• ホスピス利用は「死の直前から」が多い

    死を迎える前の数カ月間、疼痛や抑うつなどのさまざまな苦痛を伴う症状を経験する高齢者は少なくない。しかし、こうした症状を緩和するホスピスケアを受ける高齢者は一部にとどまっており、ケアを受けたとしても死の直前から受け始める場合が多いことが、米国の前向きコホート研究で明らかになった。

    この研究を実施した米イェール大学内科学のThomasGill氏は「医療従事者は終末期の高齢者にもっと早くホスピスを紹介することを検討すべき」と呼び掛けている。詳細は「JournaloftheAmericanGeriatricsSociety」9月12日オンライン版に掲載された。

    全米ホスピス・緩和ケア協会(NHPCO)によると、米国には独立型のホスピス施設もあるが、ほとんどのホスピスケアが患者の自宅で行われている。
    ホスピスケアでは必要に応じて疼痛コントロールや必要な薬剤の投与、消耗品や備品の提供、介護を担う家族への指導、言語療法や理学療法、カウンセリングなどが実施される。

    なお、米国の高齢者向けの公的医療保険であるメディケアでは、1982年以降、余命6カ月未満と診断された患者のホスピスケアの費用を全額負担しており、個人による負担はない。
    また、多くの民間保険でもホスピスケアは保険でカバーされている。

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    Gill氏らは今回、1998~1999年に登録され、2014年12月までに死亡した地域住民562人のデータを分析した。
    登録時の年齢は70歳以上で、全ての高齢者が健康で自立した生活を送っていた。
    その後約16年間にわたって18カ月ごとに自宅で健康状態の評価が行われ、月1回電話で聞き取り調査が実施された。
    なお、死亡の1年前の時点での平均年齢は86.6歳だった。

    その結果、対象者の多くが死亡するまでの6カ月間に疲労や疼痛、吐き気、抑うつ、不眠、めまいなどの症状を新たに経験しており、こうした症状により家事や買い物、食事の支度、服薬、金銭の管理、階段の昇降、歩行、運転、小さな荷物の持ち運びといった動作が難しくなっていた。
    また、これらの症状が現れると、ホスピスケアを受ける可能性が高まることも示された。

    しかし、死亡前の1年間にホスピスケアを利用した高齢者の割合は43.4%にとどまっていた。
    また、平均利用期間は12.5日で、死亡する直前にホスピスケアを利用し始める高齢者が多い実態が浮かび上がった。

    なお、ホスピスケアを利用した高齢者では利用しなかった高齢者と比べてわずかに高齢で、認知機能の低下がみられる割合が高かった。
    また、がんや認知症の患者では利用率が高かったが、終末期の高齢者で高頻度にみられるフレイル(虚弱)の患者では利用率は低かった。

    今回、ホスピスケアの利用率は低く、利用したとしても死の直前のみという場合が多いことが明らかになったが、その原因についてGill氏は「ホスピスケアを利用するという決断は、『諦めること』を意味していると考える患者や家族が多いからではないか」と考察。

    しかし、実際にはホスピスケアは「患者が症状を管理し、穏やかに終末期を迎えることを助けるための有効な方法だ」と強調している。

    一方、米マウントサイナイ・アイカーン医科大学老年医学・緩和医療学のR.SeanMorrison氏も、今回の報告を受け「米国ではホスピスケアのほとんどが自宅ベースで行われているため、多くの患者が望む自宅での介護を受けられる環境にある」とした上で、「死の直前ではなく、より早い段階からホスピスケアを利用すべき」と話している。

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    参考情報:リンク先
    HealthDay News 2017年9月12日
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