• 血糖変動は急性冠症候群患者の予後予測に有用か 日本人のPCI施行患者を解析、横浜市立大

    持続血糖モニタリング(CGM)で測定した血糖変動は、重症の糖尿病を合併しない急性冠症候群(ACS)患者の予後予測に有用な可能性のあることが、横浜市立大学附属市民総合医療センター心臓血管センター講師の岩橋徳明氏らの研究グループの検討で分かった。

    詳細は「Cardiovascular Diabetology」8月18日オンライン版に掲載された。

    高血糖や低血糖などの糖代謝異常は、冠動脈疾患のリスク因子であることが知られている。
    これまでの研究で、CGMで測定した血糖変動はACS患者の死亡や冠動脈プラークの進展を予測する因子であることが報告されている。
    岩橋氏らの研究グループは今回、日本人のACS患者を対象に、CGMで評価した血糖変動が予後に及ぼす影響を調べる観察研究を実施した。

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    対象は、2012年4月~2016年11月に同センターで経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を施行したACS患者417人(平均年齢66歳、男性83%)。対象患者には入院中に病状が安定した後にCGMを24時間以上装着し、平均血糖変動幅(MAGE)などの血糖変動指標を算出した。
    対象患者をMAGEの第2三分位の値(50mg/dL)以上を高値群(149人)、50mg/dL未満を低値群(268人)に分けて中央値で39カ月間追跡した。

    その結果、対象患者の16%(66人)に主要有害脳心血管イベント(MACCE)の発生が認められた。
    その内訳は心血管疾患死5件、ACSの再発14件、再血行再建術を要する狭心症27件、心不全8件、脳卒中16件であった。

    また、MACCEの発生率は、MAGE高値群で低値群に比べて有意に高かった(23.5%対11.6%、P=0.002)。
    さらに、多変量解析の結果、MAGE高値群であることはMACCE発生の独立した予測因子であることが明らかになった。

    以上の結果を踏まえ、岩橋氏らは「重症糖尿病を合併しないACS患者では、CGMで評価した血糖変動が大きいことは予後不良の予測因子である可能性が示された。
    ACS患者における血糖変動の臨床上の有用性については、今後さらに検討する必要がある」と結論づけている。

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  • n-3系脂肪酸の血中濃度と冠動脈疾患リスクとの関係は? 多目的コホート研究から

    魚に豊富に含まれるn-3 系多価不飽和脂肪酸(n-3 PUFA)の血中濃度が高いと、冠動脈疾患(CHD)全体のリスク低減とは関連しないものの、致死性のCHDリスクは低下する可能性があると、国立がん研究センターなどの多目的コホート研究(JPHC Study)グループが「Atherosclerosis」2017年12月8日オンライン版に発表した。

    これまでの研究で、魚やn-3 系多価不飽和脂肪酸(n-3 PUFA)の摂取量が多いとCHDリスクが低減する可能性が示されている。
    JPHC Studyでも既に魚とn-3 PUFAの摂取量が多い人ではCHDリスクが低下するとの研究結果を報告しているが(Circulation 2006; 113: 195-202)、日本人におけるn-3 PUFAの血中濃度とCHDリスクとの関連は明らかにされていない。
    研究グループは今回、JPHC Studyに参加した一般住民から提供された保存血液を用いてn-3 PUFA〔エイコサペンタエン酸(EPA)およびドコサペンタエン酸(DPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)〕の血中濃度とCHD発症リスクとの関連を調べるコホート内症例対照研究を行った。

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    研究では、まず1990年および1993年に全国9地域に在住し、循環器疾患やがんの既往がない40~69歳の男女約3万4,000人を対象に2007年まで追跡した(追跡期間は平均13.5年)。研究開始時点に保存血液を提供し、CHDを発症した209人と年齢や性、採血日などをマッチさせた対照群(CHD発症例1人に対し2人、418人)を抽出し、計627人の保存血液を用いて測定したn-3 PUFAの血中濃度とCHDリスクとの関連を調べた。
    CHDを発症した209人の内訳は、心筋梗塞が168人、心臓突然死が41人で、非致死性が157人、致死性が52人であった。

    対象者をn-3 PUFAの血中濃度で4分位に分けて、血中濃度が最も低い群を基準として各群のCHDリスクと比較したところ、多変量ロジスティック解析の結果、CHD全体ではn-3 PUFAの血中濃度とCHDリスクとの間に有意な関連は認められなかった(血中濃度が最も低い群に対する最も高い群のオッズ比は0.79、95%信頼区間0.41~1.51、P=0.51)。

    また、非致死性のCHDについても同様に両者の間に関連は認められなかったが、致死性のCHDについては、n-3 PUFAの血中濃度が最も低い群と比べて最も高い群で88%の有意なリスク低下が認められた(同0.12、0.02~0.75、P=0.03)。

    研究グループによると、この結果は致死性のCHDでのみn-3 PUFAとCHDの関連が認められた欧米のメタ解析と一致していた一方で、2006年に研究グループが発表した研究結果(アンケートから算出したn-3 PUFAの摂取量は非致死性のCHDとのみ関連)とは一致していなかった。

    そのため、研究グループは「今回の研究では致死性のCHDの症例数が少なかったため結果が偶然に得られた可能性も否定できない。
    今後、アジア圏でのさらなる研究の蓄積が待たれる」との見解を示している。

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    HealthDay News 2018年1月22日
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  • 特定の血液型で大気汚染による心筋梗塞リスク上昇か

    微小粒子状物質(PM2.5)による大気汚染は、冠動脈疾患(CAD)患者が急性心筋梗塞などの急性冠症候群(ACS)を発症するリスクを高めると報告されている。

    このリスクが特に高い血液型が米インターマウンテン医療センター心臓研究所のBenjamin Horne氏らによる研究で明らかになり、米国心臓協会年次集会(AHA、11月11~15日、米アナハイム)で結果が発表された。

    この研究では、O型以外の血液型のCAD患者ではPM2.5への曝露量が増えるとACSリスクが高まることが示されたという。

    Horne氏らは今回、1993~2007年に冠動脈に1カ所以上の狭窄があり、ACSを発症して同センターを受診したCAD患者1,285人(平均年齢53歳、女性27%)のデータを用い、ABO式血液型ごとの受診時のPM2.5への曝露レベルとACS(急性心筋梗塞または不安定狭心症)発症リスクとの関連について検討した。

    その結果、対象となった全患者ではPM2.5への曝露量が10μg/m3増えるごとにACSリスクが16%高まることが示された(オッズ比1.16、95%信頼区間1.04~1.30)。
    また、血液型別ではO型以外の血液型の患者では同リスクが25%上昇(同1.25、1.07~1.45)していたのに対し、O型の患者では有意なリスク上昇は認められなかった(同1.10、0.92~1.32)。

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    Horne氏はニュースリリースで「CADがなければ大多数の人は心筋梗塞を起こすことはなく、また全てのCAD患者が心筋梗塞を発症するわけではない。
    さらに、心筋梗塞の発症にはさまざまな要因が関与しているため、大気汚染だけが原因で発症することはない」と説明。

    その上で、「今回の研究結果について大騒ぎする必要はないが、心に留めておく必要はあるかもしれない。
    患者はリスクを低減するために、大気汚染のひどい日には室内で過ごすなどの対策を取るとよいだろう」とアドバイスしている。

    なお、学会発表された研究は医学誌に掲載される研究と異なり厳格な査読を受けていないため、予備的なものとみなす必要がある。

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    HealthDay News 2017年11月14日
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  • 冠動脈プラークの脆弱性と強く関連する血糖変動指標とは? 神戸大の研究グループ

    血糖値の変動性は冠動脈疾患(CAD)の発症や進展に影響を及ぼし、血糖変動指標の中でも血糖値の標準偏差(SD)と平均血糖変動幅(MAGE)の増大は冠動脈プラークの脆弱性の予測因子として優れる可能性のあることが、神戸大学大学院糖尿病・内分泌内科学准教授の坂口一彦氏らの検討で分かった。

    詳細は「Journal of Diabetes Investigation」9月16日オンライン版に掲載された。

    耐糖能異常(IGT)や糖尿病はCADの重要なリスク因子とされ、このCADの発症には血糖値の上昇だけでなく血糖変動も影響を及ぼすと考えられている。
    坂口氏らの研究グループはCADと血糖変動指標との関連を調べるため、CAD患者で測定した4つの血糖変動指標とvirtual histology-IVUS(血管内超音波検査)で評価した冠動脈プラークの脆弱性(plaque vulnerability)との関連を調べる後ろ向き観察研究を行った。

    対象は、2012年6月~2014年5月に同大学病院に経皮的冠動脈インターベンション(PCI)施行のため入院したCAD患者53人(年齢は20~80歳)。
    うち8人は正常耐糖能(NGT)で、16人はIGT、29人は糖尿病であった。

    対象患者には持続血糖モニタリング(CGM)を3日間以上行い、CGMデータから(1)血糖値のSD、(2)MAGE、(3)1時間ごとのcontinuous overlapping net glycemic action(CONGA-1)、(4)mean of daily differences(MODD;連続した2日間の同時刻の血糖値の変動)の4つの血糖変動係数を求めた。

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    また、冠動脈プラークの脆弱性の指標として、virtual histology-IVUSにより冠動脈病変の合計したプラーク体積における壊死した組織塊の割合(percentage necrotic core of total plaque volume;%NC)を算出し、血糖変動係数との関連を調べた。

    解析の結果、血糖変動の指標はいずれも冠動脈プラークの脆弱性の指標(%NC)と有意に関連し、相関係数はそれぞれlog血糖値SDが0.593、logMAGEが0.626、logCONGA-1が0.318、logMODDが0.388であった。
    線形回帰分析の結果、%NCの決定係数(冠動脈プラークの脆弱性との関連性を表す指標)はMAGEが最も大きく、血糖値SDが続き、これらの値はCONGA-1、MODDよりも大きいことも明らかにされた。

    以上の結果から、坂口氏らは「冠動脈プラークの脆弱性を予測する血糖変動指標には、CONGA-1、MODDよりもMAGEと血糖値SDの方が優れる可能性がある。より大規模な前向き研究でNGT、IGTまたは糖尿病患者における血糖変動指標のCADへの影響を検討する必要がある」と述べている。

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    HealthDay News 2017年10月23日
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