• 夜間頻尿の背景に“夜間多尿”――排尿日誌データから見えた加齢の影響

     夜間頻尿は高齢者に多い症状であり、その背景には膀胱機能低下だけでなく夜間多尿など尿量分布の変化が関与すると考えられている。今回、日本の17施設で夜間頻尿患者875例を対象に、排尿日誌を用いて夜間多尿の実態が解析された。その結果、夜間多尿の割合は加齢とともに増加し、特に80歳以上で顕著であった。夜間頻尿は年齢や尿量分布など複数の要因が関与する多因子性の病態と考えられた。研究は、岐阜大学大学院医学系研究科泌尿器科の川瀬紘太氏、古家琢也氏らによるもので、詳細は6月12日付の「Neurourology and Urodynamics」に掲載された。

     夜間頻尿は睡眠障害や転倒リスクの増加と関連し、高齢者のQOLに大きな影響を及ぼすことが知られている。その原因として夜間多尿(夜間に作られる尿の割合が多い状態)や膀胱蓄尿機能障害などが挙げられるが、加齢に伴う排尿パターンや昼夜の尿量分布の変化については十分に明らかになっていない。こうした背景から、著者らは排尿日誌を用いて年齢ごとの排尿パターンを解析し、夜間多尿の特徴と関連因子を検討した。

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     本研究は、2018~2022年に日本の17施設で夜間頻尿を主訴に受診した患者を対象とした多施設共同後ろ向き観察研究である。膀胱結石や尿路感染症、泌尿器系の悪性腫瘍を有する患者、およびデスモプレシン使用者を除外した。対象者には少なくとも2日間の排尿日誌の記録を求め、24時間尿量や昼夜の尿量、最大排尿量などを評価した。夜間多尿は夜間多尿指数(NPi)を用いて評価し、夜間尿量が24時間尿量に占める割合が33%を超える場合と定義した。対象者を5つの年齢群に分類し、排尿パターンや夜間多尿の頻度を比較した。

     解析対象は875例で、このうち590例(67.4%)が夜間多尿に該当した。NPiは加齢とともに上昇し、80歳以上の群では他の年齢群と比べて有意に高値を示した(P<0.05)。また、夜間多尿の有病率も年齢とともに増加した。

     排尿日誌の解析では、80歳以上の群は他の年齢群と比較して24時間尿量および日中尿量が有意に少ない一方、夜間多尿の割合が有意に高かった(いずれもP<0.05)。

     さらに、夜間多尿群は非夜間多尿群と比べて高齢であり、過活動膀胱(OAB)の有病率も高かった。多変量解析の結果、年齢、OABの存在、最大排尿量、および24時間尿量が夜間多尿の独立した関連因子として抽出された。一方、男性を対象とした解析では前立腺肥大症(BPH)との有意な関連は認められなかった。

     著者らは、「夜間頻尿患者における夜間多尿は加齢とともに増加する一方、その背景にはOABや膀胱容量の低下、尿量分布の変化など複数の要因が関与している可能性がある」と結論付けた。高齢者の夜間頻尿は加齢に伴う尿量分布の変化と下部尿路機能障害が混在した病態であり、夜間尿量のみならず排尿機能も含めた評価が重要であるとしている。

     なお、本研究は後ろ向き観察研究であり、排尿日誌の自己記録による誤差や施設間の患者背景の違いが結果に影響した可能性がある。また、水分摂取量や睡眠障害、腎機能など夜間尿量に影響する因子を十分に評価できていないため、加齢と夜間多尿との因果関係については今後の検証が必要であるとしている。

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    HealthDay News 2026年7月6日
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  • 高齢入院患者の睡眠薬継続使用、院内転倒リスク上昇と関連

     高齢入院患者の転倒は、骨折や身体機能の低下につながり得るため、医療現場で重要な課題となっている。日本の急性期病院に入院した高齢患者6万人超を対象とした研究で、睡眠薬の継続使用は院内転倒リスクの上昇と関連することが示された。一方、ベンゾジアゼピン系・Z薬とオレキシン受容体拮抗薬/ラメルテオンとの間で、転倒リスクに有意な差は認められなかった。研究は、日本医科大学医療管理学の西野拓也氏らによるもので、詳細は6月8日付の「PLOS One」に掲載された。

     高齢入院患者の転倒は、骨折や身体機能の低下、入院期間の延長などにつながる重要な問題だ。また、入院中の高齢患者では睡眠障害が多くみられるため、睡眠薬の選択は転倒予防の観点からも重要とされている。従来から使用されてきたベンゾジアゼピン系・Z薬(非ベンゾジアゼピン系睡眠薬)は転倒リスクを高めることが知られている。一方、オレキシン受容体拮抗薬やラメルテオンは代替薬として使用が広がっているものの、院内転倒との関連については結果が一致していなかった。こうした背景から著者らは、日本の急性期病院に入院した高齢患者を対象に、睡眠薬の継続使用と院内転倒との関連を検討した。

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     著者らは、2018~2024年に日本の急性期病院2施設へ入院した65歳以上の患者を対象に後ろ向き解析を実施した。長期入院患者では転倒や睡眠薬使用の機会が増える可能性を考慮し、入院7日目まで転倒のなかった患者6万1,663人を対象に、その後の転倒発生を追跡した。入院4~7日目に2日以上睡眠薬を使用していた患者を、ベンゾジアゼピン系・Z薬(BZ/Zs)群、オレキシン受容体拮抗薬/ラメルテオン(ORA/Ram)群、両者の併用群に分類し、持続的な睡眠薬使用がなかった患者を対照群とした。その上で、入院8~37日目に発生した初回の院内転倒を評価し、患者背景や併用薬、日常生活動作(ADL)などを調整した上で各群の転倒リスクを比較した。

     対象となった6万1,663人のうち、3,884人(6.3%)が入院8日目以降に転倒を経験した。睡眠薬使用群では対照群と比べて患者背景に違いがみられた。特にORA/Ram群では、高齢でADLが低下した患者が多く、炎症反応や腎機能障害を示す検査値も高かった。

     30日間の追跡期間における転倒の絶対リスクは、対照群2.3%に対し、BZ/Zs群3.5%、ORA/Ram群4.9%、併用群4.4%であった。調整後解析では、対照群と比べてBZ/Zs群で転倒発生ハザードが42%高く(調整ハザード比1.42)、ORA/Ram群でも46%高かった(同1.46)。併用群でも同様の傾向が認められた(同1.42)。この関連は競合リスク解析でも一貫していた。

     さらに、傾向スコアマッチングにより患者背景をそろえてBZ/Zs群とORA/Ram群を直接比較した解析では、転倒発生ハザードに有意差は認められなかった(調整ハザード比0.98)。

     著者らは、高齢入院患者における睡眠薬の継続使用は院内転倒リスクの上昇と関連していた一方、BZ/Zs群とORA/Ram群との間で転倒リスクに有意差は認められなかったとしている。その上で、睡眠薬の種類を変更するだけでは転倒予防は難しく、患者の脆弱性そのものに着目した対策が重要になる可能性があると考察している。

     なお、著者らは、本研究が観察研究であるため因果関係は証明できず、睡眠薬が必要となる患者の背景因子による影響を完全には除外できない点を限界として挙げている。また、本研究は薬剤クラス間の同等性を検証するように設計された研究ではなく、BZ/Zs群とORA/Ram群の転倒リスクが同等であることを示したものではないとしている。

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    HealthDay News 2026年7月6日
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