• 白内障手術を受けた人は幸福感が上昇――慶大など

     白内障の手術を受けた人は、手術を受ける前に比べて主観的幸福感が有意に高くなるというデータが報告された。慶應義塾大学医学部眼科の根岸一乃氏らが行った調査の結果であり、詳細は「Scientific Reports」に10月14日掲載された。

     白内障は眼のレンズである水晶体が濁る、高齢者に多い病気で、かすみ目や羞明(まぶしさ)、視力の低下などが現れる。ほとんどの場合、水晶体を人工眼内レンズに置き換える手術によって視機能が回復する。この手術による視機能回復とともに、生活の質(QOL)が向上することが報告されている。根岸氏らは今回、主観的幸福感に及ぼす手術の影響に焦点を当て、変化の有無と変化に影響する因子を検討した。

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     検討対象は、2016年6月~2018年6月に、慶應義塾大学病院および複数の関連施設で白内障手術を受けた患者のうち、調査に協力した247人(平均年齢67.9±11.4歳、女性59.9%)。手術前後の1カ月に、主観的幸福感尺度(Subjective Happiness Scale;SHS)と、ピッツバーグ睡眠質問票(Pittsburgh Sleep Quality Index;PSQI)に基づき睡眠の質を評価、また術後1カ月に手術に対する満足度を評価した。

     なお、白内障には主に、水晶体の周辺部が濁る「皮質白内障」、水晶体の背側が濁る自覚症状が比較的強い「後嚢下白内障」、水晶体の中央部が濁る「核白内障」というタイプがある。今回の検討対象者では、皮質白内障が71人、後嚢下白内障が54人、核白内障(5段階の進行レベルのうち3以上)が54人を占めていた。また、同時期に両眼の手術を受けた人が173人、片眼のみ手術を受けた人が74人だった。手術は全て超音波水晶体乳化吸引術という、標準的な方法で行われた。

     結果について、まず手術前と手術後の変化を見ると、視力関連指標が手術後に改善していたことに加えて、主観的幸福感(SHS)が手術前の4.6±0.7から手術後は4.8±0.7になり、有意な上昇が認められた(P=0.007)。また、睡眠の質(PSQI)も5.1±2.7から4.8±2.7となり、有意な改善が認められた(P=0.009。PSQIスコアは低いほど睡眠の質が高いことを意味する)。なお、手術に対する満足度は5点満点中4.2±0.9だった。

     手術前の主観的幸福感に関連する因子として、多変量解析の結果、核白内障と矯正視力の2つが、有意な関連因子として見いだされた。次に、手術後の主観的幸福感に関連する因子を見ると、高齢であること、および、手術前の主観的幸福感が高いという2項目が、有意に正相関する因子だった。

     続いて、手術前から手術後の主観的幸福感の変化に関連する因子を検討すると、手術後の満足度スコアが高いことのみが有意な因子として抽出された(β=0.169、95%信頼区間0.051~0.287、P=0.005)。そこで、手術後の満足度スコアに関連する因子を検討すると、術後の主観的幸福感の他に、後嚢下白内障の解消(β=0.277、同0.033~0.520、P=0.026)と、術後の睡眠の質が高いこと(β=-0.041、同-0.079~-0.003、P=0.035)が有意に関連していた。

     これらの結果をもとに著者らは、「白内障手術は視機能だけでなく、患者の主観的幸福感も改善する可能性があることが示された。その主観的幸福感は手術に対する満足度と関連しており、手術に対する満足度は、睡眠の質の改善と後嚢下白内障の解消の影響を受けることが明らかになった」と結論付けている。

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    HealthDay News 2020年11月16日
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  • 白内障手術で高齢女性の寿命が延びる?

    白内障手術を受けた高齢女性は視力が改善するだけでなく、寿命も延長する可能性があることが、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)のAnne Coleman氏らによる研究で示された。

    詳細は「JAMA Ophthalmology」10月26日オンライン版に掲載された。

    今回の研究の対象は、米国で実施された女性健康イニシアチブ(Women’s Health Initiative;WHI)に参加した65歳以上の女性のうち白内障と診断された女性7万4,044人(平均年齢70.5歳)。
    このうち4万1,735人は白内障手術を受けていた。

    人口学的要因や合併症、喫煙、飲酒の有無のほか、BMI(体格指数)、身体活動量などで調整して解析した結果、手術を受けた女性では、手術を受けなかった女性と比べて全死亡リスクが60%低かった。
    また、血管疾患や呼吸器疾患、がん、事故、神経疾患、感染症など原因別の死亡リスクも37~69%の低下が認められた。

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    この結果を踏まえ、Coleman氏らは「白内障手術を受けるメリットは視力改善だけにとどまらない可能性がある」との見方を示している。
    ただし、同氏らは「男性にもこの結果が当てはまるかどうかは不明だ」としている。

    なお、この研究結果は因果関係を示すものではない。
    また、この研究では死亡リスクに影響しうる肥満などの生活習慣に関連した要因が考慮されてはいるが、手術を受けることを選択した女性は自身の健康管理を積極的に行うタイプの女性である可能性もある。

    この研究結果について、米ノースウェルヘルスの眼科医であるMatthew Gorski氏は「なぜ白内障手術が死亡リスクの低減に寄与するのかが明確に示されていない」と指摘。
    その上で「眼科検診の重要性をあらためて示した研究結果ともいえる」と付け加えている。

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    参考情報:リンク先
    HealthDay News 2017年10月26日
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