潰瘍性大腸炎について

潰瘍性大腸炎とはどのような病気?

現在の医学では主な原因がはっきりわかっておらず、完全に治すのが難しいとされています。そのため、潰瘍性大腸炎では主に薬を使った内科的治療を行ないながら、「寛解」という病気がおさまっている状態を目指していきます。
よくある病気ではありませんが、潰瘍性大腸炎は若い人が発症しやすい傾向があり、近年徐々に患者数が増えています。
厚生労働省の発表によると、2014年に潰瘍性大腸炎と診断された人は約17万人となっています。

潰瘍性大腸炎とクローン病の違い
潰瘍性大腸炎とよく似た病気にクローン病があります。潰瘍性大腸炎は大腸のみに症状が出るのに対し、クローン病は大腸以外の消化管粘膜にも症状が出ます。
潰瘍性大腸炎の原因
潰瘍性大腸炎の原因は、自己免疫反応に異常が生じて発症する説、腸内細菌が関わっているという説、ほかには遺伝性や食生活の欧米化が関係しているなど、さまざまな説があります。まだはっきりとした原因は解明されていません。
潰瘍性大腸炎の症状とは
下痢や粘血便・血便
潰瘍性大腸炎の症状として、下痢や粘血便(粘液の混じった血便)・血便が多くみられます。
腹痛
じわじわと長時間痛んだり、急に強い痛みが生じたりします。
体重減少
大腸の粘膜が荒れて正常にはたらかない状態にあるため、次第に体重が減ってきます。
貧血
食欲が低下し栄養状態も悪くなるため貧血になりやすい傾向があります。
発熱
潰瘍性大腸炎は炎症性の病気であるため、発熱することもあります。

また、潰瘍性大腸炎は合併症を起こすこともあります。合併症の例としては、関節炎や脊椎炎、皮膚では結節性紅斑や壊疽性膿皮症がみられます。潰瘍性大腸炎にかかってから長く経つと、大腸がんのリスクが高くなるともいわれています。
潰瘍性大腸炎を診断するための検査

症状
いつからどのような症状があるのか、身近な人の既往歴なども確認します。
注腸X線検査(行われないこともある)
大腸に造影剤を注入し、X線(レントゲン)撮影をして大腸の状態を確認します。
肛門鏡検査
肛門鏡という器具を使って、肛門周囲の状態を観察します。
内視鏡検査
内視鏡カメラを使って、肛門から大腸のはじまりまで、粘膜の状態を観察します。
細菌検査
細菌感染による腸炎など、潰瘍性大腸炎と似た病気もあるため、便や血液を使って細菌の有無を確認します。
組織検査
粘膜組織をわずかに取って、顕微鏡で組織の状態を観察します。

潰瘍性大腸炎の治療方法
潰瘍性大腸炎の治療方法は、薬を使って症状を抑えていく内科的治療がメインとなります。完治は難しく、症状は落ち着いたりひどくなったりする状態を繰り返します。そこで、潰瘍性大腸炎では寛解といって病気の状態が落ち着いている状態ができるだけ維持できるようにしていくのが目標となります。
寛解状態にあるときは食事の制約がなく、学業・仕事についても負担が大きくない程度であれば可能です。

内科的治療(薬による治療)
治療では、内服や点滴で炎症を抑える薬を使用します。特にステロイド薬は炎症を抑えることに効果があります。ほかに使われる5-アミノサリチル製剤では炎症を抑えるほか、再燃(落ち着いていた病状が、再び悪化すること)の予防にも効果があるといわれています。
ステロイド薬を減らすと症状が悪化するケースやステロイドで効果が見られない場合には免疫調整薬や免疫抑制薬を使用することもあります。また、炎症を引き起こすTNF-αという物質のはたらきを抑えるために抗TNF-α製剤も使われます。
白血球除去療法
白血球除去療法は炎症を長引かせている原因となる異常な白血球を取り除く治療です。この治療によって炎症が抑えられ、症状の改善が期待できます。
外科的治療
重症化してしまった潰瘍性大腸炎や薬による副作用で治療の継続が難しい場合、また大腸に穴が空いてしまったときや大量出血などの合併症がみられたときには、手術による治療が選択されます。
近年、医学の進歩により潰瘍性大腸炎の治療法は増えてきています。日本は世界の中でも、潰瘍性大腸炎の治療法が多い国の1つとなっています。
まとめ
潰瘍性大腸炎とは、下痢や血便から全身に症状が出る病気です。完治できる治療法は確立されていませんので、病状が寛解し、それを維持できるような治療を行なっていきます。
寛解状態のときには、注意点はあるものの日常生活を送るうえで大きな制限はありません。
潰瘍性大腸炎は専門機関での診断と保健所での手続きによって医療費の助成が受けられる病気です。気になる症状がある場合には、医療機関に早めに相談しましょう。
潰瘍性大腸炎は主にお腹の症状が中心となる炎症性の病気です。潰瘍性大腸炎の症状に焦点を当てながら潰瘍性大腸炎のセルフチェックに役立つ情報をご紹介していきます。
-
救急搬送後の自殺再企図、若年と過量服薬がリスク因子に
自殺企図で救急搬送された患者の自殺再企図は、初期対応時に予測できるのだろうか。今回、国内3施設で救急入院患者を追跡した研究により、若年であることと過量服薬(オーバードーズ)が、自殺再企図のリスク因子となる可能性が示された。初回自殺企図時に過量服薬を行った患者では、再企図リスクが約2.5倍高かったという。研究は獨協医科大学精神神経医学講座の佐々木太郎氏、古郡規雄氏らによるもので、詳細は4月29日付の「Neuropsychopharmacology Reports」に掲載された。
自殺企図歴は、その後の自殺再企図や自殺死亡の強い予測因子とされる。これまで若年者では再企図が多く、性別による自殺行動の違いも報告されてきたが、その背景には自殺手段の違いが関与する可能性が指摘されている。一方、日本では救急搬送後の自殺再企図に関するリアルワールドの多施設縦断データは限られており、特に過量服薬がその後の再企図リスクに及ぼす影響は十分に検討されていなかった。こうした背景から著者らは、自殺企図で救急入院した患者において、年齢および初回自殺企図時の過量服薬と自殺再企図との関連を検討するため、多施設後ろ向きコホート研究を実施した。
【うつ病の治験について相談したい方へ】
治験情報の探し方から参加検討まで、専門スタッフが一緒にサポートします本研究の対象は、2020年3月~2025年3月に日本国内3施設の救急外来へ自傷または過量服薬後に搬送され、自殺企図と臨床的に判断された1,038人とした。研究は、獨協医科大学病院、自治医科大学附属病院、八戸市立市民病院で行われた。事故による過量服薬や非自殺性自傷は除外した。対象患者を追跡し、初回救急入院後に医療介入を要した自殺再企図までの時間を評価した。Kaplan–Meier法およびCox比例ハザードモデルを用いて、年齢、性別、初回自殺企図時の過量服薬と自殺再企図リスクとの関連を解析した。さらに、過量服薬単独例に限定した感度解析も行った。
追跡期間中に、医療介入を要した自殺再企図は58件確認された。Kaplan–Meier解析では、女性および39歳以下の患者で自殺再企図の累積リスクが高かった。Cox比例ハザードモデルによる多変量解析では、40歳以上は自殺再企図リスク低下が認められた一方(HR 0.52、95%信頼区間〔CI〕 0.29~0.94、P=0.030)、初回自殺企図時の過量服薬は自殺再企図リスク上昇と有意に関連していた(HR 2.54、95%CI 1.32~4.90、P=0.005)。一方、性別は多変量解析では独立した関連を示さなかった。これらの結果は、過量服薬単独例に限定した感度解析でも同様だった。
著者らは、救急入院時に把握可能な年齢や初回自殺手段が、自殺再企図リスクの層別化に有用となる可能性を示したとしている。特に、過量服薬で自殺企図した若年患者では、退院後の重点的なモニタリングや支援が重要になる可能性があると述べている。また、過量服薬単独例でも再企図リスクとの関連が維持された背景として、過量服薬を含む複合的な自殺手段では致死性が高く、その後の再企図として観察されにくくなる生存バイアスの影響がある可能性を指摘している。
本研究の限界として、精神疾患の重症度や自殺企図歴、退院後の精神科治療などの影響を十分に調整できていない可能性を挙げている。また、再企図は参加施設のカルテに基づいて把握しているため、他院受診例などを十分に捉えられていない可能性もある。
治験に関する詳しい解説はこちら
治験・臨床試験は新しいお薬の開発に欠かせません。治験や疾患啓発の活動を通じてより多くの方に治験の理解を深めて頂く事を目指しています。治験について知る事で治験がより身近なものになるはずです。
治験・臨床試験についての詳しい説明参考情報:リンク先
HealthDay News 2026年6月8日
Copyright c 2026 HealthDay. All rights reserved. Photo Credit: Adobe Stock
SMTによる記事情報は、治療の正確性や安全性を保証するものではありません。
病気や症状の説明について間違いや誤解を招く表現がございましたら、こちらよりご連絡ください。
記載記事の無断転用は禁じます。 -
乳がん・子宮頸がん検診、働く女性の受診行動と性格特性に関連か
乳がんや子宮頸がんの早期発見には定期的な検診が重要だが、働く女性の受診率向上は課題となっている。今回、日本の就業女性を対象とした研究で、一般に健康管理と結びつきやすいとされる誠実性や不安と関連する神経症傾向が高い女性ほど、乳がんおよび子宮頸がん検診の受診率が低い傾向にあることが示された。研究は横浜市立大学医学部看護学科の佐藤みほ氏と、福島県立医科大学看護学部の佐藤菜保子氏によるもので、詳細は4月28日付の「JMIR Cancer」に掲載された。
日本では乳がん・子宮頸がんの罹患率および死亡率が高い一方、検診受診率は他のOECD加盟国と比べて低い。女性の就業率上昇に伴い働く女性の受診率向上が課題となる中、時間的制約に加え、心理社会的要因も健康行動に影響する可能性が指摘されている。こうした背景から著者らは、就業女性における乳がん・子宮頸がん検診受診と性格特性やリスク認知との関連を検討した。
【子宮がんの治験について相談したい方へ】
治験情報の探し方から参加検討まで、専門スタッフが一緒にサポートします著者らは、慶應義塾大学パネルデータ設計・解析センターが実施する日本家計パネル調査(JHPS)および慶應義塾家計パネル調査(KHPS)のデータを用いた二次解析を行った。対象は70歳以下の就業女性1,142人で、2019~2022年の縦断データを解析した。乳がん検診(マンモグラフィ)および子宮頸がん検診(子宮頸部細胞診)の受診有無を評価し、性格特性は日本語版Ten-Item Personality Inventory(TIPI-J)で測定した。また、リスク回避傾向、主観的健康状態、精神的健康、婚姻状況、子どもの有無、介護役割の有無、学歴、雇用状態(正規・非正規)、居住地域などもあわせて解析した。少なくとも2回の回答が得られた参加者を対象に、一般化線形混合モデルを用いて乳がん・子宮頸がん検診受診と各因子との関連を検討した。
解析の結果、乳がん検診および子宮頸がん検診のいずれにおいても、誠実性と神経症傾向が高い女性ほど受診率が低かった。乳がん検診では、誠実性(オッズ比〔OR〕 0.86、95%信頼区間〔CI〕 0.77~0.97、P=0.01)、神経症傾向(OR 0.87、95%CI 0.77~0.98、P=0.02)が関連し、子宮頸がん検診でも同様の傾向がみられた(誠実性:OR 0.88、95%CI 0.79~0.98、P=0.02、神経症傾向:OR 0.88、95%CI 0.78~0.99、P=0.04)。
著者らは、一般に自己管理能力の高さと結びつく誠実性が高い女性ほど乳がん・子宮頸がん検診の受診率が低かった点について、仕事に加えて家庭でも多くの役割を担う日本人女性では、がんの予防行動よりも仕事や家族を優先する可能性があると考察した。また、神経症傾向が高い女性では、がんと診断される可能性に対する不安が強く、検診受診をためらう可能性が示唆された。
本研究の限界として、自己記入式質問票による想起バイアスや社会的望ましさバイアスの可能性、欠測データ除外による選択バイアス、がん特異的ではなく一般的なリスク回避傾向を評価した点、医療への信頼や受診アクセス障壁に関する情報が含まれていない点などを挙げた。今後は、がん検診受診に影響する構造的要因および心理社会的要因について、さらなる検討が必要だとしている。
治験に関する詳しい解説はこちら
治験・臨床試験は新しいお薬の開発に欠かせません。治験や疾患啓発の活動を通じてより多くの方に治験の理解を深めて頂く事を目指しています。治験について知る事で治験がより身近なものになるはずです。
治験・臨床試験についての詳しい説明参考情報:リンク先
HealthDay News 2026年6月8日
Copyright c 2026 HealthDay. All rights reserved. Photo Credit: Adobe Stock
SMTによる記事情報は、治療の正確性や安全性を保証するものではありません。
病気や症状の説明について間違いや誤解を招く表現がございましたら、こちらよりご連絡ください。
記載記事の無断転用は禁じます。 -
国産手術ロボットhinotoriによる大腸がん手術、94例の初期成績を報告
ロボット支援手術の普及が進む中、日本初の国産手術支援ロボット「hinotori」の大腸外科領域における臨床データが報告された。今回、京都大学医学部附属病院でhinotoriによるロボット支援大腸手術を受けた大腸がん患者94例を解析した結果、開腹移行例やClavien-Dindo分類Grade III以上の重篤な術後合併症は認められなかった。著者らは、hinotoriを用いた大腸がん手術は安全かつ実施可能であることが示されたとしている。報告は京都大学医学部附属病院消化管外科の山本健人氏、板谷喜朗氏らによるもので、4月25日付の「Journal of the Anus, Rectum and Colon」に掲載された。
ロボット支援手術は近年、世界的に普及が進んでおり、大腸外科領域でも腹腔鏡手術と比べて良好な短期・長期成績を示す報告が蓄積されている。日本でもロボット支援直腸がん手術が2018年、結腸がん手術が2022年にそれぞれ保険収載されたが、これまでのエビデンスの多くは「da Vinci Surgical System(DVSS)」によるものだった。hinotori Surgical System(hinotori)は、川崎重工業とシスメックスの合弁会社メディカロイドが開発した日本初の国産手術支援ロボットで、名称は手塚治虫氏の『火の鳥』に由来する。同システムは2020年に泌尿器科領域で臨床導入され、その後は消化器外科や婦人科領域にも導入が広がっている。こうした背景から著者らは、hinotoriを用いたロボット支援大腸手術の臨床成績を検証した。
【大腸がんの治験について相談したい方へ】
治験情報の探し方から参加検討まで、専門スタッフが一緒にサポートします著者らは、2023年8月~2025年11月に京都大学医学部附属病院でhinotoriを用いたロボット支援大腸手術を受けた連続症例を対象に、単施設後ろ向き観察研究を実施した。術者はいずれも、日本内視鏡外科学会技術認定医で、既存のロボット支援手術システム(DVSS)による大腸手術を40例超経験していた。解析は、患者背景、手術関連因子、短期成績について、結腸がん群と直腸がん群に分けて実施した。
解析対象は94例で、このうち結腸がんが53例、直腸がんが41例だった。結腸がん群の手術時間中央値は255分だった。術後合併症はClavien-Dindo分類Grade IIのイレウスを1例(1.9%)に認めたが、絶食で改善し、Grade III以上の重篤な合併症は認められなかった。
一方、直腸がん群の手術時間中央値は327分だった。41例のうち、側方リンパ節郭清や他臓器合併切除、再発病変切除を伴う高難度手術(beyond-TME)を7例に実施した。術後合併症はGrade IIの排尿障害を1例(2.4%)に認め、経口抗菌薬で改善したが、Grade III以上の重篤な合併症は認められなかった。
いずれの群でも開腹移行例や術後30日以内の再手術例はなく、術後在院日数中央値は結腸がん群で10日、直腸がん群で12日だった。
著者らは、大腸外科領域におけるロボット支援手術の有効性は既に示されている一方、hinotoriに関する臨床データは限られていると指摘した。その上で、本研究では開腹移行例やGrade III以上の重篤な合併症を認めず、既報と概ね同等の短期成績が得られたとして、hinotoriを用いた大腸手術の安全性と実施可能性が示されたと考察した。一方、手術時間は既報よりやや長かったが、高難度症例を含んでいたことや、hinotoriを初めて使用する術者が多かったことが影響した可能性があるとしている。
また、現在はDVSSが手術支援ロボット市場で大きなシェアを占めているものの、hinotoriのような新規プラットフォームの登場は健全な競争につながるとの見方を示した。
治験に関する詳しい解説はこちら
治験・臨床試験は新しいお薬の開発に欠かせません。治験や疾患啓発の活動を通じてより多くの方に治験の理解を深めて頂く事を目指しています。治験について知る事で治験がより身近なものになるはずです。
治験・臨床試験についての詳しい説明参考情報:リンク先
HealthDay News 2026年6月1日
Copyright c 2026 HealthDay. All rights reserved. Photo Credit: Adobe Stock
SMTによる記事情報は、治療の正確性や安全性を保証するものではありません。
病気や症状の説明について間違いや誤解を招く表現がございましたら、こちらよりご連絡ください。
記載記事の無断転用は禁じます。 -
不眠症と心房細動の関連、全国178万人データで検証
不眠症は多くの人が経験する身近な症状であり、生活の質の低下に加え、さまざまな健康リスクとの関連も指摘されている。今回、日本の全国規模データを用いた解析から、不眠症は心房細動の発症リスク上昇と有意に関連することが示され、特に若年層や女性でその傾向が強いことが明らかになった。睡眠の状態が心臓のリズム異常と関連する可能性を示した研究として注目される。研究は、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科循環器内科学分野の増田拓郎氏、江尻健太郎氏、東京大学医学部附属病院循環器内科先進循環器病学講座の金子英弘氏らによるもので、詳細は4月20日付の「Journal of the American Heart Association(JAHA)」に掲載された。
不眠症は臨床現場で頻繁にみられる疾患の一つで、死亡リスクの増加や幅広い慢性疾患との関連が指摘されている。一方、心房細動は高齢者に多くみられる代表的な不整脈で、脳梗塞や心不全などのリスクにもつながる重要な疾患だ。不眠症と心血管疾患との関連を検討した研究は多いものの、心房細動との関連を検討した研究は比較的少なく、一般集団における影響は十分に明らかになっていない。そこで著者らは、日本の全国規模のリアルワールドデータを用いて、不眠症とその後の心房細動発症との関連を検証した。
【不眠症の治験について相談したい方へ】
治験情報の探し方から参加検討まで、専門スタッフが一緒にサポートします解析対象は、2014年4月~2023年8月にDeSCデータベースへ登録された、心房細動を含む心血管疾患の既往がない約178万人で、不眠症と診断されていた人とそうでない人に分けて、その後の新規心房細動の発症リスクを比較した。DeSCデータベースには、診療報酬請求情報に加え、健診データや処方情報などが含まれる。主要評価項目は心房細動の新規発症とし、不眠症の有無による発症リスクをCox比例ハザードモデルで比較した。解析では、年齢や性別に加え、高血圧や糖尿病、睡眠時無呼吸症候群、喫煙、飲酒、身体活動などの影響も調整した。
対象者178万764人のうち、21万6,919人(12.2%)に不眠症が認められた。追跡期間中央値3.7年の間に、2万5,779人(1.4%)が新たに心房細動を発症した。不眠症のある人では、ない人に比べて心房細動発症率が高く(10,000人年当たり57.8 vs 35.4)、各種因子を調整した解析でも、心房細動の発症リスクは有意に高かった。調整後ハザード比は1.14(95%信頼区間1.10~1.18)で、リスクは14%上昇していた。サブグループ解析でも全体と同様の傾向がみられたが、65歳未満および女性では、不眠症と心房細動発症との関連がより強い傾向が示された(P for interaction=0.01、0.03)。
著者らは、本研究により、不眠症を単なる睡眠の悩みにとどまらず、心房細動のリスク因子として捉える重要性が示されたと述べている。その上で、心房細動予防の観点から睡眠管理にも目を向ける必要があり、さらなる研究が求められるとしている。また、不眠症に伴う自律神経の乱れや炎症、ホルモンバランスの変化が、心房細動発症に関与する可能性も指摘している。
本研究の限界点として、日本人中心の保険・健診データを用いた観察研究であり、診断がICD-10コードに依存している点や残余交絡の可能性などが挙げられる。
慢性心不全のセルフチェックに関する詳しい解説はこちら
心不全のセルフチェックに関連する基本情報。最善は医師による診断・診察を受けることが何より大切ですが、不整脈、狭心症、初期症状の簡単なチェックリスト・シートによる方法を解説しています。
心不全のセルフチェックに関連する基本情報参考情報:リンク先
HealthDay News 2026年6月1日
Copyright c 2026 HealthDay. All rights reserved. Photo Credit: Adobe Stock
SMTによる記事情報は、治療の正確性や安全性を保証するものではありません。
病気や症状の説明について間違いや誤解を招く表現がございましたら、こちらよりご連絡ください。
記載記事の無断転用は禁じます。 -
がんリスクに職業差、背景に「見つかりやすさ」の違いも――日本の大規模産業医学研究
職業は、がんリスクに影響するのだろうか。今回、日本の大規模研究で、男性では運輸関連や一部のブルーカラーの職業でがんリスクが高い傾向にあり、医師や教師などの専門職で低いといった傾向が示された。女性でも胃がんや乳がんなどで職業ごとの差がみられたという。ただし、この違いは単純な発症リスクだけではなく、健康診断の受診機会による「見つかりやすさ」や生活習慣の違いも影響している可能性がある。研究は東海大学医学部衛生学公衆衛生学の深井航太氏らによるもので、詳細は4月14日付で「Journal of Occupational and Environmental Medicine」に掲載された。
職業はがんリスクに影響する重要な要因とされるが、これまでの研究は特定の有害物質や高リスク産業に偏り、幅広い職業分類で部位別リスクを包括的に検討した研究は少ない。また、男女差や社会経済的要因、検診による「見つかりやすさ」の違いも十分に考慮されていない。日本は長期雇用により同一職業での曝露が蓄積しやすく、職場で行われるがん検診などにより職業ごとにがんの発見機会が異なる特徴を持つ。本研究は、日本の大規模データを用い、職業別・男女別・部位別のがんリスクを評価し、生活習慣や社会経済的要因、検出バイアスも考慮しながら、職業によるがん格差の実態解明を目的とした。
【がんの治験について相談したい方へ】
治験情報の探し方から参加検討まで、専門スタッフが一緒にサポートします本研究では、2005〜2023年に労災病院グループで実施された入院患者の病職歴調査(Inpatient Clinico-Occupational Database of Rosai Hospital Group:ICOD-R)のデータを用い、多施設による大規模症例対照研究が行われた。労災病院グループは全国34病院からなるネットワークで、診断は医師により国際基準に基づいて記録されている。対象は、がん患者約14万7,000人と、年齢などを一致させた対照群約27万8,000人で構成された。職業は最も長く従事した職種を基準に評価し、喫煙や飲酒などの生活習慣を調整した上で、条件付きロジスティック回帰分析により性別ごとに解析が行われた。
解析の結果、職業によってがんリスクに差が認められ、その傾向は男性でより顕著であった。男性では、肉体労働や運輸関連職でリスクの上昇がみられた一方、医師や教師などの専門職では低い傾向が示された。女性においても職業ごとの差は認められたが、全がんでの差は比較的小さく、がんの種類ごとに異なるパターンがみられた。なお、職業分類ごとの部位別がんリスクの詳細は、論文本文で男女別にヒートマップで示されている。
部位別にみると、男性では専門職で肺がん、胃がん、大腸がんなどのリスクが一貫して低い一方、販売や接客、飲食関連、運輸、建設などの職種で肺がんや大腸がん、肝がんのリスク上昇がみられた。女性では全体として職業差は限定的であったが、電気機械の組立作業に従事する人では、肺がんや胆道がん、胃がんのリスク上昇がみられるなど、特定のがん種で職業との関連が認められた。
ただし、こうした職業差の背景には、「見つかりやすさ」の違いが影響している可能性が指摘された。前立腺がんでは事務系職でリスクが高くみられたが、これは健康診断でPSA検査を受ける機会の違いにより、無症状の段階で発見されやすいことが影響している可能性がある。
著者らは、職業によるがんリスクの差について、実際の発症リスクだけでなく、生活習慣や健康診断の受診機会の違いも反映している可能性があると考察した。今回の知見について、特定の職業が一律に高リスクであることを示すものではなく、職業環境や健康管理機会の違いががんリスクの見え方に影響している可能性を示唆するものと位置づけている。
なお、本研究の限界点として著者らは、病院ベースの症例対照研究であることによる選択バイアスの可能性に加え、転職歴が加味されていないことや、身体活動など一部情報が含まれていない点を挙げている。
肺がんのセルフチェックに関する詳しい解説はこちら
肺がんは初期の自覚症状が少ないからこそ、セルフチェックで早めにリスクを確かめておくことが大切です。セルフチェックリストを使って、肺がんにかかりやすい環境や生活習慣のチェック、症状のチェックをしていきましょう。
肺がんのリスクを症状と生活習慣からセルフチェック!参考情報:リンク先
HealthDay News 2026年5月25日
Copyright c 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock
SMTによる記事情報は、治療の正確性や安全性を保証するものではありません。
病気や症状の説明について間違いや誤解を招く表現がございましたら、こちらよりご連絡ください。
記載記事の無断転用は禁じます。 -
女性アスリートの月経不順増加、婦人科受診拡大後も続く傾向
女性アスリートでは、利用可能エネルギー不足(LEA)に伴い月経周期異常が生じ、健康や競技力に影響することが知られている。今回、日本の女性オリンピック選手を対象とした12年間の調査で、月経不順が増加傾向にある一方、婦人科受診率も大幅に上昇していたことが報告された。婦人科受診率は向上したものの、なお残る健康管理上の課題が浮き彫りとなった。研究はハイパフォーマンススポーツセンター・国立スポーツ科学センター産婦人科医の能瀬さやか氏らによるもので、詳細は4月12日付の「Women’s Health」に掲載された。
女性アスリートでは月経関連症状や月経周期異常が高頻度にみられ、競技活動やパフォーマンス、回復過程にも影響することが報告されている。また、LEAによって健康への影響がみられた状態であるスポーツにおける相対的エネルギー不足(REDs)は月経周期異常と関連し、長期的には骨・心血管系など多方面に影響し得る。しかし、既存研究の多くは横断的かつ欧米中心であり、長期的な変化や地域差は十分に検討されていない。そこで本研究では、日本の女性オリンピック選手を対象に、12年間・7大会にわたるデータを用い、月経関連症状と月経周期異常の有病率および婦人科受診率の経時的変化を検討した。
【月経困難症の治験について相談したい方へ】
治験情報の探し方から参加検討まで、専門スタッフが一緒にサポートします日本の女性オリンピック選手を対象に、2008年北京大会から2020年東京大会(2021年開催)までの夏季・冬季計7大会に参加した選手のデータを解析した。対象は女性954人で、このうちホルモン製剤を継続使用していた選手を除いた786人を主な解析対象とした。婦人科に関する自己記入式アンケートを用い、月経周期の状態、月経関連症状、薬剤使用状況などを評価した。解析では大会ごとの経時的変化をロジスティック回帰分析で検討し、さらに同一選手が複数大会に出場することによる影響を考慮するため、一般化推定方程式(GEE)を用いた補正解析も行った。以上の方法により、本研究は反復横断研究デザインで長期的な傾向を評価した。
月経周期異常は全体の約22.5%に認められ、その内訳は月経不順13.9%、続発性無月経5.3%、初経遅延1.5%、原発性無月経1.8%などであった。12年間の経時的変化をみると、月経不順の有病率は有意に増加していた(オッズ比〔OR〕 1.24、95%信頼区間 1.13~1.37、P<0.001)。この傾向は同一選手の反復参加を考慮した解析(GEE)でも確認された(OR 1.25、P<0.001)。一方、続発性無月経では増加傾向が示唆されたものの統計学的有意差には至らず、原発性無月経や初経遅延には明確な変化は認められなかった。
月経随伴症状では、月経困難症が24.3%、月経前症候群(PMS)が66.9%、過多月経が9.2%に認められた。PMSは最も高頻度にみられた症状であったが、いずれも経時的な有意な変化は認められなかった。一方で月経困難症は主解析では増加傾向にとどまったものの、GEE解析では有意な増加が確認された(OR 1.11、P=0.005)。さらにPMSの個別症状では、怒りっぽさ、むくみ、体重増加などに明確な変化はみられなかった一方、乳房の張りは有意に減少していた。
また、月経周期異常の割合は競技特性によって差がみられ、特に新体操や器械体操、フィギュアスケート、陸上長距離などの審美系や持久系競技で無月経の割合が高い傾向にあった。婦人科受診歴については、全対象で解析した結果、受診率は12.4%から65.3%へと約5倍に増加していた(OR 1.42、P<0.001)。
著者らは、婦人科受診率が上昇した一方で月経不順や月経困難症の増加傾向が持続していることから、医療アクセス改善のみでは十分な健康管理につながらない可能性があると指摘している。月経周期異常は骨や心血管系を含む長期的健康リスクとも関連することから、早期対応と選手・指導者双方の理解と連携が重要と述べている。
本研究の限界として、症状評価が自記式質問票に基づくため想起バイアスの可能性があることに加え、月経周期異常の原因を特定できないこと、対象が日本人エリート女性選手に限られる点を挙げている。
月経困難症のセルフチェックに関する詳しい解説はこちら
月経困難症 症状別のセルフチェックに関する基本情報を掲載しています。症状の重さやどういったことが診断の基準レベルになるのか。生理・生理前アプリや内膜症に関連する病気。まとめた情報を紹介しています。
月経困難症、症状別のセルフチェックに関する基本情報参考情報:リンク先
HealthDay News 2026年5月25日
Copyright c 2026 HealthDay. All rights reserved. Photo Credit: Adobe Stock
SMTによる記事情報は、治療の正確性や安全性を保証するものではありません。
病気や症状の説明について間違いや誤解を招く表現がございましたら、こちらよりご連絡ください。
記載記事の無断転用は禁じます。 -
歯周病とMASLDの関連、女性で顕著――閉経前後で差
歯周病は口腔内の慢性炎症として知られ、全身の代謝異常との関連も指摘されている。今回、健診受診者を対象に歯周病と代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)の関連を検討した結果、女性では両者に有意な関連が認められ、特に閉経前後の年代でその傾向が顕著であることが示された。研究は愛知学院大学歯学部口腔衛生学講座の齋藤瑞季氏、嶋﨑義浩氏らによるもので、詳細は4月8日付で「Clinical and Experimental Dental Research」に掲載された。
脂肪性肝疾患は、一部で肝硬変や肝細胞がんへ進行する可能性があるほか、脳卒中や虚血性心疾患など心血管疾患リスクの上昇とも関連することが知られている。MASLDは従来「非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)」と呼ばれていたが、近年、代謝異常との関連性をより反映した名称へと改訂された。その診断には肥満や糖尿病、高血圧などの代謝異常の有無が考慮される。生活習慣とMASLDの関連は広く報告されており、MASLDの発症や進展に歯周病が関与する可能性も示唆されている。しかし、近年までは主にNAFLDを対象とした研究が中心であり、MASLDとの関連や性差を含めた検討は十分ではなかった。こうした背景のもと、本研究では健診受診者を対象に、歯周病とMASLDの関連および性差について検討が行われた。
【脂肪肝の治験について相談したい方へ】
治験情報の探し方から参加検討まで、専門スタッフが一緒にサポートします本研究は、愛知県の健康診断受診者を対象とした横断研究である。2014年4月~2015年3月に一般社団法人愛知健康増進財団の健康診断を受けた40~74歳を解析対象とした。肝疾患既往、B型肝炎表面抗原(HBs抗原)陽性、摂取アルコール量が20g/日以上の参加者などは除外した。脂肪肝は腹部超音波で判定し、心代謝リスク因子の基準を満たす例をMASLDと定義した。歯周病は地域歯周疾患指数(CPI)で評価し重症度別に分類した。喫煙や運動習慣などを調整し、MASLDとの関連をロジスティック回帰分析で検討、男女別解析や女性の年齢層別解析、性差の交互作用も評価した。
解析対象は6,184人で、このうち1,431人(23.1%)がMASLDと診断された。女性では、歯周病が中等度および重度の群で、歯周病がない群に比べてMASLDのオッズ比がそれぞれ1.40(95%信頼区間:1.04~1.89)、1.64(同1.04~2.59)と有意に高かった。
一方、男性では歯周病とMASLDの関連は調整後に有意ではなかった。女性では50~59歳でのみ有意な関連が認められ、他の年齢層では認められなかった。さらに、非飲酒者に限定した解析でも同様に女性で有意な関連が確認された。
また、性別と歯周病の影響には乗法的交互作用が認められたが、加法的交互作用は認められなかった。これは、歯周病とMASLDの関連の強さには性差があったが、リスクそのものには明確な差は認められなかったことを示す。
著者らは、こうした性差の背景として女性ホルモンの影響を挙げている。特に50~59歳は閉経移行期に相当し、エストロゲンの低下が代謝機能や炎症反応に影響を及ぼす可能性があるとされ、この時期に関連がより強く認められた可能性が示唆されている。
なお、本研究の限界として、横断研究であるため因果関係を明らかにできないことに加え、歯周病評価の精度や超音波による脂肪肝診断の限界、社会経済因子の未調整、単施設データによる一般化可能性の制約などを挙げている。
治験に関する詳しい解説はこちら
治験・臨床試験は新しいお薬の開発に欠かせません。治験や疾患啓発の活動を通じてより多くの方に治験の理解を深めて頂く事を目指しています。治験について知る事で治験がより身近なものになるはずです。
治験・臨床試験についての詳しい説明参考情報:リンク先
HealthDay News 2026年5月18日
Copyright c 2026 HealthDay. All rights reserved. Photo Credit: Adobe Stock
SMTによる記事情報は、治療の正確性や安全性を保証するものではありません。
病気や症状の説明について間違いや誤解を招く表現がございましたら、こちらよりご連絡ください。
記載記事の無断転用は禁じます。 -
膵臓がんの発症リスク、血糖と生活習慣で予測可能か
膵臓がんは早期発見が難しく、診断時にはすでに進行していることが少なくない。今回、静岡県の健診データとレセプトデータを統合した約64万人規模の解析により、血糖指標であるHbA1cや生活習慣が膵臓がんリスクと関連することが明らかになった。研究は、静岡県立総合病院消化器内科の佐藤辰宣氏、名古屋市立大学大学院医学研究科の中谷英仁氏(現・名古屋医療センター臨床研究センター)、静岡社会健康医学大学院大学の田中仁啓氏らのグループによるもので、その詳細は4月6日付で「Pancreatology」に掲載された。
膵臓がんは予後不良ながんとして知られる。一方で、早期に発見できれば5年生存率は80%を超えるとされるが、実際には多くの患者が進行期で診断される。これは、初期には自覚症状に乏しく、血液検査や画像検査でも小さな病変を捉えにくいためである。そのため、症状出現前に発見するには、高リスク者を特定し、重点的に経過観察する戦略が重要となる。しかし、これまでのリスク因子研究では、単独の因子に着目したものが多く、生活習慣や代謝指標を含めて包括的に評価した報告は限られていた。日本では全国規模の健診制度により、血圧、BMI、血液検査、HbA1cなどの情報が広く収集されているが、これらをレセプトデータと統合して膵臓がんリスクを検討した研究は多くない。そこで本研究では、健診データを活用して膵臓がんに関連する因子を再評価し、高リスク者の抽出や将来の早期発見につなげることを目的とした。
【すい臓がんの治験について相談したい方へ】
治験情報の探し方から参加検討まで、専門スタッフが一緒にサポートします著者らは、静岡県国保データベース(SKDB)の2023年度版データ(2012年4月1日~2021年9月30日)を用い、後ろ向き地域住民コホート研究を実施した。対象はコホート期間中に健診を受診した成人で、インデックス日はコホート登録から1年以上経過後に受けた初回健診日とした。膵臓がんまたは他の悪性腫瘍の既往がある者、観察期間が1年未満の者は除外した。主要アウトカムはICD-10コードに基づく膵臓がん発症とし、生活習慣、BMI、血圧、薬剤使用、併存疾患は、健診データ、質問票、処方情報、ICD-10コードをもとに定義した。膵臓がん発症との関連はcause-specific Coxモデルで評価し、モデルの妥当性や多重共線性も確認した。さらに、逆因果の影響を減らすため、インデックス日から2年以内の発症例を除外した感度解析と、年齢・性別によるサブグループ解析も行った。
解析対象は64万1,979人で、追跡期間中央値6.8年の間に4,313人が膵臓がんを発症した。年間発症率は1000人年あたり1.124(95%信頼区間 1.091~1.158)だった。解析の結果、膵臓がんリスクは男性で高く、加齢とともに大きく上昇していた。さらに、代謝異常、膵疾患関連因子、生活習慣のそれぞれが膵臓がん発症と関連していた。特に高血糖との関連では、糖尿病の診断の有無そのものよりも、HbA1c値が膵臓がんリスクとより明瞭な用量反応関係を示した。HbA1c 8%以上ではハザード比(HR)2.85(95%信頼区間 2.29~3.56)に達し、HbA1c 6.0~6.5%程度でもHR 1.37とリスク上昇が認められた。加えて、慢性膵炎、膵嚢胞性病変、高血圧、鉄欠乏性貧血、AST高値、習慣的喫煙も独立したリスク因子だった。一方、脂質異常症やLDLコレステロール高値は膵臓がんリスクと逆相関を示した。
その一方で、糖尿病の診断自体、BMI、大量飲酒は多変量解析では有意な関連を示さなかった。代謝関連因子や生活習慣因子の影響は60歳以上でより顕著であり、インデックス日から2年以内の発症例を除外した感度解析でも、結果は概ね一貫していた。
著者らは、行政請求データと健診データを統合した大規模解析により、日本の一般住民において、代謝因子、生活習慣、膵疾患関連因子が膵臓がん発症に関与することが示されたと述べている。特に、糖尿病の有無そのものではなくHbA1cがリスクと関連したことから、血糖管理の状態がより重要な指標となる可能性が示唆された。また、膵嚢胞性病変は特に強い関連を示しており、画像検査で偶然発見された膵嚢胞もサーベイランス対象として重要である可能性がある。こうした因子を組み合わせてリスク層別化を行うことで、膵臓がんの早期発見戦略の構築につながることが期待される。
ただし、本研究には限界もある。保険請求データに基づく解析であるため診断誤分類の可能性があり、また潜在する膵臓がんそのものによる代謝変化など、逆因果の影響を完全には排除できない点が挙げられる。
糖尿病のセルフチェックに関する詳しい解説はこちら
糖尿病でいちばん恐ろしいのが、全身に現れる様々な合併症。深刻化を食い止め、合併症を発症しないためには、早期発見・早期治療がカギとなります。今回は糖尿病が疑われる症状から、その危険性を簡単にセルフチェックする方法をご紹介します。
糖尿病のセルフチェックに関連する基本情報参考情報:リンク先
HealthDay News 2026年5月18日
Copyright c 2026 HealthDay. All rights reserved. Photo Credit: Adobe Stock
SMTによる記事情報は、治療の正確性や安全性を保証するものではありません。
病気や症状の説明について間違いや誤解を招く表現がございましたら、こちらよりご連絡ください。
記載記事の無断転用は禁じます。 -
性的・ジェンダー少数者の健康格差、心理的・身体的暴力被害が背景か
性的・ジェンダー少数者(SGM)では、非SGMに比べて高血圧や精神疾患などの健康問題のリスクが高い可能性がある。今回、日本のミレニアル世代を対象とした研究で、SGMの高血圧リスクは非SGMの約3倍と推定され、こうした健康格差の背景に暴力被害が関与している可能性が示された。研究は筑波大学人文社会系の松島みどり氏らによるもので、詳細は「Public Health」に3月27日掲載された。
SGMは非SGMに比べて身体的・精神的健康状態が不良であることが報告されており、その背景には差別や心理的・身体的暴力など、少数者であることによって受ける「マイノリティストレス」があると考えられている。しかし、暴力被害がSGMと非SGMの健康格差をどの程度説明するのかは十分に検討されておらず、研究の多くは欧米に集中している。そこで研究グループは、LGBTQをめぐる議論が広がった時代に成長した日本のミレニアル世代(1980年代前半から1990年代半ばに生まれた人たち)に着目し、SGMと非SGMの健康格差とその要因を分析した。
【治験について相談したい方へ】
治験情報の探し方から参加検討まで、専門スタッフが一緒にサポートします本研究は、日本の大規模インターネット調査「JACSIS study」第3波(2022年9月12日~10月19日)のデータを用いた横断研究である。楽天インサイトのパネルを対象としたオンライン調査から、ミレニアル世代の男性5,868人(SGM 986人、非SGM 4,882人)、女性6,253人(SGM 907人、非SGM 5,346人)を解析対象とした。出生時の性別と性自認、性的指向に関する質問からSGMを定義した。健康問題については、若年層で比較的多い高血圧、精神疾患、口腔疾患、慢性疼痛、アレルギーの5つを対象とし、現在診断されているかを自己申告で評価した。ロジスティック回帰でSGMと非SGMの健康格差を推定し、Fairlie分解法を用いて社会経済状況、医療アクセス、健康行動、心理的・身体的暴力被害が格差にどの程度寄与するかを解析した。
対象者のうちSGMは男性16.8%、女性14.6%だった。SGMは非SGMに比べ、検討したすべての健康問題と関連していた。高血圧のオッズ比は男性で3.02、女性で3.83、精神疾患は男性で2.87、女性で1.87だった。
各疾患の有病割合の差(SGMと非SGMの実際の有病率の差)は、男性で11~19%、女性で4~13%で、いずれもSGMで高く、特に精神疾患で大きかった。実際の有病率をみると、男性では高血圧がSGM25.1%、非SGM7.6%、精神疾患がSGM25.7%、非SGM7.1%など、いずれの疾患もSGMで高値であった。女性でも同様にSGMで有病割合は高いものの、その差は男性より小さかった。
また、SGMは心理的・身体的暴力を経験した割合も高く、男性では心理的暴力がSGM42.3%、非SGM20.8%、身体的暴力がSGM39.8%、非SGM17.4%だった。女性でも同様にSGMで暴力経験割合は高かった。
これらの健康格差の要因を分解すると、心理的・身体的暴力被害の寄与が最も大きく、観察された格差の約3分の1~4分の3を説明していた。一方、社会経済状況、医療アクセス、健康行動の寄与は小さかった。著者らは、社会経済状況や医療アクセスだけでは健康格差を十分に説明できず、より広い社会的要因が関与している可能性があると指摘する。これらの結果から、暴力被害が健康格差の主要な説明要因であり、心理的・身体的暴力の双方が関連していたことが示された。
日本はLGBTの法的保護や包摂の面で、OECD諸国の中でも低い評価(2019年時点)とされ、過去20年間で大きな進展はみられていないと指摘されている。2023年に成立した「LGBT理解増進法」は理解の促進を目的としたもので、差別を直接禁止する罰則規定はなく、同性婚も法的に認められていない。著者らは、こうした制度的背景や異性愛を前提とした社会構造がスティグマにつながっている可能性があり、健康格差の是正には政策的対応が重要だと指摘している。
なお、本研究の限界点として、オンライン調査による自己申告データを用いているため疾患の有病率が過小評価されている可能性がある点や、臨床データを含めていない点が挙げられる。
治験に関する詳しい解説はこちら
治験・臨床試験は新しいお薬の開発に欠かせません。治験や疾患啓発の活動を通じてより多くの方に治験の理解を深めて頂く事を目指しています。治験について知る事で治験がより身近なものになるはずです。
治験・臨床試験についての詳しい説明参考情報:リンク先
HealthDay News 2026年5月11日
Copyright c 2026 HealthDay. All rights reserved. Photo Credit: Adobe Stock
SMTによる記事情報は、治療の正確性や安全性を保証するものではありません。
病気や症状の説明について間違いや誤解を招く表現がございましたら、こちらよりご連絡ください。
記載記事の無断転用は禁じます。 -
サプリ「メーカー推奨量超え」約2割、長期使用や錠剤タイプで多い可能性
健康維持のために利用されることの多いサプリメントだが、摂取量によっては栄養素の過剰摂取につながる可能性もある。今回、日本の成人を対象とした調査で、サプリメント利用者の約2割がメーカーの表示する推奨摂取量(メーカー推奨量)を超えて摂取していることが明らかになった。長期使用や錠剤タイプの製品で多い傾向もみられ、過剰摂取の実態と関連要因が示された。研究は、東邦大学医学部社会医学講座衛生学分野の杉本南氏、同予防医療学分野の朝倉敬子氏らによるもので、詳細は3月19日付の「Interactive Journal of Medical Research」に掲載された。
近年、健康維持や栄養補給を目的としたサプリメントの利用は世界的に増加している。一方で、食事に加えてサプリメントから栄養素を摂取することで耐容上限量(UL)を超える可能性があり、過剰摂取による健康リスクが懸念されている。これまでにもサプリメント利用者における上限量超過の実態は報告されているが、メーカー推奨量を利用者が実際に守っているかについての研究は限られている。また、多くの研究は自己申告によるサプリメント使用情報に依存しており、製品特定や摂取量の正確性に課題があった。本研究では購入履歴データを活用し、メーカー推奨量を超えるサプリメント摂取の関連要因と、栄養素のUL超過の実態について検討した。
【治験について相談したい方へ】
治験情報の探し方から参加検討まで、専門スタッフが一緒にサポートします著者らは2024年11~12月にかけて、日本の成人を対象とした横断研究としてオンライン調査を実施した。消費者モニターを利用し、主要25種類のサプリメント製品のいずれかの購入履歴があり、直近1か月以内に使用している、または日常的に使用している18~74歳の成人2,002人を対象とした。質問票で1日当たりのサプリメント摂取量を把握し、製品パッケージに記載されたメーカー推奨量と比較した。さらに、日本人の食事摂取基準に基づくULを基準とし、サプリメント由来のビタミンおよびミネラル摂取量のみからUL超過の有無を評価した。多変量ロジスティック回帰分析を用いて、推奨量を超える摂取と社会人口学的要因との関連を検討した。
参加者の平均年齢は43.7歳で、女性が75.6%を占め、平均BMIは21.6であった。調査対象2,002人のうち371人(18.5%)が、メーカー推奨量を上回ってサプリメントを摂取していた。
推奨量を超える摂取は、中年層、パートタイムまたはフルタイムで就労している人、錠剤型のサプリメント使用者(特に水溶性ビタミンの単剤錠)、サプリメントを6カ月以上継続している人、さらに意図的にメーカー推奨量を超えて摂取していることとも関連していた。メーカー推奨量を超えて摂取していた人のうち15.4%は、自ら過剰摂取であると認識していた。一方で57.1%は推奨量と同程度、10.8%は推奨量以下と認識しており、過剰摂取の自覚がないケースも多かった。
メーカー推奨量を超えて摂取していた群では、実際の摂取量がメーカー推奨量の数倍に達する例もみられ、平均すると水溶性ビタミン単剤では実際の摂取量がメーカー推奨量の3.9倍、葉酸や鉄を含む錠剤型サプリメントでは5.4倍に達していた。
ULが設定されている栄養素を含むサプリメントを摂取していた1,705人のうち、17.4%(297人)がメーカー推奨量を超えて摂取していた。このうち61.9%(184/297)は、少なくとも1種類の栄養素でULを上回っていた。特にビタミンA、ナイアシン、葉酸、マグネシウム、亜鉛では、メーカー推奨量を超えて摂取している人の40~60%がULを超過していた。
著者らは、中年層や長期使用者などでメーカーの表示するサプリメントの推奨量超過が多くみられたと指摘する。こうした摂取は栄養素の過剰摂取につながる可能性があり、過剰摂取の健康リスクについて認識を高める必要があるとしている。
なお、著者らは本研究の限界として、オンライン調査モニターを対象とした点や、摂取量が自己申告である点、複数サプリメントの併用を評価していない点などを挙げている。
治験に関する詳しい解説はこちら
治験・臨床試験は新しいお薬の開発に欠かせません。治験や疾患啓発の活動を通じてより多くの方に治験の理解を深めて頂く事を目指しています。治験について知る事で治験がより身近なものになるはずです。
治験・臨床試験についての詳しい説明参考情報:リンク先
HealthDay News 2026年5月11日
Copyright c 2026 HealthDay. All rights reserved. Photo Credit: Adobe Stock
SMTによる記事情報は、治療の正確性や安全性を保証するものではありません。
病気や症状の説明について間違いや誤解を招く表現がございましたら、こちらよりご連絡ください。
記載記事の無断転用は禁じます。 -
子どもの溺水による心停止、人工呼吸の有無で生存・神経予後に差――全国データ解析
プール監視や学校現場などで遭遇しうる子どもの溺水では、その場での初期対応が転帰を左右するとされている。今回、日本の全国データを用いた研究で、小児の溺水による心停止において、人工呼吸を伴う心肺蘇生(CPR)は胸骨圧迫のみのCPRと比べて、生存および神経予後の点で良好である可能性が示された。研究は岡山大学学術研究院医歯薬学域地域救急・災害医療学講座の小原隆史氏らによるもので、詳細は3月10日付の「Resuscitation」に掲載された。
溺水は世界的に不慮の事故死の主要な原因の一つであり、日本でも小児の事故死の上位を占める。溺水による心停止では、体に酸素が行き渡らなくなるため、人工呼吸を含むCPRが重要と考えられてきた。実際、小児や心臓以外が原因の心停止では、人工呼吸を伴うCPRが胸骨圧迫のみのCPRより良好な転帰と関連することが報告されている。一方、近年は簡便さなどから胸骨圧迫のみのCPRが広く行われるようになっているが、こうした変化が溺水による心停止の転帰に与える影響は十分に検討されていない。そこで本研究では、小児の溺水による院外心停止において、一般市民によるCPRの方法の変化と、生存および神経予後との関連を検討した。
【治験について相談したい方へ】
治験情報の探し方から参加検討まで、専門スタッフが一緒にサポートします本研究では、2012~2023年の全国データを用い、小児(17歳以下)の溺水による院外心停止のうち、一般市民によるCPRが実施された症例を解析した。データは全国の院外心停止症例を登録したデータベース(All-Japan Utstein Registry)から取得し、CPRが行われていない症例やCPRの方法が不明な症例は除外した。対象は、人工呼吸を伴うCPRと胸骨圧迫のみのCPRの2群に分類した。主要評価項目は発生から30日以内の死亡とし、副次評価項目として病院到着前に心拍が再開しなかったこと、および30日後の神経予後不良(重度障害、昏睡、または死亡と定義)を設定した。解析には多変量解析を用い、年齢や目撃の有無による層別解析も行った。
対象となった740例のうち、人工呼吸を伴うCPRは41.6%、胸骨圧迫のみのCPRは58.4%に行われていた。人工呼吸を伴うCPRの割合は、2012年の約45%から2020年以降は約30%に減少していた。人工呼吸を伴うCPRは、特に乳幼児や家族が目撃していたケースで行われることが多かった。
胸骨圧迫のみのCPRは、人工呼吸を伴うCPRと比べて、30日以内の死亡リスクが約38%高く、病院到着前に心拍再開が得られなかった割合も約22%高かった。また、神経予後も不良となる傾向がみられた。こうした差は、目撃者がいない心停止(溺水の場面を直接見ていないケース)や、1~7歳の子どもで特に顕著であった。この結果は、目撃がない症例であっても発見次第速やかに人工呼吸を開始する重要性を示唆する。一方、目撃されていたケースや8歳以上の子どもでは、死亡の差はそれほど大きくなかったが、神経予後には差が認められた。
本研究では、小児の溺水による心停止において、人工呼吸を伴うCPRが減少し、胸骨圧迫のみのCPRが増加している実態が示された。一方で、胸骨圧迫のみのCPRは、人工呼吸を伴うCPRと比べて死亡や神経予後の点で不良であった。溺水のように呼吸が保てなくなる心停止では、人工呼吸が重要な役割を果たす可能性が示唆される。こうした結果は、溺水では人工呼吸を含むCPRを推奨する海外のガイドラインとも一致しており、その重要性を裏付けるものといえる。
著者らは、小児や溺水といった医学的に人工呼吸の効果が期待されるケースにおいても、その重要性が十分に理解されていない可能性を指摘する。その上で、保護者や教職員などを対象に人工呼吸を含むCPR教育を強化することや、救急通報時のオペレーターによる口頭指導において年齢や原因に応じた対応を行うことの重要性を強調している。
治験に関する詳しい解説はこちら
治験・臨床試験は新しいお薬の開発に欠かせません。治験や疾患啓発の活動を通じてより多くの方に治験の理解を深めて頂く事を目指しています。治験について知る事で治験がより身近なものになるはずです。
治験・臨床試験についての詳しい説明参考情報:リンク先1、リンク先2
HealthDay News 2026年4月27日
Copyright c 2026 HealthDay. All rights reserved. Photo Credit: Adobe Stock
SMTによる記事情報は、治療の正確性や安全性を保証するものではありません。
病気や症状の説明について間違いや誤解を招く表現がございましたら、こちらよりご連絡ください。
記載記事の無断転用は禁じます。 -
乾癬は皮膚だけの病気ではない? 重症度と心血管リスクが関連
乾癬は皮膚に症状が現れる慢性炎症性疾患だが、近年では全身性炎症を背景に心血管疾患リスクの上昇との関連も指摘されている。今回、日本人乾癬患者を対象に、心血管リスク評価に用いられる久山町スコアで解析した結果、乾癬の重症度が高いほど心血管リスクが高いことが示された。研究は、東北大学大学院医学系研究科皮膚科学分野の小林愛里氏、照井仁氏(現:米カリフォルニア大学サンフランシスコ校)らによるもので、詳細は「Immunological Medicine」に3月17日付で掲載された。
乾癬は慢性炎症性皮膚疾患であり、近年では心血管疾患との関連が注目されている。乾癬患者では高血圧や脂質異常症などのリスク因子が多く、重症例ほど心血管リスクが高いとされ、日本人においても関連が報告されている。一方で、従来の欧米人での臨床データから作成された評価法では日本人における乾癬患者の心血管リスクを過小評価する可能性がある。そこで本研究では、日本人に適した久山町スコアを用いて乾癬重症度と心血管リスクとの関連を検討した。
【乾癬の治験について相談したい方へ】
治験情報の探し方から参加検討まで、専門スタッフが一緒にサポートします久山町スコアは福岡県久山町の住民データ(久山町研究)に基づき、日本人の10年間の心血管疾患発症リスクを予測する指標である。本研究では、乾癬患者における心血管リスクと重症度との関連を検討するため、久山町スコアを用いた単施設の後ろ向き研究を実施した。2010年から2022年にかけて東北大学病院を受診した40~79歳の乾癬患者119人を対象とし、糖尿病、慢性腎臓病、心血管疾患など既存疾患のある48人を除外した71人を解析対象とした。乾癬の重症度はPASI(Psoriasis Area and Severity Index)スコアで評価し、血圧、脂質プロファイル、喫煙歴などに基づき、対象者を低・中・高リスク群に分類した。群間比較にはWilcoxon検定を用い、年齢や性別、血圧、脂質プロファイルなどで調整したロジスティック回帰分析により高リスクの予測因子を検討した。
解析の結果、乾癬の重症度が高いほど心血管リスクが高いことが示され(p=0.003)、特にPASIスコアが10を超える男性では中~高リスク群に分類される割合が高かった(p=0.049)。女性では重症度と心血管リスクとの間に有意な関連は認められなかった。
血圧や脂質プロファイルなどのリスク因子と心血管リスクとの関連を検討したところ、中~高リスク群では収縮期血圧の上昇(p=0.011)やHDLコレステロールの低下(p=0.017)がみられた。さらにロジスティック回帰分析の結果、収縮期血圧は心血管リスクの独立した予測因子として同定された(p=0.026)。乾癬の罹病期間と心血管リスクとの間に有意な関連は認められなかった。
さらに、性別や年齢で見ると傾向に違いがみられ、特に40代男性では脂質異常がリスク上昇に関与する可能性が示唆された。
著者らは、本研究により久山町スコアを用いることで乾癬患者の心血管リスクを把握できることが示されたと述べている。特に若年層では、血圧やコレステロールの管理がリスク低下に重要であると指摘している。また、乾癬は皮膚疾患にとどまらない全身性の病気であることから、皮膚科医はかかりつけ医や循環器医と連携し、積極的にリスク管理を進めることが望ましいと強調している。
なお、本研究の限界として、単施設の後ろ向き研究で対象が少なく、治療内容や疾患期間の影響も排除できない点が挙げられる。著者らは、より大規模な研究での検証が望まれると指摘している。
治験に関する詳しい解説はこちら
治験・臨床試験は新しいお薬の開発に欠かせません。治験や疾患啓発の活動を通じてより多くの方に治験の理解を深めて頂く事を目指しています。治験について知る事で治験がより身近なものになるはずです。
治験・臨床試験についての詳しい説明参考情報:リンク先
HealthDay News 2026年4月27日
Copyright c 2026 HealthDay. All rights reserved. Photo Credit: Adobe Stock
SMTによる記事情報は、治療の正確性や安全性を保証するものではありません。
病気や症状の説明について間違いや誤解を招く表現がございましたら、こちらよりご連絡ください。
記載記事の無断転用は禁じます。
あなたの体験談を他の患者さんが必要としています。
国の指定難病の1つとして登録されている潰瘍性大腸炎。潰瘍性大腸炎とは大腸の粘膜にびらんや潰瘍ができ、さまざまな症状が出る慢性の病気です。現在の医学では主な原因がはっきりわかっておらず、完全に治すのが難しいとされています。

SearchMyTrialでは、疾患啓発の活動を通じてより多くの方に疾患の理解を深めて頂く事を目指しています。是非、ご協力ください。