全身性エリテマトーデスについて

「全身性エリテマトーデス」は、2016年にアメリカでも芸能人のセレーナゴメスさんが治療のために活動を休止したことや、2014年にドラマで石原さとみさんが発症してしまう役を演じたことから、病名を知っている人も少なくないでしょう。
免疫の異常によって発症するため、だれが発症してもおかしくありません。難病として指定されている全身性エリテマトーデスについて、基本的なことから知っていきましょう。
  1. 全身性エリテマトーデスとはどういうものか??
  2. 全身性エリテマトーデスの症状
  3. 全身性エリテマトーデスの治療法
  4. まとめ
全身性エリテマトーデスとはどういうものか?

全身性エリテマトーデスとは
本来身体を守るはずの免疫細胞が異常となってしまい、自分自身を攻撃してしまう自己免疫性疾患です。

「SLE」と略して呼ばれ、オオカミに噛まれた痕のような紅斑が出ることから「ループス」(ラテン語でオオカミを意味します。)とも名付けられています。20~40代の女性に多く発症する病気です。

原因は不明とされており紫外線を多く浴びたり、風邪などのウイルス感染、ホルモンバランスの崩れなどが誘因となっているとされています。

数年前までは、全身性エリテマトーデスを発症してからの寿命は5年と言われていましたが、ステロイドなどの使用によって生存率が上昇しています。

現在では、全身性エリテマトーデス発症後5年での生存率は95%を超え、普通に生活される方が増えています。

合併症を併発した場合死に至ることもあるので、注意が必要です。

全身性エリテマトーデスの検査と診断
全身性エリテマトーデスかもと疑いが出た場合は、下記の検査が行われます。様々な症状を表す疾患であることから、診断は慎重に行われており、現在日本では二種類の診断基準が使われています。

・血液検査
血液(抗核抗体、血算、赤沈)検査で、かかっている場合抗核抗体、抗ds-DNA抗体が要請になることが多いです。

・尿検査
蛋白尿や尿潜血が出ていないかを調べます。

その他に症状によって、生体検査・CT検査・MRI検査・髄液検査・脳波検査が行われます。

全身性エリテマトーデスの症状

初期症状は、発熱・だるさ・関節痛など風邪に似ています。なかなか改善しないことから発症が分かることが多いです。

・全身症状
38度を超える発熱が1週間以上続く・37.5度前後の微熱が2週間以上続くなどの発熱症状、全身の倦怠感や疲労感があります。また、食欲不振や体重減少なども出てきます。

・皮膚症状
蝶が羽を広げたような蝶型紅斑が出ることが有名です。また、顔や耳・首に丸い円盤のようなディスコイド疹が見られた理り、指が白く冷たくなるレイノー現象も起こります。

・関節症状
手・指・ヒザ・ヒジが腫れて痛む関節炎が起こります。また、日によって痛む場所が変化する移動型関節炎が見られることもあります。

・日光過敏症
紫外線に当たった後に赤い発疹・水ぶくれが出たり、発熱する場合があります。日光過敏症が全身性エリテマトーデスの始まりであることもあります。

・口内炎
痛みのない口内炎を発症します。鼻咽腔にもまれに発症することがあります。

・脱毛
円形脱毛のように部分的に毛が抜ける・全体の髪の量が減るなどの脱毛症状が出ます。また、髪が傷みやすく、途中から切れやすくなる人もいます。

・臓器障害
心臓・肺・消化器官・血液など全身のあらゆる臓器に障害を起こしますが、人によって症状や部位が異なります。また、臓器障害の出ない人もいます。

腎臓の場合、半数近くがかかってしまうループス腎炎と言われるネフローゼ症候群や急性進行性糸球体腎炎によるむくみや血尿などの症状があります。

心臓や肺では、漿膜炎が起こり、深呼吸すると胸が痛んだり、すぐに息切れしてしまうなどの症状が出ます。

他に、腹痛や吐き気が出た場合、腸間膜の血管炎や、ループス腹膜炎・ループス膀胱炎などの可能性もあります。

・中枢神経症状
中枢神経症状のCNSループスは重篤な症状とされています。うつ・失見当識・妄想という精神症状と、けいれん・脳血管障害などが見られます。

全身性エリテマトーデスの治療法

原因のわからない全身性エリテマトーデスですが、炎症を抑えて過剰な免疫を抑制することが夕刻な治療法になります。ステロイドの点滴薬・飲み薬が基本となり、炎症の状態が改善してきたら徐々に薬の量を減らしていきます。自己判断は絶対に禁物です。

ステロイドによって食欲が増進してしまうため糖尿病になりがちなため注意が必要です。さらに骨粗しょう症にもなりやすいので、合わせて薬が処方されることもあります。

日光を浴びることを極力避け、なるべくストレスをためないことも気を付けましょう。

全身性エリテマトーデスの予後は、症状が出なくなっている寛解期と再び症状が現れてしまう再燃を繰り返して慢性の経過をたどってしまいます。

しかし、閉経した女性の場合は再発する確率が少なくなっています。慢性化させず、再発させないためにもステロイド剤の服用と、医療機関への定期受診が大切です。

まとめ

全身性エリテマトーデスは何が原因で発症するかわからない難病のため、とても不安に思うかもしれません。

しかし、全身性エリテマトーデス発症したという国内外の芸能人の写真を見ると、実に多くの人がかかっていることが分かります。また、発症後も歌ったり踊ったりとされている方も多く、同じ全身性エリテマトーデスの人にとって希望が持てるでしょう。

以前とは違って生存率も高くなっており寛解期には、妊娠出産も可能ですので、きちんと投薬を受け、合併症を防ぐための定期診断を忘れず上手に付き合っていきましょう。

全身性エリテマトーデス(SLE)のセルフチェックに関する詳しい解説はこちら

全身性エリテマトーデスは膠原病の一種で難病指定されている病気です。
どういう症状があれば全身性エリテマトーデスが疑われるのでしょうか?今回は全身性エリテマトーデスの基本的な概要と、セルフチェックについてご紹介します。

全身性エリテマトーデス(SLE)とは?こんな症状に注意!セルフチェックについて

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  • パーキンソン病

    パーキンソン病で「痩せる理由」、体重減少の背景にあるエネルギー代謝の変化

     パーキンソン病(PD)は、手足の震えや動作の遅れなどの運動症状で知られる神経変性疾患だが、体重減少も重要な非運動症状の一つとされている。今回、PD患者では糖を使うエネルギー代謝が低下し、脂質やアミノ酸を利用する代謝へとシフトしている可能性が示され、体重減少が疾患特異的な代謝変化と関係していることが明らかになった。研究は、藤田医科大学医学部脳神経内科学教室の東篤宏氏、水谷泰彰氏らによるもので、詳細は11月30日付で「Journal of Neurology, Neurosurgery and Psychiatry(JNNP)」に掲載された。

     PDにおける体重減少は、疾患進行や予後と関連する重要な非運動症状であり、体脂肪量の低下が主であることは知られていた。しかし、その背景でエネルギー代謝がどのように変化しているのか、糖・脂質・アミノ酸の利用経路がどう再編されているのかは明らかでなかった。本研究では、PD患者の体組成と血漿中のエネルギー代謝に関連する物質を包括的に解析し、体重減少が単なる栄養不足ではなく、エネルギー利用のシフトを伴う代謝異常と関連する可能性を検討した。

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     本研究では、藤田医科大学病院脳神経内科においてPDと診断された91名の患者と、対照として年齢・性別をマッチさせた健常人47名が登録された。体組成は生体電気インピーダンス法を用いて評価した。血漿代謝物は、質量分析法により、解糖系およびクエン酸回路に関連する代謝物、脂質やアミノ酸代謝に由来する代謝物など、計17種類の代謝物を測定した。これらのデータを用いて、PDにおける体組成の変化と血漿代謝物との関連を解析した。PD患者と健常対照の体重、BMI、体脂肪量、血漿代謝物濃度などの比較には、Wilcoxon順位和検定を使用した。体組成成分と血漿代謝物濃度との関連については、Spearmanの順位相関係数により相関解析を行った。多重検定の影響を考慮し、血漿代謝物解析では偽発見率(FDR)補正も併用して統計学的有意性を評価した。

     PD患者では、健常対照と比べて体重(P=0.003)、BMI(P=0.001)、体脂肪量(P

  • 歯の健康

    1歳6ヵ月時点の母乳育児がむし歯発症と関連、口腔衛生指導の重要性を示す縦断研究

     乳幼児のう蝕(むし歯)は生活習慣や食事習慣など複数の要因が絡み、授乳との関係はこれまで議論が続いてきた。今回、日本の子ども約6,700人を1歳6ヵ月~3歳6ヵ月まで追跡した縦断研究で、1歳6ヵ月時点で母乳育児を続けていた子どもで、その後のむし歯発症との関連が示された。一方で、母乳育児を継続していても多くの子どもはむし歯を経験しておらず、母乳育児そのものではなく、食事習慣や口腔衛生習慣などのケアが重要である可能性が示唆された。研究は大阪大学大学院歯学研究科小児歯科学講座の三笠祐介氏、大継將寿氏、仲野和彦氏、同大学口腔生理学講座の加藤隆史氏らによるもので、11月27日付で「Scientific Reports」に掲載された。

     乳歯のむし歯は世界で5億人以上の子どもに影響する公衆衛生上の重要な健康課題であり、日本では全体として減少傾向にあるものの、依然として高リスク層への偏在がみられる。むし歯の原因は多因子的だが、母乳栄養とむし歯の関係については研究間で一致した結論が得られていない。1歳以降の授乳をむし歯リスクとする報告がある一方で、1歳6ヵ月までの授乳はむし歯リスクの低下と関連するとの報告や、砂糖摂取こそが主要因であるとする研究もあり、見解は分かれている。また、早期に歯が萌える(はえる)こともむし歯リスクに関与するとされるが、縦断的な検討は限られている。そこで本研究では、日本の中核都市の子どもを対象に、1歳6ヵ月〜3歳6ヵ月のむし歯発症と、1歳6ヵ月時点の授乳状況および萌えている歯の数との関連を縦断的に検討した。

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     本研究では、大阪府豊中市、豊中市歯科医師会と連携のもと、市の乳幼児健康診査の受診者を対象に調査を行った。2018年4月から2020年3月までの間に、豊中市の3つの保健センターで歯科健診を受けた3歳6ヵ月の子どもを対象とした。1歳6ヵ月時および3歳6ヵ月時に身体計測と歯科健診を行い、萌えている歯の本数やむし歯の有無(dmft指数)を評価した。1歳6ヵ月時には、口腔内細菌の状態を評価するむし歯リスク検査と、授乳状況や食事習慣、就寝時刻などに関する保護者向けアンケートを実施し、3歳6ヵ月時点でのむし歯発症との関連をロジスティック回帰分析で検討した。

     5,161名の子どものうち、3歳6ヵ月時点でむし歯を経験していた子どもは738人(14.3%)であった。内訳は、1歳6ヵ月時点ですでにむし歯を有していた子どもが50人(1.0%)、1歳6ヵ月~3歳6ヵ月の間に新たにむし歯を発症した子どもが688人(13.3%)であった。1歳6ヵ月時点ですでにむし歯を有していた50人を除外し、5,111人を対象として、1歳6ヵ月~3歳6ヵ月におけるむし歯発症に関する追加のリスク解析を行った。

     出生順位、歯の本数、むし歯リスクの検査結果、食事習慣、授乳・哺乳状況などの潜在的な交絡因子を調整した多変量解析の結果、3歳6ヵ月時点でのむし歯発症は、1歳6ヵ月時に萌えている歯が12本以下であること(オッズ比〔OR〕0.78、95%信頼区間〔CI〕0.63~0.97、P<0.05)と負の関連を示した。一方、17本以上であること(OR 2.06、95%CI 1.12~3.79、P<0.05)、母乳のみで授乳していたこと(OR 2.03、95%CI 1.68~2.46、P<0.001)、および母乳と哺乳瓶の併用(OR 2.45、95%CI 1.36~4.44、P<0.01)は、むし歯発症と有意な正の関連を示した。

     著者らは、「本研究は、1歳6ヵ月時点の歯の萌え方や授乳状況が、その後のむし歯発症と関連することを示した。得られた知見から、乳歯が萌え始める早期の段階から歯科受診や適切な口腔ケア、食事習慣に関する指導を行うことで、母乳育児の利点を活かしつつ、将来的なむし歯リスクを低減できる可能性が示唆される」と述べている。

     なお、本研究では、歯の本数のみを評価し歯種や萌える順番を評価していない点や、保護者向けアンケートにて夜間授乳や授乳頻度について評価していない点を限界として挙げている。

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  • 肝がん

    肝腫瘍の「深さ」が手術成績を左右する?ロボット手術が有利となる2.5cmの境界線

     肝臓の腫瘍手術では、腫瘍の大きさや位置が成績を左右することが知られている。なかでも「どれだけ深い場所にあるか」は、手術の難易度に直結する重要な要素だ。今回の研究では、肝腫瘍までの深さに着目し腹腔鏡手術とロボット手術を比較した結果、深さ2.5cmを超える肝部分切除ではロボット手術が有利となる可能性が示された。研究は岡山大学大学院医歯薬学総合研究科消化器外科学の藤智和氏、高木弘誠氏、藤原俊義氏らによるもので、詳細は11月27日付で「Langenbeck’s Archives of Surgery」に掲載された。

     ロボット支援下肝切除術(RLR)は普及が進んでいるが、高額なコストや限られた手術枠での運用のために、従来から行われてきた腹腔鏡下肝切除術(LLR)との使い分けの議論が続いている。肝部分切除は比較的難易度が低いとされているが、切除する腫瘍の深さによって手術難度が異なることを経験する。そこで著者らは、肝部分切除において腫瘍の深さが手術難度に関与すると仮定し、肝切離深度(LTD)に着目して、肝部分切除におけるRLRとLLRの手術成績を比較検討した。

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     本研究は、岡山大学における低侵襲手術トレーニングプログラム(TAKUMI-5)の一環として実施された。解析対象には、2018年1月~2024年12月までに岡山大学病院肝胆膵外科でRLRまたはLLRを受けた患者249名を含めた。LTDが手術成績に及ぼす影響を評価するため、組み入れ基準は単発病変に対する肝部分切除として、RLRまたはLLRを施行した患者とした。前向きに収集したデータベースを用い、患者背景、腫瘍因子、手術因子、術後転帰を解析した。LTDは画像解析ソフトで肝切離面シミュレーションを行い、肝表面から離断最深部までの深さとして計測した。まずRLRとLLRの成績を比較し、次いでLTDと手術時間などの周術期指標との関連を検討した。さらに多変量解析により手術困難の規定因子を同定し、LTDのカットオフ値別に両術式の成績を比較した。

     本研究ではRLR 56名、LLR 49名が解析対象となった。RLR群では、手術時間が有意に短く(139分 vs 195分、P<0.001)、出血量も少なく(0mL vs 50mL、P=0.002)、開腹移行率も低い(0% vs 8.2%、P=0.03)など、手術成績が良好であった。術後転帰は両群間に有意差は認められなかった。

     RLR群とLLR群でLTDの中央値に差は認められなかった(RLR 2.6cm、LLR 2.6cm、P=0.77)。LTDは両術式において手術時間と有意に相関しており(RLR:R²=0.07、P=0.042;LLR:R²=0.08、P=0.046)、切離深度が深いほど手術時間が延長する傾向が示された。

     次に手術困難(手術時間中央値170分を超える)に関連する予測因子を検討した。多変量解析の結果、LTD(オッズ比〔OR〕 2.0/1cm、P=0.004)およびLLR(OR 6.9、P<0.001)が、手術時間の延長と独立して関連する有意な因子として同定された。

     また、LTDを用いたROC解析により、手術時間延長を予測するカットオフ値は2.5cmと算出された(AUC=0.63)。LTDが2.5cm以下の症例ではRLRはLLRに比べて手術時間が短い(137分 vs 176分、P=0.02)以外の差は認めなかったが、2.5cmを超える症例では、RLRはLLRに比べて手術時間の短縮がより顕著で(145分 vs 231分、P<0.001)、出血量も少なく(0mL vs 100mL、P=0.006)、術後の成績を総合的に評価する指標であるtextbook outcome達成率も高かった(77% vs 42%、P=0.01)。

     著者らは、「本研究は、肝腫瘍の深さ(肝切離深度)という指標を用いて、肝部分切除における術式選択の目安を示した。とくに深さ2.5cmを超える症例では、ロボット手術が手術時間や出血量、術後成績において優れており、患者さんにとって有益となる可能性が示された。術前画像に基づく合理的な術式選択につながる知見といえる」と述べている。

     なお、本研究の限界として、症例数が限られていることや単一施設での後ろ向き研究であること、長期転帰を評価していないことなどを挙げている。

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  • 糖尿病性腎症

    “血小板の大きさ”が知らせる腎臓の危険信号、糖尿病患者の追跡調査で判明

     病院で行う通常の血液検査では、白血球数や赤血球数、血小板数などとともに「平均血小板容積(MPV)」という指標も測定されることが多い。今回、日本の2型糖尿病患者を対象とした追跡研究で、このMPVが腎機能悪化のリスク把握に役立つ可能性が示された。MPVが高い人ほど腎臓の状態が悪化しやすい傾向が確認されたもので、身近な指標から早期のリスク評価につながる可能性が注目される。研究は、福島県立医科大学腎臓高血圧内科の渡辺秀平氏、田中健一氏、風間順一郎氏らによるもので、詳細は11月27日付で「Journal of Diabetes Investigation」に掲載された。

     糖尿病は世界的に多くみられる疾患で、糖尿病性腎症をはじめとする合併症により予後が悪化する。2023年には、新規慢性透析導入患者の38.3%が糖尿病性腎症によるもので、糖尿病患者の腎機能悪化が透析につながる深刻な問題であることが示された。MPVは血小板の大きさを示す指標で、心血管疾患や糖尿病性微小血管合併症との関連が報告されているが、腎機能悪化との関係は十分に検討されていない。こうした背景を踏まえ、本研究では、福島コホート研究のデータを用い、MPVと腎イベント(腎機能低下や透析導入)の関連を後ろ向きに解析し、リスク予測への活用可能性を評価した。

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     本研究では、福島県立医科大学病院で実施された福島コホート研究より、2012年6月~2014年7月に登録された2型糖尿病患者1,076人を対象とした。患者はベースライン時のMPV値に基づき、Q1~Q4の四分位群に分類した。主要評価項目は腎イベントとし、推定糸球体濾過量(eGFR)がベースラインから50%以上低下するか、腎代替療法が必要となる末期腎不全への進行と定義した。副次評価項目は新規心血管イベントの発症とした。

     連続変数の群間比較にはKruskal–Wallis検定を、割合の差はカイ二乗検定で評価した。MPV四分位ごとのイベント無再発生存率はKaplan–Meier法とlog-rank検定で比較した。MPVと腎イベントまたは心血管イベントとの関連は、潜在的交絡因子を調整したCox比例ハザード回帰モデルを用いて検討した。

     コホートの平均年齢は66.0歳で男性は56.7%含まれた。中央値5.3年の追跡期間中、参加者1,076人のうち97人が腎イベントを発症した。Kaplan–Meier曲線では、MPVの四分位群間で無イベント生存率に有意な差が認められた(P=0.018)。

     腎イベントの発生率は四分位群間でQ2が最も低かったため、Q2群を基準群とした。Q2群を基準とした場合、Q4群の参加者は単変量Coxモデルで有意に腎イベントリスクが高く、年齢・性別、既往歴、検査値、降圧薬使用などの交絡因子を調整した多変量解析でも有意性は維持された(調整HR 2.05、95%CI 1.13~3.72)。また、MPVを連続変数として解析すると、1 fL増加ごとに腎イベントリスクは32%上昇した(95%CI 1.04~1.68)。

     心血管イベントは追跡期間中に124人で発症した。腎イベントと同様、心血管イベントの発生率もQ2群で最も低かった。Q2群を基準とした多変量解析では、MPVの上昇が心血管イベントリスクの上昇と有意に関連していた(調整HR 1.66、95%CI 1.01~2.72)。MPVが1 fL増加するごとに心血管イベントリスクは27%上昇した(95%CI 1.04~1.55)。

     著者らは、「日本人の2型糖尿病患者において、MPVの上昇は腎イベントおよび心血管イベントの両方と独立して関連していた。MPVは、このリスクの高い集団における腎疾患進行を予測するための、簡便で有用なバイオマーカーとして役立つ可能性がある」と述べている。

     なお、MPVと腎イベント発症リスクについて「J字型」の相関が示されたことについては、低MPVが造血能低下や骨髄機能障害を示している可能性を指摘し、「MPVが高い場合と低い場合では、それぞれ異なるメカニズムを介して腎疾患の進行に寄与する可能性があるのでは」と述べている。

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    糖尿病の3大合併症として知られる、『糖尿病性腎症』。この病気は現在、透析治療を受けている患者さんの原因疾患・第一位でもあり、治療せずに悪化すると腎不全などのリスクも。この記事では糖尿病性腎病を早期発見・早期治療するための手段として、簡易的なセルフチェックや体の症状について紹介していきます。
    糖尿病性腎症リスクを体の症状からセルフチェック!

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  • 歯の健康

    歯の本数と死因別死亡の関連を検証、入れ歯使用でリスクが減弱か——4.4万人の7年追跡研究

     高齢者で歯を失うことは死亡リスクの上昇と関連することが知られてきたが、入れ歯やブリッジなどの補綴物がその影響をどこまで緩和するのかは明確ではなかった。今回、国内4.4万人を7年間追跡した研究で、残存歯が少ないほど複数の死因で死亡率が高まり、補綴物の使用でそのリスクが弱まる可能性が示された。研究は、東北大学大学院歯学研究科地域共生社会歯学講座国際歯科保健学分野のFaiz Abdurrahman氏、草間太郎氏、竹内研時氏らによるもので、詳細は11月19日付で「Scientific Reports」に掲載された。

     う蝕(虫歯)や歯周病は世界で最も一般的な疾患の一つで、進行すると不可逆的な歯の喪失を招く。高齢期の歯の喪失は慢性疾患や死亡リスクの上昇と関連し、咀嚼低下による栄養障害、慢性炎症、フレイルの進行など複数の経路が指摘されている。しかし、こうしたリスクが死因ごとにどのように表れるか、また入れ歯やブリッジといった補綴物の使用がそれらをどの程度緩和しうるかは十分に明らかになっていない。本研究は、日本の地域在住高齢者を対象とする大規模コホートデータを用い、残存歯数と補綴物の使用状況が、多様な死因別死亡とどのように関連するかを、追跡データを基に検証した。

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     本研究では、日本老年学的評価研究(JAGES)の7年間の追跡調査データを解析した。アウトカムは全死亡率と死因別死亡率とし、がん、心血管、呼吸器などICD-10コードに基づく広い死因を対象とした。説明変数は、2010年JAGESベースライン質問票で収集した残存歯数と補綴物の使用有無から分類した。死亡リスクは、性別、年齢、所得、教育、併存疾患、生活習慣などを調整したCox回帰により、ハザード比〔HR〕および95%信頼区間〔CI〕を推定した。

     解析には4万3,774人の参加者が含まれた(平均年齢73.7歳、女性53.2%)。中央値2,485日の追跡期間中に5,707人(13.0%)の死亡が確認された。全死亡率は1,000人年あたり20.7人だった。

     残存歯が0~9本または10~19本の参加者は、20本以上の参加者に比べて全死因および死因別の死亡率が高かった。とくに、これらの群のうち補綴物を使用していない参加者では、補綴を使用している参加者よりも全死因死亡率が高かった。死因別では、消化器疾患と精神・行動障害を除き、補綴のない0~9本の群で最も高い死亡率を示した。

     次に残存歯数と補綴物の使用有無を組み合わせた変数を説明変数としたCox回帰分析を行ったところ、補綴物を使用していない残存歯0~9本(HR 1.42、95%CI 1.30~1.56)および10~19本(HR 1.23、95%CI 1.10~1.37)の参加者は、20本以上の参加者よりも全死因死亡リスクが高かった。死因別では、補綴物を使用していない残存歯0~9本の参加者は、20本以上の参加者と比べて、がん(HR 1.31)、心血管疾患(HR 1.35)、呼吸器疾患(HR 1.72)、および外因死(HR 1.91)の死亡リスクが高かった(P<0.05)。同様に、補綴物を使用していない10~19本の参加者も、20本以上に比べて、がん(HR 1.19)および呼吸器疾患(HR 1.47)による死亡リスクが高かった(P<0.05)。

     残存歯数ごとの層別化によるサブグループ解析では、残存歯が少ない群(とくに0~9本)で、補綴物を使用している参加者は使用していない参加者よりも、複数の死因でHRが1未満となり、死亡リスクが低くなる傾向がみられた。ただし、これらの差はいずれも統計学的に有意ではなかった。

     著者らは、「歯の喪失は複数の特定死因による死亡リスクの上昇と関連していたが、歯科補綴物の使用によってそのリスクは軽減される可能性がある。生涯にわたる歯の喪失を抑え、補綴治療への公平なアクセスを確保することが、高齢化社会における健康アウトカムの改善に寄与すると考えられる」と述べている。

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    HealthDay News 2026年1月5日
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  • 高血圧

    降圧治療後の血圧管理に地域差、医療専門職の偏在が背景か

     高血圧は脳心血管疾患の最大のリスク因子であり、治療によりそのリスクを低減できる。しかし、今回、全国の健診データを解析した結果、高血圧の降圧治療を受けた患者でも血圧管理の達成割合には都道府県間で地域差があることが分かった。その背景には、医師や薬剤師といった医療専門職の地域偏在が影響している可能性が示唆されたという。研究は東北医科薬科大学医学部衛生学・公衆衛生学教室の岩部悠太郎氏、佐藤倫広氏、目時弘仁氏らによるもので、詳細は11月18日付で「Hypertension Research」に掲載された。

     日本国内の高血圧人口は、潜在患者を含め約4300万人と推定される。降圧治療で血圧管理は可能だが、依然として目標値に達していない患者が多い。この治療ギャップは医師が目標超過でも治療を強化しない「臨床イナーシャ(clinical inertia)」が一因とされる。治療開始前の血圧や地域ごとの医療資源の偏在も血圧の管理達成割合に影響する可能性がある。「高血圧管理・治療ガイドライン2025」では全年齢で推奨する降圧目標を130/80mmHg未満としており、実態把握の重要性が高まっている。しかしながら、降圧治療後の血圧管理に地域差がどれほどあるのか、また医療資源との関連は十分に調べられていなかった。そこで本研究では、全国健康保険協会(協会けんぽ)の健診データを用い、治療前後の血圧変化と地域差を詳細に検討した。

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     本研究では、協会けんぽデータベースを用い、2015年4月1日~2023年3月31日までに収集された健診データを用いた。対象は、継続的な健康診断に基づき降圧治療を開始した40~74歳までの131万8,437人とした。治療後の血圧管理達成割合(収縮期/拡張期血圧が130/80mmHg未満と定義)については、都道府県ごとの差を評価した。さらに、都道府県単位の生態学的分析により、調整後の血圧管理達成率と脳血管疾患の死亡率、そして医師偏在指標(人口10万人あたりの医師数)を含む6つの医療資源指標との関連を検討した。

     治療開始前の患者の平均年齢は55.2歳で、71.1%が男性だった。血圧管理の達成率は全国平均でわずか26.7%にとどまった。この達成率は都道府県間で最大10.2%の差があった。患者の性別、年齢、BMI、健康診断の検査値、高血圧治療ガイドライン2019改訂前後、治療前健診時収縮期血圧値などで調整したが、依然として最大7.4%の血圧管理達成割合の地域差が認められた。

     次に、患者特性で調整した都道府県ごとの血圧管理達成割合を指標として、生態学的分析を行った。その結果、男女ともに血圧管理達成割合が高い都道府県ほど、年齢調整後の脳血管死亡率が低い傾向にあった。血圧管理達成割合が1%増加するごとに、年齢調整死亡率は男女ともに人口10万人当たり3.5人減少することが示唆された。

     さらに、医療資源との関連を重回帰分析で検討した。説明変数には、医師偏在指標、外来での24時間自由行動下血圧測定の算定回数、1日平均外来患者数、各都道府県の保険料率、特定健診受診率、病院病床数などを用いた。その結果、血圧管理達成割合と有意に関連していたのは医師偏在指標のみだった(P=0.0015)。医師偏在指標を病院薬剤師偏在指標に置き換えても、同様の結果が得られた(P=0.0023)。

     著者らは、「本研究で観察された血圧管理の地域差は、医師や病院薬剤師などの医療従事者の地域偏在と関連する可能性が示された。高血圧を専門とする医師による管理が目標達成に結び付くことが報告されている一方で、診療の大半を担う一般医のもとでいかに血圧コントロールを改善できるかが重要である」と述べている。

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  • 心筋症

    拡張型心筋症患者に対する早期心リハの有用性、傾向スコアマッチングを用いた全国規模解析

     拡張型心筋症(dilated cardiomyopathy:DCM)は、心臓の筋肉が弱まり、心臓が拡張して十分に血液を送り出せなくなる病気で、心不全の主要な原因の一つとされる。このDCM患者に対し、入院早期から心臓リハビリテーション(心リハ)を開始すると、90日死亡率が有意に低下することが、日本の全国入院データベースを用いた研究で明らかになった。解析では、早期に心リハを始めた患者群では早期から心リハを受けなかった群と比べて90日以内の死亡リスクが低く、退院時の日常生活動作(ADL)もやや高値であったという。研究は大阪大学/奈良県立医科大学の安福祐一氏らによるもので、詳細は10月24日付で「Scientific Reports」に掲載された。

     DCMは、心筋の収縮低下と左室拡張を特徴とし、一部の患者は慢性心不全や急性増悪を繰り返す進行性心筋疾患である。心リハは、機能回復や再入院予防を目的として行われる運動療法や生活指導などを含んだ包括的な治療プログラムであり、急性心不全患者への早期導入も行われている。しかし、DCM患者に対する早期心リハの有効性を検証した報告は限られており、十分なエビデンスは得られていない。本研究では、日本の全国入院データベースを用い、症候性心不全を呈するDCM患者における早期心リハ開始と90日以内の死亡率との関連について検討した。

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     本研究では、2010年7月1日から2020年3月31日までのDPCデータベースから、DCMおよび心不全(NYHA心機能分類Ⅱ~Ⅳ度)と診断された患者を解析対象とした。患者は入院後3日以内に心リハを開始したかどうかに基づき、早期心リハ群と遅延または非心リハ群に分類した。主要評価項目は入院後90日以内の死亡率とし、副次評価項目は退院時のADLスコアと在院日数とした。欠測値は多重代入法を用いて統計的に補完し、患者背景や2015年度病床機能報告から取得した入院施設の医療機能の違い等を調整するため1対1の傾向スコアマッチングを行った。

     本研究では、早期心リハ群3,130名および遅延または非心リハ群2万7,166名の計3万296名を適格患者と判定した。遅延または非心リハ群のうち7,340名(27%)が入院後3日目以降に心リハを受けていた。1対1の傾向スコアマッチングを行った結果、最終的に各群3,129名(計6,258名)が解析対象となった。

     多重代入および傾向スコアマッチングの結果、入院後90日以内の死亡率は遅延または非心リハ群に比べて早期心リハ群で有意に低かった(オッズ比:0.70、95%信頼区間〔CI〕:0.53~0.93、P値=0.01)。また、早期心リハ群では退院時ADLスコアも若干高かった(平均差〔Average Treatment Effect on the Treated;ATT〕:0.43、95%CI:0.08~0.78、P値=0.02)が、在院日数には有意な差は認められなかった(ATT:−2.1日、95%CI:−4.7~0.5日、P値=0.11)。

     著者らは、「今回の研究の意義は、これまで世界的にもエビデンスが乏しかったDCM患者に対する早期心リハの短期予後(90日以内の死亡率)に対する効果を明らかにした点にある。今後は、本研究で得られた結果の背景にある生理学的メカニズムや、特に有効であった心リハの具体的なプログラム、個々の患者属性の違いにより生じる心リハの効果の異質性等を解明し、より個別化された効果的な心リハプログラムを開発する必要がある」と述べた。

     なお本研究の限界点として、DPCデータベースに含まれる指標の制約により、心エコーや生理学的検査等の交絡因子の調整が制限されたこと、心リハの具体的なプログラムの差異による影響の違いについて検討していないこと、詳細な身体・精神機能や入院中の有害事象に対する早期心リハの影響について検討していないこと等が挙げられる。

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    心不全のセルフチェックに関連する基本情報。最善は医師による診断・診察を受けることが何より大切ですが、不整脈、狭心症、初期症状の簡単なチェックリスト・シートによる方法を解説しています。
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    HealthDay News 2025年12月22日
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  • 糖尿病

    新しい糖尿病治療薬、高コストも合併症リスクは従来薬と変わらず

     2型糖尿病の治療では、血糖コントロールと合併症予防のために経口薬が用いられる。比較的新しく登場したSGLT2阻害薬は近年広く使われるようになったが、最新の日本の大規模データを用いた研究で、初期治療においてSGLT2阻害薬は従来のビグアナイド系薬剤(メトホルミン塩酸塩やブホルミン塩酸塩)と比べて、心血管イベントや糖尿病合併症の抑制効果に明確な差がないことが示された。一方で、薬剤費は約50%高く、臨床現場での薬剤選択や医療費の観点から重要な知見となる。研究は、名古屋市立大学大学院医学研究科の中谷英仁氏、静岡社会健康医学大学院大学の菅原照氏らによるもので、詳細は11月6日付で「PLOS One」に掲載された。

     世界では2型糖尿病が急増しており、合併症である心血管・脳血管イベントが死亡と医療費の大部分を占める。このため、初期治療でどの薬を選ぶかは臨床的にも経済的にも重要となる。従来は安価で安全性が高いメトホルミンが第一選択とされてきたが、近年はSGLT2阻害薬が心血管死や心不全、腎機能悪化を減らすことが示され、早期使用が推奨されつつある。ただ、実臨床研究では両者の効果差は一貫せず、日本からのデータは特に乏しい。過去の国内研究では高価な薬剤を初期に用いても合併症は減らず医療費のみ増える可能性が示唆されたが、ビグアナイド系薬剤とSGLT2阻害薬の直接比較は行われていない。そこで本研究は、日本人2型糖尿病患者を対象に、主要心血管イベントを含む長期アウトカムと薬剤の費用差を後ろ向きに検証した。

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     本研究では、登録者数250万人以上を有する静岡国保データベース(SKDB)の2023年度版データ(2012年4月1日~2021年9月30日)を用いて解析を行った。解析対象は、ビグアナイド系薬剤またはSGLT2阻害薬のいずれかを初期治療として開始した患者とした。開始後12か月間はもう一方の薬を使用せず、他の血糖降下薬の併用は許容した。追跡は治療開始時点から開始し、12か月以内に比較薬を使用した患者は除外された。人口統計、臨床、検査、生活習慣の変数に基づき1対1の傾向スコアマッチングを行った後、Cause-specific Coxモデルを用いてハザード比(HR)を推定した。また、1日あたりの薬剤費も比較した。主要アウトカムは、開始日から脳血管イベント、心血管イベント、または全死亡を含む複合エンドポイントの初発までの期間とした。副次アウトカムは、開始日から糖尿病関連合併症(糖尿病性腎症、腎不全、糖尿病性網膜症、糖尿病性末梢神経障害)の初発までの期間と設定した。

     傾向スコアマッチング後のコホートは、ビグアナイド単剤群623名とSGLT2阻害薬群623名で構成され、追跡期間の中央値は2.9年(最長7.2年)であった。追跡期間中に主要アウトカムのイベントを起こしたのは、ビグアナイド単剤群44名(7.1%)、SGLT2阻害薬群35名(5.6%)であり、治療群間で統計的な有意差は認められなかった(log-rank検定、P=0.314)。さらに、Cox比例ハザードモデルによる解析では、ビグアナイド単剤群とSGLT2阻害薬群のHRは0.80(95%信頼区間〔CI〕 0.51~1.24)であり、リスクはほぼ同等であることが示された。

     糖尿病合併症は、ビグアナイド単剤群で86名(13.8%)、SGLT2阻害薬群で78名(12.5%)に発症し、こちらも治療群間で有意な差は認められなかった(Gray検定、P=0.343)。HRは0.88(95%CI 0.70~1.13)であり、ほぼ同等のリスクを示した。

     1日あたりの薬剤費の中央値を比較したところ、ビグアナイド治療は124.7円、SGLT2阻害薬治療では184.0円であり、ウィルコクソン順位和検定の結果、この差は統計的に有意であることが示された(P<0.001)。

     著者らは、「今回得られた知見は、SGLT2阻害薬を初回の血糖降下薬としてルーチンに使用することの臨床的および経済的意義に疑問を投げかける。今回の費用差は個々の患者レベルでは小さく見えるかもしれないが、長期にわたり多くの患者が服用する場合には、総医療費として財政に大きな影響を及ぼす可能性がある」と述べている。

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    糖尿病でいちばん恐ろしいのが、全身に現れる様々な合併症。深刻化を食い止め、合併症を発症しないためには、早期発見・早期治療がカギとなります。今回は糖尿病が疑われる症状から、その危険性を簡単にセルフチェックする方法をご紹介します。
    糖尿病のセルフチェックに関連する基本情報

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  • 高血圧

    健康診断の新視点、筋肉量指標で高血圧リスクを見える化

     従来のBMIでは筋肉量と脂肪量の違いを反映できないという問題がある。今回、男性の除脂肪体重指数(LBMI)を用い、低LBMIが高血圧リスクの増加と関連するという研究結果が報告された。BMIだけでは捉えられないリスク評価の重要性を提示している。研究は、慶應義塾大学医学部内科学教室の畔上達彦氏、東京大学医学部附属病院循環器内科先進循環器病学講座の金子英弘氏らによるもので、詳細は11月10日付で「Hypertension Research」に掲載された。

     高血圧は心血管疾患や慢性腎臓病の主要リスク因子であり、世界的に重要な公衆衛生課題となっている。肥満は高血圧リスクの主要因子とされるが、BMIでは脂肪量と除脂肪体重(筋肉量)を区別できず、正確なリスク評価には限界がある。除脂肪体重を正確に測定するには高コストの画像検査が必要だが、近年、身長・体重・ウエストなどから推定できる簡易LBMIが開発され、日常の健康診断データでも評価が可能になった。しかし、この簡易LBMIを用いた高血圧リスク評価はこれまで行われていない。本研究では、健康診断や医療請求データを用いて、男性のLBMIと高血圧発症リスクの関連を後ろ向きに解析した。

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     本研究では、国民の行政保険請求データおよび年次健康診断記録を含むDeSCヘルスケア株式会社のデータベース(2014年4月~2022年11月)を用い、健康診断データが利用可能な男性98万5,521人を対象とした。主要評価項目である高血圧の発症は、診療報酬請求データに基づきICD-10コード(I10–I15)で同定した。リスク評価にはCox回帰モデルおよびスプラインモデルを用い、年齢や既往歴などの交絡因子で調整した。さらに、結果の頑健性を確認するため、層別解析および感度解析も実施した。

     最終的な解析対象は、38万4,551人(年齢中央値51歳)であり、中央値1,393日の追跡期間中に4万312人(10.5%)が高血圧イベントを経験した。

     まず、参加者のLBMIを四分位(Q1~Q4)に分類し、各群間で比較を行った。年齢、収縮期血圧および拡張期血圧、BMI、糖尿病、脂質異常症、喫煙、飲酒、身体活動を交絡因子として調整した多変量Cox回帰を用いて、LBMIと高血圧発症リスクの関連を評価した。その結果、LBMIが低い四分位に属するほど高血圧発症リスクが高く(ハザード比〔95%信頼区間〕:Q1, 1.20〔1.15~1.26〕;Q2, 1.06〔1.02~1.10〕;Q3, 1.03〔0.99~1.06〕;Q4, 1〔基準値〕)、制限付き三次スプライン回帰モデルでも、LBMIの低下に伴い高血圧リスクが上昇する傾向が確認された。

     次に、年齢別(65歳未満または65歳以上)および非肥満者で層別化したサブグループ解析を行った。いずれの層別群においても、多変量Cox回帰の結果、LBMIが低いほど高血圧発症リスクが上昇する傾向が確認された。

     さらに、主要解析結果の頑健性を確認する感度解析として、連鎖方程式による多重代入法で欠測値を補完し、50万5,696人を対象に解析を行った。この解析においても、LBMIが低い四分位(Q1)は高血圧発症の有意なリスク因子であった(同1.19〔1.14~1.24〕)。加えて、死亡を競合事象とした競合リスク解析においても、LBMIが低い四分位(Q1)で高血圧発症リスクの上昇が認められた(同1.23〔1.15~1.32〕)。

     これらの層別解析および感度解析により、LBMIと高血圧発症リスクとの関連は解析手法や欠測値の扱いにかかわらず一貫して確認された。

     本研究について著者らは、「男性においてLBMIが低いことは高血圧リスクの上昇と関連しており、除脂肪体重を指標とした管理の重要性が示唆された。今後は、その増加や維持がリスク低減につながるかどうかの検討が必要である」と述べている。

    肥満症のセルフチェックに関する詳しい解説はこちら

    肥満という言葉を耳にして、あなたはどんなイメージを抱くでしょうか?
    今回は肥満が原因となる疾患『肥満症』の危険度をセルフチェックする方法と一般的な肥満との違いについて解説していきます。

    肥満症の危険度をセルフチェック!一般的な肥満との違いは?

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    HealthDay News 2025年12月15日
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  • 慢性肝疾患

    男性患者のED・LUTSに潜む肝線維化、FIB-4 indexによる包括的アセスメントの重要性

     男性のEDや下部尿路症状(LUTS)は、前立腺やホルモンの問題として扱われることが多い。しかし、新たな研究で、肝臓の状態もこれらの症状に関係している可能性が示された。男性更年期障害(LOH)のある男性2,369人を対象に、肝線維化指標(FIB-4 index)を用いた解析を行ったところ、FIB-4 indexの上昇とEDおよびLUTSの悪化が有意に関連することが明らかになった。研究は順天堂大学医学部附属浦安病院泌尿器科の上阪裕香氏、辻?村晃氏らによるもので、詳細は10月31日付で「Investigative and Clinical Urology」に掲載された。

     中高年男性におけるLOHや性機能障害は、代謝異常や動脈硬化と関連することが報告されている。一方、近年の食生活の乱れや飲酒により、男性の肝機能障害が増加しており、早期発見の重要性が高まっている。肝線維化を評価する非侵襲的指標としてFIB-4 indexが注目され、性機能やLUTSとの関連も示唆されているものの、大規模集団を対象とした包括的解析は限られている。こうした背景を踏まえ、本研究ではFIB-4 indexと性機能、LUTS、LOH指標との関係を明らかにするため、診療データを後ろ向きに解析した。

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     本研究では、2016年5月〜2024年3月に順天堂大学医学部附属浦安病院および関連クリニックを受診したLOH症状のある男性2,369名を後ろ向きに解析した。LUTS、性機能、LOHの評価には、国際前立腺症状スコア(IPSS)と生活の質指数、勃起機能問診票(SHIM)および勃起の硬度スケール(EHS)、男性更年期障害質問票(AMS)をそれぞれ用いた。内分泌・代謝指標としてDHEA-S、IGF-1、総テストステロン、コルチゾール、HbA1c、中性脂肪を測定し、FIB-4 index は五分位に層別化した。まずFIB-4 indexと各臨床指標との関連をトレンド解析で検討し、続いてFIB-4 indexと有意に関連した内分泌・代謝因子を調整因子として、症状スコアとの関連を多変量解析で評価した。有意であった症状スコアについては、その重症度とFIB-4 indexとの関係も追加で検討した。

     患者の平均年齢は50.6歳であった。解析の結果、FIB-4 indexの五分位が上昇するにつれて、年齢や肝酵素値は高くなり、血小板数は低下する傾向が認められた(傾向検定、いずれもP<0.001)。症状スコアについても、FIB-4 indexの上昇に伴い、IPSSおよびAMSは上昇し、SHIMおよびEHSは低下することが示された(同 P<0.001)。

     内分泌因子では、DHEA-SおよびIGF-1はFIB-4 indexの上昇に伴い低下し、コルチゾールは上昇した(同P<0.001)。興味深いことに、FIB-4 indexとテストステロン値との間には有意な関連は認められなかった(同P=0.091)。同様に、代謝指標では、FIB-4 indexの上昇に伴いHbA1cは増加した(同P<0.001)が、中性脂肪との関連は見られなかった(同P=0.181)。

     さらに、症状スコアをDHEA-S、IGF-1、コルチゾール、HbA1cで補正した多変量回帰解析を実施した。その結果、FIB-4 Indexが上昇するにつれてSHIMスコアは低下し(同P<0.001)、重度のEDの場合(SHIMスコアが低い)ではFIB-4 indexも高値を示した(同P<0.001)。同様に、FIB-4 indexが上昇するほどIPSSは増加し(同P<0.001)、LUTSが重い場合(IPSSが高い)ではFIB-4 indexも高値であった(同P<0.001)。

     著者らは、「本研究では、大規模コホートでEDやLUTSがFIB-4 Indexで評価される肝線維化と密接に関連することを示した。この結果は、症状を呈する男性の評価において潜在的肝線維化も考慮した多職種的アプローチの重要性を示唆している。今後は、縦断的なホルモン測定や画像・組織評価を組み込んだ前向き研究が求められる」と述べている。

     なお、本研究の限界として、後ろ向き研究であるため生活習慣や併存疾患の影響を十分に評価できなかったこと、また前立腺容積や尿流測定などの客観的泌尿器評価や、ホルモンの縦断的測定も行われなかったことを挙げている。

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    HealthDay News 2025年12月8日
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  • 多発性硬化症(MS)

    多発性硬化症と口腔内細菌の意外な関係、最新研究が示す病態理解の可能性

     多発性硬化症(MS)は、中枢神経系の神経線維を包むミエリンが自己免疫反応によって障害される希少疾患で、視覚障害や運動麻痺、感覚障害などさまざまな症状を引き起こす。最新の研究で、MS患者の口腔内に存在する特定の歯周病菌、Fusobacterium nucleatum(F. nucleatum)の量が、病気の重症度や進行に関わる可能性が示された。研究は、広島大学大学院医系科学研究科脳神経内科学の内藤裕之氏、中森正博氏らによるもので、詳細は11月3日付で「Scientific Reports」に掲載された。

     MSの発症には遺伝的素因に加え、ウイルス感染や喫煙、ビタミン欠乏などの環境因子が関与すると考えられ、近年は腸内細菌の異常も病態形成に影響することが示唆されている。また、口腔内細菌、特に歯周病菌も中枢神経疾患に影響することが報告されており、慢性的な炎症や免疫応答を介してMSの進行や重症度に関与する可能性がある。これまでに歯周病とMSの関連や、MS患者における特定菌種の増加が報告されているものの、臨床指標や再発・進行との具体的な関連や菌種ごとの差異は不明である。こうした背景を踏まえ著者らは、MSや視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)、抗MOG抗体関連疾患(MOGAD)の患者の舌苔サンプルから歯周病菌量を定量し、臨床特徴やMRI所見との関連、さらに菌種ごとの影響を探索する横断的研究を実施した。

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     本研究は2023年5~11月にかけて実施され、広島大学病院脳神経内科を受診した15歳以上のMS、NMOSD、MOGAD患者112人が解析対象となった。患者から採取した舌苔サンプルは4種の歯周病菌種 (F. nucleatum、P. gingivalis、P. intermedia、T. denticola)を標的とした定量的PCRを用いて分析した。先行研究に倣い、細菌の総存在量に対する比率が第3四分位数を超える場合「高相対量」と定義された。患者の重症度は総合障害度評価尺度(EDSS)で評価し、スコア4をカットオフとした。

     本研究の最終的な解析対象は98人(平均年齢48.6歳、女性77.6%)となった。これらのうち、56人がMS、31人がNMOSD、11人がMOGADとそれぞれ診断された。MS、NMOSD、MOGADで歯周病菌の高相対量に有意差はなく、口腔衛生習慣もほぼ同等であった。

     単変量解析により、MS患者における各歯周病菌とEDSSスコアの関係を調べたところ、F. nucleatumの相対量が高いMS患者は、低い患者に比べてEDSSスコアが有意に高く、EDSS ≥4の割合も多かった(61.5% vs 18.6%、P=0.003)。多重比較補正(Benjamini–Hochberg法)を行った後も、MS患者におけるF. nucleatumの高相対量とEDSS ≥4の関連のみが有意であった(P=0.036)。一方、他の歯周病菌の相対量は、EDSS ≥4との有意な関連は認められなかった。また、NMOSDおよびMOGAD患者においても、EDSSスコアと各菌の高相対量との関連は認められなかった。

     単変量解析では、MS患者の重症度(EDSS ≥4)に影響を与える要因として、F. nucleatumの高相対量に加え、年齢、MSのサブタイプ、発作回数、罹病期間も示唆された。しかし、これらの因子を考慮した多変量解析では、F. nucleatumの高相対量のみが独立して有意であった(オッズ比10.0、95%信頼区間1.45~69.4、P=0.020)。

     著者らは、「本研究は、MS患者において口腔内のF. nucleatum相対量がEDSSスコアと強く関連することを示した。因果関係は示せないが、将来的な研究課題としては、サイトカイン関連機構などの免疫学的メカニズムの解明や、口腔ケアなどの介入による影響の検討が挙げられる」と述べている。

     本研究の限界として、単施設の横断的観察研究であり、MS以外の疾患群やF. nucleatum陽性患者が少なくサンプルサイズが限られていたこと、歯周病の臨床評価や抗菌薬使用歴、口腔行動の影響、免疫指標測定が不十分であり、残存交絡や因果関係の推定は困難であったことを挙げている。

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  • 糖尿病

    健康診断から見える、糖尿病予測の未来

    糖尿病は日本人の主要な生活習慣病である一方、予防可能な側面も大きく、発症リスクの理解と適切な介入の実現が課題である。この課題に対し、静岡県の国民健康保険データベースを用いて、健康診断データから2型糖尿病発症リスクを予測する新たなモデルが開発された。Cox比例ハザードモデルを基礎に構築した予測スコアは、検証データセットで良好な識別能を示したという。研究は静岡県立総合病院消化器内科の佐藤辰宣氏、名古屋市立大学大学院医学研究科の中谷英仁氏、静岡社会健康医学大学院大学の臼井健氏らによるもので、詳細は10月30日付で「Scientific Reports」に掲載された。

     日本では13人に1人程度が2型糖尿病と診断されているが、生活習慣改善や早期介入が発症リスクの低減に寄与し得ることが指摘されている。地域コホートや各種健康診断制度によって大規模な一般住民データが得られている一方、既存の予測モデルは病院データや職域健診を基盤とするものが多く、一般住民の健診データを活用したモデルは十分に整備されていない。このような背景を踏まえ、本研究では一般住民の健診データを用い、発症までの期間や打ち切り症例を考慮したCox比例ハザードモデルで2型糖尿病発症を予測するモデルを開発・検証した。

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     本研究では、登録者数250万人以上を有する静岡国保データベース(SKDB)の2023年度版データ(2012年4月1日~2021年9月30日)を用いて解析を行った。解析対象は、ベースラインの健康診断時点で2型糖尿病(またはHbA1c値6.5%以上)やがんの既往がなく、年1回の健康診断歴を有する40歳以上の成人46万3,248人とした。対象者は2:1の比率で、モデル構築用(30万8,832人)と検証用(15万4,416人)に無作為に分割した。まずモデル構築用コホートにおいて、年齢、性別、BMI、血圧、健診で測定可能な各種血液検査値、喫煙・飲酒・運動習慣などの健康情報を用いてCox比例ハザードモデルにより糖尿病発症に関連する要因を解析し、予測モデルを構築した。続いて、その予測性能を検証コホートにおいてHarrellのc指数を用いて評価した。

     モデル構築用データセットでは、中央値5.17年の観察期間中に5万2,152人(16.9%)が2型糖尿病と診断された。このデータセットにおいて、2型糖尿病発症に対する単変量および多変量Cox比例ハザード回帰解析を行った結果、高齢、男性、体格や血圧などの臨床指標、各種血液検査値や肝腎機能の異常、尿蛋白の存在、高血圧・脂質異常症に対する薬物使用、ならびに生活習慣(運動不足や過度の飲酒)が、いずれも発症リスクの上昇と関連していた。次いで、その結果をもとに、2型糖尿病発症を予測するスコアリングモデルを開発した。このモデルではスコアが高いほど発症リスクが高く、モデル構築用データセットではC指数0.652、検証用データセットではC指数0.656と、個人のリスクを良好な識別能をもって判別できることが示された。スコアごとの3年間での累積発症率は、スコア0.5未満で3.0%、スコア2.5以上では32.4%と大きく差があり、健診結果から算出される本スコアを用いることで個人を低リスクから高リスクまで明確に層別化できることが示された。これらの結果は検証用データセットでも同様に確認できた。

     著者らは、「今回作成した予測スコアリングモデルは、検証用データセットで良好な識別能を示し、将来的な糖尿病発症リスクの層別化に応用可能である。また、本モデルは日常的に収集される健康診断の変数のみを使用しているため、識別能はやや低下する可能性があるが、実用性は高い」と述べている。さらに今後の展開として、「糖尿病患者では膵臓がんの発症リスクが高いことが報告されている。今後は、糖尿病発症の予防が膵臓がんの発症抑制につながるかといったテーマにも取り組む予定である」としている。

     なお本研究の限界については、データベースには静岡県の住民のみが含まれ、一般化には限界があること、参加者を40歳以上に限定しているため若年層への適用が難しいことなどを挙げている。

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    糖尿病でいちばん恐ろしいのが、全身に現れる様々な合併症。深刻化を食い止め、合併症を発症しないためには、早期発見・早期治療がカギとなります。今回は糖尿病が疑われる症状から、その危険性を簡単にセルフチェックする方法をご紹介します。
    糖尿病のセルフチェックに関連する基本情報

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    HealthDay News 2025年12月1日
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  • 直腸がん

    ロボット支援直腸がん手術、国内リアルワールドデータが示す新たな標準治療の可能性

     国内約1.8万人分のリアルワールドデータを解析した多施設後ろ向きコホート研究により、進行直腸がんに対するロボット支援手術が、開腹および腹腔鏡手術と比較して短期・長期の両成績で有意に優れていることが示された。5年全生存率はロボット支援手術で94%と最も高く、術後合併症の発症率や総入院費用も最小であったという。研究は東京科学大学消化管外科学分野の花岡まりえ氏、絹笠祐介氏らによるもので、詳細は10月28日付で「Colorectal Disease」に掲載された。

     従来の腹腔鏡手術(LRR)は直腸がん治療に有効であるが、長期的な腫瘍学的成績は開腹手術(ORR)と同等で、直腸膜間全切除(TME)が不完全になるリスクがあることが報告されている。ロボット支援手術(RARR)は低侵襲なアプローチとして短期成績に優れるとされる一方、長期成績のデータは限られている。そこで本研究では、国内大規模リアルワールドデータを用いて、進行直腸がん患者に対するORR、LRR、RARRの短期・長期成績を比較することを目的とした。

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     本研究では、国内の大規模診療データベース(メディカル・データ・ビジョン株式会社保有)を用い、2018年4月~2024年6月に直腸切除術を受けた3万7,191人のうち、cT3またはcT4aの患者1万7,793人を解析した。ベースラインのバランスを調整するためオーバーラップ重み付けを行い、有効サンプルサイズは1万4,627人となった。主要評価項目は5年全生存率(OS)および無再発生存率(RFS)で、副次評価項目には周術期成績を設定した。データの分布に応じて、Welchのt検定、Mann–WhitneyのU検定、カイ二乗検定、Fisherの正確確率検定を適用した。生存アウトカム(OSおよびRFS)については、オーバーラップ重み付けを用いてKaplan–Meier曲線を作成し、log-rank検定を行った。

     オーバーラップ重み付け後の患者数の内訳は、RARR群で2,247人、LRR群で1万339人、ORR群で2,041人であった。平均年齢は70歳で、男性が66%を占めた。

     短期成績では、RARR群は術後合併症の発生率が最も低かった(RARR:16.54%、LRR:19.95%、ORR:29.68%、P<0.001)。また、入院期間も最も短く(RARR:15.69日、LRR:18.87日、ORR:25.38日、P<0.001)、入院から退院までの総医療費も最も低かった(RARR:184万9,029円、LRR:193万4,626円、ORR:201万2,968円、P<0.001)。さらに、90日死亡率もRARR群で有意に低かった(RARR:0.23%、LRR:0.70%、ORR:1.21%、P<0.001)。

     5年OSはRARR群で最も高く(94%、95%信頼区間91~97%)、次いでLRR群(86%、同85~88%)、ORR群(78%、同75~81%)の順であった。また、5年RFSもRARR群で最も高く(93%、同91~95%、)、次いでLRR群(83%、同81~84%)、ORR群(74%、同71~77%)の順であり、OSおよびRFSの両方でRARR群が他の2群に比べてそれぞれ良好であった(P<0.001)。これにより、RARR群が一貫して最良の転帰を示すことが示された。

     OS不良と関連する因子を多変量Cox回帰分析で検討したところ、TNM分類以外の項目では、ORR(ハザード比〔HR〕4.69 、95%信頼区間3.42~6.43)、LRR(HR 2.50、同1.85~3.37)、男性(HR 1.35、同1.31~1.81)、腹会陰式直腸切断術(APR;HR 1.57、同1.33~1.86)、大学病院以外での手術(HR 3.53、同2.37~5.24)などが同定された(P<0.001)。一方でRARRはLRR,ORRと比べてOSの有意な予後良好因子として同定された。

     著者らは、「本研究は進行直腸がんに対して大規模なリアルワールドデータを用いて、RARRの短期・長期アウトカムを評価した初めての研究である。今回の結果は、ロボット支援手術がこの領域における新たな標準治療となり得ることを支持している」と述べている。

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    治験・臨床試験は新しいお薬の開発に欠かせません。治験や疾患啓発の活動を通じてより多くの方に治験の理解を深めて頂く事を目指しています。治験について知る事で治験がより身近なものになるはずです。
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  • 高血圧

    朝食後の歯みがきは高血圧リスクの独立した予測因子か

     高血圧は生活習慣に大きく左右される疾患であり、予防には日常行動の改善が重要とされる。今回、地域住民を対象とした横断研究で、朝食後に歯を磨く習慣が高血圧の有病率低下と独立して関連することが示された。研究は鹿児島大学大学院医歯学総合研究科心臓血管・高血圧内科学の手塚綾乃氏、窪薗琢郎氏らによるもので、詳細は10月9日付で「Scientific Reports」に掲載された。

     高血圧は心血管疾患(CVD)の最大の危険因子であり、その予防には血圧管理が不可欠である。しかし、日本では依然として十分な管理が行われておらず、生活習慣の改善余地が大きい。近年、歯周病をはじめとする口腔内の健康がCVDと関連することが報告されており、歯周治療により血管機能や動脈硬化マーカーが改善することも示されている。さらに、歯みがき頻度の低さがCVDリスクに関連するとの報告もあるが、歯みがきのタイミングと高血圧との関係は明らかでない。そこで本研究では、地域住民を対象に、歯みがき習慣と高血圧との関連を検討した。

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     本研究では、鹿児島大学と垂水市による共同研究「垂水研究」の横断データを用い、垂水市在住の40歳以上の住民1,024人を対象とした。歯みがき習慣を調べるため、参加者には起床時、朝食前後、昼食後、夕食前後、就寝前の各タイミングにおける歯みがきの有無と頻度を質問票で回答してもらった。高血圧は、収縮期血圧140mmHg以上、拡張期血圧90mmHg以上、または降圧薬使用者と定義した。群間比較にはt検定とカイ二乗検定を用い、歯数の比較にはウィルコクソンの順位和検定を用いた。高血圧を従属変数、歯みがき習慣を独立変数として、単変量および多変量ロジスティック回帰解析(モデル1:年齢・性別で調整、モデル2:BMIや喫煙歴・薬物使用・総エネルギー摂取量などの生活習慣で追加調整)を実施した。

     最終的な解析対象には940人(男性361人、平均年齢67歳)が含まれた。このうち、529人(56.3%)が高血圧群、411人(43.7%)が非高血圧群に分類された。

     全体の歯みがき実施率は、起床時33%、朝食前8%、朝食後69%、昼食後48%、夕食前4%、夕食後42%、就寝前51%であった。歯を1日3回以上磨く参加者は合計476人(51%)であった。高血圧群は非高血圧群に比べ、朝食後(P<0.001)・昼食後(P<0.001)・就寝前(P=0.022)の歯みがき頻度が低く、また1日3回以上磨く頻度の高い参加者も少なかった(P<0.001)。単変量ロジスティック回帰解析では、朝食後(オッズ比[OR]0.577、95%信頼区間[CI]0.433~0.768、P<0.001)、昼食後(OR 0.571、95%CI 0.441~0.741、P<0.001)、就寝前(OR 0.737、95%CI 0.569~0.955、P=0.021)の歯みがき、さらに1日3回以上の歯みがき頻度(OR 0.554、95%CI 0.427~0.719、P<0.001)が、いずれも高血圧リスクの低下と有意に関連していた。

     次に多変量ロジスティック回帰解析を実施した。年齢・性別のみ調整したモデル1では、朝食後の歯みがき(OR 0.604、95%CI 0.444~0.823、P=0.001)および1日3回以上の歯みがき(OR 0.735、95%CI 0.554~0.973、P=0.032)が、高血圧リスクの低下と有意に関連していた。さらに、追加調整したモデル2では、朝食後の歯みがきのみが独立して高血圧リスクの低下と関連していた(OR 0.688、95%CI 0.496~0.954、P=0.025)。

     著者らは、本研究が横断研究であることや、任意参加であったため選択バイアスの可能性などの限界に言及しつつ、「歯みがき習慣、特に朝食後の歯みがきは、高血圧リスクの低下と独立して関連しており、日常的な口腔ケアが循環器疾患予防の一助になる可能性がある」と述べている。

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    心不全のセルフチェックに関連する基本情報。最善は医師による診断・診察を受けることが何より大切ですが、不整脈、狭心症、初期症状の簡単なチェックリスト・シートによる方法を解説しています。
    心不全のセルフチェックに関連する基本情報

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    HealthDay News 2025年11月25日
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  • 脂肪肝

    代謝異常を伴う脂肪肝「MASLD」、慢性腎臓病の独立リスクに

     新しい脂肪肝の概念「MASLD;代謝機能障害関連脂肪性肝疾患」が、慢性腎臓病(CKD)の独立したリスク因子であることが国内研究で示された。単一施設の約1.6万人の健康診断データを解析したもので、MASLDの早期発見や管理の重要性が改めて示された。研究は京都府立医科大学大学院医学研究科内分泌・代謝内科学の大野友倫子氏、濵口真英氏、福井道明氏、朝日大学病院の大洞昭博氏、小島孝雄氏らによるもので、詳細は10月17日付で「PLOS One」に掲載された。

     日本では食生活の欧米化に伴い肥満が増加し、非アルコール性脂肪肝(NAFLD)の有病率も上昇している。NAFLDは主に内臓脂肪やインスリン抵抗性と関連し、糖尿病や心血管疾患などの代謝異常を伴うことが多い。2020年には、こうした代謝背景を重視する形でNAFLDはMAFLDとして再定義され、日本の大規模コホート研究ではCKDの独立したリスク因子であることが報告された。さらに2023年、国際的専門家パネル(Delphiコンセンサス)により、より包括的でスティグマの少ない概念としてMASLDへと名称が変更され、少なくとも1つの心血管代謝リスク(BMI、血糖値、HDL-C値など)を伴う脂肪肝と定義された。本研究は、この新しい定義によるMASLDがCKD発症の独立したリスク因子となるかを明らかにすることを目的に、人間ドック受診者を対象とした縦断的コホート解析として実施された。

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     本研究では、岐阜県の朝日大学病院で実施されているNAFLDの縦断的解析(NAGALA Study)に基づき、1994~2023年の間に人間ドックを受けた1万5,873人を解析対象とした。ベースライン時点で肝疾患を有する者、またはCKD(推算糸球体濾過量〔eGFR〕<60 mL/分/1.73 m2、もしくはタンパク尿〔+1~+3〕が少なくとも3か月持続)と診断された者は除外した。参加者はアルコール摂取量、心血管代謝リスク、脂肪肝の有無によりグループ1~8までのカテゴリーに分類された。主要評価項目は、5年間の追跡期間中におけるCKDの新規発症率とし、ロジスティック回帰分析によりMASLDとCKD発症との関連を評価した。

     解析対象の9,318人(58.7%)が男性で、平均年齢は43.7歳だった。追跡期間中のCKD新規発症率は、アルコール摂取が閾値以下で心血管代謝リスクおよび脂肪肝を認めないグループ1で最も低く(4.7%)、MASLDと診断されたグループ8で最も高かった(9.5%)。

     次に、ベースライン時の年齢、性別、eGFR、喫煙習慣、運動習慣で調整した多変量解析を実施した。その結果、グループ1と比較して、MASLDと診断されたグループ8でのみCKD新規発症のオッズ比(OR)が有意に上昇した(OR 1.37、95%信頼区間〔CI〕1.12~1.67、P=0.002)。さらに、年齢(OR 1.04、95%CI 1.03~1.05、P<0.001)およびベースライン時のeGFR(OR 0.88、95%CI 0.87~0.89、P<0.001)も、CKDの有意な予測因子として同定された。

     著者らは、「MASLDは、これまでのNAFLDを包含する新しい疾患概念として、CKD発症リスクを独立して高める可能性がある。特に日本に多い『非肥満型MASLD』では、腎機能低下リスクに注意が必要だ。今後は、筋肉量の影響を受けない腎機能指標を用いたリスク評価や、個別化された介入の検討が求められる」と述べている。

     なお、本研究の限界点としては、参加者が岐阜県の人間ドック受診者に限られ、選択バイアスの可能性があること、食事内容や食後血糖などのデータが欠如している点などを挙げている。

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    糖尿病の3大合併症として知られる、『糖尿病性腎症』。この病気は現在、透析治療を受けている患者さんの原因疾患・第一位でもあり、治療せずに悪化すると腎不全などのリスクも。この記事では糖尿病性腎病を早期発見・早期治療するための手段として、簡易的なセルフチェックや体の症状について紹介していきます。
    糖尿病性腎症リスクを体の症状からセルフチェック!

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    HealthDay News 2025年11月25日
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