• 健康問題による生産性低下の要因に男女差

     従業員が何らかの健康問題や症状を抱えて出勤し、出勤時の生産性が低下している状態を「プレゼンティーイズム(presenteeism)」という。今回、プレゼンティーイズムと睡眠、喫煙や飲酒との関係が新たに調査され、男女間で異なる結果が得られた。飲酒ついては、女性では正の関連、男性では負の関連が見られたという。鳥取大学医学部環境予防医学分野の研究グループによる研究であり、「Journal of Occupational Health」に12月14日掲載された。

     病気などで欠勤することを「アブセンティーイズム(absenteeism)」といい、健康経営の課題となっている。しかし、それと比べて、健康問題を抱えながら出勤する「プレゼンティーイズム」の方が、従業員の生産性の低下(健康関連コスト)は大きいことが報告されている。その重要性が増していることから著者らは、プレゼンティーイズムと主観的な睡眠の質、喫煙、飲酒との関連について、男女差に着目して横断研究を行った。

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     鳥取県の1つの地方自治体の職員に対する2015年の質問紙調査のうち、713人(男性57.8%)のデータが用いられた。対象者は、生産性の測定ツール(WHO-HPQ)による質問「あなたの過去4週間の全体的なパフォーマンスをどのように評価しますか?」に、10段階で回答。それを100点満点(0点が最低、100点が最高のパフォーマンス)に換算し、40点以下をプレゼンティーイズム(自己評価による絶対的プレゼンティーイズム)と定義した。

     主観的な睡眠の質に関しては、過去30日間の全体的な睡眠の質を尋ねる質問への回答を基に、「良い」と「悪い」に分類。また、飲酒および喫煙に関する質問への回答に基づき、対象者の状況を「非飲酒」「元飲酒」「時々飲酒」「現在飲酒(毎日)」および「非喫煙」「元喫煙」「時々喫煙」「現在喫煙(毎日)」にそれぞれ分類した。

     その結果、プレゼンティーイズムに該当した人は174人(24.4%)であり、そのうち男性は102人(24.8%)、女性は72人(23.9%)で、有意な男女差はなかった。年齢層ごとの割合は、30歳未満が33.0%(32人)、30~39歳が29.7%(44人)、40~49歳が21.7%(51人)、50歳以上が20.2%(47人)だった。

     また、対象者の状況については、睡眠の質が悪い人は314人(44.0%)で、男性が190人(46.1%)、女性が124人(41.2%)。現在飲酒者は182人(25.5%)で、男性が145人(35.2%)、女性が37人(12.3%)。現在喫煙者は、男性が117人(28.4%)、女性は4人(1.3%)のみだった。

     ロジスティック回帰分析の結果、プレゼンティーイズムと睡眠の質が悪いこととの正の関連が、全体(オッズ比1.70、95%信頼区間1.18~2.44)と男性(同1.85、1.12~3.05)で認められた。女性では現在飲酒(同3.49、1.36~8.92)との正の関連が見られた。反対に、負の関連を示した要因は、全体では50歳以上(同0.50、0.27~0.93)、男性では現在飲酒(同0.43、0.20~0.92)、女性では40~49歳(同0.24、0.09~0.66)だった。

     以上の結果から、プレゼンティーイズムと睡眠の質との関連は、特に男性で顕著だった。また飲酒は、女性ではプレゼンティーイズムと正の関連、男性では負の関連を示す可能性が示唆された。著者らは、因果関係は示されていないとした上で、「プレゼンティーイズムと関連する要因は男女で異なり、従業員の生産性向上に向けて取り組む際は、男女差を考慮する必要がある」と結論付けている。

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  • 「自閉傾向」が高い妊婦ほど、早産などのリスク上昇

     日本全国における8万7,687人の妊婦を対象とする大規模な研究が行われ、自己申告による「自閉傾向」が高いほど、早産や在胎不当過小(small for gestational age;SGA)などのリスクが高いことが明らかとなった。特に、極早産のリスク上昇が顕著だったという。国立国際医療研究センターグローバルヘルス政策研究センターの細澤麻里子氏らによる研究結果であり、詳細は「JAMA Network Open」に1月23日掲載された。

     「自閉スペクトラム症(autism spectrum disorder;ASD)」は一定のスペクトラム(幅)を持つ神経発達障害であり、ASDの診断に至らなくても、一般の集団において「自閉傾向」のある人は連続的に分布しているとされる。ASDは社会的コミュニケーションの障害、限定された行動の繰り返しなどを特徴とするが、自閉傾向の高い人もASDと診断された人と同様に、社会的・心理的な困難を伴うことが報告されている。また過去の研究では、ASDと妊娠・出産の転帰不良との関連についても示されている。

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     そこで著者らは、一般の集団における妊婦の自閉傾向と出産の転帰との関連を検討するため、2011年1月~2014年3月に「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」に参加した人を対象とするコホート研究を行った。自閉傾向は、妊娠中期・後期に自己申告による「自閉症スペクトラム指数日本語版」(AQ-J-10)で評価した。AQ-J-10は得点が高いほど自閉傾向が高く、7点以上は「臨床域」として、より詳細な評価が必要であることを示す。出産の転帰は、早産およびSGAを診療録より収集した。

     8万7,687人(平均年齢31.2±5.0歳)のデータを解析した結果、AQ-J-10の平均点は2.8±1.7であり、AQ-J-10が7点以上の臨床域に該当する人は2,350人(2.7%)だった。ASDと診断を受けていた人は、わずかに18人(0.02%)のみだった。

     また、自閉傾向が高い人ほど、早産(妊娠37週未満)、中等度・後期早産(32~36週)、極早産(32週未満)、SGAのリスクが高まることが明らかとなった。具体的には、対象者の背景(出産時の年齢、教育レベル、初産か経産か、妊娠中の喫煙、妊娠前のBMI、既往歴、出生児の性別)や妊娠合併症(妊娠高血圧症、妊娠糖尿病)による影響を調整して解析すると、AQ-J-10の点数が1標準偏差高くなるごとに、早産のリスクは1.06(95%信頼区間1.03~1.09)、中・後期早産は同1.05(1.01~1.08)、極早産は同1.16(1.06~1.26)、SGAは同1.04(1.01~1.06)を示した。さらに、AQ-J-10が7点未満の人と比較すると、7点以上の臨床域の女性における早産のリスクが16%、中・後期早産のリスクが12%、極早産のリスクが49%、SGAのリスクが11%、それぞれ高くなった。

     以上から著者らは、「ASDの診断の有無によらず、一般の集団における妊婦の自閉傾向が高いことは、出産の転帰不良、特に極早産のリスク上昇と関連していた」と結論。この背景として、妊娠中の心理的ストレスの影響や食事などの生活習慣の影響、支援やケアへのアクセスの影響などを指摘する。その上で、自閉傾向が高い妊婦、特に自閉傾向が臨床域の得点を示す妊婦に対して、「妊娠中から適切な支援を提供することが必要だ」と述べている。

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  • コロナ後遺症は月経異常、QOLやメンタルヘルスに影響

     新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に感染した人のうち、約3人に1人が悩まされるといわれる「コロナ後遺症(Long COVID)」。新たに、コロナ後遺症のある18~50歳の女性を対象とする研究が行われた。その結果、約20%の女性がさまざまな月経異常を訴え、それに伴いQOLやメンタルヘルスが悪化していることが明らかとなった。岡山大学病院 総合内科・総合診療科の櫻田泰江氏、大塚文男氏らによる研究であり、詳細は「Journal of Psychosomatic Obstetrics and Gynecology」に1月25日掲載された。

     コロナ後遺症の症状は多岐にわたり、オミクロン株の流行期には、倦怠感、頭痛、不眠が増加傾向であると報告されている。また、女性の健康に焦点を当てた最近の研究では、COVID-19の流行が女性の月経にさまざまな悪影響を及ぼしていることなども示されている。そこで著者らは、日本人の女性を対象として、コロナ後遺症としての月経異常の臨床的特徴を明らかにする研究を行った。

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     この研究は、岡山大学病院のコロナ・アフターケア外来を2021年2月15日~2023年3月31日に受診した、コロナ後遺症の女性患者(18~50歳)を対象に行われた。コロナ後遺症の定義は、感染から4週間以上にわたり何らかの症状が持続している状態とした。患者の診療記録より、月経情報、健康関連QOL、抑うつ症状、ホルモン検査などの臨床データが解析された。

     研究対象の女性223人のうち、月経異常を訴える女性は44人(19.7%、年齢中央値42.5歳)で、月経異常のない女性(同38歳)よりも有意に年齢が高かった。44人中34人(77.3%)は、オミクロン株の流行期(2022年1月以降)に感染していた。月経異常の中で最も多い症状は月経周期の不順(63.6%)であり、次いで月経痛の悪化(25%)、過多月経(20.5%)、更年期症状(18.2%)、月経前症候群(15.9%)などの症状が見られた。

     また、月経異常のある女性では月経異常のない女性に比べて、倦怠感(75対58.1%)や抑うつ気分(9.1対1.1%)を伴う人の割合が有意に高かった。さらに、健康関連QOLの評価指標(FASおよびEQ-5D-5L)による評価では、月経異常のある女性の方が、倦怠感やQOLが有意に悪化していた。

     ホルモン検査では、月経異常のある女性の方が、血清コルチゾール値(中央値8.5対6.7μg/dL)が有意に高かった。その他の検査結果に有意差はなかったものの、月経異常のある女性の方が、血清卵胞刺激ホルモン(FSH)値(同28.7対8.3mIU/mL)は高く、血清エストラジオール(E2)値(同12対17.95pg/mL)は低い傾向が認められた。

     研究結果について著者らは、「コロナ後遺症は日本人女性の月経にも影響を及ぼし、QOLとメンタルヘルスの悪化につながるというエビデンスを提供するものである」と結論付けている。コルチゾール値が高かったことに関しては、月経異常などによるストレス状態が存在し、視床下部-下垂体-性腺軸を介してE2の産生障害につながる可能性を指摘。月経状態は心身の状態に影響を及ぼし得ることから、「正常な月経状態を維持することは重要である」と総括している。

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    月経困難症 症状別のセルフチェックに関する基本情報を掲載しています。症状の重さやどういったことが診断の基準レベルになるのか。生理・生理前アプリや内膜症に関連する病気。まとめた情報を紹介しています。

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  • ドライアイは歯周病と有意に関連

     ドライアイは一般的な眼疾患であり、コンタクトレンズの使用や加齢のほか、自己免疫疾患などによっても生じる。今回、日本人成人を対象とする大規模な研究が行われ、ドライアイの診断を受けたことがある人ほど、歯周病の罹患率が高いことが明らかとなった。新潟大学大学院医歯学総合研究科予防歯科学分野の小川祐司氏らによる研究であり、詳細は「BMC Oral Health」に1月8日掲載された。

     歯周病は世界的に罹患率が高く、日本人が歯を失う原因の第1位となっている。歯周病の人は口内細菌により長期の全身炎症が生じることから、全身疾患のリスクが上昇する可能性がある。一方、ドライアイについても、炎症との関連を指摘する研究が報告されている。これまでの研究から、ドライアイと歯周病の関連が示唆されるものの、エビデンスは限られ、日本人における知見は不足している。

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     そこで著者らは、「魚沼コホート研究」の2012~2014年におけるベースラインデータを用いて、新潟県の南魚沼市と魚沼市に居住する40歳以上の日本人成人を対象に、ドライアイと歯周病の関連を検討した。データは質問紙を用いて収集され、社会人口学的要因(年齢、性別、BMI、同居者数)、喫煙・飲酒習慣、歯周病の診断歴(歯科医師の診断)、歯や口の状態(残存歯数、咀嚼能力)、ドライアイの診断歴(医師の診断)、主観的な眼症状(乾燥感、異物感)が調査された。

     解析対象は3万6,488人(平均年齢63.3歳、男性47.4%)だった。歯周病の診断歴がある人の割合は39.3%であり、男性では42.1%(1万7,302人中7,278人)、女性では36.8%(1万9,186人中7,067人)と有意な男女差が認められた。ドライアイの診断歴がある人の割合は、男性では6.7%(1,163人)、女性では7.1%(1,354人)で、有意差はなかった。

     ドライアイの診断歴や眼症状、歯周病の診断歴がある人の割合を比較すると、男性の場合、眼の乾燥感または異物感のある人では、これらの眼症状がない人と比べて、歯周病の診断歴がある人の割合が有意に高かった。一方、女性では、これらの眼症状は歯周病の診断歴とは関連していなかった。反対に女性では、ドライアイの診断歴がある人ほど、歯周病の診断歴がある人の割合が有意に高かった。

     歯周病の診断歴と関連する要因を多変量ロジスティック回帰で分析した結果、ドライアイの診断歴が有意な関連因子であることが判明した。そのオッズ比は、社会人口学的要因の影響のみを調整すると1.13(95%信頼区間1.04~1.23)、喫煙・飲酒習慣を加えて調整すると1.13(同1.03~1.23)、さらに歯や口の状態を加えて調整すると1.12(同1.03~1.22)だった。

     以上から著者らは、因果関係は確立していないとした上で、「ドライアイの診断歴や眼症状があることと、歯周病の発症が関連する可能性が高いことが示唆された」と結論。ドライアイと歯周病の関連のメカニズムに関しては、さらなる研究が必要だという。また、予防や管理には、「適切な口腔衛生の習慣、総合的な健康の維持、ライフスタイルの意識的な選択などの、多面的なアプローチ」を推奨している。

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    HealthDay News 2024年3月4日
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  • 医学生の英語力、コロナ禍のオンライン授業で向上

     2020年のコロナ禍以降、オンライン教育が取り入れられてきた。今回、新たな研究で、医学部2年生の英語力に関するオンライン教育の効果が検証された。その結果、「対面授業」と比べて、「オンライン授業」や「オンラインと対面の併用授業」を受けた医学生の英語力は向上していたという。北海道大学大学院医学研究院 医学教育・国際交流推進センターの高橋誠氏らによるこの研究は、「BMC Medical Education」に1月17日掲載された。

     新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックにより、大学や医療機関における教育は混乱に陥った。現場では「オンライン授業」に切り替えることで教育活動を維持してきたが、オンライン教育が医学教育に及ぼした影響については、まだ十分に解明されていない。そこで著者らは、北海道大学医学部における医学英語のコースを受講した大学2年生の成績を3年分調査し、オンライン教育の影響を検証した。

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     同コースでは毎年4~7月に、計15回の授業が行われた。全てが対面授業だった2019年、オンライン授業のみの2020年、オンラインと対面が半分ずつ併用された2021年の各年、受講した医学部2年生のうち計321人が対象となった。医学のための英語として、医学用語、問診・診察、根拠に基づいた医療(EBM)などの内容が、日本語と英語で指導された。

     まず、コース前後に質問紙を用いて、リーディング、ライティング、リスニング、スピーキングのスキルを主観的に評価した。また、客観的な評価項目を3つ設定。1つ目は「医学用語」として、各授業の前後で知識を評価。2つ目の「EBM」は、学生を6~7人のグループに分け、「The New England Journal of Medicine」誌の論文を読んで分析し、最新の医学情報を抽出する方法を指導。コース終了後に、レポート提出、論文の要約、ポスター作成、ポイントの口頭発表を課した。3つ目の「最終試験」では、コース終了後に筆記試験を実施した。

     解析対象の学生は、2019年が106人(女性19人)、2020年が104人(同19人)、2021年が111人(同27人)だった。各年で、女性の割合や、大学入学試験の英語の点数に有意差はなかった。主観的評価の結果、コース開始時に比べて、「対面授業」の2019年はリスニングとスピーキングの2つが有意に向上した。「オンライン授業」の2020年は、有意に向上していたのはライティングのみだった。「併用授業」の2021年には、リーディング、ライティング、リスニング、スピーキングの全てのスキルが有意に向上していた。

     客観的な評価項目のうち、「医学用語」と「EBM」は、各年とも成績が有意に向上し、授業形態による違いは認められなかった。「最終試験」については、各年の平均点(100点満点)が2019年は78.6±8.8、2020年は82.8±8.2、2021年は79.7±12.1だった。すなわち、「オンライン授業」の方が、「対面授業」や「併用授業」よりも点数が有意に高かった。ただし、「対面授業」と「併用授業」の間では、点数の差は有意ではなかった。

     著者らは研究論文の考察において、特筆すべきこととして、オンラインと対面の併用授業で全ての英語スキルが向上したことを挙げている。また今後、医学英語の他にも、多くの臨床前コースを対象とした大規模な研究が必要とした上で、「オンライン授業や併用授業による教育は、対面授業に劣らず効果的だった」と総括している。

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    HealthDay News 2024年2月26日
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