• 全国データで見えた舌がんの実像――年代・性別で異なる手術動向

     舌がんは、舌に発生する口腔がんの一つで、進行すると発話や嚥下に大きな影響を及ぼす。日本では舌がんの全国的な動向は十分に把握されてこなかったが、今回、全国レセプトデータを用いた解析により、舌がんが女性の特定年齢層で増加している可能性が示された。研究は、稲毛病院整形外科の城戸優充氏、京都府立医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科学教室の辻川敬裕氏らによるもので、詳細は1月18日付で「Cancer Medicine」に掲載された。

     舌がんの罹患率は世界的に増加しており、特に若年層や女性での増加が懸念されている。しかし日本では、舌がんは口腔・咽頭がんとして一括して統計化されており、全国的な実態は十分に把握されていない。国民皆保険制度のもと、95%以上の保険請求を網羅するレセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)は、全国疫学研究に適したデータ基盤である。舌切除術が全病期で標準治療であることから、本研究では手術コード(医科K415および歯科J018)に基づき舌がん手術を新規症例の代替指標として用い、全国的な舌がん罹患の年次推移および年齢・性別別の特徴を明らかにすることを目的とした。

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     本研究では、医科(2014~2022年)および歯科(2016~2022年)のレセプトデータを用い、全体ならびに年齢階級別の男女比を算出した。さらに、人口10万人年あたりの手術率について、性別および年齢階級別に人口学的ピークの解析を行った。年次推移については、手術件数を線形回帰モデルで、手術率をポアソン回帰モデルで解析し、年次リスク比(RR)を推定した。なお、RR>1.0は人口10万人年あたりの手術率が年々増加していること、RR<1.0は減少していることを示す。

     2016~2022年の医科・歯科レセプトデータを用いた解析では、年間平均4,470.7件の手術が実施されていた(手術率:3.4件/10万人年)。男女比は全体で1.6:1であり、男性がやや優勢であることが示された。年齢階層別の男女比は、40歳未満ではほぼ1:1であったのに対し、60~70歳代では2.0:1となり男性優位の傾向が顕著に認められた。

     手術率は、男性では75~79歳でピーク(12.0件/10万人年)を示し、女性では75~84歳でピーク(5.9件/10万人年)を示した。年齢調整後の手術件数(医科)は2014年から2022年にかけて有意に増加していた。

     さらに年齢調整した手術率は、女性全体(RR=1.020、P<0.0001)および全体集団(RR=1.010、P=0.0006)で有意な増加を示した。年齢階級別の解析では、女性の40~44歳(RR=1.083、P=0.0001)および60~64歳(RR=1.055、P=0.0005)で有意な増加が認められた。

     本研究の結果から、特定の年齢層(中高年)の女性で、舌がんが増えている可能性が浮かび上がった。著者らは、「本研究で示された中高年女性での舌がん手術率の増加傾向は、今後、喫煙や飲酒などの修正可能なリスク因子に関する啓発を含め、女性を意識した予防・早期対応の重要性を示唆する結果といえる」と述べている。

     なお、本研究の限界として、レセプトデータを用いた解析であり、再手術や疾患分類の誤差、病期や生活習慣など患者背景を考慮できていない点を挙げている。また歯科レセプトの観察期間が短く、結果の解釈には注意を要するとしている。

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  • がん患者の予後に影響する「糖尿病」――心血管疾患発症リスクを高める可能性

     がん治療の進歩により、生存期間が延びる患者が増える一方で、治療後に心血管疾患(CVD)を発症するリスクが新たな課題として注目されている。しかし、どのような患者がCVDを発症しやすいのかは、十分に明らかになっていない。今回、大阪府の大規模がん登録データを用いた解析で、がんの初回診断時に糖尿病を併存する患者では、CVDの新規発症および全死亡リスクが有意に高いことが示された。研究は、大阪国際がんセンターがん対策センターの桒原佳宏氏、宮代勲氏らによるもので、詳細は1月22日付で「PLOS One」に掲載された。

     がん治療の進歩により生存期間が延び、がんサバイバーが増加する一方、がんとCVDは共通の危険因子を多く持ち、治療自体もCVDリスクを高めることから、治療後のCVD発症が重要な課題となっている。しかし、がん患者においてCVD発症に影響する因子は十分に明らかではない。糖尿病は一般集団でCVDリスクを高めることが知られているが、がんの初回診断時にCVDを有さない患者における影響は不明である。欧州心臓病学会(ESC)が策定した心臓とがん医療に関するガイドラインでは、がん患者の糖尿病管理の重要性が示されているが、十分なエビデンスはそろっていない。本研究は、糖尿病併存がCVD発症および死亡に与える影響を明らかにすることを目的とした。

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     本研究は多施設の後ろ向きコホート研究であり、大阪府がん登録をDPCデータと連結した集団ベースのデータを用いた。2010~2015年にがんと診断され、初回診断時にCVDのない患者を対象とした。糖尿病の有無は糖尿病治療薬の処方歴から判定し、CVD発症はICD-10コードで同定した。がん診断後3年間追跡し、がん診断時の糖尿病併存の有無と全死亡およびCVD発症との関連を、年齢、性別、がん種、病期、BMIなどで調整したCox比例モデルおよび競合リスク解析で評価した。

     本研究の解析対象12万1,997人のうち、4,317人は、がんの初回診断時に糖尿病を併存していた。糖尿病を併存する群は、併存しない群と比較して男性の割合が高く、比較的高齢の患者が多かった。また、遠隔転移を有する患者の割合も高かった。

     糖尿病を併存する群の3年生存率は61.5%で、併存しない群の78.2%を下回っていた。交絡因子を調整したCox比例ハザードモデルの結果、糖尿病を併存する群では、併存しない群と比較して全死亡リスクが有意に高く(調整ハザード比1.40〔95%信頼区間1.33~1.48〕)、予後不良との関連が示された。がん部位別解析では、糖尿病の併存は一部のがん種を除き、ほとんどのがん部位で予後不良と関連していた。がん診断後に糖尿病と診断された患者を除外した感度解析でも、結果は一貫していた。

     死亡を競合リスクとして考慮した競合リスク回帰分析では、糖尿病を併存する患者は、併存しない患者と比較して全CVDの発症リスクが有意に高かった(同1.43〔1.34~1.53〕)。また、心血管イベントの種類やがん種によって関連の強さには差がみられたが、がん種別解析でも全体解析と同様の傾向が認められた。なお、がん診断後に糖尿病と診断された患者を除外して解析しても、主要な結果は変わらなかった。

     死亡直前2か月以内に入院歴のあった2万1,292人を対象に死因を推定した解析では、糖尿病を併存する群でCVDによる死亡割合が高かった(6.94% vs. 4.57%)。交絡因子を調整したロジスティック回帰分析でも、糖尿病の併存はCVDによる死亡リスクの上昇と有意に関連していた(オッズ比1.47〔95%信頼区間1.19~1.81〕)。がん種別では、胃がんおよび胆嚢がんでこの関連が有意であった。

     著者らは、「がん診断時に心血管疾患のない患者でも、糖尿病を併存している場合、その後の心血管疾患の発症や予後に悪影響を及ぼす可能性が示された。糖尿病管理ががん患者の転帰改善につながるかどうか、今後の検証が必要である」と述べている。

     なお、本研究の限界として、診療報酬データに基づく後ろ向き観察研究である点、糖尿病やCVDの誤分類や未調整の交絡因子の影響を否定できない点などを挙げている。

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    糖尿病でいちばん恐ろしいのが、全身に現れる様々な合併症。深刻化を食い止め、合併症を発症しないためには、早期発見・早期治療がカギとなります。今回は糖尿病が疑われる症状から、その危険性を簡単にセルフチェックする方法をご紹介します。

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    HealthDay News 2026年2月24日
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  • 性格は仕事のやる気より“燃え尽きやすさ”に関係か

     仕事への「やる気」や「燃え尽き」は、個人の性格によってどの程度左右されるのか。今回、日本の企業で働く正社員を1年間追跡した研究から、性格特性はワーク・エンゲージメント(やる気)とは関連しなかった一方で、バーンアウト(燃え尽き)とは有意に関連することが示された。研究は、鳥取大学大学院医学系研究科臨床心理学講座の福崎俊貴氏、獨協医科大学大学院看護学研究科の岩田昇氏によるもので、詳細は1月7日付で「PLOS One」に掲載された。

     近年、労働者のメンタルヘルスでは、仕事への前向きさを高め、健康障害を防ぐ「ポジティブな心理状態」が重視されており、その理論的枠組みとして仕事の要求度-資源モデル(JD-Rモデル)が用いられている。このモデルでは、仕事の資源(職場のサポートや報酬)がワーク・エンゲージメントを高める一方、仕事の要求がバーンアウトを引き起こすとされる。また、職場環境だけでなく、自己効力感やレジリエンス、性格といった個人要因も重要と考えられている。中でも性格特性は、ワーク・エンゲージメントやバーンアウトとの関連が示唆されてきたが、多くは横断研究にとどまり、職場要因を同時に考慮した縦断的検証は行われていない。さらに、従来のバーンアウト尺度には測定上の課題がある。

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     そこで本研究では、新たなバーンアウト評価尺度(Burnout Assessment Tool:BAT)を用い、日本の労働者を対象に、性格特性とワーク・エンゲージメントおよびバーンアウトとの関連を、職場要因を調整した上で縦断的に検討した。

     本研究では、楽天インサイト株式会社に登録された約220万人のモニターパネルのうち、国内の企業・組織に勤務する正社員を対象に、1年の間隔をあけてオンライン調査を2回実施した(ベースライン調査:2022年11~12月、追跡調査:2023年11~12月)。両調査に回答した500人(男性299人、女性201人、追跡率33.3%)のデータを解析に用いた。性別や年齢などの人口統計学的変数に加え、仕事の要求度・裁量、上司や同僚の支援、外在的報酬といった職場要因を質問票で評価した。ワーク・エンゲージメントとバーンアウトは日本語版尺度を用いてベースラインおよび追跡調査で測定し、性格特性(ビッグファイブ)はベースライン時に評価した。解析には階層的重回帰分析を用い、ベースライン時のワーク・エンゲージメントとバーンアウトおよび人口統計学的変数を調整した。

     本研究の参加者の平均年齢は45.9歳で約60%が男性であった。1年間追跡した解析の結果、ワーク・エンゲージメントは低下した一方で、バーンアウトの程度には大きな変化はみられなかった。

     ワーク・エンゲージメントについては、性格の違いによる影響はほとんど認められず、年齢に加えて、高い外在的報酬(標準化回帰係数〔β〕=0.15、P<0.001)や同僚からの支援(β=0.12、P<0.05)といった仕事の資源の要因が強く関係していた。これに対し、バーンアウトについては、仕事の要求度が大きいほど(β=0.10、P<0.01)、また神経症傾向が高いほど(β=0.08、P<0.05)高く、誠実性が高い人ほど(β=-0.08、P<0.05)低い傾向が認められた。

     著者らは、「今回の結果は、ワーク・エンゲージメントを高めるには性格よりも資源の豊富な職場環境の整備が、バーンアウトを防ぐには仕事の負担や個人特性への配慮が重要であることが示唆された」と述べている。

     本研究の限界として、参加者はオンライン調査パネルの登録者に限られていた点、職務要因(仕事の負荷や職場環境)は一部しか評価していない点などを挙げている。加えて、因果関係の向きや日本特有の文化的背景も考慮に入れる必要があるとしている。

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  • 歯や口の困りごとがうつ病と関係? 日本人成人1.5万人を追跡調査

     メンタルヘルス対策は精神症状そのものに焦点が当てられてきた一方で、日常生活に身近な身体的要因との関連は十分に検討されてこなかった。そうした中、日本人成人約1万5,000人を1年間追跡した縦断研究により、歯や口の困りごとによって口腔関連QoL(OHRQoL)が低い人ほど、その後にうつ病が発症しやすいことが示された。研究は、岡山大学学術研究院医療開発領域の竹内倫子氏、学術研究院医歯薬学域予防歯科学分野の江國大輔氏、東北大学大学院医学系研究科公衆衛生学分野の田淵貴大氏らによるもので、詳細は1月4日付で「Journal of Clinical Medicine」に掲載された。

     うつ病は世界的に大きな疾病負担をもたらす精神疾患であり、その発症には年齢、社会的孤立、慢性疾患、生活習慣、QoLなど多様な要因が関与する。近年、歯の欠損や口腔痛、歯周病、OHRQoLとうつ病との関連も報告されているが、多くは横断研究にとどまり、因果関係は明らかでない。本研究は、うつ病のない成人を対象に、口腔の健康状態およびOHRQoLがその後のうつ病の発症と関連するかを縦断的に検討することを目的とした。

    【うつ病の治験について相談したい方へ】
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     本研究では、2022年および2023年に実施された「Japan COVID-19 and Society Internet Survey(JACSIS調査)」のデータを用いて解析を行った。ベースライン時点でうつ病の自己申告がない20歳以上の参加者1万5,068人を解析対象とした。うつ病は、2回の調査間における自己申告に基づいて判定した。OHRQoLは、Oral Health Impact Profile(OHIP)の短縮版である日本語版OHIP-14を用いて評価した。口腔の健康状態については、歯の喪失、歯周病、口腔痛、過去1年間の歯科受診の状況により評価を行った。これらの要因とうつ病発症との関連について、社会人口学的要因および行動要因を調整したロジスティック回帰分析を用い、オッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)を算出した。

     追跡調査の結果、1年後に218人(1.45%)が「うつ病がある」と回答した。「うつ病がある」と回答した群と、「うつ病がない」と回答した群の背景因子を単変量で比較したところ、歯科受診状況やOHRQoL(OHIP-14)、年齢、性別、社会経済状況、生活習慣に加え、孤独感、社会的孤立、生活満足度、睡眠薬・抗不安薬の使用など、多くの心理社会的要因に差が認められた。

     次にこれらの因子を独立変数、うつ病発症を従属変数として二項ロジスティック回帰分析を行った。その結果、OHRQoLが低いほど、うつ病を発症するリスクが有意に高いことが示された(OR 1.02、95%CI 1.00~1.04、P=0.039)。このほか、年齢が若いこと(OR 0.97、95%CI 0.96~0.99、P<0.001)、趣味や文化活動への参加(あり:OR 2.22、95%CI 1.50~3.30、P<0.001)、睡眠薬または抗不安薬の常用(現在使用:OR 3.51、95%CI 2.27~5.44、P<0.001)、孤独感の増大(OR 1.22、95%CI 1.14~1.30、P<0.001)、生活満足度の低さ(OR 0.90、95%CI 0.84~0.97、P=0.005)、および自己評価による健康状態の不良(OR 2.92、95%CI 1.81~4.72、P<0.001)も、うつ病の発症と関連していた。

     さらに構造方程式モデリングによる解析では、OHRQoLの低下が、その後のうつ病の発症と関連する過程において、孤独感や社会的孤立、生活満足度、主観的健康感といった心理社会的要因が重要な媒介役を果たしていることが示された。OHRQoLは、これらの要因を介した間接的な影響に加え、うつ病発症への直接的な影響も認められた。

     著者らは、「うつ病を自己申告していなかった人を追跡した結果、口腔関連QoLが低い人ほど、その後にうつ病が発症しやすいことが示された。この関連は、年齢や生活習慣などの要因を考慮した後も認められ、さらに孤独感や社会的つながり、生活満足度といった心理社会的要因が、その関係の一部を仲介している可能性がある」と述べている。

     なお、本研究は自己申告に基づくオンライン調査であり、未評価の交絡因子や追跡期間の短さといった制約があるため、うつ病の評価とOHRQoLとの関連については因果的解釈に注意が必要であるとしている。

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    HealthDay News 2026年2月16日
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  • 祝日や年末に外傷は増える? 国内データが示す外傷の季節性

     救急外来や外傷医療の現場では、患者数の増減が医療提供体制に大きな影響を与える。これまで外傷の発生には季節性があることが知られてきたが、祝日や年末年始といった社会・文化的イベントとの関係を、長期かつ日単位で検証した研究は限られていた。日本全国38万人超の外傷データを解析した本研究では、ゴールデンウィークや年末など特定の時期に外傷が増加する一方で、お盆や年始には減少することが明らかになった。研究は、総合病院土浦協同病院救命救急センター・救急集中治療科の鈴木啓介氏、遠藤彰氏によるもので、詳細は12月18日付で「Scientific Reports」に掲載された。

     外傷は世界的に主要な死因・障害原因であり、医療・社会に大きな負担を与えている。外傷発生の季節性や祝日の影響はこれまでにも報告されてきたが、多くは短期間の観察にとどまっていた。比較的均質な文化・行動様式を持つ日本では、ゴールデンウィークやお盆、年末年始など生活リズムが大きく変化する時期が存在し、加えて自殺は春から夏に多いという季節性も知られている。本研究は、18年間にわたる全国外傷データを日単位で解析し、こうした年間を通じた行動パターンと外傷・自殺企図の発生動向を包括的に評価することで、医療資源配分や予防戦略の最適化に資する知見を得ることを目的とした。

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     本研究では、2004年1月から2021年12月までの日本外傷データバンク(JTDB)を用いて後ろ向き解析を行った。JTDBは、少なくとも1部位で簡易傷害度スケール(AIS)3以上を有する重症外傷患者のみを登録対象とする全国データベースである。JTDBからは、年齢、性別、受傷日および受傷機転、外傷分類、外傷重症度スコア(ISS)、AIS、退院時転帰などの変数を抽出し、受傷日(年月日)が特定可能な外傷患者を対象とした。対象患者は搬送日ごとに分類し、1年365日それぞれの日単位で解析した。日別の患者数、外傷重症度、自殺企図、死亡率を評価し、周期関数を組み込んだ負の二項回帰、外傷重症度で調整したロジスティック回帰、ならびに一般化極端スチューデント化偏差(GESD)検定を用いて外れ値を同定した。

     本研究では38万3,473人が解析に含まれた。解析の結果、外傷症例数は年間を通じて大きく変動し、9~12月に多い傾向が示された。ゴールデンウィーク(4月29日~5月5日)や、文化の日(11月3日)、体育の日(現スポーツの日:10月10日)、年末(12月28~29日)にピークがみられた一方、お盆期間(8月中旬)、特に8月15日前後や年始には減少し、最少は3月7日(886例)、次いで1月3日(898例)であった。

     自殺企図は21,637例(全体の5.6%)で、5~6月および8月下旬~9月に増加し、10~12月に減少するなど、全外傷とは異なる季節性が認められた。

     日別死亡率は平均9.6%で、年間を通じた変動は小さく、明確な季節性や有意な外れ値は認められなかった。また、2004~2021年の全期間を通じて、外傷症例数の季節変動パターンは概ね一貫していた。

     著者らは、「日本の外傷症例数は、祝日や季節的な生活習慣に沿った一定の年間変動を示した。自殺企図は独自の季節性を示したが、外傷全体の症例数や死亡率に大きな影響はなかった。本研究は、外傷医療リソースの計画や予防策を検討するうえで、行動や社会的要因を考慮することの重要性を示している」と述べている。

     なお、本研究の限界として、重症外傷患者に限定した解析であり、日本特有の文化的背景を反映している点や、後ろ向き研究のため、祝日と外傷発生の因果関係を直接示せない点などを挙げている。

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    HealthDay News 2026年2月9日
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  • 認知症の有病率と発症率は2012年以降低下か――久山町研究からのメッセージ

     高齢化が進む中でも、認知症は必ずしも増え続けるとは限らない。今回、久山町研究の長期疫学データから、認知症の有病率と発症率が2012年以降低下していることが示された。健診と保健指導が継続的に行われてきた地域特性を踏まえると、本研究は生活習慣病管理と認知症予防の関係を考える上で、重要な示唆を与える。研究は、九州大学大学院医学研究院精神病態医学分野の小原知之氏、同衛生・公衆衛生学分野の二宮利治氏らによるもので、詳細は、12月29日付で「Alzheimer’s Research & Therapy」に掲載された。

     高齢化が進む中、認知症の増加とその社会的負担は大きな課題とされてきた。一方で、認知症の有病率の推移については、増加を示す研究と横ばい・低下を示す研究が混在しており、見解は一致していない。こうした違いを理解するには、認知症の有病率だけでなく、発症率や発症後の生存率を併せて検討する必要がある。特にアジア地域では、同一地域を長期間追跡した研究は限られている。久山町研究では、1985~2012年にかけて認知症有病率が増加し、その背景として認知症発症率の上昇と発症後生存率の改善が関与していることが報告されている。本研究はその知見を踏まえ、37年にわたる調査データを用いて、日本の地域住民における認知症の有病率、発症率、発症後生存率の2012年以降の推移を検討した。

    【認知症の治験について相談したい方へ】
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     久山町研究は、1961年から福岡県久山町の住民を対象に継続されている、日本を代表する地域住民コホート研究である。国勢調査によると、久山町の年齢構成や職業構成、栄養摂取状況は、過去60年間にわたり日本全体とほぼ同じ水準にあるとされている。本研究では同地域において、65歳以上の住民を対象に、1985年、1992年、1998年、2005年、2012年、2017年、2022年の7時点で認知症に関する悉皆調査を実施した(全ての受診率:92%以上)。さらに、認知症のない65歳以上の住民を対象に、1988年(803人)、2002年(1,231人)、2012年(1,519人)の3つのコホートを設定し、それぞれ10年間追跡した。認知症有病率の推移はロジスティック回帰モデルを用いて検討した。認知症の発症率と発症後生存率については、Cox比例ハザードモデルを用いて性別と年齢を調整してコホート間で比較した。

     認知症の有病率は、1985年から1998年まで横ばいで推移したが、その後は2012年にかけて有意に上昇した(1985年6.7%、1992年5.7%、1998年7.1%、2005年12.5%、2012年17.9%、傾向P値<0.01)が、その後2017年15.8%、2022年12.1%と有意に減少した(傾向P値<0.01)。これらの関係は年齢で調整しても同様の傾向が認められた。

     認知症の有病率は、発症率と発症後の予後によって規定される。この有病率が時代とともに変化した要因を明らかにするために、1988年、2002年、および2012年のコホートを比較した。その結果、年齢・性別調整後の認知症発症率は、1988年コホート(1988~1998年)から2002年コホート(2002~2012年)にかけて有意に上昇した(調整ハザード比〔aHR〕1.68、95%信頼区間〔CI〕1.38~2.06)。一方、同発症率は2002年コホートから2012年コホート(2012~2022年)にかけて有意に低下した(aHR 0.60、95%CI 0.51~0.70)。

     つぎに、認知症発症後の予後の時代的変化を検討したところ、認知症発症後5年生存率は、1988年コホートから2002年コホートにかけて有意に改善していた(47.3%から65.2%、P<0.01)。一方、同生存率は2002年コホートから2012年コホートにかけては明らかな変化を認めなかった(65.2%から58.9%、P=0.42)。

     こうした結果から、2000年代になって認知症有病率が急増した背景には、認知症の発症率が時代とともに上昇したことに加えて、認知症発症後の予後が改善したことがあるとみられる。一方、2012年以降、認知症の有病率が低下した背景には、近年のコホートで認知症発症率が低下したことが影響している可能性がある。

     著者らは、「本研究において認知症の有病率と発症率が2012年以降減少傾向にある背景には、高血圧や糖尿病など危険因子の管理状況の改善と喫煙率の低下や運動習慣の増加など健康的な生活習慣の普及が関与している可能性が考えられる。高齢化が進む社会において、認知症の発症リスクを低減してその社会的負担の増大を抑制するためには、生活習慣病の予防とその適切な管理に加え、健康的な生活習慣を心がけることが重要」と述べている。

     なお、著者らは、本研究の限界点として、単一地域での調査であるため一般化が難しい点を挙げている。また、近年の診断環境の変化や頭部外傷や難聴など未評価の危険因子があること、COVID-19流行が結果に影響した可能性を述べている。

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    軽度認知障害を予防し認知症への移行を防ぐためには早期発見、早期予防が重要なポイントとなります。そこで、今回は認知症や軽度認知障害(MCI)を早期発見できる認知度簡易セルフチェックをご紹介します。

    軽度認知障害(MCI)のリスクをセルフチェックしてみよう!

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    HealthDay News 2026年2月9日
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  • 肝機能の「長期的な変化」が糖尿病リスクを予測か──日立コホート研究

     2型糖尿病は、発症前の段階でいかにリスクを捉えるかが重要となる。健康診断では肝機能検査が毎年行われているが、その数値は多くの場合、一過性の変動として単年ごとに評価されるにとどまってきた。日立コホート研究による約2万人・13年超の追跡解析から、若年期に一時的な肝機能高値を示し、その後数値が改善している人においても、将来の2型糖尿病リスクが高い傾向にあることが示された。肝機能の「一時点の値」ではなく長期的な変化のパターンに着目する重要性が浮き彫りになった。研究は、東海大学医学部基盤診療学系の深井航太氏らによるもので、詳細は12月14日付で「Scientific Reports」に掲載された。

     肝機能障害と2型糖尿病との関連は、インスリン抵抗性や脂肪肝を介した双方向の関係が示唆されている。アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、γ‐グルタミルトランスフェラーゼ(GGT)などの肝酵素は日常診療で広く測定されている指標であるが、これまでの研究の多くは単一時点の測定値に基づいており、肝機能の長期的変化を十分に捉えられていなかった。本研究では、年次健診データを有する日立コホート研究を用い、肝酵素の推移パターンを分類し、2型糖尿病発症との関連および基準値超過の頻度が与える影響を検討することを目的とした。

    【2型糖尿病の治験について相談したい方へ】
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     日立コホート研究は、茨城県日立市の準都市工業地帯にある日立健康管理センタの従業員に提供される企業の年次健康診断に基づいている。本研究では、日立コホート研究において、ベースライン時に2型糖尿病を有さない30~64歳の2万4,380人を対象とし、計29万6,171件の健康診断データを解析した。肝機能酵素として、ALT、AST、GGTを年1回測定した。肝酵素の長期推移をトラジェクトリ解析(group-based trajectory modeling;GBTM)により分類し、各軌跡群と2型糖尿病発症との関連をロジスティック回帰で検討した。年齢・性別、代謝指標、生活習慣因子を調整した。

     ベースライン時の平均年齢は42.9歳だった。平均12.8年の追跡期間中に、3,840人(15.8%)が2型糖尿病を発症した。トラジェクトリ解析により、ALTは6群、ASTは3群、GGTは4群の推移パターンが同定された。

     ALTが持続的に高値を示す群や、若年成人期に上昇を示す推移群では、2型糖尿病発症リスクが有意に高かった。ALTが一貫して高値で推移した群(群6)のオッズ比は7.97(95%信頼区間〔CI〕 7.40~8.57)、若年成人期に高値を示した群(群5)では4.23(95%CI 4.00~4.48)であり、いずれも一貫して低値の群(群1)と比べて高リスクであった(傾向P値、P<0.01)。

     さらに、ALTおよびASTが基準値を繰り返し超過するほど2型糖尿病リスクは上昇し、閾値が高いほど、また超過頻度が多いほど関連は強かった。GGTについては、ALTほど強い関連ではなかったものの、基準値を2回以上超過した場合、2型糖尿病リスクが2倍以上に上昇していた。

     著者らは、「ALTの高値が持続している人はもちろん、『以前高かった』人でも糖尿病発症リスクは約4倍に上昇していた。健康診断の結果は単年値ではなく経時的な推移を重視すべきであり、若年期からリスクの兆候を捉えることが、将来的な予防につながる可能性がある」と述べている。

     なお、本研究の限界として、特定コホートに基づくため一般化が制限されること、薬物治療や生活習慣の変化などの影響が考慮されていない点などを挙げている

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    糖尿病でいちばん恐ろしいのが、全身に現れる様々な合併症。深刻化を食い止め、合併症を発症しないためには、早期発見・早期治療がカギとなります。今回は糖尿病が疑われる症状から、その危険性を簡単にセルフチェックする方法をご紹介します。

    糖尿病のセルフチェックに関連する基本情報

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    HealthDay News 2026年2月2日
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  • 全身治療後のサルベージ手術で示された、進行肺がんの新たな長期生存の可能性

     進行した非小細胞肺がん(NSCLC)では、初診時に切除不能と判断される症例が多く、治療の主軸は全身治療に置かれてきた。しかし、治療反応が良好な一部の患者に対して、全身治療後に外科切除を行うサルベージ手術の意義は十分に検討されていない。今回、全身治療後にサルベージ手術を行った高度に選択された症例を解析した結果、進行肺がんでも長期生存が現実的となる可能性が示された。研究は愛知県がんセンター呼吸器外科部の瀬戸克年氏、坂倉範昭氏らによるもので、詳細は12月17日付で「Thoracic Cancer」に掲載された。

     分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬の登場により、進行NSCLCに対する全身治療成績は大きく向上している。これに伴い、初診時には切除不能と判断された症例でも、全身治療後に病変が局在化・縮小し、根治を目的としたサルベージ手術が行われるケースが増えている。一方、薬物療法後の手術は治療関連線維化など特有の課題を伴い、長期予後への真の影響については十分なエビデンスがない。こうした背景から本研究は、全身治療後にサルベージ手術を行ったNSCLC症例を後ろ向きに解析し、その安全性と腫瘍学的成績、臨床的意義を検討した。

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     本研究では、2014年1月1日から2024年12月31日にかけて愛知県がんセンターで治療を受けた、初診時に切除不能と診断されたNSCLC患者を対象とした。このうち、化学療法、分子標的治療、免疫療法のいずれか、またはそれらの併用後に、根治目的のサルベージ手術を受けた32例を後ろ向きに解析した。主要評価項目は全生存期間(OS)とし、副次評価項目として無再発生存期間(RFS)、重篤な合併症(Clavien–Dindo分類Ⅲa以上)、およびR0切除(完全切除)率を設定した。生存解析にはKaplan–Meier法およびlog-rank検定を用いた。

     年齢中央値は61.0歳で、男性が約3分の2を占めた。ECOG Performance Status(PS)は30例が0、残る2例も1で、PS 2以上の症例は認めなかった。初診時に切除不能と判断された理由は遠隔転移が最多で、次いでN3リンパ節転移や高度N2病変などであった。手術前に行われた全身治療の治療ライン数中央値は1で、細胞障害性抗がん薬、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬が症例に応じて使用されていた。

     追跡期間中央値40.1か月時点で、OSの中央値には到達せず、RFSの中央値は49.9か月であった。5年OS率は75.0%(95%信頼区間〔CI〕 51.6~88.3)、5年RFS率は46.3%(95%CI 26.3~64.2)であった。

     サルベージ手術の内訳は、肺葉切除術21例(65.6%)、区域切除術6例(18.8%)、楔状切除術5例(15.6%)であり、R0切除は26例(81.3%)で達成された。

     合併症は全体で4例(12.5%)に発生した。重篤な合併症は1例で、胸膜癒着術を要する遷延性気漏であった。術後90日以内の死亡は認められなかった。

     さらに、術後24か月以内に再発または死亡を認めなかった症例を予後良好群(18例)、認めた症例を予後不良群(14例)とし、探索的に各因子について単変量解析を行った。その結果、腺がんのみが有意に良好な予後と関連していた(88.9% vs. 35.7%、P=0.003)。

     著者らは、「初診時に切除不能と判断されたNSCLC患者において、全身治療後に行われたサルベージ手術が、安全性および有効性の両面で良好な成績を示した。追跡期間中央値40.1か月における5年OS率は75%、5年RFS率は46%であり、厳密に選択された症例では、サルベージ手術が生存期間延長を目指す治療選択肢となり得る可能性が示唆された」と述べている。

     その一方で、単施設・後ろ向き研究である点に加え、全身治療のみで管理された症例や、全身治療後に外科へ紹介されたものの手術に至らなかった症例が含まれていないことから、選択バイアスの影響は否定できないとしている。このため、今後は多施設前向き研究による検証が必要であると述べている。

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    肺がんは初期の自覚症状が少ないからこそ、セルフチェックで早めにリスクを確かめておくことが大切です。セルフチェックリストを使って、肺がんにかかりやすい環境や生活習慣のチェック、症状のチェックをしていきましょう。

    肺がんのリスクを症状と生活習慣からセルフチェック!

    参考情報:リンク先
    HealthDay News 2026年2月2日
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