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6月 22 2026 地域活動への参加、ワーク・エンゲージメントと関連――労働者1.4万人を追跡
ボランティアや地域活動、趣味・学習活動などに参加している人は、仕事にも前向きに取り組めるのだろうか。今回、日本の労働者約1万4,500人を追跡した研究で、地域活動への参加とワーク・エンゲージメント(仕事に関連したポジティブで充実した心理状態)の高さとの関連が示された。特に地域貢献活動(ボランティアや地域活動)では、年数回程度の参加でも関連が認められ、参加頻度が高いほど、ワーク・エンゲージメントが高い傾向が示唆された。研究は産業医科大学産業保健経営学の植月三咲子氏、永田智久氏らによるもので、詳細は5月14日付の「Journal of Occupational Health」に掲載された。
地域活動への参加は、身体的・精神的健康の向上や幸福感の増加と関連することが知られている。特に高齢者を対象とした研究では、抑うつ症状やフレイルリスクの低下、生活満足度の向上などとの関連が報告されている。一方で、地域活動が仕事にどのような影響を及ぼすかについては十分に明らかになっていない。こうした背景から、著者らは日本の労働者を対象に、地域活動への参加、特に参加頻度とワーク・エンゲージメントとの関連を検討した。
【治験について相談したい方へ】
治験情報の探し方から参加検討まで、専門スタッフが一緒にサポートします著者らは、日本のさまざまな業種で働く20~65歳の労働者1万4,526人を対象に、2022年をベースライン、翌2023年を追跡調査とする前向きコホート研究を実施した。地域活動は「地域貢献活動」と「趣味・学習活動」に分類し、参加頻度を「週1回以上」「月1~3回」「年数回」「参加なし」の4群で評価した。ワーク・エンゲージメントは日本語版UWES-9で評価し、多変量回帰分析を用いて関連を検討した。解析では年齢や性別、世帯収入、業種に加え、職場の社会的支援、仕事の裁量権、外向性、ベースライン時点のワーク・エンゲージメントなどを調整した。
解析対象は1万4,526人(平均年齢45.2歳、男性57.4%)だった。地域貢献活動への参加頻度は、週1回以上が2.3%、月1~3回が3.8%、年数回が21.2%で、72.7%は参加していなかった。趣味・学習活動については、週1回以上が5.4%、月1~3回が6.2%、年数回が12.7%で、75.7%は参加していなかった。
多変量解析の結果、地域貢献活動への参加は、翌年のワーク・エンゲージメントの高さと有意に関連していた。具体的には、週1回以上参加する群(B=1.18)、月1~3回参加する群(B=1.01)、年数回参加する群(B=0.46)のいずれでも有意な関連が認められ、参加頻度が高いほど、ワーク・エンゲージメントが高い傾向が示唆された。一方、趣味・学習活動では、週1回以上参加する群のみで有意な関連がみられた(B=0.69)。
なお、外向性や職場の社会的支援、仕事の裁量権に加え、ベースライン(2022年時点)のワーク・エンゲージメントを調整した後も、これらの関連は維持された。
著者らは、地域活動を通じた社会的つながりの形成や、自己効力感、楽観性、レジリエンスといった心理的資源の向上が、ワーク・エンゲージメントとの関連に関与している可能性があると考察した。また、外向性や職場の社会的支援、仕事の裁量権などを考慮した後も関連が認められたことから、地域活動への参加とワーク・エンゲージメントとの関連は、性格や職場環境の違いだけでは説明できない可能性が示された。
一方で著者らは、仕事への意欲が高い人ほど地域活動にも参加しやすかった可能性を否定できないとしており、因果関係については慎重な解釈が必要だと指摘している。
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6月 15 2026 震災後の住まい、6年後の孤立リスクに差
災害後の生活再建では、住まいの確保が重要な課題となる。今回、東日本大震災後の東北地域住民を対象とした大規模研究により、震災から6年後の住居形態が社会的孤立と関連していたことが分かった。特に男性では、賃貸住宅で孤立リスク上昇、被災地で住宅再建した場合にはリスク低下との関連が示された。研究は、岩手医科大学医学部衛生学公衆衛生学講座(いわて東北メディカル・メガバンク機構兼務)の事崎由佳氏らによるもので、詳細は5月13日付の「BMJ Public Health」に掲載された。
東日本大震災では、多くの住民が家屋被害や転居を経験し、慣れ親しんだ地域や人間関係の喪失による社会的孤立が懸念されてきた。社会的孤立は、社会的ネットワークの縮小や他者との接触不足を示す指標であり、心血管疾患、抑うつ症状、認知機能低下などとの関連が報告されている。震災後の研究でも、孤立が抑うつ症状や死亡リスク上昇と関連することが示されている一方、被災後の住居形態と孤立の関係を長期的に検討した研究は限られていた。こうした背景から、著者らはいわて東北メディカル・メガバンク機構の地域住民コホート調査を用い、震災6年後の住居形態と社会的孤立との関連を検討した。
【治験について相談したい方へ】
治験情報の探し方から参加検討まで、専門スタッフが一緒にサポートします著者らは、いわて東北メディカル・メガバンク機構の地域住民コホート調査(TMM CommCohort Study)に参加した人のうち、岩手県住民1万6,610人(男性5,828人、女性1万782人、平均年齢59.4±11.1歳)を対象に解析を行った。震災6年後の住居形態を、震災前からの自宅、仮設・みなし仮設住宅、賃貸住宅など8種類に分類した。社会的孤立はLubben Social Network Scale-6(LSNS-6)を用いて評価し、12点未満を孤立と定義した。住居形態と社会的孤立との関連について、性別および65歳未満/65歳以上で層別化した上で、多変量ロジスティック回帰分析により調整オッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)を算出した。解析では、喫煙、飲酒、既往歴、就労状況、抑うつ症状に加え、ベースライン時点の社会的孤立も調整因子として考慮した。
震災6年後の時点で、社会的孤立の割合は男女とも賃貸住宅居住者で高く、男性48.0%、女性36.0%だった。男性では、仮設・みなし仮設住宅や災害公営住宅でも社会的孤立が多くみられた。
多変量解析の結果、男性では賃貸住宅に住む人で社会的孤立リスク上昇との関連が認められ、特に65歳未満で顕著だった(OR 1.87、95%CI 1.06~3.28)。一方、65歳未満で被災地に住宅を再建した男性では、社会的孤立リスク低下との関連が示された(OR 0.41、95%CI 0.20~0.86)。
また、65歳以上の男性では、仮設・みなし仮設住宅居住者で社会的孤立リスク上昇との関連がみられたが、この関連はベースライン時点の社会的孤立を調整すると有意ではなくなった。女性では、65歳以上で親族・知人宅に住む人を除き、住居形態と社会的孤立との有意な関連は認められなかった。
著者らは、災害後の住居形態が社会的孤立の重要な決定因子となる可能性があり、その影響は性別や年齢によって異なると結論付けている。その上で、災害復興時の住宅政策では、住居確保だけでなく、地域のつながりやコミュニティの維持、脆弱な集団への配慮といった社会的側面を組み込む重要性を強調している。
なお、著者らは本研究の限界点として、住居形態と社会的孤立を同時点で評価しており因果関係を断定できないこと、観察研究であるため残余交絡を否定できないこと、さらに東日本大震災特有の状況であり他災害への一般化に限界があることなどを挙げている。
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5月 12 2026 性的・ジェンダー少数者の健康格差、心理的・身体的暴力被害が背景か
性的・ジェンダー少数者(SGM)では、非SGMに比べて高血圧や精神疾患などの健康問題のリスクが高い可能性がある。今回、日本のミレニアル世代を対象とした研究で、SGMの高血圧リスクは非SGMの約3倍と推定され、こうした健康格差の背景に暴力被害が関与している可能性が示された。研究は筑波大学人文社会系の松島みどり氏らによるもので、詳細は「Public Health」に3月27日掲載された。
SGMは非SGMに比べて身体的・精神的健康状態が不良であることが報告されており、その背景には差別や心理的・身体的暴力など、少数者であることによって受ける「マイノリティストレス」があると考えられている。しかし、暴力被害がSGMと非SGMの健康格差をどの程度説明するのかは十分に検討されておらず、研究の多くは欧米に集中している。そこで研究グループは、LGBTQをめぐる議論が広がった時代に成長した日本のミレニアル世代(1980年代前半から1990年代半ばに生まれた人たち)に着目し、SGMと非SGMの健康格差とその要因を分析した。
【治験について相談したい方へ】
治験情報の探し方から参加検討まで、専門スタッフが一緒にサポートします本研究は、日本の大規模インターネット調査「JACSIS study」第3波(2022年9月12日~10月19日)のデータを用いた横断研究である。楽天インサイトのパネルを対象としたオンライン調査から、ミレニアル世代の男性5,868人(SGM 986人、非SGM 4,882人)、女性6,253人(SGM 907人、非SGM 5,346人)を解析対象とした。出生時の性別と性自認、性的指向に関する質問からSGMを定義した。健康問題については、若年層で比較的多い高血圧、精神疾患、口腔疾患、慢性疼痛、アレルギーの5つを対象とし、現在診断されているかを自己申告で評価した。ロジスティック回帰でSGMと非SGMの健康格差を推定し、Fairlie分解法を用いて社会経済状況、医療アクセス、健康行動、心理的・身体的暴力被害が格差にどの程度寄与するかを解析した。
対象者のうちSGMは男性16.8%、女性14.6%だった。SGMは非SGMに比べ、検討したすべての健康問題と関連していた。高血圧のオッズ比は男性で3.02、女性で3.83、精神疾患は男性で2.87、女性で1.87だった。
各疾患の有病割合の差(SGMと非SGMの実際の有病率の差)は、男性で11~19%、女性で4~13%で、いずれもSGMで高く、特に精神疾患で大きかった。実際の有病率をみると、男性では高血圧がSGM25.1%、非SGM7.6%、精神疾患がSGM25.7%、非SGM7.1%など、いずれの疾患もSGMで高値であった。女性でも同様にSGMで有病割合は高いものの、その差は男性より小さかった。
また、SGMは心理的・身体的暴力を経験した割合も高く、男性では心理的暴力がSGM42.3%、非SGM20.8%、身体的暴力がSGM39.8%、非SGM17.4%だった。女性でも同様にSGMで暴力経験割合は高かった。
これらの健康格差の要因を分解すると、心理的・身体的暴力被害の寄与が最も大きく、観察された格差の約3分の1~4分の3を説明していた。一方、社会経済状況、医療アクセス、健康行動の寄与は小さかった。著者らは、社会経済状況や医療アクセスだけでは健康格差を十分に説明できず、より広い社会的要因が関与している可能性があると指摘する。これらの結果から、暴力被害が健康格差の主要な説明要因であり、心理的・身体的暴力の双方が関連していたことが示された。
日本はLGBTの法的保護や包摂の面で、OECD諸国の中でも低い評価(2019年時点)とされ、過去20年間で大きな進展はみられていないと指摘されている。2023年に成立した「LGBT理解増進法」は理解の促進を目的としたもので、差別を直接禁止する罰則規定はなく、同性婚も法的に認められていない。著者らは、こうした制度的背景や異性愛を前提とした社会構造がスティグマにつながっている可能性があり、健康格差の是正には政策的対応が重要だと指摘している。
なお、本研究の限界点として、オンライン調査による自己申告データを用いているため疾患の有病率が過小評価されている可能性がある点や、臨床データを含めていない点が挙げられる。
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5月 12 2026 サプリ「メーカー推奨量超え」約2割、長期使用や錠剤タイプで多い可能性
健康維持のために利用されることの多いサプリメントだが、摂取量によっては栄養素の過剰摂取につながる可能性もある。今回、日本の成人を対象とした調査で、サプリメント利用者の約2割がメーカーの表示する推奨摂取量(メーカー推奨量)を超えて摂取していることが明らかになった。長期使用や錠剤タイプの製品で多い傾向もみられ、過剰摂取の実態と関連要因が示された。研究は、東邦大学医学部社会医学講座衛生学分野の杉本南氏、同予防医療学分野の朝倉敬子氏らによるもので、詳細は3月19日付の「Interactive Journal of Medical Research」に掲載された。
近年、健康維持や栄養補給を目的としたサプリメントの利用は世界的に増加している。一方で、食事に加えてサプリメントから栄養素を摂取することで耐容上限量(UL)を超える可能性があり、過剰摂取による健康リスクが懸念されている。これまでにもサプリメント利用者における上限量超過の実態は報告されているが、メーカー推奨量を利用者が実際に守っているかについての研究は限られている。また、多くの研究は自己申告によるサプリメント使用情報に依存しており、製品特定や摂取量の正確性に課題があった。本研究では購入履歴データを活用し、メーカー推奨量を超えるサプリメント摂取の関連要因と、栄養素のUL超過の実態について検討した。
【治験について相談したい方へ】
治験情報の探し方から参加検討まで、専門スタッフが一緒にサポートします著者らは2024年11~12月にかけて、日本の成人を対象とした横断研究としてオンライン調査を実施した。消費者モニターを利用し、主要25種類のサプリメント製品のいずれかの購入履歴があり、直近1か月以内に使用している、または日常的に使用している18~74歳の成人2,002人を対象とした。質問票で1日当たりのサプリメント摂取量を把握し、製品パッケージに記載されたメーカー推奨量と比較した。さらに、日本人の食事摂取基準に基づくULを基準とし、サプリメント由来のビタミンおよびミネラル摂取量のみからUL超過の有無を評価した。多変量ロジスティック回帰分析を用いて、推奨量を超える摂取と社会人口学的要因との関連を検討した。
参加者の平均年齢は43.7歳で、女性が75.6%を占め、平均BMIは21.6であった。調査対象2,002人のうち371人(18.5%)が、メーカー推奨量を上回ってサプリメントを摂取していた。
推奨量を超える摂取は、中年層、パートタイムまたはフルタイムで就労している人、錠剤型のサプリメント使用者(特に水溶性ビタミンの単剤錠)、サプリメントを6カ月以上継続している人、さらに意図的にメーカー推奨量を超えて摂取していることとも関連していた。メーカー推奨量を超えて摂取していた人のうち15.4%は、自ら過剰摂取であると認識していた。一方で57.1%は推奨量と同程度、10.8%は推奨量以下と認識しており、過剰摂取の自覚がないケースも多かった。
メーカー推奨量を超えて摂取していた群では、実際の摂取量がメーカー推奨量の数倍に達する例もみられ、平均すると水溶性ビタミン単剤では実際の摂取量がメーカー推奨量の3.9倍、葉酸や鉄を含む錠剤型サプリメントでは5.4倍に達していた。
ULが設定されている栄養素を含むサプリメントを摂取していた1,705人のうち、17.4%(297人)がメーカー推奨量を超えて摂取していた。このうち61.9%(184/297)は、少なくとも1種類の栄養素でULを上回っていた。特にビタミンA、ナイアシン、葉酸、マグネシウム、亜鉛では、メーカー推奨量を超えて摂取している人の40~60%がULを超過していた。
著者らは、中年層や長期使用者などでメーカーの表示するサプリメントの推奨量超過が多くみられたと指摘する。こうした摂取は栄養素の過剰摂取につながる可能性があり、過剰摂取の健康リスクについて認識を高める必要があるとしている。
なお、著者らは本研究の限界として、オンライン調査モニターを対象とした点や、摂取量が自己申告である点、複数サプリメントの併用を評価していない点などを挙げている。
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4月 13 2026 日勤の看護師不足、入院患者の死亡・再入院と関連――日本の病院データ
看護師の配置不足は入院患者の予後に影響するのか。今回、日本の急性期病院を対象とした研究で、病棟の通常水準を下回る看護師配置、特に日勤帯での不足が、院内死亡や再入院の増加と関連することが示された。約7万7,000件の入院データを解析した結果で、日々の人員配置を適切に維持する重要性が示唆された。研究は、国立保健医療科学院疫学・統計研究部の森岡典子氏、東京科学大学医療本部クオリティ・マネジメント・センターの森脇睦子氏、筑波大学医学医療系社会医学の宮脇敦士氏、英サウサンプトン大学のPeter Griffiths氏らによるもので、詳細は2月25日付で「JAMA Network Open」に掲載された。
看護師は医療・ケア従事者の中で最大の職種であり、その配置は医療の質や安全性、医療提供体制の効率に大きく関わるとされる。これまでの研究でも、看護師配置が多いほど院内死亡や有害事象が減少するなど、患者アウトカムが改善することが示されてきた。一方で、実際の病棟では適切な人員配置の判断が看護管理者の経験や判断に依存している面もあり、エビデンスに基づく指針は十分とは言えない。さらに、病院単位で集計した患者対看護師比などの固定的な指標では病棟ごとに異なるケアニーズを十分に反映できない可能性がある。そこで本研究では、病棟ごとの通常水準を基準とした入院期間中の看護師不足を、日勤と夜間の時間帯別に評価し、院内死亡や再入院、在院日数との関連を検討した。
【治験について相談したい方へ】
治験情報の探し方から参加検討まで、専門スタッフが一緒にサポートします本研究は、日本の9病院82病棟の診療報酬請求データ(DPC)と病棟ごとの日々の看護師勤務表データを連結して行った後ろ向きコホート研究である。対象は2019年4月~2020年3月に入院した20歳以上の患者で、ICU滞在日は解析から除外した。対象病棟はいずれも、患者7人に対して看護師1人以上を配置する一般急性期病棟で最も手厚い「7対1看護配置」を採用していた。看護師不足(アンダースタッフィング)は、入院期間中の患者1人当たりの看護提供時間(中央値)が各病棟の通常水準(年間中央値)を下回る場合と定義し、24時間全体、日勤帯、夜勤帯(準夜・深夜)で評価した。解析では院内死亡、退院後7日および30日以内の再入院、在院日数を評価項目とし、傾向スコアマッチング(PSM)や病院・病棟の違いを考慮したマルチレベル回帰モデルを用いて解析した。
解析対象は7万7,289件の入院で、患者の平均年齢は69歳、約半数が手術を伴う入院だった。PSM後は、年齢や併存疾患などの患者背景は両群でほぼ同等となった。
その後の解析では、24時間全体または日勤帯で看護師不足が生じていた場合、院内死亡率はそうでない場合より高かった(24時間:3.1%対2.8%、日勤帯:3.2%対2.8%)。また、24時間全体で看護師不足があった場合は30日以内再入院率が高く(11.2%対10.5%)、日勤帯で不足があった場合は7日以内再入院率が高かった(2.3%対2.1%)。一方、夜間の看護師不足は院内死亡や再入院と有意な関連を示さなかった。
在院日数は、24時間全体、日勤帯、夜間のいずれの時間帯で看護師不足があった場合でも長く、平均在院日数はそれぞれ14.6日対13.8日、14.7日対13.7日、14.1日対13.6日だった。多層モデルによる解析でも同様の結果が得られ、24時間の看護師不足は院内死亡リスクの上昇(調整オッズ比1.22)や30日以内再入院(同1.05)と関連していた。
さらに感度解析でも結果は概ね同様で、看護師不足と院内死亡および在院日数の延長との関連は一貫して認められた。
著者らは、「急性期病院では、24時間全体または日勤帯で看護師不足が生じている場合、院内死亡や再入院、在院日数の延長と関連する可能性が示された」としている。その上で、日々の看護師配置レベルを継続的に把握し、通常からの逸脱・不足が生じた場合にリリーフ支援などでタイムリーに対応することが、患者アウトカムの改善につながる可能性があると指摘している。
なお、本研究の限界として、看護師不足の基準を病棟ごとの年間中央値で定義しており最適な配置水準は不明である点、看護師の経験構成など未測定要因の影響を考慮できていない点、さらに大規模公的病院のデータに基づくため結果の一般化に限界がある点が挙げられる。
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4月 07 2026 AIで医療教育は変わるか? 問診評価で指導医の負担軽減の可能性
医師の働き方改革が進む中、医療教育の現場でも効率化と質の担保の両立が課題となっている。AIを活用した仮想患者による問診評価について、指導医による評価と比較した研究が発表された。AIの評価は指導医と高い一致を示し、評価時間は6割以上短縮されたという。研究は、順天堂大学医学部総合診療科の髙橋宏瑞氏らによるもので、詳細は2月17日付の「JMIR Medical Education」に掲載された。
適切な臨床面接は正確な診断と患者との信頼関係構築に不可欠であり、従来は実際の患者や模擬患者との実習と指導医の指導によって習得されてきた。近年は、「何年経験したか」ではなく「何ができるようになったか」で評価する能力基盤型医学教育(CBME)が広がり、評価や記録業務の負担が課題となっている。こうした中、大規模言語モデル(LLM)を用いた生成AIによる仮想患者と自動評価の仕組みが登場しているが、専門家評価との一致や妥当性の検証は十分ではない。本研究では、AIによる臨床面接評価と指導医による評価の一致度を比較し、AIが代替可能かを検証するとともに、評価時間の短縮効果や経験差による影響を検討した。
【治験について相談したい方へ】
治験情報の探し方から参加検討まで、専門スタッフが一緒にサポートします標準化された「脚の脱力」の症例をAIの仮想患者として設定し、医学生2人、研修医3人、指導医2人の計7人がそれぞれ問診を行った。面接内容を書き起こしたテキストを、25項目からなる評価尺度を用いて採点した。評価は3つの方法で比較した。まず、GPT-o1 ProとGPT-5 Proは、同じ条件(同じプロンプト)で各テキストを5回ずつ評価し、ハルシネーションや評価のばらつきを確認した。次に、別の臨床指導医5人が同じ基準で独立に採点した。一致度はPearson相関係数(r)や級内相関係数(ICC)などで評価し、1件あたりの所要時間と時間短縮率も算出した。
平均面接スコアは、AIによる評価と指導医による評価でほぼ同程度だった(GPT-o1 Proを用いたAI評価:平均52.1±6.9点、GPT-5 Proを用いたAI評価:平均53.2±9.2点、人間による評価:平均53.7±6.8点)。
AI評価と人間評価の一致度は高く(r=0.90、Linの一致相関係数=0.88)、評価の偏りも小さかった(GPT-o1 Pro:平均差0.4±2.7点、GPT-5 Pro:平均差1.5±5.2点。Bland–Altman解析の一致限界はそれぞれ-4.9~5.7、-8.6~11.7)。
信頼性を示すCronbachのα係数は、GPT-o1 Proで0.81、GPT-5 Proで0.86、人間評価で0.80といずれも高水準だった。一方、ICC(評価者間の一致度を示す指標)はAI評価で0.77および0.82と良好だったのに対し、人間評価では0.38にとどまった。さらに、評価のばらつきを示す変動係数はAI評価が6.6%で、人間評価(13.9%)の約半分だった。
処理時間は、AIが3~4分程度で完了したのに対し、医師は約10分を要し、最大で約68%の時間短縮に相当した。
著者らは、GPT-o1 ProおよびGPT-5 Proによる評価が指導医と同等の精度とより高い一貫性を示し、評価時間も大幅に短縮できたと報告している。その上で、「AIは人間評価者を補完または一部代替し得る可能性があるとしつつ、教育現場での活用には慎重な設計と継続的な人間の監督が不可欠だ」と強調している。
なお、本研究は単一の模擬症例を対象とした小規模な検討にとどまる。著者らは、より多様な症例での検証や学習効果・費用対効果の評価に加え、実際の診療能力との関連を検証する必要があると指摘する。また、高い一致度が直ちに公平性を保証するわけではなく、性別や文化的背景などに関する潜在的なバイアスへの検証も不可欠だとしている。
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4月 06 2026 縦隔腫瘍・重症筋無力症の手術、主流は「低侵襲」へ――全国データ解析
胸の中央の空間である縦隔に生じる腫瘍(縦隔腫瘍)の手術は、従来は胸を大きく開く開胸手術が主流だった。近年は胸腔鏡やロボットを用いた低侵襲手術の導入が進んでいるが、日本全体での実態は十分に明らかでなかった。今回、全国の医療保険データを解析した研究で、縦隔手術の多くが胸腔鏡で行われ、ロボット手術も増加していることが示された。研究は、稲毛病院整形外科の城戸優充氏、京都府立医科大学呼吸器外科学の岡田悟氏らによるもので、詳細は2月20日付で「International Journal of Clinical Oncology」に掲載された。
胸腺上皮性腫瘍は発生頻度が低いものの、前縦隔に生じる腫瘍の中で最も多い。標準治療は外科切除であり、近年は胸腔鏡やロボット支援手術など低侵襲手術の導入が進んでいる。また、胸腺摘出術が行われる代表的疾患である重症筋無力症(MG)でも同様の手術手技の変化が報告されている。しかし、日本では縦隔手術の全国的な動向は十分に明らかでない。そこで本研究は、全国の医療保険データベースを用いて過去10年間の縦隔腫瘍手術の推移を解析した。
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治験情報の探し方から参加検討まで、専門スタッフが一緒にサポートします本研究では、日本の保険診療におけるレセプトデータの95%以上を網羅する厚生労働省の匿名医療保険等関連情報データベース(National Database of Health Insurance Claims and Specific Health Checkups:NDB)の公開集計データを用い、2014~2023年に行われた縦隔手術を解析した。手術は疾患区分(良性腫瘍、悪性腫瘍、MG)と手術アプローチ(開胸、胸腔鏡、ロボット支援手術)で分類し、10万人年当たりの手術率を算出した。10年間の経年推移については、手術件数を線形回帰分析、手術率をポアソン回帰分析で評価した。手術率は男性・女性・男女全体に加えて、10歳ごとの各年代についての解析も実施した。年齢調整は2015年標準人口を用いて行った。
2023年に日本で行われた縦隔手術は全6,214件で、内訳は良性腫瘍54.4%、悪性腫瘍41.6%、MG 4.0%だった。手術アプローチでは、胸腔鏡手術が全体の76.4%を占め、ロボット支援手術は全体の29.4%だった。これは胸腔鏡手術の約4割がロボット支援下で行われていた計算になる。一方で、開胸手術は23.6%にとどまった。手術患者の45.1%は65歳以上だった。
過去10年間で、全縦隔腫瘍手術の件数は有意に増加した(P=0.0001)。この増加は、悪性腫瘍手術、胸腔鏡手術、ロボット支援手術件数の増加によるもので、いずれも有意な上昇を示した(いずれもP<0.0001)。一方、MGに対する拡大胸腺摘出術と開胸手術件数は有意に減少していた(それぞれP=0.0019、P<0.0001)。良性腫瘍手術件数には有意な増減を認めなかった。
手術率では、特に悪性縦隔腫瘍に対する手術率が男女ともに増加しており、相対リスクは男性1.051、女性1.065、全体で1.058だった(いずれもP<0.0001)。年代別の解析では、40歳以上の男女で有意に増加していた(P<0.0024)。
著者らは、「日本では過去10年間で悪性縦隔腫瘍に対する手術が増加しており、手術アプローチは開胸から胸腔鏡やロボットなどの低侵襲手術へと大きく移行している」とまとめている。こうした結果は、今後の医療資源配分や外科医育成などを検討する上で参考となる。
なお、本研究は保険請求データに基づく解析であり、腫瘍の組織型や病期などの臨床情報は把握できず、非手術症例も含まれない。また、MGに対する拡大胸腺摘出術の件数が過小評価されている可能性もある。
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3月 09 2026 BMIでは見えない死亡リスク? 新体型指標の可能性
体格評価に広く用いられるBMI(体格指数)だが、その限界も指摘されている。近年、体型の丸みや腹囲を反映する指標であるBody Roundness Index(BRI)や、体型形状を考慮したA Body Shape Index(ABSI)が提案されている。今回、日本人約78万人を対象とした大規模研究で、これらの指標が死亡リスク評価に新たな視点をもたらす可能性が示された。研究は、東京大学大学院医学系研究科ヘルスサービスリサーチ講座の木村悠哉氏らによるもので、詳細は1月31日付で「Journal of Obesity」に掲載された。
BMIは体脂肪の指標として広く用いられているが、脂肪と筋肉を区別できない点や脂肪分布を反映しない点が課題とされている。同じBMIでも体組成や死亡リスクが異なる可能性があり、近年は腹囲や内臓脂肪を反映した新たな体型指標であるBRIやABSIが提案されている。欧米や糖尿病患者を対象とした研究では、これらの指標がBMIより死亡リスク評価に優れる可能性が示唆されているが、アジア人の一般集団でのエビデンスは限られている。本研究では、日本人を含むアジア集団において、BMI・BRI・ABSIと全死亡との関連を比較し、BMIカテゴリ内でのより詳細なリスク層別化が可能かを検証することを目的とした。
【肥満症の治験について相談したい方へ】
治験情報の探し方から参加検討まで、専門スタッフが一緒にサポートします本研究では、全国を代表する日本のレセプトデータベース(2014~2022年)を用いた後ろ向きコホート研究として、健康診断を受診した77万8,812人を解析対象とした。主要評価項目は全死亡とした。3つの身体計測指標は、制限付き三次スプライン曲線から算出したカットオフ値に基づき5群(Q1~Q5)に分類した。人口統計学的因子、生活習慣および併存疾患で調整した多変量Cox比例ハザードモデルを用いて、これらのカテゴリ変数と全死亡との関連を評価した。
参加者の平均(標準偏差)年齢は62.8(9.6)歳で、女性は44万5,250人(57.2%)であった。死亡例ではABSIが生存者より高値であった一方、BMIおよびBRIには明確な差はみられなかった。また、BRIはBMIと強い相関を示したのに対し、ABSIはBMIとほとんど相関が認められなかった。
追跡期間中央値(四分位範囲)4.53(3.28~6.23)年の間に、1万4,690件の死亡が確認された。BMIおよびBRIでは、値が低すぎても高すぎても死亡リスクが上昇する「U字型」の関連がみられた。一方、ABSIでは低値域ではリスク上昇が比較的緩やかで、高値になるほど急激にリスクが増加する「J字型」の関係が示された。
基準カテゴリ(Q3)と比較した死亡リスクの有意差は、BMIではQ1・Q2・Q5の3カテゴリに認められたのに対し、BRIおよびABSIでは基準カテゴリ(Q3)以外のすべて(Q1・Q2・Q4・Q5)で認められた。
著者らは、「本研究はアジア人集団における死亡リスク評価において新たな身体計測指標を考慮することの有用性を示唆している。また、これらの知見は、体組成評価や肥満管理におけるより包括的なアプローチの発展に寄与する可能性がある」と述べている。
なお、本研究の限界として、民族差を検討できない点、死因別死亡が解析できない点、観察期間が比較的短い点、選択バイアスや社会経済的要因を調整できないことによる残余交絡の可能性がある点などを挙げている。
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3月 02 2026 日本の健康アウトカムに地域差、「へき地度」で示された疾患別死亡率との関連
日本では地域によって医療資源や人口構成が異なり、健康アウトカムの差が指摘されている。今回、こうした地域特性を定量的に評価する指標「へき地度(Rurality Index for Japan:RIJ)」を用いた全国規模の研究で、RIJが高い地域ほど脳血管疾患の死亡率や男性の自死率が高い傾向が示された。研究は、横浜市立大学大学院データサイエンス研究科ヘルスデータサイエンス専攻の金子惇氏、山形大学大学院医学系研究科医療政策学講座の池田登顕氏によるもので、詳細は1月26日付で「BMJ Open」に掲載された。
世界的に都市と地方では健康状態や医療アクセスの格差が報告されているが、日本では「へき地性(rurality)」の定義や評価方法が研究ごとに異なり、統一指標による検討は十分に行われていなかった。離島や過疎地域、無医地区など医療アクセスに課題を抱える地域も存在する中、客観的な指標を用いた全国的評価の必要性が指摘されてきた。そこで本研究は、日本の医療におけるへき地尺度(RIJ)を用い、主要5疾患における地域差を評価するとともに、へき地性と高齢化率や社会経済状況との関連を検討した。
【治験について相談したい方へ】
治験情報の探し方から参加検討まで、専門スタッフが一緒にサポートします研究は、生態学的研究デザインを用い、日本の自治体および政令指定都市の行政区を対象に実施された。人口が0人の地域を除く1,897自治体・行政区、総人口約1億2,600万人を解析対象とした。地域のへき地度はRIJを用いて評価し、RIJスコアは分布に基づいて四分位(Q1〜Q4)に分類した。急性心筋梗塞(AMI)、脳血管疾患(脳卒中・脳出血)、がん、自死について標準化死亡比(SMR)を算出し、死亡データが利用できない糖尿病については外来診療の標準化受療比(SCR)を代替指標として用いた。
解析対象となった1,897の自治体・行政区の解析から、RIJが高い地域ほど、脳血管疾患および男性自死のSMRが高いことが示された。いずれもRIJの上昇に伴い段階的に増加する傾向(用量反応関係)が認められた。
男性の脳卒中・脳出血のSMRは、最もRIJが低い地域(Q1)を基準とすると、RIJのSMRに対する回帰係数がQ2で11.5、Q3で12.7、Q4で18.4と増加し、女性でも同様の傾向がみられた。また男性の自死のSMRでも同様に、Q2で8.7、Q3で12.9、Q4で14.1と、RIJが高いほど回帰係数が上昇した。
AMIでは、RIJが高い地域でSMRが高い傾向がみられたが、明確な段階的増加は確認されなかった。一方、がん死亡率および糖尿病外来受療のSCRについては、RIJとの有意な関連は認められなかった。
さらに、RIJは地域の高齢化率および地理的剥奪指標(ADI)と正の相関を示し、RIJが高いほど高齢者割合や社会経済的困難を抱える傾向が示された(Spearmanの相関係数はそれぞれ0.67、0.55)。これらの結果は、へき地度の高い地域では医療アクセスや社会的支援の面で課題が集中していることを示唆している。
著者らは、「これらの結果は、救急医療へのアクセス改善およびメンタルヘルス支援の強化を含む、へき地度の高い地域に焦点を当てた医療政策の重要性を示している」と述べている。
なお、本研究では自治体単位の解析で個人レベルの因果関係は示せない点や、人口2000人未満の地域が含まれておらず、最もへき地度の高い地域における格差を過小評価した可能性がある点などが限界として挙げられる。またSCRは受療行動や患者移動の影響を受けるため、医療ニーズを直接反映していない可能性もある。
地域差を単なる都市・地方の二分法ではなく、連続的な「へき地度」として捉えた点は、今後の地域医療政策や研究のあり方にも示唆を与える結果といえそうだ。
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2月 16 2026 性格は仕事のやる気より“燃え尽きやすさ”に関係か
仕事への「やる気」や「燃え尽き」は、個人の性格によってどの程度左右されるのか。今回、日本の企業で働く正社員を1年間追跡した研究から、性格特性はワーク・エンゲージメント(やる気)とは関連しなかった一方で、バーンアウト(燃え尽き)とは有意に関連することが示された。研究は、鳥取大学大学院医学系研究科臨床心理学講座の福崎俊貴氏、獨協医科大学大学院看護学研究科の岩田昇氏によるもので、詳細は1月7日付で「PLOS One」に掲載された。
近年、労働者のメンタルヘルスでは、仕事への前向きさを高め、健康障害を防ぐ「ポジティブな心理状態」が重視されており、その理論的枠組みとして仕事の要求度-資源モデル(JD-Rモデル)が用いられている。このモデルでは、仕事の資源(職場のサポートや報酬)がワーク・エンゲージメントを高める一方、仕事の要求がバーンアウトを引き起こすとされる。また、職場環境だけでなく、自己効力感やレジリエンス、性格といった個人要因も重要と考えられている。中でも性格特性は、ワーク・エンゲージメントやバーンアウトとの関連が示唆されてきたが、多くは横断研究にとどまり、職場要因を同時に考慮した縦断的検証は行われていない。さらに、従来のバーンアウト尺度には測定上の課題がある。
【治験について相談したい方へ】
治験情報の探し方から参加検討まで、専門スタッフが一緒にサポートしますそこで本研究では、新たなバーンアウト評価尺度(Burnout Assessment Tool:BAT)を用い、日本の労働者を対象に、性格特性とワーク・エンゲージメントおよびバーンアウトとの関連を、職場要因を調整した上で縦断的に検討した。
本研究では、楽天インサイト株式会社に登録された約220万人のモニターパネルのうち、国内の企業・組織に勤務する正社員を対象に、1年の間隔をあけてオンライン調査を2回実施した(ベースライン調査:2022年11~12月、追跡調査:2023年11~12月)。両調査に回答した500人(男性299人、女性201人、追跡率33.3%)のデータを解析に用いた。性別や年齢などの人口統計学的変数に加え、仕事の要求度・裁量、上司や同僚の支援、外在的報酬といった職場要因を質問票で評価した。ワーク・エンゲージメントとバーンアウトは日本語版尺度を用いてベースラインおよび追跡調査で測定し、性格特性(ビッグファイブ)はベースライン時に評価した。解析には階層的重回帰分析を用い、ベースライン時のワーク・エンゲージメントとバーンアウトおよび人口統計学的変数を調整した。
本研究の参加者の平均年齢は45.9歳で約60%が男性であった。1年間追跡した解析の結果、ワーク・エンゲージメントは低下した一方で、バーンアウトの程度には大きな変化はみられなかった。
ワーク・エンゲージメントについては、性格の違いによる影響はほとんど認められず、年齢に加えて、高い外在的報酬(標準化回帰係数〔β〕=0.15、P<0.001)や同僚からの支援(β=0.12、P<0.05)といった仕事の資源の要因が強く関係していた。これに対し、バーンアウトについては、仕事の要求度が大きいほど(β=0.10、P<0.01)、また神経症傾向が高いほど(β=0.08、P<0.05)高く、誠実性が高い人ほど(β=-0.08、P<0.05)低い傾向が認められた。
著者らは、「今回の結果は、ワーク・エンゲージメントを高めるには性格よりも資源の豊富な職場環境の整備が、バーンアウトを防ぐには仕事の負担や個人特性への配慮が重要であることが示唆された」と述べている。
本研究の限界として、参加者はオンライン調査パネルの登録者に限られていた点、職務要因(仕事の負荷や職場環境)は一部しか評価していない点などを挙げている。加えて、因果関係の向きや日本特有の文化的背景も考慮に入れる必要があるとしている。
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