• インフル大流行で米国の輸血用血液が不足

    この冬、米国を襲った厳しい寒さとインフルエンザの大流行は、輸血用血液の供給にも打撃を与えている。

    インフルエンザの感染者は献血できないため、献血者が減少したことに加え、悪天候で献血活動の中止が相次いだことから、輸血用の血液や血小板が不足した状況が続いているという。

    米国赤十字社によると、悪天候のため中止された同社の献血活動は今年に入ってからだけで既に500件を超えている。
    中止によって集めることができなかった血液や血小板の量は推定で約6,000Lに達するという。
    悪天候に加えてインフルエンザ感染を理由に献血を控えざるを得ない人が増えたことも、輸血用血液の減少に拍車をかけた。

    「今シーズンのすさまじいインフルエンザの流行は、輸血用の血液や血小板の不足という予期せぬ事態を招いた」と米レノックス・ヒル病院の救急医であるRobert Glatter氏は話す。
    同氏は「インフルエンザを発症した人やインフルエンザ様の症状がある人は、完全に回復するまで献血は控えるべきだ」としているが、「インフルエンザワクチンを接種したばかりの人は、それを理由に献血を避ける必要はない」と強調。

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    ワクチンを介してインフルエンザが感染するリスクはないため、症状がなく献血者としての基準さえ満たしていればワクチンを接種したばかりでも献血はできるとしている。

    米国赤十字社血液サービス・コミュニケーション部門長のJodi Sheedy氏によると、同社では通常、少なくとも5日分の血液や血小板を備えておくようにしている。
    しかし現在、献血によって提供された血液はすぐに供給に回されている状況だという。

    特に深刻なのは血小板の不足だ。
    血小板はがんなどの慢性疾患や外傷の患者にとってなくてはならないもので、米国では30秒ごとに血小板を必要とする状況が発生していると推定されている。

    ただ、献血によって得られた血小板は保存できる期間が5日間と短いため、コンスタントに提供してもらう必要があるとSheedy氏は説明している。

    その上で、同氏は「献血のために必要な時間は1時間程度で、実際に血液を採取する時間はわずか5~10分だ。

    一方、血小板を提供するために必要な時間は約2時間半とより長いが、血小板は常に必要とされており、重要性も高い」と話し、献血への協力を呼び掛けている。

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    HealthDay News 2018年1月22日
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  • 毎年のワクチン接種で高齢者のインフル重症化リスクが低下

    毎年必ずインフルエンザワクチンを接種している高齢者は、インフルエンザの重症化による入院や死亡のリスクが低いとする研究結果が「CMAJ」1月8日オンライン版に掲載された。

    研究を実施したナバーラ大学健康研究所(スペイン)のJesus Castilla氏らは「ワクチン接種によって完全に感染を防げるわけではないが、重症化しやすい高齢者も繰り返し接種すれば感染しても軽症で済むことが裏付けられた」としている。

    Castilla氏らは今回、スペインの病院20施設で2013/2014および2014/2015のシーズンにインフルエンザによって入院した65歳以上の高齢患者のうち一般入院患者598人と、集中治療室(ICU)での治療を要したか入院後30日以内に死亡した重症患者130人、さらに一般入院患者群と重症患者群の対照群として年齢や性、入院日をマッチさせたインフルエンザ以外の原因による入院患者(それぞれ1,493人、333人)のデータを分析した。

    その結果、入院したシーズンおよびそれ以前の3シーズンの計4シーズンに連続してインフルエンザワクチンを接種していた患者では、接種していなかった患者と比べてインフルエンザの重症化が原因でICUでの治療が必要となるリスクが74%、死亡するリスクが70%低かった。

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    一方、1シーズンのみの接種ではインフルエンザの重症化を予防する効果は認められなかった。この結果を踏まえ、Castilla氏らは「高齢者でのインフルエンザの重症化の予防には毎年ワクチンを接種することが重要だ」との見解を示している。

    米疾病対策センター(CDC)によると、米国では毎年数十万人がインフルエンザのため入院しており、2010~2017年の年間死亡者数は1万2,000~5万6,000人と推定されている。
    高齢者は免疫系が弱いため、感染すると重症化しやすい。このため、入院が必要な状態となったり、合併症を発症したりすることが多く、死亡に至る場合もある。

    米クリスティアナケア・ヘルスシステムのMarci Drees氏は「最も重要なことは、今年のワクチンの効果がどの程度なのかは気にせず予防接種を受けることである」と強調。
    「米国では今シーズンのワクチンは流行中のインフルエンザウイルスの型に対して予防効果が低い可能性があると指摘されているため、ワクチン接種の意義を疑う人もいるかもしれないが、毎年欠かさず受けることで入院やICUでの治療が必要な状態になるリスクを抑えることができる」としている。

    また同氏は今後の研究課題について触れ、「小児を含めたより若い集団でも毎年のワクチン接種によって同様の予防効果が得られるか否かを明らかにする必要がある」と話している。

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    HealthDay News 2018年1月8日
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  • 米国でインフルエンザが猛威、ほぼ全土に感染拡大

    米国でインフルエンザが猛威をふるっている。米疾病対策センター(CDC)は1月12日の記者会見で、今シーズンは近年まれに見る規模で流行しており、ハワイ州とコロンビア特別区を除いた49州に感染が広がっていることを明らかにした。

    CDCインフルエンザ予防部門のDaniel Jernigan氏は会見で「米国のインフルエンザの感染マップで全土が同じ色に染まったのは今回が初めて」と話した。
    また、今シーズンは通常よりも早くインフルエンザが流行し始めたが、同氏は「おそらく現在が流行のピークだろう」との見方を示した。
    ただ、流行が収束する時期について見通しは立っておらず、「少なくともあと11~13週は続くだろう」とした。

    インフルエンザによる入院患者も急増しており、この1週間に人口10万当たりの入院患者数が13.7人から22.7人にほぼ倍増したことも明らかになった。
    入院患者で最も多くを占めるのは65歳以上の高齢者だが、50~64歳の中年層でも入院率が上昇しているという。
    インフルエンザが原因で死亡した小児患者は12日までに20人と報告されていることも分かった。

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    今シーズンに流行しているインフルエンザの80%はワクチンが効きにくいH3N2型であることに加え、寒さが厳しい冬となったことが深刻な事態を招いた可能性があるとの見解も示された。

    なお、ワクチンの予防効果に関する詳細な分析は今後行われる予定だが、Jernigan氏は「H3N2型に対する予防効果は30%程度と予測している」と話した。

    ただし、CDC長官のBrenda Fitzgerald氏は「インフルエンザワクチンは完璧なものからは程遠いが、インフルエンザを予防するための最良の方法であることに変わりはない」と強調し、「未接種者は今からでも接種してほしい」と呼び掛けた。

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    HealthDay News 2018年1月12日
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  • 「卵アレルギーでもインフル予防接種は安全」米学会が見解

    米国アレルギー・喘息・免疫学会(ACAAI)は12月19日、「卵アレルギーのある人でもインフルエンザワクチンの接種は安全であり、医療従事者が接種前に卵アレルギーの有無を確認する必要もない」とする診療指針(practice parameter)を発表した。

    指針の全文は「Annals of Allergy, Asthma and Immunology」2018年1月号に掲載されている。

    ACAAI食物アレルギー委員会の委員長で、今回の指針の筆頭著者である米コロラド大学アレルギー・免疫部門のMatthew Greenhawt氏は「インフルエンザワクチンの接種前に医療従事者が卵アレルギーの有無を確認することは多いが、今後はそのような必要はないことを医療従事者や一般の人たちに認識してもらいたい」と話す。
    また同氏によると、卵アレルギーがある人がインフルエンザワクチンを接種する場合も特別な対応は必要ないという。

    インフルエンザワクチンの多くは鶏卵で培養したインフルエンザウイルスを使用しているため、わずかに卵由来のタンパク質が含まれている。
    しかし、2011年以降に発表された研究データでは、卵アレルギーがある人ではインフルエンザワクチンの接種によるリスクがアレルギーのない人を上回ることはないという明確なエビデンスがあるという。

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    ACAAIは、今回の指針に関するプレスリリースで「これまでに、卵アレルギーの人でもアレルギー反応を起こさずにインフルエンザワクチンを接種できることを示した研究結果が数多く報告されている。
    これは、インフルエンザワクチンに含まれている卵由来のタンパク質の量が、たとえ重度の卵アレルギー患者であってもアレルギー反応を引き起こすほどではないためだ」と説明している。

    なお、これまでのACAAIの指針では、卵アレルギーがある人へのインフルエンザワクチン接種は安全のためにアレルギー専門医がいる医療施設で行うことが推奨されていた。
    しかし、今回発表された新指針ではその必要はないとしているほか、卵アレルギー患者に対して卵由来の物質が含まれていないワクチンを特別に用意したり、接種後の観察期間を通常よりも延長したりする必要はないとの見解が示されている。
    また、接種前に卵アレルギーの有無を確認することさえ不要だとしている。

    ACAAIによると、この新指針は米疾病対策センター(CDC)や米国小児科学会(AAP)の勧告と同じ方針だという。「米国では毎年インフルエンザによって数多くの人々が入院し、死亡している。
    その多くはワクチンによって予防できるはずだ」と今回の指針の共著者である米スクリプス・クリニックのJohn Kelso氏は強調する。

    また、同氏は「卵アレルギーは小児に多くみられ、小児はインフルエンザにも罹患しやすい」と指摘。「卵アレルギーがある小児を含むあらゆる人々に対してインフルエンザワクチンの接種を奨励することが極めて重要だ」としている。

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    HealthDay News 2017年12月19日
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  • 妊娠中にインフルエンザに罹ったら

    インフルエンザは普段から危険な状態をもたらしうる疾患ですが、妊娠中はさらに警戒する必要があります。女性は誰でも毎年ワクチンを接種することが推奨されています。

    それでも妊娠中にインフルエンザに罹ってしまったら、以下のように適切に対処しましょう。

    • できる限り早く治療を始めましょう。抗ウイルス薬は発症から48時間以内に使用すれば最も高い効果を発揮します。
    • 抗ウイルス薬を使用すると症状が早くよくなるだけでなく、母体や胎児の深刻な合併症を予防することができます。
    • 医師から経口薬オセルタミビル(タミフル)の服用を勧められることがあります。この薬については十分な研究が実施されています。
    • 妊娠中の発熱と先天異常リスクの関連が認められています。発熱がみられる場合は、すぐに医師に相談しましょう。

    情報元:米疾病対策センター(CDC)

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    HealthDay News 2017年12月12日
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  • 糖尿病患者がインフルエンザに罹ったら

    インフルエンザは急速に発症し、筋肉痛、高熱、悪寒などの症状をもたらします。糖尿病のある人は、インフルエンザに罹る前に備えておくことが重要です。
    • 血糖値を測定する頻度を増やし、ケトン体を監視するよう医師から勧められることがあります。
    • インフルエンザが治るまでの間、薬を調整するよう医師から指示されることがあります。
    • 咳止めシロップや鼻づまりの薬など、インフルエンザの症状を改善する薬には糖が含まれる場合があることを知っておきましょう。
    • 水分を十分に摂取しましょう。
    • 身体が感染症と戦うための栄養を摂取するために、普段通りの食事を取りましょう。

    情報元:National Diabetes Foundation

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    糖尿病とは?血糖値や症状に関する基本情報。体内のインスリン作用が不十分であり、それが起因となり血糖値が高い状態が続いていきます。症状など分類別に解説しています。

    糖尿病とは?血糖値や症状に関する基本情報

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    HealthDay News 2017年12月4日
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  • 「毎年インフル予防接種で免疫低下」説にエビデンスなし

    「毎年インフルエンザの予防接種を受けると次第に免疫力が低下していく」と信じる人がいるが、そのようなエビデンスはない。むしろ、インフルエンザワクチンの接種歴が1回だけという人よりも、毎年接種してきた人の方が、免疫力が高いことを示した研究結果があるという。

    この研究は、ベルゲン大学(ノルウェー)臨床科学部のRebecca Cox氏らが実施したもの。以前、繰り返しワクチンを接種することでウイルスなどに感染した細胞を破壊するキラーT細胞(CD8陽性T細胞)の働きが阻害されることが、動物実験と免疫の低下した小児を対象とした研究で示されていた。
    そこで同氏らは健康な成人でも繰り返しインフルエンザワクチンを接種すると免疫が低下するのかどうか調べたという。

    対象は、2009年にインフルエンザワクチンを接種し、それ以降は接種したことがない医療従事者と、同年以降も毎年ワクチンを接種していた医療従事者の計250人。
    インフルエンザの流行シーズンが始まる前またはワクチン接種時に採取された血液サンプルを用い、抗体価とキラーT細胞およびヘルパーT細胞(CD4陽性T細胞)の活性を評価した。

    その結果、ワクチンを接種した人では接種回数にかかわらずインフルエンザウイルスの感染を予防できるレベルの抗体価が維持されていた。
    また、接種歴が1回だけの人と比べ、毎年接種していた人ではヘルパーT細胞の活性が高く、ウイルス感染と戦う能力が高いことが示された。

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    呼吸器専門医である米レノックス・ヒル病院のLen Horovitz氏は「毎年予防接種を受けてもウイルスから身を守るもう1つの防御力が失われるわけではないことを示した研究結果であるといえる」と説明。

    一方、米ノーザン・ウェストチェスター病院の感染症診療部門に所属するDebra Spicehandler氏も「この研究結果は、毎年インフルエンザワクチンを接種しても、自然免疫は低下しないことを示している」と話している。

    Cox氏らによる研究の詳細は「The Journal of Infectious Diseases」3月号に掲載されている。

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    HealthDay News 2017年11月21日
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  • 高病原性H7N9鳥インフルエンザ、感染拡大の可能性も

    現在は中国にとどまっているとみられているH7N9鳥インフルエンザの感染が、今後より広い地域へと拡大する可能性があることが、米ウィスコンシン大学マジソン校/東京大学医科学研究所教授の河岡義裕氏らによる研究で示唆された。

    これまで、H7N9鳥インフルエンザがヒトからヒトに感染するのかどうかは不明だったが、最近見つかった高病原性のH7N9鳥インフルエンザウイルスが、哺乳類から哺乳類へと飛沫感染することが明らかになったという。
    この研究結果は「Cell Host & Microbe」10月19日オンライン版に掲載された。

    中国でH7N9鳥インフルエンザのヒトへの感染が初めて確認されたのは2013年だった。その後、これまでに同国を中心に約1,600人が感染し、このうち約600人が死亡した。
    これらはヒトに感染すると死亡率は高いが、家禽では感染しても無症状あるいは軽い呼吸器症状や下痢などの症状のみで済むことが多い低病原性H7N9鳥インフルエンザウイルスの感染例だった。

    ところが、2016年に家禽にも全身症状や死亡をもたらす高病原性H7N9鳥インフルエンザウイルスが中国で検出され、2017年には同国でこの高病原性ウイルスの家禽からヒトへの感染例も確認された。
    現時点では低病原性と高病原性のいずれのウイルスについても全てのヒト感染例は家禽からの感染例とみられており、ヒトからヒトへの感染例はないと考え

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    られているが、今後ウイルスが変異してさらに毒性や薬剤耐性、感染性が強まる可能性はあるという。

    河岡氏らは今回、中国の感染者から分離された高病原性H7N9鳥インフルエンザウイルスの性状を解析するとともに、マウスとフェレットを用いた実験で哺乳類から哺乳類に感染するのかどうか、また既存の抗ウイルス薬による効果はあるのかどうかについて調べた。

    その結果、高病原性H7N9鳥インフルエンザウイルスのウイルス粒子表面にあるタンパク質(ヘマグルチニン)にヒト型受容体への認識を高める変異があり、哺乳類で効率良く増殖できる能力を有していることが明らかになった。

    また、同ウイルスをフェレットに感染させたところ、肺や脳で増殖し、死に至っただけでなく、フェレット間で飛沫感染すること、それによって感染したフェレットも死ぬことが分かったという。

    さらにマウスの実験では、高病原性H7N9鳥インフルエンザウイルスは既存のノイラミニダーゼ阻害薬(オセルタミビル、ザナミビル、ラニナミビルなど)への感受性は低いが、現在日本でのみ承認(ただしパンデミック発生時の使用に限定)されているRNAポリメラーゼ阻害薬のファビピラビルを使用すれば増殖を抑制できることが示された。

    この研究報告を受け、米国感染症学会(IDSA)公衆衛生委員会の委員長であるMatthew Zahn氏は重要なポイントとして(1)高病原性H7N9鳥インフルエンザウイルスは公衆衛生に重大なリスクをもたらしうる(2)ウイルスは絶えず進化するため、それによるリスクも変化する可能性がある―という2点を挙げ、「監視を継続することの重要性があらためて強調された」としている。

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  • 高用量インフルワクチンで介護施設入居者の入院リスク低下

    介護施設に入居する高齢者では、従来ワクチンの4倍量の抗原を含む高用量インフルエンザワクチン(商品名:Fluzone)を接種すると、インフルエンザで入院するリスクを大幅に低減できることが新たな研究で示された。研究を率いた米ブラウン大学のStefan Gravenstein氏は、「本研究では対象者の4分の1が90歳以上であり、高用量ワクチンが超高齢者にも有効であることが示された」と話している。

     本研究はワクチンの製造元であるSanofi-Pasteur社の支援により実施され、結果は「Lancet Respiratory Medicine」7月20日オンライン版に掲載された。

     研究では、米国38州823カ所の介護施設に入居する65歳以上の高齢者3万8,256人を対象として、2013~2014年のインフルエンザシーズンのメディケア請求データを分析した。これらの施設は、入居者に高用量インフルエンザワクチンを接種する施設と、標準用量のワクチンを接種する施設にランダムに割り付けられていた。

     その結果、同シーズンの半年間の呼吸器疾患による入院の発生率は、標準用量群の3.9%に対して高用量群では3.4%で、約13%の入院リスクの低下が認められた(調整後の相対リスク0.873、95%信頼区間0.776~0.982)。さらに、呼吸器疾患以外の原因による入院を含めた全体的な入院率も、高用量群で大幅に低下することが分かった。

     「今回認められた入院リスクの低下のうち、呼吸器疾患を主な原因とする入院による影響は3分の1にとどまった。高用量インフルエンザワクチンは呼吸器疾患以外の原因による入院の回避にも有用だと考えられる」と、Gravenstein氏は述べている。

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     なお、今回の結果を踏まえると、入居者に接種するワクチンを標準用量のものから高用量のものに変更した場合、69件変更するごとに1件、シーズン中の入院を回避できることになるという。一方で、全体の死亡率にはワクチンの種類による影響は認められなかった。

     Gravenstein氏によると、過去にも高齢者に対する高用量ワクチンの有効性を示した1件の研究があるが、比較的健康な人を対象としたものだった。そのため、介護施設に入居するフレイル(虚弱)の高齢者にも効果が認められるのか、確認する必要があったという。

     重篤患者のケアの専門家である米スタテン・アイランド大学病院のTheodore Strange氏は「慢性疾患を抱える患者では、入院せずに住み慣れた環境で過ごすことで生活の質(QOL)が向上する」と話し、「今回の研究は適切にデザインされたものであり、医療費およびQOLの両面で重要なものだ」と結論づけている。さらに同氏は「高用量ワクチンへの変更には費用がかかるが、患者の入院を回避することによる利益の方が上回る」との見解を示している。

     米ノースウェル・ヘルス、プレインビュー・シオセット病院のAlan Mensch氏は「この研究で死亡率への影響がみられなかったのは、研究を実施したシーズンは比較的弱いウイルス株が主に流行していたためだろう」と指摘。また、「全ての人に一律の用量が適するわけではなく、医学的な状態や性、年齢に合わせた個別化医療を目指す必要がある」として、その観点からも今回の知見は役立つだろうと述べている。

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  • インフルワクチン、パッチを貼るだけで接種が可能に?

    実験段階にあるインフルエンザワクチンパッチの安全性と有効性が確認された、とする予備的研究の結果が「The Lancet」6月27日オンライン版に掲載された。このパッチは絆創膏ほどのサイズで、皮膚を貫通する程度の長さの極めて微小な針(マイクロニードル)が100本付いており、針は皮膚内で溶解するという。研究を実施した米ジョージア工科大学などのグループは「注射に代わって痛みを伴わないワクチン接種法となる可能性がある」としている。

     今回報告された研究は「第1相試験」と呼ばれる開発の初期段階のもの。米エモリー大学で登録された18~49歳の男女100人を、①医療従事者がマイクロニードルパッチを貼って不活化インフルエンザワクチンを接種する群、②医療従事者が筋肉注射により同ワクチンを接種する群、③医療従事者がパッチを貼ってプラセボを接種する群、④被験者自身がパッチを貼ってワクチンを接種する群の4群にランダムに割り付けた。

     その結果、パッチ群では筋肉注射群と同程度の免疫応答が誘導されることが示された。この効果は被験者が自分でパッチを貼った場合でも同様に認められた。一方、重篤な副作用はみられず、発赤や軽度のかゆみなどの局所的な皮膚反応が認められたが、2~3日で消失した。

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     今回の研究を支援した米国立生物医学画像・生物工学研究所(NIBIB)のRoderic Pettigrew氏は、「絆創膏サイズのこのパッチは、将来、ワクチン接種のあり方を変える可能性がある」と強調。「特に魅力的な特徴」として、ワクチン接種の希望者にパッチを郵送し、自分で接種してもらえる可能性や、インフルエンザ以外のワクチンにもこの技術を応用できる可能性を秘めていることを挙げている。

     また、付随論説を執筆した英イングランド公衆衛生局のKatja Hoschler氏らは、このパッチの優れた特徴として価格の安さや安全性、保管の簡便性、耐久性などを挙げ、「医療資源の乏しい地域に住む人や、ワクチンを受けたがらない人に対しても、理想的な選択肢となる可能性がある」としている。

     米レノックス・ヒル病院のLen Horovitz氏もこれに同意し、「標準的なワクチンは何度も常温に曝されると力価が失われる場合があるが、このパッチは冷蔵保存の必要がなく、使用期限が長い」としている。

    Abstract:リンク先
    HealthDay News 2017年6月27日
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