• 歯周病とMASLDの関連、女性で顕著――閉経前後で差

     歯周病は口腔内の慢性炎症として知られ、全身の代謝異常との関連も指摘されている。今回、健診受診者を対象に歯周病と代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)の関連を検討した結果、女性では両者に有意な関連が認められ、特に閉経前後の年代でその傾向が顕著であることが示された。研究は愛知学院大学歯学部口腔衛生学講座の齋藤瑞季氏、嶋﨑義浩氏らによるもので、詳細は4月8日付で「Clinical and Experimental Dental Research」に掲載された。

     脂肪性肝疾患は、一部で肝硬変や肝細胞がんへ進行する可能性があるほか、脳卒中や虚血性心疾患など心血管疾患リスクの上昇とも関連することが知られている。MASLDは従来「非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)」と呼ばれていたが、近年、代謝異常との関連性をより反映した名称へと改訂された。その診断には肥満や糖尿病、高血圧などの代謝異常の有無が考慮される。生活習慣とMASLDの関連は広く報告されており、MASLDの発症や進展に歯周病が関与する可能性も示唆されている。しかし、近年までは主にNAFLDを対象とした研究が中心であり、MASLDとの関連や性差を含めた検討は十分ではなかった。こうした背景のもと、本研究では健診受診者を対象に、歯周病とMASLDの関連および性差について検討が行われた。

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     本研究は、愛知県の健康診断受診者を対象とした横断研究である。2014年4月~2015年3月に一般社団法人愛知健康増進財団の健康診断を受けた40~74歳を解析対象とした。肝疾患既往、B型肝炎表面抗原(HBs抗原)陽性、摂取アルコール量が20g/日以上の参加者などは除外した。脂肪肝は腹部超音波で判定し、心代謝リスク因子の基準を満たす例をMASLDと定義した。歯周病は地域歯周疾患指数(CPI)で評価し重症度別に分類した。喫煙や運動習慣などを調整し、MASLDとの関連をロジスティック回帰分析で検討、男女別解析や女性の年齢層別解析、性差の交互作用も評価した。

     解析対象は6,184人で、このうち1,431人(23.1%)がMASLDと診断された。女性では、歯周病が中等度および重度の群で、歯周病がない群に比べてMASLDのオッズ比がそれぞれ1.40(95%信頼区間:1.04~1.89)、1.64(同1.04~2.59)と有意に高かった。

     一方、男性では歯周病とMASLDの関連は調整後に有意ではなかった。女性では50~59歳でのみ有意な関連が認められ、他の年齢層では認められなかった。さらに、非飲酒者に限定した解析でも同様に女性で有意な関連が確認された。

     また、性別と歯周病の影響には乗法的交互作用が認められたが、加法的交互作用は認められなかった。これは、歯周病とMASLDの関連の強さには性差があったが、リスクそのものには明確な差は認められなかったことを示す。

     著者らは、こうした性差の背景として女性ホルモンの影響を挙げている。特に50~59歳は閉経移行期に相当し、エストロゲンの低下が代謝機能や炎症反応に影響を及ぼす可能性があるとされ、この時期に関連がより強く認められた可能性が示唆されている。

     なお、本研究の限界として、横断研究であるため因果関係を明らかにできないことに加え、歯周病評価の精度や超音波による脂肪肝診断の限界、社会経済因子の未調整、単施設データによる一般化可能性の制約などを挙げている。

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    HealthDay News 2026年5月18日
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  • 膵臓がんの発症リスク、血糖と生活習慣で予測可能か

     膵臓がんは早期発見が難しく、診断時にはすでに進行していることが少なくない。今回、静岡県の健診データとレセプトデータを統合した約64万人規模の解析により、血糖指標であるHbA1cや生活習慣が膵臓がんリスクと関連することが明らかになった。研究は、静岡県立総合病院消化器内科の佐藤辰宣氏、名古屋市立大学大学院医学研究科の中谷英仁氏(現・名古屋医療センター臨床研究センター)、静岡社会健康医学大学院大学の田中仁啓氏らのグループによるもので、その詳細は4月6日付で「Pancreatology」に掲載された。

     膵臓がんは予後不良ながんとして知られる。一方で、早期に発見できれば5年生存率は80%を超えるとされるが、実際には多くの患者が進行期で診断される。これは、初期には自覚症状に乏しく、血液検査や画像検査でも小さな病変を捉えにくいためである。そのため、症状出現前に発見するには、高リスク者を特定し、重点的に経過観察する戦略が重要となる。しかし、これまでのリスク因子研究では、単独の因子に着目したものが多く、生活習慣や代謝指標を含めて包括的に評価した報告は限られていた。日本では全国規模の健診制度により、血圧、BMI、血液検査、HbA1cなどの情報が広く収集されているが、これらをレセプトデータと統合して膵臓がんリスクを検討した研究は多くない。そこで本研究では、健診データを活用して膵臓がんに関連する因子を再評価し、高リスク者の抽出や将来の早期発見につなげることを目的とした。

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     著者らは、静岡県国保データベース(SKDB)の2023年度版データ(2012年4月1日~2021年9月30日)を用い、後ろ向き地域住民コホート研究を実施した。対象はコホート期間中に健診を受診した成人で、インデックス日はコホート登録から1年以上経過後に受けた初回健診日とした。膵臓がんまたは他の悪性腫瘍の既往がある者、観察期間が1年未満の者は除外した。主要アウトカムはICD-10コードに基づく膵臓がん発症とし、生活習慣、BMI、血圧、薬剤使用、併存疾患は、健診データ、質問票、処方情報、ICD-10コードをもとに定義した。膵臓がん発症との関連はcause-specific Coxモデルで評価し、モデルの妥当性や多重共線性も確認した。さらに、逆因果の影響を減らすため、インデックス日から2年以内の発症例を除外した感度解析と、年齢・性別によるサブグループ解析も行った。

     解析対象は64万1,979人で、追跡期間中央値6.8年の間に4,313人が膵臓がんを発症した。年間発症率は1000人年あたり1.124(95%信頼区間 1.091~1.158)だった。解析の結果、膵臓がんリスクは男性で高く、加齢とともに大きく上昇していた。さらに、代謝異常、膵疾患関連因子、生活習慣のそれぞれが膵臓がん発症と関連していた。特に高血糖との関連では、糖尿病の診断の有無そのものよりも、HbA1c値が膵臓がんリスクとより明瞭な用量反応関係を示した。HbA1c 8%以上ではハザード比(HR)2.85(95%信頼区間 2.29~3.56)に達し、HbA1c 6.0~6.5%程度でもHR 1.37とリスク上昇が認められた。加えて、慢性膵炎、膵嚢胞性病変、高血圧、鉄欠乏性貧血、AST高値、習慣的喫煙も独立したリスク因子だった。一方、脂質異常症やLDLコレステロール高値は膵臓がんリスクと逆相関を示した。

     その一方で、糖尿病の診断自体、BMI、大量飲酒は多変量解析では有意な関連を示さなかった。代謝関連因子や生活習慣因子の影響は60歳以上でより顕著であり、インデックス日から2年以内の発症例を除外した感度解析でも、結果は概ね一貫していた。

     著者らは、行政請求データと健診データを統合した大規模解析により、日本の一般住民において、代謝因子、生活習慣、膵疾患関連因子が膵臓がん発症に関与することが示されたと述べている。特に、糖尿病の有無そのものではなくHbA1cがリスクと関連したことから、血糖管理の状態がより重要な指標となる可能性が示唆された。また、膵嚢胞性病変は特に強い関連を示しており、画像検査で偶然発見された膵嚢胞もサーベイランス対象として重要である可能性がある。こうした因子を組み合わせてリスク層別化を行うことで、膵臓がんの早期発見戦略の構築につながることが期待される。

     ただし、本研究には限界もある。保険請求データに基づく解析であるため診断誤分類の可能性があり、また潜在する膵臓がんそのものによる代謝変化など、逆因果の影響を完全には排除できない点が挙げられる。

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    糖尿病でいちばん恐ろしいのが、全身に現れる様々な合併症。深刻化を食い止め、合併症を発症しないためには、早期発見・早期治療がカギとなります。今回は糖尿病が疑われる症状から、その危険性を簡単にセルフチェックする方法をご紹介します。

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    HealthDay News 2026年5月18日
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