• 大腿骨近位部骨折の手術を遅らせてはならない理由

    大腿骨近位部を骨折した高齢者は、できるだけ早く手術を受ければ重篤な合併症を回避できるかもしれない―。

    トロント大学(カナダ)のDaniel Pincus氏らが実施した研究から、骨折後24時間以内に手術を受けた患者では、24時間超が経過してから手術を受けた患者と比べて死亡リスクや心筋梗塞などの合併症リスクが低下することが明らかになった。
    詳細は「Journal of the American Medical Association(JAMA)」11月28日号に掲載された。

    大腿骨近位部とは太ももの骨(大腿骨)のうち、足の付け根に近い部分(骨頭、頸部、転子部、転子下)を指す。大腿骨近位部を骨折したら、できるだけ早期に手術することが望ましいとされ、米国とカナダのガイドラインでは骨折後48時間以内の手術が推奨されている。
    しかし、「実際には推奨時間内に手術を受けている患者はそれほど多くはない」とPincus氏は指摘する。

    同氏によると、手術が遅れる理由として考えられるのは(1)すぐに使用できる手術室の空きがない、(2)手術を担当する医師をすぐに確保できない、(3)既に手術を待機している患者がいる―ことなど。
    また、医学的な理由から手術が遅延される場合もあるが、そうしたケースは極めてまれだという。

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    さらに、手術までの待機時間がどの程度までなら許容範囲なのかについて一貫したエビデンスがないことも、早期の手術が広がっていない背景にあった。
    そこでPincus氏らは今回、2009年4月~2014年3月にオンタリオ州の72施設で大腿骨近位部骨折の手術を受けた患者4万2,230人(平均年齢80.1歳、女性70.5%)のデータを解析した。

    その結果、30日後までの死亡率は、骨折後24時間以内に手術を受けた患者の5.8%に対して24時間超が経過してから手術を受けた患者では6.5%と有意に高かった(P<0.006)。また、心筋梗塞や深部静脈血栓症、肺塞栓症、肺炎などの合併症リスクも24時間以内に手術を受けた患者に比べて24時間超が経過してから手術を受けた患者で高かった。

    Pincus氏は「骨折後24時間が経過するとリスクは明らかに上昇し始める」と指摘。
    「今回の研究から、24時間が安全な手術が可能な期間(safe window)であることが示された」と話している。

    付随論評の著者の一人である米シーダーズ・サイナイ医療センターのHarry Sax氏は「高齢者は複数の疾患を抱えている場合が多く、数日間をかけて大腿骨近位部骨折の手術に耐えられるか否かを確認するための検査を行うこともある」とする一方で、「ベッドに寝たきりでいる時間が長くなるほど肺炎や血栓のリスクは高まる。骨折した状態が続くと脂肪が漏れ出て肺まで飛び散る場合もある。
    手術を遅らせることで状況が良くなることはなく、むしろ悪化する」と説明している。

    その上で、同氏は「もし高齢の親族が大腿骨近位部を骨折したら、検査は必要最低限に抑え、できるだけ早く手術をしてほしいと医療チームに頼むべきだ」と助言。
    また、「高齢の大腿骨近位部骨折患者の管理に特化した外科医、老年病専門医、麻酔科医などのチームによる治療プログラムがある病院で治療を受けるのが最善だ」としている。

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    HealthDay News 2017年12月28日
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  • 転倒予防には運動を推奨、ビタミンDサプリメントは否定

    転倒や骨折は高齢者に身体障害をもたらす主要な原因となっている。米国予防医療作業部会(USPSTF)は9月26日、これらの予防策に関する勧告の草案を発表した。

    高齢者の転倒予防のための対策として運動を推奨する一方で、ビタミンDサプリメントの摂取は否定する見解を示した。
    また、骨折予防のためにビタミンDやカルシウムのサプリメントを摂取することに関しても「十分なエビデンスがない」として推奨していない。

    USPSTFは今回、65歳以上の健康な高齢者の転倒予防に関する勧告と、骨粗鬆症による骨折歴のない成人におけるサプリメントを用いた骨折予防に関する勧告のそれぞれについて草案を発表した。
    いずれの勧告案も、これまでのエビデンスレビューに基づきまとめられた。

    まず、高齢者の転倒予防に関する勧告案では「転倒リスクが高い高齢者に中等度のベネフィットがある」として運動を推奨。
    具体的にどのような種類の運動をすべきかについては示していないが、勧告案の執筆者の一人で米バージニア・コモンウェルス大学准教授のAlexander Krist氏は「専門家の指導の下で行うバランス能力や歩行能力などを向上させる運動は役に立つだろう」と話す。

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    また、勧告案では医師に対して「状況に応じて高齢者の転倒リスクをチェックし、個々に合わせた予防策を提示する」ことも推奨。
    具体的には、運動や栄養、服薬管理に関する指導や社会的サービスや地域のサービスの利用などを挙げている。一方、ビタミンDサプリメントについては「転倒予防のみを目的とした摂取は推奨しない」との見解が示された。

    さらに、成人の骨折予防を目的としたビタミンDやカルシウムのサプリメント使用に関する勧告案でも「閉経後の女性が低用量のサプリメント(ビタミンDが400IU以下、カルシウムが1,000mg以下)を使用することは推奨されない」とその使用を否定。
    閉経前の女性や男性がこれらのサプリメントを使用することや、閉経後の女性が高用量のサプリメント(ビタミンDが400IU超、カルシウムが1,000mg超)を使用することについては「ベネフィットとリスクを評価するには十分なエビデンスがない」としている。

    Krist氏は「高用量のビタミンDやカルシウムが骨折予防に有効かどうかは不明だが、低用量では骨折予防の効果はない」と説明。
    今後、高用量サプリメントによる効果について研究を重ねる必要があるとしている。

    なお、米ペン・ステート大学医学部教授のChris Sciamanna氏は、今回の勧告案で医師に高齢者の転倒リスクのチェックを求めていることについて「医療機関にとっては診察時間が増えるだけで収益にはつながらないため、医師によるリスク評価が普及するかどうかは疑わしい」と指摘。
    片脚だけで10秒以上立っていられるかどうかを確認する転倒リスクのセルフチェックを高齢者自身が行うことを勧めている。

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    参考情報:リンク先
    HealthDay News 2017年10月27日
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