• 慢性腰痛に対する指圧の効果を確認――聖路加国際病院グループ

    慢性腰痛に対する指圧の有効性がランダム化比較試験で示された。聖路加国際病院内科の小林大輝氏らのグループが報告した。研究の詳細は「Complementary Therapies in Medicine」8月号に掲載された。

     指圧は1920年代に日本で開発され、現在は欧米でも補完代替医療の一つとして普及している。しかし指圧の有効性に関する質の高いエビデンスは、これまでのところごく限られたものしかない。小林氏らの研究は、指圧による疼痛改善などの有効性を科学的手法で明らかにしたものとして注目される。

    慢性腰痛に関する治験・臨床試験(新しい治療薬)情報はこちら
    お近くの治験情報を全国から検索できます。

     対象は腰痛が3カ月以上持続し、腰痛特異的評価法であるローランド・モリス障害質問票(RMDQ)のスコアが4点以上の患者59名(平均年齢67.8±13.5歳、男性35.6%)。除外基準は、がん骨転移、細菌性脊椎炎、急性圧迫骨折、膠原病、認知症など。対象を無作為に指圧療法群と標準療法群に群分けした上で、両群ともに世界保健機構(WHO)の疼痛緩和ラダーに基づく除痛治療を開始。それに加えて指圧療法群では最初の4週間にわたり週1回1時間の指圧療法を施行し、次の4週間は標準療法群と同じ治療(除痛治療のみ)を行った。ベースライン時の主な患者背景は両群間で有意な差はなかった。

     主要評価項目は治療開始後4週および8週時点のRMDQスコアとし、二次評価項目として他のスケール〔マクギル疼痛質問表簡易版(SF-MPQM)、オスウェストリー障害指数(ODI)、EQ-5D〕により疼痛と生活の質(QOL)を評価した。

     治療開始から4週経過時点での検討では、疼痛指標のRMDQ、SF-MPQM、ODIは両群とも同程度に改善しており、顕著な群間差は見られなかった。QOLの指標であるEQ-5Dは標準療法群に比し指圧療法群で改善幅が大きい傾向があったが有意ではなかった(P=0.08;ITT解析)。

     その後、指圧療法群も標準療法に移行して4週間介入を継続し、ベースラインから計8週間経過した時点での比較では、一次評価項目のRMDQは引き続き指圧療法群でより大きく改善していたが、有意差には至らなかった(P=0.06)。しかし二次評価項目のSF-MPQM(P<0.05)、ODI(P<0.01)、EQ-5D(P=0.01)はいずれも指圧療法群の改善幅が有意に大きかった。以上より、腰痛に対する標準的な除痛治療に指圧を組み合わせることで、疼痛・QOL改善の上乗せ効果を期待できることが示された。

     本研究の限界として著者らは、プラセボ効果の関与を否定できないことを挙げている。ただし、指圧を含む補完代替医療において、プラセボ効果はそれ自体が有効性の一つと考えられる。よって著者らも本研究の結果について「腰痛に対する厳密な効果というよりも指圧の全般的な有効性を示したものである可能性がある」と論文内で述べている。

    治験に関する詳しい解説はこちら

    治験・臨床試験は新しいお薬の開発に欠かせません。治験や疾患啓発の活動を通じてより多くの方に治験の理解を深めて頂く事を目指しています。治験について知る事で治験がより身近なものになるはずです。

    治験・臨床試験についての詳しい説明

    参考情報:リンク先
    HealthDay News 2019年8月26日
    Copyright c 2019 HealthDay. All rights reserved.
    SMTによる記事情報は、治療の正確性や安全性を保証するものではありません。
    病気や症状の説明について間違いや誤解を招く表現がございましたら、こちらよりご連絡ください。
    記載記事の無断転用は禁じます。
  • 日本人高齢者の腰痛有訴率に社会経済的格差 東北大の研究グループ

    日本人の高齢者における腰痛の有訴率には、社会経済的な格差がみられる可能性があることが、東北大学大学院国際歯科保健学の杉山賢明氏らの研究で分かった。具体的には、教育レベルが低く、所得が低いほど腰痛の有訴率が高いことが示された。同氏らは、医療政策を立案する場合や診療現場では、身体的な側面だけはなく社会的な因子にも目を向けた支援や対策が必要であるとの見解を述べている。研究の詳細は「International Journal for Equity in Health」1月21日号に掲載された。

    多くの人が抱える腰痛は、健康寿命を縮める一因ともなっている。その発症には筋力の低下といった身体的要因だけでなく、心理社会的要因も関連すると考えられているが、教育歴や所得による有訴率の差は明らかになっていない。そこで、杉山氏らは今回、65歳以上の高齢者を対象に、社会経済的状況と腰痛の有訴率との関連を調べる研究を実施した。

    腰痛に関する治験・臨床試験(新しい治療薬)情報はこちら
    お近くの治験情報を全国から検索できます。

    対象は、2013年に日本老年学的評価研究(JAGES)のアンケートに回答した、65歳以上の自立した生活を送っている高齢者2万6,037人。アンケートでは社会経済的状況と過去1年間の腰痛の有無について尋ねた。

    回答によると、対象者の63.4%が過去1年間に腰痛を有していた。対象者を教育歴(9年以下、10~12年、13年以上)で3群に分けて比較したところ、教育歴が最も長い群と比べて、最も短い群では腰痛の有訴率は1.07倍有意に高いことが分かった(有訴率比、95%信頼区間1.02~1.12)。また、最も長く従事した職業(「専門職」「事務職」「肉体労働職」「就労経験なし」)で4群に分けて比較した結果、専門職に就いていた群と比べて、肉体労働に就いていた群ではその有訴率は1.06倍有意に高いことも明らかになった(同1.01~1.11)。

    さらに、対象者を所得で4群に分けて比較したところ、所得が最も高い群と比べて、最も低い群では腰痛の有訴率は1.16倍高かった。同様に、現在の資産で5群に分けて比較しても、資産が最も高い群と比べて最も低い群では有訴率は1.18倍有意に高かった(95%信頼区間はそれぞれ1.10~1.23、1.11~1.27)。

    これらの結果を踏まえ、杉山氏らは「高齢者の腰痛の有訴率には社会経済的な格差が存在することが示された。このため、これらに関連する因子を考慮した対策が必要である」と述べている。

    治験に関する詳しい解説はこちら

    治験・臨床試験は新しいお薬の開発に欠かせません。治験や疾患啓発の活動を通じてより多くの方に治験の理解を深めて頂く事を目指しています。治験について知る事で治験がより身近なものになるはずです。

    治験・臨床試験についての詳しい説明

    参考情報:リンク先リンク先2
    HealthDay News 2019年5月7日
    Copyright c 2019 HealthDay. All rights reserved.
    SMTによる記事情報は、治療の正確性や安全性を保証するものではありません。
    病気や症状の説明について間違いや誤解を招く表現がございましたら、こちらよりご連絡ください。
    記載記事の無断転用は禁じます。