-
11月 15 2021 睡眠の質が便秘の症状を左右する?――国内Web調査からの推察
便秘の症状に睡眠の質が影響している可能性を示す研究結果が報告された。愛知医科大学消化管内科の春日井邦夫氏、同総合診療科の山本さゆり氏らが行ったWeb調査の解析結果であり、「Journal of Neurogastroenterology and Motility」に10月15日、論文が掲載された。
便秘の一部には重大な器質性の疾患が隠れていることもあるが、大半は機能性の便秘であり症状のコントロールが治療目的となる。そのような機能性便秘は、食事や運動、睡眠などの生活習慣により症状が変化しやすい。これらの因子はいずれも概日リズム(1日24時間周期の生理活動)を変動させて、排便の回数や便の性状などに影響を及ぼす。ただし、食事や運動と便秘の関連を個々に検討した研究は少なくないが、睡眠と便秘、および生活習慣全般との関連を検討した研究は多くない。山本氏らは、これらの因子は互いに関連があるとの仮定のもと、以下の検討を行った。
便秘に関する治験・臨床試験(新しい治療薬)情報はこちら
郵便番号を入力すると、お近くの治験情報を全国から検索できます。Web調査サイトを用い1万人に「自分は便秘だと思うか」という質問をして、「はい」と回答した20~69歳の成人4,908人から、器質性便秘や二次性便秘の患者を除外。その上で、性別、年齢、居住地域を全国調査のデータにマッチさせた3,000人を抽出し解析対象とした。このうち、「よく眠れているか」との質問に1,269人(42.3%)が「はい」と回答し、1,731人(57.7%)は「いいえ」と回答した。後者の睡眠不良群は前者の睡眠良好群に比べて男性の割合が多く(52.5対46.9%、P=0.003)、若年(45.2±12.8対47.4±14.0歳、P<0.001)だった。BMIは有意差がなかった。
主要評価項目であるブリストル便形状スケール(BSFS)は、睡眠良好群と不良群との間に有意な差が認められた。具体的には、BSFSのタイプ4(滑らかで柔らかい標準的な便)の割合は睡眠良好群の方が有意に高く(P=0.001)、BSFSタイプ1(コロコロした固い便)やタイプ2(ゴツゴツした固い便)の割合は睡眠不良群の方が多かった(P値は同順に0.016、0.002)。また、ピッツバーグ睡眠質問票による睡眠の質や時間、日中の機能障害などの評価は、交絡因子を調整後も睡眠不良群の方が有意に低かった(入眠潜時と睡眠効率の群間差は非有意)。
二次評価項目として設定されていた、過敏性腸症候群(IBS)の重症度(IBS-SI-J)、IBS関連QOL尺度(IBS-QOL-J)、うつレベル(HADS)なども全て、睡眠不良群の方が状態の悪化を示しており、有意差が認められた。また、排便回数、腹痛、残便感などの排便に関連する症状の多くが睡眠不良群で有意に多く見られた。喫煙や運動不足、朝食欠食、間食、就寝前の摂食、体重増加など、非健康的な生活習慣についても、睡眠不良群の方が有意に多く認められた。
睡眠良好群に該当することを目的変数とする多変量解析の結果、高齢〔1歳ごとにオッズ比(OR)1.012(95%信頼区間1.006~1.071)〕、BSFSタイプが3~5(ほぼ標準的な便)であること〔OR1.217(同1.044~1.419)〕の2項目が正の関連因子として抽出された。反対に負の関連因子として、男性〔女性に対してOR0.783(0.675~0.907)〕、排便回数の変化〔OR0.832(0.714~0.968)〕、残便感の頻度が25%以上〔OR0.627(0.533~0.737)〕、用手的排便の頻度が25%以上〔OR0.696(0.491~0.988)〕が抽出された。
これらの結果を基に著者らは、「便秘と睡眠障害、生活習慣とが相互に関連しているという仮説を支持する結果が得られた。便秘や睡眠の問題を抱えている人のQOL向上には、全般的な生活習慣も含めた多因子への介入が必要と考えられる」と結論付けている。また、BSFSタイプが3~5であることが良好な睡眠に独立して関連していたことから、「便秘患者の便の性状を正常に近づける治療により、睡眠の質が向上する可能性があるのではないか」との考察を加えている。
慢性便秘のセルフチェックに関する詳しい解説はこちら
慢性便秘症のセルフチェックに関連する基本情報。確認方法や現状の状態がどうかわからない。度合いのチェック、タイプ別の紹介。男性、女性の診断や改善。ストレスが原因の可能性など情報をまとめています。
-
11月 13 2017 腸内細菌を整える?ミヤBMについて解説!
ミヤBMについてミヤBMは主成分の善玉菌によって腸内細菌を整えることで、お腹にまつわる諸症状に効きます。はじめに下痢や軟便、便秘といったいわゆるお腹のトラブルは腸内細菌のバランスが乱れることで起こります。
腸内細菌には善玉菌と悪玉菌が存在します。
善玉菌はお腹の調子を整える働きがあります。
逆に悪玉菌が増え過ぎることでお腹のトラブルが起こります。
そこで善玉菌を薬として取り入れることで悪玉菌を減らしてお腹のトラブルを改善します。
本項ではそんな善玉菌を含んでいるミヤBMについて解説します。整腸剤に関する治験・臨床試験(新しい治療薬)情報はこちら
お近くの治験情報を全国から検索できます。ミヤBMとは?ミヤBMは1968年から販売されている歴史の古い薬です。
ミヤBMは生菌製剤に分泌されます。
ミヤBMには細粒と錠剤の2タイプが存在します。
ミヤBM細粒は1g中に宮入菌末を40mg含有しています。
ミヤBM錠は1錠に宮入菌末を20mg含んでいます。ミヤBMと同じ宮入菌を含んだ整腸薬が市販薬として販売されています。
ミヤBMに含まれる宮入菌って?宮入菌は酪酸菌とも呼ばれます。
ミヤBMは腸炎ビブリオ菌、サルモネラ菌、腸管病原性大腸菌などの病原菌の発育を抑制します。
宮入菌はアミラーゼ、ビタミンB群(B1・B2・B12・ニコチン酸・葉酸)を産生します。これらは他の善玉菌が働く為に必要な栄養素ですので、宮入菌によって善玉菌が増えて腸内細菌が整えることができます。
ミヤBMの用法・用量は?ミヤBM細粒の場合は通常、成人1日1.5~3gを3回(毎食後など)に分割して服用します。
ミヤBM錠の場合は通常、成人1日3~6錠を3回に分割して服用します。
ミヤBMの副作用・注意事項は?ミヤBMの副作用は今のところ報告されていません。
また組み合わせの悪いお薬もありません。まとめミヤBMについて解説しました。
様々な病原性大腸菌による下痢や軟便に対応していますが、薬だけを飲んでいればよいとあうわけではありません。
下痢の状態では脱水症状を起こしている場合が多いです、
しっかりと水分補給を行うようにしましょう。治験に関する詳しい解説はこちら
治験・臨床試験は新しいお薬の開発に欠かせません。治験や疾患啓発の活動を通じてより多くの方に治験の理解を深めて頂く事を目指しています。治験について知る事で治験がより身近なものになるはずです。
SMTによる記事情報は、治療の正確性や安全性を保証するものではありません。
病気や症状の説明について間違いや誤解を招く表現がございましたら、こちらよりご連絡ください。 -
11月 03 2017 便秘に「小さな足置き台」が有効な可能性
もし便秘に悩んでいるなら、小さな足置き台をトイレに用意すると良いかもしれない―。排便しやすくなる姿勢を保つ足置き台の使用によって短時間でスムーズに排便できることが健康な男女52人を対象とする前向き研究で示された。この研究結果は世界消化器病学会議(WCOG 2017、10月13~18日、米オーランド)で発表された。
欧米人は一般的に椅子に座るときと同じようにトイレの便座に座る。
しかし、座った状態よりもスクワットの姿勢の方が内臓をスムーズな排便に適した角度に保ちやすいという。そこで、米オハイオ州立大学ウェクスナー医療センターのRohan Modi氏らは今回、便座に座った時にスクワットの姿勢を保つことのできる足置き台の使用が排便パターンにどのように影響するのかについて検討するため、健康な研修医の男女52人(平均年齢29歳、女性が40.1%)を対象に前向き研究を実施した。
研究で使用された足置き台は便器の下に設置するタイプのもので、米国では既に市販されているという。便秘に関する治験・臨床試験(新しい治療薬)情報はこちら
お近くの治験情報を全国から検索できます。なお、対象者は健康ではあったが、研究開始時に28.8%が「排便後に残便感がある」と報告し、44.2%が「排便時のいきみ」を訴えていた。さらに、55.8%が「過去1年間に排便後トイレットペーパーに血が付いていたことがある」と回答していた。
計1,119回の排便(足置き台を使用した排便が384回、足置き台なしでの排便が735回)を対象に解析した結果、排便にかかった時間は足置き台なし群の5.60分に対して足置き台使用群では4.24分と有意に短縮していた(P<0.001)。
また、足置き台使用群では排便時のいきみの評価スコアや残便感も有意に改善していた(いずれもP<0.001)。さらに研究対象者の67.3%(35人)が研究終了後も引き続き足置き台を使用する意向を示していた。特に研究開始時に残便感を訴えていた対象者は、長期間にわたって使用を継続する確率が高かった。Modi氏は「アジアやアフリカ、中東などではスクワットの姿勢で排便することは珍しくないが、先進国では西洋型の便器を使用するのが一般的になっている。しかし、慢性の便秘に悩んでいる人には、足置き台が排便時間やいきみ、残便感に良い影響をもたらす」と説明。その上で、「足置き台は非薬物療法の選択肢の1つとなる可能性がある」と期待を示している。
ただし、同氏は「特に高リスク患者に対する有効性を調べるにはさらなる研究が必要だ」としており、便秘など排便の問題に悩む人に対して「まずは通常の排便習慣について医師に率直に話すことが重要」と強調している。
なお、この研究で使用された足置き台は販売元の米Squatty Potty社が提供したが、それ以外で同社は研究に関与していない。また、同社からの資金提供もなかったとされている。
治験に関する詳しい解説はこちら
治験・臨床試験は新しいお薬の開発に欠かせません。治験や疾患啓発の活動を通じてより多くの方に治験の理解を深めて頂く事を目指しています。治験について知る事で治験がより身近なものになるはずです。
HOME>便秘