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10月 13 2026 高齢者の手首骨折、進行したフレイルより骨の脆弱性を反映か
高齢者に多い橈骨遠位端骨折(DRF、手首の骨折)は、骨の脆弱性を示す骨折として知られている。今回、国内の大規模データを用いた研究で、DRFは、進行した全身的なフレイルよりも、身体機能が比較的保たれた高齢者における骨のフレイルを反映している可能性が示唆された。また、DRF後は大腿骨近位部(股関節)骨折の発生率が高く、骨粗鬆症治療を開始する介入機会となる可能性も示された。研究は、静岡社会健康医学大学院大学と名古屋市立大学大学院医学研究科整形外科学分野の研究グループによるもので、柴田隆太郎氏、佐藤洋子氏、田中仁啓氏らが実施した。詳細は、8月27日付で「Journal of Bone and Joint Surgery」に掲載された。
高齢化が進む日本では、転倒に関連する筋骨格系疾患は要介護状態の主な原因となっている。DRFを受傷した人では、その後に別の骨粗鬆症性骨折を起こすリスクが高く、特に大腿骨近位部骨折は寝たきりや死亡などにつながる。一方、DRFが骨の脆弱性だけでなく、全身的なフレイルも反映するのかは明らかになっていない。そこで著者らは、静岡県の大規模な医療保険請求データを用いて、DRF後の死亡、二次骨折、要介護状態、入院などの長期予後を検討した。
【治験について相談したい方へ】
治験情報の探し方から参加検討まで、専門スタッフが一緒にサポートします研究には、静岡県内の約240万人を対象とした「静岡県国民健康保険データベース(SKDB)」を用いた。2012~2022年に初めてDRF(ICD-10コードでS52.5またはS52.6)と診断された65~89歳の患者を対象とし、上肢の打撲と診断された患者を対照群とした。両群の背景因子をそろえるため傾向スコアマッチングを行い、全死亡を主要評価項目とした。副次評価項目には、二次的な脆弱性骨折、入院、要介護状態の悪化、骨粗鬆症治療の開始を設定した。死亡はCox比例ハザードモデル、その他の転帰はPoisson回帰モデルで解析した。また、二次骨折や骨粗鬆症治療の開始が死亡に及ぼす影響を評価するため、因果媒介分析を行った。
傾向スコアマッチング後の解析対象は4万7,178人(2万3,589組)で、平均年齢は77.6歳、女性が87.8%を占めた。DRF群では対照群に比べて全死亡リスクが低く、未調整のハザード比(HR)は0.90(95%信頼区間0.86~0.94)だった。ただし、要介護認定などの因子を調整するとHRは0.98(同0.93~1.02)となり、有意な差は認められなかった。一方、サブグループ解析では、要介護認定を受けている男性や要介護度が高い女性で、DRF群の死亡リスクが低かった。
また、DRF群では対照群に比べて全入院および複数の二次的な脆弱性骨折の発生率が高かった。特に、大腿骨近位部骨折の発生率はDRF群で2.58件、対照群で2.00件(いずれも100人年当たり)であり、DRF群で有意に高かった(P<0.001)。一方、要介護状態の悪化の発生率は2.85件対2.80件(同)で、両群に有意差はなかった。1年以内に骨粗鬆症治療を開始した割合は17.6%対7.7%で、DRF群で高かった(P<0.001)。
媒介分析では、二次的な大腿骨近位部骨折がDRFと死亡との関連の一部を媒介し、その割合は9.6%と推定された。一方、ビタミンD補充については保護的な媒介効果が認められ、媒介割合は3.5%だった。
今回の研究から、高齢者のDRFは、進行した全身フレイルよりも、身体機能が保たれた状態で生じる骨の脆弱性を反映している可能性が示された。一方、DRF後には大腿骨近位部骨折などの二次的な脆弱性骨折が増えるにもかかわらず、DRF後1年以内に骨粗鬆症治療を開始した人は17.6%にとどまった。著者らは、DRFをその後の骨折を予防するための骨粗鬆症治療開始の重要な介入機会と捉える必要があるとしている。
本研究の限界として、観察研究のため因果関係を確定できないこと、身体機能を要介護認定で推定しており直接評価していないこと、90歳以上を対象としていないことなどを挙げている。
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10月 13 2026 禁煙が心電図上の左室肥大の退縮と関連か
禁煙は心血管疾患のリスク低下につながる一方、禁煙後には体重増加や血圧上昇がみられることがあり、心血管系には好ましくない変化と考えられている。今回、こうした変化がみられたにもかかわらず、禁煙後に心電図上の左室肥大の指標が改善したとする研究結果が報告された。禁煙時と6年後を比較したところ、心電図で測定した左室電位と、左室肥大と判定された人の割合がいずれも低下していたという。研究は、国立病院機構鹿児島医療センター循環器内科の二宮雄一氏らによるもので、詳細は8月27日付の「PLOS ONE」に掲載された。
左室肥大は心血管疾患の発症や死亡と関連する重要な指標であり、心電図による評価は心血管リスクの層別化にも広く用いられている。一方、喫煙は血管内皮機能障害や交感神経活動の亢進、動脈スティフネス(動脈の硬さ)などを介して心血管系に悪影響を及ぼし、喫煙者では左室重量や心筋壁厚が増加することが報告されている。しかし、禁煙によって左室肥大が退縮するかどうかは十分に明らかになっていない。そこで研究グループは、日本人の健診受診者を対象に、禁煙と心電図上の左室肥大の変化との関連を6年間にわたって検討した。
【心血管疾患の治験について相談したい方へ】
治験情報の探し方から参加検討まで、専門スタッフが一緒にサポートします研究グループは、2005~2019年に健診を受けた日本人一般集団の健診記録23万4,596件を用いた。この中から、喫煙を中止し、禁煙時に高血圧ではなかった30~65歳の752人を抽出した。対象者は禁煙時と6年後の両時点で心電図データが得られることを条件とし、がん、内分泌疾患、構造的心疾患、心筋梗塞の既往などがある人は除外した。心電図上の左室肥大はSokolow-Lyon基準(SV1+RV5>3.5 mV)で判定した。また、体重、BMI、血圧、脂質、腎機能などのデータを収集し、追跡期間中の降圧薬使用の有無によって対象者を分けて比較した。禁煙時と6年後の各指標の変化を解析し、心電図上の左室肥大の退縮に関連する因子を多変量解析で検討した。
対象者752人の92.4%が男性で、平均年齢は47.8歳だった。6年間の追跡後、平均体重は65.7 kgから68.1 kgに、収縮期血圧は112.8 mmHgから122.0 mmHgに、いずれも有意に上昇した(いずれもP<0.0001)。追跡期間中に降圧薬の使用を開始した人は103人(13.7%)だった。
一方、心電図で測定した左室電位(SV1+RV5)は、禁煙時の平均2.47 mVから6年後には2.41 mVに有意に低下した(P<0.0001)。心電図上の左室肥大と判定された人の割合も、8.4%から6.5%に低下した。
降圧薬の使用状況別にみると、左室電位は、降圧薬を使用した人では2.68 mVから2.45 mVに(P<0.0001)、使用しなかった人では2.44 mVから2.40 mVに低下した(P=0.01)。また、多変量解析では、降圧薬の使用が心電図上の左室肥大の退縮と独立して関連していた。
著者らは、禁煙によって喫煙に伴う交感神経活動の亢進や動脈スティフネスなどが改善し、左室への圧負荷が軽減した可能性を指摘している。また、血管内皮機能の改善や酸化ストレスの低下が、左室肥大の退縮に関与した可能性もあるという。ただし、今回の研究は心電図による評価であり、実際の心筋量が減少したかどうかは明らかではない。また、対象者の92.4%が男性であり、女性を含む集団に結果を一般化できるかは不明である。
二宮氏は、「禁煙後には体重増加や血圧上昇がみられることがあるが、それにもかかわらず心電図上の左室肥大の指標が改善したことは興味深い結果だ。今回の結果は、禁煙が心血管系にもたらす長期的な有益性を支持する新たな知見と考えている」としている。
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心不全のセルフチェックに関連する基本情報。最善は医師による診断・診察を受けることが何より大切ですが、不整脈、狭心症、初期症状の簡単なチェックリスト・シートによる方法を解説しています。