• 一部のテレビゲームで脳の灰白質が萎縮?    

    アクション型のテレビゲームをプレイする人の一部で、脳の灰白質と呼ばれる部分の萎縮が認められたとする研究結果が「Molecular Psychiatry」8月8日オンライン版に掲載された。ただ、同研究ではゲームをプレイする際の脳の働かせ方やゲームの種類によっては灰白質の容積が増加することも分かったという。

     これまでに、テレビゲームには注意力や短期記憶力を向上させる利点があるとの研究結果が報告されていたが、今回の研究からは、こうしたゲームによる効果を得るには代償を伴う可能性が示唆された。

     この研究は、18~30歳の男女約100人を対象にモントリオール大学(カナダ)のGregory West氏らのグループが実施したもの。参加者にはゲームの熟練プレーヤーと未経験者が含まれていた。

     参加者には、一人称視点で3次元(3D)マップを移動して敵を攻撃するファーストパーソン・シューティングゲーム(FPS)または三人称視点でプレイするサードパーソン・シューティングゲーム(TPS)である「コールオブデューティ」や「バトルフィールド」、「キルゾーン」などのゲーム、あるいは3Dプラットフォームでプレイする「スーパーマリオ」シリーズのゲームを90時間プレイしてもらい、MRI検査を実施して脳の海馬と呼ばれる空間や物事の記憶を司る領域への影響を評価した。

     その結果、「空間的戦略(spatial strategies)」に基づいてゲームをプレイしていた人には、海馬における灰白質の容積の増加が認められた。それに対し、「反応学習(response learning)」に基づいてゲームをプレイしていた人では、灰白質の容積が縮小していたという。West氏らによると、空間的戦略では頭の中に地図を描いて地形を理解するのに対し、反応学習では単に左右に曲がる場所を覚える感覚でゲームを進めるという。

     さらに、プレイ時の脳の働かせ方によって差がみられるだけでなく、「スーパーマリオ」シリーズのゲームをプレイした群では、海馬だけでなく嗅内皮質と呼ばれる脳領域の容積も増加することが示唆された。

     この結果を踏まえ、研究グループの一員でマギル大学(カナダ)准教授のVeronique Bohbot氏は「ゲームをプレイする人が誰でも精神疾患を発症するわけではないが、海馬の灰白質が萎縮した人は統合失調症や心的外傷後ストレス障害(PTSD)、うつ病、アルツハイマー病などのリスクが高いことが分かっている」と説明している。

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     一方、米ステッソン大学のChris Ferguson氏は、今回のようなテレビゲームによる脳への影響に関する研究には問題点があると指摘。「脳にはさまざまな領域があるが、その一部にたまたま認められた差を研究者が大袈裟に取り上げ、その原因はテレビゲームにあるとしている場合もあるのではないか」としている。その上で、同氏は「脳の研究を全体的に見ると、テレビゲームは安全であることが示されている。暴力的なゲームであっても脳に短期的あるいは長期的な悪影響を及ぼすとの報告はなく、脳の変化が実際の行動に関連することを示した研究もほとんどない」と説明している。

     なお、West氏は「成人がシューティングゲームをプレイする時間は週2~3時間以内とすべき」と助言しているが、Ferguson氏は「ゲームによりストレスが軽減され、問題解決能力が向上することを示す研究もある。オフラインでの人付き合いや運動、仕事や学校、家族、十分な睡眠の時間を確保し、ゲーム以外の時間とのバランスを維持できれば、テレビゲームによる脳への有害な影響はない」としている。

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    HealthDay News 2017年8月7日
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