• 花粉症時のアイウォッシュ、その使用傾向が調査で明らかに

     アイウォッシュ(洗眼)は花粉症シーズンの目のトラブル対策として有効な手段だが、洗眼剤の使用傾向は年齢、既往歴、生活習慣などの違いによって異なる、とする研究結果が報告された。若年層、精神疾患の既往、コンタクトレンズ(CL)利用者などが洗眼剤使用に関連する因子であったという。研究は順天堂大学医学部眼科学講座の猪俣武範氏らによるもので、詳細は「Scientific Reports」に3月10日掲載された。

     洗眼剤の使用はアレルギー性結膜炎の初期症状の軽減に効果的であるとされるが、現在、花粉症患者における洗眼剤使用の疫学的特徴に関しては知識のギャップが存在している。このギャップを埋めることは、花粉症管理において包括的でエビデンスに基づいた洗眼剤のガイドラインを作成するために不可欠である。そのような背景から、研究グループは花粉症患者における洗眼剤使用者と非使用者を総合的にプロファイリングし、花粉症とセルフケアの習慣に関連するパターンと特徴を特定することを目的とした大規模疫学研究を実施した。

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     花粉症患者の人口統計、既往歴、ライフスタイル、花粉症の症状などの疫学情報は、順天堂大学が花粉症研究のために開発したスマートフォンアプリケーション「アレルサーチ」より収集された。収集された1万7,597人のうち、研究に同意し、花粉症を有していた9,041人が最終的な解析対象に含まれた。

     解析対象9,041人のうち、3,683人(40.7%)が洗眼剤を使用しており、年齢層は20歳未満(47.6%)の割合が最も多かった。洗眼剤使用群では非使用群に比べ、年齢が若く、体格指数(BMI)が高く、薬による高血圧の割合が低く、精神疾患の既往、ドライアイ(DE)診断、腎臓病の既往の割合が高いことが観察された。さらに、洗眼剤使用群ではCLの使用頻度が高く、花粉症シーズンでその使用を中止している割合は低かった。喫煙は洗眼剤使用群で非使用群より有意に高かった。また、ヨーグルトの摂取は、洗眼剤使用群で多かった。

     次に単変量および多変量ロジスティック回帰分析を実施し、花粉症患者における洗眼剤使用の関連要因を検討した。その結果、年齢が若い、BMIが高い、精神疾患の既往歴あり、CL使用歴あり、現在のCL使用、1日当たりの睡眠時間が短い(6時間未満)、喫煙歴あり、ヨーグルトの頻繁な摂取、鼻症状スコアが低い、非鼻症状スコアが高い、DE症状がある(軽度~重度)などが、洗眼剤使用の独立した関連因子であることが明らかになった。

     また、花粉症関連の眼症状を有する患者の洗眼剤非使用に関連する独立因子は、高齢であること、BMIの低さ、1日当たりの睡眠時間の短さ、DE症状がある(中等度~重度)であった。

     本研究の結果について著者らは、「今回の解析結果から、高齢者や重度のDE患者が花粉症の眼症状に洗眼剤を使用していない可能性があることが浮き彫りにされた。これは、花粉症の予防と管理に対する市販の洗眼薬の有効性、副作用、安全性プロファイルについて、今後の花粉症対策や社会的な取り組みを考える上で重要な意味をもつかもしれない」と述べている。

     本研究の限界点については、選択バイアスの影響を受け一般化が制限されている可能性があること、自記式調査を採用していることから、想起バイアスや過剰報告の可能性があること、横断研究であるため、洗眼とBMIやヨーグルト摂取などの要因との因果関係を評価できないことなどを挙げている。

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    HealthDay News 2025年4月14日
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  • 6歳まで持続する牛乳アレルギー、約半数は12歳までに耐性獲得

     6歳の時点で牛乳アレルギー(cow’s milk allergy;CMA)が持続していても、約半数の子どもは12歳になるまでに耐性を獲得するという調査結果を、国立病院機構相模原病院小児科の研究グループが「Pediatric Allergy and Immunology」に12月24日発表した。研究では学童期にCMAが持続する3つの危険因子を同定。危険因子を全て保有すると耐性を獲得しにくい可能性も示された。

     即時型CMAを有する小児は、就学前までに約50~90%が耐性を獲得すると報告されている。しかし、これらの研究は乳幼児期に追跡調査を開始しているため、学童期にCMAが持続する場合の耐性獲得率は明らかになっていない。責任著者の柳田紀之氏らは同病院に通院し、6歳の時点でCMAが持続している児を12歳になるまで後ろ向きに調査し、牛乳への耐性を獲得する割合の推移を明らかにした。

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     対象は、6歳の時点でCMAが持続して見られた小児80人(男児69%)。38%(30人)は牛乳によるアナフィラキシーの既往があり、50%(40人)は食事から牛乳を完全に除去していた。6歳時点の牛乳特異的IgE抗体価(CM-sIgE)の中央値は12.0kUA/Lだった。なお、経口免疫療法を受けた児は解析から除外した。

     耐性獲得は、非加熱牛乳200mLの食物経口負荷試験結果が陰性だった場合、または、アレルギー症状を呈することなく非加熱牛乳200mLを家庭で摂取可能な場合と定義し、どちらの基準も満たさない場合をCMA持続と判定した。主要評価項目は12歳までの牛乳に対する耐性獲得とし、CMA持続の危険因子についても評価した。

     分析の結果、9歳までに25人(31%)が、12歳までに58%(46人)が耐性を獲得した。多変量Cox回帰分析から、CMAが持続する危険因子として、ベースライン時(6歳時点)のCM-sIgE高値(調整ハザード比2.29、95%信頼区間1.41~3.73、至適カットオフ値は12.7kUA/L)、牛乳によるアナフィラキシーの既往(同2.07、1.06~4.02)および牛乳の完全除去(同3.12、1.46~6.67)の3つが判明した。これらの危険因子をいずれも保有しなかった児の86%が12歳までに耐性を獲得したのに対し、危険因子を全て保有する14人のうち耐性を獲得した児はいなかった。

     以上から、著者らは「IgE依存性即時型CMAの自然経過を検討した結果、6歳までCMAが持続していた児は、経口免疫療法を受けた子どもを除くと12歳までに58%が耐性を獲得することが分かった。この耐性獲得率はピーナツアレルギーの21.5%(4~20歳、海外からの報告)よりも高いが、われわれが過去に報告した鶏卵アレルギーの60.5%(6~12歳)とほぼ同程度だった」と結論。また、「本研究ではCMAが持続する3つの危険因子が判明し、経口免疫療法を考慮すべき小児についても特定することができた」と述べている。

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    HealthDay News 2024年2月5日
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