• 観測用眼鏡なしで皆既日食を見た女性の網膜に穴

    2017年8月21日、米国では国民の多くが皆既日食を見るために空を見上げた。その際、繰り返し注意が呼び掛けられていたにもかかわらず、観測用眼鏡を使用せずに日食を観測したために網膜の一部が焼け、穴が開いてしまった20歳代の女性がいる。

    この女性患者の眼の状態について、米ニューヨーク眼・耳病院(NYEE)マウントサイナイのChris Y. Wu氏らが「JAMA Ophthalmology」12月7日オンライン版に掲載された論文で報告した。

    この女性は8月21日、肉眼で約6秒間にわたって太陽を見た後、観測用眼鏡をかけた上で15~20秒間、日食を観測した。
    その4時間後、両眼ともに物がぼんやりと歪んで見えるようになり、黒以外の色が見えなくなってしまったという。

    3日後にNYEEの医師らが診察したところ、女性の眼の網膜には熱傷による穴が認められ、日光網膜症および光化学性の熱傷と診断された。
    なお、診断に際しては、補償光学(AO)と呼ばれる技術を利用して、細胞レベルの眼の損傷を確認することができたという。

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    今回の論文の共著者であるNYEEのAvnish Deobhakta氏は、「このような症例に遭遇することは極めてまれであるため、つい最近までこうした先進技術によって日光網膜症の状態を調べることはできなかった。
    われわれも、これまでに日食による網膜の損傷を細胞レベルで確認した経験がなかった」と話している。

    現在、日光網膜症に対する治療法はないが、同氏らは「今回の症例をきっかけにこの疾患の解明が進み、治療法を見つけられる可能性がある」としている。

    なお、米国では次に皆既日食を観測できるのは2024年だが、Wu氏は「観測用眼鏡なしで太陽を直視することによるリスクの周知を徹底する必要がある」と指摘。
    今回の症例を教訓として2024年の観測に備えてほしいと呼び掛けている。

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    HealthDay News 2017年12月8日
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  • まれな眼疾患の治療に光、米で遺伝子治療の承認へ

    米食品医薬品局(FDA)の諮問委員会は10月12日、RPE65遺伝子変異を原因とするまれな遺伝性網膜疾患に対し、遺伝子治療薬の承認を勧告することを全会一致で決定した。この遺伝子治療薬を開発する米Spark Therapeutics社が同日、明らかにした。

    この疾患は若年期から進行し、最終的に失明する場合が多いが、これまで有効な治療薬はなかった。もし承認されれば米国で初の遺伝性疾患に対する遺伝子治療となる。

    遺伝性網膜疾患に関連する遺伝子は数多くあり、RPE65遺伝子はその1つ。
    米国での患者数は約1,000人と推定されている。今回承認されたvoretigene neparvovec(商品名 Luxturna)は、人体に無害なウイルスをベクターとして用いてRPE65遺伝子を網膜内の細胞に注入することで同遺伝子が正常な状態に修復され、細胞の機能が回復するという。
    同薬の開発にも参加した医師は「最大限の回復のためには両眼に注入する必要がある」としている。

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    遺伝性網膜疾患の患者団体Foundation Fighting BlindnessのStephen Rose氏によると、米国には失明の可能性がある遺伝性疾患の患者数は約20万人と推定されており、こうした疾患に関連する約250の遺伝子が同定されている。
    RPE65遺伝子はその1つで患者数は少ないが、「当事者にとっては極めて大きな問題だ」と同氏は強調する。

    Luxturnaによる治療は、RPE65遺伝子変異のある患者の視力を正常レベルにまで回復させるわけではないが、視機能は改善するという。Rose氏は「この治療によって患者は盲導犬や杖なしで移動できるようになる可能性があるということだ。
    これまで治療法がなかった患者に希望をもたらす新たな治療といえる」と話す。

    FDAの諮問委員会が同薬の承認を勧告する根拠としている臨床試験では、Luxturnaによる治療を受けた患者29人のうち27人(93%)にmulti-luminance mobility test (MLMT)で評価した視機能の改善が認められたという。

    同試験の対象となった患者には4歳の小児もいたが、Rose氏は「できるだけ早い時期に治療を行い、網膜変性を抑制することが理想的だ」と話す。
    また、遺伝子治療による効果が生涯にわたって持続するのかどうかは現時点では不明だが、10年以上前にこの治療を受けた患者の視力は現在も維持されているという。

    AP通信は、実際にこの治療を3年前に受けたCole Carperさん(11歳)と姉のCarolineさん(13歳)を紹介しているが、それによるとColeさんは治療後、空を見上げて母に「あの光るものは何?」と尋ね、「あれは星よ」と教えてもらったという。
    また、Caroline さんは「治療の後、雪や雨が降ってくるのを見て本当に驚いた。雨や雪は地面にあるものだと思っていた」と振り返っている。

    今後Luxturna が承認されれば、2種類の血液がんに対する抗CD19キメラ抗原受容体T細胞(CART)療法に続く3件目の遺伝子治療の承認となり、遺伝性疾患に対する遺伝子治療としては初となる。

    米ニクラウス小児病院のZenia Aguilera氏は「遺伝性眼疾患の遺伝子治療においてFDAは大きな一歩を踏み出した」と話す。
    一方、Rose氏は「治療費がどの程度になるのか、またこの治療に保険が適用されるか否かは未定だが、必要とする誰もが治療を受けられるようになってほしい」と期待を示している。

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    HealthDay News 2017年10月12日
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