• 一定期間の尿酸値の変動幅が腎機能低下速度と関連

    高尿酸血症は痛風との関連で取り上げられることが多いが、腎障害のリスク因子でもある。今回、ある期間の尿酸値の変化量が腎機能(eGFR)低下速度に独立して関連するという、日本人対象の研究結果が「Journal of Clinical Laboratory Analysis」12月27日オンライン版に掲載された。ベースライン時に高尿酸血症であった群よりもむしろ、追跡中に高尿酸血症を新規発症した群のほうが、eGFRの低下速度が速いことも示された。

     愛媛大学大学院医学系研究科地域医療学講座の川本龍一氏らは、住民健診受診者のうち、尿酸低下薬服用中またはeGFR15mL/分/1.73m2未満を除いた1,095人(男性460人、平均年齢68±10歳。女性635人、68±9歳)を3年間追跡し、尿酸値の変化と腎機能の変化の関連を後方視的に解析した。なお、高尿酸血症は尿酸値が男性7.0mg/dL以上、女性6.0mg/dL以上で定義した。

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     ベースラインにおいて、男性の20.2%に当たる93人、女性の12.0%に当たる76人、計169人が高尿酸血症だった。高尿酸血症群は尿酸値が基準値内だった群に比べて、男性の割合、BMI、喫煙・飲酒者率、心血管疾患の既往、拡張期血圧、中性脂肪、降圧薬・血糖降下薬の服用者率が有意に高かった。一方、eGFR、HDL-C、脂質低下薬服用者率は有意に低かった。年齢や収縮期血圧、LDL-C、HbA1cは有意差がなかった。

     追跡期間中の尿酸値とeGFRの変化量の関連を検討すると、ベースライン時に高尿酸血症だった群(r=-0.184、P=0.017)、および基準値内だった群(r=-0.472、P<0.001)ともに、尿酸値の上昇幅が大きいほどeGFRがより大きく低下するという有意な相関が認められた。その相関は、高尿酸血症群よりも尿酸値が基準値内だった群のほうが有意に強かった(P<0.001)。

     eGFRの変化量と関連がみられた因子を説明変数、eGFRの変化量を目的変数とした重回帰分析により、年齢やベースライン時の尿酸値、HbA1c、eGFRとともに、尿酸値の変化量がeGFR低下の独立したリスク因子の1つであることがわかった。

     次に、ベースライン時と追跡終了時の尿酸値カテゴリーをもとに、対象全体を以下の4群に分類し、eGFRの変化との関連を検討した。ベースライン時と追跡終了時ともに尿酸値が基準値内だった「N→N群」(851人)、ベースライン時は基準値内で追跡終了時に高尿酸血症となった「N→H群」(75人)、高尿酸血症だったものが基準値内になった「H→N群」(77人)、高尿酸血症が持続していた「H→H群」(92人)。

     これら4 群の全てが追跡期間中にeGFRは有意に低下していた。追跡終了時のeGFRを多変量調整すると、N→N群70.0mL/分/1.73m2、N→H群65.8mL/分/1.73m2、H→N群70.8mL/分/1.73m2、H→H群69.5mL/分/1.73m2となり、N→H群(高尿酸血症を新規発症した群)のみ他の3群に比較し有意に低値であり(P<0.001)、他の3群の群間差は有意でなかった。

     以上の結果から研究グループは、「尿酸値の変化量が腎機能低下に独立して関連することがわかった。この背景に存在するメカニズムは不明だが、年齢、性別、血圧、脂質、HbA1cなどの交絡因子とは無関係と思われ、さらなる検討が必要」と結論をまとめている。

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    HealthDay News 2020年1月20日
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