• 耳鳴りのデバイス治療、有望性示す

    耳鳴り(耳鳴)の新たな治療法として、耳からの音による刺激に加えて首や頬の皮膚に電気刺激を与える非侵襲的なデバイス治療が有望であることが分かった。

    この治療によって耳鳴患者の症状が軽減し、生活の質(QOL)が向上することが米ミシガン大学のグループによる小規模研究で示されたという。
    詳細は「Science Translational Medicine」1月3日号に掲載された。

    米国では国民の15%に耳鳴があり、絶えず続く耳鳴やそのストレスで仕事や日常生活に支障を来している患者は約200万人に上るという。
    今回の研究を実施した同大学教授のSusan Shore氏らは、これまでの長年にわたる研究から、蝸牛神経核背側核と呼ばれる脳領域の神経細胞である「紡錘細胞」が耳鳴の発生に関与していることを突き止めていた。
    同氏によると、耳鳴患者では本来であれば音が聞こえた時にみられる紡錘細胞の活動亢進が認められ、実際は無音でもこの細胞から聴覚にかかわる脳領域へシグナルが伝達されるため音として認識されてしまうという。

    そこで、同氏らは今回の研究で、聴覚と体性感覚の2種類の感覚を刺激して紡錘細胞からのシグナル伝達を阻害するデバイス治療の有効性について検討した。
    この治療は、患者の耳鳴のピッチに合わせて設定した音をイヤホンから一定の間隔で流し、首や頬などに装着した電極からは弱い電気刺激を一定の間隔で与えるというもの。
    まず、モルモットを用いた実験で刺激を与える最適なタイミングを判定した。

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    次に、「歯を食いしばる」「舌を突き出す」「首を曲げる」といった動きによって一時的に耳鳴の症状に変化がみられる患者20人を対象とした臨床試験を実施した。
    同試験では、対象者の半数(治療群)には1日30分の音と電気刺激を組み合わせたデバイス治療を4週間にわたって受けてもらい、残る半数(偽治療群)には音による刺激のみを与え電気刺激は行わない治療を受けてもらった。
    その後4週間の中断期間を経て治療群と偽治療群を入れ替え、再び4週間の治療を受けてもらった。

    その結果、治療群では耳鳴の症状が有意に改善し、QOLも向上した。これに対し、音による刺激のみの偽治療群では同様の効果は認められなかった。
    Shore氏らによると、治療群では一部の患者から「耳鳴の音の不快さが軽減された」「耳鳴の音を無視することが苦にならなくなった」といった声が聞かれ、完全に症状が消失した患者も2人いたという。

    ただ、今回の研究は小規模なものであったため、同氏らは「今後より大規模な研究で適切な治療の頻度や期間、効果が望める患者の特徴などを明らかにする必要がある」としている。

    米国耳鳴協会(ATA)によると、現在、耳鳴を治癒させる治療法はないが、認知行動療法や音響療法で改善がみられる患者もいるという。
    重症の場合は、脳深部刺激療法や迷走神経刺激法などの侵襲的治療が実施される場合もある。

    今回の研究には関与していない米カリフォルニア大学アーヴァインメディカルセンターのHarrison Lin氏は「この新技術は一部の耳鳴患者の治療で革新をもたらす可能性がある。
    煩わしく、耐え難い耳鳴の症状を軽減する非侵襲的で忍容性の高い治療法に関する今回の報告は、極めて重要なものだ」と評価。
    その上で「将来、この治療法が耳鳴に対する新たな治療選択肢となることに期待したい」と話している。

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    参考情報:リンク先
    HealthDay News 2018年1月3日
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