• 便秘薬を使用する人ほど排便満足度が低い

     便秘に悩む日本人を対象として、使用している便秘薬の種類や便秘薬に支払う金額などと排便に対する満足度との関連が検討された。その結果、便が硬い人、複数の便秘薬を使用している人、支払い金額の多い人ほど、排便満足度は低いことが明らかとなった。愛知医科大学消化管内科の山本さゆり氏、春日井邦夫氏らによる研究であり、「Journal of Clinical Medicine」に5月30日掲載された。

     便秘は一般的な消化器疾患であるが、慢性便秘は睡眠やメンタルヘルス、生活の質(QOL)のみならず、仕事の生産性などにも悪影響を及ぼすことが報告されている。便秘の治療には、処方薬だけでなく市販薬も使用される。また、医師は便の性状や排便回数などから治療効果を客観的に評価する傾向があるが、患者の治療満足度には主観的評価も含まれ、便秘の問題とその治療については個人差が大きい。

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     著者らは今回、インターネット調査データから日本全国の便秘に悩んでいる人を3,000人抽出し、男性1,503人(平均年齢46.1±13.4歳)、女性1,497人(同46.2±13.3歳)を対象とする研究を行った。排便満足度の評価には「IBS-QOL-J」という指標を用いた(スコアが高いほど満足度が高いことを示す)。便の形状・硬さは「ブリストル便形状スケール(BSFS)」により7タイプに分類した。また、使用している便秘薬の種類や入手方法、便秘薬への1カ月間の支払い金額(または支払い可能金額)などを調査した。

     便秘薬の種類として、刺激性下剤、浣腸・座薬、塩類下剤、不明(覚えていない)に分けて検討した結果、どの種類でも、便秘薬を使用していた人は使用していなかった人に比べ、IBS-QOL-Jのスコアが有意に低いことが明らかとなった。浣腸・座薬と塩類下剤の併用はスコアが最も低く、刺激性下剤と浣腸・座薬の併用を除き、他の便秘薬の単独使用または併用と比べてスコアが有意に低かった。また、便秘薬の入手方法別に検討したところ、医師処方による購入、薬局購入、インターネット購入のいずれも、スコアがわずかながら有意に低かったことから、排便満足度は便秘薬の入手方法とは無関係であることが示唆された。

     さらに、1カ月間の支払い金額について、1,000円未満(男性の73.7%、女性の75.7%)、3,000円未満(同18.7%、19.1%)、5,000円未満(同5.0%、3.6%)、5,000円以上(同2.6%、1.6%)で比較した結果、1,000円未満のIBS-QOL-Jスコアが最も高く、金額が高くなるにつれて排便満足度は低下していた。また、BSFSタイプ1(兎糞状便)とタイプ2(硬便)の人は、タイプ3以上の人に比べ、スコアが有意に低かった。

     今回の研究結果から著者らは、「治療の種類や費用を含むさまざまな因子が排便満足度と関連していることが示唆された」と総括。患者が不適切な下剤を選択する、用法用量が不正確であるという場合や、治療により便の形状などが改善しても腹部膨満感など他の症状が悪化する可能性があることなどを指摘する。また、少数の適切な治療薬かつ最小限の費用で十分な排便が得られると患者の満足度が向上しやすいことから、「適切な治療薬を見極め、食習慣や運動習慣を改善することが望まれる」と述べている。 便秘に悩む日本人を対象として、使用している便秘薬の種類や便秘薬に支払う金額などと排便に対する満足度との関連が検討された。その結果、便が硬い人、複数の便秘薬を使用している人、支払い金額の多い人ほど、排便満足度は低いことが明らかとなった。愛知医科大学消化管内科の山本さゆり氏、春日井邦夫氏らによる研究であり、「Journal of Clinical Medicine」に5月30日掲載された。

     便秘は一般的な消化器疾患であるが、慢性便秘は睡眠やメンタルヘルス、生活の質(QOL)のみならず、仕事の生産性などにも悪影響を及ぼすことが報告されている。便秘の治療には、処方薬だけでなく市販薬も使用される。また、医師は便の性状や排便回数などから治療効果を客観的に評価する傾向があるが、患者の治療満足度には主観的評価も含まれ、便秘の問題とその治療については個人差が大きい。

     著者らは今回、インターネット調査データから日本全国の便秘に悩んでいる人を3,000人抽出し、男性1,503人(平均年齢46.1±13.4歳)、女性1,497人(同46.2±13.3歳)を対象とする研究を行った。排便満足度の評価には「IBS-QOL-J」という指標を用いた(スコアが高いほど満足度が高いことを示す)。便の形状・硬さは「ブリストル便形状スケール(BSFS)」により7タイプに分類した。また、使用している便秘薬の種類や入手方法、便秘薬への1カ月間の支払い金額(または支払い可能金額)などを調査した。

     便秘薬の種類として、刺激性下剤、浣腸・座薬、塩類下剤、不明(覚えていない)に分けて検討した結果、どの種類でも、便秘薬を使用していた人は使用していなかった人に比べ、IBS-QOL-Jのスコアが有意に低いことが明らかとなった。浣腸・座薬と塩類下剤の併用はスコアが最も低く、刺激性下剤と浣腸・座薬の併用を除き、他の便秘薬の単独使用または併用と比べてスコアが有意に低かった。また、便秘薬の入手方法別に検討したところ、医師処方による購入、薬局購入、インターネット購入のいずれも、スコアがわずかながら有意に低かったことから、排便満足度は便秘薬の入手方法とは無関係であることが示唆された。

     さらに、1カ月間の支払い金額について、1,000円未満(男性の73.7%、女性の75.7%)、3,000円未満(同18.7%、19.1%)、5,000円未満(同5.0%、3.6%)、5,000円以上(同2.6%、1.6%)で比較した結果、1,000円未満のIBS-QOL-Jスコアが最も高く、金額が高くなるにつれて排便満足度は低下していた。また、BSFSタイプ1(兎糞状便)とタイプ2(硬便)の人は、タイプ3以上の人に比べ、スコアが有意に低かった。

     今回の研究結果から著者らは、「治療の種類や費用を含むさまざまな因子が排便満足度と関連していることが示唆された」と総括。患者が不適切な下剤を選択する、用法用量が不正確であるという場合や、治療により便の形状などが改善しても腹部膨満感など他の症状が悪化する可能性があることなどを指摘する。また、少数の適切な治療薬かつ最小限の費用で十分な排便が得られると患者の満足度が向上しやすいことから、「適切な治療薬を見極め、食習慣や運動習慣を改善することが望まれる」と述べている。

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    HealthDay News 2024年7月29日
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