• 米国で2剤目の遺伝子治療薬、特定の血液がん治療で承認

    米食品医薬品局(FDA)は10月18日、血液がんの一種である大細胞型B細胞性リンパ腫の成人患者に対する治療薬として、キメラ抗原受容体T細胞(CAR-T)療法と呼ばれる遺伝子治療に使用するaxicabtagene ciloleucel(商品名Yescarta)を承認したと発表した。

    8月には同じCAR-T療法の新薬であるKymriahが小児および若年者の急性リンパ性白血病の適応で承認されており、Yescartaは米国で2剤目の遺伝子治療薬となる。

    Yescartaの適応は、2種類以上の治療を受けたが奏効しなかったか、治療後に再発した成人の大細胞型B細胞性リンパ腫〔びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)、原発性縦隔B細胞性リンパ腫、高悪性度のB細胞性リンパ腫など〕。
    中枢神経系原発悪性リンパ腫(PCNSL)は適応外とされている。

    大細胞型B細胞性リンパ腫のうちDLBCLは成人の非ホジキンリンパ腫として最も頻度の高いタイプのもので、米国では年間7万2,000人が非ホジキンリンパ腫を新たに発症し、その約3分の1がDLBCLだという。

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    Yescartaによる治療では、患者から白血球の一種であるT細胞を採取し、遺伝子操作によりリンパ腫細胞を標的として死滅させる新たな遺伝子を組み込み、この細胞を再び患者の体内に注入する。今回の承認の根拠とされているDLBCLを含む大細胞型B細胞性リンパ腫患者100人超を対象とした多施設共同臨床試験では、治療後の完全寛解率は51%に達していたという。

    FDAのScott Gottlieb氏は「今回のYescartaの承認は、重篤な疾患の治療における全く新しいパラダイムの構築で節目となるものだ。わずか数十年の間に遺伝子治療は“有望な概念の1つ”から現実的な治療法へと進化した」とコメント。

    一方、米ワシントン大学臨床腫瘍学のArmin Ghobadi氏も「がん治療における新たな時代が始まった。CAR-T療法があれば、患者自身の細胞を、がんを攻撃する強力な武器に作り替えることができる。これは極めて高度な個別化医療であり、さまざまな種類のがんに対する効果が期待できる」と話している。

    ただし、Yescartaにもリスクはある。
    FDAによれば、重篤な副作用として高熱やインフルエンザ様症状を引き起こすサイトカイン放出症候群(CRS)および神経毒性が生じる可能性があることが報告されているという。

    CRSや神経毒性はいずれも死亡リスクがある。その他の副作用としては、重症感染症、血球減少症、免疫低下などが報告されている。

    なお、Gottlieb氏によると、FDAは近日中に細胞ベースの再生医療の開発支援計画に関する包括的な方針を発表する。
    この方針ではCAR-T療法を含む遺伝子治療で使用する画期的製品への促進プログラムの適用についても明示されるという。

    また、先ごろ開かれたFDA諮問委員会では主に小児の視力障害を引き起こすまれな眼科疾患に対しても遺伝子治療の承認を勧告することが全会一致で決まった。
    この治療法はRPE65遺伝子の変異による視力障害をある程度回復させるものであり、極めて画期的なものだと専門家は話している。

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    HealthDay News 2017年10月19日
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  • 遺伝子を改変するがん免疫療法、米国で初承認へ

    米食品医薬品局(FDA)の諮問委員会は7月12日、米国初となる遺伝子治療の承認を満場一致で勧告した。この治療は、B細胞性急性リンパ性白血病(ALL)に対するがん免疫療法であるキメラ抗原受容体遺伝子改変T細胞(CAR-T)療法で、「CTL019」と呼ばれるもの。FDAがこの勧告を承認すれば、長らく有望とされてきた遺伝子治療の新たな時代の幕開けとなる可能性がある。

    CTL019はノバルティス社により開発され、再発または他の治療が奏効しない3~25歳のB細胞性ALL患者への適応が検討されている。米国ではALLに年間5,000人が罹患し、その約60%を小児または若年成人が占めている。患者の85%は標準治療で治癒するが、15%では治療が無効か、再発が認められる。

    米ニューヨーク・タイムズ紙は、この新治療を受けた患者の声を伝えている。CTL019の承認を支持しているDon McMahon氏は、息子のConnor君が3歳でALLを発症してから12年もの間、耐え難い苦痛を伴うさまざまな治療を受けてきたと語る。しかし、Connor君は米デューク大学でこの新治療を受けてから順調に回復し、ホッケーをできるまでになったという。

    12歳のEmily Whiteheadさんは、CTL019を最初に投与された小児患者だ。今回、両親に付き添われてFDAの諮問委員会の会合に出席し、承認を求めた。Emilyさんは6歳でCTL019による治療を受け、一時は重篤な副作用で生命の危機に瀕したものの、その後はがんのない状態を維持しているという。

    この治療法では、まず認定を受けた医療施設で患者から数百万個の免疫細胞(T細胞)を採取し、凍結する。このT細胞をノバルティス社の研究室で解凍し、キメラ抗原受容体(CAR)という蛋白質を作るように遺伝子を改変する。この改変によりT細胞はALL細胞を見つけやすくなり、がん細胞を死滅させられるようになる。再プログラムされたT細胞は再び凍結された後、医療施設に返送され、点滴静注で患者の体内に戻される。

    治療法の開発に協力した米ペンシルベニア大学のCarl June氏によると、このT細胞はたった1個で10万個ものがん細胞を破壊できるという。他の治療が効かずもう手立てはないと思われた患者が、1回のみの治療で長期寛解を得られていると、ニューヨーク・タイムズ紙は報じている。

    ただ、この治療法は安価とはいえず、30万ドル(約3370万円)を超える費用がかかる可能性もある。また、複雑な手順を要し、重篤な合併症が起きる可能性もあるため、ノバルティス社は当面、CTL019の使用を米国内の30~35カ所の認定施設に限定する予定だという。FDAの諮問委員会でも重篤な副作用や後年の二次がんリスク上昇に関する懸念が示されたが、「二次がんのリスクに関しては、今後の追跡調査の結果をみなければ分からない」と、研究者らは述べている。

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    abstract:リンク先
    HealthDay News 2017年7月12日
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