• 高齢者の6割以上が3疾患を併存 東京都内の高齢者データを分析

    東京都内に住む75歳以上の高齢者約131万人のうち、約8割以上が2疾患以上の慢性疾患を併存し、約6割以上が3疾患以上を併存していることが、東京都健康長寿医療センター研究所の石崎達郎氏(研究部長)らの調査で明らかになった。詳細は、米疾病対策センター(CDC)が発行する「Preventing Chronic Disease」1月31日号に掲載された。

     2つ以上の併存疾患を有する患者の治療は複雑になりやすく、健康上の転帰に影響を及ぼすと考えられている。特に高齢者では、複数疾患の併存は身体機能やQOL(生活の質)、生存率の低下につながる可能性がある。しかし、現行の診療ガイドラインでは、多疾患を併存する高齢患者に対する対応が十分ではなく、特に3疾患以上の組み合わせに着目した研究データは不足している。

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     そこで、石崎氏らは、東京都に在住の75歳以上の高齢者131万1,116人分の診療報酬明細書(レセプト;2013年9月~2014年8月)データを用いて、併存疾患の実態や頻度の高い3疾患の組み合わせ、多疾患併存に関連する因子について分析した。対象者の平均年齢は81.3歳で、女性が61.5%であった。

     その結果、高齢者の80.2%は2疾患以上の慢性疾患を併存し、65%は3疾患以上を併存していることが分かった。併存する慢性疾患の平均数は、男性が6.2~6.8、女性が6.0~6.5であった。

     最も頻度が高い3疾患の組み合わせは、男性では「高血圧+冠動脈疾患+潰瘍性疾患」(12.4%)、女性では「高血圧+脂質異常症+潰瘍性疾患」(12.8%)であった。男性では「高血圧+脂質異常症+潰瘍性疾患」(11.0%)、女性では「高血圧+潰瘍性疾患+脊椎/関節疾患」(11.2%)が続いた。また、3疾患の組み合わせのうち1年間の平均外来医療費が最も高かったのは、男性では「高血圧+潰瘍性疾患+がん」(82万7,644円、7位、7.6%)、次いで「高血圧+潰瘍性疾患+脊椎/関節疾患」(76万2,176円、10位、7.4%)であり、女性では「高血圧+潰瘍性疾患+不眠症」(68万2,811円、6位、8.0%)、次いで「高血圧+潰瘍性疾患+脊椎/関節疾患」(67万4,710円、2位、11.2%)であった。

     さらに、3疾患以上の慢性疾患を抱えやすい高齢患者の特徴として、男性、85~90歳、在宅医療サービスの利用、外来受診した施設数が多いこと、入院回数が多いことが挙げられた。

     以上の結果から、石崎氏らは「約131万人の東京都内の後期高齢者では約8割は2疾患以上、約6割は3疾患以上の慢性疾患を併存していることが明らかになった。このことは、高齢者を対象とする診療ガイドラインでは複数疾患の併存を考慮することが必要であることを示している」と述べている。その上で、今回示された高頻度の疾患の組み合わせや多疾患併存に関連する因子の情報は、ガイドラインを策定する際に参考になると期待を示している。

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  • 高齢者では低強度運動がインスリン抵抗性と関連か 名古屋大の研究グループ

    糖尿病のない日本人の高齢者では、低強度の身体活動と1日の歩数はインスリン抵抗性をはじめとする心血管代謝リスク因子と関連する可能性があることが、名古屋大学大学院地域在宅医療学老年科学准教授の梅垣宏行氏らの研究グループの検討で分かった。高齢者におけるインスリン抵抗性の予防や改善には、運動強度よりも運動量の方が重要だと考えられるという。詳細は「Diabetes Research and Clinical Practice」7月26日オンライン版に掲載された。

     インスリン抵抗性は血糖異常や脂質異常、高血圧につながるだけでなく、認知機能の低下やサルコペニア(加齢に伴う筋肉量の減少)と関連することが示されている。そのため、高齢者の2型糖尿病の発症を予防するにはインスリン抵抗性の改善が重要とされる。梅垣氏らは今回、糖尿病のない高齢の地域住民を対象に、身体活動とインスリン抵抗性をはじめとする心血管代謝リスク因子との関連を検討する横断研究を実施した。

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     対象は、愛知県豊田市の住民を対象に運動が認知機能に及ぼす影響を検討したランダム化比較試験に参加した、65~85歳の高齢者388人(平均年齢72.5±4.7歳、男性51%)。研究開始時に加速度計を用いて評価した低強度または中高強度の身体活動や1日の総歩数などと、インスリン抵抗性指数(HOMA-IR)や血圧、脂質、炎症マーカーなどの心血管代謝リスク因子との関連を調べた。

     その結果、低強度身体活動が増えるほど血圧値とトリグリセライド(TG)値は低下し、ウエスト周囲長とBMIは減少し、HDL-コレステロール値は上昇したほか、インスリン抵抗性は改善することが分かった。1日の総歩数もインスリン抵抗性と有意に関連することが明らかになった。一方、中高強度身体活動はTG値とC反応性蛋白(CRP)値、インスリン抵抗性と関連した。

     さらに、多変量回帰分析の結果、低強度身体活動とインスリン抵抗性は、血圧値やBMI、TG値などとは独立して関連したのに対し、中高強度身体活動とインスリン抵抗性との関連は、他の因子で調整後の解析では消失することも分かった。

     以上の結果を踏まえ、梅垣氏らは「今回の研究では、糖尿病のない高齢者では、インスリン抵抗性には低強度の身体活動と1日の歩数が関連する可能性が示された。高齢者の健康を維持するためには、医療従事者が中心となって運動するように働きかける必要がある」と述べている。

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    参考情報:リンク先
    HealthDay News 2018年10月9日
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