• 生活習慣病による肝硬変が増加中――全国多施設共同研究の結果

     わが国の肝硬変の原因に関する全国調査の結果が報告された。従来はC型肝炎による肝硬変が多数を占めていたが、その割合は近年減少してきており、かわって非ウイルス性肝炎による肝硬変が増加している実態が明らかになった。

     この報告は全国79施設が参加して行われた多施設共同研究の結果。2018年の第54回日本肝臓学会総会において各施設から報告された、肝硬変患者の原因疾患のデータを、加納総合病院名誉院長の西口修平氏(研究時点の所属は兵庫医科大学肝胆膵内科)らが取りまとめたもの。詳細は「Journal of Gastroenterology」3月号に掲載された。

    肝硬変に関する治験・臨床試験(新しい治療薬)情報はこちら
    郵便番号を入力すると、お近くの治験情報を全国から検索できます。

     解析対象患者数は合計4万8,621人(うち男性が61.6%)で、肝硬変の原因のトップはC型肝炎で48.2%だった。以下、アルコール性肝障害19.9%、B型肝炎11.5%と続き、第4位は、メタボリックシンドロームによる肝炎と考えられている非アルコール性脂肪肝炎(NASH)が6.3%を占めた。

     次に、肝硬変と診断された時期がはっきりしている4万5,834人(全体の96.4%)を対象として、経年的な推移を調べた。診断された年が2007年以前の患者(1万4,051人)、2008~10年の患者(6,506人)、2011~13年の患者(8,284人)、2014年以降の患者(1万6,993人)の4群に分け、原因疾患が占める割合を見ると、以下のように変化していた。

     まず、C型肝炎による肝硬変は、2007年以前は58.6%、2008~10年は50.4%、2011~13年は45.1%、2014年以降は40.2%と減少。B型肝炎による肝硬変も同順に、13.6%、11.1%、9.9%、9.0%と減少していた。これらウイルス性肝炎による肝硬変は、2007年以前には7割を超えていたものが、2014年以降は5割足らずに低下したことになる。

     一方、アルコール性肝障害による肝硬変は、13.7%、19.6%、23.8%、24.9%と増加。NASHによる肝硬変も、2.0%、4.7%、6.2%、9.1%と増加していた。アルコール性肝障害とNASHは、どちらも生活習慣の影響が強い肝障害と言える。それら生活習慣病を経て肝硬変に至る患者の増加が見てとれ、2014年以降に診断された患者では約3人に1人を占めることが分かった。

     このほか、地域別の比較から、B型肝炎による肝硬変の割合は北海道や中国地方で高く、東北や九州では低いことが示された。アルコールによる肝硬変の割合は、北海道、東北、九州で高く、NASHによる肝硬変の割合は、北海道と関東で高かった。北海道ではC型肝炎による肝硬変の割合が低かった。ただしこれらの傾向は既報と一部一致しない点があり、調査手法の違いが影響している可能性もあるという。

     以上の結果を基に研究グループでは、「日本ではC型肝炎がいまだ肝硬変の主要な原因ではある。しかしウイルス性肝炎による肝硬変は減少しつつあり、アルコールやNASHなどの非ウイルス性肝障害による肝硬変が増加している」とまとめている。なお、ウイルス性肝炎による肝硬変が減少したのは、近年の直接作用型抗ウイルス薬(DAA)の普及や肝炎ウイルスに対する医療政策の推進が寄与したのではないかと考察している。

    肥満症のセルフチェックに関する詳しい解説はこちら

    肥満という言葉を耳にして、あなたはどんなイメージを抱くでしょうか?
    今回は肥満が原因となる疾患『肥満症』の危険度をセルフチェックする方法と一般的な肥満との違いについて解説していきます。

    肥満症の危険度をセルフチェック!一般的な肥満との違いは?

    参考情報:リンク先
    HealthDay News 2020年5月18日
    Copyright c 2020 HealthDay. All rights reserved.
    SMTによる記事情報は、治療の正確性や安全性を保証するものではありません。
    病気や症状の説明について間違いや誤解を招く表現がございましたら、こちらよりご連絡ください。
    記載記事の無断転用は禁じます。
  • 自律神経が肝臓の再生促す仕組みを解明 マウス実験で、東北大

    肝臓が大きく傷害されると、自律神経による信号が肝臓内の免疫細胞を刺激して肝臓の再生を促す仕組みが働くことを突き止めた研究成果を、東北大学大学院糖尿病代謝内科学分野准教授の今井淳太氏らの研究グループが「Nature Communications」12月13日オンライン版に発表した。この仕組みを利用することで、意図的に肝臓の再生を促すことが可能になり、肝臓がんや肝障害の新しい治療法の開発につながるものと期待される。

    肝臓が大きく傷つけられると、早期から肝臓の再生が急速に進むことが知られている。しかし、この肝臓再生の意義やメカニズムについてはほとんど分かっていなかった。そこで、今井氏らはマウスの肝臓の70%を切除して重症の肝臓傷害を起こし、肝臓再生のメカニズムを探る実験を実施した。

    肝障害に関する治験・臨床試験(新しい治療薬)情報はこちら
    お近くの治験情報を全国から検索できます。

    その結果、脳からの自律神経による信号によって、肝臓の急速な再生を促すという仕組みを突き止めた。そのメカニズムは、まず、脳からの信号は、迷走神経と呼ばれる全身の臓器の働きを調節する自律神経を介して肝臓に届けられ、次に、迷走神経はアセチルコリンを分泌して肝臓内の免疫細胞(マクロファージ)を刺激して、インターロイキン6(IL-6)の分泌を促す。さらに、IL-6は肝臓細胞内のシグナル伝達経路(FoxM1経路)を活性化することで、肝臓の再生を促すというもの。肝臓内に多数あるマクロファージを刺激することで、神経信号を肝臓全体に波及させる仕組みが働いていると考えられるという。

    研究グループはマウス実験で、この脳からの信号がない状況では、重症肝臓傷害を起こしたマウスの生存率が低下することも見出した。さらに、この状態下でFoxM1経路を活性化させることで生存率の回復に成功した。

    これらの結果を踏まえ、今井氏らは「肝臓がんの外科手術では、がん細胞を含む正常な肝臓を、いかに広範囲に安全域を確保して切除できるかが再発予防に重要となる。今回明らかになった神経信号が肝臓再生を促す仕組みをコントロールすることで、より広範囲な肝臓がんの切除が可能になるだけでなく、肝臓の再生を促し、肝臓切除後の合併症を減らすことにつなげられる可能性もある」と述べている。

    治験に関する詳しい解説はこちら

    治験・臨床試験は新しいお薬の開発に欠かせません。治験や疾患啓発の活動を通じてより多くの方に治験の理解を深めて頂く事を目指しています。治験について知る事で治験がより身近なものになるはずです。

    治験・臨床試験についての詳しい説明

    参考情報:リンク先リンク先2
    HealthDay News 2018年12月25日
    Copyright c 2018 HealthDay. All rights reserved.
    SMTによる記事情報は、治療の正確性や安全性を保証するものではありません。
    病気や症状の説明について間違いや誤解を招く表現がございましたら、こちらよりご連絡ください。
    記載記事の無断転用は禁じます。