• 心筋梗塞は夏の夜に増加する 日照時間が関与か、国際共同研究で解明

    急性心筋梗塞の発症時刻には日照時間が強く関与しており、日照時間が長い夏は他の季節と比べて日中の急性心筋梗塞の発症数が減少し、夜間にシフトして増加することを、京都府立医科大学循環器内科の西真宏氏らの国際共同研究グループが明らかにした。

    また、日光を浴びると合成されるビタミンDの血中濃度が急性心筋梗塞の発症に関与している可能性も示された。
    詳細は「Journal of the American Heart Association」4月6日オンライン版に掲載された。

    これまでの研究で、急性心筋梗塞の発症数は日中に多く夜間に減少し、冬に増えて夏に減少するといった季節変動もみられることが知られている。
    このように、急性心筋梗塞の発症には環境や天候などの要因が影響する可能性が報告されているが、季節によって変化する概日リズムが急性心筋梗塞の発症に影響を及ぼすのかどうかは明らかになっていない。
    研究グループは今回、特に発症数が減少する夏に注目し、急性心筋梗塞の発症数と季節による概日リズムとの関連について調べる国際共同研究を行った。

    対象は、日本、イタリア、英国、フィンランド、中国、シンガポール、オーストラリアと緯度が異なる地球両半球の計7カ国で、2004~2014年にST上昇型急性心筋梗塞を発症した患者計2,270人。

    まず、日中(6時~18時)と夜間(18時~翌朝6時)における急性心筋梗塞の発症数の差〔(日中発症数-夜間発症数)/夜間発症数×100〕を夏とそれ以外の季節に分けて解析した結果、参加国のほとんどで日中と夜間の発症数の差が夏に大きく減少していることが分かった。

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    研究グループは「この結果は夏には他の季節と比べて日中の急性心筋梗塞の発症数が減少し、夜間にシフトして増える『サマーシフト』という現象がみられることを示している」と説明している。
    なお、このサマーシフトはフィンランドや英国など北極に近い国では差が小さくなることも分かった。

    次に、可照時間が一年を通して一定で四季の影響がないシンガポールのデータを用いて、日中と夜間の急性心筋梗塞の発症数の差と環境や天候の要因との関連を解析したところ、日照時間と急性心筋梗塞の発症数の差は強い負の相関を示した。

    一方で、降水確率や雨、落雷、雷雨といった曇天に関わる天候指数は正の相関を示すことが明らかとなった。
    このことから、研究グループは「急性心筋梗塞の発症時刻には天候(曇天)を考慮した日照時間が影響していると考えられ、晴れた日は急性心筋梗塞の発症は夜間にシフトすることが分かった」と述べている。

    さらに、研究グループは日照時間に依存するビタミンDの合成量が急性心筋梗塞の発症時刻に与える影響について調べるため、フィンランドの日中と夜間の急性心筋梗塞発症数の差と、同じ緯度に位置するスウェーデンの対象者で測定した血清25(OH)D濃度の関連について解析した。

    その結果、両者は負の相関を示したことから、研究グループは「この結果から、日照時間が長くなり、ビタミンDの合成量が増えると日中と夜間の急性心筋梗塞数の差が減少し、急性心筋梗塞の発症は夜間にシフトすることが読み取れる」と説明している。

    研究グループによると、急性心筋梗塞の発症と季節による概日リズムの関係について検討した報告は今回が初だという。
    同グループは「今回の国際共同研究で、急性心筋梗塞の発症時刻と日照時間は密接に関係し、特に夏は他の季節と比べて夜間の発症数が増えることが明らかとなった。

    また、日照によるビタミンDの合成量が急性心筋梗塞の発症に関与していることも分かった」と結論。
    救急医療システムを季節や時間帯に応じて整備することで、効率的なスタッフの配置や医療費削減につながる可能性があり、また、ビタミンDを標的とした心筋梗塞の予防薬や診断マーカーの開発につながることが期待されるとしている。

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    HealthDay News 2018年4月23日
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  • 救急受診した胸痛患者への画像検査は無駄?

    胸痛を訴えて救急外来を受診した患者に対して実施されている検査の一部は、病院での滞在時間の延長と高額な医療費、放射線の曝露リスクをもたらすだけで、予後の改善にはつながらない可能性があるとする研究結果が「JAMA Internal Medicine」11月14日オンライン版に掲載された。

    この結果は米国心臓協会年次集会(AHA 2017、11月11~15日、米アナハイム)でも発表された。

    米国では年間約1000万人が胸痛を訴えて救急診療部を受診している。
    胸痛があると心筋梗塞を起こしている可能性があるため、胸痛患者に対しては血液検査や心電図、病歴聴取および診察により心筋梗塞かどうかを評価するのが一般的だ。
    しかし近年、これらの検査に加えて非侵襲的に冠動脈の状態を調べることができる冠動脈CT血管造影(CCTA)や運動負荷試験が行われるようになった。

    今回、米ワシントン大学医学部のDavid Brown氏らはCCTAおよび運動負荷試験を実施することで救急を受診した胸痛患者の予後が改善するのかどうかを検証するため、米国内の病院9施設で登録された患者1,000人のデータを分析した。

    このうち88%(882人、平均年齢54.4歳、48%が女性)には一般的な検査に加えてCCTAまたは運動負荷試験が実施され、残る12%(18人、同53.2歳、42%が女性)には一般的な検査のみが実施されていた。
    分析の結果、病院での平均滞在時間は追加検査を実施した群の28時間に対して追加検査を実施しなかった群では20時間と短く、追加検査を実施しない方が早く退院できることが分かった。

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    また、救急を受診してから1カ月以内に血行再建術が必要となった患者や、救急を再び受診した患者の割合については、追加検査を実施した群と実施しなかった群との間に有意差は認められなかった。

    一方、医療費は追加検査を実施した群の2,584ドル(約28万8,000円)に対して実施しなかった群では2,261ドル(約25万2,000円)とより低く、放射線曝露量も追加検査をしなかった群で有意に少なかった。

    米国心臓病学会(ACC)の元会長であるRichard Chazal氏は「この研究は米国の救急診療部や胸痛センターにおける診断プロセスに疑問を投げかけるものだ」としている。
    同氏によると、医師は心筋梗塞を見逃すことによる医療訴訟のリスクを減らすため、自分の身を守るために追加検査を実施している可能性が高いという。

    ただ、同氏は「高精度の心筋マーカーであるトロポニン値の血液検査が普及しつつあるため、今後、追加検査は不要となるだろう」との見方を示している。

    またChazal氏は「今回の研究では救急を受診してから1カ月間の追跡結果が報告されているが、それ以降も長期的に追跡するべきだ」としている。

    さらに、今回1カ月以内の救急再受診率は追加検査を実施した群と実施しなかった群との間に有意差はなかったものの前者では3%、後者では6%だったことに言及し、「胸痛で救急を受診した患者に対しては、後にかかりつけ医を受診するよう指示してから帰宅させる必要がある」と注意を促している。

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    HealthDay News 2017年11月15日
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  • 特定の血液型で大気汚染による心筋梗塞リスク上昇か

    微小粒子状物質(PM2.5)による大気汚染は、冠動脈疾患(CAD)患者が急性心筋梗塞などの急性冠症候群(ACS)を発症するリスクを高めると報告されている。

    このリスクが特に高い血液型が米インターマウンテン医療センター心臓研究所のBenjamin Horne氏らによる研究で明らかになり、米国心臓協会年次集会(AHA、11月11~15日、米アナハイム)で結果が発表された。

    この研究では、O型以外の血液型のCAD患者ではPM2.5への曝露量が増えるとACSリスクが高まることが示されたという。

    Horne氏らは今回、1993~2007年に冠動脈に1カ所以上の狭窄があり、ACSを発症して同センターを受診したCAD患者1,285人(平均年齢53歳、女性27%)のデータを用い、ABO式血液型ごとの受診時のPM2.5への曝露レベルとACS(急性心筋梗塞または不安定狭心症)発症リスクとの関連について検討した。

    その結果、対象となった全患者ではPM2.5への曝露量が10μg/m3増えるごとにACSリスクが16%高まることが示された(オッズ比1.16、95%信頼区間1.04~1.30)。
    また、血液型別ではO型以外の血液型の患者では同リスクが25%上昇(同1.25、1.07~1.45)していたのに対し、O型の患者では有意なリスク上昇は認められなかった(同1.10、0.92~1.32)。

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    Horne氏はニュースリリースで「CADがなければ大多数の人は心筋梗塞を起こすことはなく、また全てのCAD患者が心筋梗塞を発症するわけではない。
    さらに、心筋梗塞の発症にはさまざまな要因が関与しているため、大気汚染だけが原因で発症することはない」と説明。

    その上で、「今回の研究結果について大騒ぎする必要はないが、心に留めておく必要はあるかもしれない。
    患者はリスクを低減するために、大気汚染のひどい日には室内で過ごすなどの対策を取るとよいだろう」とアドバイスしている。

    なお、学会発表された研究は医学誌に掲載される研究と異なり厳格な査読を受けていないため、予備的なものとみなす必要がある。

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    HealthDay News 2017年11月14日
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  • HDL-C値の低下と心筋梗塞、脳卒中との関係は? 多目的コホート研究から

    血中のHDL-コレステロール(HDL-C)値が低下すると男女ともに心筋梗塞やラクナ梗塞の発症リスクが高まる可能性があることを国立がん研究センターなどの多目的コホート研究(JPHC Study)グループが発表した。

    ただし、女性ではHDL-C値の上昇や低下による脳卒中全体のリスクへの影響はみられなかったほか、HDL-C値が高いほど脳出血リスクは高まることも示されており、研究グループはさらなる検討の必要性を指摘している。
    詳細は「Atherosclerosis」10月号に掲載された。

    これまでの研究で、善玉コレステロールとして知られるHDL-C値が低下するほど心筋梗塞などの虚血性心疾患リスクは高まることが報告されている。
    しかし、日本人では女性を対象とした研究が少なく、HDL-C値と脳卒中の関連については国内外で一致した見解が得られていなかった。
    そこで研究グループは今回、JPHC研究に参加した一般住民を前向きに15年間追跡したデータを元に、HDL-C値と虚血性心疾患および脳卒中の発症との関連を調べた。

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    対象は、1993年および1995年に虚血性心疾患や脳卒中の既往がない40~69歳の住民3万736人。
    HDL-C値を男女別に五分位に分けて、喫煙や飲酒などリスク因子を調整した後、HDL-C値が最も高い群を基準として虚血性心疾患と脳卒中の発症リスクを比較した。

    その結果、虚血性心疾患の発症リスクは、男性ではHDL-C値が最も高い群と比べて最も低い群で1.85倍に有意に増加した(P=0.02)。
    女性でも同程度のリスク増加が認められたが、有意ではなく増加傾向にとどまっていた(P=0.07)。
    また、脳卒中の発症リスクについては、男性ではHDL-C最高値群と比べて最低値群で1.29倍に有意に高まっていたのに対し(P=0.03)、女性ではHDL-C値との関連はみられなかった。

    さらに、CT検査画像に基づいて脳卒中をサブタイプ(くも膜下出血、脳出血、ラクナ梗塞および皮質枝系脳梗塞、脳塞栓)で分けてHDL-C値との関連を調べたところ、このうちラクナ梗塞の発症リスクは、HDL-C最高値群と比べて最低値群では男性が1.63倍、女性が1.97倍に増加していた。
    しかし、女性ではHDL-C値が高いほど脳出血の発症リスクが有意に高まることも明らかにされた。

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    ラクナ梗塞は、脳の奥深くにある直径0.2~0.3mm程度の細い血管が詰まる小梗塞で、日本人が発症する脳梗塞で最も頻度が高いとされる。
    研究グループによると、これまでラクナ梗塞の原因となる細い血管の血栓形成にはHDL-C値は関与しないものと考えられてきた。
    しかし今回の研究ではHDL-C値が低いほどラクナ梗塞の発症リスクが増加するとの結果が得られており、HDL-Cには太い動脈だけでなく細い動脈でも血栓形成の予防に働く可能性が示唆されたとしている。

    また、女性ではHDL-C値が低いと脳出血リスクが低下したことについては、研究グループはHDL-Cによる血小板機能の影響が考えられると考察している。
    しかし、HDL-Cと循環器疾患の発症との関係は十分には解明されておらず、今後のさらなる研究が必要だと付け加えている。

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    HealthDay News 2017年10月30日
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  • スポーツ観戦で心臓にストレス、興奮で心拍数2倍にも

    アイスホッケーの試合を観戦するだけで、心臓には大きな負担がかかる可能性があるという研究結果が「Canadian Journal of Cardiology」10月4日オンライン版に掲載された。

    過去の研究では、サッカーの試合中に観戦者の心拍数が上昇することが示されており、ワールドカップなどの大規模なサッカー大会が開催される期間には心筋梗塞が増えることも知られている。
    そこで今回、モントリオール大学(カナダ)のPaul Khairy氏らは、同国で人気のスポーツであるアイスホッケーの地元チームのファン20人(平均年齢46歳、35%が女性)を対象とした研究で試合観戦による心臓への影響を検討した。

    まず、対象者には健康状態とアイスホッケーに関する簡単な質問票に答えてもらい、この情報から各人の「ファンとしての情熱度」を点数化した。
    その後、心拍数を測定するための携帯型ホルター心電計を装着し、半数は試合会場で、残り半数は自宅のテレビで、アイスホッケーの試合を観戦してもらった。

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    その結果、対象者の心拍数は安静時と比べて観戦中に92%(中央値)も上昇することが明らかになった。特に試合会場でライブ観戦した場合は上昇率が110%と、安静時の2倍以上に達していた。
    テレビ観戦の場合の上昇率は75%だった。
    なお、対象者の年齢や対戦チームの強さ、ファンとしての情熱度による差は認められなかった。

    戦況との関連でみると、味方チームまたは相手チームがゴールへのシュートを試みたときに心拍数が最大になることが多かった。
    ただ、試合が延長戦にもつれこんだ場合は、その延長時間中に心拍数が最大になっていた。

    これらの結果から、スポーツ観戦による心理的なストレスは、試合の勝ち負けではなく激しい駆け引きや緊迫した場面での興奮からもたらされることが裏付けられた。

    Khairy氏は「アイスホッケーの観戦では心拍数が著しく上昇することが分かり、強い心理的ストレスを生じ得ることが示された。
    集団レベルでみれば、こうしたストレス反応によって有害な心血管疾患が引き起こされる可能性がある」として、この知見は公衆衛生において重要なものだと述べている。

    一方、この研究の付随論説を執筆した研究者らは「今回の研究から、医師は心疾患の患者に対してスポーツ観戦のリスクについて伝える必要があることが示唆された」とコメントしている。

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    HealthDay News 2017年10月5日
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  • 食事からマグネシウムを多く摂るほど心筋梗塞になりにくい? 多目的コホート研究から

    魚や果物、野菜などのマグネシウムを多く含む食品をよく食べる人ほど、心筋梗塞などの虚血性心疾患を起こしにくい可能性があることを、国立がん研究センターと国立循環器病研究センターらの共同研究グループが発表した。

    食事からのマグネシウム摂取量と心血管疾患の発症リスクとの関連をアジア人で調べたのは初めて。
    マグネシウムが不足すると血圧の上昇や脂質異常、動脈硬化の進展などがもたらされるため、摂取量を増やすと虚血性心疾患の予防につながる可能性があるという。
    詳細は「ClinicalNutrition」8月12日オンライン版に掲載された。

    これまで欧米の研究で、ミネラルの中でもカリウム、カルシウム、マグネシウムを多く摂取すると心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患の予防につながることが報告されているが、アジア人を対象とした検討はほとんどなされていなかった。
    そこで研究グループは今回、多目的コホート研究(JPHCStudy)に参加した一般住民を対象に、食事からのマグネシウム摂取量とこれらの疾患の発症リスクとの関連について約15年間の追跡調査を行った。

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    対象は、1995年および1998年の時点で心血管疾患やがんの既往がない45~74歳の一般住民8万5,293人。
    追跡開始時に行った138項目の食物摂取頻度調査のデータに基づき食事からのマグネシウム摂取量を推計し、摂取量で5つの群(摂取量が低い群からQ1~Q5)に等分に分けて脳卒中と虚血性心疾患の発症率を2009年および2010年まで追跡した。

    その結果、追跡期間中に脳卒中(脳梗塞および出血性脳卒中)が4,110件、虚血性心疾患が1,283件起こっていた。解析したところ、虚血性心疾患の発症リスクは男女ともにマグネシウムの摂取量が多いほど低く、摂取量が最も低い群(Q1)と比べたリスクは、男性では2番目に多い群(Q4)で24%、最も多い群(Q5)で23%低く、女性では3番目に多い群(Q3)で39%、2番目に多い群(Q4)で34%、最も多い群(Q5)で36%低下していた(男性のQ1対Q5以外は有意差あり;P<0.05)。

    また、女性では虚血性心疾患と脳卒中を合わせた「全ての心血管疾患」の発症リスクについても、マグネシウムの摂取量が3番目に多い群(Q3)、Q4、Q5でそれぞれ20%、16%、29%有意に低いことも分かった。

    一方で、マグネシウムの摂取量と脳卒中全体の発症リスクとの間には関連はみられず、脳梗塞と出血性脳卒中の病型別に解析をしても同様の結果が得られた。

    研究グループは、マグネシウム以外のミネラル(ナトリウムやカルシウム、カリウム)の摂取量を調整した解析では、男性ではこれらの結果に影響はみられなかったのに対し、女性では摂取量と虚血性心疾患の発症リスクとの関連は弱まったとしている。

    しかし、「マグネシウムが不足すると血圧上昇や代謝異常、動脈硬化の進行などの心血管疾患リスクを押し上げる原因となるため、マグネシウムの摂取量を増やすとこれらの予防につながる可能性がある」として、介入研究などで今後検証が進むことが期待されると述べている。

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  • がんの診断後は心筋梗塞や脳梗塞のリスク高まる

    がんと診断されたばかりの患者は、心筋梗塞や脳梗塞といった動脈血栓塞栓症のリスクが高い状態にあることが、米ワイルコーネル・メディスンのBabak Navi氏らによる研究で示された。詳細は「Journal of the American College of Cardiology」8月22日号に掲載された。

    動脈血栓塞栓症は、脚などの動脈にできた血栓が血液の流れに乗って運ばれ、他の部位の血管を塞いでしまう疾患のこと。今回の研究では、新たにがんと診断された患者では、特に診断後6カ月間、動脈血栓塞栓症のリスクが高いことが明らかになったという。

     Navi氏らは今回、米国のがん登録(SEER)と公的医療保険(メディケア)の2002~2011年のデータベースを用い、乳がん、肺がん、前立腺がん、大腸がん、膀胱がん、膵臓がん、胃がん、非ホジキンリンパ腫のいずれかの新規診断例と、背景因子や併存症をマッチさせたがんではない人計27万9,719組を2012年まで追跡した。

     その結果、診断から6カ月間の動脈血栓塞栓症(心筋梗塞または脳梗塞)の累積発症率は、非がん患者の2.2%に対してがん患者では4.7%と約2倍に達していた。また、個別に解析したところ、心筋梗塞の累積発症率はそれぞれ0.7%、2.0%、脳梗塞の累積発症率はそれぞれ1.6%、3.0%だった。

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     さらに、こうしたがん患者における動脈血栓塞栓症リスクの高さは、がん種やステージによって異なること、特に進行した肺がんや胃がん、膵臓がんの患者でリスクが高いことが分かったという。

     なぜ、がん診断後に心血管疾患のリスクが高まるのだろうか。考えられる危険因子の1つに「喫煙」が挙げられるが、今回の研究では喫煙との関連が示されていないがん種の患者でも、心血管疾患のリスク上昇が認められたという。

     Navi氏らは、がんは血栓が形成されやすい「凝固亢進状態」をもたらしやすいこと、また一部のがん化学療法も血栓リスクを高める可能性があることを指摘している。したがって、がんと診断された患者では、心血管疾患リスクを抑制するために抗血栓薬やスタチンの使用が有益である可能性があるが、同氏らは「がん患者は治療による影響で出血しやすくなっている場合が多いため、抗血栓薬やスタチンの使用については、臨床試験でその安全性を検証する必要がある」としている。

     この研究結果について、循環器の専門家2人は「当然の結果」と受け止めている。米レノックス・ヒル病院のSatjit Bhusri氏は「がんはさまざまな二次性の合併症を引き起こす。その1つが血液凝固の亢進であり、それによって心筋梗塞や脳卒中に至る可能性もある」と説明。ただし、抗血栓薬の使用については「個々の患者でリスクとベネフィットを評価する必要がある」と強調している。一方、米サウスサイド病院のPuneet Gandotra氏もこれに同意し、「このような複雑な患者の治療では、循環器とがんのそれぞれの専門家による連携が必要であることが今回の研究で示された」と話している。

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  • 心筋梗塞の発症率は「月曜日」と「冬休み」に上昇

    ストレスを感じやすい月曜日や冬休みは、心臓にも厳しい季節であることがウプサラ大学(スウェーデン)のJohn Wallert氏らによる研究で示唆された。約8年間に同国内で発症した心筋梗塞15万件超のデータを分析した結果、特に月曜日と冬休みに発症率が上昇することが示されたという。詳細は「American Heart Journal」6月3日オンライン版に掲載された。

     これまでにも、複数の研究でストレスが心筋梗塞リスクを高めることが示されている。例えば、地震などの自然災害やサッカーのワールドカップの試合といったスポーツのイベントが心筋梗塞を誘発する可能性を示した研究結果が報告されている。

     Wallert氏らは今回、2006~2013年のスウェーデンの心疾患患者の登録データを用いて同期間に登録された15万6,690件の心筋梗塞のデータを分析した。その結果、気温や大気汚染などの因子で調整後も、月曜日と冬休み中(クリスマスおよび年末年始の休暇中)は、他の曜日や季節に比べて心筋梗塞の発症率が高いことが示された。一方、週末や夏休み中は他の曜日や季節と比べて発症率が低いことも分かったという。

     同氏らは「月曜日は仕事始めの曜日であり、冬休みはクリスマスの準備などで忙しく、いずれもストレスを感じやすいタイミング」と説明。「今回考慮されなかった他の要因が心筋梗塞リスクに影響を及ぼしている可能性はあるが、ストレスはかなり強い危険因子であると考えられる」としている。ただし、今回の研究は観察研究であるため、因果関係を証明するものではなく、心筋梗塞の発症と特定の時期との関連を示したに過ぎない。

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     なお、同氏は「月曜日から金曜日まで働き、土日に休むというルーチンを変えて別の曜日に働いたとしても、心筋梗塞の発症率が高まる曜日が変わるだけで、意味がないだろう」としている。

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