• ドライアイは歯周病と有意に関連

     ドライアイは一般的な眼疾患であり、コンタクトレンズの使用や加齢のほか、自己免疫疾患などによっても生じる。今回、日本人成人を対象とする大規模な研究が行われ、ドライアイの診断を受けたことがある人ほど、歯周病の罹患率が高いことが明らかとなった。新潟大学大学院医歯学総合研究科予防歯科学分野の小川祐司氏らによる研究であり、詳細は「BMC Oral Health」に1月8日掲載された。

     歯周病は世界的に罹患率が高く、日本人が歯を失う原因の第1位となっている。歯周病の人は口内細菌により長期の全身炎症が生じることから、全身疾患のリスクが上昇する可能性がある。一方、ドライアイについても、炎症との関連を指摘する研究が報告されている。これまでの研究から、ドライアイと歯周病の関連が示唆されるものの、エビデンスは限られ、日本人における知見は不足している。

    ドライアイに関する治験・臨床試験(新しい治療薬)情報はこちら
    郵便番号を入力すると、お近くの治験情報を全国から検索できます。

     そこで著者らは、「魚沼コホート研究」の2012~2014年におけるベースラインデータを用いて、新潟県の南魚沼市と魚沼市に居住する40歳以上の日本人成人を対象に、ドライアイと歯周病の関連を検討した。データは質問紙を用いて収集され、社会人口学的要因(年齢、性別、BMI、同居者数)、喫煙・飲酒習慣、歯周病の診断歴(歯科医師の診断)、歯や口の状態(残存歯数、咀嚼能力)、ドライアイの診断歴(医師の診断)、主観的な眼症状(乾燥感、異物感)が調査された。

     解析対象は3万6,488人(平均年齢63.3歳、男性47.4%)だった。歯周病の診断歴がある人の割合は39.3%であり、男性では42.1%(1万7,302人中7,278人)、女性では36.8%(1万9,186人中7,067人)と有意な男女差が認められた。ドライアイの診断歴がある人の割合は、男性では6.7%(1,163人)、女性では7.1%(1,354人)で、有意差はなかった。

     ドライアイの診断歴や眼症状、歯周病の診断歴がある人の割合を比較すると、男性の場合、眼の乾燥感または異物感のある人では、これらの眼症状がない人と比べて、歯周病の診断歴がある人の割合が有意に高かった。一方、女性では、これらの眼症状は歯周病の診断歴とは関連していなかった。反対に女性では、ドライアイの診断歴がある人ほど、歯周病の診断歴がある人の割合が有意に高かった。

     歯周病の診断歴と関連する要因を多変量ロジスティック回帰で分析した結果、ドライアイの診断歴が有意な関連因子であることが判明した。そのオッズ比は、社会人口学的要因の影響のみを調整すると1.13(95%信頼区間1.04~1.23)、喫煙・飲酒習慣を加えて調整すると1.13(同1.03~1.23)、さらに歯や口の状態を加えて調整すると1.12(同1.03~1.22)だった。

     以上から著者らは、因果関係は確立していないとした上で、「ドライアイの診断歴や眼症状があることと、歯周病の発症が関連する可能性が高いことが示唆された」と結論。ドライアイと歯周病の関連のメカニズムに関しては、さらなる研究が必要だという。また、予防や管理には、「適切な口腔衛生の習慣、総合的な健康の維持、ライフスタイルの意識的な選択などの、多面的なアプローチ」を推奨している。

    治験に関する詳しい解説はこちら

    治験・臨床試験は新しいお薬の開発に欠かせません。治験や疾患啓発の活動を通じてより多くの方に治験の理解を深めて頂く事を目指しています。治験について知る事で治験がより身近なものになるはずです。

    治験・臨床試験についての詳しい説明

    参考情報:リンク先
    HealthDay News 2024年3月4日
    Copyright c 2024 HealthDay. All rights reserved. Photo Credit: Adobe Stock
    SMTによる記事情報は、治療の正確性や安全性を保証するものではありません。
    病気や症状の説明について間違いや誤解を招く表現がございましたら、こちらよりご連絡ください。
    記載記事の無断転用は禁じます。
  • ドライアイの女性は老眼になりやすい?――慶大

     ドライアイの女性は老眼になりやすい可能性を示唆するデータが報告された。慶應義塾大学医学部眼科の綾木雅彦氏、根岸一乃氏らの研究によるもので、詳細は「BioMed Research International」に1月28日掲載された。眼の表面の涙の膜の安定性が低い女性はそうでない女性よりも、水晶体の厚さの調節力が有意に低いという。一方、男性ではそのような関係が見られないとのことだ。

     眼は水晶体(眼のレンズ)の厚さを変えることで、瞳孔から入った光の屈折を調節し、網膜にピントを合わせている。ところが、加齢とともに水晶体の柔軟性が徐々に失われるため、ピントを合わせられる範囲が狭くなる。これが老眼であり、このような変化に伴い近くのものが見にくくなるほかに、眼精疲労などが起きやすくなる。一方、ドライアイは、涙の量が少ないことや、涙の膜の安定性が悪いために、眼の表面(角膜や結膜)が乾燥しやすくなる病気であり、眼精疲労のほかに眼の痛みや視力の低下などが自覚される。

    ドライアイに関する治験・臨床試験(新しい治療薬)情報はこちら
    郵便番号を入力すると、お近くの治験情報を全国から検索できます。

     ドライアイも老眼同様に加齢とともに増加するため、両者が視機能や自覚症状に互いに影響を及ぼす可能性があるが、それを検証した研究はこれまで行われていない。このような背景のもと綾木氏らは、ドライアイと老眼との関連を横断的に検討した。

     研究対象は、つくばセントラル病院眼科、および、おおたけ眼科つきみ野医院(神奈川県)の外来ドライアイ患者のうち、年齢40~69歳で、左右ともに有水晶体眼(白内障手術を受けていない眼)、矯正視力が20/30(小数点視力で0.7弱)以上の1,411人(平均年齢50.6歳、女性75.3%)。緑内障や白内障の患者、および視力に影響を及ぼし得るその他の疾患や、最近の眼科手術既往者は除外されている。

     老眼は、遠見視力と近見視力の双方が20/25(小数点視力で0.8)以上に到達するための「加入度数」という指標で評価。ドライアイは、開眼後に眼の表面の涙の層が失われる部分が生じるまでの時間である「涙液層破壊時間(BUT)」や、下の瞼にろ紙を挟み、涙で湿った長さで涙液分泌量を把握する「シルマーテスト」などで評価した。そのほかに、自覚症状のアンケートを行った。

     BUTは1,030人で測定されていた。女性の36.2%、男性の17.3%が3秒未満で涙液層が途切れ、女性の方が有意にBUT短縮型ドライアイが多かった(P<0.001)。一方、シルマーテストの値は性別による有意差がなかった。アンケートでは、乾燥感、痛み、まぶしさ、眼精疲労など6項目の評価指標の全てについて女性の訴えの方が強く、性別による有意差が認められた。

     続いて、加入度数が+3.00ディオプター以上を老眼と定義し、BUT3秒未満と以上とに二分して、カプランマイヤー法で加齢と老眼の関連を検討。その結果、女性ではBUT3秒未満の群は老眼の進行が有意に速いことが明らかになった(P=0.043)。一方、男性ではBUTが短いことと老眼の進行の速さとの間に関連は認められなかった(P=0.759)。

     女性では、ドライアイが老眼の進行に影響を及ぼす可能性が示されたことに関連して、著者らは、ドライアイによって水晶体の厚さを調節する毛様体の筋肉の痙攣が引き起こされるという報告に着目。「毛様体の筋肉の痙攣が屈折調節機能の低下につながるのではないか」と、ドライアイと老眼の関連のメカニズムを考察している。また、男性でこの関連が有意でなかったことについては、「女性に比べてサンプル数が少なかったことに加えて、BUT短縮型ドライアイの割合が低かったことも、結果に影響を及ぼしたと考えられる」と述べている。

     著者らは結論として、「BUTが短い女性ドライアイ患者では、老眼の進行が速いことが示唆された。今後は、水晶体の厚さや眼軸長などの眼局所のパラメーター、および、併存疾患などの全身因子も考慮に入れた上で、ドライアイと調節機能との関連の検討が望まれる」とまとめている。

    治験に関する詳しい解説はこちら

    治験・臨床試験は新しいお薬の開発に欠かせません。治験や疾患啓発の活動を通じてより多くの方に治験の理解を深めて頂く事を目指しています。治験について知る事で治験がより身近なものになるはずです。

    治験・臨床試験についての詳しい説明

    参考情報:リンク先
    HealthDay News 2022年4月4日
    Copyright c 2022 HealthDay. All rights reserved. Photo Credit: Adobe Stock
    SMTによる記事情報は、治療の正確性や安全性を保証するものではありません。
    病気や症状の説明について間違いや誤解を招く表現がございましたら、こちらよりご連絡ください。
    記載記事の無断転用は禁じます。