-19の重症度分類に関する情報、ワクチン接種に関する情報が含まれていないことを挙げている。
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糖尿病でいちばん恐ろしいのが、全身に現れる様々な合併症。深刻化を食い止め、合併症を発症しないためには、早期発見・早期治療がカギとなります。今回は糖尿病が疑われる症状から、その危険性を簡単にセルフチェックする方法をご紹介します。
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HealthDay News 2025年4月28日
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高齢の心不全患者が感染症で再入院にいたる因子とは
心不全(HF)患者の再入院は、患者の死亡率上昇だけでなく、医療機関に大きな経済的負担をもたらす。高齢HF患者では、しばしば感染症による再入院がみられるが、この度、高齢のHF患者における感染症関連の再入院にフレイルと腎機能の低下が関連しているという研究結果が報告された。徳島大学大学院医歯薬学研究部臨床薬学実務実習教育分野の川田敬氏らの研究によるもので、詳細は「Geriatrics & Gerontology International」に3月11日掲載された。
世界でも有数の高齢化社会を擁する日本では、高齢のHF患者が大幅に増加している。高齢者では免疫力が低下することから、高齢HF患者の感染症による再入院率も増加していくと考えられる。これまでの研究では60代や70代のHF患者に焦点が当てられてきたが、実臨床で増加している80代以上の高齢HF患者、特に感染症による再入院に関連する因子については調べられてこなかった。このような背景から、川田氏らは、高齢化が特に進む日本の高知県の急性肥大症性心不全レジストリ(Kochi YOSACOI Study)のデータを使用して、高齢HF患者の感染症による再入院に関連するリスク因子を特定した。
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研究には、2017年5月から2019年12月の間に急性非代償性心不全(ADHF)でレジストリに登録された1,061名を含めた。この中から死亡した患者30名、左室駆出率、日本版フレイル基準(J-CHS)スコア、その他の検査結果などが欠落していた302名を除外し、729名を最終的な解析対象に含めた。
解析対象729名のHF患者の平均年齢は81歳(四分位範囲72.0~86.0)であった。患者は退院後2年間の追跡期間中に感染症関連の再入院を経験した121名(17%)と、感染症関連の再入院を経験しなかった患者608名に分けられた。
HF患者の感染症関連再入院に関連する因子はロジスティック回帰分析により決定した。その結果、独立した予測因子として、J-CHSスコア≧3(調整オッズ比1.83〔95%信頼区間1.18~2.83〕、P=0.007)が特定された。
次に感染症関連再入院の確率を予測するために、各患者について勾配ブースティング決定木(GBDT)モデルを構築した。GBDTモデルでは、J-CHSスコアの高さと推算糸球体濾過量(eGFR)の低下が、感染症関連再入院の増加を予測する最も重要な因子であり、それぞれ「スコア≧3」、「eGFR<35mL/min/1.73m2」の場合にリスクの増加が観察された。また、決定木分析より、感染症関連再入院のリスクは高(J-CHSスコア≧3)、中(J-CHSスコア<3、eGFR≦35.0)、低(J-CHSスコア<3、eGFR>35.0)に分類された。
本研究について著者らは、「本解析より、高齢のHF患者に発生する感染症関連の再入院は、フレイルの程度とeGFR値に関連することが示された。これらの知見は、医療提供者が高齢のHF患者の再入院リスクを適切に管理し、患者の転帰を改善するための貴重なインサイトを提供するものである」と述べた。
本研究の限界点については、観察研究でありワクチン接種などの交絡変数が考慮されていないこと、Kochi YOSACOI Studyには平均年齢81歳という高齢の患者集団が含まれており、HF患者全体に一般化することができないことなどを挙げた。
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HealthDay News 2025年4月21日
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若年層の大腸がん、その臨床的特徴が調査で明らかに
大腸がんは日本人で最も患者数が多いがんであり、一般的に50歳代から年齢が上がるにつれて罹患率も上昇することが知られている。一方で、若年層における大腸がんに関する報告は少ない。しかし、今回50歳未満の大腸がんに関する臨床病理学的所見を調査した研究結果が報告された。大腸がんの好発部位や、スクリーニングの有用性が明らかになったという。研究は札幌医科大学医学部腫瘍内科学講座/斗南病院消化器内科の岡川泰氏らによるもので、詳細は「BMC Gastroenterology」に3月11日掲載された。
近年、高所得国を中心として50歳未満で発症する若年発症型大腸がんが増加している。さらに、若年発症型大腸がんは進行期で診断されることが多く、世界的に重要な懸念事項であるが、日本から若年発症型大腸がんについて報告された研究はわずかであり、その臨床病理学的特徴は不明のままである。このような背景から、研究グループは、若年発症型大腸がんの臨床病理学的所見を調査するために単施設の後ろ向き研究を実施した。
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研究には、2015年1月~2021年12月までに北海道札幌市の斗南病院で大腸がんと診断された1,207人の患者が含まれた。この中から、家族性大腸腺腫、炎症性腸疾患、大腸がんの既往のある患者などを除外した、初発の大腸がん患者731人を最終的な解析対象とした。連続変数、カテゴリ変数の比較には、ピアソンのカイ二乗検定とMann-Whitney U検定が適宜適用された。
731人のうち46人(6.3%)が50歳未満(若年発症群)で診断され、685人(93.7%)が50歳以上(高齢発症群)で診断された。若年発症群と高齢発症群の年齢の中央値は、それぞれ45歳と72歳だった。性差、肥満率は両群に差はなかったが、高血圧、脂質異常症、糖尿病、大腸がん以外の悪性腫瘍の既往は高齢発症群で有意に高かった(P<0.01)。診断機会に関しては、大腸がんスクリーニングのための免疫便潜血検査(FIT)により、若年発症群の41.3%で大腸がんが検出され、高齢発症群(26.7%)よりも有意に高かった(P=0.032)。
大腸がんの発生部位別にみると、左側大腸がんの割合は両群に差はなかったが、若年発症群の直腸がんの割合は高齢発症群より有意に高かった(45.7% vs 26.4%、P<0.01)。
診断時の臨床病期(ステージ)に関しては、両群に差はなく、若年発症群と高齢発症群でそれぞれ45.7%と55.2%が非進行期で診断された。さらに両群ともに、非進行期で診断された大腸がん患者は、診断機会としてFITで陽性となる割合が高かった。進行期の患者では自覚症状などをきっかけとして診断される可能性が高かった。
研究結果について著者らは、「本研究では日本人の若年発症型大腸がんは直腸に発生する傾向があり、高齢発症型大腸がん患者と比較してFIT陽性がきっかけで診断されることが多いことが明らかになった。自覚症状などで診断につながる場合はすでに進行期であることが多いため、FITスクリーニングについて啓発し、大腸がんの早期発見に努めることが重要なのではないか」と述べている。
本研究の限界点について、単施設の後ろ向き研究であること、カルテに基づいているため患者背景が十分に解析されていないこと、追跡期間の中央値が43.6ヵ月と短かったことを挙げている。
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花粉症時のアイウォッシュ、その使用傾向が調査で明らかに
アイウォッシュ(洗眼)は花粉症シーズンの目のトラブル対策として有効な手段だが、洗眼剤の使用傾向は年齢、既往歴、生活習慣などの違いによって異なる、とする研究結果が報告された。若年層、精神疾患の既往、コンタクトレンズ(CL)利用者などが洗眼剤使用に関連する因子であったという。研究は順天堂大学医学部眼科学講座の猪俣武範氏らによるもので、詳細は「Scientific Reports」に3月10日掲載された。
洗眼剤の使用はアレルギー性結膜炎の初期症状の軽減に効果的であるとされるが、現在、花粉症患者における洗眼剤使用の疫学的特徴に関しては知識のギャップが存在している。このギャップを埋めることは、花粉症管理において包括的でエビデンスに基づいた洗眼剤のガイドラインを作成するために不可欠である。そのような背景から、研究グループは花粉症患者における洗眼剤使用者と非使用者を総合的にプロファイリングし、花粉症とセルフケアの習慣に関連するパターンと特徴を特定することを目的とした大規模疫学研究を実施した。
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花粉症患者の人口統計、既往歴、ライフスタイル、花粉症の症状などの疫学情報は、順天堂大学が花粉症研究のために開発したスマートフォンアプリケーション「アレルサーチ」より収集された。収集された1万7,597人のうち、研究に同意し、花粉症を有していた9,041人が最終的な解析対象に含まれた。
解析対象9,041人のうち、3,683人(40.7%)が洗眼剤を使用しており、年齢層は20歳未満(47.6%)の割合が最も多かった。洗眼剤使用群では非使用群に比べ、年齢が若く、体格指数(BMI)が高く、薬による高血圧の割合が低く、精神疾患の既往、ドライアイ(DE)診断、腎臓病の既往の割合が高いことが観察された。さらに、洗眼剤使用群ではCLの使用頻度が高く、花粉症シーズンでその使用を中止している割合は低かった。喫煙は洗眼剤使用群で非使用群より有意に高かった。また、ヨーグルトの摂取は、洗眼剤使用群で多かった。
次に単変量および多変量ロジスティック回帰分析を実施し、花粉症患者における洗眼剤使用の関連要因を検討した。その結果、年齢が若い、BMIが高い、精神疾患の既往歴あり、CL使用歴あり、現在のCL使用、1日当たりの睡眠時間が短い(6時間未満)、喫煙歴あり、ヨーグルトの頻繁な摂取、鼻症状スコアが低い、非鼻症状スコアが高い、DE症状がある(軽度~重度)などが、洗眼剤使用の独立した関連因子であることが明らかになった。
また、花粉症関連の眼症状を有する患者の洗眼剤非使用に関連する独立因子は、高齢であること、BMIの低さ、1日当たりの睡眠時間の短さ、DE症状がある(中等度~重度)であった。
本研究の結果について著者らは、「今回の解析結果から、高齢者や重度のDE患者が花粉症の眼症状に洗眼剤を使用していない可能性があることが浮き彫りにされた。これは、花粉症の予防と管理に対する市販の洗眼薬の有効性、副作用、安全性プロファイルについて、今後の花粉症対策や社会的な取り組みを考える上で重要な意味をもつかもしれない」と述べている。
本研究の限界点については、選択バイアスの影響を受け一般化が制限されている可能性があること、自記式調査を採用していることから、想起バイアスや過剰報告の可能性があること、横断研究であるため、洗眼とBMIやヨーグルト摂取などの要因との因果関係を評価できないことなどを挙げている。
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早期肺がん患者の術後の内臓脂肪量は手術方法に影響される
肺がん患者では、呼吸機能の低下だけでなく、体重、筋肉量、内臓脂肪量など、いわゆる体組成の減少により予後が悪化することが複数の研究で報告されている。この度、肺がん患者に対する肺葉切除術よりも切除範囲がより小さい区域切除術後で、体組成の一つである内臓脂肪が良好に維持されるという研究結果が報告された。神奈川県立がんセンター呼吸器外科の伊坂哲哉氏らの研究によるもので、詳細は「Journal of Cachexia, Sarcopenia and Muscle」に3月4日掲載された。
近年行われた2cm以下の末梢型早期肺がんに対する区域切除術と肺葉切除術を比較した大規模な臨床試験JCOG0802/ WJOG4607Lでは、区域切除術が肺葉切除術よりも全生存率(OS)を改善した。この試験では、肺がより温存された区域切除群において肺葉切除群よりも、肺がん以外の病気による死亡が少ない結果であったが、その機序については未だ解明されていない。肺がん患者の良好な予後のためには、内臓脂肪を含む体組成を維持することが重要と考えられるが、肺葉切除と区域切除後の体組成変化の違いについても未だ明らかになっていない。このような背景から、伊坂氏らは肺がん患者における肺葉切除と区域切除後の内臓脂肪の変化量を比較し、予後との関連を明らかにするために、単施設の後ろ向き研究を実施した。
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本研究には、2016年1月から2018年12月までに神奈川県立がんセンターで、肺葉切除または区域切除術を受けた、ステージ0~1の再発のない原発性肺がん患者346名(肺葉切除240名、区域切除106名)が含まれた。本研究の主要目的は肺葉切除と区域切除後のCTによる内臓脂肪面積(VFA)とウエスト周囲径(WC)の長期的(術後3年までの)変化とした。
解析対象のフォローアップ期間の中央値は5.2年(範囲5.0~5.9年)だった。最大腫瘍のサイズが2cm以上だった症例の割合と、病理学的ステージは肺葉切除術群で高かった。
術後6カ月時点のVFAとWCは、肺葉切除群でそれぞれ16.4%と1.0%減少した一方、区域切除群ではそれぞれ0.1%と0.2%増加していた(t検定 各P<0.001、P=0.029)。続いて、二元配置分散分析を実施し、両群におけるVFAとWCのベースラインからの変化量を比較したところ、術後3年まで肺葉切除群のVFAとWCは区域切除群より有意に減少していた(各P<0.001、P=0.038)。年齢、性別、腫瘍サイズ、ステージなどを調整した1対1の傾向スコアマッチングを行って比較した場合も、VFAとWCは有意に肺葉切除群で減少した(各P=0.009、P=0.020)。
術後3年時点のVFAおよびWCの変化量に対するカットオフ値は、Coxの比例ハザードモデルに基づき、それぞれ-13%と-5%と決定された。術後3年時点でのVFAの変化量が-13%以上の患者は、-13%未満の患者と比較して有意にOSが良好だった(5年OS率 97.7% vs 93.4%、ログランク検定 P=0.017)。WCの変化量についても、同様に変化量が-5%以上の患者で有意に良好なOSを示した(P=0.011)。
OSに関する多変量解析では、術後3年時点でのVFA変化量が-13%未満であることが有意な予後不良因子であった(P=0.013)。また、VFAの変化量が-13%未満、WCの変化量が-5%未満に関する多変量解析では、肺葉切除が独立したリスク因子となった(各P<0.001、P=0.004)。
本研究について著者らは、「本研究から、再発のない早期肺がん患者では、肺葉切除後に生じる長期的な内臓脂肪の減少が区域切除術後では起こらないことが示唆された。また、術後3年時点でのVFA変化が-13%未満であることが、早期肺がん患者の予後不良因子であることが示されたことからも、術後の内臓脂肪減少予防の重要性が明らかになったのではないか」と述べた。
本研究の限界点については、サンプルサイズの小さい単施設の後ろ向き研究であったこと、術後3年時点でCTデータが欠落していた患者が除外されていたことなどを挙げている。
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肺がんは初期の自覚症状が少ないからこそ、セルフチェックで早めにリスクを確かめておくことが大切です。セルフチェックリストを使って、肺がんにかかりやすい環境や生活習慣のチェック、症状のチェックをしていきましょう。
肺がんのリスクを症状と生活習慣からセルフチェック!参考情報:リンク先
HealthDay News 2025年4月14日
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全身性エリテマトーデスとは、本来身体を守るはずの免疫細胞が異常となってしまい、自分自身を攻撃してしまう自己免疫性疾患です。
「SLE」と略して呼ばれ、オオカミに噛まれた痕のような紅斑が出ることから「ループス」(ラテン語でオオカミを意味します。)とも名付けられています。20~40代の女性に多く発症する病気です。

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