• 歯科医院で定期的な口腔メンテナンスを受けている人は歯を失いにくい

     一般歯科医院で歯科衛生士による口腔メンテナンスを受けている人を20年以上追跡した研究から、決められたスケジュール通りに受診している人ほど歯を失いにくいという有意な関連のあることが明らかになった。東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科口腔疾患予防学分野の安達奈穂子氏らの研究によるもので、詳細は「International Journal of Dental Hygiene」に8月27日掲載された。

     口腔メンテナンス受診率が高いほど歯の喪失が少ないことを示唆する研究結果は、既に複数報告されている。ただし、それらの研究は主として大学病院や歯周病専門歯科という限られた環境で行われた研究の結果であり、大半の地域住民が受診する一般歯科における長期的な歯科受療行動と、歯の喪失との関連については知見が少ない。これを背景として安達氏らは、一般歯科医院の患者データを用いて、以下の遡及的な解析を行った。

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     この研究の対象は、山形県酒田市にある歯科医院に20年以上継続して受診しており、初診時に16~64歳だった395人(男性29.9%)。より高度な治療が必要とされ専門施設へ紹介された患者や、う蝕(むし歯)が進行しやすいエナメル質形成不全の患者は除外されている。

     解析対象全員に対して、むし歯や歯周病などに対する初期治療が行われ、一定の基準(歯肉出血の箇所が10%未満、深さ4mm以上の歯周ポケットが10%未満、プラークスコアが15%未満など)に到達した以降は、歯科衛生士による定期的なメンテナンスが行われた。メンテナンスの頻度は、深さ4mm以上の歯周ポケットがある場合は3カ月ごと、それ以外は半年ごとに行われた。メンテナンスの内容は、口腔衛生指導、歯石除去、歯面清掃、フッ化物歯面塗布などの一般的なものだった。

     ベースライン時点の主な特徴は、平均年齢41.4±11.2歳、残存歯数25.4±3.7本、むし歯の経験歯数〔未処置のむし歯、詰め物などの処置済み歯、喪失歯の合計本数(DMFT)〕16.4±6.4本、深さ4mm以上の歯周ポケットを有する割合8.2±12.4%、歯肉出血の割合13.4±13.1%で、喫煙者が11.1%、糖尿病患者が3.0%含まれていた。前記のメンテナンススケジュールに対して通院遵守率が75%以上の患者を「高遵守」、75%未満を「低遵守」として二分すると、前者が36.2%、後者が63.8%を占めた。両群のベースラインデータを比較すると、喫煙者率が高遵守群で有意に低いことを除いて(7.0対13.5%、P=0.048)、上記の全ての指標および歯槽骨吸収率に、群間の有意差は認められなかった。なお、各群の通院遵守率の平均は、高遵守群が85.8±7.0%、低遵守群は54.9±13.5%だった。

     平均23.2±2.1年の観察期間中に、高遵守群の37.8%、低遵守群の72.2%が歯を1本以上失っていた。また、DMFTの増加は同順に17.5%、39.7%だった。1年当たりの変化で比較すると、歯の喪失は0.05、0.11本/年、DMFTの増加は0.02、0.05本/年であり、いずれも低遵守群の方が有意に多かった(ともにP<0.001)。

     次に、多重ロジスティック回帰分析にて、歯の喪失に独立して関連のある因子を検討。その結果、ベースライン時点での喫煙〔オッズ比(OR)2.67(95%信頼区間1.01~7.05)〕、DMFT〔1本多いごとにOR1.09(同1.04~1.14)〕、歯槽骨吸収率〔軽微を基準として中等度以上でOR4.11(2.09~8.09)〕とともに、通院遵守率〔高遵守群を基準として低遵守群はOR6.50(3.73~11.32)〕が抽出された。年齢や性別、糖尿病、観察期間、ベースライン時の4mm以上の歯周ポケットの割合および歯肉出血の割合は、有意な関連がなかった。

     続いて、通院遵守率を75%以上、50~75%未満、50%未満の3群に分けて、多重ロジスティック回帰分析を施行すると、歯の喪失リスクは、遵守率75%以上の群(患者割合は36.2%)を基準として、50~75%未満の群(同43.0%)はOR5.43(3.02~9.74)、50%未満の群(20.8%)はOR10.55(4.87~22.85)となり、通院遵守率が下がるにつれて歯の喪失リスクが上昇することが確認された。

     著者らは本研究の限界点として、20年以上の観察が不可能だった患者の転帰が評価されていないこと、観察期間中に他院で治療を受けていた場合の影響が考慮されていないことなどを挙げた上で、「地域の一般歯科医院での長期にわたるメンテナンススケジュールが遵守された場合、歯の喪失リスクが抑制される可能性が示された」と結論付けている。

     なお、過去の同様の研究の中には、通院遵守率が高いほど歯を失う確率が高いという、本研究とは反対のデータがあるが、調整因子にベースライン時のDMFTが含まれていない、観察期間が本研究より短いなどの差異があり、それらが結果の違いとなって現れた可能性があるとの考察が述べられている。

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  • 筋肉量の多寡にかかわらずタンパク質摂取量が高齢者の全死亡リスクに関連

     日本人高齢者を対象とする研究から、タンパク質の摂取量が多いほど全死亡(あらゆる原因による死亡)のリスクが低いという関連が示された。この関連は、筋肉量や血清アルブミンなどの影響を統計学的に調整してもなお有意であり、独立したものだという。東京都済生会中央病院糖尿病・内分泌内科の倉田英明氏(研究時点の所属は慶應義塾大学医学部腎臓内分泌代謝内科)らの研究によるもので、詳細は「BMC geriatrics」に8月9日掲載された。

     タンパク質摂取量と健康リスクとの関連については、動脈硬化や腎機能、またはサルコペニア(筋肉量・筋力の低下)、フレイル(要介護予備群)などの観点から研究されてきている。しかし、食文化の違いによるタンパク源の相違などの影響のため、それらの研究結果は一貫性が見られない。また、国内発の知見はいまだ少なく、かつサルコペニアやフレイルリスクを有する高齢者の筋肉量とタンパク質摂取量との関連を検討した研究が主体であって、地域在住一般高齢者の死亡リスクとの関連は明らかになっていない。

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     以上を背景として倉田氏らは、慶應義塾大学と川崎市が共同で行っている「川崎元気高齢者研究(Kawasaki Aging and Wellbeing Project;KAWP)」のデータを用いて、この関連を縦断的に解析した。KAWPは、日常生活動作(ADL)が自立した身体障害のない85~89歳の地域住民対象前向きコホート研究として2017年にスタート。今回の研究ではKAWP参加者のうち、簡易型自記式食事歴質問票(BDHQ)を正しく回答でき、認知機能の低下(MMSE24点未満)がなく、解析に必要なデータに欠落のない833人を対象とした。主な特徴は、平均年齢86.5±1.36歳、女性50.6%、BMI23.1±3.16で、骨格筋量指数(SMI)は7.33kg/m2、血清アルブミンは4.16±0.28mg/dL。BDHQにより把握された摂取エネルギー量は2,038±606kcal/日であり、その17.0±3.18%をタンパク質から摂取していた。

     摂取エネルギー量に占めるタンパク質の割合の四分位で全体を4群に分類して比較すると、その割合が高い群ほど高齢(傾向性P=0.042)で女性が多い(同0.002)という有意な関連が認められた。一方、BMI、腎機能(eGFR)やそのマーカー(BUN、尿アルブミン)、心血管疾患(CVD)既往者の割合には有意差がなかった。血清アルブミンは傾向性P値が0.056と非有意ながら、タンパク質エネルギー比が高い群で高値となる傾向にあった。SMIについては全体解析では、タンパク質エネルギー比が高い群ほどSMIが低いという負の有意な関連があったが(傾向性P=0.018)、性別に解析すると、男性、女性ともに非有意となった。

     タンパク質の摂取源に着目すると、タンパク質エネルギー比が最も低い(平均13.1%)第1四分位群は、魚の摂取量が20.3g/1,000kcalであるのに対して第4四分位群(同21.2%)は68.6g/1,000kcalと、約3.5倍であった。タンパク質以外の主要栄養素については、タンパク質エネルギー比が高い群ほど炭水化物摂取量が少なく、脂質の摂取量が多かった(いずれも傾向性P<0.001)。

     平均1,218日(約3.5年)の観察で、89人の死亡が記録されていた。タンパク質エネルギー比の第1四分位群を基準として、共変量(年齢、性別、SMI、血清アルブミン、教育歴、がん・CVDの既往)を調整したCox回帰モデルにより、タンパク質摂取量が多いほど全死亡リスクが低いという有意な関連が明らかになった。具体的には第4四分位群ではハザード比(HR)0.44(95%信頼区間0.22~0.90)と56%低リスクであり、全体の傾向性P値が0.010だった。共変量のSMIをBMIに置き換えた場合も結果は同様だった。

     魚の摂取量の多寡の影響に着目して、その四分位数で4群に群分けして検討すると、第4四分位群で有意なリスク低下が認められたが〔HR0.48(95%信頼区間0.23~0.97)〕、全体の傾向性は非有意だった(傾向性P=0.13)。その他、肉類、卵、乳製品に分けて行った解析からは、全死亡リスクとの有意な関連は示されなかった。

     著者らは、本研究が観察研究であるために解釈に限界があるとした上で、「ADLが自立している85歳以上の高齢者では、タンパク質摂取量が多いことが全死亡リスクの低下と関連しており、この関連は筋肉量にかかわらず認められた」と結論付けている。また、タンパク質エネルギー比が高い群ほど魚の摂取量が多かったことから、「魚には抗炎症作用や発がん抑制作用が報告されているn-3系多価不飽和脂肪酸が豊富に含まれており、健康に対して多面的なプラス効果を期待できる。高齢アジア人の健康アウトカム改善には、魚を中心とするタンパク質の摂取量を増やすことも重要なポイントではないか」と述べている。

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  • 感染対策の体温報告や出張制限は「不当な扱い」と捉えられがち――CORoNaWork研究

     新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミック中に職場で実施された対策の中で、毎日の体温測定の結果報告や出張制限などは、労働者から「不当な扱い」と捉えられがちだったことが分かった。産業医科大学第2内科の塚原慧太氏、同大学環境疫学研究室の藤野善久氏らの研究によるもので、詳細は「Journal of Occupational and Environmental Medicine」に7月7日掲載された。著者らは、「パンデミックが長期化して職場では対策疲れが生じている。Withコロナとなった今、労働者にあまり負担をかけずに持続可能な感染対策を策定する必要があり、本研究の結果を生かせるのではないか」と語っている。

     この研究は、同大学が行っている「COVID-19流行下における労働者の生活、労働、健康に関する調査(CORoNaWork研究)」の一環として実施された。CORoNaWork研究はインターネットアンケートによる全国規模の前向きコホート研究で、ベースラインデータは2020年12月の国内第3波の時期に取得されている。今回の研究では、その1年後に当たる2021年12月の第6波で行われた追跡調査のデータが解析された。アンケートの内容は、毎日の体温測定結果の報告、出張の制限、リモートワークの推奨など9項目の対策について、「勤務先で実施しているか?」、および、「感染対策の目的で、職場で不当な扱いを受けたことがあるか?」などの質問項目で構成されていた。

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     解析対象者数は1万8,170人(平均年齢48.5±9.8歳、男性57.2%)で、56.4%が既婚であり、職種はデスクワーク中心が51.4%と最多であって、対人応対中心が24.5%、身体労働中心が24.1%。年収は500万円未満が38.5%、500~700万円未満21.3%、700~900万円未満17.2%、900万円以上が23.0%。勤務先の従業員数は10人未満が23.6%、10~50人未満が16.3%、50~1,000人未満が34.9%、1,000人以上が25.2%。教育歴は専門学校・短大・大学卒以上が72.9%、高校卒が25.8%、中学卒が1.3%。

     職場で行われていた感染対策の実施率は、高いものから順に、「マスク着用」77.1%、「体調不良時の出勤自粛」73.5%、「接待などの制限」69.6%、「毎日の体温測定結果の報告」61.8%、「パーテーション設置、机の配置の変更などの環境整備」56.9%、「対面での面談の制限」53.3%、「出張の制限」52.9%、「訪問の制限」44.3%、「リモートワークの推奨」29.3%。

     「職場で不当な扱いを受けた」と回答したのは、全体の1.5%に当たる276人だった。そのように回答した労働者の勤務先の感染対策実施率は、上記9項目全て、全体平均より高値だった。

     次に、9項目の感染対策それぞれについて、それを実施していない職場の労働者を基準とし、対策を実施している職場の労働者が「不当な扱いを受けた」と回答するオッズ比(OR)を検討。交絡因子(年齢、性別、職種、勤務先の従業員数、収入、教育歴、婚姻状況)を調整後、毎日の体温測定結果の報告〔OR1.43(95%信頼区間1.02~2.02)〕や、訪問の制限〔OR1.43(同1.02~2.01)〕という対策の実施は、有意なオッズ比上昇と関連していた。また、出張の制限はわずかに非有意ながら、オッズ比は1.45(同0.99~2.10)と高かった。

     一方、接待などの制限〔OR0.52(0.35~0.79)〕と、体調不良時の出勤自粛〔OR0.62(0.42~0.90)〕は、オッズ比の有意な低下と関連していた。そのほかの対策は有意な関連がなかった。

     以上より著者らは、「職場での感染対策の中には、労働者の負担を増やすものと減らすものがある。この知見は、感染症拡大リスクが存在する状況において、労働者が心身ともに健康な状態で働く環境を整備するために有用と考えられる」と述べている。なお、毎日の体温測定が不当な扱いと捉えられやすいことの理由として、「勤務時間外で自宅にいる時に、しかも多忙な朝に勤務先の指示に従い体温を測定して、その結果を報告しなければいけないことが、ストレスとなりやすいのではないか」との考察が加えられている。

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  • 魚をよく食べる人は血小板数が低く、生活習慣が良好

     魚の摂取頻度と血小板数が低いことに関連性のあることが報告された。日本大学病院循環器内科の谷樹昌氏らの研究によるもので、詳細は「Preventive Medicine」に8月23日掲載された。魚摂取頻度が高い人には健康的なライフスタイルの人が多いことも示されている。

     疫学研究から、魚の摂取量が多いほどアテローム性動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)のリスクが低いことが示唆されており、その主要なメカニズムとして、魚油に豊富なエイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)などのn-3系多価不飽和脂肪酸(n-3PUFA)による抗炎症作用が想定されている。また、炎症マーカーと見なされることもある血小板数が、魚油の摂取によって低下するという報告もある。ただし、魚の摂取頻度と血小板数との関連については明らかでない。一方、ASCVDリスクは喫煙、飲酒、運動、睡眠などの生活習慣によって大きく変化することも知られている。そこで谷氏らは、魚の摂取頻度を含む生活習慣関連因子と血小板数との関連を詳細に検討した。

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     研究対象は、2019年度1年間の日本大学病院健診センター受診者1万1,673人から、ASCVD既往、降圧薬・血糖降下薬・脂質改善薬・抗血小板薬の処方、血小板数45万/μL以上、データ欠落、および研究参加への不同意に該当する人を除外した9,329人(平均年齢46.9±12.9歳、男性59.3%、BMI23.3±3.8)。魚の摂取頻度は、週0日が5.1%、週1日が28.8%、週2日が31.7%、週3日が23.3%、週4日が6.0%、週5日が3.1%、週6日が0.9%、週7日が1.1%であり、平均2.15±1.28日/週だった。n-3PUFAの推計摂取量は平均5.05±3.13g/週、血小板数は中央値22.7万/μL(四分位範囲19.7~26.0万)だった。

     解析の結果、魚摂取頻度はn-3PUFA摂取量と有意に正相関しており(ρ=0.962)、血小板数とは有意な負の相関(ρ=-0.103)が確認され、n-3PUFA摂取量と血小板数との負の相関(ρ=-0.100)も認められた(いずれもP<0.0001)。また、魚摂取頻度が高いほど、有酸素運動や高強度運動を習慣としている人、および非喫煙者が多く、睡眠時間は長いという有意な関連が存在した(全て傾向性P<0.0001)。

     次に、解析対象全体を血小板数20万以下、20.1~25万、25.1~30万、30万/μL超の4群に群分けして、各群の特徴を比較。すると血小板数高値群は、代表的な炎症マーカーであるC反応性蛋白(CRP)が高く、ヘモグロビン(Hb)や魚摂取頻度、n-3PUFA摂取量が低く、睡眠時間が短いといった相違が見られた。その一方で、ASCVDの既知のリスク因子である年齢や男性の割合、BMI、血圧、糖・脂質代謝関連指標、腎機能、尿酸値には有意差がなかった。

     続いて、血小板数30万/μL超を従属変数、単変量解析で血小板数との有意な関連が認められた因子を独立変数とする多変量解析を施行。その結果、CRP1.0mg/dL以上〔オッズ比(OR)2.841(95%信頼区間1.685~4.790)〕、Hb10g/dL未満〔OR4.571(同2.624~4.796)〕、喫煙〔OR1.242(1.003~1.539)〕が独立した正の関連因子として抽出された。反対に、有酸素運動〔OR0.775(0.620~0.968)〕、睡眠時間〔OR0.884(0.810~0.964)〕は独立した負の関連因子であり、かつ魚摂取頻度も独立した負の関連因子として抽出された〔1週間の摂取頻度0日を基準として、1~7日でOR0.310~0.642(週6日のみ非有意)〕。なお、高強度運動は有意な関連がなかった。

     以上の結果に基づき著者らは、「魚の摂取頻度が高いことがn-3PUFA摂取量の多さや健康的な生活習慣と有意な関連があり、かつ血小板数が低値であることと有意に関連していた。これらの相互作用によって、魚摂取がASCVDリスクを抑制するのではないか」と述べている。なお、本研究が横断的デザインであることから、「これら諸因子の因果関係を検証するため、さらなる研究が必要」とも述べられている。

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